説明

車両用シート

【課題】シートバックの幅方向の中央位置に組込んで配設されるセンターアームレスト組立体が後突時に荷物が前方へ移動することにより当たって前方に飛び出すのを防止する。
【課題を解決するための手段】車両用シート10は室内と荷室とを区画するものとして配設されている。そのシートバック18の幅方向中央位置にはセンターアームレスト組立体30が組込まれて配設されている。センターアームレスト組立体30とその両側のシートバック本体部構成部材18L、18Rには伸びない可撓性部材の支持部材60が跨って配設されており、支持部材60により後突時におけるセンターアームレスト組立体30の前方への飛び出し移動を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。詳しくは、車両の室内と荷室との区画壁がシートバックの配置により構成される車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等車両には、車両の室内といわゆるトランクルームと称される荷室との区画壁が、室内に配設される車両用シート(以下、単に「シート」と称することもある)のシートバックで構成されるものがある。この種車両用シートは車両の室内の最後部に配設される車両用シートで、2人又は3人が着席可能ないわゆるベンチシート形式のシートで構成されている。車両用シートは、一般に、乗員が着座するシートクッションと、背もたれとなるシートバックとから成っている。そして、シートへの着座者の着座状態を良好ならしめるためにシートの幅方向中央位置にセンターアームレストが設置されることがある。センターアームレストは使用時にはシートクッションの上面に載置されているが、不使用時にはシートバックに組込まれた状態として、背凭れとして機能するようにされている。
このため、シートバックはセンターアームレストを装備させるために構成するアームレスト組立体(本発明の「シートバック中央部構成部材」に相当する)とその両側に配設されるシートバック本体を形成するために装備されるシートバック本体構成部材とから構成される。このアームレスト組立体とシートバック本体構成部材とは別構成部材として構成されている(特許文献1参照)。
そして、シートバック本体構成部材に対するアームレスト組立体の組付けは、シートバック本体構成部材におけるアームレスト組立体が配設される位置に対応する位置にはアームレスト組立体を取付けるための開口空所が形成されており、この開口空所に対してアームレスト組立体が組付けられる。詳細には、シートバック本体構成部材の荷室に面する後面形成部材、すなわちシートバック本体構成部材の後面を形成する後面形成部材の前記開口空所に対応する箇所が開口部に形成されており、この開口部に対してアームレスト組立体の後面蓋部材(本発明の「シートバック中央部構成部材の後面形成部材」に相当する)が取付けられて組み立てられる。なお、この取付けは、アームレスト組立体の後面蓋部材は前記開口部の室内面側すなわち前側に配設されて該開口部を蓋する状態として取付けられている。
【0003】
なお、アームレストには、物入れ空間部を設けたり、オーディオ機器、各種機能を作動させるためのスイッチ装置を装備させる等、他の用途と兼用させて構成させることが多い。この様な装備のためアームレストの高さ方向の厚みがシートバックの厚みより厚くなる場合には、前記アームレスト組立体の後面蓋部材を荷室側の後方に凹ませて、後方へ突出させた構成として、アームレストをシートバックに組込み可能として格納している。
また、前記シートバック本体構成部材の後面形成部材の開口部に取付けられるアームレスト組立体の後面蓋部材には、室内と荷室とを連通する連通口が形成されており、シートバックの前倒し状態において、この連通口を通じて荷物の出し入れを可能としたり、長尺物の荷物を荷室と室内とに跨って積載することを可能としている。なお、通常、後面蓋部材に形成される連通口は開閉蓋により蓋をされた状態とされており、必要なときのみ連通状態とされる。そして、この開閉蓋は、盗難防止の観点から室内側からのみ開閉操作可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−313299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記車両用シートを備えた車両においては、当該車両が後方から衝突される、いわゆる後突時に次のような問題を生じることがある。車両のトランクルーム等の荷室にゴルフバック等の荷物が積載されていると、後突時の強い衝撃により荷物が前方に移動して、アームレスト組立体の後面蓋部材に強く衝突することがある。この荷物の衝突が過大に行われると、アームレスト組立体の後面蓋部材はシートバック本体構成部材の後面形成部材の取付け状態から外れて、アームレスト組立体が室内の前方へ飛び出すという問題がある。
これは、特に、アームレスト組立体の後面蓋部材の組付け時の取付け方向が、シートバック本体構成部材の後面形成部材に形成された開口部の室内に面した前側から取付けられているため、アームレスト組立体の後面蓋部材に後方からの過大な荷重が作用すると、その取付け状態が外れやすい構成上の問題もある。しかしながら、組付け上の要請からは、アームレスト組立体の後面蓋部材の取付けはシートバック本体構成部材に形成された開口部の室内に面した前側に取付けることが要請されている。
なお、この後突時にアームレスト組立体の後面蓋部材が外れるという問題は、後面蓋部材が荷室方向に突出して形成された構成の場合には、荷室に積載した荷物が前方に移動した際に当りやすい状態にあり、かつ最初に当たるため、上記問題が顕著に生じる。
【0006】
而して、本発明は上記問題点に鑑みて創案されたものであって、本発明が解決しようとする課題は、車両の室内と荷室とを区画するために配設される車両用シートにおけるシートバックの車幅方向の中央部の構成部材(シートバック中央部構成部材)がシートバック本体構成部材の取付け部材に対して室内側に面して取付けられる場合でも、後突時等において荷室の荷物が前方に移動して該中央部の構成部材に対して後方から過大な衝撃荷重が作用しても該中央部の構成部材の取付け状態を外れないようにすることにある。また、仮に、外れたとしても中央部の構成部材が必要以上に前方に飛び出さないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の車両用シートは次の手段をとる。
先ず、本発明に係る車両用シートの基本的構成は、車両の室内と荷室との区画壁が車両用シートのシートバックで構成されており、該シートバックの車幅方向の中央部の構成部材がシートバック中央部構成部材としてその両側のシートバック本体構成部材とは別構成部材として構成されており、前記シートバック本体構成部材の荷室に面する後面形成部材は前記シートバック中央部構成部材が配設される位置に開口部が設けられて形成されており、前記シートバック中央部構成部材の荷室に面する後面形成部材は前記開口部の室内面側に配設されて該開口部を蓋する状態として取付けられて構成されている。
そして、かかる構成において、前記シートバック中央部構成部材の後面形成部材及びその両側のシートバック本体構成部材の後面形成部材の荷室に面する後面位置には該各部材を跨いで支持部材が車幅方向に配設されており、該支持部材は伸びない可撓性部材で形成されており、少なくとも前記配設された位置の各後面形成部材に結合されている。
【0008】
上記本発明によれば、後突時等において、荷室の荷物が前方に移動してシートバック中央部構成部材の後面形成部材に過大な荷重として作用する場合でも、その荷重は支持部材を介してシートバック本体構成部材により支持される。このため、シートバック中央部構成部材の後面形成部材の取付け状態を確実に保持することができて、外れることを防止することができる。これは、支持部材は伸度の低い伸びない可撓性部材で形成されており、シートバック中央部構成部材及びその両側のシートバック本体構成部材に跨って配設されてそれぞれの部材と結合されているため、シートバック中央部構成部材に作用する変位は伸びない可撓性部材の支持部材によりそのまま両側のシートバック本体構成部材に伝えられて支持されることによる。
なお、仮に、支持部材によるシートバック中央部構成部材及びその両側のシートバック本体構成部材への取付けに多少の取付け上の緩みがあって、シートバック中央部構成部材が両側のシートバック本体構成部材のその取付けから外れる場合であっても、支持部材により支持されているため、シートバック中央部構成部材の室内方向への必要以上の飛び出しを防止することができる。
【0009】
なお、上記本発明における支持部材は力布であることが好ましい。力布は伸度が低く組付け時の取り扱いも容易であり、本発明の支持部材として実用性に富んでいる。
また、上記した本発明は、シートバック中央部構成部材は前倒ししたときセンターアームレストとなる構成部材であって、その後面形成部材には車両の室内と荷室とを連通可能とする連通口が設けられており、トランクスルー配置構成をとることが可能とされている構成であるのが好ましい。かかる構成の場合には、連通口を通じて室内と荷室とを連通させることができて、荷物の出し入れの便宜を図ることができると共に、長尺物の荷物を荷室と室内とに跨って積載することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、上記した手段をとることにより、後突時等において荷室の荷物が前方に移動してシートバック中央部構成部材の後面形成部材に対して後方から過大な衝撃荷重が作用しても、伸びない可撓性部材の支持部材によりシートバック本体構成部材の後面形成部材に支持させることができて、シートバック中央部構成部材の後面形成部材が外れるのを阻止することができる。
すなわち、車両の室内と荷室とを区画するために配設される車両用シートにおけるシートバックの車幅方向の中央部の構成部材であるシートバック中央部構成部材の後面形成部材がその両側のシートバック本体構成部材の後面形成部材に室内側に面して取付けられる場合でも、確実にその取付け状態を保持することができる。
なお、仮に、シートバック中央部構成部材の後面形成部材が外れる場合であっても、シートバック中央部構成部材は可撓性の支持部材により支持されているため、室内方向(前方)へ多少は移動するが、伸びない支持部材で支持されていることにより、必要以上の前方への飛び出しは阻止される。
【0011】
なお、本発明における支持部材を力布とするときには、その取り扱いを容易とすることができる。
また、本発明におけるシートバック中央部構成部材をセンターアームレストとして構成すると共に、その後面形成部材に室内と荷室とを連通する連通孔を形成してトランクスルー配置構成とした場合には、センターアームレスト付車両用シートとして着座環境の向上を図ることができると共に、トランクスルー車両として荷物の取扱いの便宜を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車両用シートが適用される車両の実施例の車両用シートの配置状態を示す側面模式図である。
【図2】図1に示す車両用シートの外観状態を示す前方から見た斜視図である。
【図3】図2の車両用シートの内部の構造を示す斜視図である。
【図4】図3に示す車両用シートのシートバックの後面図である。
【図5】支持部材の取付け状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る車両用シートの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本説明において、上方、前方、外方等の方向表示は着座者が車両用シートに着座した状態における着座者から見た方向を示している。
図1は、本発明に係る車両用シート(以下、単に「シート」と称することもある)10が適用される乗用自動車の後部部分を示す。シート10は最後席シートとして設定されており、シート10により乗員が乗降する室内12と荷物を積載する荷室14とを区画している。
車両用シート10は大別して乗員の着座部となるシートクッション16と、背凭れとなるシートバック18とからなっており、シートバック18の上部にはヘッドレスト20が備えられている。図2はそのシート10の前方から見た斜視図を示している。尤も、図2では、後で詳述するシートバック18の幅方向中央部に配設されるセンターアームレスト構成体、及びヘッドレスト20は省略されて図示されている。図1から分るように、車両用シート10のシートバック18は室内12と荷室14との境界位置に配設されており、室内12と荷室14とを区画する区画壁として配設されている。なお、荷室14はこの種乗用自動車においてはトランクルームと称されるものである。いわゆるワンボックスカーと称される自動車においては、乗員が乗降する室内と荷物を積載することのできる荷室は車両用シート10のシートバック18の上部空間を通じて連通された状態にあるが、やはり、車両の床面における荷物を積載する荷室と乗員が乗降する室内とはシートバック18により区画されている。
【0014】
シートクッション16及びシートバック18は周知の構造で構成されており、骨格を成すフレーム部材とクッション材となるパッドと表皮とから成っている。図2は図3に示すパッドを表皮で被覆した外観状態を示している。図3は表皮の裏面によりパッドが被覆されている状態を示したものである。シートクッション16のパッドは符号16P、表皮は16Wとして示され、シートバック18のパッドは符号18P、表皮は18Wとして示されている。パッド16P及び18Pは着座面及び背凭れ面の形状を形成する部材として配設され、表皮16W及び18Wで被覆して外観を良好なものとしている。
図3に良く示されるように、シートバック16の幅方向中央部位置にはアームレスト組立体30が配設されている。シートバック18の中央部位置にはパッドは配設されていなく、空所22に形成されており、この空所22にセンターアームレスト組立体30が組み込まれて配設される。本実施例におけるセンターアームレスト組立体30が本発明で言う「シートバック中央部構成部材」である。
【0015】
センターアームレスト組立体30は、アームレスト本体部32と取付け部材である後面蓋部材34とから構成されている。この後面蓋部材34が本発明の「シートバック中央部構成部材の後面形成部材」に相当する。後面蓋部材34は後で説明するシートバック18の後部に配設される後面形成部材50に固定して取付けられる部材である。アームレスト本体部32は、図3に示されるように、後方位置で後面蓋部材34にヒンジ連結されており、ヒンジを中心として前後方向に回動可能とされている。前方に回動した前倒し状態ではシートクッション16の上面に載置された状態となり、着座者のアームレストとして機能する。後方に回動された起立状態では後面蓋部材34に収納された状態となって、シートバック18の中央部位置に組み込まれた状態となる。この組み込まれた状態では、本実施例におけるシート10では中央部位置にも着座可能とされ、3人が着座可能とされる。
アームレスト本体部32は、箱形状で形成されており、上面は回動形態又はスライド形態の蓋34がされており内部に物を入れることのできるボックスとして形成されている。また、アームレスト本体部32の前部位置にはオーディオ機器や空調機器等各種機器のスイッチ装置36が配設されている。このスイッチ装置36を操作することにより所定の機器を作動させることができる。
【0016】
センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34は、アームレスト本体部32を収納できるように、前面が開口し後方に凹んだ窪み形状の箱形状に形成されている。後面蓋部材34の最後面は開閉蓋38に構成されている。開閉蓋38は図3で見て下部位置に設定されたヒンジ40により前方に回動可能とされており、室内12と荷室14とを連通する連通口を形成する、いわゆるトランクスルー配置構成となっている。開閉蓋38は図3で見て上方位置に配設された操作部材42を操作することにより開閉操作できるようになっている。操作部材42は盗難防止上の観点から室内12側からのみ操作可能とされている。開閉蓋38を連通口状態とすることにより、この連通口39を通じて荷物の出し入れを可能としたり、長尺物の荷物を荷室と室内に跨って積載することを可能とする。
センターアームレスト組立体30の前後方向の厚みは、センターアームレスト組立体30の両側に配設されるシートバック18のシートバック本体構成部材18L、18Rの前後方向の厚みより厚く形成されている。センターアームレスト組立体30とその両側のシートバック本体構成部材18L、18Rとは、背凭れ面状態として一体的に組み込まれた状態ではその背凭れ面の前面が面一状態とされたいわゆるベンチシート形態として形成されている。このため、センターアームレスト組立体30の後部の開閉蓋38の位置はシートバック本体構成部材18L、18Rの後面より後方に突出した位置状態として配設された状態となっている。
【0017】
図3に良く示されるように、センターアームレスト組立体30は、アームレスト本体部32と後面蓋部材34とが組立体として構成されており、その両側に配設されるシートバック本体構成部材18L、18Rとは別構成部材として構成されている。センターアームレスト組立体30を挟んで左右両側に配設されるシートバック本体構成部材18L、18Rは空所22の上下位置に配設された部材を介して左右の構成部材が一体的に連結された構成部材として構成されている。そして、車幅方向の中央位置に、前述もしたように、センターアームレスト組立体30が組み込まれる空所22が形成されている。
センターアームレスト組立体30のシートバック本体部構成部材18L、18Rへの取付けは、センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34の後面取付枠部材37がシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材50(図4参照)に取付けられることにより行われる。図4はシートバック18の後面を示す。図4に示されるように、シートバック本体部構成部材18L、18Rの後面には後面形成部材としてのフレーム部材50が配設されている。フレーム部材50はシートバック18のパッド18Pを支持する部材としてパッド18Pを支持するように配設されている。センターアームレスト組立体30が組み込まれる空所22にはフレーム部材50は配設されていなく、空所22を囲むように配設されている。
センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34の開閉蓋38の周囲は後面取付枠部材37として形成されており、この後面取付枠部材37が前述の空所22を囲む形態として配設されたシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材としてのフレーム部材50に取付けられて固定されている。この後面取付枠部材37のフレーム部材50への取付けは、フレーム部材50の室内面側となる前面位置に対してその取付が行われている。これは組付け上の観点で行われるものである。このため、センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34のシートバック本体部構成部材18L、18Rのフレーム部材50への取付は、通常には、フレーム部材50に対してパッド18Pを配設する前に行われる。しかし、可能であればその取付け順序は問われない。
【0018】
図3及び図4で見て、シートバック18の後面の上部位置には支持部材60が配設されている。支持部材60はセンターアームレスト組立体30の後面蓋部材34とその両側の
シートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材(フレーム部材)50に跨って配設されている。そして、支持部材60の中央位置の符号60Cで示す位置で後面蓋部材34と結合されて取付けられており、支持部材60の両側位置の符号60L、60Rで示す位置でシートバック本体部構成部材18L、18Rのフレーム部材50に結合されて取付けられている。図5はその取付け構造の詳細を示すものである。
支持部材60は伸び率の小さい、すなわち伸びない可撓性部材で形成されている。従って、支持部材60によって結合されたセンターアームレスト組立体30の後面蓋部材34がシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材(フレーム部材)50に対して相対的に前方に移動しようとしても、後面蓋部材34の移動荷重は直ちに伸びない支持部材を通じて後面形成部材(フレーム部材)50で支持される。
なお、本実施例の支持部材60は伸び率の低い力布で形成されている。力布はエステル帆である。
【0019】
上記実施例の車両用シート10は、センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34はシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面より後方に突出した配置状態となっている。このため、荷室14に積載されたゴルフバック等の荷物は、車両後突時にはその後突衝撃により前方に移動して後方に突出した後面蓋部材34に強く当って、後面蓋部材34に衝撃荷重を加える。これにより後面蓋部材34は前方に移動しようとする作用力が働くが、上述したように後面蓋部材34の前方への移動作用力は支持部材を通じてシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材(フレーム部材)50で支持されるため、後面蓋部材34の前方への移動は阻止される。このため、センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34がシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材(フレーム部材)50の取付け状態から外れることがなく、車両後突時におけるセンターアームレスト組立体30の前方への飛び出し移動を阻止することができる。
なお、支持部材60のセンターアームレスト組立体30及びその両側のシートバック本体構成部材18L、18Rへの取付けに多少の取付け上の緩みがあって、センターアームレスト組立体30が両側のシートバック本体構成部材18L、18Rのその取付けから外れる場合であっても、外れてから移動する範囲は支持部材60取付け上の緩みの僅かな範囲であり、その移動範囲を超える移動は支持部材60により支持されて阻止されるため、センターアームレスト組立体30の室内方向への必要以上の過度な飛び出しを防止することができる。
特に、荷物がゴルフバック等の場合には、荷物のゴルフバックが後方へ飛び出した後面蓋部材34に当って、この後面蓋部材34の取り付けが外れて前方に移動し、後面蓋部材34の後面の位置がシートバック本体部構成部材18L、18Rの後面形成部材(フレーム部材)50の後面と同じ位置までくると、荷物のゴルフバックの荷重は後面形成部材(フレーム部材)50で受けることが可能となる。このため支持部材60で支持する荷重負担が軽減でき、それ以上の過度な前方への飛び出しが確実に防止される。
【0020】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例のほか各種の形態で実施できるものである。
例えば、上記実施例の場合は、センターアームレスト組立体30の後面蓋部材34をいわゆるトランクスルー配置構成となる場合について説明したが、トランクスルー配置構成を設定しない単なるアームレストを構成するものであっても良い。
また、本発明は上記実施例のように必ずしもセンターアームレスト組立体30である必要はなく、シートバック18の幅方向中央部位置がシートバック本体部構成部材と別構成部材として構成されており、取付け固定される構成形態のものに対して広く適用可能なものである。
【符号の説明】
【0021】
10 車両用シート
12 室内
14 荷室
16 シートクッション
16P シートクッションのパッド
16W シートクッションの表皮
18 シートバック
18L、18R シートバック本体構成部材
18P シートバックのパッド
18W シートバックの表皮
20 ヘッドレスト
22 空所
30 センターアームレスト組立体
32 アームレスト本体部
34 後面蓋部材
36 スイッチ装置
37 後面取付枠部材
38 開閉蓋
39 連通口
40 ヒンジ
42 操作部材
50 フレーム部材(後面形成部材)
60 支持部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内と荷室との区画壁が車両用シートのシートバックで構成されており、該シートバックの車幅方向の中央部の構成部材がシートバック中央部構成部材としてその両側のシートバック本体構成部材とは別構成部材として構成されており、前記シートバック本体構成部材の荷室に面する後面形成部材は前記シートバック中央部構成部材が配設される位置に開口部が設けられて形成されており、前記シートバック中央部構成部材の荷室に面する後面形成部材は前記開口部の室内面側に配設されて該開口部を蓋する状態として取付けられている車両用シートであって、
前記シートバック中央部構成部材の後面形成部材及びその両側のシートバック本体構成部材の後面形成部材の荷室に面する後面位置には該各部材を跨いで支持部材が車幅方向に配設されており、該支持部材は伸びない可撓性部材で形成されており、少なくとも前記配設された位置の各後面形成部材に結合されていることを特徴とする車両用シート。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用シートであって、
前記支持部材は力布であることを特徴とする車両用シート。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両用シートであって、
前記シートバック中央部構成部材は前倒ししたときセンターアームレストとなる構成部材であって、その後面形成部材には車両の室内と荷室とを連通可能とする連通口が設けらており、トランクスルー配置構成をとることが可能とされていることを特徴とする車両用シート。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−112156(P2013−112156A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−259877(P2011−259877)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】