説明

車両用スイッチ装置

【課題】装置内に入り込んだ液体のスイッチ基板との接触が有利に防止され得る車両用スイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチノブ16を回動軸48回りに回動可能に支持する、少なくとも一対の支持部44,44の互いの対向方向両側に配されたスイッチノブ16の外周面部分64,64と対向位置する、組付パネル12のスイッチノブ用開口部14の内周面部分60,60を、該組付パネル12の車室側の面11から、その裏面13側に向かって、該スイッチノブ16の外周面部分64,64から徐々に離間する形状とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用スイッチ装置に係り、特に、スイッチノブを一軸回りに回動させることにより、所定のスイッチ操作が行われる車両用スイッチ装置の改良された構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車等の車両には、各種の照明装置や、音響装置、空調装置等の様々な電気機器や電子機器が搭載されている。そして、それらの電気機器や電子機器のON/OFF操作や種々の設定操作等を行うためのスイッチ装置が、インストルメントパネルやコンソール等の車両用内装部品に組み付けられている。
【0003】
そのような車両用スイッチ装置には、大別して、スイッチノブを押し込んだり、引っ張ったりするプッシュプルタイプと、ロータリスイッチのように、スイッチノブを回転させる回転タイプと、スイッチノブを一軸回りに回動させる回動タイプの3種類のタイプの装置があり、その中で、回動タイプのスイッチ装置として、以下の如き構造を有するものが、知られている。
【0004】
すなわち、かかる回動タイプの車両用スイッチ装置は、板厚方向に貫通するスイッチノブ用開口部を有して、車両用内装部品に組み付けられる組付パネルと、かかる組付パネルに組み付けられて、スイッチが設置されるスイッチ基板を保持するホルダと、このホルダに対して、組付パネル側に向かって延びるように立設された、互いに対向する、少なくとも一対の支持部と、それら少なくとも一対の支持部のそれぞれに突設された回動軸と、組付パネルのスイッチ用開口部に嵌め込まれた状態で、少なくとも一対の支持部に対して、それに設けられた回動軸回りに回動可能に支持されたスイッチノブと、ホルダに保持されたスイッチ基板のスイッチに向かって延びる状態で、スイッチノブに設けられ、スイッチノブの一軸回りの回動により、スイッチと接触して、スイッチに対する所定の操作を行うスイッチシャフトとを含んで、構成されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0005】
ところで、このような構造を有するスイッチ装置にあっては、例えば、組付パネルのスイッチノブ用開口部の内周面と、それに嵌め込まれたスイッチノブの外周面との間に、スイッチノブの動きを許容するための隙間が不可避的に形成される。そのため、この隙間を通じて、スイッチ装置内に水等の液体が浸入することがあるが、そのような液体が、スイッチが設置されるスイッチ基板に接触すると、ショートを起こし、スイッチの機能が損なわれる恐れがある。そこで、かかるスイッチ装置においては、通常、スイッチ基板を保持するホルダに対して、スイッチ基板を覆うカバー部が、組付パネルの車室側とは反対側の裏面と所定距離を隔てて対向位置せしめられた状態で設けられており、このカバー部によって、スイッチ装置内に入り込んだ液体のスイッチ基板との接触防止が図られている。
【0006】
ところが、従来のスイッチ装置の中には、図8に示されるように、ホルダ100に一体形成された、少なくとも一対の支持部102,102のそれぞれに対して、スイッチシャフト104を有するスイッチノブ106の回動軸108が、対を為す支持部102,102の互いの対向方向外側に向かって延びるように突設されたものがある。このような外側突出タイプの回動軸108を有するスイッチ装置においては、ホルダ100が金型成形によって成形される樹脂成形品である場合、各支持部102に突設される回動軸108がアンダーカット形状となってしまうところから、ホルダ100のカバー部110に、型抜きのための孔部112が形成されるようになる。そのため、組付パネル114のスイッチノブ用開口部116の内周面とスイッチノブ106の外周面との間の隙間からスイッチ装置内に浸入した液体が、図8に矢印で示されるように、カバー部110の孔部112を通じて、スイッチ118が設置されたスイッチ基板120側に入り込んで、スイッチ基板120と接触せしめられる可能性があった。
【0007】
一方、図9に示されるように、スイッチノブ106の回動軸108が、少なくとも一対の支持部102,102のそれぞれに対して、対を為す支持部102,102の互いのに対向方向内側に向かって延びるように突設されてなるスイッチ装置も、知られている。このような内側突出タイプの回動軸108を有するスイッチ装置にあっては、ホルダ100の金型成形に際して、カバー部110に設けられた、スイッチノブ106のスイッチシャフト104が貫通する貫通孔122を、型抜きのための孔部として利用することが出来る。このため、かかるスイッチ装置にあっては、外側突出タイプの回動軸108を有するスイッチ装置とは異なって、ホルダ100のカバー部110に、型抜きのための孔部112(図8参照)が何等設けられておらず、それ故、スイッチ装置内に浸入した液体が、そのような孔部112を通じて、スイッチ118が設置されたスイッチ基板120側に入り込んで、スイッチ基板120と接触せしめられるようなことが、有利に解消され得るのである。
【0008】
ところが、本発明者が、そのような内側突出タイプの回動軸108を有するスイッチ装置内に浸入した液体の流動経路について詳細に検討したところ、かかるスイッチ装置にあっても、装置内に浸入した液体がスイッチ基板120と接触する可能性があることが、明らかとなった。
【0009】
すなわち、内側突出タイプの回動軸108を有する従来のスイッチ装置にあっては、スイッチノブ106の外周面のうちの、特に、対を為す支持部102の対向方向両側に位置するスイッチノブ106の外周面部分とスイッチノブ用開口部116の内周面との間の隙間からスイッチ装置内に浸入した液体が、図9に矢印で示されるように、スイッチノブ106の外周面部分を伝って流れるうちに、回動軸108の外周面と、この回動軸108が嵌入されるスイッチノブ106の嵌入孔124の内周面との間の微細な隙間を通じて、対を為して対向する支持部102,102同士の内側に浸入する。そして、そのような液体が、各支持部102の互いの対向面を伝って流れ落ち、結局、貫通孔122を通じて、スイッチ基板120側に入り込んで、スイッチ基板120と接触せしめられる可能性があることが、判明したのである。
【0010】
【特許文献1】特開2005−243328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、組付パネルのスイッチノブ用開口部の内周面と、このスイッチノブ用開口部内に嵌め込まれたスイッチノブの外周面との間の隙間を通じて、装置内に浸入した液体が、装置内部に保持されるスイッチ基板と接触することが、有利に防止され得る車両用スイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そして、本発明にあっては、上記した課題、又は本明細書全体の記載や図面から把握される課題を解決するために、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施され得るものであるが、また、以下に記載の各態様は、任意の組み合わせにおいても、採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載並びに図面に開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが、理解されるべきである。
【0013】
<1> (a)板厚方向に貫通するスイッチノブ用開口部を有して、車両用内装部品に組み付けられる組付パネルと、(b)前記組付パネルの車室側とは反対側の裏面と所定距離を隔てて対向位置せしめられるカバー部を有して、該組付パネルに組み付けられると共に、スイッチが設置されるスイッチ基板を、該カバー部にて覆いつつ、保持するホルダと、(c)該ホルダにおける前記カバー部の前記組付パネルとの対向面に立設された、互いに対向する、少なくとも一対の支持部と、(d)該少なくとも一対の支持部のそれぞれに対して、それらの対向方向内側に向かって突設された回動軸と、(e)前記組付パネルの前記スイッチノブ用開口部内に嵌め込まれて、前記少なくとも一対の支持部に対して、前記回動軸回りに回動可能に支持されたスイッチノブと、(f)前記ホルダのカバー部を貫通して、該ホルダに保持された前記スイッチ基板のスイッチに向かって延びるように、前記スイッチノブに設けられ、該スイッチノブの前記回動軸回りの回動により、該スイッチと接触して、該スイッチに対する所定の操作を行うスイッチシャフトとを含み、前記少なくとも一対の支持部の互いの対向方向両側に位置する前記スイッチノブの外周面部分と隙間を隔てて配置された、前記組付パネルの前記スイッチノブ用開口部の内周面部分を、該組付パネルの車室側の面から、その裏面側に向かって、該スイッチノブの外周面部分から徐々に離間する形状としたことを特徴とする車両用スイッチ装置。
【0014】
<2> 前記スイッチノブの外周面部分から徐々に離間する形状とされた前記スイッチノブ用開口部の内周面部分に、前記組付パネルの車室側の面から、その裏面側に向かって連続して延びる凹溝が、複数設けられている上記態様<1>に記載の車両用スイッチ装置。
【発明の効果】
【0015】
要するに、本発明に従う車両用スイッチ装置にあっては、少なくとも一対の支持部の互いの対向方向両側に位置するスイッチノブの外周面部分と隙間を隔てて配置された、組付パネルのスイッチノブ用開口部の内周面部分が、組付パネルの車室側の面から、その裏面側に向かって、スイッチノブの外周面部分から徐々に離間する形状とされているところから、少なくとも一対の支持部の互いの対向方向両側に位置するスイッチノブの外周面部分とスイッチノブ用開口部の内周面部分との間の隙間を通じて装置内に浸入した液体の大部分が、その表面張力により、スイッチノブ用開口部の内周面部分を伝って流れるようになる。
【0016】
それ故、本発明に係る車両用スイッチ装置では、装置内に浸入した液体が、スイッチノブの外周面部分を伝って、かかる外周面部分と連続する部分に形成された軸孔の内周面と支持部に設けられた回動軸の外周面との間の隙間に入り込み、更に、そのような隙間を通じて、対を為す支持部同士の間に浸入した後、支持部同士の間に位置するカバー部部位に設けられる、スイッチシャフトが貫通する貫通孔を通じて、スイッチ基板側に入り込むようなことが、効果的に回避され得る。
【0017】
従って、かくの如き本発明に従う車両用スイッチ装置にあっては、組付パネルのスイッチノブ用開口部の内周面と、このスイッチノブ用開口部内に嵌め込まれたスイッチノブの外周面との間の隙間を通じて、装置内に浸入した液体が、装置内部に保持されるスイッチ基板と接触することが、有利に防止され得る。そして、それによって、水等の液体が、スイッチ装置にかかることがあっても、装置内部のスイッチ基板が、そのような液体との接触によりショートを起こし、そのために、車両用スイッチ装置の本来のスイッチ機能が損なわれるようなことが効果的に解消され得、以て、車両に搭載される電気機器や電子機器の操作が、より良好に且つ安定的に行われ得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
【0019】
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する車両用スイッチ装置が、車両用内装部品たる自動車のコンソールボックスに組み付けられた状態において、示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の車両用スイッチ装置10は、上面が意匠面11とされた組付パネル12と、この組付パネル12に穿設される長手矩形状の3個のスイッチノブ用開口部14,14,14にそれぞれ嵌め込まれた3個のスイッチノブ16,16,16とを有している。そして、組付パネル12が、意匠面11を上方に向けて位置させた状態で、コンソールボックス18の上面パネル20に対してボルト固定等されて、組み付けられている。
【0020】
より具体的には、図2及び図3に示されるように、本実施形態の車両用スイッチ装置10は、組付パネル12とスイッチノブ16の他に、組付パネル12が固定されたハウジング22を有している。ハウジング22は、高さの低い四角筒状の側壁部24と、この四角筒状の側壁部24の軸方向一方側の開口部を閉塞する底部26とからなり、全体として片側有底の四角筒形状を呈している。このハウジング22に対して、その開口部を閉塞するように、組付パネル12が組み付けられている。そして、そのような組付状態下で、ハウジング22の側壁部24の開口側端部に、その周方向に互いに間隔をおいて挿通された複数の固定ボルト28にて、組付パネル12が、ハウジング22にボルト固定されている。これによって、ハウジング22が、組付パネル12を介して、コンソールボックス18に取り付けられている。なお、ハウジング22と組付パネル12、更には前記スイッチノブ16の何れもが、樹脂成形体にて構成されている。
【0021】
また、ハウジング22内には、樹脂成形体からなるホルダ30が、固定的に収容配置されている。このホルダ30は、ハウジング22内を、その底部側と開口部側とに二つに仕切るように位置せしめられた矩形平板状のカバー部32と、かかるカバー部32の外周部からハウジング22の底部26側に向かって、ハウジング22の側壁部24よりも低い高さで一体的に突出し、且つカバー部32の外周部の周方向に、全周に亘って連続して延びる矩形枠状の保持枠部34とを一体的に有している。そして、かかるホルダ30にあっては、カバー部32が、ハウジング22の側壁部24の高さ方向中間部に配される位置まで、ハウジング内に圧入されている。これにより、カバー部32が、その一方側の面(ハウジング22の開口部側の面)において、ハウジング22に固定された組付パネル12の意匠面11とは反対側の裏面13に対して所定距離を隔てて対向位置せしめられた状態で、ホルダ30が、ハウジング22内に、位置固定に収容されている。そうして、ホルダ30が、ハウジング22を介して、組付パネル12に組み付けられている。
【0022】
さらに、そのようなホルダ30の保持枠部34の内側には、スイッチ基板36が、配置されている。このスイッチ基板36は、矩形の平板形状を呈し、一方の面上に複数(ここでは3個)の押圧スイッチ38が設置された公知の構造を有している。そして、かかるスイッチ基板36が、保持枠部34の内側において、押圧スイッチ38の設置面を、ホルダ30のカバー部32の組付パネル12との対向側とは反対側の面に対して所定距離を隔てて対向させた位置で、四方から、保持枠部32にて挟圧されている。これにより、スイッチ基板36が、ハウジング22内において、押圧スイッチ38の設置面の全体がカバー部32にて覆われた状態で、ホルダ30により位置固定に保持されている。
【0023】
ここで、前記せるように、組付パネル12には、3個のスイッチノブ用開口部14,14,14が、それぞれ長手矩形形状をもって、互いに一定の距離を隔てて穿設されているが、ハウジング22内において組付パネル12と対向位置せしめられたホルダ30のカバー部32にも、それら各スイッチノブ用開口部14の直下に位置する部分に、貫通孔40が、それぞれ一つずつ、合計3個設けられている。これら3個の貫通孔40,40,40は、何れも、矩形のスイッチノブ用開口部14よりも一周り小さな矩形の同一形状を有している。
【0024】
また、そのような貫通孔40,40,40が設けられたカバー部32には、組付パネル12との対向面における各貫通孔40の開口周縁部に、貫通孔40を取り囲むようにして、その周方向に連続して延びる筒部42が、それぞれ、一体的に立設されている。この筒部42は、貫通孔40に対応した長手矩形状の軸直断面を有する角筒体からなり、かかる長手矩形状の軸直断面の二つの長辺部(図2の紙面に直角な方向に延びる辺部)を与える一対の第一壁部44,44と、二つの短辺部(図2において左右方向に延び、且つ図3において紙面に直角な方向に延びる辺部)を与える一対の第二壁部46,46とを有している。
【0025】
各筒部42における一対の第一壁部44,44は、何れも、カバー部32の上面(組付パネル12との対向面)と組付パネル12の裏面13との間の距離よりも僅かに小さな高さを有して、互いに対向位置せしめられ、全体として、略矩形平板形状を有している。そして、それら各第一壁部44にあっては、互いの対向面の上端側部位の幅方向(図3の左右方向)中央部に、高さの低い円柱状の回動軸48が、それぞれ第一壁部44同士の互いの対向方向内側に向かって突出するように、一体形成されている。
【0026】
また、各筒部42における一対の第二壁部46,46は、何れも、カバー部32の上面(組付パネル12との対向面)と組付パネル12の裏面13との間の距離よりも僅かに大きな高さを有して、互いに対向位置せしめられており、高さ方向中間部に、それの上部側部位を下側部位よりも互いの対向方向の内側に位置させる段付部が設けられた段付の略矩形平板形状を有している。そして、それら各第二壁部46の段付部よりも上部側部位の先端が、組付パネル12のスイッチノブ用開口部14内に突入位置せしめられている。
【0027】
一方、組付パネル12のスイッチノブ用開口部14内に嵌め込まれたスイッチノブ16は、長手矩形状のスイッチノブ用開口部14よりも一周り小さな長手矩形の平板状を呈し、車両の乗員によってタッチされて、操作されるタッチ部50と、このタッチ部50の厚さ方向一方の面の外周部に、所定高さで突出し且つ周方向に連続して延びる枠状脚部52とを一体的に有している。
【0028】
また、かかるスイッチノブ16にあっては、タッチ部50における枠状脚部52の形成面の幅方向(図2の左右方向)両端側であって、且つ長さ方向(図3の左右方向)中央の、枠状脚部52よりも内側の部分に、長手の板状突起54が、それぞれ一つずつ、一体的に立設されている。それら各板状突起54の略中央部には、前記各第一壁部44に突設された回動軸48よりも一周り大きな円形の嵌入孔56が、穿設されている。
【0029】
さらに、スイッチノブ16においては、タッチ部50における枠状脚部52の形成面の長さ方向両端側であって、且つ幅方向中央の、枠状脚部52よりも内側の部分に、丸棒状のスイッチシャフト58が、それぞれ一つずつ、一体形成されている。それら各スイッチシャフト58は、板状突起54よりも十分に大きな長さを有している。
【0030】
そして、このようなスイッチノブ16の3個のものが、組付パネル12に設けられた3個のスイッチノブ用開口部14内に、タッチ部50の枠状脚部52の形成面を下側(ホルダ30のカバー部32側)に向けて、各スイッチノブ用開口部14をそれぞれ覆蓋するように嵌め込まれている。
【0031】
また、かかる状態下で、各スイッチノブ16の枠状脚部52の外周面の全周が、各スイッチノブ用開口部14の内周面の全周に対して、所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そして、図2に示されるように、スイッチノブ16の幅方向に対向して、長さ方向に延びる二つの枠状脚部52部分の下端面が、ホルダ30のカバー部32に設けられた各筒部42の一対の第一壁部44,44の直上に、各第一壁部44の上端面とそれぞれ対向位置せしめられている。一方、図3に示されるように、スイッチノブ16の長さ方向に対向して、幅方向に延びる二つの枠状脚部52部分は、それぞれの下端部が、各筒部42の一対の第二壁部46,46の対向方向外側の位置で、各第二壁部46の上端部と水平方向においてオーバーラップするように配置されている。
【0032】
さらに、そのような各スイッチノブ16の各スイッチノブ用開口部14内への嵌込み状態下において、各スイッチノブ16の各板状突起54が、各貫通孔40の開口周縁部に立設された筒部42における一対の第一壁部44,44の対向方向の内側に位置せしめられて、それら各第一壁部44に突設された回動軸48が、各板状突起54のの嵌入孔56内に、遊嵌状態で嵌入されている。これによって、各スイッチノブ16が、各筒部42の一対の第一壁部44,44に対して、回動軸48回りに回動可能に支持されている。このことから明らかなように、本実施形態では、一対の第一壁部44,44にて、一対の支持部が構成されている。
【0033】
そして、そのように、各スイッチノブ16が、各スイッチノブ用開口部14内に嵌め込まれて、各筒部42の一対の第一壁部44,44にて支持された状態下で、各スイッチノブ16の各スイッチシャフト58が、各貫通孔40を通じてホルダ30のカバー部32を貫通して、スイッチ基板36に向かって延出せしめられ、そして、それら各スイッチシャフト56の先端が、スイッチ基板36上に設置された押圧スイッチ38の直上に、それぞれ非接触の状態で位置せしめられている。
【0034】
かくして、本実施形態の車両用スイッチ装置10にあっては、スイッチノブ16が、図3に実線で示される水平に位置せしめられた状態において、タッチ部50の長さ方向一端側部分が車両の乗員によって押圧操作されることにより、図3に二点鎖線で示されるように、スイッチノブ16が、回動軸48回りに、反時計回りに回動させられて、タッチ部50の被押圧側の端部が下方に変位せしめられる。それに伴って、かかる被押圧側の端部に設けられたスイッチシャフト58も下方に変位せしめられて、そのようなスイッチシャフト58の直下に配された押圧スイッチ38が、スイッチシャフト58の先端にて押圧操作される。これによって、かかる押圧スイッチ38に対して電気的に接続された電気機器や電子機器のON/OFF操作や各種の作動調節操作等が行われるようになっているのである。
【0035】
なお、ここでは、タッチ部50の長さ方向両側端部のうち、図3の左側の端部が押圧されることにより、スイッチノブ16が、図3に二点鎖線で示される位置に回動せしめられて、図3の左側に位置する押圧スイッチ38が押圧操作されることで、押圧スイッチ38と電気的に接続された所定の電子機器がON作動せしめられるようになっている。一方、図示されてはいないものの、そのような状態から、タッチ部50の図3における右側の端部が押圧されて、スイッチノブ16が、回動軸48回りに、時計回りに回動させられることにより、図3の右側に位置する押圧スイッチ38がスイッチシャフト58にて押圧されて、所定の電子機器がOFF作動せしめられるようになっている。
【0036】
ところで、かくの如き構造とされた本発明に従う車両用スイッチ装置10にあっては、図2及び図3に示されるように、長手矩形状を呈するスイッチノブ用開口部14が、それの長さ方向であって、且つホルダ30のカバー部32に設けられた各筒部42の一対の第一壁部44,44の互いの対向方向に直角な方向(図2の紙面に直角な方向)に延出して、互いに対向する二つの第一内周面部分60,60と、スイッチノブ用開口部14の幅方向であって、且つ各筒部42の一対の第一壁部44,44の互いの対向方向(図2の紙面に直角な方向)に延出して、互いに対向する二つの第二内周面部分62,62とを有している。
【0037】
一方、そのようなスイッチノブ用開口部14内に嵌め込まれる長手矩形状のスイッチノブ16にあっても、それの長さ方向であって、且つ各筒部42の一対の第一壁部44,44の互いの対向方向に直角な方向に延びる二つの第一外周面部分64,64と、スイッチノブ16の幅方向であって、且つ各筒部42の一対の第一壁部44,44の互いの対向方向に延びる二つの第二外周面部分66,66とを有している。
【0038】
そして、それらスイッチノブ用開口部14の長さ方向に延びる二つの第一内周面部分60,60とスイッチノブ16の長さ方向に延びる二つの第一外周面部分64,64との間、及びスイッチノブ用開口部14の幅方向に延びる二つの第二内周面部分62,62とスイッチノブ16の幅方向に延びる二つの第二外周面部分66,66との間には、スイッチノブ16をスムーズに回動させるための環状の隙間68が、設けられている。
【0039】
また、組付パネル12の裏面13におけるスイッチノブ用開口部14の開口周縁部のうち、スイッチノブ用開口部14の二つの第一内周面部分60,60に沿って延びる二つの開口周縁部分には、平板形態を呈するリブ状突起70が、各開口周縁部分の全長に連続して延びるように、それぞれ一体的に立設されている。それら二つのリブ状突起70は、スイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60同士の対向方向において、互いに対向する対向面72をそれぞれ有している。また、それら各リブ状突起70の対向面72は、各第一内周面部分60の下方にそれぞれ対応位置せしめられており、それによって、互いに対応位置せしめられた第一内周面部分60とリブ状突起70の対向面72とにて、上下方向に連続して延びる一つの連続面が形成されている。
【0040】
そして、本実施形態では、特に、スイッチノブ用開口部14の二つの第一内周面部分60,60のそれぞれが、下方に向かって、即ち組付パネル12の意匠面11側から裏面13側に向かって、互いの対向方向の外方に傾斜する傾斜面とされている。また、二つのリブ状突起70,70のそれぞれの対向面72,72も、第一内周面部分60と同一方向に同一の角度で傾斜する傾斜面とされている。これによって、互いに対応位置して、一つの連続面を形成する第一内周面部分60とリブ状突起70の対向面72とにて、第一内周面部分60,60同士やリブ状突起70,70の対向面72,72同士の対向方向の外方に向かって下傾する傾斜案内面74が、それぞれ構成されている。
【0041】
かくして、本実施形態の車両用スイッチ装置10にあっては、ホルダ30のカバー部32に設けられた各筒部42の一対の第一壁部44,44の対向方向両側に位置せしめられたスイッチノブ16の第一外周面部分64,64に対して隙間68を隔てて配されたスイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60と、それらにそれぞれ連続するリブ状突起70,70の対向面72,72とが、組付パネル12の意匠面11側から裏面13側に向かって、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64から徐々に離間する形状とされているのである。
【0042】
それ故、かくの如き構造とされた車両用スイッチ装置10においては、組付パネル12の意匠面11やスイッチノブ16のタッチ部50の上面に零れる等して付着した水等の液体が、スイッチノブ用開口部14の内周面とスイッチノブ16の枠状脚部52の外周面との間に形成される隙間68のうち、特に、スイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60とスイッチノブ16の第一外周面部分64,64との間の隙間68部分に入り込んだ場合、図2及び図4に矢印で示されるように、かかる液体が、その表面張力により、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分を60とそれに連続するリブ状突起70の対向面72とからなる傾斜案内面74を伝って、それに案内されつつ下方に流れるようになる。そうして、組付パネル12の意匠面11側から裏面13側に向かって、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64から徐々に離間するように流れ落ちてゆき、やがて、ホルダ30のカバー部32の上面に落下せしめられる。
【0043】
このため、スイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60とスイッチノブ16の第一外周面部分64,64との間の隙間68部分からハウジング22内に浸入した液体は、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64を伝って流れ落ちることが阻止される。そして、それ故、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64を伝って流れる液体が、スイッチノブ16を支持する筒部42の一対の第一壁部44,44に至り、それら各第一壁部44に一体形成された回動軸48の外周面と、かかる回動軸48が嵌入する板状突起54の嵌入孔56の内周面との間に形成される微細な間隙に浸入して、一対の第一壁部44,44の互いの対向面側に回り込み、そして、それら一対の第一壁部44,44の間に設けられる貫通孔40を通じて、カバー部32のスイッチ基板36側に入り込むようなことが、効果的に回避され得る。
【0044】
また、図3に示されるように、本実施形態では、長手矩形のスイッチノブ16の長さ方向に対向して、幅方向に延びる二つの枠状脚部52部分のそれぞれの下端部位と、長手矩形のスイッチノブ16の長さ方向に対応する、長手矩形の貫通孔40の長さ方向に対向配置された一対の第二壁部46,46の各上端部位とが、前者を外側にして、水平方向にオーバーラップせしめられている。このため、スイッチノブ16の幅方向に延びる第二外周面部分66,66と、スイッチノブ用開口部14の幅方向に延びる第二内周面部分62,62との間の隙間68部分に入り込んで、スイッチノブ16の各第二外周面部分66やスイッチノブ用開口部14の各第二内周面部分62を伝って流れ落ちる液体は、一対の第二壁部46,46の互いの対向面側に回り込むことなく、それら第二外周面部分66や第二内周面部分62から、直接に、ホルダ30のカバー部32の上面に落下せしめられることとなる。それ故、かかる液体が、一対の第二壁部46,46の間に設けられる貫通孔40を通じて、カバー部32のスイッチ基板36側に入り込むようなことは、全くない。
【0045】
従って、かくの如き本実施形態の車両用スイッチ装置10にあっては、スイッチノブ用開口部14の内周面とスイッチノブ16の外周面との間に形成される隙間68を通じて、ハウジング22内に浸入した液体が、ハウジング22内部に、ホルダ30にて位置固定に保持されたスイッチ基板36と接触することが、確実に防止され得る。それによって、水等の液体が、組付パネル12やスイッチノブ16等にかかっても、ハウジング22内のスイッチ基板36が、そのような液体との接触によりショートを起こし、そのために、スイッチ機能が損なわれるようなことが効果的に解消され得る。そして、その結果として、車両に搭載される電気機器や電子機器の車両用スイッチ装置10による操作が、より良好に且つ安定的に行われ得ることとなるのである。
【0046】
また、本実施形態の車両用スイッチ装置10においては、組付パネル12の裏面13側におけるスイッチノブ用開口部14の開口周縁部に一体的に突設されたリブ状突起70,70のそれぞれの対向面72と、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分60とにて、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64から離間する方向に下傾する傾斜案内面74が形成されており、スイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60とスイッチノブ16の第一外周面部分64,64との間の隙間68部分に入り込んだ液体が、かかる傾斜案内面74を伝って流れ落ちるようになっている。それ故、例えば、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分60だけによって傾斜案内面74を形成する場合に比して、傾斜案内面74の面積を効果的に大きく為すことが出来、それによって、隙間68部分に入り込んだ液体を、より確実に傾斜案内面74を伝って流れ落ちるように為すことが可能となる。
【0047】
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないものであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
【0048】
例えば、リブ状突起70を省略して、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分60のみによって傾斜案内面74を形成することも出来る。
【0049】
また、前記実施形態では、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分60が、リブ状突起70の対向面72と共に、スイッチノブ16の第一外周面部分64,64から徐々に離間する方向に下傾する傾斜案内面74とされていたが、それら各第一内周面部分60は、組付パネル12の意匠面11(車室側の面)側から裏面13側に向かって、スイッチノブ16の各第一外周面部分64,64から徐々に離間する形状とされておれば良い。従って、例えば、各第一内周面部分60を、それのみによって、或いはリブ状突起70の対向面72と共に、凸状湾曲面や凹状湾曲面、或いは一つ又は複数の段付け面を有する段差面としても良い。
【0050】
また、各第一内周面部分60をスイッチノブ16の各第一外周面部分64,64から徐々に離間する形状の段差面とする場合には、例えば、図5に示されるように、組付パネル12を、上側パネル76と下側パネル78とが上下に重ね合わされてなる重合せ構造とすると共に、下側パネル78の下側スイッチノブ用開口部80を、上側パネル76の上側スイッチノブ用開口部82よりも一周り大きくすることよって、それら下側及び上側スイッチノブ用開口部80,82からなるスイッチノブ用開口部14の内周面を、上記の如き段差面と為すことも出来る。
【0051】
さらに、図6及び図7に示されるように、スイッチノブ用開口部14の各第一内周面部分60とリブ状突起70の対向面72とからなる傾斜案内面74に対して、組付パネル12の意匠面11側から裏面13側に向かって連続して延びる狭幅の凹溝84を、複数設けても良い。このような構造によれば、隙間68に入り込んだ液体が、その表面張力によって、狭幅の凹溝84内に吸い込まれるように入り込み、以て、かかる液体が、傾斜案内面74に対して、より確実に付着して、かかる傾斜案内面74を伝って流れ落ちるようになる。そして、その結果として、ホルダ30のカバー部32の貫通孔40を通じてのスイッチ基板36側への液体の浸入、更には、スイッチ基板36に対する液体の接触が、更に一層確実に防止され得ることとなる。
【0052】
なお、それら複数の凹溝84は、各第一内周面部分60の形状やリブ状突起70の有無とは関係なく、第一内周面部分60に形成され得るものである。また、複数の凹溝84の幅や設置間隔等は、第一内周面部分60の面積等に応じて、適宜に決定され得るところである。
【0053】
また、スイッチノブ16の形状や車両用スイッチ装置10への設置個数等は、例示のものに、何等限定されるものでないことは、勿論である。
【0054】
さらに、スイッチノブ用開口部14の第一内周面部分60,60に加えて、第二内周面部分62,62も、組付パネル12の意匠面11側から裏面側13に向かって、スイッチノブ16の第二外周面部分66,66から徐々に離間する形状と為しても良い。
【0055】
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車のコンソールボックスに組み付けられる車両用スイッチ装置に適用したものの具体例を示したが、本発明は、自動車又は自動車以外に装備される車両用内装部品に組み付けられる車両用スイッチ装置の何れに対しても、有利に適用されるものであることは、勿論である。
【0056】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に従う構造を有する車両用スイッチ装置の一実施形態を、コンソールボックスに組み付けた状態において示す斜視説明図である。
【図2】図1におけるII−II断面の部分拡大説明図である。
【図3】図2におけるIII−III断面説明図である。
【図4】図2における部分拡大説明図である。
【図5】本発明に従う構造を有する車両用スイッチ装置の別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図6】本発明に従う構造を有する車両用スイッチ装置の更に別の実施形態を示す図4に対応する図である。
【図7】図6におけるVII−VII断面の部分説明図である。
【図8】従来構造を有する車両用スイッチ装置を示す説明図であって、図2の一部に対応する図である。
【図9】従来構造を有する別の車両用スイッチ装置を示す説明図であって、図2の一部に対応する図である。
【符号の説明】
【0058】
10 車両用スイッチ装置 12 組付パネル
14 スイッチノブ用開口部 16 スイッチノブ
18 コンソールボックス 30 ホルダ
32 カバー部 36 スイッチ基板
38 押圧スイッチ 40 貫通孔
44 第一壁部 48 回動軸
58 スイッチシャフト 60 第一内周面部分
64 第一外周面部分 68 隙間
74 傾斜案内面 84 凹溝


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚方向に貫通するスイッチノブ用開口部を有して、車両用内装部品に組み付けられる組付パネルと、
前記組付パネルの車室側とは反対側の裏面と所定距離を隔てて対向位置せしめられるカバー部を有して、該組付パネルに組み付けられると共に、スイッチが設置されるスイッチ基板を、該カバー部にて覆いつつ、保持するホルダと、
該ホルダにおける前記カバー部の前記組付パネルとの対向面に立設された、互いに対向する、少なくとも一対の支持部と、
該少なくとも一対の支持部のそれぞれに対して、それらの対向方向内側に向かって突設された回動軸と、
前記組付パネルの前記スイッチノブ用開口部内に嵌め込まれて、前記少なくとも一対の支持部に対して、前記回動軸回りに回動可能に支持されたスイッチノブと、
前記ホルダのカバー部を貫通して、該ホルダに保持された前記スイッチ基板のスイッチに向かって延びるように、前記スイッチノブに設けられ、該スイッチノブの前記回動軸回りの回動により、該スイッチと接触して、該スイッチに対する所定の操作を行うスイッチシャフトとを含み、
前記少なくとも一対の支持部の互いの対向方向両側に位置する前記スイッチノブの外周面部分と隙間を隔てて配置された、前記組付パネルの前記スイッチノブ用開口部の内周面部分を、該組付パネルの車室側の面から、その裏面側に向かって、該スイッチノブの外周面部分から徐々に離間する形状としたことを特徴とする車両用スイッチ装置。
【請求項2】
前記スイッチノブの外周面部分から徐々に離間する形状とされた前記スイッチノブ用開口部の内周面部分に、前記組付パネルの車室側の面から、その裏面側に向かって連続して延びる凹溝が、複数設けられている請求項1に記載の車両用スイッチ装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate