説明

車両用ドアシステム

【課題】付加価値を付与することができる車両用ドアシステムを提供する。
【解決手段】チェック棒21および挟持部材30の押圧壁32による、転動体33の挟み込み状態の形成と解除とを通じて、チェック棒21、ひいてはドアは適宜の位置に無段階に近い状態で保持される。また、チェック棒21の変位に伴い、転動体33はチェック棒21の凹凸に応じて振動する。この振動は、転動体33に接する挟持部材30を介して圧電アクチュエータ29に機械的な外力として伝達される。その結果、圧電アクチュエータ29では、伝達された振動に応じた電気信号が生成される。当該振動は、チェック棒21の凹凸によるものであるため、圧電アクチュエータ29において生成される電気信号も当該凹凸に応じたものになる。このため、当該電気信号に基づきチェック棒21の変位位置などを検出することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアの開閉制御を行う車両用ドアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用ドアシステムとして例えば特許文献1,2に記載されるドアチェック装置が知られている。特許文献1のものは、ドアの端部に設けられたラチェットギアに対して車体に設けられたピンを係合させることにより、ドアを所定の開度に保持する。特許文献2のものは、ドアヒンジと当該ドアヒンジに対して弾性的に圧接される回転規制部材における互いの接触面に形成された面歯車状の噛合部の噛み合いを通じてドアを所定の開度に保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−276988号公報
【特許文献2】特開2008−223247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2のものを含む従来一般のドアチェック装置は、あくまでもユーザにより開閉されるドアの開度位置を保持するにとどまる。近年では、依然として車両の多機能化及び高機能化の傾向にある。この観点から、ドアチェック装置についても何らかの付加価値を付けることが望まれていた。
【0005】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、付加価値を付与することができる車両用ドアシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車両用ドアシステムにおいて、車両のドアの開閉動作に連動するチェック棒の状態を当該チェック棒の移動を許容する第1の状態と同じく規制する第2の状態との間で切り替える駆動部と、前記チェック棒の変位状態を検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づく前記駆動部の制御を通じて前記チェック棒の状態を前記第1および第2の状態の間で切り替えることにより前記ドアの開閉制御を行う制御部と、を備えてなることをその要旨とする。
【0007】
本発明によれば、ドアの開閉動作に連動するチェック棒の変位状態が、検出部を通じて積極的に検出される。そしてその検出結果に基づきチェック棒の状態が第1および第2の状態の間で切り替えられる。このため、たとえばユーザによるドアの開閉動作に応じてドアの開度位置を保持するにとどまらず、チェック棒の変位状態に応じて駆動部を制御することにより、積極的なチェック棒の状態の第1および第2の状態間における切り替え、ひいては積極的なドアの開閉制御を実行することが可能になる。本発明によれば、このような付加価値が得られる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ドアシステムにおいて、前記検出部は、前記チェック棒の変位状態として当該チェック棒の位置、速度および加速度のうち少なくとも一を検出することをその要旨とする。
【0009】
本発明によれば、チェック棒の位置、速度および加速度のうち少なくとも一に基づきドアの開閉制御を実行することが可能となる。これら検出されるチェック棒の変位位置、移動速度あるいは加速度などの変位状態に基づき、チェック棒、ひいてはドアの開閉速度を減速するなどの制御も可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、 請求項1または請求項2に記載の車両用ドアシステムにおいて、
前記駆動部は、前記チェック棒上を転動する転動体と、前記チェック棒の移動方向に対して斜状をなす傾斜部を有して当該傾斜部により前記転動体が前記チェック棒との間で転動して挟み込まれる挟持部材と、前記挟持部材に対して運動伝達可能に設けられて電圧印加による変位を通じて前記転動体の挟み込み状態を保持あるいは解除する圧電アクチュエータと、を備え、前記チェック棒の転動体側の側面には、当該チェック棒の移動方向に沿って起伏する凹凸面を形成し、前記圧電アクチュエータは、前記検出部を兼ねるものであって、前記チェック棒の移動に伴う前記転動体と前記凹凸面との接触を通じて発生する振動が前記挟持部材を通じて機械的な外力として印加されることによって当該外力に応じた電気信号を生成することをその要旨とする。
【0011】
本発明におけるチェック棒、ひいてはドアの保持およびその解除の態様は、つぎの通りである。すなわち、転動体が挟持部材の傾斜部とチェック棒との間に挟み込まれた状態にあるときには、それらの間の摩擦力を通じて、チェック棒の変位が規制される(第2の状態)。これが通常の状態である。そして圧電アクチュエータに対する電圧印加を通じて、傾斜部およびチェック棒による転動体の挟み込み状態が解除されたとき、チェック棒は移動可能となる(第1の状態)。これは、当該挟み込み力が解除された分だけ、転動体と挟持部材との間の摩擦力、ならびに当該転動体とチェック棒との間の摩擦力が減少するからである。この状態において、アクチュエータへの電圧印加が解除されることにより、傾斜部とチェック棒との間に転動体を再び挟み込み可能な状態となる。たとえばこの状態において、チェック棒が、当該チェック棒と傾斜部との間に形成されるくさび状空間の狭小側へ変位しようとすると、転動体は当該チェック棒に追従して同じ方向へ変位する。これに伴い転動体は、くさび状空間の狭小側へ徐々に食い込み、いわゆるくさび作用をなす。すなわち、転動体が挟持部材とチェック棒との間に挟み込まれた状態になって、その挟み込み荷重の分だけ転動体と挟持部材との間の摩擦力、ならびに当該転動体とチェック棒との間の摩擦力が増大する。これにより、チェック棒の変位が再び規制される。
【0012】
また、本発明によれば、チェック棒の移動に伴い、転動体は凹凸面の起伏に応じて振動する。この振動は、転動体に接する挟持部材を介して圧電アクチュエータに機械的な外力として伝達される。その結果、圧電アクチュエータでは、伝達された振動に応じた電気信号が生成される(圧電効果)。当該振動は、チェック棒の移動方向に沿って起伏する凹凸面によるものであるため、圧電アクチュエータにおいて生成される電気信号も当該凹凸面に応じたものになる。このため、当該電気信号に基づきチェック棒の変位位置、移動速度あるいは加速度などの変位状態を検出することが可能になる。さらに、これら検出されるチェック棒の変位位置、移動速度あるいは加速度などの変位状態に基づき、チェック棒、ひいてはドアの開閉速度を減速するなどの制御も可能になる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の車両用ドアシステムにおいて、前記ドアの全閉位置から全開位置までの間の任意位置を前記ドアの停止位置として設定するスイッチを備え、前記制御部は、前記電気信号に基づきドアの開度位置を検出するとともに、当該検出されるその時々の開度位置が、前記停止位置に達した旨判断されるとき、前記ドアの開閉制御として前記圧電アクチュエータに対する電圧印加を停止することをその要旨とする。
【0014】
本発明によれば、ユーザによるドアの操作の有無にかかわらず、スイッチを通じて設定される任意の停止位置にドアを自動的に停止させることが可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の車両用ドアシステムにおいて、前記凹凸面の起伏間隔は、前記ドアの閉じ方向への動作に伴う前記チェック棒の移動方向へ向かうにつれて徐々に広くなるように設定されてなることをその要旨とする。
【0015】
本発明によれば、チェック棒の変位位置に応じて電気信号の発生間隔が異なる。このため、チェック棒の変位位置などの検出が容易になる。またチェック棒の変位方向、ひいてはドアの開閉方向についても容易に検出することが可能となる。電気信号の発生間隔が短くなればドアは閉じ方向へ、逆に長くなればドアは開き方向へ変位している旨推定可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、車両用ドアシステムに対してより高い付加価値を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】車両のドアに対するドアチェック装置の取付け状態を示す斜視図。
【図2】同じくストッパ機構の電気的な構成を示すブロック図。
【図3】(a)は、本実施の形態のドアチェック装置の概略構成を示す正断面図、(b)は、チェック棒の変位に伴い圧電素子において生成される電気信号の波形図。
【図4】ストッパ機構に係る制御の処理手順を示すフローチャート。
【図5】(a),(b)は、他の実施の形態におけるチェック棒の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用ドアシステムを、車両用のドアチェック装置に具体化した第1の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。当該装置は、サイドドアの開状態を保持することにより当該ドアの不用意な開閉を抑制するものである。
【0019】
図1に示すように、車体11の側部には、乗降用の開口部12が形成されるとともに、当該開口部12の車両前側の縁部12aには、上下一対のドアヒンジ13,13を介してドア14が回動自在に支持されている。同図において一部分を破断して示すように、ドア14の内部にはドアチェック装置15が設けられている。
【0020】
ドアチェック装置15は、車体11に設けられるチェック棒21およびドア14に設けられるストッパ機構22を備えてなる。チェック棒21の基端部は、縁部12aに対してドア14の開閉方向へ回動可能に連結されている。またチェック棒21は、ドア14の開閉方向に交わる方向への移動が規制されている。チェック棒21の先端部は、ドア14、さらにはストッパ機構22に貫通されている。チェック棒21は、ドア14の開閉動作に連動して、その基端部を中心に揺動しつつその長手方向に沿ってストッパ機構22に対して相対的に移動する。ストッパ機構22の作動を通じてチェック棒21の移動が規制されることにより、ドア14の開度が保持される。
【0021】
<ストッパ機構>
つぎに、ストッパ機構について詳細に説明する。図3(a)に示すように、ストッパ機構22は、チェック棒21が貫通されるケース23を有してなる。ケース23の内部における中央上部には圧電アクチュエータ29が図示しない支持構造を介して支持されている。圧電アクチュエータ29は、多数の圧電体(電歪体)が積層されて棒状をなしている。圧電アクチュエータ29は、図示にない電極に対する電圧印加の有無により伸縮する。圧電アクチュエータ29は、当該電極に直流電圧が印加されたときには伸長する一方、当該直流電圧の印加が解除されたときには収縮する。本例では、圧電アクチュエータ29は、チェック棒21の移動方向に沿って伸縮する。
【0022】
また、ケース23の内部には、2つの挟持部材30,30が設けられている。これら挟持部材30,30は同一品であって、チェック棒21の移動方向における向きが互いに反転されてなる。また、これら挟持部材30,30は、チェック棒21の移動方向において、圧電アクチュエータ29の両側に配設されている。
【0023】
当該挟持部材30は、単一の金属板材が塑性変形されることにより形成されている。挟持部材30は、チェック棒21の移動方向に対して直交する方向へ延びる垂直壁31、およびチェック棒21の移動方向に対して斜状をなす押圧壁32を有してなる。押圧壁32は、垂直壁31のチェック棒21と反対側の端部に連結されるとととともに、ケース23の中央へ向かうにつれてチェック棒21と離間するように傾斜している。そして、2つの押圧壁32の垂直壁31と反対側の端部は、圧電アクチュエータ29の両端部にそれぞれ斜状に当接した状態に維持されている。また、2つの垂直壁31,31のチェック棒21側の端部は、2つの固定支点31a,31bを介してそれぞれケース23に固定されている。そして、ケース23の内部において、2つの挟持部材30,30とチェック棒21との間には、2つのくさび状の空間が形成される。これらくさび状の空間は、チェック棒21の移動方向において、ケース23の中央から遠ざかるほど狭小となる。
【0024】
また、ケース23の内部には、2つの転動体33,33が収容されている。これら転動体33,33は球状に形成されている。転動体33は、通常、チェック棒21と挟持部材30(正確には押圧壁32)との間に挟み込まれた状態で保持されている。また、2つの転動体33,33の間には、圧縮コイルばね34が介在されている。2つの転動体33,33は、圧縮コイルばね34の弾性力により互いに離間する方向、すなわち2つの挟持部材30,30とチェック棒21との間に形成されるくさび状空間の狭小側へ常時付勢される。
【0025】
2つの転動体33,33が2つの押圧壁32,32とチェック棒21との間にそれぞれ挟み込まれた通常の状態に維持されているとき、チェック棒21のケース23に対する相対移動は規制される。
【0026】
たとえば、チェック棒21が、図3(a)に矢印Aで示される方向へ移動しようとする際、転動体33とチェック棒21との摩擦係合を通じて当該転動体33はチェック棒21とともに同方向へ移動しようとする。しかし、当該転動体33は、当該矢印A方向に存在するくさび状空間の狭小側に食い込み、いわゆるくさび作用をなしている。すなわち、転動体33は、当該くさび状空間に食い込んだ分だけ、押圧壁32およびチェック棒21による挟み込み摩擦力、すなわち転動体33と押圧壁32との間の摩擦力、ならびに転動体33とチェック棒21との間の摩擦力が増大されている。これら摩擦力により、チェック棒21の当該矢印A方向への移動が強固に規制される。なお、チェック棒21が、当該矢印A方向と反対方向である矢印Bで示される方向へ移動しようとする場合も同様にロック状態が維持される。
【0027】
このロック状態は、圧電アクチュエータ29に電圧が印加されることにより解除される。すなわち、圧電アクチュエータ29の伸長に伴い2つの押圧壁32,32は2つの固定支点31a,31bを中心としてそれぞれ互いに離間する方向へ弾性変位する。その結果、チェック棒21と2つの押圧壁32,32とのなす角度が通常時よりも大きくなって2つの転動体33,33の挟み込み状態が解除される。これにより、チェック棒21は図中の矢印A方向および矢印B方向へ自在に移動可能となる。これは、転動体33の挟み込み状態が解除された分だけ、転動体33と押圧壁32との間の摩擦力、ならびに転動体33とチェック棒21との間の摩擦力が著しく低減されるからである。
【0028】
またこのとき、2つの転動体33,33は、圧縮コイルばね34の弾性力により2つの垂直壁31,31に対してそれぞれ近接する方向へ移動しようとするものの、これら押圧壁32,32とチェック棒21との間で挟み込まれることはない。これは垂直壁31と押圧壁32とのなす角度が転動体33を挟み込める角度にないからである。したがって、転動体33の挟み込み状態が解除されたアンロック状態でチェック棒21が移動しようとする場合、転動体33は押圧壁32とチェック棒21との間に食い込むことはなく、押圧壁32と転動体33との間、および転動体33とチェック棒21には滑りが発生する。すなわち、くさび作用は生じないため、当該アンロック状態が維持される。
【0029】
そしてこのアンロック状態において、圧電アクチュエータ29に対する電圧印加が解除されたとき、押圧壁32は原位置に弾性復帰して再び転動体33をチェック棒21との間で挟み込み可能な状態になる。すなわち、チェック棒21が移動しようとするとき、転動体33は当該チェック棒21との摩擦係合を通じて当該チェック棒21と同じ方向へ移動する。これに伴い転動体33は、当該移動方向に存在する押圧壁32と当該チェック棒21との間に徐々に挟み込まれる。
【0030】
<挟み込みの成立条件>
ここで、チェック棒21の移動に追従して転動体33が、押圧壁32とチェック棒21との間に挟み込まれるためには、つぎの条件を満たしている必要がある。すなわち、チェック棒21を変位させようとする力は転動体33を介して押圧壁32に伝達されるところ、当該力の押圧壁32に沿った平行成分が、当該平行成分と反対側に作用する摩擦力(転動体33の食い込みを阻止する方向へ働く力)よりも大きいとき、転動体33は押圧壁32とチェック棒21との間に挟み込まれる。このことから、次式(A)で示される関係が導き出される。ちなみに、前記平行成分と反対側に作用する摩擦力は、チェック棒21を変位させようとする力の押圧壁32に対する垂直成分と、押圧壁32と転動体33との間の摩擦力との積で求められる。
【0031】
cosθ/sinθ>μ ・・・(A)
ただし、θは押圧壁32とチェック棒21とのなす角度、μは押圧壁32と転動体33との間の摩擦係数である。
【0032】
本例では、前記式(A)を満たすように、押圧壁32とチェック棒21とのなす角度、および押圧壁32と転動体33との間の摩擦係数がそれぞれ調節されている。したがって、チェック棒21の移動に伴い、転動体33は当該移動方向に存在する押圧壁32と当該チェック棒21との間に形成されるくさび状空間に食い込む。なお、転動体33とチェック棒21との間についても同様である。転動体33の質量および大きさ、または転動体33とチェック棒21との間の摩擦係数などが適宜調節されている。
【0033】
<チェック棒>
ここで、チェック棒21について詳細に説明する。本例では、ドアチェック装置の付加価値をより高める観点から、チェック棒21を次のように構成している。また本例では、チェック棒21は、ドア14が開く方向へ移動したときには図中に矢印Aで示される方向へ、同じくドア14が閉じる方向へ移動したときには矢印B方向へケース23に対して相対的に移動する。
【0034】
図3(a)に示すように、チェック棒21の挟持部材30側の側面(図中の上面)には、複数の突部35が形成されている。これら突部35は、チェック棒21の移動方向に沿って間隔をおいて設けられている。これら突部35の配置間隔は、チェック棒21の全閉側の端部(図中の左端部)から同じく全開側の端部(図中の右端部)へ向かうにつれて徐々に大きくなるように設定されている。また、各突部35のチェック棒21に対する突出高さはすべて同じとされている。当該突出高さは、チェック棒21が移動したとき、垂直壁31のチェック棒21側の端部が接触しない程度に設定されている。
【0035】
チェック棒21が移動したとき、転動体33は複数個の突部35を順次乗り越える。転動体33は、突部35に乗り上げる際に押圧壁32をその弾性力に抗して押し上げる。そして転動体33が突部35から降りる際には、押圧壁32は自身の弾性力により原位置へ復帰する。当該動作は転動体33が突部35を乗り越える度に繰り返される。このように転動体33は、突部35に対する乗り降りに伴い振動し、当該振動は押圧壁32を介して圧電アクチュエータ29に機械的な外力(圧力)として伝達される。圧電アクチュエータ29は、圧電効果により当該振動に応じた電気信号を生成する。当該電気信号は、図3(b)に示されるように、パルス状をなす。
【0036】
なお、2つの転動体33,33の振動のタイミングは、それらの離間距離に応じて互いに異なる。圧電アクチュエータ29の両端部には、2つの転動体33,33の振動がそれぞれ伝達される。圧電アクチュエータ29は、自身の両端に印加される振動を合成したものに応じた電気信号を生成する。
【0037】
<電気的な構成>
つぎに、ドアチェック装置の電気的な構成について説明する。図2に示すように、ドアチェック装置の制御回路41には、電源回路42を介して電源43に接続されている。電源43は車載されるバッテリ(例えば12Vあるいは24V)である。電源43からの直流電圧は、電源回路42を通じて規定の電圧レベル(例えば5V)に調整される。この調整された電圧が制御回路41の動作電源として供給される。当該電源回路42は、制御回路41に対する過電圧の印加を抑制する保護回路としても機能する。
【0038】
また、制御回路41には、ドアハンドルスイッチ44および開度設定スイッチ45が接続されている。ドアハンドルスイッチ44は、各ドア14の内外に設けられる図示しないドアハンドルの操作の有無を検出する。開度設定スイッチ45は、たとえばドア14の車室内側の部位に設けられて、ドア14を自動停止させる開度位置(停止位置)を設定する際に操作される。
【0039】
制御回路41は、ドアハンドルスイッチ44を通じてドアハンドルの操作を検出したとき、圧電アクチュエータ29の電極間に所定の直流電圧を印可する。ドアハンドルスイッチ44を通じたドアハンドルの操作が検出されない場合、制御回路41は圧電アクチュエータ29への電圧印加を停止する。
【0040】
また制御回路41のメモリ41aには、各種の制御プログラムなどが格納されている。制御回路41は、開度設定スイッチ45を通じてドア14の停止位置が設定されているとき、チェック棒21の移動に伴い圧電アクチュエータ29において生成される電気信号に基づきドア14の開度位置を演算する。たとえば制御回路41は、検出される電気信号の発生間隔などに基づきチェック棒21の変位位置を算出可能である。なお、本例では、ドア14、すなわちチェック棒21の加速度は一定であるものとする。また、制御回路41は、ドア14の開度位置が開度設定スイッチ45を通じて設定された停止位置に至った旨検出されるとき、圧電アクチュエータ29への電圧印加を停止する。
【0041】
<ドアチェック装置の動作>
つぎに、ドアチェック装置の動作を図4のフローチャートに従って説明する。当該フローチャートはたとえばドアが解錠されたことを契機として制御回路41のメモリ41aに記憶された制御プログラムに基づき実行される。なお、ドアチェック装置は、転動体33が挟持部材30の押圧壁32とチェック棒21に挟み込まれたロック状態に保持されているものとする。
【0042】
さて、図4に示すように、制御回路41は、ドアハンドルスイッチ44を通じてドアハンドルが操作された旨検出されるとき(ステップS101)、圧電アクチュエータ29に直流電圧を印可する(ステップS102)。これにより、押圧壁32による転動体33の挟み込み状態が解除される。すなわち、ドア14の開閉に伴うチェック棒21の円滑な移動が許容されるアンロック状態となる。この状態では、ドア14を軽い力で自由に開閉することが可能となる。
【0043】
つぎに制御回路41は、開度設定スイッチ45による停止位置の設定の有無を判断する(ステップS103)。制御回路41は停止位置の設定はなされていない旨判断したとき(ステップS103でNO)、ドアハンドルスイッチ44を通じてドアハンドルの操作の有無を判断する(ステップS104)。そして制御回路41はドアハンドルの操作が継続されている旨判断したとき(ステップS104)には、先のステップS102へ処理を移行してアンロック状態を維持する。これに対して、制御回路41は、ドアハンドルの操作が解除されている旨判断したとき(ステップS104でNO)には、圧電アクチュエータ29への電圧印加を停止して(ステップS105)、処理を終了する。
【0044】
先のステップS103において、制御回路41は停止位置の設定がなされている旨判断したとき(ステップS103でYES)、現在のチェック棒21の位置が設定されたドア14の停止位置に対応する変位位置であるかどうか判断する(ステップS106)。制御回路41は、現在のチェック棒21の位置が設定された停止位置に達していない旨判断したとき(ステップS106でNO)、ドアハンドルの操作の有無を判断する(ステップS107)。制御回路41は、ドアハンドルの操作が継続されている旨判断したとき(ステップS107でYES)には、先のステップS106へ処理を移行する。これに対して制御回路41は、ドアハンドルの操作が解除されている旨判断したとき(ステップS107でNO)には、先のステップS105へ処理を移行する。すなわち、圧電アクチュエータ29に対する電圧印加を停止して処理を終了する。
【0045】
先のステップS106において、制御回路41は、現在のチェック棒21の位置が設定された停止位置に達した旨判断したとき(ステップS106でYES)、先のステップS105へ処理を移行する。すなわち、制御回路41は、ドアハンドルの操作が継続されているかどうかに関わらず、圧電アクチュエータ29に対する電圧印加を停止して処理を終了する。以後、制御回路41は、ドアハンドルの操作が検出されるたびに、先のステップS101〜ステップS107の処理を繰り返す。
【0046】
ちなみに、圧電アクチュエータ29への電圧印加が停止されることにより、押圧壁32とチェック棒21との間に転動体33を挟み込み可能な状態となる。すなわち、このとき転動体33は挟持部材30の押圧壁32とチェック棒21との間に十分に挟み込まれていないおそれがある。また、転動体33は未だフリーな状態に維持されていることも想定される。
【0047】
しかし、ドア14が動こうとするとき、それに伴い移動するチェック棒21との摩擦係合を通じて転動体33は当該チェック棒21と同じ方向へ追従して移動する。これに伴い転動体33は、チェック棒21の移動方向に存在する押圧壁32と当該チェック棒21との間に徐々に挟み込まれる。すなわち、転動体33はくさび状の空間の狭小側に徐々に食い込み、いわゆるくさび作用をなす。このため、転動体33はその自由な回転が規制された保持状態となって、押圧壁32とチェック棒21とを摩擦力により固定連結する状態となる。この状態が保持されることにより、チェック棒21、ひいてはドア14の移動が規制された状態に維持される。したがって、ドア14は、そのときの任意の開度位置に保持される。
【0048】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)チェック棒21の移動に伴い、転動体33はチェック棒21の凹凸面の起伏に応じて振動する。この振動は、転動体33に接する挟持部材30を介して圧電アクチュエータ29に機械的な外力として伝達される。その結果、圧電アクチュエータ29では、伝達された振動に応じた電気信号が生成される(圧電効果)。当該振動は、チェック棒21の凹凸面の起伏によるものであるため、圧電アクチュエータ29において生成される電気信号も当該凹凸面に応じたものになる。このため、当該電気信号に基づきチェック棒21の変位位置、ひいてはドア14の開度位置などを検出することが可能になる。すなわち、ドアの開度位置を保持するだけではなく、その時々のチェック棒21、ひいてはドア14の状態を検出可能となるといった付加価値を得ることができる。
【0049】
(2)チェック棒21および挟持部材(板ばね)30の押圧壁32による、転動体33の挟み込み状態の形成と解除とを通じて、チェック棒21、ひいてはドア14を適宜の位置に無段階に近い状態で保持することができる。
【0050】
(3)チェック棒21の変位位置は次のようにして検出するようにした。すなわち、チェック棒21の転動体33側の側面には、多数の突部35を設けた。このため、チェック棒21の移動に伴い転動体33が各突部35を乗り越える毎に当該転動体33は振動する。この振動は挟持部材30を介して圧電アクチュエータ29に伝達される。圧電アクチュエータ29は、当該伝達される振動に応じた電気信号を生成する。制御回路41は、圧電アクチュエータ29において生成される電気信号に基づきチェック棒21の変位位置を演算する。このように、チェック棒21に突部35を設けるという簡単な構成により、当該チェック棒21の変位位置、ひいてはドア14の開度位置を検出可能となる。
【0051】
(4)開度設定スイッチ45を通じてドア14の停止位置を設定可能とした。この場合には、チェック棒21の変位に基づきドア14の開度位置を監視し、当該開度位置が設定された停止位置に至ったとき、圧電アクチュエータ29に対する電圧印加の停止を通じて、チェック棒21の移動が規制される。このように、特定の条件が成立した場合には、ドアハンドルの操作の有無に関係なく、積極的にドア14の開閉動作を規制するという付加価値が得られる。
【0052】
(5)開度設定スイッチ45を通じて設定されるドア14の停止位置を、全閉位置とした場合には、チャイルドロックとしても機能する。この場合には、車室内外のドアハンドルが操作された場合であれ、圧電アクチュエータ29に対する電圧印加は行われず、ドアチェック装置はロック状態に維持される。
【0053】
(6)各突部35の配置間隔は、ドア14の閉じ方向への動作に伴うチェック棒21の移動方向へ向かうにつれて徐々に広くなるように設定した。このため、ドア14の開度位置を判定しやすくなる。またドア14の開閉方向の判定なども簡単にできるようになる。電気信号の発生間隔が短くなればドア14は閉じ方向へ、逆に長くなればドア14は開き方向へ変位している旨推定可能である。さらに、ドア14が全閉位置に近づくにつれて電気信号の発生間隔は短くなるので、全閉位置付近におけるドア14の開度位置を、より細かく検出することが可能になる。
【0054】
(7)圧電アクチュエータ29において生成される電気信号に基づき、チェック棒21の移動速度、ひいてはドア14の開閉速度を算出することも可能となる。この場合、つぎのような制御の実行も可能となる。すなわち、ドア14の開閉速度が、しきい値を超えている旨判定される場合には、強制的にドア14を減速させる。すなわち、圧電アクチュエータ29に対して電圧を印可する。転動体33が押圧壁32とチェック棒21との間に挟み込まれることにより、チェック棒21の変位を抑えることができる。なお、チェック棒21の加速度についても検出可能である。チェック棒21の変位位置、速度および加速度の検出結果を適宜組み合わせることにより、ドア14の様々な開閉制御を実行可能である。
【0055】
(8)2つの転動体33,33の振動の発生タイミングは異なる。このため、2つの転動体33,33の振動に応じて生成される電気信号の差分に基づき、チェック棒21の変位位置、あるいは変位速度を演算することも可能である。
【0056】
(9)ドア14に対して、特定の振動を与えることにより、ドア14を解錠したり、ドア14の停止位置を設定したりすることも可能である。すなわち、特定の振動の発生を、圧電アクチュエータ29を通じて検出し、当該検出を様々な車両制御の実行開始の契機とすることも可能である。
【0057】
(10)ドア14が閉じている状態で、圧電アクチュエータ29を通じて振動が検出されるとき、異常が発生したとしてその旨報知することなども可能である。不審な振動の発生原因としては、第三者による車室内への浸入の試み、あるいはガラス割れなどが想定される。
【0058】
(11)ドアハンドルスイッチ44を通じてドアハンドルの操作が検出されたとき、圧電アクチュエータ29に対して電圧が印加されて、ドアチェック装置はアンロック状態、すなわち転動体33の挟み込みが解除された状態となる。このため、実際にドア14を開閉させる際には、ドアチェック装置は既にアンロック状態とされているので、より小さな力で、かつスムーズにドア14を開閉させることが可能になる。なお、ドアチェック装置のロックおよびアンロック間の切り替えが、ユーザのドアの開閉操作自体に依存することがない。
【0059】
(12)ドアハンドルスイッチ44のオンまたはオフを通じて、ドアチェック装置のロック状態およびアンロック状態が切り替えられる。当該切り替えは、ドア14の通常の開閉動作の流れのなかで行われる。このため、ドアチェック装置のロック状態およびアンロック状態の切り替えの際に、ボタン操作などのドア14の開閉動作と無関係な動作を行う必要はない。したがって、ユーザの利便性を確保することができる。
【0060】
(13)転動体33の挟み込みを解除するアクチュエータとして圧電アクチュエータ29を採用した。圧電体は、電圧を印可して一度伸長させれば、その状態を維持するために必要とされる電力は少ない。このため、消費電力を抑えることができる。
【0061】
(14)圧縮コイルばね34の弾性力により、転動体33は押圧壁32に常に当接した状態に維持される。このため、転動体33がケース23の内部でがたつくことがない。がたつきに起因する音の発生が抑制される。
【0062】
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本例では、チェック棒21に多数の突部35を形成することにより、転動体33を振動させるようにしたが、次のようにしてもよい。たとえば図5(a)に示すように、チェック棒21の転動体33側の側面を波状面51としてもよい。また図5(b)に示すように、本例の各突部35を凹部52に置換してもよい。これらのようにしても、チェック棒21の転動体33側の側面に凹凸が形成することができる。チェック棒21が移動した際には、転動体33は、当該凹凸に応じて振動する。
【0063】
・本例では、転動体33を球状としたが、他の形状としてもよい。たとえば、円柱状などとしてもよい。この円柱の高さを球状の転動体の直径よりも小さく設定することにより、ドアチェック装置の小型化が図られる。
【0064】
・本例において、挟持部材30、転動体33、およびチェック棒21の材質は、製品仕様などに応じて適宜選択すればよい。チェック棒21と挟持部材との間において、必要とされるくさび作用が得られるのであれば、材質は問わない。金属、合成樹脂材料、あるいはゴムなど、いずれを使用してもよい。
【0065】
・本例では、挟持部材30は単一の金属板材を塑性変形することにより一体形成したが、複数の部材を連結することにより構成してもよい。
・本例では、各突部35の配置間隔を、チェック棒21の全閉側の端部から同じく全開側の端部へ向かうにつれて徐々に大きくなるように設定したが、等間隔としてもよい。このようにしても、チェック棒21の変位位置および変位速度を求めることができる。
【0066】
・本例では、チェック棒21を車体11に、ストッパ機構22をドア14に設けた例を示したが、ストッパ機構22を車体11に、チェック棒21をドア14に設けてもよい。
・本例では、2組の押圧壁32および転動体33を単一のケース23の内部に収容するようにしたが、各組を別個のケースに収容して分割体として構成してもよい。この場合には、圧電アクチュエータ29もそれぞれのケースに収容する。本例と同様の効果を得るためには、2つの分割体が必要となる。
【0067】
・本例では、単一の圧電アクチュエータ29によって、つぎの2つの機能が実現されていた。すなわち、ドア14の開閉動作に連動するチェック棒21の状態を当該チェック棒21の移動を許容する第1の状態と同じく規制する第2の状態との間で切り替える駆動部としての機能(第1の機能)、およびチェック棒21の変位状態を検出する検出部としての機能(第2の機能)である。しかし、両機能を単一の圧電アクチュエータ29により実現させなくてもよい。たとえば駆動部としての機能を実現する圧電体(圧電アクチュエータ)と、検出部として機能する圧電体とを別個に設けてもよい。
【0068】
また、これら駆動部および検出部としての機能を実現するものとして圧電体あるいは圧電アクチュエータ以外のものを採用してもよい。
駆動部としての機能を実現するために採用されるものとしては、電気制御を通じて挟持部材30(押圧壁32)による転動体33の挟み込み状態の保持あるいはその解除が可能であればよい。たとえば電気エネルギをプランジャの直線的な運動に変換するソレノイドなどが採用可能である。またモータあるいは形状記憶合金を利用したアクチュエータも採用可能である。
【0069】
また検出部としての機能を実現するために採用されるものとしては、チェック棒21の移動に伴い発生する挟持部材30あるいは転動体33の振動を検出し、その検出される振動に応じた電気信号を生成するものであればよい。さらに検出部としての機能を実現するために採用されるものとしては、振動を電気信号に変換するものでなくてもよい。たとえば、光学式、磁気式あるいはレーザ式などの変位センサあるいは位置センサを使用してチェック棒21の変位位置などの変位状態を検出するようにしてもよい。この場合には、チェック棒21の凹凸面(突部35)を省略することが可能になる。
【0070】
・本例では、ストッパ機構22として、挟持部材30(押圧壁32)により転動体33をチェック棒21との間で挟み込む構成を採用したが、当該ストッパ機構22の構成は適宜変更してもよい。すなわち、電気的な制御を通じてチェック棒21の移動を規制あるいはその解除が可能であればよい。
【0071】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)請求項3〜請求項5のうちいずれか一項に記載のドアチェック装置において、前記凹凸面は、前記チェック棒に多数の突部を形成することにより設けられてなるドアチェック装置。この構成によれば、チェック棒の変位に伴い転動体が突部を乗り越える際に、好適な振動が得られる。
【0072】
(ロ)車体またはドアに設けられるストッパ機構と、前記ドアまたは車体に回動自在に連結されて前記ドアの開閉動作に伴い前記ストッパ機構に対して相対変位するチェック棒と、を備え、前記ストッパ機構の働きにより当該ストッパ機構と前記チェック棒との相対変位を規制することにより前記ドアの開度位置を保持するドアチェック装置において、前記ストッパ機構は、前記チェック棒上を転動する転動体と、前記チェック棒の変位方向に対して斜状をなす傾斜部を有して当該傾斜部により前記転動体を前記チェック棒との間で弾性的に挟み込む挟持部材と、前記挟持部材に対して直接的に運動伝達可能に設けられて電圧印加による変位を通じて前記転動体の挟み込み状態を解除する圧電アクチュエータと、を備え、前記チェック棒の転動体側の側面には、当該チェック棒の変位方向に沿って起伏する凹凸面が形成されてなるドアチェック装置。
【0073】
この構成によれば、チェック棒の変位に伴い、転動体は凹凸面の起伏に応じて振動する。この振動は、転動体に接する挟持部材を介して圧電アクチュエータに機械的な外力として伝達される。その結果、圧電アクチュエータでは、伝達された振動に応じた電気信号が生成される(圧電効果)。当該振動は、チェック棒の凹凸面の起伏によるものであるため、圧電アクチュエータにおいて生成される電気信号も当該凹凸面に応じたものになる。このため、当該電気信号に基づきチェック棒の変位位置、ひいてはドアの開度位置などを検出することが可能になる。すなわち、ドアの開度位置を保持するだけではなく、その時々のチェック棒、ひいてはドアの状態を検出可能となるといった付加価値を得ることができる。なお、チェック棒、ひいてはドアの保持およびその解除の態様は、請求項3に記載の車両用ドアシステムと同様である。
【符号の説明】
【0074】
11…車体、14…ドア、15…ドアチェック装置(車両用ドアシステム)、22…ストッパ機構(駆動部)、21…チェック棒、33…転動体、32…押圧壁(傾斜部)、29…駆動部および検出部を構成する圧電アクチュエータ、30…挟持部材、35…突部(凹凸面)、41…制御回路(制御部)、45…スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドアの開閉動作に連動するチェック棒の状態を当該チェック棒の移動を許容する第1の状態と同じく規制する第2の状態との間で切り替える駆動部と、
前記チェック棒の変位状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づく前記駆動部の制御を通じて前記チェック棒の状態を前記第1および第2の状態の間で切り替えることにより前記ドアの開閉制御を行う制御部と、を備えてなる車両用ドアシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアシステムにおいて、
前記検出部は、前記チェック棒の変位状態として当該チェック棒の位置、速度および加速度のうち少なくとも一を検出する車両用ドアシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の車両用ドアシステムにおいて、
前記駆動部は、前記チェック棒上を転動する転動体と、前記チェック棒の移動方向に対して斜状をなす傾斜部を有して当該傾斜部により前記転動体が前記チェック棒との間で転動して挟み込まれる挟持部材と、前記挟持部材に対して運動伝達可能に設けられて電圧印加による変位を通じて前記転動体の挟み込み状態を保持あるいは解除する圧電アクチュエータと、を備え、
前記チェック棒の転動体側の側面には、当該チェック棒の移動方向に沿って起伏する凹凸面を形成し、
前記圧電アクチュエータは、前記検出部を兼ねるものであって、前記チェック棒の移動に伴う前記転動体と前記凹凸面との接触を通じて発生する振動が前記挟持部材を通じて機械的な外力として印加されることによって当該外力に応じた電気信号を生成する車両用ドアシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ドアシステムにおいて、
前記ドアの全閉位置から全開位置までの間の任意位置を前記ドアの停止位置として設定するスイッチを備え、
前記制御部は、前記電気信号に基づきドアの開度位置を検出するとともに、当該検出されるその時々の開度位置が、前記停止位置に達した旨判断されるとき、前記ドアの開閉制御として前記圧電アクチュエータに対する電圧印加を停止する車両用ドアシステム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の車両用ドアシステムにおいて、
前記凹凸面の起伏間隔は、前記ドアの閉じ方向への動作に伴う前記チェック棒の移動方向へ向かうにつれて徐々に広くなるように設定されてなる車両用ドアシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−97514(P2012−97514A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247648(P2010−247648)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】