説明

車両用パンタグラフの押上力調整機構

【課題】低コストで調整の容易で良好な押上力の水平特性が得られる車両用パンタグラフの押上力発生機構を提供する事である
【解決手段】主軸に複数のばねでリンクを介してモーメントを与えて押上力を発生させる車両用パンタグラフ集電装置において、該複数のばねがそれぞれ異なった位相、寸法の1つ又は複数の該リンクを介して該主軸と結合されることを特徴とする。良好な押上力の水平特性が得られることを最も主要な特徴とする。この押上力発生機構は、リンク数×ばね数の段階分モーメント半径を調整することが可能となり、良好な押上力の水平特性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な押上力の水平特性を得られる車両用パンタグラフの押上力調整機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用パンタグラフの押上力は、架線への追従性能に影響する要因の一つであり、パンタグラフのどの作用高さにおいても押上力が変化しない水平特性が求められる。車両用パンタグラフの押上力発生機構は、主軸にテコ等を介して結合したばねの弾性力により主軸周りにモーメントを与える構造としている。一定の押上力を得るために必要な主軸周りのモーメントは作用高さに伴い変化し、またばねの伸縮によりばねの弾性力は変化するため、作用高さに伴い最適なモーメント半径が無段階に得られる構造が必要となる。
【0003】
従来の車両用パンタグラフの押上力発生機構は、主軸にばねを1つ又は複数のリンクを介して結合し、作用高さ変化に伴いモーメント半径が変化する構造としているが、複数のばねを有する場合においても、それぞれに同一のリンクで複数のばねが主軸と結合されており、リンクの数量分の段階でしかモーメント半径を調整出来ない。図4に従来技術におけるばねが2つでリンク数3の場合の作用高さと押上力の関係の一例を示す。押上力が3段階に変化し、変化量が大きくなっている。
【0004】
この改善策として、複数のばねに結合するリンクの数をそれぞれ多くする方法があるが、コストがアップし、調整も煩雑になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−14403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、低コストで調整の容易で良好な押上力の水平特性が得られる車両用パンタグラフの押上力発生機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明によれば、主軸に複数のばねでリンクを介してモーメントを与えて押上力を発生させる車両用パンタグラフ集電装置において、該複数のばねがそれぞれ異なった位相、寸法の1つ又は複数の該リンクを介して該主軸と結合されることを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明は、複数のばねと主軸を、それぞれのばね毎に位相、寸法を変えて配置したリンクで結合し、良好な押上力の水平特性が得られることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の車両用パンタグラフの押上力発生機構は、リンク数×ばね数の段階分モーメント半径を調整することが可能となり、良好な押上力の水平特性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施例を示す図である。
【図2】従来技術の実施例を示す図である。
【図3】本発明の作用高さと押上力の関係の一例を示す図である。
【図4】従来技術の作用高さと押上力の関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複数のばねと主軸を、それぞれのばね毎に位相、寸法を変えて配置したリンクで結合する。
【実施例1】
【0012】
ばねが2個で、1つのばねにつき3個のリンクを有する場合の実施例を図1に示す。ばね1(11)はリンクA1(5)リンクB1(6)リンクC1(7)を介して主軸に結合され、ばね2はリンクA2(8)リンクB2(9)リンクC2(10)を介して主軸に結合している。ばね1とばね2により主軸(4)に発生するモーメントは、6段階に変化し、図2に示すとおりの作用高さと押上力の関係となる。リンクの数を増やすことなしに良好な押上力の水平特性が得られる。
【符号の説明】
【0013】
1 架線
2 上枠
3 下枠
4 主軸
5 リンクA1
6 リンクB1
7 リンクC1
8 リンクA2
9 リンクB2
10 リンクC2
11 ばね1
12 ばね2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主軸に複数のばねでリンクを介してモーメントを与えて押上力を発生させる車両用パンタグラフ集電装置において、該複数のばねがそれぞれ異なった位相、寸法の1つ又は複数の該リンクを介して該主軸と結合されることを特徴とする車両用パンタグラフの押上力調整機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−249349(P2012−249349A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−116746(P2011−116746)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000003115)東洋電機製造株式会社 (380)
【Fターム(参考)】