説明

車両用フレーム構造

【課題】フレームの曲げ強度を高めることができる車両用フレーム構造を提供する。
【解決手段】車体の一部を構成し、閉断面状に形成されたフレームを有する車両用フレーム構造において、前記フレームは、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部11cと、引張方向の力が作用する第2面部と、該フレームの第1面部と第2面部との間に位置し、該第1面部との間で稜線11f、11gを形成する両側の第3面部11a、11bとを有し、前記第3面部の少なくとも一方に、前記第1面部から前記第2面部に向けて線状に延びる横補強部20が設けられている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車等の車両における車体の一部を構成する車両用フレームの構造に関し、より詳しく言えば、閉断面状に形成された車両用フレームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、自動車等の車両における車体の一部を構成するサイドシルやピラーなどの車両用フレーム(車体フレーム)は一般に、閉断面状に形成されている。また、車体フレームとしては、閉断面状に形成された車体フレームに該フレームの内方側に突出するビードを形成して補強するようにしたものが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、アウタパネルとインナパネルとで閉断面状に形成されたサイドシルにおいて、前記アウタパネルに、長手方向に延び、該サイドシルの内方側に突出するビードを形成したものが開示されている。また、例えば特許文献2には、同じくアウタパネルとインナパネルとで閉断面状に形成されたサイドシルにおいて、前記アウタパネルとインナパネルとに、長手方向に延び、該サイドシルの内方側に膨出する中空膨出部を形成したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−137839号公報
【特許文献2】特開2009−274658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、サイドシルやピラーなどの車体フレームにおいては、例えば側突時などに乗員の安全性を向上させるため、閉断面状に形成されたフレームに外部から荷重が作用した場合においても、フレームが車内側へ変形しないように、フレームの曲げ強度を高めることが求められている。
【0006】
閉断面状に形成されたフレームに外部から曲げ荷重が入力されて曲げ変形される場合は、後述するように、曲げ荷重が入力される際に圧縮方向の力が作用する第1面部と引張方向の力が作用する第2面部との間に位置し、第1面部との間で稜線を形成する第3面部がフレームの外方側に膨らんで座屈することが、フレームの曲げ変形を促進させる一因であることが考えられる。
【0007】
しかしながら、前記特許文献1及び前記特許文献2に開示されているように、閉断面状に形成されたフレームに該フレームの長手方向に延びるビードを形成した場合、フレームの曲げ剛性を向上させることができるものの、フレームの第1面部に外部から荷重が作用する時に、フレームの第1面部との間で稜線を形成する第3面部の座屈抑制に前記ビードが余り役立たず、フレームの曲げ変形を抑制するものとしては必ずしも十分ではなく、フレームの曲げ強度の向上に対する更なる改善が望まれる。
【0008】
そこで、この発明は、フレームに外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と引張方向の力が作用する第2面部との間に位置して該第1面部との間で稜線を形成する第3面部が座屈することがフレームの曲げ変形を促進させる一因となることに着目し、フレームの第3面部が座屈することを抑制することができ、フレームの曲げ強度を高めることができる車両用フレーム構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため、本願の請求項1に係る発明は、車体の一部を構成し、閉断面状に形成されたフレームを有する車両用フレーム構造であって、前記フレームは、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と、引張方向の力が作用する第2面部と、該フレームの第1面部と第2面部との間に位置し、該第1面部との間で稜線を形成する両側の第3面部とを有し、前記第3面部の少なくとも一方に、前記第1面部から前記第2面部に向けて線状に延びる横補強部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【0010】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記横補強部は、前記フレームの長手方向と直交する直交断面方向に延びる第1の横補強部と、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて前記フレームの長手方向における一方の端部側に傾斜して延びる第2の横補強部と、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて前記フレームの長手方向における他方の端部側に傾斜して延びる第3の横補強部とから選ばれる少なくとも2つ以上の横補強部からなる、ことを特徴としたものである。
【0011】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に係る発明において、前記横補強部が設けられた前記第3面部における前記稜線近傍に、前記フレームの長手方向に線状に延びる縦補強部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【0012】
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項2又は請求項3に係る発明において、前記横補強部は、前記第1の横補強部、前記第2の横補強部及び前記第3の横補強部からなり、前記フレームの長手方向に前記第1の横補強部、前記第2の横補強部、前記第1の横補強部、前記第3の横補強部、前記第1の横補強部の順で設けられている、ことを特徴としたものである。
【0013】
また更に、本願の請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4の何れか1項に係る発明において、前記横補強部は、前記フレームを横切る方向における前記第3面部の中央側において交差しないように設けられている、ことを特徴としたものである。
【0014】
また更に、本願の請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5の何れか1項に係る発明において、前記横補強部は、前記フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部が前記第3面部の前記フレームを横切る方向における一方の端部側において結合され、該2つの横補強部と前記第3面部の前記フレームを横切る方向における他方の端部との間に略三角形状の領域が形成されるように設けられている、ことを特徴としたものである。
【0015】
また更に、本願の請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6の何れか1項に係る発明において、前記横補強部は、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて線幅が広く形成されている、ことを特徴としたものである。
【0016】
また更に、本願の請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7の何れか1項に係る発明において、前記補強部は、ビードにより形成されている、ことを特徴としたものである。
【0017】
また更に、本願の請求項9に係る発明は、請求項8に係る発明において、前記第3面部は、前記フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部と前記第3面部の前記フレームを横切る方向における端部との間に形成される領域の中央側が該領域の端部側に比して前記ビードの突出方向に膨出するように形成されている、ことを特徴としたものである。
【0018】
また更に、本願の請求項10に係る発明は、請求項8又は請求項9に係る発明において、前記横補強部は、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されている、ことを特徴としたものである。
【0019】
また更に、本願の請求項11に係る発明は、請求項8から請求項10の何れか1項に係る発明において、前記横補強部は、前記フレームを横切る方向における前記第3面部の端部側から中央側に向けて前記フレームの外方側に膨出するように湾曲して形成されている、ことを特徴としたものである。
【0020】
また更に、本願の請求項12に係る発明は、請求項8から請求項11の何れか1項に係る発明において、前記ビードの前記フレームの内方側に前記第3面部に沿って板状部材が取り付けられ、前記ビードと前記板状部材とによって閉断面部が形成されている、ことを特徴としたものである。
【0021】
また更に、本願の請求項13に係る発明は、請求項1から請求項12の何れか1項に係る発明において、前記フレームが、略水平方向に延びる上面部、該上面部の下方に位置して略水平方向に延びる下面部、及び該下面部から該上面部まで略垂直方向に延びて該上面部及び該下面部との間でそれぞれ稜線を形成する側面部を有するサイドシルアウタと、該サイドシルアウタの側面部の車内側に配置されて略垂直方向に延びる側面部を有するサイドシルインナとを備えて閉断面状に形成されたサイドシルであり、前記サイドシルアウタの下面部に、該サイドシルアウタの側面部から前記サイドシルインナの側面部に向けて線状に延びる前記横補強部が設けられている、ことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0022】
本願の請求項1に係る車両用フレーム構造によれば、閉断面状に形成されたフレームは、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と、引張方向の力が作用する第2面部と、フレームの第1面部と第2面部との間に位置し、第1面部との間で稜線を形成する両側の第3面部とを有し、第3面部の少なくとも一方に、第1面部から第2面部に向けて線状に延びる横補強部が設けられている。
【0023】
これにより、横補強部によってフレームの第1面部との間で稜線を形成する第3面部を補強することができ、外部から荷重が作用した時に、該第3面部が座屈することを抑制することができ、フレームの曲げ強度を高めることができる。外部から荷重が作用した時に、フレームの第3面部が座屈することを抑制することができるので、第3面部を通じて第2面部に荷重を伝達することができ、フレームの曲げ強度を効果的に高めることができる。
【0024】
また、本願の請求項2に係る発明によれば、横補強部は、フレームの長手方向と直交する直交断面方向に延びる第1の横補強部と、第1面部から第2面部に向かうにつれてフレームの長手方向における一方の端部側に傾斜して延びる第2の横補強部と、第1面部から第2面部に向かうにつれてフレームの長手方向における他方の端部側に傾斜して延びる第3の横補強部とから選ばれる少なくとも2つ以上の横補強部からなることにより、フレームの長手方向に線状に延びる補強部が設けられる場合に比べて、フレームの第1面部へ作用する外部からの荷重に対するフレームの曲げ強度を高めることができる。
【0025】
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、横補強部が設けられた第3面部における稜線近傍に、フレームの長手方向に線状に延びる縦補強部が設けられていることにより、外部から荷重が作用した時に、該荷重を前記稜線近傍においてフレームの長手方向に伝達して分散させることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0026】
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、横補強部は、第1の横補強部、第2の横補強部及び第3の横補強部からなり、フレームの長手方向に第1の横補強部、第2の横補強部、第1の横補強部、第3の横補強部、第1の横補強部の順で設けられていることにより、比較的簡単な構造によって、前記効果を具体的に実現することができる。
【0027】
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、横補強部は、フレームを横切る方向における第3面部の中央側において交差しないように設けられていることにより、横補強部がフレームを横切る方向における第3面部の中央側において交差して形成される場合に比べて、フレームの曲げ強度を高めることができる。
【0028】
また更に、本願の請求項6に係る発明によれば、横補強部は、フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部が第3面部のフレームを横切る方向における一方の端部側において結合され、該2つの横補強部と第3面部のフレームを横切る方向における他方の端部との間に略三角形状の領域が形成されるように設けられていることにより、比較的簡単な構造によって、フレームの第3面部の座屈耐力を効果的に高めることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0029】
また更に、本願の請求項7に係る発明によれば、横補強部は、第1面部から第2面部に向かうにつれて線幅が広く形成されていることにより、外部から荷重が作用した時に、第1面部との間で稜線を形成する第3面部において線状に延びる横補強部が座屈することを効果的に抑制することができる。
【0030】
また更に、本願の請求項8に係る発明によれば、補強部は、ビードにより形成されていることにより、比較的簡単な構造によって、前記効果をより具体的に実現することができる。
【0031】
また更に、本願の請求項9に係る発明によれば、第3面部は、フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部と第3面部のフレームを横切る方向における端部との間に形成される領域の中央側が該領域の端部側に比してビードの突出方向に膨出するように形成されていることにより、凸状に突出して形成されるビードが開くことを抑制することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0032】
また更に、本願の請求項10に係る発明によれば、横補強部は、第1面部から第2面部に向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されていることにより、フレームの第1面部と第3面部とを板状素材からプレス成形により一体的に形成する場合に、板状素材の中央部側では端部側に比して変形量を小さくして、プレス成形性を確保しつつ、第3面部の補強効果を有効に高めることができる。
【0033】
また更に、本願の請求項11に係る発明によれば、横補強部は、フレームを横切る方向における第3面部の端部側から中央側に向けてフレームの外方側に膨出するように湾曲して形成されていることにより、ビードが座屈することをより有効に抑制することができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0034】
また更に、本願の請求項12に係る発明によれば、ビードのフレームの内方側に第3面部に沿って板状部材が取り付けられ、ビードと板状部材とによって閉断面部が形成されていることにより、フレームの第3面部において横補強部の補強効果をさらに高めることができ、フレームの曲げ強度をさらに向上させることができる。
【0035】
また更に、本願の請求項13に係る発明によれば、フレームが、サイドシルアウタとサイドシルインナとを備えて閉断面状に形成されたサイドシルであり、サイドシルアウタの下面部に、該サイドシルアウタの側面部からサイドシルインナの側面部に向けて線状に延びる横補強部が設けられている。
【0036】
これにより、横補強部によってサイドシルアウタの側面部との間で稜線を形成するサイドシルアウタの下面部を補強することができ、サイドシルアウタの側面部に外部から荷重が作用した時に、該下面部が座屈することを抑制することができ、サイドシルの曲げ強度を高めることができる。サイドシルアウタの側面部に外部から荷重が作用した時に、サイドシルアウタの下面部が座屈することを抑制することができるので、該下面部を通じてサイドシルインナの側面部に荷重を伝達することができ、サイドシルの曲げ強度を効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルを示す斜視図である。
【図2】サイドシルのサイドシルアウタを示す斜視図である。
【図3】図1に示すサイドシルの下面図である。
【図4】図3におけるY4a−Y4a線、Y4b−Y4b線及びY4c−Y4c線に沿ったサイドシルの断面図である。
【図5】図3に示すサイドシルのA部を拡大した要部拡大図である。
【図6】サイドシルに設けられた縦補強部の作用を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルについて、該サイドシルに荷重を付加する圧子の下降ストロークと該荷重に対する反力との関係を示すグラフである。
【図8】サイドシルに設けられた第1の横補強部の作用を説明するための説明図である。
【図9】図2に示すサイドシルアウタを板状ワークから成形するための第1の成形工程を説明するための説明図である。
【図10】第1の成形工程において成形された板状ワークを示す断面図である。
【図11】サイドシルアウタを板状ワークから成形するための第2の成形工程を説明するための説明図である。
【図12】サイドシルアウタを板状ワークから成形するための第3の成形工程を説明するための説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図である。
【図15】本発明の第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図である。
【図16】本発明の第5の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図である。
【図17】サイドシルの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す側面図である。
【図18】サイドシルの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語、「時計回り方向」、「反時計回り方向」などの特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0039】
本願発明者等は、閉断面状に形成されたフレームの曲げ強度を高めることができる車両用フレーム構造の開発にあたり、先ず、閉断面状に形成されたフレームとしてのサイドシルに外部から曲げ荷重が作用してサイドシルが曲げ変形される際の変形挙動について、CAEによるシミュレーション解析を行った。
【0040】
図17は、サイドシルの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す側面図であり、図17では、サイドシルに生じる応力、具体的にはサイドシルアウタの下面部及びサイドシルインナの下面部に生じる応力も示している。また、図18は、サイドシルの曲げ変形挙動をシミュレーション解析した結果を示す断面図であり、サイドシルの長手方向中央部の断面について示している。なお、図17及び図18では、サイドシルの曲げ変形の進行状態を(a)、(b)、(c)、(d)の順に示している。
【0041】
この解析では、サイドシル210として、サイドシルアウタ211とサイドシルインナ212とからなるモデルを用いた。具体的には、サイドシルアウタ211として、略水平方向に延びる上面部211aと、上面部211aに対向して略水平方向に延びる下面部211bと、下面部211bから上面部211aまで略垂直方向に延びる側面部211cと、上面部211aから上方へ延びる上フランジ部211dと、下面部211bから下方へ延びる下フランジ部211eとを備え、略断面ハット状に形成されたものを用いた。
【0042】
また、サイドシルインナ212として、略水平方向に延びる上面部212aと、上面部212aに対向して略水平方向に延びる下面部212bと、下面部212bから上面部212aまで略垂直方向に延びる側面部212cと、上面部212aから上方へ延びる上フランジ部212dと、下面部212bから下方へ延びる下フランジ部212eとを備え、略断面ハット状に形成されたものを用いた。
【0043】
そして、サイドシルアウタ211とサイドシルインナ212とは、上フランジ部211d、上フランジ部212dどうしが接合されるとともに下フランジ部211e、下フランジ部212eどうしが接合され、これにより、サイドシル210が略矩形閉断面状に形成されている。
【0044】
本実施形態では、図17及び図18に示すように、サイドシルアウタ211の側面部211cが上側になるように配置した状態で、サイドシル210の長手方向両端部近傍を支持し、サイドシル210の長手方向中央部に外部から(図17及び図18では上方から)圧子220を介して荷重を作用させた場合について解析した。
【0045】
このように、サイドシル210に外部から曲げ荷重が作用する場合、図17(c)に示すように、サイドシル210は荷重が入力する部分が下側に凸状に湾曲して変形し、サイドシルアウタ211の側面部211cではサイドシル210の長手方向両端部から圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、サイドシルインナ212の側面部212cではサイドシル210の長手方向両端から引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。
【0046】
図17及び図18の(a)に示すように、圧子220がサイドシル210の上方から下降してサイドシル210に接触すると、サイドシルアウタ211の上面部211a及び下面部211bにおいて応力が生じ始める。そして、図17及び図18の(b)、(c)、(d)に示すように、圧子220の下降ストロークが大きくなるにつれて、サイドシルアウタ211の側面部211cとの間で稜線211f、211gを形成するサイドシルアウタ211の上面部211a及びサイドシルアウタ211の下面部211bがサイドシル210の外方側に膨らんで変形して座屈し、サイドシル210が曲げ変形されている。
【0047】
このシミュレーション解析結果から、閉断面状に形成されたフレーム(サイドシル)210に外部から曲げ荷重が入力されて曲げ変形される場合は、曲げ荷重が入力される際に圧縮方向の力が作用する第1面部(サイドシルアウタの側面部)211cと引張方向の力が作用する第2面部(サイドシルインナの側面部)212cとの間に位置し、第1面部211cとの間で稜線211f、211gを形成する両側の第3面部(サイドシルアウタの上面部と下面部)211a、211bがフレーム210の外方側に膨らんで座屈することが、フレーム210の曲げ変形を促進させる一因であることが考えられる。
【0048】
そこで、フレームに外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と引張方向の力が作用する第2面部との間に位置して該第1面部との間で稜線を形成する第3面部が座屈することを抑制することができれば、フレームの曲げ強度を高めることができると考えられる。
【0049】
以下、本発明の実施形態に係る車両用フレーム構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルを示す斜視図、図2は、サイドシルのサイドシルアウタを示す斜視図、図3は、図1に示すサイドシルの下面図、図4は、図3におけるY4a−Y4a線、Y4b−Y4b線及びY4c−Y4c線に沿ったサイドシルの断面図であり、図4(a)、図4(b)、図4(c)はそれぞれ、Y4a−Y4a線、Y4b−Y4b線及びY4c−Y4c線に沿った断面図、図5は、図3に示すサイドシルのA部を拡大した要部拡大図である。
【0050】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームとしてのサイドシル10は、車体下部において車体前後方向に延びるように配設されるものであり、車体の外面の一部を構成して車体前後方向に延びるサイドシルアウタ11と、車体の内面の一部を構成して車体前後方向に延びるサイドシルインナ12とによって閉断面状に形成されている。
【0051】
具体的には、サイドシルアウタ11は、略水平方向に延びる上面部11aと、上面部11aに対向して上面部11aの下方に位置し、略水平方向に延びる下面部11bと、下面部11bから上面部11aまで略垂直方向に延びる側面部11cとを備え、車外側に側面部11cが膨出するようにして配設されている。
【0052】
サイドシルアウタ11にはまた、上面部11aの車幅方向内方端部に上面部11aから上方へ延びる上フランジ部11dが形成されるとともに、下面部11bの車幅方向内方端部に下面部11bから下方へ延びる下フランジ部11eが形成され、サイドシルアウタ11は、略断面ハット状に形成されている。
【0053】
一方、サイドシルインナ12は、略水平方向に延びる上面部12aと、上面部12aに対向して上面部12aの下方に位置し、略水平方向に延びる下面部12bと、下面部12bから上面部12aまで略垂直方向に延びる側面部12cとを備え、車内側に側面部12cが膨出するようにして配設されている。
【0054】
サイドシルインナ12もまた、上面部12aの車幅方向外方端部に上面部12aから上方へ延びる上フランジ部12dが形成されるとともに、下面部12bの車幅方向外方端部に下面部12bから下方へ延びる下フランジ部12eが形成され、略断面ハット状に形成されている。
【0055】
そして、サイドシルアウタ11とサイドシルインナ12とは、上フランジ部11d、上フランジ部12dどうしが接合されるとともに下フランジ部11e、下フランジ部12eどうしが接合され、これにより、サイドシル10が閉断面状に形成されている。
【0056】
サイドシル10には、サイドシルアウタ11の上面部11aと側面部11cの間に稜線11fが形成され、サイドシルアウタ11の下面部11bと側面部11cの間に稜線11gが形成され、サイドシルインナ12の上面部12aと側面部12cの間に稜線12fが形成され、サイドシルインナ12の下面部12bと側面部12cの間に稜線12gが形成され、サイドシル10は略矩形閉断面状に形成されている。
【0057】
前述したように、サイドシル10には、例えば側突時などに外部から荷重が作用する場合、車外側に膨出したサイドシルアウタ11の側面部11cから荷重が入力されることとなる。このように、サイドシル10に外部から荷重が作用する場合、サイドシル10は荷重が入力する部分が車内側に湾曲して変形し、サイドシルアウタ11の側面部11cでは車体前後方向であるサイドシル10の長手方向両端から圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、サイドシルインナ12の側面部12cではサイドシル10の長手方向両端から引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。
【0058】
図2から図4に示すように、本実施形態に係るサイドシル10では、サイドシルアウタ11の下面部11bに、サイドシル10を補強するために、サイドシル10を横切る方向にサイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向けて線状に延びる横補強部20が設けられている。
【0059】
横補強部20は、サイドシル10の長手方向と直交する直交断面方向に延びる第1の横補強部21と、サイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれてサイドシル10の長手方向における一方の端部側(図3では車体前方側である左側)に傾斜して延びる第2の横補強部22と、サイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれてサイドシル10の長手方向における他方の端部側(図3では車体後方側である右側)に傾斜して延びる第3の横補強部23の3種類の横補強部からなっている。
【0060】
具体的には、第1の横補強部21は、サイドシル10の外方側に断面略コ字状に突出する第1のビード21aによって形成され、第1のビード21aは、サイドシル10の長手方向と直交する直交断面方向にサイドシルアウタ11の下面部11bにわたって形成されている。また、図4(a)では、図3におけるY4d−Y4d線に沿ったサイドシルアウタ11の下面部11bの断面を二点鎖線で示しているが、図4(a)に示すように、第1のビード21aは、下面部11bからのビードの突出量H1がサイドシル10を横切る方向において一定となるように形成されている。
【0061】
第2の横補強部22は、サイドシル10の外方側に断面略コ字状に突出する第2のビード22aによって形成され、第2のビード22aは、サイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれて車体前方側に略45度傾斜して延びるようにサイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11bにわたって形成されている。
【0062】
一方、第3の横補強部23もまた、サイドシル10の外方側に断面略コ字状に突出する第3のビード22aによって形成されているが、第3のビード23aは、サイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれて車体後方側に略45度傾斜して延びるようにサイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11bにわたって形成されている。
【0063】
なお、第2のビード22a及び第3のビード23aについても、下面部11bからのビードの突出量がサイドシル10を横切る方向において一定となるように形成され、これに限定されるものではないが、本実施形態では第1のビード21の突出量と略同一となるように形成されている。
【0064】
また、図5に示すように、第1のビード21aは、サイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれて線幅L1が広く形成されている。第2のビード22a及び第3のビード23aについても同様に、サイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれて線幅Lが広く形成されている。
【0065】
このように、横補強部20は、サイドシルアウタ11の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれて線幅が広く形成されていることにより、外部から荷重が作用した時に、サイドシルアウタ11の側面部11cとの間で稜線11gを形成するサイドシルアウタ11の下面部12bにおいて線状に延びる横補強部20が座屈することを効果的に抑制することができる。
【0066】
図2に示すように、サイドシル10ではまた、サイドシル10の長手方向において車体前方側から第3のビード23a、第1のビード21a、第2のビード22a、第1のビード21a、第3のビード23a、第1のビード21a、第2のビード22aの順に形成され、サイドシル10の長手方向において第1の横補強部21、第2の横補強部22、第1の横補強部21、第3の横補強部23、第1の横補強部21の順で設けられている。
【0067】
さらに、車体前方側に設けられる3つのビード23a、21a、22a及び車体後方側に設けられる3つのビード23a、21a、22aがサイドシルアウタ11の下面部11bのサイドシル10を横切る方向における車内側の端部において結合され、車体前後方向中央側に設けられる3つのビード22a、21a、23aがサイドシルアウタ11の下面部11bのサイドシル10を横切る方向における車外側の端部において結合されている。
【0068】
本実施形態では、サイドシル10の長手方向に隣り合う2つのビード、第1のビード21aと第2のビード22a又は第1のビード21aと第3のビード23aは、サイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの一方の端部側において結合され、該2つのビード21a、22a又は21a、23aとサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの他方の端部との間に略三角形状の領域Sが形成されている。
【0069】
例えば、図3に示すように、サイドシル10の長手方向において車体前方側に位置する第3のビード23aと該ビード23aに隣り合う第1のビード21aは、サイドシルアウタ11の下面部11bの車内側の端部において結合され、該2つのビード23a、21aとサイドシルアウタ11の下面部11bの車外側の端部との間に略三角形状の領域S1が形成されている。
【0070】
このように、横補強部20は、サイドシル10の長手方向に隣り合う2つの横補強部、具体的には第1の横補強部21と第2の横補強部22又は第1の横補強部21と第3の横補強部23がサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの一方の端部側において結合され、該2つの横補強部22、21又は21、23とサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの他方の端部との間に略三角形状の領域Sが形成されるように設けられている。これにより、比較的簡単な構造によって、サイドシルアウタ11の側面部11bの座屈耐力を効果的に高めることができる。
【0071】
そして、第1のビード21a、第2のビード22a及び第3のビード23aはそれぞれ、サイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11bの中央側において交差しないように形成され、横補強部20は、サイドシル10を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11bの中央側において交差しないように設けられている。これにより、横補強部20がサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの中央側において交差して形成される場合に比べて、サイドシル10の曲げ強度を高めることができる。
【0072】
なお、本実施形態では、横補強部20は、第1の横補強部21、第2の横補強部22及び第3の横補強部23からなっているが、横補強部20は、第1の横補強部21と第2の横補強部22、第2の横補強部22と第3の横補強部23又は第3の横補強部23と第1の横補強部21など、第1の横補強部21と第2の横補強部22と第3の横補強部23とから選ばれる少なくとも2つ以上の横補強部からなるように形成することが可能である。
【0073】
また、本実施形態では、サイドシル10の長手方向に隣り合う2つの横補強部21、22又は21、23がサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの一方の端部側において結合されているが、サイドシル10の長手方向に隣り合う2つの横補強部をサイドシルアウタ11の下面部11bの一方の端部側において結合しないように形成することも可能である。
【0074】
サイドシル10にはまた、横補強部20が設けられたサイドシルアウタ11の下面部11bにおける稜線11g近傍に、サイドシル10を補強するために、サイドシル10の長手方向に線状に延びる縦補強部30が設けられている。この縦補強部30は、サイドシル10の外方側に断面略コ字状に突出する第4のビード30aによって形成され、第4のビード30aは、サイドシル10の長手方向にわたって形成されている。
【0075】
また、第4のビード30aは、第1のビード21a、第2のビード22a及び第3のビード23aとそれぞれサイドシル10を横切る方向における車外側の端部において結合されている。これにより、サイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの車内側の端部において結合されたサイドシル10の長手方向に隣り合う2つのビード21a、22a又は21a、23aとサイドシル10を横切る方向におけるサイドシルアウタ11の下面部11bの車外側の端部との間に形成される略三角形状の領域Sは、具体的には、隣り合う2つのビード21a、22a又は21a、23aと第4のビード30aとによって形成されている。
【0076】
第4のビード30aはまた、下面部11bからのビードの突出量がサイドシル10の長手方向において一定となるように形成され、これに限定されるものではないが、本実施形態では第1のビード21a、第2のビード22a及び第3のビード23aの突出量と略同一となるように形成されている。
【0077】
なお、本実施形態に係るサイドシル10では、サイドシルアウタ11の下面部11bに横補強部20及び縦補強部30が設けられているが、サイドシルアウタ11の上面部11aに横補強部20及び縦補強部30を設けるようにしてもよく、あるいは、サイドシルアウタ11の上面部11a及び下面部11bにそれぞれ横補強部20及び縦補強部30を設けるようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態では、横補強部20及び縦補強部30が、サイドシル10の外方側に突出するビード21a、22a、23a、30aによって形成されているが、サイドシル10の内方側に突出するビードによって形成するようにしてもよい。また、横補強部20及び縦補強部30を肉盛溶接によってサイドシル10の外方側又は内方側に突出するように形成することも可能である。
【0079】
このように、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造では、フレーム(サイドシル)10は、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部(サイドシルアウタの側面部)11cと、引張方向の力が作用する第2面部(サイドシルインナの側面部)12cと、フレーム10の第1面部11cと第2面部12cとの間に位置し、該第1面部11cとの間で稜線11f、11gを形成する両側の第3面部(サイドシルアウタの上面部及び下面部)11a、11bとを有し、第3面部11a、11bの少なくとも一方に、第1面部11cから第2面部12cに向けて線状に延びる横補強部20が設けられている。
【0080】
これにより、横補強部20によってフレーム10の第1面部11cとの間で稜線11f、11gを形成する第3面部11a、11bを補強することができ、外部から荷重が作用した時に、フレーム10の第3面部11a、11bが座屈することを抑制することができ、フレーム10の曲げ強度を高めることができる。外部から荷重が作用した時に、フレーム10の第3面部11a、11bが座屈することを抑制することができるので、第3面部11a、11bを通じて第2面部11cに荷重を伝達することができ、フレーム10の曲げ強度を効果的に高めることができる。
【0081】
また、横補強部20は、第1の横補強部21と第2の横補強部22と第3の横補強部23とから選ばれる少なくとも2つ以上の横補強部からなることにより、フレーム10の長手方向に線状に延びる補強部が設けられる場合に比べて、フレーム10の第1面部11cへ作用する外部からの荷重に対するフレーム10の曲げ強度を高めることができる。
【0082】
更に、横補強部20が設けられた第3面部11a、11bにおける稜線11f、11g近傍に、フレーム10の長手方向に線状に延びる縦補強部30が設けられていることにより、外部から荷重が作用した時に、該荷重を稜線11f、11g近傍においてフレーム10の長手方向に伝達して分散させることができ、前記効果をより有効に奏することができる。
【0083】
図6は、サイドシルに設けられた縦補強部の作用を説明するための説明図である。図6の矢印F1、F2、F3で示すように、外部から荷重が作用する部分がサイドシル10の長手方向において異なる場合においても、縦補強部30を通じて、該荷重をサイドシル10の長手方向に伝達して分散させることができ、縦補強部30に結合される第1の横補強部21、第2の横補強部22及び第3の横補強部23に荷重を分散させることができる。
【0084】
本実施形態ではまた、本発明の第1の実施形態に係るサイドシル10について、図17及び図18に示すように、圧子を介して外部から荷重を作用したときに該荷重に対する反力をシミュレーション解析により評価した。この解析では、サイドシル10(実施例1)に加えて、横補強部20は形成するものの縦補強部30を形成しないサイドシル(実施例2)、横補強部20の第2の横補強部22及び第3の横補強部23は形成するものの縦補強部30及び横補強部20の第1の横補強部21を形成しないサイドシル(実施例3)、横補強部20及び縦補強部30を形成しないサイドシル(比較例)についても評価した。
【0085】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルについて、該サイドシルに荷重を付加する圧子の下降ストロークと該荷重に対する反力との関係を示すグラフである。なお、図7では、実施例1を実線で表し、実施例2を破線で表し、実施例3を一点鎖線で表し、比較例を二点鎖線で表している。
【0086】
図7に示すように、実施例1、実施例2及び実施例3は、比較例に比べて外部から作用する荷重に対する反力の最大値が高くなるという結果が得られた。また、実施例1、実施例2及び実施例3については、実施例1、実施例2、実施例3の順に外部から作用する荷重に対する反力の最大値が大きくなるという結果が得られた。
【0087】
ここで、実施例2が実施例3に比べて外部から作用する荷重に対する反力の最大値が大きくなっている一因として、以下の理由が考えられる。
図8は、サイドシルに設けられた第1の横補強部の作用を説明するための説明図である。図8に示すように、サイドシル10に外部から荷重が作用する場合、ラインL2、L3に示すように、荷重が入力される部分を中心として略半円形に広がって面外変形が伝播することとなる。
【0088】
そして、サイドシル10の長手方向両端部に設けられた第2の横補強部22及び第3の横補強部23はそれぞれ、ラインL2、L3と略平行に設けられていることからラインL2、L3に略平行に設けられていない場合に比べて変形し易くなるが、第2の横補強部22及び第3の横補強部23にそれぞれ隣り合う第1の横補強部21を設けることで、面外変形の伝播を抑制し、第2の横補強部22及び第3の横補強部23が面外変形のきっかけになることを抑制することができる。このことは、実施例2が実施例3に比べて外部から作用する荷重に対する反力の最大値が大きくなっている一因であると考えられる。
【0089】
次に、このようにして構成されるサイドシル10の成形方法について説明する。
前述したように、サイドシル10は、略断面ハット状に形成されたサイドシルアウタ11とサイドシルインナ12とから形成されているが、サイドシルアウタ11とサイドシルインナ12とはそれぞれ、鋼板などの金属製の板状素材(板状ワーク)をプレス加工して形成することができる。
【0090】
図9は、図2に示すサイドシルアウタを板状ワークから成形するための第1の成形工程を説明するための説明図である。図9に示すように、先ず、板状ワークW1は、板状ワークW1を保持する下型41と、下型41に対して相対的に移動され、下型41とともに板状ワークW1を所定形状に成形するための上型46と有する第1のプレス成形型40を用いて成形される。
【0091】
第1のプレス成形型40の下型41は、上面41aに下方へ窪む溝部41bが設けられ、該溝部41bは、サイドシルアウタ11の上面部11aに対応して所定形状に形成される第1の底壁部42aと、サイドシルアウタ11の下面部11bに対応して所定形状に形成される第2の底壁部42bと、サイドシルアウタ11の側面部11cに対応して所定形状に形成される第3の底壁部42cとからなる底壁部42と、底壁部42の両側から上方へ傾斜して延び、サイドシルアウタ11の上フランジ部11d、下フランジ部11eに対応して所定形状に形成される縦壁部43、44とを備えている。第1の底壁部42aと第2の底壁部42bは、サイドシルアウタ11の上面部11aと下面部11bと同一形状に形成されているが、第3の底壁部42cは、下方側へ窪む2つの凹部42d、42eを有するように形成されている。
【0092】
一方、第1のプレス成形型40の上型46は、下面46aに下方へ突出する突出部46bが設けられており、該突出部46bは、下型41の溝部41bに対応して所定形状に形成され、突出部46bには、下型41の凹部42d、42eに対応して下方側へ突出する2つの凸部47d、47eが形成されている。
【0093】
そして、下型41に板状ワークW1を保持した状態で上型46を下方へ移動して板状ワークW1をプレス成形する。図10は、第1の成形工程において成形された板状ワークを示す断面図であり、図10では、板状ワークを下型に保持した状態で示している。図10に示すように、板状ワークW1は、所定形状にプレス成形され、サイドシルアウタ11の上面部11aに対応した第1の底壁部W2と、サイドシルアウタ11の下面部11bに対応した第2の底壁部W3と、サイドシルアウタ11の側面部11cに対応した第3の底壁部W4と、サイドシルアウタ11の上フランジ部11dに対応した第1の縦壁部W5と、サイドシルアウタ11の下フランジ部11eに対応した第2の縦壁部W6とを備えている。
【0094】
第3の底壁部W4にはまた、下型41の凹部42d、42eと上型46の凸部47d、47eとによって下方側に突出する2つの凸部Wa、Wbが板状ワークW1の長手方向において略平行に並んで形成され、2つの凸部Wa、Wbは、断面曲線状に形成されている。また、第2の底壁部W3には、サイドシルアウタ11の下面部11bに形成されるビードWcが形成されている。なお、図9から図12では、サイドシルアウタ12について、図3におけるY4d−Y4dに対応する断面について示している。
【0095】
第1の成形工程において板状ワークW1がプレス成形された後、図示しないブランキング手段によって、図10に示すブランキングラインL4、L5でブランキングされ、板状ワークW1の第1の縦壁部W5及び第2の縦壁部W6の両端部が切り取られ、第1の縦壁部W5及び第2の縦壁部W6がそれぞれサイドシルアウタ11の上フランジ部11d及び下フランジ部11eの形状に形成される。
【0096】
図11は、サイドシルアウタを板状ワークから成形するための第2の成形工程を説明するための説明図である。図11に示すように、板状ワークW1は次に、板状ワークW1を保持する第1のダイ51と、第1のダイ51の上方に配置され、第1のダイ51に保持された板状ワークW1の2つの凸部Wa、Wbをその突出方向と逆方向にプレス成形するためのパンチ52とを有する第2のプレス成形型50を用いてプレス成形される。なお、後述するように、第2のプレス成形型50はまた、第1のダイ51の外周側に嵌め合わせられる第2のダイ55を有している。
【0097】
図11(a)に示すように、第1のダイ51の上面51aに板状ワークW1の凸部Wa、Wbがパンチ52側に向くようにして第3の底壁部W4を保持した状態で、パンチ52を下方へ移動させ、パンチ52の下面52aによって2つの凸部Wa、Wbをその突出方向と逆方向にプレス成形すると、図11(b)に示すように、パンチ52の下面52aと第1のダイ51の上面51aによって2つの凸部Wa、Wbが略平坦状に形成され、サイドシルアウタ11の側面部11cの形状に成形される。
【0098】
2つの凸部Wa、Wbが略平坦状に形成される際には、板状ワークW1の第1の底壁部W2及び第1の縦壁部W5が、図11において反時計回りに板状ワークW1の内方側へ変位され、板状ワークW1の第2の底壁部W3及び第2の縦壁部W6が図11において時計回り方向に板状ワークW1の内方側へ変位される。
【0099】
図12は、サイドシルアウタを板状ワークから成形するための第3の成形工程を説明するための説明図である。図12に示すように、第2のプレス成形型50は、第1のダイ51の外周側に嵌め合わせられる第2のダイ55を備え、該第2のダイ55は、第1のダイ51との嵌合部近傍に溝部56、57が形成されている。溝部56、57はそれぞれ、サイドシルアウタ11の側面部11bと上面部11a、下面部11bの間の稜線11f、11gの形状に対応して形成されている。
【0100】
図12(a)に示すように、板状ワークW1は次に、パンチ52と第1のダイ51によって挟持され保持された状態から下方へ移動され、図12(b)に示すように、第2のダイ55の溝部56、57によって板状ワークW1の第1の底壁部W2及び第1の縦壁部5が、図12において反時計回りに板状ワークW1の内方側へ変位され、板状ワークW1の第2の底壁部W3及び第2の縦壁部W6が図12において時計回り方向に板状ワークW1の内方側へ変位され、サイドシルアウタ11が成形される。
【0101】
このように、断面略ハット状に形成されたサイドシルアウタ11の下面部11bにビード21a、22a、23a、30aが設けられた場合にも、比較的簡単な方法によって、板状ワークをプレス成形して成形することができる。また、サイドシルインナ12については、サイドシルインナ12の下面部12aにビードが設けられていないので、サイドシルインナ12の形状に対応して形成された下型と上型を備えたプレス成形型によって断面略ハット状に成形することができる。
【0102】
図13は、本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図であり、図13(a)は、本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルの下面図、図13(b)は、図13(a)におけるY13b−Y13bに沿った断面図である。本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造は、第1の実施形態に係る車両用フレーム構造においてサイドシルアウタ11の下面部11bが異なるのみであるので、同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。なお、図13(b)では、図13(a)におけるY13c−Y13cに沿ったサイドシルアウタの下面部の断面を二点鎖線で示している。
【0103】
図13(a)に示すように、第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシ60においても、サイドシルアウタ61の下面部61bに横補強部70及び縦補強部30が設けられているが、該下面部61bは、図13(b)に示すように、サイドシル10の長手方向に隣り合う2つの横補強部を形成する2つのビード、すなわち第1のビード71aと第2のビード72a又は第1のビード71a又は第3のビード73aと、該下面部61bのサイドシル60を横切る方向における端部との間に形成される領域Sの中央側が該領域Sの端部側に比してビードの突出方向に膨出するように形成されている。
【0104】
このように、第3面部(サイドシルアウタの下面部)61bは、フレーム(サイドシル)60の長手方向に隣り合う2つの横補強部と第3面部61bのフレーム60を横切る方向における端部との間に形成される領域Sの中央側が該領域Sの端部側に比してビードの突出方向に膨出するように形成されていることにより、凸状に突出して形成されるビードが開くことを抑制することができる。
【0105】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図であり、図14(a)は、本発明の第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルの下面図、図14(b)は、図14(a)におけるY14b−Y14bに沿った断面図である。本発明の第3の実施形態に係る車両用フレーム構造は、第1の実施形態に係る車両用フレーム構造において横補強部の形状が異なるのみであるので、同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。なお、図14(b)では、図14(a)におけるY14c−Y14cに沿ったサイドシルアウタの下面部の断面を二点鎖線で示している。
【0106】
図14(a)に示すように、第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシ80においても、サイドシルアウタ81の下面部81bに横補強部90及び縦補強部30が設けられているが、図14(b)に示すように、第1の横補強部を形成する第1のビード91aは、サイドシルアウタ81の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されている。
【0107】
サイドシル80ではまた、第2の横補強部を形成する第2のビード92a及び第3の横補強部を形成する第3のビード93aについても、サイドシルアウタ81の側面部11cからサイドシルインナ12の側面部12cに向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されている。
【0108】
このように、横補強部90は、第1面部(サイドシルアウタの側面部)11cから第2面部(サイドシルインナの側面部)12cに向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されていることにより、フレーム(サイドシル)80の第1面部11cと第3面部(サイドシルインナの下面部)81bとを板状素材からプレス成形により一体的に形成する場合に、板状素材の中央部側では端部側に比して変形量を小さくして、プレス成形性を確保しつつ、第3面部の補強効果を有効に高めることができる。
【0109】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図であり、図15(a)は、本発明の第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルの下面図、図15(b)は、図15(a)におけるY15b−Y15bに沿った断面図である。本発明の第4の実施形態に係る車両用フレーム構造は、第1の実施形態に係る車両用フレーム構造において横補強部の形状が異なるのみであるので、同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。なお、図15(b)では、図15(a)におけるY15c−15cに沿ったサイドシルアウタの下面部の断面を二点鎖線で示している。
【0110】
図15(a)に示すように、第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシ100においても、サイドシルアウタ101の下面部101bに横補強部110及び縦補強部30が設けられているが、図15(b)に示すように、第1の横補強部を形成する第1のビード111aは、サイドシル100を横切る方向におけるサイドシルアウタ101の下面部101bの端部側から中央側に向けてサイドシル100の外方側に膨出するように湾曲して形成されている。
【0111】
サイドシル100ではまた、第2の横補強部を形成する第2のビード112a及び第3の横補強部を形成する第3のビード113aについても、サイドシル100を横切る方向におけるサイドシルアウタ101の下面部101bの端部側から中央側に向けてサイドシル100の外方側に膨出するように湾曲して形成されている。
【0112】
このように、横補強部110は、フレーム(サイドシル)100を横切る方向における第3面部(サイドシルアウタの下面部)101bの端部側から中央側に向けてフレーム100の外方側に膨出するように湾曲して形成されていることにより、ビードが座屈することをより有効に抑制することができる。
【0113】
図16は、本発明の第5の実施形態に係る車両用フレーム構造を説明するための説明図であり、図16(a)は、本発明の第5の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシルの下面図、図16(b)は、図16(a)におけるY16b−Y16bに沿った断面図である。本発明の第5の実施形態に係る車両用フレーム構造は、第1の実施形態に係る車両用フレーム構造において板状部材が取り付けられていること以外は同様であるので、同様の構成を備えて同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
図16(a)及び図16(b)に示すように、第5の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用したサイドシル120では、横補強部20を形成するビード21a、22a、23aのサイドシル120の内方側にサイドシルアウタ11の下面部11bに沿って板状部材121が取り付けられ、該板状部材121は、断面略L字状に形成され、サイドシルアウタ11の下面部11b及び側面部11cにわたって取り付けられている。
【0115】
サイドシル120では、ビード21a、22a、23aと板状部材121とによって閉断面部122が形成されている。また、ビード30aと板状部材121とによって閉断面部123が形成されている。なお、板状部材121は、サイドシル120を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11bの車外側の端部から中央側まで延びるように形成されているが、サイドシル120を横切る方向においてサイドシルアウタ11の下面部11b全体にわたって形成するようにしてもよい。
【0116】
このように、ビード21a、22a、23aのフレーム(サイドシル)120の内方側に第3面部(サイドシルアウタの下面部)11bに沿って板状部材121が取り付けられ、ビード21a、22a、23aと板状部材121とによって閉断面部122が形成されていることにより、フレーム120の第3面部11bにおいて横補強部20の補強効果をさらに高めることができ、フレーム120の曲げ強度をさらに向上させることができる。
【0117】
なお、本実施形態では、サイドシル10は、上面部11aと下面部11bと側面部11cを備えて断面略ハット状に形成されたサイドシルアウタ11と、上面部12aと下面部12bと側面部12cを備えて断面略ハット状に形成されたサイドシルインナ12とによって略矩形閉断面状に形成されているが、上面部11aと下面部11bと側面部11cを備えて断面略ハット状に形成されたサイドシルアウタ11と、上面部12a及び下面部12bを備えておらず、上フランジ部12dと下フランジ部12eとをつなぐように側面部12cが形成されたサイドシルインナとによってサイドシルを略矩形閉断面状に形成するようにしてもよい。
【0118】
以上のように、本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、フレームの曲げ強度を高めることができる車両用フレーム構造を提供することができ、例えばサイドシルやピラーなどの車体の一部を構成する車体フレームに広く利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0120】
10、60、80、100、120 サイドシル(フレーム)
11 サイドシルアウタ
11a サイドシルアウタの上面部(第3面部)
11b サイドシルアウタの下面部(第3面部)
11c サイドシルアウタの側面部(第1面部)
11f、11g、12f、12g 稜線
12 サイドシルインナ
12c サイドシルインナの側面部(第2面部)
20、70、90、110 横補強部
21 第1の横補強部
21a、71a、91a、111a 第1のビード
22 第2の横補強部
22a、72a、92a、112a 第2のビード
23 第3の横補強部
23a、73a、93a、113a 第3のビード
30 縦補強部
30a 第4のビード
121 板状部材
122、123 閉断面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の一部を構成し、閉断面状に形成されたフレームを有する車両用フレーム構造であって、
前記フレームは、外部から荷重が作用した時に圧縮方向の力が作用する第1面部と、引張方向の力が作用する第2面部と、該フレームの第1面部と第2面部との間に位置し、該第1面部との間で稜線を形成する両側の第3面部とを有し、
前記第3面部の少なくとも一方に、前記第1面部から前記第2面部に向けて線状に延びる横補強部が設けられている、
ことを特徴とする車両用フレーム構造。
【請求項2】
前記横補強部は、前記フレームの長手方向と直交する直交断面方向に延びる第1の横補強部と、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて前記フレームの長手方向における一方の端部側に傾斜して延びる第2の横補強部と、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて前記フレームの長手方向における他方の端部側に傾斜して延びる第3の横補強部とから選ばれる少なくとも2つ以上の横補強部からなる、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用フレーム構造。
【請求項3】
前記横補強部が設けられた前記第3面部における前記稜線近傍に、前記フレームの長手方向に線状に延びる縦補強部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用フレーム構造。
【請求項4】
前記横補強部は、前記第1の横補強部、前記第2の横補強部及び前記第3の横補強部からなり、
前記フレームの長手方向に前記第1の横補強部、前記第2の横補強部、前記第1の横補強部、前記第3の横補強部、前記第1の横補強部の順で設けられている、
ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用フレーム構造。
【請求項5】
前記横補強部は、前記フレームを横切る方向における前記第3面部の中央側において交差しないように設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項6】
前記横補強部は、前記フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部が前記第3面部の前記フレームを横切る方向における一方の端部側において結合され、該2つの横補強部と前記第3面部の前記フレームを横切る方向における他方の端部との間に略三角形状の領域が形成されるように設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項7】
前記横補強部は、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれて線幅が広く形成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項8】
前記補強部は、ビードにより形成されている、
ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項9】
前記第3面部は、前記フレームの長手方向に隣り合う2つの横補強部と前記第3面部の前記フレームを横切る方向における端部との間に形成される領域の中央側が該領域の端部側に比して前記ビードの突出方向に膨出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の車両用フレーム構造。
【請求項10】
前記横補強部は、前記第1面部から前記第2面部に向かうにつれてビードの突出量が大きくなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の車両用フレーム構造。
【請求項11】
前記横補強部は、前記フレームを横切る方向における前記第3面部の端部側から中央側に向けて前記フレームの外方側に膨出するように湾曲して形成されている、
ことを特徴とする請求項8から請求項10の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項12】
前記ビードの前記フレームの内方側に前記第3面部に沿って板状部材が取り付けられ、
前記ビードと前記板状部材とによって閉断面部が形成されている、
ことを特徴とする請求項8から請求項11の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。
【請求項13】
前記フレームが、略水平方向に延びる上面部、該上面部の下方に位置して略水平方向に延びる下面部、及び該下面部から該上面部まで略垂直方向に延びて該上面部及び該下面部との間でそれぞれ稜線を形成する側面部を有するサイドシルアウタと、該サイドシルアウタの側面部の車内側に配置されて略垂直方向に延びる側面部を有するサイドシルインナとを備えて閉断面状に形成されたサイドシルであり、
前記サイドシルアウタの下面部に、該サイドシルアウタの側面部から前記サイドシルインナの側面部に向けて線状に延びる前記横補強部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項12の何れか1項に記載の車両用フレーム構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate


【公開番号】特開2012−86692(P2012−86692A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−235545(P2010−235545)
【出願日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】