説明

車両用ブレーキシステムの入力装置

【課題】本発明は、レイアウトの自由度を高めることができる車両用ブレーキシステム及びその入力装置を提供する。
【解決手段】本発明は、電動ブレーキアクチュエータとは別体に構成されると共にダッシュボードに取り付けられて操作者により操作されるブレーキ操作子を有する車両用ブレーキシステムの入力装置14であって、ブレーキ操作子の操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダ34と、操作反力をブレーキ操作子に擬似的に付与するストロークシミュレータ64との並設体14aに対して取り付けられるセンサバルブユニット300を備え、並設体14a内には、その一端がセンサバルブユニット300内に臨むと共に、ダッシュボード2の入力装置取付面内にその他端が臨む通気孔307を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ブレーキシステムの入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両(自動車)用のブレーキシステムとしては、例えば、負圧式ブースタや油圧式ブースタなどの倍力装置を備えるものが知られている。また、近年では、電動モータを倍力源として利用する電動倍力装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示された電動倍力装置は、ブレーキペダルの操作によって進退動作する主ピストンと、この主ピストンと相対変位可能に外嵌された筒状のブースタピストンと、このブースタピストンを進退動作させる電動モータとを備えて構成されている。
【0004】
この電動倍力装置によれば、主ピストンとブースタピストンとをマスタシリンダのピストンとし、それぞれの前端部をマスタシリンダの圧力室に臨ませることで、操作者によってブレーキペダルから主ピストンに入力される推力と、電動モータからブースタピストンに入力されるブースタ推力とによって、ブレーキ液圧をマスタシリンダ内に発生させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−23594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された電動倍力装置では、ブレーキペダルから入力される液圧発生機構と、電動モータから入力される液圧発生機構とを一体に構成しているため、装置全体が大型化する傾向にあり、レイアウトの自由度が損なわれるという問題があった。
【0007】
本発明は、前記従来の問題を解決するものであり、レイアウトの自由度を高めることができる車両用ブレーキシステムの入力装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決した本発明は、少なくともブレーキ操作子の操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生する電動ブレーキアクチュエータとは別体に構成されると共にダッシュボードに取り付けられて操作者により操作されるブレーキ操作子を有する車両用ブレーキシステムの入力装置であって、前記ブレーキ操作子の前記操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダと、前記マスタシリンダに一体となるように並設されると共に前記マスタシリンダと連通され、前記ブレーキ操作子の操作反力を前記ブレーキ操作子に擬似的に付与するストロークシミュレータと、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に付設される部品を収納すると共に前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとの並設体に対して取り付けられる部品収納ボックスと、を備え、前記並設体内には、その一端が前記部品収納ボックス内に臨むと共に、前記ダッシュボードの入力装置取付面内にその他端が臨む通気孔を有していることを特徴とする。
【0009】
この車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、マスタシリンダに対してストロークシミュレータが一体となるように並設されるので、小型化(コンパクト化)した入力装置を実現することができる。
【0010】
また、この車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、マスタシリンダ及びストロークシミュレータに付設される部品が部品収納ボックスに収納されると共に、この部品収納ボックスが前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとの並設体に対して取り付けられるので、入力装置を、より小型化(コンパクト化)することができる。
【0011】
また、このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、これを車両用ブレーキシステムに構成要素として組み込んだ場合に、電動ブレーキアクチュエータと分離して(別体にて)構成されるので、車両用ブレーキシステムのレイアウトの自由度を高めることができる。つまり、一般に動力装置搭載室(エンジンルーム)内には、動力装置(エンジン及び/又は走行モータ)、トランスミッション、ラジエータなどの冷却系、低圧バッテリなど各種の装置が搭載されるため、必然的に大きな空スペース(設置スペース)を確保することが難しくなる。一方、本発明では、入力装置が電動ブレーキアクチュエータと分離して構成されることで、個々の装置のサイズを小さくすることができ、大きな空スペースを確保する必要がなくなり、狭い空スペースであっても配置可能な車両用ブレーキシステムを構築することができる。
【0012】
また、このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、電動ブレーキアクチュエータと分離して(別体にて)構成されるので、音や振動の発生源となることがある電動ブレーキアクチュエータを運転者から離して配置することができ、運転者に音や振動による違和感(不快感)を与えるのを防止することができる。
【0013】
また、このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、部品収納ボックスの呼吸孔となる通気孔の他端が、ダッシュボードの入力装置取付面内に臨むことでダッシュボードに覆われるので、外部からこの通気孔を介して異物や水等が部品収納ボックス内に入り込むのを防止することができる。その結果、この車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、部品収納ボックス内に収納された部品の信頼性を向上させることができる。
【0014】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記マスタシリンダの一部は前記ダッシュボードを介して車室内に延在すると共に、前記ダッシュボードの前記入力装置取付面内に臨む前記通気孔の他端は、前記マスタシリンダ寄りに形成されている構成とすることができる。
【0015】
このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、マスタシリンダとダッシュボードとの隙間を介して、通気孔を車室内との通気を行うことができる。
【0016】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記並設体は、ダッシュボードに対して前記並設体の外周を囲繞するガスケットを介して設置されると共に、前記マスタシリンダと前記ダッシュボードとは空隙を持って設置される構成とすることができる。
【0017】
このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、ガスケットによって通気孔は、動力装置搭載室(エンジンルーム)に開放されず、マスタシリンダとダッシュボードとの間の空隙にのみ連通することになるので、外部からこの通気孔を介して異物や水等が部品収納ボックス内に入り込むのを、より効果的に防止することができる。
【0018】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記通気孔の開口に防水通気部材を配置した構成が望ましい。
【0019】
このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、車室内の埃等の異物(微小な水滴も含む)が、通気孔を介して部品収納ボックス内に入り込むのを、更に確実に防止することができる。
【0020】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記並設体は、前記ダッシュボードの前記入力装置取付面との対向面に、肉抜き部を有すると共に、前記通気孔の他端は、この肉抜き部に臨んでいることが望ましい。
【0021】
このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、通気孔の他端が、肉抜き部に臨んでいるので、この肉抜き部は、入力装置の軽量化に寄与するだけでなく、通気孔の他端に形成された、いわゆるドライエリアとしても機能することができる。
【0022】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記並設体は鋳造にて成形されると共に、前記肉抜き部は鋳抜きによって形成される構成とすることができる。
【0023】
このような車両用ブレーキシステムの入力装置によれば、鋳造時における肉抜き部に対応する部分は、鋳込み時の引けや湯周り等を考慮して形成されたものであり、例えば切削等の肉抜き専用の加工を別途に必要としないので、加工効率が向上する。
【0024】
この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記部品収納ボックスは、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に連通する連通路の液圧を検出するセンサを内蔵するセンサユニットである構成とすることができる。
【0025】
また、この車両用ブレーキシステムの入力装置においては、前記部品収納ボックスは、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に連通する連通路の開閉弁機構を内蔵するバルブユニットである構成とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、レイアウトの自由度を高めることができる車両用ブレーキシステムの入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る入力装置が組み込まれた車両用ブレーキシステムの配置構成を示す図である。
【図2】図1の車両用ブレーキシステムを示す概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る入力装置の全体斜視図である。
【図4】(a)は、本発明の実施形態に係る入力装置の背面図、(b)は、(a)のb−b断面における部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る入力装置は、車両用ブレーキシステムに組み込まれる際に、電動ブレーキアクチュエータと分離して(別体にて)配置されること、及び入力装置に特有の構成を採用したことに主な特徴点を有する。
以下では、右ハンドル車について適用される本発明の実施形態に係る車両用ブレーキシステムの全体構成について説明した後に、入力装置について更に詳しく説明する。
【0029】
<車両用ブレーキシステムの全体構成>
本実施形態に係る車両用ブレーキシステムにおいては、電気信号を伝達してブレーキを作動させるバイ・ワイヤ(By Wire)式のブレーキシステムと、フェイルセイフ時用として、油圧を伝達してブレーキを作動させる旧来の油圧式のブレーキシステムの双方を備えて構成されるものを例にとって説明する。以下の説明における前後上下左右の方向は、図1の手前側を上側として車両の前後左右の方向に一致させた、図1に示す前後左右の方向を基準とする。
【0030】
図1に示すように、車両用ブレーキシステム10は、基本的に、操作者によってブレーキ操作が入力される入力装置14と、少なくともブレーキ操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生させるモータシリンダ装置(電動ブレーキアクチュエータ)16と、このモータシリンダ装置16で発生したブレーキ液圧に基づいて車両挙動の安定化を支援するビークルスタビリティアシスト装置18(車両挙動安定化装置、以下、VSA装置18という、VSA;登録商標)とを備え、入力装置14、モータシリンダ装置16及びVSA装置18が、車両VのエンジンルームR内に配置されて構成されている。
【0031】
なお、モータシリンダ装置16は、運転者のブレーキ操作に応じた電気信号だけではなく、他の物理量に応じた電気信号に基づいて液圧を発生させる手段を更に備えていてもよい。他の物理量に応じた電気信号とは、例えば、自動ブレーキシステムのような、運転者のブレーキ操作によらずに、ECU(Electronic Control Unit)が車両Vの周囲の状況をセンサなどで判断して、車両Vの衝突を回避するための信号を意味している。
【0032】
本実施形態でのエンジンルームRは、ダッシュボード2の前方において区画され、車幅方向の左右両側に車両Vの前後方向に沿って延在する一対のフロントサイドフレーム1a、1bと、前記一対のフロントサイドフレーム1a、1bの上方に所定間隔離間して車体の前後方向に沿って延在する一対のアッパメンバ1c、1dと、前記一対のフロントサイドフレーム1a、1bの前端部に連結されて複数の部材によって略矩形状の枠体からなるバルクヘッド連結体1eと、前記一対のアッパメンバ1c、1dの前後方向の後ろ寄りに図示しないストラットを支持するダンパハウジング1f、1gとで囲まれて構成されている。なお、図示しないストラットは、例えばショックを吸収するコイルスプリングと振動を低減するショックアブソーバとによって前輪ダンパとして構成されている。
【0033】
また、エンジンルームRには、車両用ブレーキシステム10とともに、動力装置3などの構造物が搭載されている。動力装置3としては、例えばエンジン3aと電動機(走行モータ)3bとトランスミッション(図示省略)とを組み合わされたハイブリッド自動車用のものであり、エンジンルームR内の空間の略中央部に配置されている。なお、エンジン3a及び電動機3bによる動力は、図示しない動力伝達機構を介して左右の前輪を駆動するように構成されている。また、車両Vの車室Cの床下や車室Cの後方には、電動機3bに電力を供給し、電動機3bから電力(回生電力)を充電する図示しない高圧バッテリ(リチウムイオン電池など)が搭載されている。なお、車両は、前輪駆動、後輪駆動、四輪駆動のいずれであってもよい。
【0034】
なお、エンジンルームR内に搭載された動力装置3の周囲には、後記する車両用ブレーキシステム10の他に、図示しないランプ類などに電力を供給する低圧バッテリを含む電気系、吸気系、排気系、冷却系など各種の構造物(補機)が取り付けられている。
【0035】
本実施形態での入力装置14は、前記した右ハンドル車に適用するものであり、ダッシュボード2の車幅方向の右側に後記するスタッドボルト303(図3参照)を介して固定され、ブレーキペダル(ブレーキ操作子)12(図3参照)と連結されるプッシュロッド42がダッシュボード2を貫通して車室C側に突出するように構成されている。
ちなみに、本実施形態での入力装置14は、その取付位置のダッシュボード2の傾斜に応じて、マスタシリンダ34の軸方向が車両の前方に向かって昇り勾配となるように傾斜して取り付けられている。
【0036】
モータシリンダ装置16は、入力装置14とは逆側の車幅方向の左側に配置され、例えば左側のフロントサイドフレーム1aに図示しないブラケットを介して取り付けられている。具体的には、モータシリンダ装置16は、ブラケットに対して弾性(フローティング)支持され、ブラケットがフロントサイドフレーム1aに対してボルトなどの締結部材を介して締結されている。これにより、モータシリンダ装置16の作動時に発生する振動などを吸収できるようになっている。
【0037】
VSA装置18は、例えば、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS(アンチロック・ブレーキ・システム)機能、加速時などの車輪空転を防ぐTCS(トラクション・コントロール・システム)機能、旋回時の横すべりを抑制する機能などを備えて構成され、車幅方向の右端の前側に、例えばブラケットを介して車体に取り付けられている。なお、VSA装置18に代えて、ブレーキ時の車輪ロックを防ぐABS機能のみを有するABS装置を接続してもよい。
【0038】
これら入力装置14、モータシリンダ装置16、及び、VSA装置18は、例えば、金属製の管材で形成された液圧路によって接続されていると共に、バイ・ワイヤ式のブレーキシステムとして、入力装置14とモータシリンダ装置16とは、図示しないハーネスで電気的に接続されている。
【0039】
すなわち、入力装置14とVSA装置18とは、第1液圧系統70a(図2参照)として、配管チューブ22a、ジョイント(三方の分岐管)23a、配管チューブ22cを介して互いに接続され、第2液圧系統70b(図2参照)として、配管チューブ22d、ジョイント(三方の分岐管)23b、配管チューブ22fを介して互いに接続されている。
【0040】
また、モータシリンダ装置16は、第1液圧系統70a(図2参照)として、配管チューブ22bを介してジョイント23aと接続され、第2液圧系統70b(図2参照)として、配管チューブ22eを介してジョイント23bと接続されている。
【0041】
図2を参照して液圧路について説明すると、図2中の連結点A1(ジョイント23a)を基準として、入力装置14の接続ポート20aと連結点A1とが配管チューブ22aによって接続され、また、モータシリンダ装置16の出力ポート24aと連結点A1とが配管チューブ22bによって接続され、さらに、VSA装置18の導入ポート26aと連結点A1とが配管チューブ22cによって接続されている。
【0042】
また、図2中の他の連結点A2(ジョイント23b)を基準として、入力装置14の他の接続ポート20bと連結点A2とが配管チューブ22dによって接続され、また、モータシリンダ装置16の他の出力ポート24bと連結点A2とが配管チューブ22eによって接続され、さらに、VSA装置18の他の導入ポート26bと連結点A2とが配管チューブ22fによって接続されている。
【0043】
VSA装置18には、複数の導出ポート28a〜28dが設けられる。導出ポート28aは、配管チューブ22gによって右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30aのホイールシリンダ32FRと接続される。導出ポート28bは、配管チューブ22hによって左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30bのホイールシリンダ32RLと接続される。導出ポート28cは、配管チューブ22iによって右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30cのホイールシリンダ32RRと接続される。導出ポート28dは、配管チューブ22jによって左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30dのホイールシリンダ32FLと接続される。
【0044】
この場合、各導出ポート28a〜28dに接続される配管チューブ22g〜22jによってブレーキ液がディスクブレーキ機構30a〜30dの各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに対して供給され、各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL内の液圧が上昇することにより、各ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動し、対応する車輪(右側前輪、左側後輪、右側後輪、左側前輪)に対して制動力が付与される。
【0045】
なお、車両用ブレーキシステム10は、本実施形態で想定しているハイブリッド自動車のほか、例えば、エンジン(内燃機関)のみによって駆動される自動車、電気自動車、燃料電池自動車などを含む各種車両に対して搭載可能に設けられる。
【0046】
入力装置14は、運転者によるブレーキペダル12の操作によって液圧を発生可能なタンデム式のマスタシリンダ34と、前記マスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36とを有する。このマスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、前記シリンダチューブ38の軸方向に沿って所定間隔離間する2つのピストン40a、40bが摺動自在に配設される。一方のピストン40aは、ブレーキペダル12に近接して配置され、プッシュロッド42を介してブレーキペダル12と連結される。また、他方のピストン40bは、一方のピストン40aよりもブレーキペダル12から離間して配置される。
【0047】
この一方及び他方のピストン40a、40bの外周面には、環状段部を介して一対のピストンパッキン44a、44bがそれぞれ装着される。一対のピストンパッキン44a、44bの間には、それぞれ、後記するサプライポート46a、46bと連通する背室48a、48bが形成される。また、一方及び他方のピストン40a、40bとの間には、ばね部材50aが配設され、他方のピストン40bとシリンダチューブ38の側端部との間には、他のばね部材50bが配設される。
なお、ピストン40a、40bの外周面にピストンパッキン44a、44bを設ける代わりに、シリンダチューブ38の内周面にパッキンを配設してもよい。
【0048】
マスタシリンダ34のシリンダチューブ38には、2つのサプライポート46a、46bと、2つのリリーフポート52a、52bと、2つの出力ポート54a、54bとが設けられる。この場合、各サプライポート46a(46b)及び各リリーフポート52a(52b)は、それぞれ合流して第1リザーバ36内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0049】
また、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内には、運転者(操作者)がブレーキペダル12を踏み込む踏力に対応したブレーキ液圧を制御する第1圧力室56a及び第2圧力室56bが設けられる。第1圧力室56aは、第1液圧路58aを介して接続ポート20aと連通するように設けられ、第2圧力室56bは、第2液圧路58bを介して他の接続ポート20bと連通するように設けられる。
【0050】
マスタシリンダ34と接続ポート20aとの間であって、第1液圧路58aの上流側には圧力センサPmが配設されると共に、第1液圧路58aの下流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第1遮断弁60aが設けられる。この圧力センサPmは、第1液圧路58a上において、第1遮断弁60aよりもマスタシリンダ34側の上流の液圧を検知するものである。
【0051】
マスタシリンダ34と他の接続ポート20bとの間であって、第2液圧路58bの上流側には、ノーマルオープンタイプ(常開型)のソレノイドバルブからなる第2遮断弁60bが設けられると共に、第2液圧路58bの下流側には、圧力センサPpが設けられる。この圧力センサPpは、第2液圧路58b上において、第2遮断弁60bよりもホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL側の下流側の液圧を検知するものである。
【0052】
この第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bにおけるノーマルオープンとは、ノーマル位置(非通電時の弁体の位置)が開位置の状態(常時開)となるように構成されたバルブをいう。なお、図2において、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bは、通電時(励磁時)の状態を示している(後記する第3遮断弁62も同様)。
【0053】
マスタシリンダ34と第2遮断弁60bとの間の第2液圧路58bには、前記第2液圧路58bから分岐する分岐液圧路58cが設けられ、前記分岐液圧路58cには、ノーマルクローズタイプ(常閉型)のソレノイドバルブからなる第3遮断弁62と、ストロークシミュレータ64とが直列に接続される。この第3遮断弁62におけるノーマルクローズとは、ノーマル位置(非通電時の弁体の位置)が閉位置の状態となるように構成されたバルブをいう。
【0054】
このストロークシミュレータ64は、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bの遮断時に、ブレーキペダル12の操作に応じた操作反力とストロークを生じさせる装置である。このストロークシミュレータ64は、第2遮断弁60bよりもマスタシリンダ34側で第2液圧路58bから分岐する分岐液圧路58c及びポート65aを介して設けられている。つまり、ストロークシミュレータ64の液圧室65には、マスタシリンダ34の第2圧力室56bから導出されるブレーキ液(ブレーキフルード)が、第2液圧路58b、分岐液圧路58c及びポート65aを介して供給されるようになっている。
【0055】
また、ストロークシミュレータ64は、互いに直列に配置されたばね定数の高い第1リターンスプリング66aとばね定数の低い第2リターンスプリング66bと、前記第1及び第2リターンスプリング66a、66bによって付勢されるシミュレータピストン68とを備え、ブレーキペダル12の踏み込み前期時にペダル反力の増加勾配を低く設定し、踏み込み後期時にペダル反力を高く設定してブレーキペダル12のペダルフィーリングを既存のマスタシリンダと同等になるように設けられている。
【0056】
液圧路は、大別すると、マスタシリンダ34の第1圧力室56aと複数のホイールシリンダ32FR、32RLとを接続する第1液圧系統70aと、マスタシリンダ34の第2圧力室56bと複数のホイールシリンダ32RR、32FLとを接続する第2液圧系統70bとから構成される。
【0057】
第1液圧系統70aは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54aと接続ポート20aとを接続する第1液圧路58aと、入力装置14の接続ポート20aとモータシリンダ装置16の出力ポート24aとを接続する配管チューブ22a、22bと、モータシリンダ装置16の出力ポート24aとVSA装置18の導入ポート26aとを接続する配管チューブ22b、22cと、VSA装置18の導出ポート28a、28bと各ホイールシリンダ32FR、32RLとをそれぞれ接続する配管チューブ22g、22hとによって構成される。
【0058】
第2液圧系統70bは、入力装置14におけるマスタシリンダ34(シリンダチューブ38)の出力ポート54bと他の接続ポート20bとを接続する第2液圧路58bと、入力装置14の他の接続ポート20bとモータシリンダ装置16の出力ポート24bとを接続する配管チューブ22d、22eと、モータシリンダ装置16の出力ポート24bとVSA装置18の導入ポート26bとを接続する配管チューブ22e、22fと、VSA装置18の導出ポート28c、28dと各ホイールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ接続する配管チューブ22i、22jとを有する。
【0059】
この結果、液圧路が第1液圧系統70aと第2液圧系統70bとによって構成されることにより、各ホィールシリンダ32FR、32RLと各ホィールシリンダ32RR、32FLとをそれぞれ独立して作動させ、相互に独立した制動力を発生させることができる。
【0060】
モータシリンダ装置16は、電動モータ72を含むアクチュエータ機構74と、前記アクチュエータ機構74によって付勢されるシリンダ機構76とを有する。
【0061】
アクチュエータ機構74は、電動モータ72の出力軸側に設けられ、複数のギヤが噛合して電動モータ72の回転駆動力を伝達するギヤ機構(減速機構)78と、前記ギヤ機構78を介して前記回転駆動力が伝達されることにより軸方向に沿って進退動作するボールねじ軸80a及びボール80bを含むボールねじ構造体80とを有する。
【0062】
シリンダ機構76は、略円筒状のシリンダ本体82と、前記シリンダ本体82に付設された第2リザーバ84とを有する。第2リザーバ84は、入力装置14のマスタシリンダ34に付設された第1リザーバ36と配管チューブ86で接続され、第1リザーバ36内に貯留されたブレーキ液が配管チューブ86を介して第2リザーバ84内に供給されるように設けられる。
【0063】
シリンダ本体82内には、前記シリンダ本体82の軸方向に沿って所定間隔離間する第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bが摺動自在に配設される。第1スレーブピストン88aは、ボールねじ構造体80側に近接して配置され、ボールねじ軸80aの一端部に当接してこのボールねじ軸80aと一体的に矢印X1又はX2方向に変位する。また、第2スレーブピストン88bは、第1スレーブピストン88aよりもボールねじ構造体80側から離間して配置される。
【0064】
この第1及び第2スレーブピストン88a、88bの外周面には、環状段部を介して一対のスレーブピストンパッキン90a、90bがそれぞれ装着される。一対のスレーブピストンパッキン90a、90bの間には、それぞれ、後記するリザーバポート92a、92bとそれぞれ連通する第1背室94a及び第2背室94bが形成される。また、第1及び第2スレーブピストン88a、88bとの間には、第1リターンスプリング96aが配設され、第2スレーブピストン88bとシリンダ本体82の側端部との間には、第2リターンスプリング96bが配設される。
【0065】
シリンダ機構76のシリンダ本体82には、2つのリザーバポート92a、92bと、2つの出力ポート24a、24bとが設けられる。この場合、リザーバポート92a(92b)は、第2リザーバ84内の図示しないリザーバ室と連通するように設けられる。
【0066】
また、シリンダ本体82内には、出力ポート24aからホイールシリンダ32FR、32RL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第1液圧室98aと、他の出力ポート24bからホイールシリンダ32RR、32FL側へ出力されるブレーキ液圧を制御する第2液圧室98bが設けられる。
【0067】
なお、第1スレーブピストン88aと第2スレーブピストン88bとの間には、第1スレーブピストン88aと第2スレーブピストン88bの最大ストローク(最大変位距離)と最小ストローク(最小変位距離)とを規制する規制手段100が設けられる。さらに、第2スレーブピストン88bには、前記第2スレーブピストン88bの摺動範囲を規制して、第1スレーブピストン88a側へのオーバーリターンを阻止するストッパピン102が設けられ、これによって、特にマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧で制動するときのバックアップ時において、1系統の失陥時に他の系統の失陥が防止される。
【0068】
VSA装置18は、周知のものからなり、右側前輪及び左側後輪のディスクブレーキ機構30a、30b(ホイールシリンダ32FR、ホイールシリンダ32RL)に接続された第1液圧系統70aを制御する第1ブレーキ系110aと、右側後輪及び左側前輪のディスクブレーキ機構30c、30d(ホイールシリンダ32RR、ホイールシリンダ32FL)に接続された第2液圧系統70bを制御する第2ブレーキ系110bとを有する。なお、第1ブレーキ系110aは、左側前輪及び右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第2ブレーキ系110bは、左側後輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。更に、第1ブレーキ系110aは、車体片側の右側前輪及び右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統からなり、第2ブレーキ系110bは、車体片側の左側前輪及び左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構に接続された液圧系統であってもよい。
【0069】
この第1ブレーキ系110a及び第2ブレーキ系110bは、それぞれ同一構造からなるため、第1ブレーキ系110aと第2ブレーキ系110bで対応するものには同一の参照符号を付していると共に、第1ブレーキ系110aの説明を中心にして、第2ブレーキ系110bの説明を括弧書きで付記する。
【0070】
第1ブレーキ系110a(第2ブレーキ系110b)は、ホイールシリンダ32FR、32RL(32RR、32FL)に対して、共通する第1共通液圧路112及び第2共通液圧路114を有する。VSA装置18は、導入ポート26aと第1共通液圧路112との間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなるレギュレータバルブ116と、前記レギュレータバルブ116と並列に配置され導入ポート26a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導入ポート26a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第1チェックバルブ118と、第1共通液圧路112と導出ポート28aとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1インバルブ120と、前記第1インバルブ120と並列に配置され導出ポート28a側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導出ポート28a側へのブレーキ液の流通を阻止する)第2チェックバルブ122と、第1共通液圧路112と導出ポート28bとの間に配置されたノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第2インバルブ124と、前記第2インバルブ124と並列に配置され導出ポート28b側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から導出ポート28b側へのブレーキ液の流通を阻止する)第3チェックバルブ126とを備える。
【0071】
さらに、VSA装置18は、導出ポート28aと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第1アウトバルブ128と、導出ポート28bと第2共通液圧路114との間に配置されたノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第2アウトバルブ130と、第2共通液圧路114に接続されたリザーバ132と、第1共通液圧路112と第2共通液圧路114との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へのブレーキ液の流通を許容する(第1共通液圧路112側から第2共通液圧路114側へのブレーキ液の流通を阻止する)第4チェックバルブ134と、前記第4チェックバルブ134と第1共通液圧路112との間に配置されて第2共通液圧路114側から第1共通液圧路112側へブレーキ液を供給するポンプ136と、このポンプ136の前後に設けられる吸入弁138及び吐出弁140と、ポンプ136を駆動するモータMと、第2共通液圧路114と導入ポート26aとの間に配置されるノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなるサクションバルブ142とを備える。
【0072】
なお、第1ブレーキ系110aにおいて、導入ポート26aに近接する液圧路上には、モータシリンダ装置16の出力ポート24aから出力され、前記モータシリンダ装置16の第1液圧室98aで制御されたブレーキ液圧を検知する圧力センサPhが設けられる。各圧力センサPs、Pp、Phで検出された検出信号は、図示しない制御手段に導入される。
【0073】
<入力装置>
次に、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10の入力装置14について更に詳しく説明する。次に参照する図3は、本発明の実施形態に係る入力装置の全体斜視図、図4(a)は、本発明の実施形態に係る入力装置の背面図、図4(b)は、図4(a)のb−b断面における部分断面図である。なお、図4(a)及び(b)においては、作図の便宜上、ブレーキペダルの記載を省略している。また、図4(a)においては、ブーツの記載を省略し、図4(b)においては、ブーツの外形を示してb−b断面の記載を省略している。
【0074】
図3に示すように、入力装置14を構成するマスタシリンダ34は、車両V(図1参照)の前後方向に延在すると共に、ストロークシミュレータ64は、このマスタシリンダ34と一体となるように並設されて並設体14aを構成している。更に具体的には、本実施形態でのストロークシミュレータ64は、マスタシリンダ34の右側(図1に示す車両Vの車幅方向の外側)で横並びに配置されている。そして、本実施形態でのマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64は、これらをその後端側で支持するスタッドプレート304と共に、金属の一体成型体で形成されて、ストロークシミュレータ64の外装、マスタシリンダ34の外装、及びスタッドプレート304は、互いに連続して形成されることとなる。ちなみに、本実施形態に係る並設体14aは、鋳造にて成形されている。
【0075】
このようなマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64の上方には、前後に細長の外形を有する第1リザーバ36(図3参照)が、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との間で前後方向に延在するように配置されている。この第1リザーバ36とマスタシリンダ34とは、図2に示すリリーフポート52a、52b及びサプライポート46a、46bに臨むように形成された接続口を介して、図2に示す第1及び第2圧力室56a、56b、並びに背室48a、48bに連通するようになっている。なお、図3中、符号36aは、第1リザーバ36と、図2に示す第2リザーバ84とを連通させる配管チューブ86の基端が接続されるコネクタである。このコネクタ36aは、入力装置14の前方に突出する管状部材で形成されている。
【0076】
また、図3に示すように、マスタシリンダ34の前側には、図1に示すジョイント23aに向かって延設される配管チューブ22aの基端が接続される接続ポート20aと、図1に示すジョイント23bに向かって延設される配管チューブ22dの基端が接続される接続ポート20bとが設けられている。
また、図3に示すように、入力装置14の右側には、マスタシリンダ34、ストロークシミュレータ64などにブレーキ液を充填する際に、残存する空気を抜くためのエア抜き用のブリーダ301が設けられている。また、入力装置14の左側には、後に詳しく説明するセンサバルブユニット300が設けられている。このセンサバルブユニット300は、特許請求の範囲にいう「部品収納ボックス」、「センサユニット」及び「バルブユニット」に相当する。なお、図3中の符号300には、「センサバルブユニット」の用語と共に特許請求の範囲にいう「部品収納ボックス」の用語を付している。ただし、同じく、特許請求の範囲でこのセンサバルブユニット300に相当する「センサユニット」及び「バルブユニット」の用語の記載は省略している。
【0077】
また、図3に示すように、入力装置14の後側においては、マスタシリンダ34がスタッドプレート304から更に後方に延びている。そして、マスタシリンダ34の後端部は、前記したように、ブレーキペダル12をその一端側に連結したプッシュロッド42の他端側を受け入れる構成となっている(図2参照)。図3中、符号306は、マスタシリンダ34とプッシュロッド42とに亘って配置されるブーツである。
【0078】
また、図4(a)に示すように、マスタシリンダ34の後端部には、マスタシリンダ34のシリンダチューブ38内にピストン40a、40b(図2参照)などを挿嵌配置するための開口38aが形成されている。そして、この開口38aには、ピストン40a(図2参照)の後方に配置されるようにリング状部材39及び図示しないパッキンが設けられている。このリング状部材39には、後方に向かって付勢されたピストン40aが当接することで、ピストン40aが所定の位置よりも後退しないようになっている。
【0079】
図4(a)に示すスタッドプレート304の後面、つまり、ダッシュボード2(図1参照)との対向面には、図2に示す第1及び第2リターンスプリング66a、66b、シミュレータピストン68などをストロークシミュレータ64内に挿嵌配置するための開口67が形成されている。そして、スタッドプレート304の後面には、図2に示す第1リターンスプリング66aの後端が支持されるスプリングシート66c及び図示しないパッキンをその開口67で固定するリング状部材67aが配置されている。
【0080】
そして、このようなマスタシリンダ34、ストロークシミュレータ64、及びスタッドプレート304からなる並設体14aは、図4(a)及び(b)に示すように、ガスケットGを介してダッシュボード2に取り付けられる。
ガスケットGは、図4(a)に示すように、ダッシュボード2に対向するスタッドプレート304の面(対向面)において、その外周を囲繞するように形成されている。更に詳しく説明すると、ガスケットGは、ダッシュボード2に対するスタッドプレート304の対向面と略同じ外輪郭を有しており、その中央部は、マスタシリンダ34の外径よりも大きい径で円形に切り抜かれている。この切抜き部分には、後記する肉抜き部305の一部、及び前記したスタッドプレート304の開口67の一部が臨んでいる。
【0081】
このようなガスケットGを介してダッシュボード2に取り付けられた並設体14aは、図4(b)に示すように、マスタシリンダ34の一部が車室C内で延在することとなる。
そして、本実施形態でのマスタシリンダ34は、ダッシュボード2との間に空隙2cを持って配置されている。ちなみに、この空隙2cを介して後記する肉抜き部305は、車室C内と連通している。
なお、図4(a)中、符号36は、第1リザーバであり、符号42は、プッシュロッド(図4(a)中、破断面で示している)であり、符号303は、スタッドボルトであり、符号300は、センサバルブユニットであり、符号305は、スタッドプレートに設けられた肉抜き部であり、符号307aは、後記する通気孔307(図4(b)参照)の開口である。
【0082】
次に、入力装置14の内部構造について更に詳しく説明する。
本実施形態に係る入力装置14は、図4(b)に示すように、マスタシリンダ34の軸方向が車両V(図1参照)の前後方向に沿うようにダッシュボード2に取り付けられると、マスタシリンダ34の右側(図1の車両Vの車幅方向外側)にストロークシミュレータ64が横並びに配置される。この際、マスタシリンダ34は、前記したように、スタッドプレート304から更に後方に延びて、ダッシュボード2を貫通すると共に車室C内にその一部が延在する。
【0083】
そして、本実施形態におけるマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との並設体14aの内部では、マスタシリンダ34の第1及び第2ピストン40a、40b同士が並ぶ軸と、ストロークシミュレータ64の第1及び第2リターンスプリング66a、66b、及びシミュレータピストン68が並ぶ軸とが略平行となっている。
なお、図4(b)においては、図示しないが、並設体14aの内部(中実部)には、図2に示す第1及び第2液圧路58a、58b、及び分岐液圧路58cが、加工孔(穿設孔)にて形成されている。
また、図2に示す第1、第2及び第3遮断弁60a、60b、62、並びに圧力センサPp、Pmについては、センサバルブユニット300と共に次に説明する。
【0084】
センサバルブユニット300は、図4(b)に示すように、並設体14aに取り付けられ、更に詳しく説明すると、マスタシリンダ34の左側(図1の車両Vの車幅方向内側)でマスタシリンダ34と横並びに配置される。
【0085】
このセンサバルブユニット300は、筐体300aと、この筐体300a内に配置された圧力センサ機構、バルブ機構、及びこれらと電気的に接続される回路基板などを備えている。
【0086】
圧力センサ機構としては、図2に示す圧力センサPp、Pmを備え、第1遮断弁60aの上流側の第1液圧路58aにおける液圧、及び第2遮断弁60bの下流側の第2液圧路58bにおける液圧を検出することができるものあれば特に制限はない。このような圧力センサ機構の具体例としては、例えば、液圧を測定する第1液圧路58a及び第2液圧路58bのそれぞれに臨むように、センサバルブユニット300側から並設体14a内に穿たれたモニタ孔(図示省略)に挿入されるプランジャを有し、このプランジャの先端に配置された圧力センサPp、Pmと、この圧力センサPp、Pmと電気的に接続されて、検出信号を電気的に処理して前記液圧を演算する圧力検出回路を搭載した前記回路基板とを備えるものが挙げられる。
【0087】
また、バルブ機構としては、前記した第1、第2及び第3遮断弁60a、60b、62の機能を有するものであれば特に制限はない。このようなバルブ機構としては、例えば、第1及び第2液圧路58a、58b、及び分岐液圧路58cのそれぞれを横切るように、センサバルブユニット300側から並設体14a内に穿たれた挿通孔にその先端部が挿通される棒状弁体と、その棒状弁体を電磁誘導によって挿通孔内で進退させるコイルと、このコイルと電気的に接続されて、棒状弁体の進退のタイミングを制御する制御回路を搭載した前記回路基板と、この回路基板を介してコイルに電力を供給する電源とを備えるものが挙げられる。
なお、筐体300a内に設けられる前記圧力センサ機構の構成部品、及び前記バルブ機構の構成部品は、特許請求の範囲にいう「マスタシリンダ及びストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に付設される部品」に相当する。
【0088】
なお、本実施形態では、圧力センサ機構及びバルブ機構を内蔵するセンサバルブユニット300からなる部品収納ボックスを備える入力装置14を想定しているが、本発明における前記した「付設される部品」には、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64に付設されることがある全ての部品が含まれる。
【0089】
そして、このような入力装置14の並設体14aにおける中実部には、図4(b)に示すように、その一端がセンサバルブユニット300の筐体300a内に臨む通気孔307が形成されている。
この通気孔307は、図4(b)に示すように、センサバルブユニット300側からマスタシリンダ34の軸方向に向かって延びる途中で並設体14aの中実部を後方に向かって延びて(マスタシリンダ34の軸方向に沿って後方に延びて)、ダッシュボード2における入力装置14の取付面内にその他端が臨んでいる。ちなみに、本実施形態での入力装置14の取付面は、入力装置14をダッシュボード2に取り付ける際に、スタッドプレート304の平面形状がダッシュボード2に投影される面部を意味する。
【0090】
更に具体的に説明すると、通気孔307の他端は、スタッドプレート304に形成された肉抜き部305に臨んでいる。つまり、通気孔307は、センサバルブユニット300の筐体300a内に形成された開口307bと、肉抜き部305内に形成された開口307aとを繋ぐ連通孔で構成されている。ちなみに、本実施形態での肉抜き部305は、並設体14aが鋳込まれる際に、鋳抜きによって形成されている。
そして、この肉抜き部305内に形成された開口307aは、図4(a)に示すように、マスタシリンダ34寄りに形成されている。
また、開口307a内には、防水通気部材307(例えばゴアテックス(登録商標)など)が配置されている。
なお、図4(b)中、符号42は、プッシュロッドであり、符号65は、ストロークシミュレータ64の液圧室であり、符号303は、スタッドボルトであり、符号306は、ブーツである。
【0091】
本実施形態に係る入力装置14及びこれを備える車両用ブレーキシステム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0092】
車両用ブレーキシステム10が正常に機能する正常時には、ノーマルオープンタイプのソレノイドバルブからなる第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bが励磁で弁閉状態となり、ノーマルクローズタイプのソレノイドバルブからなる第3遮断弁62が励磁で弁開状態となる。従って、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bによって第1液圧系統70a及び第2液圧系統70bが遮断されているため、入力装置14のマスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧がディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達されることはない。
【0093】
このとき、マスタシリンダ34の第2圧力室56bで発生したブレーキ液圧は、分岐液圧路58c及び弁開状態にある第3遮断弁62を経由してストロークシミュレータ64の液圧室65に伝達される。この液圧室65に供給されたブレーキ液圧によってシミュレータピストン68がリターンスプリング66a、66bのばね力に抗して変位することにより、ブレーキペダル12のストロークが許容されると共に、擬似的なペダル反力を発生させてブレーキペダル12に付与される。この結果、運転者にとって違和感のないブレーキフィーリングが得られる。
【0094】
このようなシステム状態において、図示しない制御手段は、運転者によるブレーキペダル12の踏み込みを検出すると、モータシリンダ装置16の電動モータ72を駆動させてアクチュエータ機構74を付勢し、第1リターンスプリング96a及び第2リターンスプリング96bのばね力に抗して第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bを図2中の矢印X1方向に向かって変位させる。この第1スレーブピストン88a及び第2スレーブピストン88bの変位によって第1液圧室98a及び第2液圧室98b内のブレーキ液がバランスするように加圧されて所望のブレーキ液圧が発生する。
【0095】
このモータシリンダ装置16における第1液圧室98a及び第2液圧室98bのブレーキ液圧は、VSA装置18の弁開状態にある第1、第2インバルブ120、124を介してディスクブレーキ機構30a〜30dのホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLに伝達され、前記ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FLが作動することにより各車輪に所望の制動力が付与される。
【0096】
換言すると、本実施形態に係る車両用ブレーキシステム10では、動力液圧源として機能するモータシリンダ装置16やバイ・ワイヤ制御する図示しないECUなどが作動可能な正常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むことでブレーキ液圧を発生するマスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)との連通を第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bで遮断した状態で、モータシリンダ装置16が発生するブレーキ液圧でディスクブレーキ機構30a〜30dを作動させるという、いわゆるブレーキ・バイ・ワイヤ方式のブレーキシステムがアクティブになる。このため、本実施形態では、例えば、電気自動車などのように、旧来から用いられていた内燃機関による負圧が存在しない車両Vに好適に適用することができる。
【0097】
一方、モータシリンダ装置16などが作動不能となる異常時では、第1遮断弁60a及び第2遮断弁60bをそれぞれ弁開状態とし、かつ第3遮断弁62を弁閉状態として、マスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)に伝達して、前記ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR、32RL、32RR、32FL)を作動させるという、いわゆる旧来の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。
【0098】
以上説明したように、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、モータシリンダ装置(電動ブレーキアクチュエータ)16と互いに分離して配置することができるので、それぞれのサイズを小型化することができ、エンジンルーム(動力装置搭載室)R内における車両用ブレーキシステム10のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0099】
ところで、エンジンルームR内には、動力装置3の他に、電気系、吸気系、排気系、冷却系などの構造物が搭載されるため、必然的に大きな空スペース(設置スペース)を確保することが難しくなる。そこで、本実施形態のように、入力装置14、モータシリンダ装置16及びVSA装置18をそれぞれ分離して構成することで、個々の装置(入力装置14、モータシリンダ装置16、VSA装置18)のサイズをそれぞれ小さく構成することができ、大きな空スペースを確保する必要がなる。これにより、エンジンルームR内の狭い空スペースであっても前記各装置を搭載することが可能になり、レイアウトが容易になる。
【0100】
また、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、モータシリンダ装置16及びVSA装置18と、分離して構成することで、モータシリンダ装置16、VSA装置18などの汎用性を向上して異なる車種に適用しやすくなる。
【0101】
また、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、モータシリンダ装置16を離間して配置することで、音や振動の発生源となることもある、モータシリンダ装置16を運転者から離して配置することができ、運転者に音や振動による違和感(不快感)を与えるのを防止できる。
【0102】
また、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、マスタシリンダ34に対してストロークシミュレータ64が一体となるように並設されるので、小型化(コンパクト化)した入力装置を実現することができる。
【0103】
また、この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64に付設される部品(例えば、前記圧力センサ機構及び前記バルブ機構の構成部品)がセンサバルブユニット300(部品収納ボックス)内に収納されると共に、このセンサバルブユニット300がマスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との並設体14aに対して取り付けられるので、入力装置14を、より小型化(コンパクト化)することができる。
【0104】
そして、以上のような車両用ブレーキシステム10の入力装置14においては、前記したように、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64との並設体14aに、センサバルブユニット300が取り付けられる。一方、車両Vの運転時には、動力装置3などの発熱によりエンジンルームRは昇温する。これとは逆に、運転の停止時のエンジンルームRは、外気温(冬期では氷点下)まで低下する。このような温度変化に入力装置14が晒されると、センサバルブユニット300を構成する筐体300a内には、結露を生じることがある。また、筐体300aが水の侵入を防止するための密閉構造であると、運転時と停止時における大きな温度差による気体の体積変化で、筐体300aには応力が繰り返して発生することとなる。そこで、この結露や繰り返しの応力が生じるのを防止するために、筐体300aに呼吸孔を穿設することが考えられる。
しかしながら、この呼吸孔は、エンジンルームR内と、センサバルブユニット300内とに連通するために、エンジンルームR内に水(例えば、車両Vの洗浄時、又は車両Vの水没時における水など)が入り込むと、この水が呼吸孔を介してセンサバルブユニット300内に侵入するおそれがある。そこで、この水がセンサバルブユニット300内に侵入し難くするために、呼吸孔をラビリンス構造にすることも考えられるが、製造工程が煩雑になると共に製造コストが高くなる問題がある。
【0105】
これに対して、車両用ブレーキシステム10の入力装置14においては、並設体14a内には、その一端がセンサバルブユニット300内に臨むと共に、ダッシュボード2の入力装置14の取付面(入力装置取付面)内にその他端が臨む通気孔307を有している。
したがって、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、センサバルブユニット300の呼吸孔となる通気孔307の他端が、ダッシュボード2に覆われるので、外部からこの通気孔307を介して異物や水等がセンサバルブユニット300内に入り込むのを防止することができる。その結果、この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、センサバルブユニット300内に収納された圧力センサ機構及びバルブ機構の動作に対する信頼性が向上する。
【0106】
この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、マスタシリンダ34の一部(後部)がダッシュボード2を介して車室C内に延在すると共に、ダッシュボード2の入力装置14の取付面内に臨む通気孔307の他端は、マスタシリンダ34寄りに形成されている。このため、前記したように、通気孔307は、マスタシリンダ34とダッシュボード2との空隙2cを介して車室C内と通気を行うことができる。この際、センサバルブユニット300内は、エンジンルームR内よりも温度の変化(変化率)が緩やかな車室C内と主に通気を行うことができるので、センサバルブユニット300内における結露は、より確実に防止することができる。
【0107】
この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、ガスケットGによって通気孔307は、エンジンルームRに開放されず、マスタシリンダ34とダッシュボード2との間の空隙2cにのみ連通することになるので、外部からこの通気孔307を介して異物や水等がセンサバルブユニット300内に入り込むのを、より効果的に防止することができる。また、車両Vの水没時においては、エンジンルームRよりも水が侵入し難い車室C内と通気する効果をも奏する。
【0108】
この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、通気孔307の開口に防水通気部材307cを配置したので、車室C内の埃等の異物(微小な水滴も含む)が、通気孔307を介してセンサバルブユニット300内に入り込むのを、更に確実に防止することができる。
【0109】
また、車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、通気孔307は、マスタシリンダ34の軸方向に沿うように、並設体14aの中実部内に形成されるので、より小型化(コンパックト化)した入力装置14を実現することができる。また、このような通気孔307を並設体14aに穿設して形成する場合には、その形成工程を極めて容易に行うことができる。
【0110】
この車両用ブレーキシステム10の入力装置14によれば、通気孔307の他端が、肉抜き部305に臨んでいるので、この肉抜き部305は、入力装置14の軽量化に寄与するだけでなく、通気孔307の他端に形成された、いわゆるドライエリアとしても機能することができる。
【0111】
この車両用ブレーキシステム10の入力装置14においては、並設体14aは鋳造にて成形されると共に、肉抜き部305は鋳抜きによって形成される。そのため、鋳造時における肉抜き部305に対応する部分は、鋳込み時の引けや湯周り等を考慮して構成された型内で形成されるものであり、例えば切削等の肉抜き専用の加工を別途に必要としないので、加工効率が向上する。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64が横に並設されるものについて説明したが、縦に並設されるものであってもよい。
【0113】
また、前記実施形態では、マスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64が平行に並ぶものを想定しているが、許容される軸方向のずれをもってマスタシリンダ34及びストロークシミュレータ64同士が並設されるものであってもよい。
【0114】
また、前記実施形態では、センサバルブユニット300は、マスタシリンダ34と横並びとなるように取り付けられているが、ストロークシミュレータ64と横並びに取り付けられる構成であってもよいし、マスタシリンダ34とストロークシミュレータ64とに跨るように配置される構成であってもよい。
【0115】
また、前記実施形態では、右ハンドル車に適用する例について説明したが、本発明は左ハンドル車に適用することもできる。
【符号の説明】
【0116】
2 ダッシュボード
2c 空隙
10 車両用ブレーキシステム
12 ブレーキペダル(ブレーキ操作子)
14 入力装置
14a 並設体
16 モータシリンダ装置(電動ブレーキアクチュエータ)
18 VSA装置(車両挙動安定化装置)
20a 接続ポート
20b 接続ポート
22a 配管チューブ
22b 配管チューブ
22c 配管チューブ
22d 配管チューブ
22e 配管チューブ
22f 配管チューブ
23a ジョイント
23b ジョイント
24a 出力ポート
24b 出力ポート
26a 導入ポート
26b 導入ポート
34 マスタシリンダ
54a 出力ポート
54b 出力ポート(ポート)
58a 第1液圧路
58b 第2液圧路
58c 分岐液圧路
60a 第1遮断弁
60b 第2遮断弁
62 第3遮断弁(開閉弁)
64 ストロークシミュレータ
65 液圧室
65a ポート(ポート)
70a 第1液圧系統
70b 第2液圧系統
72 電動モータ
84 第2リザーバ
300 センサバルブユニット(部品収納ボックス)
304 スタッドプレート
305 肉抜き部
307 通気孔
307c 防水通気部材
G ガスケット
Pm 圧力センサ
Pp 圧力センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともブレーキ操作子の操作に応じた電気信号に基づいてブレーキ液圧を発生する電動ブレーキアクチュエータとは別体に構成されると共にダッシュボードに取り付けられて操作者により操作されるブレーキ操作子を有する車両用ブレーキシステムの入力装置であって、
前記ブレーキ操作子の前記操作による入力によって液圧を発生するマスタシリンダと、
前記マスタシリンダに一体となるように並設されると共に前記マスタシリンダと連通され、前記ブレーキ操作子の操作反力を前記ブレーキ操作子に擬似的に付与するストロークシミュレータと、
前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に付設される部品を収納すると共に前記マスタシリンダと前記ストロークシミュレータとの並設体に対して取り付けられる部品収納ボックスと、
を備え、
前記並設体内には、その一端が前記部品収納ボックス内に臨むと共に、前記ダッシュボードの入力装置取付面内にその他端が臨む通気孔を有していることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記マスタシリンダの一部は前記ダッシュボードを介して車室内に延在すると共に、
前記ダッシュボードの前記入力装置取付面内に臨む前記通気孔の他端は、前記マスタシリンダ寄りに形成されていることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記並設体は、ダッシュボードに対して前記並設体の外周を囲繞するガスケットを介して設置されると共に、前記マスタシリンダと前記ダッシュボードとは空隙を持って設置されることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記通気孔の開口に防水通気部材を配置したことを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記並設体は、前記ダッシュボードの前記入力装置取付面との対向面に、肉抜き部を有すると共に、前記通気孔の他端は、この肉抜き部に臨んでいることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記並設体は鋳造にて成形されると共に、前記肉抜き部は鋳抜きによって形成されることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記部品収納ボックスは、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に連通する連通路の液圧を検出するセンサを内蔵するセンサユニットであることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の車両用ブレーキシステムの入力装置において、
前記部品収納ボックスは、前記マスタシリンダ及び前記ストロークシミュレータの少なくともいずれか一方に連通する連通路の開閉弁機構を内蔵するバルブユニットであることを特徴とする車両用ブレーキシステムの入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−106646(P2012−106646A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257362(P2010−257362)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】