説明

車両用ラッチ装置

【課題】 耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、スイッチの可動接点と固定接点との凍結や固着を解除できる車両用ラッチ装置を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる車両用ラッチ装置の構成は、第1フック120と、第2フック130と、セカンダリレバー150と、可動接点(リーフレバー174)が固定接点172に接触することで係止を検知するスイッチ170とを備え、可動接点が片持ち状態で支持された弾性変形可能な金属薄片であり、セカンダリレバー150が、ストライカ離脱時に反付勢方向に回動することによって可動接点の開放端側に当たり可動接点を固定接点172から引き離す突状部156を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等に装備される車両用ラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車では、安全性を確保するために、フードやドア等の開閉体の開閉状態を検知している。例えば、特許文献1には、フードの開閉状態を検知するスイッチを備えるフードラッチが開示されている。また、特許文献2には、ドアの開閉状態を検知するスイッチを備えるドアラッチ(ドアロック装置)が開示されている。
【0003】
特許文献3に記載されているように、通常、自動車のフードラッチは、ラッチ(第1フック)およびポール(第2フック)と、セカンダリレバーとを含んでいる。ラッチおよびポールによるストライカの固定は、車室内からフードラッチケーブルを操作することで解除される。セカンダリレバーは、誤ってフードラッチケーブルを操作してもフードが開かないようにストライカを二段階で固定するためのものであり、フード前縁と車体側との間の隙間に指を差し込んで手動操作で解除される。
【0004】
特許文献2に記載されているように、ストライカの進入時に可動接点を固定接点に接触させるスイッチでは、雪等の侵入により可動接点が固定接点に凍結したり、泥やゴミ等の侵入により可動接点が固定接点に固着したりするおそれがある。この場合には、開閉体の開閉状態を正確に検知することができなくなる。そのため、特許文献2の技術では、可動接点に連結した検知レバーに第1検知部を設け、ラッチのカム面に第1突起部を設け、ストライカの離脱時に第1検知部を第1突起部で強制的に動かすようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−324078号公報
【特許文献2】実開平7−4737号公報
【特許文献3】実開平4−84575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献2の技術では、剛性がある検知レバーの第1検知部に、剛性があるラッチのカム面の第1突状部をぶつけて強制的に動かすため、機械荷重の加減ができず過大な荷重がかかり、耐久性の低下が懸念される。加えて、この第1検知部に第1突状部をぶつけて強制的に動かす構成では、第1検知部や第1突状部の位置精度、すなわちラッチや検知レバーの位置精度が要求されることから、プレス成形や組付時の工数が多くなりコストが嵩んでしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、スイッチの可動接点と固定接点との凍結や固着を解除できる車両用ラッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、車両の開閉体または車両本体のいずれか一方に設けられ、他方に設けられたストライカを係止し、車両本体に対して開閉体を閉状態に保つ車両用ラッチ装置において、ストライカに輪郭を押されて回動し輪郭に形成された溝にストライカを導入する第1フックと、第1フックの回動に連動して回動し第1フックと噛み合ってストライカを固定する第2フックと、1つの回動方向に付勢されながらストライカに輪郭を押されて反付勢方向に回動し、輪郭に形成された谷部にストライカが到達すると付勢方向に回動しストライカを固定するセカンダリレバーと、可動接点および固定接点を有し、可動接点が固定接点に接触することで係止を検知するスイッチとを備え、可動接点は片持ち状態で支持された弾性変形可能な金属薄片であり、ストライカ導入時に回動する第1フックから力を受けた可動接点が弾性変形して固定接点と接触し、セカンダリレバーは、ストライカ離脱時にセカンダリレバーが反付勢方向に回動することによって可動接点の開放端側に当たり可動接点を固定接点から引き離す突状部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、可動接点が弾性変形可能な金属薄片(いわゆるリーフレバー)で構成され、片持ち状態で支持される。そして、ストライカ離脱時に、セカンダリレバーに設けられた突状部が可動接点の開放端側に当たって、可動接点を固定接点から引き離す。可動接点が弾性変形可能な金属薄片であるので、突状部が当たることによって壊れるおそれを抑えることができる。また、可動接点が弾性変形可能な金属薄片であり、突状部が可動接点の開放端側に当たる位置に精度が要求されるわけではないので、コストの増加を抑えることができる。したがって、かかる構成によれば、耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、スイッチの可動接点と固定接点との凍結や固着を解除できる。
【0010】
上記車両用ラッチ装置はフードラッチであって、エンジンルーム前部に締結されるラッチベースをさらに備え、セカンダリレバーは、ラッチベースに形成された挿入孔に挿入される立ち上がり部を有し、突状部が立ち上がり部の一部を内側に延長することで形成されているとよい。
【0011】
上記構成によれば、ラッチベースに挿入される立ち上がり部の一部を内側に延長して、リーフレバーを戻す突状部が形成される。かかる突状部は、プレス曲げ前において立ち上がり部と同一平面上に形成した鋼板を曲げ起こすことで容易に形成することができる。したがって、コストの増加を招くことなく、好適に可動接点を固定接点から引き離すことが可能である。
【0012】
上記立ち上がり部および上記突状部が、突状部を通すために長孔形状の略中央を切り欠いた略T字形状の挿入孔に挿入されているとよい。これにより、セカンダリレバーの定位置において立ち上がり部および突状部と、挿入孔とが重複するように設定可能なため、挿入孔を通じて雪や泥、ゴミ等の異物が侵入するのを抑えることができる。
【0013】
上記セカンダリレバーが、立ち上がり部の付根部分を延長して形成され挿入孔の手前側を覆う目隠部を有するとよい。これにより、挿入孔を通じて雪や泥、ゴミ等の異物が侵入するのを防止できる。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の他の代表的な構成は、車両の開閉体または車両本体のいずれか一方に設けられ、他方に設けられたストライカを係止し、車両本体に対して開閉体を閉状態に保つ車両用ラッチ装置において、ストライカに輪郭を押されて回動し輪郭に形成された溝にストライカを導入する第1フックと、第1フックの回動に連動して回動し第1フックと噛み合ってストライカを固定する第2フックと、1つの回動方向に付勢されながらストライカに輪郭を押されて反付勢方向に回動し、輪郭に形成された谷部にストライカが到達すると付勢方向に回動しストライカを固定するセカンダリレバーと、可動接点および固定接点を有し、可動接点が固定接点に接触することで係止を検知するスイッチとを備え、可動接点は片持ち状態で支持された弾性変形可能な金属薄片であり、ストライカ導入時に回動する第1フックから力を受けた可動接点が弾性変形して固定接点と接触し、第1フックは、ストライカ離脱時に、ストライカ導入時と逆方向に回動することによって可動接点の開放端側に当たり可動接点を固定接点から引き離す突状部を有することを特徴とする。
【0015】
上記構成によっても、耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、スイッチの可動接点と固定接点との凍結や固着を解除できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明にかかる車両用ラッチの第1実施形態であるフードラッチの正面図である。
【図2】図1のフードラッチに包まれるラッチベース、第1フック、第2フック、カバー部材、セカンダリレバーの分解斜視図である。
【図3】図1のセカンダリレバーを示す図である。
【図4】図1のフードラッチにストライカを導入する様子を示す図である。
【図5】図4のフードラッチにストライカを固定した状態を示す図である。
【図6】図5のフードラッチからストライカが離脱する様子を示す図である。
【図7】本発明にかかる車両用ラッチの第2実施形態であるフードラッチにストライカを固定した状態を示す図である。
【図8】図7のフードラッチからストライカが離脱する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
図1は本発明にかかる車両用ラッチの第1実施形態であるフードラッチ100の正面図である。図2は図1のフードラッチ100に包まれるラッチベース110、第1フック120、第2フック130、カバー部材140、セカンダリレバー150の分解斜視図である。フードラッチ100は、車両の開閉体としてのフードに設けられたストライカ102(図4等参照)を係止し、車両本体に対してフードを閉状態に保つ。
【0019】
図1および図2に示すように、フードラッチ100は、ラッチベース110、第1フック120、第2フック130、カバー部材140、セカンダリレバー150を備える。また、フードラッチ100は、ストライカ102との係止を検知するスイッチ170(図4等参照)を備える。
【0020】
図2に示すように、ラッチベース110は両側にボルト孔112、114を有し、ボルト等によって車両のエンジンルーム前部に締結される。ラッチベース110の組付孔110a、第1フック120の組付孔120a、カバー部材140の組付孔140aにピンを挿入し、その先端をかしめることで、第1フック120がラッチベース110に回動可能に固定される。ラッチベース110の組付孔110b、第2フック130の組付孔130b、カバー部材140の組付孔140bにピンを挿入し、その先端をかしめることで、第2フック130がラッチベース110に回動可能に固定される。
【0021】
第1フック120は、ストライカ102を導入する溝122を有し、一端がラッチベース110に固定されたスプリング180によって矢印X方向に付勢される。第2フック130は、一端がセカンダリレバー150に固定されたスプリング182によって矢印Y方向に付勢される。
【0022】
図3は図1のセカンダリレバー150を示す図である。図3(a)がセカンダリレバー150の背面図であり、図3(b)が図3(a)のセカンダリレバー150の立ち上がり部154、突状部156、目隠部158の形成の仕方を説明する図である。
【0023】
図3(a)に示すように、セカンダリレバー150は、その輪郭にストライカ102を導入する谷部164を有する。また、谷部164の上側には、ストライカ102を引っ掛ける鉤状の鉤状部152が進出する。鉤状部152の反対側(下側)には、ラッチベース110に形成された挿入孔116に挿入される立ち上がり部154、および立ち上がり部154の一部を内側に延長して形成される突状部156が形成される。図2に示すように、かかる立ち上がり部154および突状部156を通すために、挿入孔116は長孔形状の略中央を切り欠いた略「T」字形状をなす。セカンダリレバー150には、かかる挿入孔116の手前側(セカンダリレバー150本体側)を覆う目隠部158が、立ち上がり部154の付根部分を延長して形成される。
【0024】
図3(b)に示すように、プレス曲げ前において、立ち上がり部154、突状部156、目隠部158は、セカンダリレバー150の本体部分と同一平面上に形成される。突状部156と目隠部158との間には、ラッチベース110の挿入孔116の縁の厚みよりも大きいスリット160(隙間)を設ける。そして、矢印A1のように立ち上がり部154を曲げ起こし、矢印A2のように突状部156を曲げ起こすことで、図3(a)に示すセカンダリレバー150を作成する。
【0025】
図2に示すように、ラッチベース110の組付孔110c、セカンダリレバー150の組付孔150cにピン等を挿入することで、セカンダリレバー150はラッチベース110に回動可能に固定される。セカンダリレバー150は、第2フック130と連結するスプリング182によって矢印Z方向に付勢される。セカンダリレバー150はその本体部分と交差する面からなる手押部162を有し、操作者が手押部162を指で押すことで、矢印Z方向と逆の反付勢方向に回動する。
【0026】
図4は図1のフードラッチ100にストライカ102を導入する様子を示す図である。図5は図4のフードラッチ100にストライカ102を固定した状態を示す図である。図6は図5のフードラッチ100からストライカ102が離脱する様子を示す図である。なお、図4から図6は、フードラッチ100を背面側(図1とは逆側)から見た図である。
【0027】
図4から図6に示すように、フードラッチ100は、ストライカ102の係止を検知するスイッチ170を備える。スイッチ170は、可動接点が固定接点172に接触することで、ストライカ102の係止を検知する。本実施形態の特徴として、かかる可動接点が、片持ち状態で支持される弾性変形可能な金属薄片(以下「リーフレバー174」と称する)で形成される。
【0028】
図4に示すようにストライカ102を導入する際には、ストライカ102に輪郭(鉤状部152)を押されてセカンダリレバー150が矢印Z方向と逆の反付勢方向に回動する。図4および図5はこの回動が生じた前後の状態を図示していて、回動中の状態は図示省略している。セカンダリレバー150の回動は、立ち上がり部154および突状部156が挿入孔116に挿入されているため、挿入孔116の範囲内に規制される。ストライカ102が谷部164に到達すると、すなわちセカンダリレバー150の鉤状部152を通過すると、図5に示すように、鉤状部152はスプリング182の付勢によって矢印Z方向(付勢方向)に回動し、定位置に戻る。
【0029】
鉤状部152を通過したストライカ102は、第1フック120の溝122に導入される。そして、第1フック120の溝122すなわち輪郭が押されて、第1フック120が矢印X方向と逆の反付勢方向に回動する。第2フック130は、第1フック120の回動に伴い第1フック120にその凸部132を押され、連動して矢印Y方向と逆の反付勢方向に回動する。第1フック120の凹部124が第2フック130の凸部132に到達すると、これらが互いに噛み合いストライカ102が固定される。
【0030】
本実施形態では、図5に示すように、ストライカ102の導入に伴い第1フック120が輪郭を押されて回動したことで、第1フック120に設けられた突状部126が、弾性を有するバネ板であるリーフレバー174に当たっている。これによってリーフレバー174は弾性変形し、固定接点172に接触する。すなわち、第1フック120の突状部126が、カムとして機能する。これにより、ストライカ102の係止が検知される。
【0031】
一方、ストライカ102の離脱は2段階の操作で行われる。図5の矢印CAとして示すように、まず車室内からフードラッチケーブルを操作して第1フック120および第2フック130によるストライカ102の固定を解除する。次に図6に示すように、セカンダリレバー150の手押部162を指で押して矢印Z方向と逆の反付勢方向に回動させ、セカンダリレバー150によるストライカ102の固定を解除する。フードラッチケーブルの操作により、第2フック130は矢印Y方向と逆の反付勢方向に回動し、その凸部132と第1フックの120の凹部124との噛み合いが解除される。
【0032】
図6に示すように、上記のセカンダリレバー150の回動によって、突状部156がリーフレバー174の開放端側に当たり、これによってリーフレバー174が固定接点172から引き離される。このように本実施形態は、雪や泥、ゴミ等の侵入によりリーフレバー174と固定接点172とがくっついてしまうという不具合を想定したものである。凍結や固着といった不具合が生じなければ、もとより、リーフレバー174はその弾性により固定接点172から離れる。しかし本実施形態によれば、かかる不具合が生じても、セカンダリレバー150の手動操作によりリーフレバー174を固定接点172から引き離すことが可能である。
【0033】
従来技術によれば、凍結等によってリーフレバーと固定接点とがくっついてしまった場合、ストライカの固定を解除してフードが開いても、依然としてスイッチが接触状態にあった。そのため、フードが開いているにも拘らず、フードが閉まっている、すなわちストライカが依然として係止されているという誤った判定がスイッチによってなされてしまう。しかし本実施形態によれば、手動操作によりストライカ102の固定が解除されれば、確実にスイッチ170も非接触の状態となる。これにより、ストライカ102の係止検知が正しく行われ、搭乗者に表示される警告ランプ等の健全性を保つことが可能である。
【0034】
本実施形態では、可動接点を弾性変形可能な金属薄片であるリーフレバー174で形成するため、突状部156が当たることによって壊れるおそれを抑えることができる。すなわち、高い耐久性を確保することができる。また、かかる構成では、セカンダリレバー150の突状部156がリーフレバー174の開放端側に当たる箇所に、位置精度が要求されるわけではないので、コストの増加を抑えることができる。したがって、フードラッチ100では、耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、スイッチ170のリーフレバー174と固定接点との凍結や固着を解除可能である。
【0035】
さらに、上述した構成では、セカンダリレバー150の立ち上がり部154に突状部156が形成され、セカンダリレバー150の手押部162を指で押すことによりリーフレバー174を強制解除する。操作者の手動操作によってリーフレバー174を強制解除する構成とすることで、より確実に強制解除でき、かつ操作者に強制解除を認識させることができる。
【0036】
また、図4から図6に示すように、本実施形態にかかるフードラッチ100では、セカンダリレバー150の定位置において立ち上がり部154および突状部156と、略「T」字形状の挿入孔116とが重複するように設定される。そのため、挿入孔116を通じて雪や泥、ゴミ等の異物が侵入するのを抑えることができる。加えて、突状部156が、挿入孔116と交差する面で形成されていて、雪や泥、ゴミ等の異物を受け止め、セカンダリレバー150の回動動作により掻きだす効果を奏する。そして、これらにも拘らず、挿入孔116の内部に雪や泥、ゴミ等の異物が侵入してしまっても、挿入孔116の手前側が目隠部158で覆われているため、挿入孔116を通じてその内部に雪や泥、ゴミ等の異物が侵入するのを防止できる。したがって、フードラッチ100によれば、凍結や固着の前段としての異物の侵入自体を防止する効果も奏する。なお、略「T」字形状の挿入孔116は、雪や泥、ゴミ等の異物の侵入を防ぐために最小限の大きさとする。
【0037】
[第2実施形態]
図7は本発明にかかる車両用ラッチの第2実施形態であるフードラッチ200にストライカ102を導入する様子を示す図である。図8は、図7のフードラッチ200からストライカ102が離脱する様子を示す図である。なお、図7、図8は、フードラッチ200を背面側から見た図である。
【0038】
図7、図8に示すように、第2実施形態にかかるフードラッチ200では、スイッチ170が第1実施形態よりも中央よりに配置される。そして、リーフレバー174を固定接点172に接触させる突状部228と、リーフレバー174を固定接点172から引き離す突状部226とを有する第1フック220が採用される。
【0039】
図7に示すように、フードラッチ200では、ストライカ102の導入に伴う第1フック220の矢印X方向と逆の反付勢方向の回動により、突状部228がリーフレバー174を固定接点172に接触させる。これにより、ストライカ102の係止が検知される。また、矢印CAとして示すように車室内からフードラッチケーブルが操作され第1フック220の凸部132と第2フック130の凹部124との噛み合いが解除されれば、第1フック220がスプリング180によって付勢され矢印X方向(ストライカ102導入時と逆の方向)に回動する。これにより、図8に示すように、突状部226がリーフレバー174の開放端側に当たって、リーフレバー174を強制解除する。したがって、第2実施形態にかかるフードラッチ200によっても、耐久性の低下やコストの増加を招くことなく、リーフレバー174と固定接点172との凍結や固着を解除可能な構成を実現できる。
【0040】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0041】
すなわち、上記実施形態では車両用ラッチ装置としてフードラッチ100、200について説明したが、これに限らず本発明を他のラッチ装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、自動車に装備される車両用ラッチ装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0043】
100、200…フードラッチ、102…ストライカ、110…ラッチベース、110a、110b、110c…組付孔、112、114…ボルト孔、116…挿入孔、120、220…第1フック、120a…組付孔、122…溝、124…凹部、126、226、228…突状部、130…第2フック、130b…組付孔、132…凸部、140…カバー部材、140a、140b…組付孔、150…セカンダリレバー、150c…組付孔、152…鉤状部、154…立ち上がり部、156…突状部、158…目隠部、160…スリット、162…手押部、164…谷部、170…スイッチ、172…固定接点、174…リーフレバー(可動接点)、180…スプリング、182…スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開閉体または車両本体のいずれか一方に設けられ、他方に設けられたストライカを係止し、車両本体に対して該開閉体を閉状態に保つ車両用ラッチ装置において、
前記ストライカに輪郭を押されて回動し該輪郭に形成された溝に該ストライカを導入する第1フックと、
前記第1フックの回動に連動して回動し該第1フックと噛み合って前記ストライカを固定する第2フックと、
1つの回動方向に付勢されながら前記ストライカに輪郭を押されて反付勢方向に回動し、該輪郭に形成された谷部に該ストライカが到達すると付勢方向に回動し該ストライカを固定するセカンダリレバーと、
可動接点および固定接点を有し該可動接点が該固定接点に接触することで前記係止を検知するスイッチとを備え、
前記可動接点は片持ち状態で支持された弾性変形可能な金属薄片であり、前記ストライカ導入時に前記回動する第1フックから力を受けた該可動接点が弾性変形して前記固定接点と接触し、
前記セカンダリレバーは、前記ストライカ離脱時に該セカンダリレバーが前記反付勢方向に回動することによって前記可動接点の開放端側に当たり該可動接点を前記固定接点から引き離す突状部を有することを特徴とする車両用ラッチ装置。
【請求項2】
当該車両用ラッチ装置はフードラッチであって、エンジンルーム前部に締結されるラッチベースをさらに備え、
前記セカンダリレバーは、前記ラッチベースに形成された挿入孔に挿入される立ち上がり部を有し、前記突状部が該立ち上がり部の一部を内側に延長することで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項3】
前記立ち上がり部および前記突状部が、該突状部を通すために長孔形状の略中央を切り欠いた略T字形状の前記挿入孔に挿入されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項4】
前記セカンダリレバーが、前記立ち上がり部の付根部分を延長して形成され前記挿入孔の手前側を覆う目隠部を有することを特徴とする請求項2または3に記載の車両用ラッチ装置。
【請求項5】
車両の開閉体または車両本体のいずれか一方に設けられ、他方に設けられたストライカを係止し、車両本体に対して該開閉体を閉状態に保つ車両用ラッチ装置において、
前記ストライカに輪郭を押されて回動し該輪郭に形成された溝に該ストライカを導入する第1フックと、
前記第1フックの回動に連動して回動し該第1フックと噛み合って前記ストライカを固定する第2フックと、
1つの回動方向に付勢されながら前記ストライカに輪郭を押されて反付勢方向に回動し、該輪郭に形成された谷部に該ストライカが到達すると付勢方向に回動し該ストライカを固定するセカンダリレバーと、
可動接点および固定接点を有し該可動接点が該固定接点に接触することで前記係止を検知するスイッチとを備え、
前記可動接点は片持ち状態で支持された弾性変形可能な金属薄片であり、前記ストライカ導入時に前記回動する第1フックから力を受けた該可動接点が弾性変形して前記固定接点と接触し、
前記第1フックは、前記ストライカ離脱時に、該ストライカ導入時と逆方向に回動することによって前記可動接点の開放端側に当たり該可動接点を前記固定接点から引き離す突状部を有することを特徴とする車両用ラッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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