説明

車両用冷却系支持構造

【課題】前面衝突時に冷却系が損傷を受けるのを効果的に抑制又は防止することができる車両用冷却系支持構造を得る。
【解決手段】ラジエータサポート14の側部24Bとクラッシュボックス16の取付部16Bとの間には、ダメージャブラケット26が配設されている。ダメージャブラケット26の中間部28Cは平面視でコ字状に形成されており、車両前方側から見ると裾広がり形状とされている。従って、前面衝突時にフロントバンパリインフォース12が車両後方側へ変位すると、ダメージャブラケット26の中間部28Cが開き、フードロックを中心として冷却系10及びラジエータサポート14が車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロントバンパリインフォースの車両後方側に配置された冷却系を略枠状に構成されたラジエータサポートにマウント支持する車両用冷却系支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体前部構造では、前面衝突時に車体前部を効果的にクラッシュさせることにより、前面衝突時のエネルギーを吸収させていた。具体的には、フロントバンパリインフォースの長手方向の両端部と左右一対のフロントサイドメンバの前端部との間にクラッシュボックスをそれぞれ介在させておき、前面衝突時にフロントバンパリインフォースが車両後方側へ変位すると、クラッシュボックスが軸圧縮変形し、これにより前面衝突時のエネルギーが吸収される構造が多用されている。
【特許文献1】特開平10‐264856号公報
【特許文献2】特開2002‐286392号公報
【特許文献2】特開2002‐362171号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記構成による場合、通常、フロントバンパリインフォースの車両後方側にはラジエータ等の冷却系並びにエンジン部品が僅かな隙間を隔てて配置されているため、フロントバンパリインフォースの車両後方側への変位によって冷却系がエンジン部品に干渉する等して損傷を受ける可能性がある。
【0004】
なお、最近、ロングホイールベース及びショートオーバーハングの車両デザインが採用される傾向があるが、かかる車両デザインを採用した場合には、フロントバンパリインフォース、冷却系、エンジン相互間の隙間が極僅かしかとれないことから、前記問題がより一層懸念される。
【0005】
さらに、車種によってはエンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバのフロントクロスメンバにラジエータサポートが固定されているものがある。このような車種では、前面衝突時にラジエータサポートを利用して冷却系の変位をコントロールするといった手法を使うことができないという事情にも配慮する必要がある。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、前面衝突時に冷却系が損傷を受けるのを効果的に抑制又は防止することができる車両用冷却系支持構造を得ること、特にラジエータサポートの下縁側がサスペンションメンバに固定されている車種に好適な車両用冷却系支持構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、フロントバンパリインフォースの車両後方側に配置された冷却系を略枠状に構成されたラジエータサポートにマウント支持する車両用冷却系支持構造であって、前面衝突時にフロントバンパリインフォースが車両後方側へ変位することにより、当該変位を利用してラジエータサポートの下縁側又は側縁側へのマウント支持状態を解除させてラジエータサポートの上縁側へのマウント支持点を中心として冷却系を車両後方側かつ車両上方側へ回転変位させる回転変位手段を備えている、ことを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、前記回転変位手段は、フロントバンパリインフォースから入力された車両後方側への荷重を、冷却系を車両上方側へ持ち上げて前記マウント支持状態を解除させる持上げ力と持上げられた冷却系を車両後方側へ押圧する押圧力とに変換する荷重変換機構である、ことを特徴としている。
【0009】
請求項3記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項2記載の発明において、前記荷重変換機構は、フロントバンパリインフォースの車両後方側への変位時に冷却系を車両上方側へ持ち上げる傾斜面と、当該傾斜面と連続しフロントバンパリインフォースの車両後方側への変位をそのまま冷却系に伝えて冷却系を車両後方側へ変位させる垂直面と、を有するブラケットによって構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項4記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、前記回転変位手段は、冷却系の底面とラジエータサポートの下縁側との間に配置され冷却系のマウント支持部が設定される下部と、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されラジエータサポートの側縁側に固定される上部と、を含むブラケットを有し、さらに当該ブラケットの上部にはフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により当該上部の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段が付加されている、ことを特徴としている。
【0011】
請求項5記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と側縁側との上横複数ヶ所でマウント支持されており、前記回転変位手段は、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されると共に当該ラジエータサポートの側縁側に固定されかつ冷却系のマウント支持部が設定されたブラケットを有し、さらに当該ブラケットにはフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により自身の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段が付加されている、ことを特徴としている。
【0012】
請求項6記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項4又は請求項5記載の発明において、前記後方変位手段は、前記ブラケットに形成された車両前後方向に長い長孔と、当該長孔の後端側にてブラケットとラジエータサポートの側縁側とを締結する締結具と、通常は当該締結具を長孔の後端側に保持しかつ所定値以上の車両後方側への荷重がブラケットに作用することにより破断又は変形して締結具による締結点を長孔の後端側から前端側へ相対的に変位させる脆弱部と、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、通常の車両走行時においては、略枠状に構成されたラジエータサポートに冷却系がマウント支持されている。
【0014】
この状態から前面衝突時になると、フロントバンパリインフォースに車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォースは、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォースが車両後方側へ変位すると、その変位を利用して、回転変位手段によってラジエータサポートの下縁側又は側縁側への冷却系のマウント支持状態が解除される。これにより、冷却系はラジエータサポートの上縁側へのマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。すなわち、本発明によれば、前面衝突時にラジエータサポートを動かすことなく、冷却系を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、冷却系が他部品と干渉して冷却系自体が損傷を受けるのを極力回避することができる。
【0015】
さらに、本発明によれば、前記のように前面衝突時にラジエータサポートを動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバのフロントクロスメンバにラジエータサポートの下縁側が固定されている車種に対しても、適用が可能である。
【0016】
請求項2記載の本発明によれば、冷却系がラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0017】
すなわち、前面衝突時にフロントバンパリインフォースから車両後方側への荷重が入力されると、まず荷重変換機構によって冷却系が車両上方側へ持上げられる。これにより、冷却系のラジエータサポートの下縁側とのマウント支持状態が解除される。続いて、荷重変換機構によって冷却系が車両後方側へ押圧される。これにより、冷却系はラジエータサポートの上縁側のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0018】
このように本発明では、フロントバンパリインフォースから入力される車両後方側への荷重を車両上方側への持上げ力と車両後方側への押圧力とに変換する荷重変換機構を採用したので、前面衝突時の冷却系の退避動作が二種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。
【0019】
請求項3記載の本発明によれば、冷却系を車両上方側へ持上げる傾斜面と、当該傾斜面と連続しフロントバンパリインフォースの車両後方側への変位をそのまま冷却系に伝えて冷却系を車両後方側へ変位させる垂直面と、を有するブラケットによって荷重変換機構を構成したので、一部品で荷重変換機構(回転変位手段)を構成することができる。
【0020】
請求項4記載の本発明によれば、冷却系がラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0021】
すなわち、本発明では、冷却系の底面及び側面とラジエータサポートの下縁側及び側縁側との間にブラケットが介在されており、通常時においては、ブラケットの下部に設定されたマウント支持部にて冷却系の下端部がマウント支持されており、又ブラケットの上部はラジエータサポートの側縁側に固定されている。
【0022】
この状態から、前面衝突時になると、フロントバンパリインフォースから車両後方側への荷重入力により、後方変位手段によってブラケットの上部とラジエータサポートの側縁側との固定状態が解除される。ブラケットの下部はラジエータサポートの下縁側には固定されていないので、ブラケットの上部の固定状態が解除されると、ブラケットは車両後方側へ変位することができる。これにより、冷却系はラジエータサポートの上縁側のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0023】
このように本発明では、冷却系とラジエータサポートの下縁側及び側縁側との間にブラケットを介在させ、ブラケットの下部側で冷却系の下縁側のマウント支持を確保し、ブラケットの上部側にブラケットとラジエータサポートとの固定状態を解除する後方変位手段を設ける構造を付加したので、冷却系のマウント支持点がラジエータサポートの上下である場合に好適であり、かつ後方変位手段による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られる。
【0024】
請求項5記載の本発明によれば、冷却系がラジエータサポートの上縁側と側縁側の上横複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0025】
すなわち、本発明では、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間にブラケットが介在されており、通常時においては、当該ブラケットに設定されたマウント支持部にて冷却系の側部がマウント支持されており、又ブラケットはラジエータサポートの側縁側に固定されている。
【0026】
この状態から、前面衝突時になると、フロントバンパリインフォースから車両後方側への荷重入力により、後方変位手段によってブラケットとラジエータサポートの側縁側との固定状態が解除される。このため、ブラケットは車両後方側へ変位することができる。これにより、冷却系はラジエータサポートの上縁側のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0027】
このように本発明では、冷却系とラジエータサポートの側縁側との間にブラケットを介在させ、当該ブラケットで冷却系の側縁側のマウント支持を確保し、かつ当該ブラケットにブラケットとラジエータサポートとの固定状態を解除する後方変位手段を設ける構造を付加したので、冷却系のマウント支持点がラジエータサポートの上と横である場合に好適であり、かつ後方変位手段による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られる。
【0028】
請求項6記載の本発明によれば、ブラケットに前面衝突時の荷重が入力される前の通常の状態では、脆弱部によって、ブラケットに形成された長孔の後端側に、ブラケットとラジエータサポートの側縁側とを締結する締結具が保持される。そして、前面衝突時に所定値以上の車両後方側への荷重がブラケットに作用すると、脆弱部が破断又は変形することにより、締結具による締結点が長孔の後端側から前端側へ相対的に変位される。
【0029】
このように本発明では、後方変位手段を長孔及び脆弱部と締結具とによって構成したので、ブラケット側には長孔と脆弱部を設ければよい。従って、締結具以外の構成が一部品(ブラケット)に集約される。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、前面衝突時にフロントバンパリインフォースが車両後方側へ変位することにより、当該変位を利用してラジエータサポートの下縁側又は側縁側へのマウント支持状態を解除させてラジエータサポートの上縁側へのマウント支持点を中心として冷却系を車両後方側かつ車両上方側へ回転変位させる回転変位手段を備えているので、前面衝突時に冷却系が損傷を受けるのを効果的に抑制又は防止することができるという優れた効果を有する。
【0031】
特に、本発明に係る車両用冷却系支持構造は、前面衝突時にラジエータサポートを動かすことなく、冷却系を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができるので、ラジエータサポートの下縁側がサスペンションメンバに固定されている車種に対しても適用が可能であるという優れた効果を有する。
【0032】
請求項2記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、冷却系はラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、フロントバンパリインフォースから入力された車両後方側への荷重を、冷却系を車両上方側へ持ち上げてマウント支持状態を解除させる持上げ力と持上げられた冷却系を車両後方側へ押圧する押圧力とに変換する荷重変換機構によって回転変位手段を構成したので、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にでき、その結果、作動に対する信頼性を向上させることができるという優れた効果を有する。
【0033】
請求項3記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項2記載の発明において、冷却系を車両上方側へ持上げる傾斜面と、当該傾斜面と連続しフロントバンパリインフォースの車両後方側への変位をそのまま冷却系に伝えて冷却系を車両後方側へ変位させる垂直面と、を有するブラケットによって荷重変換機構を構成したので、一部品で荷重変換機構(回転変位手段)を構成することができ、その結果、作動に対する信頼性のより一層の向上と低コスト化とを両立させることができるという優れた効果を有する。
【0034】
請求項4記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、冷却系はラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、回転変位手段は、冷却系の底面とラジエータサポートの下縁側との間に配置され冷却系のマウント支持部が設定される下部と、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されラジエータサポートの側縁側に固定される上部と、を含むブラケットを有し、さらに当該ブラケットの上部にフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により当該上部の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段を付加したので、後方変位手段による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られ、その結果、冷却系のマウント支持点がラジエータサポートの上と横である車種に対して好適であると共に、比較的容易に設計することができるという優れた効果を有する。
【0035】
請求項5記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項1記載の発明において、冷却系はラジエータサポートの上縁側と側縁側の上横複数ヶ所でマウント支持されており、回転変位手段は、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されると共に当該ラジエータサポートの側縁側に固定されかつ冷却系のマウント支持部が設定されたブラケットを有し、さらに当該ブラケットにフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により自身の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段を付加したので、後方変位手段による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られ、その結果、冷却系のマウント支持点がラジエータサポートの上と横である車種に対して好適であると共に、比較的容易に設計することができるという優れた効果を有する。
【0036】
請求項6記載の本発明に係る車両用冷却系支持構造は、請求項4又は請求項5記載の発明において、ブラケットに形成された車両前後方向に長い長孔と、当該長孔の後端側にてブラケットとラジエータサポートの側縁側とを締結する締結具と、通常は当該締結具を長孔の後端側に保持しかつ所定値以上の車両後方側への荷重がブラケットに作用することにより破断又は変形して締結具による締結点を長孔の後端側から前端側へ相対的に変位させる脆弱部と、を含んで後方変位手段を構成したので、締結具以外の構成を一部品(ブラケット)で済ませることができ、その結果、低コスト化、省スペース化、及び軽量化を図ることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図3を用いて、本発明に係る車両用冷却系支持構造の第1実施形態について説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
【0038】
図1には、本発明に係る車両用冷却系支持構造が適用された冷却系10周りの全体構成が正面図と側面図で示されている。
【0039】
この図に示されるように、車両の前端部には、フロントバンパリインフォース12を含んで構成されたフロントバンパが配設されている。フロントバンパリインフォース12は断面形状が矩形状とされた長尺状部材であり、車両幅方向を長手方向としてフロントバンパカバーの内側に配置されている。なお、フロントバンパリインフォースの構成には種々あり、本実施形態のように二枚の板材を使って矩形の閉断面構造としたもの(図面上は一部品として描いている。)を用いてもよいし、一枚の板材を使ってコ字状の開断面構造としたものを用いてもよい。
【0040】
また、車両前部の両サイドには図示しない左右一対のフロントサイドメンバが車両前後方向を長手方向として配置されており、更に各フロントサイドメンバの前端部とフロントバンパリインフォース12の長手方向の端部との間には車両前後方向に長い筒型形状とされた図示しないクラッシュボックスが介在されている。クラッシュボックスは、フロントバンパリインフォース12から車両後方側への所定値以上の衝突荷重が入力されることにより軸圧縮変形してエネルギー吸収を行う部材であるが、必ず設定されるというものではない。
【0041】
上述したフロントバンパリインフォース12とその車両後方側に配置された図示しないエンジン部品(エンジン前端部品)との間には、車両前後方向の幅が狭いスペースが形成されている。このスペースには、ラジエータコア、ファン、ファンシュラウド等から成り、略矩形枠状に構成されたラジエータサポート14によってボディー側に支持された冷却系10が配設されている。
【0042】
ラジエータサポート14は、上縁側を構成するラジエータサポートアッパ16と、下縁側を構成するラジエータサポートロア18と、両者の両端部を車両上下方向に繋ぐ左右一対の両側部(縦柱)20と、によって構成されている。なお、ラジエータサポートアッパ16が本発明におけるラジエータサポートの上縁側に相当し、ラジエータサポートロア18が本発明におけるラジエータサポート下縁側に相当し、側部20が本発明におけるラジエータサポートの側縁側に相当する。
【0043】
冷却系10は、上記ラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16及びラジエータサポートロア18の上下合計4箇所でマウント支持されている。なお、以下においては、ラジエータサポートアッパ16側への支持点を「上側マウント支持部32」と称し、ラジエータサポートロア18側への支持点を「下側マウント支持部34」と称す。
【0044】
ここで、上述したフロントバンパリインフォース12の長手方向の両端部近傍の背面(車両後方側の面)側には、側面視で略L字状に形成された回転変位手段としての左右一対のダメージャブラケット26が配設されている。また、これに対応して、冷却系10の両側面には、車両幅方向を軸方向として配置された回転変位手段としての左右一対の突起部28がそれぞれ立設されている。以下、ダメージャブラケット26及び突起部28について詳細に説明する。
【0045】
図2には、ダメージャブラケット26の斜視図が示されている。この図に示されるように、ダメージャブラケット26は、フロントバンパリインフォース12の背面に固定される取付面26Aと、高さ方向中間部に配置され車両後方側へ向かうにつれて高さが徐々に減少する傾斜面26Bと、この傾斜面26Bの上端部から取付面26Aに対して平行に立ち上がる垂直面26Cと、取付面26Aと垂直面26Cとを繋ぐ上端面26Dとを備えている。なお、本実施形態では、ダメージャブラケット26を樹脂材料によって構成しているが、プレス成形や鋳造等による金属製でも差し支えない。
【0046】
また、図1に示されるように、ダメージャブラケット26の取付面26Aの高さは、フロントバンパリインフォース12の高さに一致するように設定されている。また、ダメージャブラケット26のフロントバンパリインフォース12の幅方向の取付位置は、正面視でラジエータサポート14の側部20の内側面と冷却系10の側面との間に形成された隙間30と対向する位置に設定されている。さらに、ダメージャブラケット26のフロントバンパリインフォース12への取付状態では、側面視でダメージャブラケット26の傾斜面26Bがラジエータサポート14の側部20に半分程度重なるように各部の寸法設定がなされている。また、上端面26Dはの前後方向寸法A(図1(B)参照)は、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ変位した際にフロントバンパリインフォース12と冷却系10とが干渉するするのを防止できる程度の寸法に設定されている。
【0047】
一方、突起部28はピン状に形成されており、ラジエータサポート14の側部20の高さ方向中間部に立設されている。組付状態では、突起部28がダメージャブラケット26の傾斜面26Bの直上に近接して配置されている。従って、仮にダメージャブラケット26が車両後方側へ変位すると、突起部28がダメージャブラケット26の傾斜面26Bに干渉する設計となっている。
【0048】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0049】
通常の車両走行時においては、図1(A)、(B)に示されるように、略枠状に構成されたラジエータサポート14に冷却系10がマウント支持されている。
【0050】
この状態から前面衝突時になると、図3(A)に示されるように、衝突バリア36からフロントバンパリインフォース12に車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォース12は、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ変位すると、当該フロントバンパリインフォース12の裏面側に固定されたダメージャブラケット26も車両後方側へ変位する。このため、ダメージャブラケット26の傾斜面26Bに冷却系10の突起部28が干渉する。
【0051】
図3(B)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、ダメージャブラケット26の傾斜面26Bによって車両後方側への押圧力が分解されて車両上方側への分力が発生する。そして、左右の突起部28がダメージャブラケット26の傾斜面26B上を摺動して昇るにつれて、当該分力によって左右の突起部28が車両上方側へ変位する。これにより、冷却系10が車両上方側(図3(B)の矢印B方向側)へ持ち上げられ、ラジエータサポート14のラジエータサポートロア18への冷却系10のマウント支持状態が解除される。
【0052】
図3(C)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、左右の突起部28がダメージャブラケット26の垂直面26Cに当接し、当該垂直面26Cによって左右の突起部28が車両後方側へ押圧される。なお、このとき、フロントバンパリインフォース12が図3(C)図示位置まで実際に変位しているのであれば、ラジエータサポート14の両側部(縦柱)20と干渉するので、両側部20は左右逆向きの「く」の字状に変形するが、冷却系10はフロントバンパリインフォース12と干渉しないので損傷を受けることはない(この点については、以降の実施形態においても同様である。)。上記により、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16へのマウント支持点(上側マウント支持部32)を中心として車両後方側かつ車両上方側(図3(C)の矢印C方向側)へ回転変位される。
【0053】
すなわち、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造によれば、前面衝突時にラジエータサポート14を動かすことなく、冷却系10を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、本実施形態によれば、冷却系10が他部品と干渉して冷却系10自体が損傷を受けるのを極力回避(効果的に抑制又は防止)することができる。
【0054】
さらに、本実施形態によれば、前記のように前面衝突時にラジエータサポート14を動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバ22のフロントクロスメンバ24にラジエータサポート14のラジエータサポートロア18が固定されている車種に対しても適用が可能であり、この点において本構造は非常に有益である。
【0055】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、冷却系10がラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16とラジエータサポートロア18の上下複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0056】
すなわち、前面衝突時にフロントバンパリインフォース12から車両後方側への荷重が入力されると、まずダメージャブラケット26の傾斜面26Bによって冷却系10が車両上方側へ持上げられる。これにより、冷却系10のラジエータサポート14のラジエータサポートロア18とのマウント支持状態が解除される。続いて、ダメージャブラケット26の垂直面26Cによって冷却系10が車両後方側へ押圧される。これにより、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0057】
このように本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、フロントバンパリインフォース12から入力される車両後方側への荷重を車両上方側への持上げ力と車両後方側への押圧力とに変換するダメージャブラケット26を採用したので、前面衝突時の冷却系10の退避動作が二種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性を向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、冷却系10を車両上方側へ持上げる傾斜面26Bと、当該傾斜面26Bと連続しフロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位をそのまま冷却系10に伝えて冷却系10を車両後方側へ変位させる垂直面26Cと、を有するダメージャブラケット26によって荷重変換機構を構成したので、一部品で荷重変換機構(回転変位手段)を構成することができる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性のより一層の向上と低コスト化とを両立させることができる。
【0059】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造によれば、ダメージャブラケット26の傾斜面26Bの傾斜角度及び上端面26Dの前後方向寸法Aを変更することにより、冷却系10の変位量を容易にチューニングすることができるという利点もある。
【0060】
〔第2実施形態〕
以下、図4を用いて本発明の第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0061】
図4に示されるように、この実施形態では、回転変位手段としてのダメージャブラケット40を冷却系10の側面に設定した点に特徴がある。
【0062】
具体的に説明すると、この実施形態では、冷却系10の側面でフロントバンパリインフォース12と対向する位置に、側面視で左右逆向きの略「く」の字状に形成されたダメージャブラケット40が配設されている。ダメージャブラケット40の上部は斜め前方側へ突出されており、その下面には傾斜面40Aが形成されている。組付状態では、この傾斜面40Aの途中部位がフロントバンパリインフォース12の背面の上端角部12Aが近接して配置されている。また、ダメージャブラケット40の下部の前面には、傾斜面40Aと連続する垂直面40Bが形成されている。この垂直面40Bは、組付状態では、冷却系10の前面よりも若干前方側に位置されている。
【0063】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0064】
通常の車両走行時においては、略枠状に構成されたラジエータサポート14に冷却系10がマウント支持されている。
【0065】
この状態から前面衝突時になると、図4(A)に示されるように、衝突バリア36からフロントバンパリインフォース12に車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォース12は、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位量が所定量に達すると、フロントバンパリインフォース12の背面の上端角部12Aがダメージャブラケット40の傾斜面40Aに干渉する。
【0066】
図4(B)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、ダメージャブラケット40の傾斜面40Aによって車両後方側への押圧力が分解されて車両上方側への分力が発生する。このため、フロントバンパリインフォース12の背面の上端角部12Aがダメージャブラケット40の傾斜面40A上を摺動して昇るにつれて、当該分力によって左右のダメージャブラケット40が車両上方側へ変位する。これにより、冷却系10が車両上方側(図4(B)の矢印B方向側)へ持ち上げられ、ラジエータサポート14のラジエータサポートロア18への冷却系10のマウント支持状態が解除される。
【0067】
図4(C)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、フロントバンパリインフォース12の背面の上端角部12Aが左右のダメージャブラケット40の垂直面40Bに当接し、当該上端角部12Aによって左右のダメージャブラケット40が車両後方側へ押圧される。これにより、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16へのマウント支持点(上側マウント支持部32)を中心として車両後方側かつ車両上方側(図4(C)の矢印C方向側)へ回転変位される。
【0068】
すなわち、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前面衝突時にラジエータサポート14を動かすことなく、冷却系10を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、本実施形態によれば、冷却系10が他部品と干渉して冷却系10自体が損傷を受けるのを極力回避(効果的に抑制又は防止)することができる。
【0069】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前記のように前面衝突時にラジエータサポート14を動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバ22のフロントクロスメンバ24にラジエータサポート14のラジエータサポートロア18が固定されている車種に対しても適用が可能であり、この点において本構造は非常に有益である。
【0070】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、冷却系10がラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16とラジエータサポートロア18の上下複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0071】
すなわち、前面衝突時にフロントバンパリインフォース12から車両後方側への荷重が入力されると、まずダメージャブラケット40の傾斜面40Aによって冷却系10が車両上方側へ持上げられる。これにより、冷却系10のラジエータサポート14のラジエータサポートロア18とのマウント支持状態が解除される。続いて、ダメージャブラケット26の垂直面26Cによって冷却系10が車両後方側へ押圧される。これにより、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0072】
このように本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、フロントバンパリインフォース12から入力される車両後方側への荷重を車両上方側への持上げ力と車両後方側への押圧力とに変換するダメージャブラケット26を採用したので、前面衝突時の冷却系10の退避動作が二種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性を向上させることができる。
【0073】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、冷却系10を車両上方側へ持上げる傾斜面40Aと、当該傾斜面40Aと連続しフロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位をそのまま冷却系10に伝えて冷却系10を車両後方側へ変位させる垂直面40Bと、を有するダメージャブラケット40によって荷重変換機構を構成したので、一部品で荷重変換機構(回転変位手段)を構成することができる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性のより一層の向上と低コスト化とを両立させることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造によれば、ダメージャブラケット40の傾斜面40Aの傾斜角度及び下端面40Cの前後方向寸法A’を変更することにより、冷却系10の変位量を容易にチューニングすることができるという利点もある。
【0075】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造に特有の効果として、ダメージャブラケット40を冷却系10の側面に設けることにより、回転変位手段及び荷重変換機構を一部品で構成することができるので、第1実施形態よりも部品点数が少なくなり、コストダウンを図ることができる。
【0076】
〔第3実施形態〕
以下、図5〜図8を用いて本発明の第3実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0077】
図5には、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図が示されている。また、図6には、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造の要部拡大斜視図が示されている。
【0078】
これらの図に示されるように、この実施形態では、リンク機構50を使って回転変位手段が構成されている点に特徴がある。
【0079】
具体的に説明すると、この実施形態では、フロントバンパリインフォース12と冷却系10との間に第1リンク52及び第2リンク54から成るリンク機構50が配設されている。第1リンク52の前端部は冷却系10の背面下部に設けられた取付座56にヒンジピン58を介して相対回転可能に連結されている。
【0080】
一方、ラジエータサポートロア18は車両後方側へ多少延長されており、その上面には取付座60が立設されている。取付座60には第2リンク54の後端部がヒンジピン62を介して相対回転可能に連結されている。第1リンク52及び第2リンク54は側面視で略山形に配置されて、第1リンク52の後端部と第2リンク54の前端部とが軸長が比較的長い中間ピン64によって相対回転可能に連結されている。さらに、冷却系10の側面には、組付状態において中間ピン64の直上となる位置に回転変位手段としての略円弧面形状の突起部66が立設されている。なお、突起部66は車両上方側に凸となるように配置されている。
【0081】
次に、この実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0082】
通常の車両走行時においては、略枠状に構成されたラジエータサポート14に冷却系10がマウント支持されている。
【0083】
この状態から前面衝突時になると、図7(A)に示されるように、衝突バリア36からフロントバンパリインフォース12に車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォース12は、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位量が増加するにつれて第1リンク52と第2リンク54のなす角が狭くなる方向へ回転変位し、同時に中間ピン64が突起部66の下面に接近していく(図8(A)参照)。
【0084】
図7(B)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、第2リンク54が後端部のヒンジピン62回りに揺動し、中間ピン64が突起部66を下から上へ(図8(B)の矢印B方向へ)突き上げる。これにより、冷却系10が車両上方側へ持ち上げられて、ラジエータサポート14のラジエータサポートロア18への冷却系10のマウント支持状態が解除され、冷却系10を図7(B)の矢印D方向へ回転変位させる。
【0085】
図7(C)に示されるように、フロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位すると、第1リンク52と第2リンク54とのなす角は更に鋭角となり、中間ピン64が突起部66を略車両後方側(図8(C)の矢印E方向側)へ押圧する。これにより、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16へのマウント支持点(上側マウント支持部32)を中心として車両後方側かつ車両上方側(図7(C)の矢印C方向側)へ回転変位される。なお、この段階では、第2リンク54が後端部のヒンジピン62を支点として車両後方側かつ車両下方側(図7(C)の矢印F方向側)へ倒れ込む変位モードに変わっていく。
【0086】
すなわち、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前面衝突時にラジエータサポート14を動かすことなく、冷却系10を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、本実施形態によれば、冷却系10が他部品と干渉して冷却系10自体が損傷を受けるのを極力回避(効果的に抑制又は防止)することができる。
【0087】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前記のように前面衝突時にラジエータサポート14を動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバ22のフロントクロスメンバ24にラジエータサポート14のラジエータサポートロア18が固定されている車種に対しても適用が可能であり、この点において本構造は非常に有益である。
【0088】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、冷却系10がラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16とラジエータサポートロア18の上下複数ヶ所でマウント支持されている構造を前提とし、以下の作用が得られる。
【0089】
すなわち、前面衝突時にフロントバンパリインフォース12から車両後方側への荷重が入力されると、まずリンク機構50が狭まる方向へ回転変位し、中間ピン64及び突起部66によって冷却系10が車両上方側へ持上げられる。これにより、冷却系10のラジエータサポート14のラジエータサポートロア18とのマウント支持状態が解除される。続いて、リンク機構50が更に車両後方側へ傾倒されるにつれて中間ピン64及び突起部66を介して冷却系10が車両後方側へ押圧される。これにより、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16のマウント支持点を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0090】
このように本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、フロントバンパリインフォース12から入力される車両後方側への荷重を車両上方側への持上げ力と車両後方側への押圧力とに変換するリンク機構50を採用したので、前面衝突時の冷却系10の退避動作が二種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性を向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造によれば、第1リンク52及び第2リンク54のリンク長や支点の位置、突起部66の曲率半径等を変更することにより、冷却系10の変位量を容易にチューニングすることができるという利点もある。
【0092】
〔第4実施形態〕
以下、図9〜図12を用いて本発明の第4実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0093】
図9には、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図が示されている。また、図10には、当該車両用冷却系支持構造の要部に係るダメージャブラケットの拡大斜視図が示されている。
【0094】
これらの図に示されるように、この実施形態では、冷却系10とラジエータサポート14との間にダメージャブラケット70を介在させ、当該ダメージャブラケット70に冷却系10の下側マウント支持点を設定した点に特徴がある。
【0095】
具体的に説明すると、図10に示されるように、回転変位手段としてのダメージャブラケット70は、冷却系10の底面とラジエータサポート14のラジエータサポートロア18の上面との間に配置された下部72と、この下部72の外端から立ち上がり冷却系10の側面とラジエータサポート14の側部20の内側面との間のスペース30に配置される上部74と、によって構成されている。なお、ダメージャブラケット70は、樹脂材料によって構成されている。
【0096】
下部72には冷却系10の下側マウント支持部34が設定されており、冷却系10の下縁側支持点とされている。なお、下部72自体は、ラジエータサポートロア18に固定されていない。
【0097】
また、上部74の下半分はラジエータサポート14の側部20の幅に略一致する前後方向寸法を有しているが、上部74の上半分は冷却系10の前面よりも車両前方側へ突出されている(以下、この部分を「当接部76」と称す。)。当接部76は、フロントバンパリインフォース12と前後に対向する位置に配設されている。また、上部74の上端部側には、ボルト等の締結具78(図12参照)が挿通される締結具挿通孔80が形成されている。ダメージャブラケット70は、上部74がラジエータサポート14の側部20の内側面に当接状態で配置されて、後方変位手段としての締結具78を締結具挿通孔80内へ挿通させてウエルドナットと螺合させることにより、ラジエータサポート14の側部20に固定されている。
【0098】
さらに、上部74の上端部側には、締結具挿通孔80の前側に後方変位手段としての長孔82が形成されている。締結具挿通孔80と長孔82とは車両前後方向に同一直線上に配置されており、又締結具挿通孔80と長孔82との間には同じく後方変位手段としての円弧状の脆弱部84が形成されている。
【0099】
次に、この実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0100】
通常の車両走行時においては、図11(A)に示されるように、略枠状に構成されたラジエータサポート14に冷却系10がマウント支持されている。
【0101】
この状態から前面衝突時になると、図11(B)に示されるように、衝突バリア36からフロントバンパリインフォース12に車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォース12は、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位量が所定量に達すると、フロントバンパリインフォース12がダメージャブラケット70の当接部76に当接(干渉)する。
【0102】
そして、更にフロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位し、脆弱部84に作用する車両後方側への衝突荷重が破断荷重を超えると、脆弱部84が破断して締結具78は長孔82内を車両前方側へ相対移動する。ダメージャブラケット70の下部72はラジエータサポート14のラジエータサポートロア18に固定されていないため、ダメージャブラケット70は長孔82のストローク分だけ車両後方側へ移動する。なお、この段階では、冷却系10の下縁側はダメージャブラケット70の下部72に依然としてマウント支持されている。上記により、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16へのマウント支持点(上側マウント支持部32)を中心として車両後方側かつ車両上方側(図11(B)の矢印C方向側)へ回転変位される。
【0103】
すなわち、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前面衝突時にラジエータサポート14を動かすことなく、冷却系10を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、本実施形態によれば、冷却系10が他部品と干渉して冷却系10自体が損傷を受けるのを極力回避(効果的に抑制又は防止)することができる。
【0104】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前記のように前面衝突時にラジエータサポート14を動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバ22のフロントクロスメンバ24にラジエータサポート14のラジエータサポートロア18が固定されている車種に対しても適用が可能であり、この点において本構造は非常に有益である。
【0105】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、前述した第1実施形態乃至第3実施形態と異なり、冷却系10を一旦持ち上げる必要がないため、前面衝突時の冷却系10の退避動作がダメージャブラケット70の後退という一種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性を向上させることができる。
【0106】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造は、冷却系10のマウント支持点がラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16とラジエータサポートロア18との上下であるため、そのような構成を採用する車種である場合に好適であり、かつ脆弱部84による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られるというメリットがある。
【0107】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、後方変位手段を長孔82及び脆弱部84と締結具78とによって構成したので、ダメージャブラケット70側には長孔82と脆弱部84と締結具挿通孔80を設ければよい。従って、締結具78以外の構成が一部品(ダメージャブラケット70)に集約される。その結果、低コスト化、省スペース化、及び軽量化を図ることができる。
【0108】
なお、本実施形態では、脆弱部84として締結具締結孔80と長孔82との間に薄肉部を設定したが、これに限らず、所定値以上の荷重で破断等する構成であればよい。例えば、締結具挿通孔80と長孔82との間を鍵穴状に連通して絞り部で締結具78を保持するようにしてもよい。この点は、後述する第5実施形態にも同様に当てはまる。
【0109】
〔第5実施形態〕
以下、図13及び図14を用いて本発明の第5実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態等と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0110】
図13には、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図が示されている。また、図14には、当該車両用冷却系支持構造の要部に係るダメージャブラケットの拡大斜視図が示されている。
【0111】
これらの図に示されるように、この実施形態では、冷却系10の側面とラジエータサポート14の側部20との間にダメージャブラケット90を介在させ、当該ダメージャブラケット90に冷却系10の側部側マウント支持点を設定した点に特徴がある。
【0112】
具体的に説明すると、図13に示されるように、回転変位手段としてのダメージャブラケット90は、冷却系10の側面とラジエータサポート14の側部20の内側面との間のスペース30に配設されており、正面視では等脚台形状に形成されている。なお、ダメージャブラケット90は、樹脂材料によって構成されている。
【0113】
図14に示されるように、ダメージャブラケット90は、正面視で等脚台形状に形成された本体部92と、この本体部92の高さ方向中間部から車両前方側へ突出された当接部94と、によって構成されている。
【0114】
本体部92の幅方向寸法はラジエータサポート14の側部20の幅方向寸法と略一致されており、従って組付状態では、本体部92が冷却系10の前面よりも車両前方側へ突出した状態で配置されるようになっている。また、本体部92は内部空洞とされており、その高さ方向の中間部には、側部側マウント支持部96が設定されるようになっている。すなわち、本実施形態では、冷却系10がラジエータサポート14の上縁側と側縁側との上横複数ヶ所でマウント支持されるようになっている。なお、側部側マウント支持部96の外周前部には、内部空洞の当接部94を補強するための補強用リブ98が車両前後方向に沿って延在されている。
【0115】
また、本体部92の上縁側及び下縁側には、前述した第4実施形態と同様構成の締結具挿通孔80、長孔82、脆弱部84が形成されている。
【0116】
次に、この実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0117】
作動説明図は使用しないが、基本的な作動は、前述した第5実施形態と同様である。すなわち、通常の車両走行時においては、略枠状に構成されたラジエータサポート14に冷却系10がマウント支持されている。但し、マウント支持点は、ラジエータサポート14の上縁側と側縁側の上横である。
【0118】
この状態から前面衝突時になると、衝突バリア36からフロントバンパリインフォース12に車両後方側への衝突荷重が入力される。このため、フロントバンパリインフォース12は、入力された衝突荷重の大きさに応じて車両後方側へと変位する。フロントバンパリインフォース12の車両後方側への変位量が所定量に達すると、フロントバンパリインフォース12がダメージャブラケット90の当接部94に当接(干渉)する。
【0119】
そして、更にフロントバンパリインフォース12が車両後方側へ更に変位し、脆弱部84に作用する車両後方側への衝突荷重が破断荷重を超えると、脆弱部84が破断して締結具78は長孔82内を車両前方側へ相対移動する。ダメージャブラケット90は長孔82のストローク分だけ車両後方側へ移動する。なお、この段階では、冷却系10の側縁側はダメージャブラケット90の本体部92に依然としてマウント支持されている。上記により、冷却系10はラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16へのマウント支持点(上側マウント支持部32)を中心として車両後方側かつ車両上方側へ回転変位される。
【0120】
すなわち、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前面衝突時にラジエータサポート14を動かすことなく、冷却系10を車両後方側かつ車両上方側へ退避させることができる。その結果、本実施形態によれば、冷却系10が他部品と干渉して冷却系10自体が損傷を受けるのを極力回避(効果的に抑制又は防止)することができる。
【0121】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造においても、前述した第1実施形態と同様に、前記のように前面衝突時にラジエータサポート14を動かす構造ではないので、エンジンルームの下部に配置されるサスペンションメンバ22のフロントクロスメンバ24にラジエータサポート14のラジエータサポートロア18が固定されている車種に対しても適用が可能であり、この点において本構造は非常に有益である。
【0122】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、前述した第1実施形態乃至第3実施形態と異なり、冷却系10を一旦持ち上げる必要がないため、前面衝突時の冷却系10の退避動作がダメージャブラケット70の後退という一種類の動作によって完結される。従って、機構学的に構成を成立させることが比較的容易にできる。その結果、本実施形態によれば、作動に対する信頼性を向上させることができる。
【0123】
また、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造は、冷却系10のマウント支持点がラジエータサポート14のラジエータサポートアッパ16と側部20との上横であるため、そのような構成を採用する車種である場合に好適であり、かつ脆弱部84による固定解除荷重の管理だけを行えば安定した作動が得られるというメリットがある。
【0124】
さらに、本実施形態に係る車両用冷却系支持構造では、後方変位手段を長孔82及び脆弱部84と締結具78とによって構成したので、ダメージャブラケット90側には長孔82と脆弱部84と締結具挿通孔80を設ければよい。従って、締結具78以外の構成が一部品(ダメージャブラケット90)に集約される。その結果、低コスト化、省スペース化、及び軽量化を図ることができる。なお、この点は、前述した第4実施形態よりも本実施形態の方が顕著である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】(A)は第1実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図であり、(B)はその側面図である。
【図2】図1に示されるダメージャブラケットの斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る車両用冷却系支持構造の作動説明図に係り、(A)は衝突直後の状態を模式的に描いた側面図であり、(B)は冷却系が持ち上げられた状態を示す側面図であり、(C)は冷却系が車両後方側かつ車両上方側へ回転変位した状態を示す側面図である。
【図4】第2実施形態に係る車両用冷却系支持構造の作動説明図に係り、(A)は衝突直後の状態を模式的に描いた側面図であり、(B)は冷却系が持ち上げられた状態を示す側面図であり、(C)は冷却系が車両後方側かつ車両上方側へ回転変位した状態を示す側面図である。
【図5】第3実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図である。
【図6】図5に示されるダメージャブラケットの斜視図である。
【図7】第3実施形態に係る車両用冷却系支持構造の作動説明図に係り、(A)は衝突直後の状態を模式的に描いた側面図であり、(B)は冷却系が持ち上げられた状態を示す側面図であり、(C)は冷却系が車両後方側かつ車両上方側へ回転変位した状態を示す側面図である。
【図8】第4実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図である。
【図9】図8に示されるダメージャブラケットの斜視図である。
【図10】図7〜図9に示されるダメージャブラケットの組付状態の斜視図である。
【図11】第4実施形態に係る車両用冷却系支持構造の作動説明図に係り、(A)は衝突前の状態を模式的に描いた側面図であり、(B)は衝突後の状態を模式的に描いた側面図である。
【図12】図11に対応する要部拡大側面図
【図13】第5実施形態に係る車両用冷却系支持構造の全体構成を示す正面図である。
【図14】図13に示されるダメージャブラケットの斜視図である。
【符号の説明】
【0126】
10 冷却系
12 フロントバンパリインフォース
14 ラジエータサポート
16 ラジエータサポートアッパ(上縁側)
18 ラジエータサポートロア(下縁側)
26 ダメージャブラケット(回転変位手段、荷重変換機構)
26B 傾斜面
26C 垂直面
32 上側マウント支持部
34 下側マウント支持部
36 衝突バリア
40 ダメージャブラケット(回転変位手段、荷重変換機構)
40A 傾斜面
40B 垂直面
50 ダメージャブラケット(回転変位手段)
60 アーク溶接部
62 アーク溶接部
70 ダメージャブラケット(回転変位手段)
76 ダメージャブラケット(回転変位手段)
80 ダメージャクラッシュボックス(回転変位手段)
90 制御ブラケット(規制手段)
94 ダメージャクラッシュボックス(回転変位手段)
100 離脱ブラケット(回転変位手段)
102 取付ブラケット(回転変位手段)
104 ボルト(回転変位手段)
106 ナット(回転変位手段)
120 ラジエータサポート
122 ラジエータサポートアッパ
124 ラジエータサポートロア
126 ダメージャブラケット(連結部材、回転変位手段)
130 ラジエータサポート
132 ラジエータサポート上部
134 ラジエータサポート下部
136 切欠(低強度部)
142 ダメージャブラケット(回転変位手段)
144 スリット(回転変位手段)
150 取付ボルト(回転変位手段)
152 ナット(回転変位手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントバンパリインフォースの車両後方側に配置された冷却系を略枠状に構成されたラジエータサポートにマウント支持する車両用冷却系支持構造であって、
前面衝突時にフロントバンパリインフォースが車両後方側へ変位することにより、当該変位を利用してラジエータサポートの下縁側又は側縁側へのマウント支持状態を解除させてラジエータサポートの上縁側へのマウント支持点を中心として冷却系を車両後方側かつ車両上方側へ回転変位させる回転変位手段を備えている、
ことを特徴とする車両用冷却系支持構造。
【請求項2】
前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、
前記回転変位手段は、フロントバンパリインフォースから入力された車両後方側への荷重を、冷却系を車両上方側へ持ち上げて前記マウント支持状態を解除させる持上げ力と持上げられた冷却系を車両後方側へ押圧する押圧力とに変換する荷重変換機構である、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用冷却系支持構造。
【請求項3】
前記荷重変換機構は、フロントバンパリインフォースの車両後方側への変位時に冷却系を車両上方側へ持ち上げる傾斜面と、当該傾斜面と連続しフロントバンパリインフォースの車両後方側への変位をそのまま冷却系に伝えて冷却系を車両後方側へ変位させる垂直面と、を有するブラケットによって構成されている、
ことを特徴とする請求項2記載の車両用冷却系支持構造。
【請求項4】
前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と下縁側の上下複数ヶ所でマウント支持されており、
前記回転変位手段は、冷却系の底面とラジエータサポートの下縁側との間に配置され冷却系のマウント支持部が設定される下部と、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されラジエータサポートの側縁側に固定される上部と、を含むブラケットを有し、さらに当該ブラケットの上部にはフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により当該上部の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段が付加されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用冷却系支持構造。
【請求項5】
前記冷却系は、ラジエータサポートの上縁側と側縁側との上横複数ヶ所でマウント支持されており、
前記回転変位手段は、冷却系の側面とラジエータサポートの側縁側との間に配置されると共に当該ラジエータサポートの側縁側に固定されかつ冷却系のマウント支持部が設定されたブラケットを有し、さらに当該ブラケットにはフロントバンパリインフォースからの車両後方側への荷重入力により自身の固定状態を解除して当該ブラケットを車両後方側へ変位させる後方変位手段が付加されている、
ことを特徴とする請求項1記載の車両用冷却系支持構造。
【請求項6】
前記後方変位手段は、前記ブラケットに形成された車両前後方向に長い長孔と、当該長孔の後端側にてブラケットとラジエータサポートの側縁側とを締結する締結具と、通常は当該締結具を長孔の後端側に保持しかつ所定値以上の車両後方側への荷重がブラケットに作用することにより破断又は変形して締結具による締結点を長孔の後端側から前端側へ相対的に変位させる脆弱部と、を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項4又は請求項5記載の車両用冷却系支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−256461(P2006−256461A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75810(P2005−75810)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】