車両用制御装置
【課題】ナビゲーション情報を利用して車両の制御対象を制御するシステムにおいて、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を少なくする。
【解決手段】制御装置11は、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、目標SOCの変化幅を制限する。これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測される場合は、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行して、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避する。
【解決手段】制御装置11は、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、目標SOCの変化幅を制限する。これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測される場合は、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行して、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション情報を利用して車両の制御対象を制御する車両用制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1(特開2004−248455号公報)に記載されているように、車両に装備されたナビゲーションシステムの情報を利用して車両の駆動源(エンジンやモータ)を制御することが考えられている。このものは、ナビゲーションシステムで設定された目的地までの案内経路の走行パターンを予測し、この走行パターンに基づいて車両の駆動源の運転スケジュールを設定して、この運転スケジュールに従って車両の駆動源の運転を制御するようにしている。
【特許文献1】特開2004−248455号公報(第1頁〜第2頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーションシステムで目的地までの案内経路を設定しても、運転者が案内経路の通りに走行するとは限らず、運転者が右折・左折ポイントを間違えたり、渋滞に遭遇したりして、案内経路から外れた道路を走行する場合がある。このような場合、目的地までの案内経路に基づいて予測した走行パターン(運転スケジュール)が実際の走行経路に合わなくなるため、上記特許文献1のものは、実際の走行経路が案内経路の途中から外れたときにナビゲーション情報に基づいて走行パターン(運転スケジュール)を再設定するようにしている。
【0004】
しかし、走行パターン(運転スケジュール)は、目的地までの案内経路全体を見渡して予測するため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れるような場合は、結果的に、案内経路の最初から間違った走行パターン(運転スケジュール)で走行したことになる。これを具体的に説明すると、例えば、案内経路の前半で上り坂が多く、後半で下り坂が多いような場合、バッテリの充電(発電機の発電)に消費される燃費を節減するために、案内経路の前半で発電機の発電量をできるだけ少なくして、案内経路の後半で下り坂を利用して発電機の発電量を多くするように運転スケジュールが設定されるため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れると、案内経路の後半で下り坂を利用してバッテリの充電量を確保する見込みが外れてしまい、バッテリの充電不足が懸念されたり、バッテリの充電状態を回復するために燃費が悪化することが予想される。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、前記案内経路を考慮して車両の制御対象を制御する制御手段と、ナビゲーション情報に基づいて運転者が前記案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段と、前記案内経路の通りに走行する確率に応じて前記制御手段の制御を補正する制御補正手段とを備えた構成としたものである。この構成では、運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測して、その確率に応じて制御手段の制御を補正するため、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想される場合は、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態が大きく悪化しないように、事前に制御手段の制御を補正することができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【0007】
具体的には、請求項2のように、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御手段の制御目標値の変化幅を制限するようにしたり、或は、請求項3のように、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御手段の制御ゲインを小さくするようにしても良い。いずれの場合も、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想されるときに、案内経路に基づく制御に制限を加えることができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【0008】
また、請求項4のように、案内経路の通りに走行する確率を予測する際に、少なくとも案内経路に設定された道路が一本道であるか否か、渋滞しているか否か、運転者の良く通る道路であるか否かで、案内経路の通りに走行する確率を予測するようにすると良い。例えば、案内経路に設定された道路が一本道であれば、案内経路の通りに走行する確率が高いと予測し、また、道路が渋滞していれば、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。また、案内経路の迂回路として運転者の良く通る道路があれば、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。
【0009】
また、請求項5のように、案内経路を設定するときに制御のスケジュールを作成し、実際の走行経路が案内経路から外れたときに制御のスケジュールを再作成するようにしても良い。このようにすれば、実際の走行経路が案内経路から外れたときに、その後の制御状態を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を車両の発電制御システムに適用して具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図1乃至図10に基づいて説明する。
図1に示す制御装置11は、バッテリ12からイグニッションスイッチ13を介して電源が供給され、エンジン運転中に点火装置14と噴射装置15の動作を制御すると共に、発電機16(オルタネータ)の発電を制御する。
【0012】
この制御装置11は、電流センサ17で検出したバッテリ12の充放電電流及び/又は電圧センサ18で検出したバッテリ12の開放端子電圧に基づいてバッテリ12の充電状態(SOC:State Of Charge )を算出する。例えば、バッテリ12の充放電電流を電流センサ17で検出して、その検出値を積算していく。この際、バッテリ12の充電電流をプラス値とし、バッテリ12の放電電流をマイナス値とすることで、充放電電流積算値をバッテリ12のSOCに応じて増減させる。これにより、充放電電流積算値をバッテリ12のSOCの検出データとして用いることが可能となる。或は、バッテリ12の開放端子電圧とSOCとの関係を表すマップを参照して、現在のバッテリ12の開放端子電圧に応じたSOCを算出するようにしても良い。勿論、バッテリ12の充放電電流積算値と開放端子電圧の両方に基づいてバッテリ12のSOCを算出するようにしても良い。
【0013】
図2は、単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率とエンジン運転条件との関係を示す図である。図2に示すように、燃料消費率は、エンジン回転速度とエンジントルクによって変化する。燃料消費率は、エンジントルクに応じて曲線的に変化するため、エンジン回転速度が一定の場合は、エンジントルクの増加量に対して、燃料消費率の増加量が大きい条件と小さい条件がある。例えば、発電機16で一定量の発電を実施した場合、発電によりエンジントルクに発電機16によるトルクが付加され、エンジンの動作点が変わる。このため、燃料消費率は、発電量により変化する。この時、燃料消費率が少ない条件のみ選択して、発電を実施すれば、燃料消費率を低減することが可能となる。
【0014】
そこで、本実施例では、発電制御のパラメータとして、単位発電量当たりの燃料消費率増加分(以下「電費」という)を用いる。この電費は、制御装置11によって次のようにして算出される。
【0015】
まず、エンジン運転中(走行中)に、発電機16の発電を実行した場合の燃料消費率(発電時燃料消費率)と発電機16の発電を停止した場合の燃料消費率(非発電時燃料消費率)との差分から発電による燃料消費率増加分を求め、この発電による燃料消費率増加分を発電機16の発電量で割り算して電費(単位発電量当たりの燃料消費量増加分)を求める。
電費(g/skW) =(発電時燃料消費率−非発電時燃料消費率)/発電量
【0016】
一方、ナビゲーションシステム19は、運転者が目的地をセットしたときに、メモリに格納された道路地図情報に基づいて現在地から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段として機能する。
【0017】
制御装置11は、ナビゲーションシステム19で設定した案内経路を考慮して発電機16(制御対象)を制御する制御手段として機能すると共に、案内経路の道路地図情報、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報、走行経路学習情報等(これらを「ナビゲーション情報」と総称する)に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段として機能し、更に、運転者が案内経路の通りに走行する確率に応じて発電機16の発電制御を補正する制御補正手段として機能する。以下、これらの機能を説明する。
【0018】
制御装置11は、ナビゲーションシステム19で設定した案内経路の道路地図情報に基づいて、将来の車両の減速エネルギで発電機16を駆動して発電する回生発電区間と回生発電量を予測する。そして、回生発電区間が始まる前に、当該回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を予測すると共に、当該回生発電区間の消費電力量を予測し、更に、当該回生発電区間のSOC変化量を回生発電量と回生発電区間の消費電力量との差分に基づいて次式により予測する。
回生発電区間のSOC変化量=(回生発電量−消費電力量)/バッテリ容量×100
【0019】
上式において、回生発電量と消費電力量は、それぞれ回生発電区間の積算値である。
そして、制御装置11は、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費と回生発電区間の予測SOC変化量に基づいて目標SOCを次のように設定する。
【0020】
(1)回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリ12のSOCの上限ガード値と下限ガード値との間の幅よりも大きい場合は、図3に示すように、回生発電区間開始時のSOCが下限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0021】
(2)回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリ12のSOCの上限ガード値と下限ガード値との間の幅よりも小さい場合は、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を比較して、図4に示すように、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときには、回生発電区間終了時のSOCが上限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0022】
反対に、図5に示すように、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときには、回生発電区間開始時のSOCが下限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0023】
この場合、回生発電区間の予測方法は、ナビゲーションシステム19の道路地図情報に基づいて、案内経路で燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して、回生発電区間を予測する。ここで、燃料カットが開始される地点は、例えば降坂路の開始地点や、走行方向を右折又は左折するために車両の減速を開始する地点である。燃料カットの継続時間は、回生発電時間に相当する。
【0024】
降坂路の開始地点を予測する手段として、ナビゲーションシステム19の道路地図情報に、道路の勾配の情報を持たせ、この道路の勾配の情報と車速の情報に基づいて燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して回生発電区間を予測するようにすれば良い。この理由は、降坂路であっても、勾配が小さい場合や車速が遅い場合には、燃料カットが行われないためである。車速の情報は、学習してメモリに記憶させても良い。
【0025】
また、道路の勾配の情報として、図6に示すように、道路の勾配が変化する地点毎に設定された道路の標高と地点間の距離の情報を持ち、地点間の標高差と地点間の距離とに基づいて道路の勾配を算出し、この道路の勾配と車速の情報に基づいて燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して前記回生発電区間を予測するようにしても良い。
【0026】
この場合、図6に示すように、地点間の距離は、地点間の道路の走行距離cであっても良いし、地点間の道路の水平距離aであっても良い。地点間の道路の水平距離aは、各地点の緯度・軽度から算出しても良い。
【0027】
勾配は、次式で算出しても良いし、坂道の角度θを算出しても良い。
勾配=b/a×100 [%]
θ=tan−1(b/a) 又は θ=sin−1(b/c)
また、よく通る道路であれば、回生発電区間(燃料カット区間)を学習してメモリに記憶させても良い。
【0028】
ところで、ナビゲーションシステム19で目的地までの案内経路を設定しても、運転者が案内経路の通りに走行するとは限らず、運転者が右折・左折ポイントを間違えたり、渋滞に遭遇したりして、案内経路から外れた道路を走行する場合がある。このような場合、目的地までの案内経路に基づいて予測した発電区間が実際の走行経路に合わなくなる。例えば、案内経路の前半で上り坂が多く、後半で下り坂が多いような場合、バッテリ12の充電(発電機16の発電)に消費される燃費を節減するために、案内経路の前半で発電機の発電量をできるだけ少なくして、案内経路の後半で下り坂を利用して発電機16の発電量を多くするように発電区間が設定されるため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れると、案内経路の後半で下り坂を利用してバッテリ12の充電量を確保する見込みが外れてしまい、バッテリ12の充電不足が懸念されたり、バッテリ12の充電状態を回復するために燃費が悪化することが予想される。
【0029】
そこで、本実施例1では、制御装置11は、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、図4及び図5に示すように、案内経路の通りに走行する確率に応じて目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)。これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測されるときには、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行して、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避する。
【0030】
以下、制御装置11とナビゲーションシステム19とが連携して実行する図7乃至図10の各ルーチンの処理内容を説明する。
【0031】
[発電スケジュール作成ルーチン]
図7の発電スケジュール作成ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、運転者が目的地をセットしたか否かを判定し、目的地がセットされていなければ、そのまま本ルーチンを終了する。
【0032】
これに対して、上記ステップ101で、目的地がセットされていると判定されれば、ステップ102に進み、案内経路の設定前であるか否かを判定し、案内経路の設定前であれば、ステップ103に進み、現在地から目的地までの案内経路を設定する。この後、ステップ104に進み、ナビゲーションシステム19のメモリに格納された道路地図情報のデータベースを検索して、案内経路の道路地図情報を取り込み、次のステップ105で、案内経路の道路地図情報に基づいて回生発電区間を予測し、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費と回生発電区間の予測SOC変化量に基づいて案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を作成する。以上説明したステップ103〜105の処理は、運転者が目的地をセットしたときに1回のみ実行される。
【0033】
この後、ステップ106に進み、実際の走行経路が案内経路の通りか否かを判定し、実際の走行経路が案内経路から外れていれば、ステップ108に進み、案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を再作成する。
【0034】
これに対して、上記ステップ106で、実際の走行経路が案内経路の通りであると判定されれば、ステップ107に進み、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路交通状態(渋滞、工事や事故等による速度規制・車線規制等)に変化がないか否かを判定する。その結果、案内経路の道路交通状態に変化がなければ、そのまま本ルーチンを終了するが、案内経路の道路交通状態に変化があれば、案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を再作成する。
尚、上記ステップ107の処理を省略しても良い。
【0035】
[確率予測ルーチン]
図8の確率予測ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう確率予測手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、案内経路を設定済みか否かを判定し、案内経路を設定済みでなければ、そのまま本ルーチンを終了する。
【0036】
これに対して、上記ステップ201で、案内経路を設定済みと判定されれば、ステップ202に進み、案内経路に設定された道路が一本道であるか否かを判定し、一本道であれば、ステップ203に進み、案内経路の通りに走行する確率をk1 (最も高い確率)に設定する。案内経路に設定された道路が一本道であれば、案内経路の通りに走行する確率が最も高いと予測できるためである。
【0037】
上記ステップ202で、一本道でない(分岐路あり)と判定されれば、ステップ204に進み、幹線道路であるか否かを判定し、幹線道路であれば、ステップ205に進み、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路に渋滞区間がないか否かを判定し、渋滞区間がなければ、ステップ206に進み、案内経路の通りに走行する確率をk2 (2番目に高い確率)に設定し、渋滞区間があれば、ステップ207に進み、案内経路の通りに走行する確率をk4 (2番目に低い確率)に設定する。渋滞区間があると、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。
【0038】
また、上記ステップ204で、幹線道路でないと判定されれば、ステップ208に進み、案内経路の道路が運転者の良く通る道路であるか否かを判定する。ここで、運転者の良く通る道路の情報は、ナビゲーションシステム19で学習してメモリに記憶しておけば良い。このステップ208で、運転者の良く通る道路でないと判定されれば、ステップ212に進み、案内経路の通りに走行する確率をk4 (2番目に低い確率)に設定する。運転者の良く通る道路でない場合は、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低く予想される。
【0039】
上記ステップ208で、運転者の良く通る道路であると判定されれば、ステップ209に進み、外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路に渋滞区間がないか否かを判定し、渋滞区間がなければ、ステップ210に進み、案内経路の通りに走行する確率をk3 (中間的な確率)に設定し、渋滞区間があれば、ステップ211に進み、案内経路の通りに走行する確率をk5 (最も低い確率)に設定する。
【0040】
尚、確率k1 〜k5 の関係は、0<k5 <k4 <k3 <k2 <k1 =1である。これらの確率k1 〜k5 は、運転者の嗜好を学習して補正するようにしても良い。
【0041】
[目標SOC割付ルーチン]
図9の目標SOC割付ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、ナビゲーションシステム19の道路地図情報を読み込み、次のステップ302で、エンジン回転速度とエンジントルクを推定する。
【0042】
この後、ステップ303に進み、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を算出し、次のステップ304で、回生発電区間の消費電力量を推定する。この後、ステップ305に進み、回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を回生発電量と回生発電区間の消費電力量との差分に基づいて次式により予測する。
回生発電区間のΔSOC=(回生発電量−消費電力量)/バッテリ容量×100
上式において、回生発電量と消費電力量は、それぞれ回生発電区間の積算値である。
【0043】
この後、ステップ306に進み、前記図8の確率予測ルーチンで算出した「案内経路の通りに走行する確率」を読み込み、次のステップ307で、この確率に応じて上下限のガード値を補正する。この際、確率が小さくなるほど、目標SOCの上限ガード値と下限ガード値との間隔(以下「上下限ガード間隔」という)が狭くなるように補正する。このステップ307の処理が特許請求の範囲でいう制御補正手段としての役割を果たす。
【0044】
そして、次のステップ308で、回生発電区間のΔSOCを上下限ガード間隔と比較して、回生発電区間のΔSOCが上下限ガード間隔以上であれば、ステップ309に進み、図3に示すように、回生発電区間開始時の目標SOCを下限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0045】
これに対して、上記ステップ308で、回生発電区間のΔSOCが上下限ガード間隔よりも小さいと判定されれば、ステップ310に進み、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を比較して、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いと判定されれば、ステップ311に進み、図4に示すように、回生発電区間終了時の目標SOCを上限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0046】
また、上記ステップ310で、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いと判定されれば、ステップ312に進み、図5に示すように、回生発電区間開始時の目標SOCを下限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0047】
[発電制御ルーチン]
図10の発電制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、電流センサ17で検出したバッテリ12の充放電電流及び/又は電圧センサ18で検出したバッテリ12の開放端子電圧に基づいてバッテリ12の実SOCを演算する。
【0048】
この後、ステップ402に進み、上記図9の目標SOC割付ルーチンで設定した目標SOCを読み込む。そして、次のステップ403で、実SOCと目標SOCとの偏差を小さくするようにPID制御等により発電機16の制御電流(界磁電流)を制御して発電量を制御する。
【0049】
以上説明した本実施例1によれば、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、図4及び図5に示すように、目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)ようにしたので、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測されるときには、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行することが可能となり、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避することができる。
【0050】
しかも、本実施例1では、回生発電区間の前後の電費を考慮して、電費が高い方の区間の発電量を少なくして、電費が安い方の区間の発電量を増やすように回生発電区間開始時又は回生発電区間終了時の目標SOCを設定するという制御が可能となり、それによって、バッテリ12のSOCを上下限のガード値の範囲内に制御しながら、発電による燃料消費量増加分を確実に低減することができ、車両の平均燃費低減の要求を満たすことができる。
【実施例2】
【0051】
上記実施例1では、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)ようにしたが、本発明の実施例2では、図11の目標SOC割付ルーチンを実行することで、案内経路の通りに走行する確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を補正するようにしている。
【0052】
図11の目標SOC割付ルーチンは、上記実施例1で説明した図9の目標SOC割付ルーチンのステップ307とステップ308との間にステップ307aの処理を追加しただけであり、その他のステップの処理は同じである。
【0053】
図11の目標SOC割付ルーチンでは、ステップ306で、前記図8の確率予測ルーチンで算出した「案内経路の通りに走行する確率」を読み込み、次のステップ307で、この確率に応じて上下限のガード値を補正した後、ステップ307aに進み、この確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を次式により補正する。
ΔSOC=ΔSOC×確率
【0054】
これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さくなるほど、回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)が小さくなるように補正される。その後、前記実施例1と同様の処理によって回生発電区間終了時の目標SOC又は回生発電区間開始時の目標SOCが設定される(ステップ308〜312)。
【0055】
以上説明した本実施例2では、図12、図13に示すように、案内経路の通りに走行する確率に応じて目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)と共に、案内経路の通りに走行する確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)も補正する。これにより、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
尚、上記各実施例1,2は、いずれも本発明を発電機16の発電制御に適用した実施例であるが、本発明は、発電機16以外の車両の制御対象(例えば、エンジン、自動変速機、等)を制御するシステムにも適用して実施できる。
【0057】
また、本発明は、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御ゲインを小さくするようにしても良い。このようにしても、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想されるときに、案内経路に基づく制御に制限を加えることができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1のシステム構成を説明するブロック図である。
【図2】燃料消費率とエンジン運転条件との関係を示す図である。
【図3】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも大きい場合のSOC制御方法を説明する図である。
【図4】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図5】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図6】坂道の勾配の情報を取得する方法を説明する図である。
【図7】実施例1の発電スケジュール作成ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例1の確率予測ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例1の目標SOC割付ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例1の発電制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施例2の目標SOC割付ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施例2の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図13】実施例2の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときのSOC制御方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
11…制御装置(制御手段,確率予測手段,制御補正手段)、12…バッテリ、13…キースイッチ、16…発電機、17…電流センサ、18…電圧センサ、19…ナビゲーションシステム(案内経路設定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション情報を利用して車両の制御対象を制御する車両用制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1(特開2004−248455号公報)に記載されているように、車両に装備されたナビゲーションシステムの情報を利用して車両の駆動源(エンジンやモータ)を制御することが考えられている。このものは、ナビゲーションシステムで設定された目的地までの案内経路の走行パターンを予測し、この走行パターンに基づいて車両の駆動源の運転スケジュールを設定して、この運転スケジュールに従って車両の駆動源の運転を制御するようにしている。
【特許文献1】特開2004−248455号公報(第1頁〜第2頁等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ナビゲーションシステムで目的地までの案内経路を設定しても、運転者が案内経路の通りに走行するとは限らず、運転者が右折・左折ポイントを間違えたり、渋滞に遭遇したりして、案内経路から外れた道路を走行する場合がある。このような場合、目的地までの案内経路に基づいて予測した走行パターン(運転スケジュール)が実際の走行経路に合わなくなるため、上記特許文献1のものは、実際の走行経路が案内経路の途中から外れたときにナビゲーション情報に基づいて走行パターン(運転スケジュール)を再設定するようにしている。
【0004】
しかし、走行パターン(運転スケジュール)は、目的地までの案内経路全体を見渡して予測するため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れるような場合は、結果的に、案内経路の最初から間違った走行パターン(運転スケジュール)で走行したことになる。これを具体的に説明すると、例えば、案内経路の前半で上り坂が多く、後半で下り坂が多いような場合、バッテリの充電(発電機の発電)に消費される燃費を節減するために、案内経路の前半で発電機の発電量をできるだけ少なくして、案内経路の後半で下り坂を利用して発電機の発電量を多くするように運転スケジュールが設定されるため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れると、案内経路の後半で下り坂を利用してバッテリの充電量を確保する見込みが外れてしまい、バッテリの充電不足が懸念されたり、バッテリの充電状態を回復するために燃費が悪化することが予想される。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、従ってその目的は、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、前記案内経路を考慮して車両の制御対象を制御する制御手段と、ナビゲーション情報に基づいて運転者が前記案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段と、前記案内経路の通りに走行する確率に応じて前記制御手段の制御を補正する制御補正手段とを備えた構成としたものである。この構成では、運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測して、その確率に応じて制御手段の制御を補正するため、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想される場合は、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態が大きく悪化しないように、事前に制御手段の制御を補正することができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【0007】
具体的には、請求項2のように、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御手段の制御目標値の変化幅を制限するようにしたり、或は、請求項3のように、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御手段の制御ゲインを小さくするようにしても良い。いずれの場合も、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想されるときに、案内経路に基づく制御に制限を加えることができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【0008】
また、請求項4のように、案内経路の通りに走行する確率を予測する際に、少なくとも案内経路に設定された道路が一本道であるか否か、渋滞しているか否か、運転者の良く通る道路であるか否かで、案内経路の通りに走行する確率を予測するようにすると良い。例えば、案内経路に設定された道路が一本道であれば、案内経路の通りに走行する確率が高いと予測し、また、道路が渋滞していれば、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。また、案内経路の迂回路として運転者の良く通る道路があれば、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。
【0009】
また、請求項5のように、案内経路を設定するときに制御のスケジュールを作成し、実際の走行経路が案内経路から外れたときに制御のスケジュールを再作成するようにしても良い。このようにすれば、実際の走行経路が案内経路から外れたときに、その後の制御状態を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態を車両の発電制御システムに適用して具体化した2つの実施例1,2を説明する。
【実施例1】
【0011】
本発明の実施例1を図1乃至図10に基づいて説明する。
図1に示す制御装置11は、バッテリ12からイグニッションスイッチ13を介して電源が供給され、エンジン運転中に点火装置14と噴射装置15の動作を制御すると共に、発電機16(オルタネータ)の発電を制御する。
【0012】
この制御装置11は、電流センサ17で検出したバッテリ12の充放電電流及び/又は電圧センサ18で検出したバッテリ12の開放端子電圧に基づいてバッテリ12の充電状態(SOC:State Of Charge )を算出する。例えば、バッテリ12の充放電電流を電流センサ17で検出して、その検出値を積算していく。この際、バッテリ12の充電電流をプラス値とし、バッテリ12の放電電流をマイナス値とすることで、充放電電流積算値をバッテリ12のSOCに応じて増減させる。これにより、充放電電流積算値をバッテリ12のSOCの検出データとして用いることが可能となる。或は、バッテリ12の開放端子電圧とSOCとの関係を表すマップを参照して、現在のバッテリ12の開放端子電圧に応じたSOCを算出するようにしても良い。勿論、バッテリ12の充放電電流積算値と開放端子電圧の両方に基づいてバッテリ12のSOCを算出するようにしても良い。
【0013】
図2は、単位時間当たりの燃料消費量である燃料消費率とエンジン運転条件との関係を示す図である。図2に示すように、燃料消費率は、エンジン回転速度とエンジントルクによって変化する。燃料消費率は、エンジントルクに応じて曲線的に変化するため、エンジン回転速度が一定の場合は、エンジントルクの増加量に対して、燃料消費率の増加量が大きい条件と小さい条件がある。例えば、発電機16で一定量の発電を実施した場合、発電によりエンジントルクに発電機16によるトルクが付加され、エンジンの動作点が変わる。このため、燃料消費率は、発電量により変化する。この時、燃料消費率が少ない条件のみ選択して、発電を実施すれば、燃料消費率を低減することが可能となる。
【0014】
そこで、本実施例では、発電制御のパラメータとして、単位発電量当たりの燃料消費率増加分(以下「電費」という)を用いる。この電費は、制御装置11によって次のようにして算出される。
【0015】
まず、エンジン運転中(走行中)に、発電機16の発電を実行した場合の燃料消費率(発電時燃料消費率)と発電機16の発電を停止した場合の燃料消費率(非発電時燃料消費率)との差分から発電による燃料消費率増加分を求め、この発電による燃料消費率増加分を発電機16の発電量で割り算して電費(単位発電量当たりの燃料消費量増加分)を求める。
電費(g/skW) =(発電時燃料消費率−非発電時燃料消費率)/発電量
【0016】
一方、ナビゲーションシステム19は、運転者が目的地をセットしたときに、メモリに格納された道路地図情報に基づいて現在地から目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段として機能する。
【0017】
制御装置11は、ナビゲーションシステム19で設定した案内経路を考慮して発電機16(制御対象)を制御する制御手段として機能すると共に、案内経路の道路地図情報、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報、走行経路学習情報等(これらを「ナビゲーション情報」と総称する)に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段として機能し、更に、運転者が案内経路の通りに走行する確率に応じて発電機16の発電制御を補正する制御補正手段として機能する。以下、これらの機能を説明する。
【0018】
制御装置11は、ナビゲーションシステム19で設定した案内経路の道路地図情報に基づいて、将来の車両の減速エネルギで発電機16を駆動して発電する回生発電区間と回生発電量を予測する。そして、回生発電区間が始まる前に、当該回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を予測すると共に、当該回生発電区間の消費電力量を予測し、更に、当該回生発電区間のSOC変化量を回生発電量と回生発電区間の消費電力量との差分に基づいて次式により予測する。
回生発電区間のSOC変化量=(回生発電量−消費電力量)/バッテリ容量×100
【0019】
上式において、回生発電量と消費電力量は、それぞれ回生発電区間の積算値である。
そして、制御装置11は、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費と回生発電区間の予測SOC変化量に基づいて目標SOCを次のように設定する。
【0020】
(1)回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリ12のSOCの上限ガード値と下限ガード値との間の幅よりも大きい場合は、図3に示すように、回生発電区間開始時のSOCが下限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0021】
(2)回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリ12のSOCの上限ガード値と下限ガード値との間の幅よりも小さい場合は、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を比較して、図4に示すように、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときには、回生発電区間終了時のSOCが上限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0022】
反対に、図5に示すように、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときには、回生発電区間開始時のSOCが下限ガード値(又はその付近)となるように目標SOCを設定する。
【0023】
この場合、回生発電区間の予測方法は、ナビゲーションシステム19の道路地図情報に基づいて、案内経路で燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して、回生発電区間を予測する。ここで、燃料カットが開始される地点は、例えば降坂路の開始地点や、走行方向を右折又は左折するために車両の減速を開始する地点である。燃料カットの継続時間は、回生発電時間に相当する。
【0024】
降坂路の開始地点を予測する手段として、ナビゲーションシステム19の道路地図情報に、道路の勾配の情報を持たせ、この道路の勾配の情報と車速の情報に基づいて燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して回生発電区間を予測するようにすれば良い。この理由は、降坂路であっても、勾配が小さい場合や車速が遅い場合には、燃料カットが行われないためである。車速の情報は、学習してメモリに記憶させても良い。
【0025】
また、道路の勾配の情報として、図6に示すように、道路の勾配が変化する地点毎に設定された道路の標高と地点間の距離の情報を持ち、地点間の標高差と地点間の距離とに基づいて道路の勾配を算出し、この道路の勾配と車速の情報に基づいて燃料カットが開始される地点とその燃料カットの継続時間を予測して前記回生発電区間を予測するようにしても良い。
【0026】
この場合、図6に示すように、地点間の距離は、地点間の道路の走行距離cであっても良いし、地点間の道路の水平距離aであっても良い。地点間の道路の水平距離aは、各地点の緯度・軽度から算出しても良い。
【0027】
勾配は、次式で算出しても良いし、坂道の角度θを算出しても良い。
勾配=b/a×100 [%]
θ=tan−1(b/a) 又は θ=sin−1(b/c)
また、よく通る道路であれば、回生発電区間(燃料カット区間)を学習してメモリに記憶させても良い。
【0028】
ところで、ナビゲーションシステム19で目的地までの案内経路を設定しても、運転者が案内経路の通りに走行するとは限らず、運転者が右折・左折ポイントを間違えたり、渋滞に遭遇したりして、案内経路から外れた道路を走行する場合がある。このような場合、目的地までの案内経路に基づいて予測した発電区間が実際の走行経路に合わなくなる。例えば、案内経路の前半で上り坂が多く、後半で下り坂が多いような場合、バッテリ12の充電(発電機16の発電)に消費される燃費を節減するために、案内経路の前半で発電機の発電量をできるだけ少なくして、案内経路の後半で下り坂を利用して発電機16の発電量を多くするように発電区間が設定されるため、実際の走行経路が案内経路の途中から外れると、案内経路の後半で下り坂を利用してバッテリ12の充電量を確保する見込みが外れてしまい、バッテリ12の充電不足が懸念されたり、バッテリ12の充電状態を回復するために燃費が悪化することが予想される。
【0029】
そこで、本実施例1では、制御装置11は、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、図4及び図5に示すように、案内経路の通りに走行する確率に応じて目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)。これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測されるときには、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行して、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避する。
【0030】
以下、制御装置11とナビゲーションシステム19とが連携して実行する図7乃至図10の各ルーチンの処理内容を説明する。
【0031】
[発電スケジュール作成ルーチン]
図7の発電スケジュール作成ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ101で、運転者が目的地をセットしたか否かを判定し、目的地がセットされていなければ、そのまま本ルーチンを終了する。
【0032】
これに対して、上記ステップ101で、目的地がセットされていると判定されれば、ステップ102に進み、案内経路の設定前であるか否かを判定し、案内経路の設定前であれば、ステップ103に進み、現在地から目的地までの案内経路を設定する。この後、ステップ104に進み、ナビゲーションシステム19のメモリに格納された道路地図情報のデータベースを検索して、案内経路の道路地図情報を取り込み、次のステップ105で、案内経路の道路地図情報に基づいて回生発電区間を予測し、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費と回生発電区間の予測SOC変化量に基づいて案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を作成する。以上説明したステップ103〜105の処理は、運転者が目的地をセットしたときに1回のみ実行される。
【0033】
この後、ステップ106に進み、実際の走行経路が案内経路の通りか否かを判定し、実際の走行経路が案内経路から外れていれば、ステップ108に進み、案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を再作成する。
【0034】
これに対して、上記ステップ106で、実際の走行経路が案内経路の通りであると判定されれば、ステップ107に進み、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路交通状態(渋滞、工事や事故等による速度規制・車線規制等)に変化がないか否かを判定する。その結果、案内経路の道路交通状態に変化がなければ、そのまま本ルーチンを終了するが、案内経路の道路交通状態に変化があれば、案内経路の発電スケジュール(目標SOCスケジュール)を再作成する。
尚、上記ステップ107の処理を省略しても良い。
【0035】
[確率予測ルーチン]
図8の確率予測ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう確率予測手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ201で、案内経路を設定済みか否かを判定し、案内経路を設定済みでなければ、そのまま本ルーチンを終了する。
【0036】
これに対して、上記ステップ201で、案内経路を設定済みと判定されれば、ステップ202に進み、案内経路に設定された道路が一本道であるか否かを判定し、一本道であれば、ステップ203に進み、案内経路の通りに走行する確率をk1 (最も高い確率)に設定する。案内経路に設定された道路が一本道であれば、案内経路の通りに走行する確率が最も高いと予測できるためである。
【0037】
上記ステップ202で、一本道でない(分岐路あり)と判定されれば、ステップ204に進み、幹線道路であるか否かを判定し、幹線道路であれば、ステップ205に進み、道路交通情報通信システム等の外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路に渋滞区間がないか否かを判定し、渋滞区間がなければ、ステップ206に進み、案内経路の通りに走行する確率をk2 (2番目に高い確率)に設定し、渋滞区間があれば、ステップ207に進み、案内経路の通りに走行する確率をk4 (2番目に低い確率)に設定する。渋滞区間があると、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低くなると予想される。
【0038】
また、上記ステップ204で、幹線道路でないと判定されれば、ステップ208に進み、案内経路の道路が運転者の良く通る道路であるか否かを判定する。ここで、運転者の良く通る道路の情報は、ナビゲーションシステム19で学習してメモリに記憶しておけば良い。このステップ208で、運転者の良く通る道路でないと判定されれば、ステップ212に進み、案内経路の通りに走行する確率をk4 (2番目に低い確率)に設定する。運転者の良く通る道路でない場合は、運転者が迂回路を走行する確率が高くなるため、その分、案内経路の通りに走行する確率が低く予想される。
【0039】
上記ステップ208で、運転者の良く通る道路であると判定されれば、ステップ209に進み、外部システムから取り込んだ道路交通情報に基づいて案内経路の道路に渋滞区間がないか否かを判定し、渋滞区間がなければ、ステップ210に進み、案内経路の通りに走行する確率をk3 (中間的な確率)に設定し、渋滞区間があれば、ステップ211に進み、案内経路の通りに走行する確率をk5 (最も低い確率)に設定する。
【0040】
尚、確率k1 〜k5 の関係は、0<k5 <k4 <k3 <k2 <k1 =1である。これらの確率k1 〜k5 は、運転者の嗜好を学習して補正するようにしても良い。
【0041】
[目標SOC割付ルーチン]
図9の目標SOC割付ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まずステップ301で、ナビゲーションシステム19の道路地図情報を読み込み、次のステップ302で、エンジン回転速度とエンジントルクを推定する。
【0042】
この後、ステップ303に進み、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を算出し、次のステップ304で、回生発電区間の消費電力量を推定する。この後、ステップ305に進み、回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を回生発電量と回生発電区間の消費電力量との差分に基づいて次式により予測する。
回生発電区間のΔSOC=(回生発電量−消費電力量)/バッテリ容量×100
上式において、回生発電量と消費電力量は、それぞれ回生発電区間の積算値である。
【0043】
この後、ステップ306に進み、前記図8の確率予測ルーチンで算出した「案内経路の通りに走行する確率」を読み込み、次のステップ307で、この確率に応じて上下限のガード値を補正する。この際、確率が小さくなるほど、目標SOCの上限ガード値と下限ガード値との間隔(以下「上下限ガード間隔」という)が狭くなるように補正する。このステップ307の処理が特許請求の範囲でいう制御補正手段としての役割を果たす。
【0044】
そして、次のステップ308で、回生発電区間のΔSOCを上下限ガード間隔と比較して、回生発電区間のΔSOCが上下限ガード間隔以上であれば、ステップ309に進み、図3に示すように、回生発電区間開始時の目標SOCを下限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0045】
これに対して、上記ステップ308で、回生発電区間のΔSOCが上下限ガード間隔よりも小さいと判定されれば、ステップ310に進み、回生発電区間の前後の所定区間の平均電費を比較して、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いと判定されれば、ステップ311に進み、図4に示すように、回生発電区間終了時の目標SOCを上限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0046】
また、上記ステップ310で、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いと判定されれば、ステップ312に進み、図5に示すように、回生発電区間開始時の目標SOCを下限ガード値(又はその付近)に設定する。
【0047】
[発電制御ルーチン]
図10の発電制御ルーチンは、エンジン運転中に所定周期で実行される。本ルーチンが起動されると、まずステップ401で、電流センサ17で検出したバッテリ12の充放電電流及び/又は電圧センサ18で検出したバッテリ12の開放端子電圧に基づいてバッテリ12の実SOCを演算する。
【0048】
この後、ステップ402に進み、上記図9の目標SOC割付ルーチンで設定した目標SOCを読み込む。そして、次のステップ403で、実SOCと目標SOCとの偏差を小さくするようにPID制御等により発電機16の制御電流(界磁電流)を制御して発電量を制御する。
【0049】
以上説明した本実施例1によれば、ナビゲーションシステム19により案内経路を設定したときに、ナビゲーション情報に基づいて運転者が案内経路の通りに走行する確率を予測し、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、図4及び図5に示すように、目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)ようにしたので、案内経路の通りに走行する確率が小さいと予測されるときには、本来の上下限のガード値に対して、ある程度の余裕を持たせた発電機16の発電制御を実行することが可能となり、バッテリ12の充電不足や燃費の過度の悪化を回避することができる。
【0050】
しかも、本実施例1では、回生発電区間の前後の電費を考慮して、電費が高い方の区間の発電量を少なくして、電費が安い方の区間の発電量を増やすように回生発電区間開始時又は回生発電区間終了時の目標SOCを設定するという制御が可能となり、それによって、バッテリ12のSOCを上下限のガード値の範囲内に制御しながら、発電による燃料消費量増加分を確実に低減することができ、車両の平均燃費低減の要求を満たすことができる。
【実施例2】
【0051】
上記実施例1では、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに、目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)ようにしたが、本発明の実施例2では、図11の目標SOC割付ルーチンを実行することで、案内経路の通りに走行する確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を補正するようにしている。
【0052】
図11の目標SOC割付ルーチンは、上記実施例1で説明した図9の目標SOC割付ルーチンのステップ307とステップ308との間にステップ307aの処理を追加しただけであり、その他のステップの処理は同じである。
【0053】
図11の目標SOC割付ルーチンでは、ステップ306で、前記図8の確率予測ルーチンで算出した「案内経路の通りに走行する確率」を読み込み、次のステップ307で、この確率に応じて上下限のガード値を補正した後、ステップ307aに進み、この確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)を次式により補正する。
ΔSOC=ΔSOC×確率
【0054】
これにより、案内経路の通りに走行する確率が小さくなるほど、回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)が小さくなるように補正される。その後、前記実施例1と同様の処理によって回生発電区間終了時の目標SOC又は回生発電区間開始時の目標SOCが設定される(ステップ308〜312)。
【0055】
以上説明した本実施例2では、図12、図13に示すように、案内経路の通りに走行する確率に応じて目標SOCの変化幅を制限する(上下限のガード値の間隔を狭める)と共に、案内経路の通りに走行する確率に応じて回生発電区間のSOC変化量(ΔSOC)も補正する。これにより、上記実施例1と同様の効果を得ることができる。
【0056】
尚、上記各実施例1,2は、いずれも本発明を発電機16の発電制御に適用した実施例であるが、本発明は、発電機16以外の車両の制御対象(例えば、エンジン、自動変速機、等)を制御するシステムにも適用して実施できる。
【0057】
また、本発明は、案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに制御ゲインを小さくするようにしても良い。このようにしても、実際の走行経路が案内経路から外れる確率が高いと予想されるときに、案内経路に基づく制御に制限を加えることができ、実際の走行経路が案内経路から外れたときの制御状態の悪化を従来より少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施例1のシステム構成を説明するブロック図である。
【図2】燃料消費率とエンジン運転条件との関係を示す図である。
【図3】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも大きい場合のSOC制御方法を説明する図である。
【図4】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図5】実施例1の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図6】坂道の勾配の情報を取得する方法を説明する図である。
【図7】実施例1の発電スケジュール作成ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例1の確率予測ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】実施例1の目標SOC割付ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】実施例1の発電制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】実施例2の目標SOC割付ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】実施例2の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも安いときのSOC制御方法を説明する図である。
【図13】実施例2の回生発電区間の予測SOC変化量がバッテリのSOCの上下限のガード値の間隔よりも小さい場合に、回生発電区間前の所定区間の平均電費が当該回生発電区間後の所定区間の平均電費よりも高いときのSOC制御方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0059】
11…制御装置(制御手段,確率予測手段,制御補正手段)、12…バッテリ、13…キースイッチ、16…発電機、17…電流センサ、18…電圧センサ、19…ナビゲーションシステム(案内経路設定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、
前記案内経路を考慮して車両の制御対象を制御する制御手段と、
ナビゲーション情報に基づいて運転者が前記案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段と、
前記案内経路の通りに走行する確率に応じて前記制御手段の制御を補正する制御補正手段とを備えていることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記制御補正手段は、前記案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに前記制御手段の制御目標値の変化幅を制限することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御補正手段は、前記案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに前記制御手段の制御ゲインを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記確率予測手段は、少なくとも、前記案内経路に設定された道路が一本道であるか否か、渋滞しているか否か、運転者の良く通る道路であるか否かで、前記案内経路の通りに走行する確率を予測することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記案内経路設定手段により前記案内経路を設定するときに制御のスケジュールを作成し、実際の走行経路が前記案内経路から外れたときに前記制御のスケジュールを再作成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項1】
目的地までの案内経路を設定する案内経路設定手段と、
前記案内経路を考慮して車両の制御対象を制御する制御手段と、
ナビゲーション情報に基づいて運転者が前記案内経路の通りに走行する確率を予測する確率予測手段と、
前記案内経路の通りに走行する確率に応じて前記制御手段の制御を補正する制御補正手段とを備えていることを特徴とする車両用制御装置。
【請求項2】
前記制御補正手段は、前記案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに前記制御手段の制御目標値の変化幅を制限することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御補正手段は、前記案内経路の通りに走行する確率が所定値以下のときに前記制御手段の制御ゲインを小さくすることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記確率予測手段は、少なくとも、前記案内経路に設定された道路が一本道であるか否か、渋滞しているか否か、運転者の良く通る道路であるか否かで、前記案内経路の通りに走行する確率を予測することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記案内経路設定手段により前記案内経路を設定するときに制御のスケジュールを作成し、実際の走行経路が前記案内経路から外れたときに前記制御のスケジュールを再作成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−260361(P2008−260361A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−103542(P2007−103542)
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月11日(2007.4.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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