説明

車両用収納ボックス装置

【課題】インストルメントパネルだけでなくボックスのリッドにも加飾部が設けられている場合に、リッドが閉状態にあるときだけでなくリッドが開状態にあるときにもインストルメントパネル部位の高意匠性を確保できる車両用収納ボックス装置の提供。
【解決手段】リッド40が閉状態にあるとき、リッド40の第1加飾部41aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続しており、リッド40が開状態にあるとき、リッド40の第2加飾部42aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続する。そのため、リッド40が閉状態にあるときだけでなくリッド40が開状態にあるときにも、インストルメントパネル20に設けられる加飾部21aとリッド40に設けられる加飾部41a、42aとが見た目上で連続し、リッド40が閉状態にあるときだけでなくリッド40が開状態にあるときにもインストルメントパネル20部位の高意匠性を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収納ボックス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、インストルメントパネル内に設けられるボックスのリッドを、開状態にあるときにインストルメントパネル内に格納する、車両用収納ボックス装置を開示している。
【0003】
ところで、近年インストルメントパネルには、たとえば特許文献2に開示されるように、意匠性を向上させるために車両左右方向に長尺状に延びる木目調等の加飾部(加飾パネル、オーナメント)が設けられることがある。
【0004】
そこで、特許文献2に開示されるような加飾部を、インストルメントパネルだけでなくボックスのリッドにもかかるようにして特許文献1の車両用収納ボックス装置に設ける場合、つぎの問題点がある。
図7に示すように、リッド4が閉状態にあるときには、インストルメントパネル2に設けられる加飾部2aとリッド4に設けられる加飾部4aとを見た目上で連続させてインストルメントパネル部位の高意匠性を確保できるが、図8に示すように、リッド4が開状態にあるときには、インストルメントパネル2に設けられる加飾部2aとリッド4に設けられる加飾部4aとが見た目上で非連続になり(途切れてしまい)インストルメントパネル部位の高意匠性を確保することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170101号公報
【特許文献2】特開2007−145237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、インストルメントパネルだけでなくボックスのリッドにも加飾部が設けられている場合に、リッドが閉状態にあるときだけでなくリッドが開状態にあるときにもインストルメントパネル部位の高意匠性を確保できる車両用収納ボックス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明はつぎの通りである。
(1) インストルメントパネル内に設けられ車室側に開放するボックスと、該ボックスの開口を開閉可能であり開状態にあるときに前記インストルメントパネル内に格納されるリッドと、を有する車両用収納ボックス装置であって、
前記リッドには、閉状態にあるときにおける意匠面である閉状態意匠面の一部に該閉状態意匠面のその他の部分とは異なる意匠を持った第1加飾部が設けられるとともに、開状態にあるときにおける意匠面である開状態意匠面の一部もしくは全部に第2加飾部が設けられており、
前記インストルメントパネルの一部にも該インストルメントパネルの他の部分とは異なる意匠を持ったインストルメントパネル側加飾部が設けられており、
前記リッドが閉状態にあるとき、前記リッドの前記第1加飾部が前記インストルメントパネル側加飾部と連続しており、前記リッドが開状態にあるとき、前記リッドの第2加飾部が前記インストルメントパネル側加飾部と連続している、車両用収納ボックス装置。
【発明の効果】
【0008】
上記(1)の車両用収納ボックス装置によれば、リッドが閉状態にあるとき、リッドの第1加飾部がインストルメントパネル側加飾部と連続しており、リッドが開状態にあるとき、リッドの第2加飾部がインストルメントパネル側加飾部と連続しているため、リッドが閉状態にあるときだけでなくリッドが開状態にあるときにも、インストルメントパネルに設けられる加飾部とリッドに設けられる加飾部とが見た目上で連続する。そのためリッドが閉状態にあるときだけでなくリッドが開状態にあるときにもインストルメントパネル部位の高意匠性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明実施例の車両用収納ボックス装置の、リッドが閉状態にあるときの斜視図である。
【図2】図1の状態の模式断面図である。
【図3】本発明実施例の車両用収納ボックス装置の、リッドが開状態と閉状態の間の途中状態にあるときの斜視図である。
【図4】図3の状態の模式断面図である。
【図5】本発明実施例の車両用収納ボックス装置の、リッドが開状態にあるときの斜視図である。
【図6】図5の状態の模式断面図である。
【図7】従来の、加飾部をインストルメントパネルだけでなくボックスのリッドにもかかるようにして設ける場合の、リッドが閉状態にあるときの斜視図である。
【図8】従来の、加飾部をインストルメントパネルだけでなくボックスのリッドにもかかるようにして設ける場合の、リッドが開状態にあるときの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明実施例の車両用収納ボックスを、図面を参照して、説明する。
本発明実施例の車両用収納ボックス装置(以下、単にボックス装置ともいう)10は、たとえば、図1に示すように、車両の内装部材であるインストルメントパネル20部位に設けられる車両用アッパボックス装置である。ただし、ボックス装置10は、車両用アッパボックス装置に限定されるものではなく、車両用アッパボックス装置の下方に設けられる車両用グローブボックス装置であってもよく、その他の装置であってもよい。
【0011】
ボックス装置10は、図3に示すように、インストルメントパネル20内に設けられ車室側に開放するボックス30と、ボックス30の開口31を開閉可能であり開状態にあるときに全体または略全体がインストルメントパネル20内に格納(収納)されるリッド40と、を有する。
【0012】
ボックス30は、インストルメントパネル20に対して固定されている。ボックス30は、インストルメントパネル20に一体に形成されていてもよく、インストルメントパネル20と別体に形成されてインストルメントパネル20に固定して取付けられていてもよい。
【0013】
リッド40は、ボックス30に可動に取付けられている。リッド40は、閉状態にあるとき、図1、図2に示すように、ボックス30の開口31の全体または略全体を閉塞しており、図示略の収納物(小物類)のボックス30内への出し入れを不能にする。リッド40は、開状態にあるとき、図5、図6に示すように、ボックス30の開口31の全体または略全体を開放しており、図示略の収納物(小物類)のボックス30内への出し入れを可能にする。
【0014】
リッド40は、図1、図2に示す閉状態から、ボックス30に対して車両左右方向に延びる軸芯P(図2参照)まわりに回転させて図3、図4に示す状態にし、その後に車両前方にガイド溝32(図4参照)に沿ってスライドさせることで図5、図6に示す開状態になる。また、リッド40は、図5、図6に示す開状態から、ガイド溝32に沿って車両後方にスライドさせることで図3、図4に示す状態にし、その後に軸芯Pまわりに回転させることで図1、図2に示す閉状態になる。ただし、リッド40の開閉方法は、この方法に限定されるものではない。
【0015】
リッド40の、閉状態にあるときにおける意匠面(車室側面)である閉状態意匠面41(図1、図2参照)と、開状態にあるときにおける意匠面(車室側面)である開状態意匠面42(図5、図6参照)とは、インストルメントパネル20の意匠面(車室側面)21に滑らかに連なっており、インストルメントパネル20の意匠面(車室側面)21と面一またはほぼ面一とされている。
【0016】
リッド40には、図1に示すように、閉状態意匠面41の一部に閉状態意匠面41のその他の部分とは異なる意匠を持った第1加飾部41aが設けられるとともに、図5に示すように、開状態意匠面42の一部もしくは全部に第2加飾部42aが設けられている。また、インストルメントパネル20の意匠面21の一部にも、インストルメントパネル20の意匠面21の他の部分とは異なる意匠を持ったインストルメントパネル側加飾部21aが設けられている。
【0017】
第1加飾部41aと、第2加飾部42aと、インストルメントパネル側加飾部21aとは、樹脂基材に本木(本物の木材)や木目柄のフィルムをインサート成形や接着等で固定することで木目調等とされていてもよく、樹脂基材にスパッタやメッキなどの処理を施し金属調とされていてもよく、塗装を施すなどして木目調や金属調やその他の意匠とされていてもよい。
【0018】
第1加飾部41aと、第2加飾部42aと、インストルメントパネル側加飾部21aとは、同じ加飾方法で、同じかまたは略同じ意匠とされている。ただし、車室乗員からの見た目上で同様であれば(統一感が得られるのであれば)、加飾方法および/または意匠はそれぞれ異なっていてもよい。
リッド40が閉状態にあるときにおける第1加飾部41aと、リッド40が開状態にあるときにおける第2加飾部42aとは、同じ(略同じを含む)大きさで、同じ(略同じを含む)形状で、ボックス30に対して同じ(略同じを含む)位置にある。
【0019】
リッド40が閉状態にあるとき、図1に示すように、第1加飾部41aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続しており(連なっており)、第1加飾部41aとインストルメントパネル側加飾部21aとで一体感のある意匠となっている。なお、リッド40が閉状態にあるとき、第2加飾部42aはインストルメントパネル側加飾部21aと不連続である。
リッド40が開状態にあるとき、図5に示すように、第2加飾部42aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続しており(連なっており)、第2加飾部42aとインストルメントパネル側加飾部21aとで一体感のある意匠となっている。なお、リッド40が開状態にあるとき、第1加飾部41aはインストルメントパネル側加飾部21aと不連続である。
なお、ここでいう「連続」とは、第1加飾部41aまたは第2加飾部42aとインストルメントパネル側加飾部21aとが隣り合っているように車室乗員から見えている状態をいう。
【0020】
つぎに、本発明実施例の作用を説明する。
リッド40が閉状態にあるとき、リッド40の第1加飾部41aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続しており、リッド40が開状態にあるとき、リッド40の第2加飾部42aがインストルメントパネル側加飾部21aと連続しているため、リッド40が閉状態にあるときだけでなくリッド40が開状態にあるときにも、インストルメントパネル20に設けられる加飾部21aとリッド40に設けられる加飾部41aまたは42aとが見た目上で連続する。そのためリッド40が閉状態にあるときだけでなくリッド40が開状態にあるときにもインストルメントパネル20部位の高意匠性を確保できる。
【符号の説明】
【0021】
10 車両用収納ボックス装置
20 インストルメントパネル
21 インストルメントパネルの意匠面
21a インストルメントパネル側加飾部
30 ボックス
31 ボックスの開口
40 リッド
41 閉状態意匠面
41a 第1加飾部
42 開状態意匠面
42a 第2加飾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネル内に設けられ車室側に開放するボックスと、該ボックスの開口を開閉可能であり開状態にあるときに前記インストルメントパネル内に格納されるリッドと、を有する車両用収納ボックス装置であって、
前記リッドには、閉状態にあるときにおける意匠面である閉状態意匠面の一部に該閉状態意匠面のその他の部分とは異なる意匠を持った第1加飾部が設けられるとともに、開状態にあるときにおける意匠面である開状態意匠面の一部もしくは全部に第2加飾部が設けられており、
前記インストルメントパネルの一部にも該インストルメントパネルの他の部分とは異なる意匠を持ったインストルメントパネル側加飾部が設けられており、
前記リッドが閉状態にあるとき、前記リッドの前記第1加飾部が前記インストルメントパネル側加飾部と連続しており、前記リッドが開状態にあるとき、前記リッドの第2加飾部が前記インストルメントパネル側加飾部と連続している、車両用収納ボックス装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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