説明

車両用収納装置

【課題】アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込むとき、その差し込みがしっかりと行われていないことと、その差し込みが完了したこととを使用者に認識させること。
【解決手段】車両用収納装置10は、アタッチメント40をホルダ本体20に差し込むとき、アタッチメント40に形成されている係合壁46を、ホルダ本体20に形成されている凹み部24の係合孔28に係合させる構造となっている。凹み部24の内壁面24aには、係合壁46の両側を挟み込み可能な一対のリブ26が形成されており、アタッチメント40を差し込んでいくと、係合壁40は両リブ26に乗り上げ状態となり、この乗り上げ状態から、さらに、アタッチメント40を差し込んでいくと、係合壁46は切欠溝44aの溝方向における両立壁44bがその溝内側に向けてそれぞれ撓むことで両リブ26の間に挟み込まれ、この挟み込まれた状態で係合壁46を係合孔28に係合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用収納装置に関し、詳しくは、被収納体を保持可能な収容部が形成されているアタッチメントと、このアタッチメントの収容部を差し込み可能な窪み部が形成されているホルダ本体とから構成されている車両用収納装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用のカップホルダである車両用収納装置として、例えば、カップ、缶、またはペットボトル等のドリンク容器である被収納体を保持可能な収容部が形成されているアタッチメントと、このアタッチメントの収容部を差し込み可能な窪み部が形成されているホルダ本体とから構成されている車両用収納装置が既に知られている。ここで、下記特許文献1には、アタッチメントをホルダ本体に対して着脱可能に構成されている車両用収納装置が開示されている。これにより、アタッチメントを保持したい被収納体の外形寸法や高さ寸法に応じたアタッチメントに取り替えることができるため、ホルダ本体を取り替えることなく寸法の異なる被収納体でも安定的に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−75181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術では、アタッチメントに形成されているフランジ部を窪み部の内壁面に形成されている凹み部に嵌め込ませてアタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込む構造となっている。そのため、この嵌め合わせがしっかり行われていないと、車両の急加速または急発進等によってアタッチメントの収容部がホルダ本体の窪み部から外れてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込むとき、その差し込みがしっかりと行われていないことと、その差し込みが完了したこととを使用者に認識させることができる車両用収納装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載の発明は、被収納体を保持可能な収容部が形成されているアタッチメントと、このアタッチメントの収容部を差し込み可能な窪み部が形成されているホルダ本体とから構成され、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込むとき、アタッチメントの収容部の縁から径方向に向けて切欠溝が形成されているフランジ部の溝方向における先端にその溝方向と略直交するように形成されている係合壁を、窪み部の内壁面に形成されている凹み部の係合孔に係合させる車両用収納装置であって、凹み部の内壁面には、係合壁の両側を挟み込み可能な一対のリブが形成されており、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込んでいくと、係合壁が両リブに乗り上げ状態となり、この乗り上げ状態から、さらに、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込んでいくと、切欠溝における溝方向の両立壁がその溝内側に向けてそれぞれ撓むことで係合壁は両リブの間に挟み込まれ、この挟み込まれた状態で係合壁を係合孔に係合させることを特徴とする構成である。
この構成によれば、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に軽い力で差し込んでいくと、アタッチメントの係合壁は、ホルダ本体の両リブにそれぞれ乗り上げた状態となる。これにより、アタッチメントの差し込みがしっかりと行われていないことを使用者に認識させることができる。この状態から、さらに、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に重い力で差し込んでいくと、アタッチメントの係合壁は、切欠溝の溝方向における両立壁がその溝内側に向けてそれぞれ撓むことで両リブの間に挟み込まれていく。これにより、アタッチメントの差し込みの節度感を得ることができるため、その差し込みが完了したことを使用者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明の実施例に係るカップホルダをアームレストに組み付けた車内の斜視図である。
【図2】図2は、図1のカップホルダの分解斜視図である。
【図3】図3は、図2のA−A線断面図である。
【図4】図4は、図2のアタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込んでいる途中状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、図4のB−B線断面図である。
【図6】図6は、図4の差し込みが完了した状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、図6のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜7を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、車両用収納装置として、後部座席2において使用可能状態に切り替えられたアームレスト3の表面に組み付けられているカップホルダ10を例に説明していく。また、以下の説明にあたって、上、下、前、後、左、右とは、上述した図に記載した、上、下、前、後、左、右の方向、すなわち、後部座席2を基準にしたときの上、下、前、後、左、右の方向を示している。
【0009】
まず、図1、2、4を参照して、本発明の実施例に係るカップホルダ10の構成を説明する。このカップホルダ10は、例えば、カップ、缶、またはペットボトル等のドリンク容器である被収納体(図示しない)を保持可能な円筒状の収容部42が形成されている2個のアタッチメント40、40と、この2個のアタッチメント40、40を左右に差し込み可能な窪み部22、22がそれぞれ形成されているホルダ本体20とから構成されている。以下に、これら構成部材20、40を個別に説明していく。
【0010】
はじめに、ホルダ本体20から説明する。ホルダ本体20は、上述したように使用可能状態に切り替えられたアームレスト3の表面にクリップ30を介して組み付け可能な略カバー状に形成された部材である。このホルダ本体20の表面には、その左右に対を成すように窪み部22、22が形成されている。この窪み部22における後方の内壁面には、後述するアタッチメント40のフランジ部44を嵌め込み可能な凹み部24が形成されている。
【0011】
この凹み部24における後方の底面には、後述するアタッチメント40の係合壁46の下端46aを係合させる係合孔28が形成されている。また、この凹み部24の内壁面のうち、向かい合う内壁面(左右の内壁面)24a、24aには、後述するアタッチメント40の係合壁46の両側を挟み込み可能な一対のリブ26、26が形成されている。なお、このホルダ本体20は、上述した窪み部22、凹み部24、リブ26、係合孔28およびクリップ30と共に、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。ホルダ本体20は、このように構成されている。
【0012】
次に、アタッチメント40を説明する。アタッチメント40は、その収容部42が先細り状となるように形成されている。すなわち、アタッチメント40は、その底面側の外径がその開放面側の外径より小さくなるように形成されている。これにより、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に差し込むとき、容易に差し込むことができる。
【0013】
また、アタッチメント40には、その収容部42の縁から径方向に向けて切欠溝44aを有するようにフランジ部44が形成されている。この切欠溝44aには、例えば、被収納体が取っ手を有するカップの場合、その取っ手を配置させることができる。このフランジ部44の溝方向における先端には、その溝方向と直交するように係合壁46が形成されている。この係合壁46は、上述したホルダ本体20の凹み部24の係合孔28に係合可能に構成されている。
【0014】
また、このアタッチメント40の収容部42の外面には、その周方向に適宜の間隔でリブ48が形成されている。これにより、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に差し込むとき、アタッチメント40のリブ48のみが窪み部22に接触するため、差し込みによって生じる接触抵抗を減少させることができる。
【0015】
なお、このアタッチメント40の収容部42の外径(リブ48の外面における外径)は、ホルダ本体20の窪み部22の内径に対して略同一、または若干だけ大きくなるように設定されている。これにより、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に差し込んだとき、収容部42と窪み部22との間に生じるガタを防止できる。また、このアタッチメント40は、上述したフランジ部44、係合壁46、リブ48と共に、軟性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。アタッチメント40は、このように構成されている。
【0016】
続いて、図2〜7を参照して、上述したアタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に差し込む構成を説明する。まず、図2、3に示す差し込み前の状態から、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に軽い力で差し込んでいく。すると、図4に示すように、アタッチメント40の収容部42の多くの部分が、ホルダ本体20の窪み部22に差し込まれた状態になると共に、アタッチメント40のフランジ部44の多くの部分も、ホルダ本体20の凹み部24に嵌め込まれた状態になる。
【0017】
すなわち、アタッチメント40の収容部42とフランジ部44の上縁の部分のみが、ホルダ本体20の表面から飛び出した状態になる。このとき、図5に示すように、アタッチメント40の係合壁46の下端46aは、ホルダ本体20の左右のリブ26、26の上面26a、26aにそれぞれ乗り上げた状態となる。
【0018】
この状態から、さらに、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に重い力で差し込んでいく。すると、図6に示すように、アタッチメント40の収容部42が、ホルダ本体20の窪み部22に完全に差し込まれた状態になると共に、アタッチメント40のフランジ部44も、ホルダ本体20の凹み部24に完全に嵌め込まれた状態になる。
【0019】
このとき、図7に示すように、アタッチメント40の係合壁46は、切欠溝44aの溝方向における両立壁44bがその溝内側に向けて(図7において、矢印方向に向けて)それぞれ撓むことで両リブ26の間に挟み込まれていく。そして、この挟み込まれた状態のまま係合壁46は係合孔28に係合していく。なお、この係合が完了すると、アタッチメント40の収容部42の差し込みも完了する。
【0020】
本発明の実施例に係るカップホルダ10は、上述したように構成されている。この構成によれば、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に軽い力で差し込んでいくと、アタッチメント40の係合壁46の下端46aは、ホルダ本体20の左右のリブ26、26の上面26a、26aにそれぞれ乗り上げた状態となる。そのため、アタッチメント40の差し込みがしっかりと行われていないこと(差し込みが途中状態であること)を使用者に認識させることができる。この状態から、さらに、アタッチメント40の収容部42をホルダ本体20の窪み部22に重い力で差し込んでいくと、アタッチメント40の係合壁46は、切欠溝44aの溝方向における両立壁44bがその溝内側に向けて(図7において、矢印方向に向けて)それぞれ撓むことで両リブ26の間に挟み込まれていく。これにより、アタッチメント40の差し込みの節度感を得ることができるため、その差し込みが完了したこと(差し込みが確実に行われたこと)を使用者に認識させることができる。
【0021】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、車両用収納装置として、後部座席2において使用可能状態に切り替えられたアームレスト3の表面に組み付けられているカップホルダ10を例に説明した。しかし、これに限定されるものでなく、車両用収納装置として、例えば、車両のセンタークラスタ(インストルメントパネルの幅方向の中央部分)から進退可能に組み付けられているカップホルダであっても構わない。すなわち、車両内部に設けられるカップホルダであれば、何処に設けられていても構わない。
【符号の説明】
【0022】
10 カップホルダ(車両用収納装置)
20 ホルダ本体
22 窪み部
24 凹み部
26 リブ
28 係合孔
40 アタッチメント
42 収納部
44 フランジ部
44a 切欠溝
44b 立壁
46 係合壁



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納体を保持可能な収容部が形成されているアタッチメントと、このアタッチメントの収容部を差し込み可能な窪み部が形成されているホルダ本体とから構成され、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込むとき、アタッチメントの収容部の縁から径方向に向けて切欠溝が形成されているフランジ部の溝方向における先端にその溝方向と略直交するように形成されている係合壁を、窪み部の内壁面に形成されている凹み部の係合孔に係合させる車両用収納装置であって、
凹み部の内壁面には、係合壁の両側を挟み込み可能な一対のリブが形成されており、
アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込んでいくと、係合壁は両リブに乗り上げ状態となり、この乗り上げ状態から、さらに、アタッチメントの収容部をホルダ本体の窪み部に差し込んでいくと、係合壁は切欠溝の溝方向における両立壁がその溝内側に向けてそれぞれ撓むことで両リブの間に挟み込まれ、この挟み込まれた状態で係合壁を係合孔に係合させることを特徴とする車両用収納装置。












【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−42271(P2011−42271A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192082(P2009−192082)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【出願人】(597137154)株式会社コジマ (6)
【Fターム(参考)】