説明

車両用周囲監視装置

【課題】ガイド線の作成作業に際して、ガイド線パラメータデータの入力が容易になると共に、入力ミスを防ぐことができる車両用周囲監視装置を提供する。
【解決手段】本発明の車両用周囲監視装置1は、車両Vに取付けられ、その車両Vの周囲を撮像する撮像素子12と、撮像素子12により撮像された車両Vの周囲の実画像を表示するディスプレイ21と、車両Vからの距離を示すガイド線を生成するガイド線描画手段24とを備え、ガイド線描画手段24で生成したガイド線を実画像に重ね合せてディスプレイ21に表示させる構成を有する。ガイド線描画手段24は、ガイド線パラメータデータを入力することでガイド線を生成し、このガイド線パラメータデータは撮像素子12を介して外部から入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲を撮像手段で監視する車両用周囲監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周囲後方を映像で確認するリアカメラシステムなどの車両用周囲監視装置では、リアカメラからの後方映像に、車両の車幅や奥行き距離の目安となるガイド線の描画を重ね合せて、ナビゲーションシステムの車両ディスプレイなどに表示させることが一般的に行なわれている。このガイド線の描画は、撮像手段としてのリアカメラ側または表示手段としての車両ディスプレイ側のどちらでも可能であるが、リアカメラを搭載する車両の車幅や、リアカメラの取付け角度や位置によって、異なる描画のガイド線を生成しなければならず、取付け車両毎にガイド線を描画する上で必要なパラメータ調整を行なうようになっている。
【0003】
ガイド線描画のパラメータ調整は、予めリアカメラのキットを用意するメーカ側から、取付け車両毎にパラメータの数値が紙またはデータとして提供されるのが一般的で、リアカメラの取付けを行なうディーラで、ナビゲーションシステムの操作部を用いてパラメータ値の入力作業を行なうことで、取付け車両毎のガイド線描画を完了させていた。
【0004】
しかしパラメータ自体は、ガイド線の定義によるものの、20ポイント程度(縦横位置が必要なため、個数では40個程度)存在し、ディーラでの取付け作業時に、その20ポイント40個のパラメータを入力することは、入力ミスを起こしやすく時間がかかる。また、パラメータ値をデータで提供する場合も、作業者が取付け作業を行なうピットなどから、データを格納した事務所のパソコンなどに移動し、そこでメモリカードなどにデータを保存してからピットに戻り、ナビゲーションシステムにメモリカードを挿入してデータの読込みを行なう必要があり、作業中にピットと事務所との間を往復する手間と時間がかかり、効率的ではない。
【0005】
こうした問題に対処するために、例えば引用文献1では、車両後方からの距離を示すチャートを描いたマットの一端を、車両の最後端部に一致させて設置し、このマットをリアカメラで撮像して表示手段であるモニタに表示させた状態で、当該モニタに重ね合せて表示される各ポイントマーカを操作部により移動させ、チャートの各点にそれぞれ一致させることで、制御部が車両毎に対応したガイド線の描画データを自動で作成する手法が提案されている。
【0006】
また別な引用文献2では、車種とガイド線が関連付けられた複数の車種データを予め記憶手段に記憶させておき、表示手段に表示された複数の車種名の中から車両に対応する車種を選択すると、その車両に適したガイド線を設定記憶する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−341081号公報
【特許文献2】特開2008−301227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1に示すものは、車両後方にわざわざマットを敷いた上で、モニタに表示された各ポイントマーカを、手動操作によりチャートの所望地点にまで移動させなければならず、ガイド線の作成作業に際して、広い場所と手間が必要であり、作業時間の削減や入力ミスの低減を図ることができない。
【0009】
また特許文献2に示すものは、種々の車両に対応したガイド線を含む車種データを予め記憶する必要があり、無駄なメモリを消費して、システム構成を簡略化できない。しかも、手動操作により特定の車種データを選択する手間が必要で、これも作業時間の削減や入力ミスの低減を図ることができない。
【0010】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、ガイド線の作成作業に際して、ガイド線パラメータデータの入力が容易になると共に入力ミスを防ぐことができ、しかもシステム構成を簡略化できる車両用周囲監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両に取付けられ、前記車両の周囲を撮像する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された実画像を表示する表示手段と、前記車両からの距離を示すガイド線を生成するガイド線描画手段とを備え、前記ガイド線描画手段で生成した前記ガイド線を前記実画像に重ね合せて前記表示手段に表示させる車両用周囲監視装置において、前記ガイド線描画手段は、ガイド線パラメータデータを入力することで前記ガイド線を生成し、前記ガイド線パラメータデータは前記撮像手段を介して外部から入力されるものであることを特徴とする。
【0012】
また請求項2に係る発明は、前記ガイド線パラメータデータが画像データから生成されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に係る発明は、前記撮像手段で撮像された画像を映像信号に変換し、前記車両の周囲の前記実画像として前記表示手段に表示させる画像変換手段と、前記画像データを前記ガイド線パラメータデータとして認識する画像データ認識手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、前記画像データがQRコードであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の車両用周囲監視装置によれば、本来は車両の周囲を撮像する撮像手段を利用して、そこからガイド線パラメータデータを入力するだけで、ガイド線描画手段によるガイド線の生成が可能になる。したがって、ガイド線の作成作業に際して、ガイド線パラメータデータの入力が容易になると共に入力ミスを防ぐことができる。
【0016】
本発明の請求項2に記載の車両用周囲監視装置によれば、車両毎に固有の画像データをガイド線パラメータデータとして作成しておけば、車両に応じたガイド線パラメータデータを個別に提供できることから、装置に車両のガイド線パラメータデータを予め記憶する必要がなく、システム構成を簡略化することができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の車両用周囲監視装置によれば、画像データ認識手段を付加し、撮像手段からの画像の処理方法を変更することで、ガイド線パラメータデータを入力できるようにしているので、この点でもシステム構成を簡略化することができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の車両用周囲監視装置によれば、汎用性の高いQRコードを用いることで、装置として活用の幅を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1を示す車両用周囲監視装置のシステム構成をあらわすブロック図である。
【図2】同上、図1の車両用周囲監視装置の仕様概要を説明する図である。
【図3】同上、ガイド線の表示状態を説明する図である。
【図4】同上、ガイド線生成の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明における好適な車両用周囲監視装置の実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本実施例で提案する車両用周囲監視装置1のシステム構成を示したものである。同図において、車両用周囲監視装置1は、車両Vの後方に取り付けられた撮像手段としてのリアカメラ2と、このリアカメラ2に接続され、ナビゲーションシステムあるいは車載ディスプレイシステムによる車載情報表示装置としてのナビシステム3とを備えて構成される。リアカメラ2は、対物レンズ11を通して入ってきた光を、電気的な画像信号に変換する撮像素子12を備え、その他にこの画像信号を処理する手段として、制御切替手段13と、画像変換手段14と、QRコード(登録商標)認識復元手段15とを内蔵する。また、ナビシステム3は車両Vの内部に装着され、表示手段として車両Vの運転者が視認できる位置に設置されるディスプレイ21と共に、操作手段としてのQRコード読込モード切替スイッチ22と、モード切替手段23と、ガイド線描画手段24と、映像合成手段25と、ナビシステム3などで生成された各種映像信号を出力する映像信号出力手段26と、映像切替手段27とを備えて構成される。
【0022】
各部の構成をより詳しく説明すると、対物レンズ11と撮像素子12とを組み合わせてなる撮像ユニット16は、車両Vの後方周囲を撮像できる方向および位置に設けられる。リアカメラ2は、撮像素子12により取込んだ後方周囲の映像(画像信号)を、ディスプレイ21が表示できるような映像信号に画像変換手段14で変換し、これをナビシステム3側に出力するのが一般的である。特に本実施例では、そうしたリアカメラ2の一般的な機能に加えて、撮像ユニット16で撮像されたQRコード31による画像データを解読するQRコード認識復元手段15が組み込まれている。QRコード認識復元手段15は、例えば車両Vの取付要領書などに記されたQRコード31の画像データを撮像素子12から受取ると、その画像データを復元解読して、ディスプレイ21に表示されるガイド線のパラメータデータを生成し、ナビシステム3のガイド線描画手段24に出力する機能を備えている。
【0023】
なお本実施例では、汎用性の高いQRコード31を画像データとして認識できるように、画像データ認識手段としてQRコード認識復元手段15を組み込んでいるが、ガイド線パラメータデータの容量がさほど多くなければ、バーコードなどの一次元コードを利用して、その一次元コードを認識できる別な画像データ認識手段を組み込んでもよい。二次元コードとしてのQRコード31は、車両Vに応じた画像データとして個別に提供されるため、車両用周囲監視装置1側でガイド線パラメータデータを予め記憶する必要がなくなる。
【0024】
また本実施例のリアカメラ2は、ナビシステム3に備えたQRコード読込モード切替スイッチ22の操作に応じて、撮像素子12からの画像信号(画像データ)の出力ラインを、画像変換手段14またはQRコード認識復元手段15の何れか一方に接続する制御切替手段13を備えている。制御切替手段13は、ナビシステム3に組込まれたモード切替手段23からQRコード読込モードの切替信号が送出されると、それまで画像変換手段14に接続されていた撮像素子12からの画像信号出力ラインを、QRコード認識復元手段15に接続する機能を有する。このQRコード読込モードの切替信号は、ナビシステム3に組込まれたQRコード読込モード切替スイッチ22からの操作信号を受けて、モード切替手段23から制御切替手段13に送出されるようになっている。
【0025】
ガイド線描画手段24は、QRコード認識復元手段15で画像データから復元されたガイド線パラメータデータを受けて、ディスプレイ21が直線状または曲線状のガイド線を表示できるような映像信号を生成するものである。また映像合成手段25は、前記ガイド線描画手段24によって生成されたガイド線をあらわす映像信号と、リアカメラ2内の画像変換手段14によって生成された車両Vの後方周囲をあらわす映像信号とを重ね合せて、映像切替手段27に合成映像信号を送出するものである。映像信号出力手段26は、例えば車両Vのエンジンスイッチ(図示せず)を操作して、アクセサリまたはオンにしたときにあらわれる起動初期画面や、ナビシステム3に備えたメニュースイッチ(図示せず)を操作したときにあらわれる各種設定用のメニュー画面などのナビゲーション画面に関連する映像信号を出力するもので、この映像信号出力手段26からの映像信号の出力ラインと、映像合成手段25からの合成映像信号の出力ラインの何れか一方を、映像切替手段27でディスプレイ21に接続する構成となっている。ここでの映像切替手段27は、例えば車両Vのシフトレバー(図示せず)の操作位置を検知して、シフトレバーがリバースの位置にある場合は、映像合成手段25からの合成映像信号の出力ラインをディスプレイ21に接続して、ディスプレイ21にその合成映像信号を表示させるようにし、シフトレバーがそれ以外の位置にある場合は、映像信号出力手段26の映像信号の出力ラインをディスプレイ21に接続して、ディスプレイ21にその映像信号を表示させるようにしている。
【0026】
なお、図1に示す車両用周囲監視装置1のシステム構成では、種々の変形が可能である。第1の変形例として、QRコード読込モードの切替信号ラインと、ガイド線パラメータデータの出力ラインは、図1においてそれぞれ別なラインとして表現されているが、これら両方の信号を同一の信号ラインでシリアル通信を用いて伝送できるようにしてもよい。
【0027】
第2の変形例として、図1ではガイド線描画手段24をナビシステム3に搭載しているものとして表現しているが、これをリアカメラ2内に搭載して、画像変換手段14による画像信号の変換時に、映像合成手段25でガイド線を合成できるように、ガイド線描画手段24から映像合成手段25にガイド線の映像信号を送出してもよい。
【0028】
第3の変形例として、図1ではQRコード認識復元手段15をリアカメラ2側に搭載しているが、撮像素子12からのQRコード31の映像を画像信号としてナビシステム3に送出し、そのナビシステム3にQRコード認識復元手段15を搭載して、ガイド線パラメータデータの認識復元を行なうシステム構成としてもよい。
【0029】
第4の変形例として、リアカメラ2がQRコード31を読み取る手段として、例えば切替スイッチ22が操作された後、セルフタイマー機能により所定時間が経過したら、撮像素子12からのQRコード31の画像信号をQRコード認識復元手段15に認識させる構成や、ナビシステム3側で切替スイッチ22を操作したら、リアカメラ2側に設けた別なスイッチ(図示せず)を操作することで、撮像素子12からのQRコード31の画像信号をQRコード認識復元手段15に認識させる構成や、或いは切替スイッチ22が操作されたのを受けて、直ぐに撮像素子12からのQRコード31の画像信号をQRコード認識復元手段15に自動認識させる構成を採用してもよい。
【0030】
次に、上記車両用周囲監視装置1の作用について、図2〜図4をも参照しながら詳しく説明する。
【0031】
図2は、図1に示す車両用周囲監視装置1の仕様概要を示したものである。同図において、リアカメラ2とナビシステム3との間は、第1の配線ユニット41と第2の配線ユニット42で電気的に接続される。第1の配線ユニット41は、ナビシステム3からリアカメラ2への電力供給用の電源ラインおよびグランド(接地)ラインや、画像変換手段14から映像合成手段25にNTSC(National Television System Committee)の映像信号を送出する信号ラインを含んでいる。また第2の配線ユニット42は、前述したシリアル通信の一種であるUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信を用いて、QRコード認識復元手段15で復元したガイド線パラメータデータに送出する信号ラインと、モード切替手段23から制御切替手段13にQRコード読込モードの切替信号を送出する信号ラインを兼用するものである。
【0032】
QRコード31は、最終的にディスプレイ21に表示されるガイド線を生成する上で必要なガイド線座標値データSを、ガイド線パラメータデータとして符号化したもので、当該ガイド線座標値データSは車両Vの各車種に固有のものである。車両用周囲監視装置1の仕様として、本実施例では撮像ユニット16の撮像する視点(カメラビュー)を複数に切替える機能を備えており、QRコード31にはそれぞれのカメラビューに対応した座標値データが符号化される。ここではそのカメラビューとして、車両V後方の通常の範囲を撮像する「ノーマルビュー」と、「ノーマルビュー」よりも広範囲な視点で撮像する「ワイドビュー」と、「ノーマルビュー」よりも上方からの視点で撮像する「俯瞰ビュー」とを備えているが、それ以外の視点でのカメラビューを備えていてもよい。カメラビューの切替は、例えばナビシステム3に設けられた操作スイッチ52や、ディスプレイ21上のタッチスイッチ53などにより、手動で行なうことができる。
【0033】
そして上記構成では、車両Vのシフトレバーをリバースの位置に操作することにより、ナビシステム3にリバース信号を入力すると、ナビシステム3の映像切替手段27は、ナビゲーション画面などの映像信号に代わって、リアカメラ2から出力される映像信号がディスプレイ21に出力されるように映像信号の出力を切替え、リアカメラ2から取り込んだ車両Vの後方周囲の実画像をディスプレイ21に表示させる。
【0034】
ここで、リアカメラ2を車両Vに取り付けた後にナビシステム3を起動させ、車両Vのシフトレバーをリバースの位置に操作した状態で、QRコード読込モード切替スイッチ22を操作すると、モード切替手段23からリアカメラ2の制御切替手段13に向けてQRコード読込モードの切替信号が送出される。この切替信号を受けて制御切替手段13は、リアカメラ2を画像変換手段13による一般的な実画像読込モードから、QRコード認識復元手段15によるQRコード読込モードに切り替える。
【0035】
なお、ここでのQRコード読込モード切替スイッチ22は、ナビシステム3のディスプレイ21上にタッチスイッチ53として搭載される場合もあれば、ナビシステム3周辺のハードウェアスイッチ(図示せず)として搭載される場合もある。
【0036】
リアカメラ2がQRコード読込モードに切替わると、撮像素子12により撮像されたQRコード31の画像信号は、リアカメラ2内の制御切替手段13を経由してQRコード認識復元手段15に入り、ここでQRコード31の認識と復元化が行われる。QRコード31で復元化したガイド線パラメータデータが、QRコード認識復元手段15からナビシステム3側のガイド線描画手段24に送出され、ガイド線描画手段24が車両Vの各車種に個別に与えられたガイド線パラメータデータを記憶すると、車両用周囲監視装置1におけるガイド線描画の準備は完了し、モード切替手段24から制御切替手段13へのQRコード読込モード切替信号の送出が停止して、リアカメラ2は通常の実画像読込モードに戻る。
【0037】
その後の使用状態において、車両Vの後方周囲を撮像した撮像素子12からの実画像の画像信号が、画像変換手段14により映像信号に変換され、この映像信号がリアカメラ2からナビシステム3の映像合成手段25に送出されると共に、ナビシステム3内のガイド線描画手段24では、予め記憶されたガイド線パラメータデータに基づいてガイド線の映像信号が生成され、そのガイド線の映像信号が映像合成手段25に送出される。ここで前述のように車両Vのシフトレバーをリバースの位置に操作すると、画像変換手段14からの実画像の画像信号と、ガイド線描画手段24からのガイド線の映像信号とを合成した映像信号が、映像合成手段25から映像切替手段27を介してディスプレイ21に送出され、リアカメラ2から取り込んだ車両Vの後方周囲の実画像にガイド線を重ね合せた映像がディスプレイ21に表示される。
【0038】
図3は、ディスプレイ21に表示されるガイド線G1〜G6と、そのガイド線Gを生成する上で必要な座標点D1〜D9を示している。ガイド線G1は、車両Vの幅方向における左側後端部近傍から車両Vの全長方向に沿って延出した線であり、ガイド線G2は、車両Vの幅方向における中央後端部近傍から車両Vの全長方向に沿って延出した線であり、ガイド線G3は、車両Vの幅方向における右側後端部近傍から車両Vの全長方向に沿って延出した線であり、ガイド線G2はガイド線G1,G3の中間に位置して設けられる。またガイド線G4は、車両Vの幅方向と平行で、且つ車両Vの後方から第1の距離を経て位置する線であり、ガイド線G5は、車両Vの幅方向と平行で、且つ車両Vの後方から第2の距離を経て位置する線であり、ガイド線G6は、車両Vの幅方向と平行で、且つ車両Vの後方から第3の距離を経て位置する線であり、第3の距離は第2の距離よりも大きく、第2の距離は第1の距離よりも大きく設定される。
【0039】
一方、前記ガイド線パラメータデータとしてガイド線描画手段24に送出されるガイド線座標値データSは、ガイド線G1〜G6の交点となる各座標点D1〜D9の位置座標に相当する。座標点D1はガイド線G1,G4の交点であり、座標点D2はガイド線G1,G5の交点であり、座標点D3はガイド線G1,G6の交点であり、座標点D4はガイド線G2,G4の交点であり、座標点D5はガイド線G2,G5の交点であり、座標点D6はガイド線G2,G6の交点であり、座標点D7はガイド線G3,G4の交点であり、座標点D8はガイド線G3,G5の交点であり、座標点D9はガイド線G3,G6の交点である。
【0040】
なお図2に示すように、ガイド線座標値データSは、それぞれのカメラビューで異なるが、QRコード31には全てのカメラビューにおけるガイド線パラメータデータが符号化されているので、車両Vの取付要領書などに記されたQRコード31を撮像素子12から一度読み取るだけで、それぞれのカメラビューにおいて、対応するガイド線の映像信号をガイド線描画手段24で生成して、これをディスプレイ21に表示させることができる。
【0041】
図4は、ここまでの一連の手順を示したものである。前記ガイド線G1〜G6の作成に際しては、先ず開発者から、ガイド線座標値データSを符号化したQRコード31を、それぞれの車両Vに対応した取付要領書に記載する指示が行われる。これを受けて販売店側では、手順1でその取付要領書にQRコード31をプリントする作業を行なう。
【0042】
その後の手順2〜6は、上述のように各車両Vに搭載した車両用周囲監視装置1で行なわれる。手順2では、ナビシステム3側でQRコード読込モード切替スイッチ22を操作することにより、リアカメラ2をガイド線座標値データSの読取モード(QRコード読込モード)に設定する。続く手順3では、取付要領書にプリントしたQRコード31をリアカメラ2に読み取らせ、QRコード認識復元手段15によりリアカメラ2内でQRコード31を解読して、ガイド線座標値データSを復元する(手順4)。この復元されたガイド線座標値データSは、第2の配線ユニット42を利用したUART通信により、ナビシステム3側に送信される(手順5)。そして手順6で、ナビシステム3に組み込まれたガイド線描画手段24が、リアカメラ2側から送られたガイド線座標値データSを元に、各ガイド線G1〜G6の映像信号を生成し、これをディスプレイ21に描画させる。
【0043】
以上のように本実施例では、車両Vに取付けられ、その車両Vの周囲を撮像する撮像手段としての撮像素子12と、撮像素子12により撮像された車両Vの周囲の実画像を表示する表示手段としてのディスプレイ21と、車両Vからの距離を示すガイド線G1〜G6を生成するガイド線描画手段24とを備え、ガイド線描画手段24で生成したガイド線G1〜G6を前記実画像に重ね合せてディスプレイ21に表示させる車両用周囲監視装置1において、ガイド線描画手段24は、ガイド線パラメータデータを入力することで前記ガイド線G1〜G6を生成し、このガイド線パラメータデータは撮像素子12を介して外部から入力されるように構成されている。
【0044】
この場合、本来は車両の周囲を撮像する撮像素子12を利用し、そこからガイド線パラメータデータを入力するだけで、ガイド線描画手段24によるガイド線G1〜G6の生成が可能になる。したがって、ガイド線G1〜G6の作成作業に際して、ガイド線パラメータデータの入力が容易になると共に、作業者による入力ミスを防ぐことができる。
【0045】
また特に本実施例では、前記ガイド線パラメータデータが画像データから生成される。このように、車両V毎に固有の画像データをガイド線パラメータデータとして作成しておけば、車両Vに応じたガイド線パラメータデータを個別に提供できることから、車両用周囲監視装置1に車両Vのガイド線パラメータデータを予め記憶する必要がなく、車両用周囲監視装置1のシステム構成を簡略化することができる。
【0046】
また本実施例では、撮像素子12で撮像された画像を映像信号に変換し、車両Vの周囲の実画像としてディスプレイ21に表示させる画像変換手段14と、撮像素子12からの画像データをガイド線パラメータデータとして認識する画像データ認識手段としてのQRコード認識復元手段15とを備えている。
【0047】
この場合、画像データ認識手段としてのQRコード認識復元手段15を付加し、リアカメラ2内において撮像素子12からの画像の処理方法を変更することで、ガイド線パラメータデータを入力できるようにしているので、この点でもシステム構成を簡略化することができる。
【0048】
さらに本実施例では、前記撮像素子12からの画像データが、特にQRコード31であることを特徴としており、汎用性の高いQRコード31を符号化されたガイド線パラメータとして用いることで、車両用周囲監視装置1として活用の幅を広げることができる。
【0049】
尚、本発明は、本実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、リアカメラ2の配置や台数は適宜選定可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 車両用周囲監視装置
12 撮像素子(撮像手段)
14 画像変換手段
15 QRコード認識復元手段(画像データ認識手段)
21 ディスプレイ(表示手段)
24 ガイド線描画手段
31 QRコード(画像データ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取付けられ、前記車両の周囲を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された実画像を表示する表示手段と、
前記車両からの距離を示すガイド線を生成するガイド線描画手段とを備え、
前記ガイド線描画手段で生成した前記ガイド線を前記実画像に重ね合せて前記表示手段に表示させる車両用周囲監視装置において、
前記ガイド線描画手段は、ガイド線パラメータデータを入力することで前記ガイド線を生成し、前記ガイド線パラメータデータは前記撮像手段を介して外部から入力されるものであることを特徴とする車両用周囲監視装置。
【請求項2】
前記ガイド線パラメータデータが画像データから生成されるものであることを特徴とする請求項1記載の車両用周囲監視装置。
【請求項3】
前記撮像手段で撮像された画像を映像信号に変換し、前記車両の周囲の前記実画像として前記表示手段に表示させる画像変換手段と、
前記画像データを前記ガイド線パラメータデータとして認識する画像データ認識手段とを備えたことを特徴とする請求項2記載の車両用周囲監視装置。
【請求項4】
前記画像データがQRコード(登録商標)であることを特徴とする請求項2または3記載の車両用周囲監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−227634(P2012−227634A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91837(P2011−91837)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】