説明

車両用回動体装置

【課題】乗員が体全体を伸ばす運動を行うことでリフレッシュすることを可能とする。
【解決手段】車両用回動体装置10では、操作スイッチ22が操作されると、ドア駆動ユニット18が駆動され、これにより、一端側が車体に対して回動自在に連結されることで車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式のバックドア14が、車両上下方向上側に回動させられる。そして、このバックドア14の開放端側には、乗員が把持可能なグリップ部20が設けられている。従って、乗員がグリップ部20を把持した状態でバックドア14を車両上下方向上側に回動させれば、乗員がバックドア14の開放端側の部分にぶら下がった状態で体全体を伸ばす運動を行うことができる。これにより、乗員はリフレッシュすることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用回動体装置に係り、特に、一端側が車体に対して回動自在に連結され、車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式の回動体を有して構成された車両用回動体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、健康具としては、次のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、特許文献1には、足の裏刺激用健康具の例が開示されている。この特許文献1に記載の健康具は、円筒体の周面に複数の突起が突設された構成となっており、靴の中に入れて使用可能となっている。そして、この健康具によれば、例えば車内の座席で用いたときでも足踏み等の運動をしないで足の裏に刺激を与えることができるとしている。
【特許文献1】実開平5−68529号公報(図1−図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の健康具は、足の裏に刺激を与えることができるだけで、体全体を伸ばす運動を行い得るものではない。従って、車両の乗員をリフレッシュさせるためには改善の余地がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、乗員が体全体を伸ばす運動を行うことでリフレッシュすることが可能な車両用回動体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の車両用回動体装置は、一端側が車体に対して回動自在に連結され、車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式の回動体と、前記回動体の開放端側に設けられ乗員が把持可能なグリップ部と、前記回動体を車両上下方向上側に回動させる駆動手段と、前記駆動手段を駆動させるための操作手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項1に記載の車両用回動体装置では、操作手段が操作されると、駆動手段が駆動され、これにより、一端側が車体に対して回動自在に連結されることで車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式の回動体が、車両上下方向上側に回動させられる。そして、この回動体の開放端側には、乗員が把持可能なグリップ部が設けられている。従って、乗員がグリップ部を把持した状態で回動体を車両上下方向上側に回動させれば、乗員が回動体の開放端側の部分にぶら下がった状態で体全体を伸ばす運動を行うことができる。これにより、乗員はリフレッシュすることが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の車両用回動体装置は、請求項1に記載の車両用回動体装置において、前記操作手段は、前記グリップ部の近傍位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の車両用回動体装置では、操作手段が、グリップ部の近傍位置(例えば、乗員がグリップ部を把持した状態で操作手段に手が届く範囲)に配置されている。従って、乗員がグリップ部を把持した状態で操作手段を操作することができ、その使い勝手も良好である。
【0009】
請求項3に記載の車両用回動体装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用回動体装置において、前記駆動手段は、前記操作手段が一回操作される毎に所定量だけ前記回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の車両用回動体装置では、操作手段が一回操作されると、この操作毎に駆動手段が所定量だけ回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させる。従って、乗員は、操作手段を操作することで、回動体の高さ調節を段階的に行うことができる。
【0011】
請求項4に記載の車両用回動体装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用回動体装置において、前記駆動手段は、前記操作手段が操作されている間、前記回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の車両用回動体装置では、操作手段が操作されている間、駆動手段が回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させる。従って、乗員は、操作手段を操作することで、回動体の高さを細やかに調節することができる。
【0013】
請求項5に記載の車両用回動体装置は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用回動体装置において、前記回動体は、前記車体の背面に設けられたバックドア又はラダーであることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の車両用回動体装置のように、回動体を、車体の背面に設けられたバックドア又はラダーで構成すれば、このバックドア又はラダーに乗員が体全体を伸ばす運動を行う運動具の機能を兼ねることができ、乗員が体全体を伸ばす運動を行うための専用の回動体を車体に設ける必要がない。従って、体全体を伸ばすための運動具を車体により少ない変更で追加できる。
【発明の効果】
【0015】
以上詳述したように、本発明によれば、乗員が回動体の開放端側の部分にぶら下がった状態で体全体を伸ばす運動を行うことができる。これにより、乗員はリフレッシュすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
はじめに、図1を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10の構成について説明する。
【0017】
図1(a)には、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10が適用された車両12の斜め後方から見た斜視図が示されており、図1(b)には、図1(a)に示されるバックドア14に設置された操作スイッチ22の拡大図が示されている。
【0018】
図1(a)に示されるように、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10が適用された車両12の車体背面には、回動体としてのバックドア14が設けられている。このバックドア14は、その上端側が車体上部に対して回動自在に連結され、車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式のドアとして構成されている。
【0019】
また、この車両12には、例えば車体背面に開口形成された開口部16の上縁部に、駆動手段としてのドア駆動ユニット18が設けられている。このドア駆動ユニット18は、例えば制御基板及びギアモータ等を備え、後述する操作スイッチ22から出力された信号を入力すると、この信号に応じてバックドア14を車両上下方向上側及び下側に回動させる構成である。
【0020】
バックドア14の開放端側の端面には、一対のグリップ部20が車両幅方向に並びように配置されている。この各グリップ部20は、図1(a)に示される如くバックドア14を開いたときに乗員が把持することが可能な形状及び寸法で構成されている。
【0021】
このバックドア14の開放端側の端面には、一対のグリップ部20のうち車両右側に配置されたグリップ部20の近傍位置に、操作手段としての操作スイッチ22が設けられている。この操作スイッチ22は、上述のドア駆動ユニット18を駆動させるためのものであり、UP操作スイッチ24と、DOWN操作スイッチ26とを備えている。そして、操作スイッチ22は、各スイッチの押し操作に応じた指令信号をドア駆動ユニット18の制御基板に出力可能な構成とされている。
【0022】
次に、図1,図2を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10の作用及び効果について説明する。
【0023】
図2(a)〜(d)には、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10の一連の動作が示されている。
【0024】
乗員がバックドア14を手動又は電動で開方向に操作すると、図2(a)に示されるように、バックドア14は、水平位置にまで回動されて一旦停止する。この状態から、図2(b)に示されるように、乗員が手を上に伸ばしてグリップ部20を把持し、この状態で図1(b)に示される操作スイッチ22のUP操作スイッチ24を押し操作すると、操作スイッチ22からドア駆動ユニット18に上昇指令信号が出力される。
【0025】
ドア駆動ユニット18は、上昇指令信号を入力すると作動し、回動体を図2(b)に示される水平位置から図2(c)に示される如くさらに車両上下方向上側に回動させる。このとき、ドア駆動ユニット18は、操作スイッチ22のUP操作スイッチ24が一回操作される毎に所定量だけバックドア14を車両上下方向上側に回動させる。従って、一回の操作でバックドア14の車両上下方向上側への回動量が足りないときには乗員は操作スイッチ22を複数回操作すれば良い。このように、本実施形態では、乗員が操作スイッチ22を操作することで、バックドア14の車両上下方向上側への高さ調節を段階的に行うことができる。
【0026】
そして、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10では、図2(c)に示されるように、乗員がグリップ部20を把持した状態で回動体を車両上下方向上側に回動させれば、乗員が回動体の開放端側の部分にぶら下がった状態で体全体を伸ばす運動を行うことができる。
【0027】
なお、このとき、ドア駆動ユニット18は、例えばウォーム及びウォームホイール等の減速機構が発揮するセルフロック機構によりバックドア14を車両上下方向上側の位置に保持する。従って、乗員が回動体の開放端側の部分にぶら下がっても、その重さでバックドア14が車両上下方向下側に回動させられてしまうことがない。
【0028】
そして、乗員が回動体の開放端側の部分にぶら下がったで図1(b)に示される操作スイッチ22のDOWN操作スイッチ26を押し操作すると、操作スイッチ22からドア駆動ユニット18に降下指令信号が出力される。
【0029】
ドア駆動ユニット18は、降下指令信号を入力すると作動し、回動体を図2(c)に示される車両上下方向上側に跳ね上げられた位置から図2(d)に示される如く水平位置に回動させる。このとき、ドア駆動ユニット18は、操作スイッチ22のDOWN操作スイッチ26が一回操作される毎に所定量だけバックドア14を車両上下方向上側に回動させる。従って、一回の操作でバックドア14の車両上下方向下側への回動量が足りないときには乗員は操作スイッチ22を複数回操作すれば良い。このように、本実施形態では、乗員が操作スイッチ22を操作することで、バックドア14の車両上下方向下側への高さ調節を段階的に行うことができる。
【0030】
そして、ドア駆動ユニット18は、バックドア14が水平位置にまで回動されると、バックドア14の車両上下方向下側への回動を停止させる。これにより、図2(d)に示される如く、バックドア14が水平位置で停止される。従って、乗員は、バックドア14を手動又は電動で閉方向に操作すれば、バックドア14を全閉させることができる。
【0031】
このように、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10では、乗員がグリップ部20を把持した状態で回動体を車両上下方向上側に回動させることにより、回動体の開放端側の部分にぶら下がった状態で体全体を伸ばす運動を行うことができる。これにより、乗員は例えばドライブ中の休憩時に手軽に無理なくぶら下がり健康法を実施できリフレッシュすることが可能となる。また、例えば腰痛を持つドライバにとっては、長距離ドライブの不安を軽減できる。
【0032】
また、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10では、操作スイッチ22が、グリップ部20の近傍位置に配置されている。従って、乗員がグリップ部20を把持した状態(ぶら下がった状態)で操作スイッチ22を操作することができ、その使い勝手も良好である。
【0033】
また、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10では、既存のバックドア14に乗員が体全体を伸ばす運動を行う運動具の機能を兼ねるようにしている。従って、乗員が体全体を伸ばす運動を行うための専用の回動体を車体に設ける必要がなく、体全体を伸ばすための運動具を車体により少ない変更で追加することができる。
【0034】
次に、本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置10の変形例について説明する。
【0035】
上記実施形態では、バックドア14の開放端側の部分に乗員がぶら下がれるように説明したが、その他にも、例えば、次のようにしても良い。すなわち、例えば、車両12の車体側面に車両上下方向に跳ね上げ可能なサイドドアを設け、このサイドドアの開放端側の部分に乗員がぶら下がられるようにしても良い。
【0036】
また、例えば、図3に示されるように、車両12の車体背面に車両上下方向に跳ね上げ可能なラダー28を設け、ラダー28をラダー駆動ユニット32で車両上下方向上側に跳ね上げられるようにし、このラダー28の開放端側の部分に乗員がぶら下がられるようにしても良い(なお、この場合、ラダー28の各横棒30でグリップ部を構成)。また、このように、ラダー28を図3に示される如く水平位置にまで回動させれば雲梯としての使用も可能となる。
【0037】
また、その他にも、車体に車両上下方向に跳ね上げ可能な回動体を設け、この回動体の開放端側の部分に乗員がぶら下がられるようにしても良い。
【0038】
また、上記実施形態では、操作スイッチ22が一回操作される毎に所定量だけバックドア14を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させるように構成されていたが、操作スイッチ22が操作されている間、バックドア14を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させるように構成されていても良い(つまり、操作スイッチ22を押している間だけ上下動し操作スイッチ22から手を離すと停止)。このようにすれば、乗員は、操作スイッチ22を操作することで、バックドア14の高さを細やかに調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置が適用された車両を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置の一連の動作を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両用回動体装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
10 車両用回動体装置
14 バックドア(回動体)
18 ドア駆動ユニット(駆動手段)
20 グリップ部
22 操作スイッチ(操作手段)
28 ラダー(回動体)
30 横棒(グリップ部)
32 ラダー駆動ユニット(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側が車体に対して回動自在に連結され、車両上下方向に回動可能な跳ね上げ式の回動体と、
前記回動体の開放端側に設けられ乗員が把持可能なグリップ部と、
前記回動体を車両上下方向上側に回動させる駆動手段と、
前記駆動手段を駆動させるための操作手段と、
を備えたことを特徴とする車両用回動体装置。
【請求項2】
前記操作手段は、前記グリップ部の近傍位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用回動体装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、前記操作手段が一回操作される毎に所定量だけ前記回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用回動体装置。
【請求項4】
前記駆動手段は、前記操作手段が操作されている間、前記回動体を車両上下方向上側又は車両上下方向下側に回動させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用回動体装置。
【請求項5】
前記回動体は、前記車体の背面に設けられたバックドア又はラダーであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の車両用回動体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−290500(P2007−290500A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−119628(P2006−119628)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】