説明

車両用灯具の半導体型光源の駆動回路、車両用灯具

【課題】ベアチップの状態の発光素子のVf特性を測定して選別ランク分けすることなく半導体型光源の駆動回路を提供する。
【解決手段】半導体型光源が基板3に事前にVf特性を選別することなくランダムに実装されているベアチップの状態の4個の発光チップ41〜44からなり、基板3には、抵抗R1〜R7が実装され、抵抗は、オープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とが並列に配置されていて4個の発光チップと直列に接続され、4個の発光チップに対して確実に所定の設定電流値または光束値になるように抵抗の値を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具の半導体型光源の駆動回路に関するものである。また、この発明は、半導体型光源を光源とする車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、従来からある(たとえば、特許文献1)。以下、従来の駆動回路について説明する。従来の駆動回路は、複数の発光素子(LED)と、複数の発光素子に駆動電流を供給する直流電源と、異なる電気抵抗値を示す複数の接続端が設けられたコネクタとを、備え、複数の発光素子はその電気特性に応じて選択された接続端を経て直流電源の供給を受けるものである。
【0003】
ところが、従来の駆動回路は、発光素子(LED)としてSMD等のパッケイジ品を使用するものであり、パッケイジング後に発光素子のVf特性を測定し、4〜5ランク程度に選別ランク分けしたパッケイジ品の発光素子を使用するものである。そして、従来の駆動回路は、基板製作時に、詳細に選別ランク分けされたパッケイジ品の発光素子群毎に、所定の設定電流になるようにパッケイジ品の発光素子と直列に抵抗を接続し、選別ランク分けされたパッケイジ品の発光素子群毎に抵抗定数を設定して製造している。この結果、従来の駆動回路は、小型で安価な半導体型光源を実現するために、発光素子としてSMD等のパッケイジ品ではなくベアチップの発光素子を使用する場合、ベアチップの状態の発光素子のVf特性を測定して選別ランク分けすることは非効率で困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−34742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明が解決しようとする課題は、従来の光源ユニットでは、ベアチップの状態の発光素子のVf特性を測定して選別ランク分けすることは非効率で困難であるという点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明(請求項1にかかる発明)は、半導体型光源が基板に実装されている複数の発光チップからなり、基板には複数の発光チップに設定した所定の値の電流(駆動電流)を供給する抵抗が実装されていて、抵抗が少なくともオープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とが並列に配置されている、ことを特徴とする。すなわち、この発明(請求項1にかかる発明)は、ベアチップの状態の発光チップ(LED)を事前にVf特性を選別することなくランダムに基板に実装し、基板に実装された発光チップに対して確実に所定の設定電流値または光束値になるように、基板に実装して発光素子と直列に接続された抵抗の愛他を調整する、ことを特徴とするものである。
【0007】
また、この発明(請求項2にかかる発明)は、オープン用の抵抗の電力容量がトリミング用の抵抗の電力容量よりも小さい、ことを特徴とする。
【0008】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)は、オープン用の抵抗およびトリミング用の抵抗が薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗からなり、オープン用の抵抗の面積がトリミング用の抵抗の面積よりも小さい、ことを特徴とする。
【0009】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)は、灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、灯室内に配置されていてかつ複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、光源ユニットの半導体型光源の駆動回路であって前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、基板に複数の発光チップと抵抗とを実装し、複数の発光チップに設定した所定の値の電流を供給するために、抵抗の値を調整する。この結果、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、基板に複数の発光チップと抵抗とを簡単にかつ安価にかつ小型に実装することができる。
【0011】
ここで、半導体型光源の発光チップ(特にベアチップ)の製造過程では、ウエハー上において、あるばらつき幅でVfの異なる発光チップが製造される。そこで、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路のように、複数の発光チップを基板に実装して使用する場合において、ウエハー上で発光チップのVfを1個ずつ個別に測定し、かつ、ある幅のVfごとにグループ化し、そのグループ化された発光チップを複数個基板に実装することは、非効率であり、かつ、困難であり、かつ、コスト高となる。
【0012】
このために、あるばらつき幅でVfの異なる発光チップを複数個ランダムに基板に実装し、その後、定格の入力条件で、設定された電流値または光束値を実現させるために、複数の発光チップと直列に接続された抵抗の値を、複数の発光チップの合成されたVfに見合う値に調整する必要がある。
【0013】
ここで、小型、低コストを求める厚膜または薄膜プロセスで抵抗、導体、発光チップ実装パッドなどを一連で形成する場合において、複数の発光チップを基板に実装した後に、複数の発光チップの合成Vfに見合う抵抗値を形成することは困難であり、合理的ではない。
【0014】
そこで、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、厚膜または薄膜プロセスで抵抗、導体、発光チップ実装パッドなどを一連で形成した基板に複数の発光チップを実装し、その後、複数の発光チップと直列に接続された抵抗の値を、複数の発光チップの合成Vfに見合う値に調整するものであり、合理的である。
【0015】
特に、複数の発光チップを直列に接続する場合は、個々の発光チップのVfのばらつきが加算(増幅)されるので、複数の発光チップに設定した所定の電流を供給するために設けられている(直列に実装されている)抵抗の値の調整幅もたとえば約200〜300%に増大する。このために、ただ単に複数の発光チップに直列に接続されている抵抗をトリミングする手法では、必要な調整幅を確保することが困難である。そこで、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、必要な調整幅を広げるために、抵抗として、トリミングする抵抗(トリミング用の抵抗)とオープンする抵抗(オープン用の抵抗)とを並列に接続して調整幅を広げているものである。
【0016】
しかも、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、抵抗が少なくともオープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とが並列に配置されているので、抵抗の値を調整する際には、複数の発光素子に適宜の電流(複数の発光素子にストレスがかからない程度の値の電流)を供給して複数の発光素子の合成Vfを読み取り、まず、オープン用の抵抗をオープンするか否かを判断し、その判断に基づいて、オープン用の抵抗をオープンしたりそのままにしたりし、続いて、トリミング用の抵抗をトリミングするか否かを判断し、その判断に基づいて、トリミング用の抵抗の値を調整したりそのままにしたりする。このように、この発明(請求項1にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、効率的であり、合理的であり、安価なコストとなる。
【0017】
また、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、オープン用の抵抗の電力容量(抵抗容量)をトリミング用の抵抗の電力容量(抵抗容量)よりも小さくすることができる。すなわち、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、オープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とが並列に接続されているので、電流がオープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とに分流される。このために、同じ程度の抵抗値が並列に接続されている場合において、抵抗の電力ロスがR×I×Iであるから、オープンにする抵抗(オープン用の抵抗)の電力容量(抵抗容量)がトリミングする抵抗(トリミング用の抵抗)の電力容量(抵抗容量)の4分の1で済む。なお、トリミング用の抵抗の値はトリミング後増加するので、オープン用の抵抗に流れる電流はその分増加して4分の1の電力容量(抵抗容量)より若干増加する。このように、この発明(請求項2にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、オープン用の抵抗の電力容量(抵抗容量)をトリミング用の抵抗の電力容量(抵抗容量)よりも小さくすることができるので、安価に製造することができる。
【0018】
さらに、この発明(請求項3にかかる発明)の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路は、オープン用の抵抗およびトリミング用の抵抗が薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗からなる場合において、オープン用の抵抗の面積がトリミング用の抵抗の面積よりも小さいので、オープン用の抵抗を効率良くオープンすることができ、一方、トリミング用の抵抗を効率良く抵抗値を調整することができる。
【0019】
さらにまた、この発明(請求項4にかかる発明)の車両用灯具は、前記の課題を解決するための手段により、前記の請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と同様の効果を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の駆動回路の実施例を示す電気回路図である。
【図2】図2は、同じく、発光チップおよび抵抗などの配置状態を示す平面図(上から見た図)である。
【図3】図3は、同じく、抵抗の値を調整する状態を示す説明図である。
【図4】図4は、同じく、抵抗の値を複数の発光チップの合成Vfに見合う値に調整する状態を示す説明図である。
【図5】図5は、同じく、同じく、光源部とソケット部を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、同じく、光源部とソケット部の組付状態を示す平面図である。
【図7】図7は、この発明にかかる車両用灯具の実施例を示す縦断面図(垂直断面図)である。
【図8】図8は、同じく、テールランプ機能の点灯状態を示す説明図である。
【図9】図9は、同じく、ストップランプ機能の点灯状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明にかかる車両用灯具の半導体型光源の駆動回路の実施例およびこの発明にかかる車両用灯具の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0022】
以下、この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路およびこの実施例における車両用灯具の構成について説明する。図7において、符号100は、この実施例における車両用灯具である。
【0023】
(車両用灯具100の説明)
前記車両用灯具100は、この例では1灯式のテール・ストップランプである。すなわち、前記車両用灯具100は、1灯(1個のランプ、1個の灯具)でテールランプ機能(図8参照)とストップランプ機能(図9参照)とを併用するものである。前記車両用灯具100は、車両(図示せず)の後部の左右にそれぞれ装備される。前記車両用灯具100は、図示しない他のランプ機能(たとえば、バックアップランプ機能)と組み合わせられてリヤコンビネーションランプを構成する場合がある。
【0024】
前記車両用灯具100は、図7に示すように、ランプハウジング101およびランプレンズ102およびリフレクタ103と、半導体型光源を光源とする光源ユニット、すなわち、この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路1と、前記光源ユニット1の前記半導体型光源の駆動回路2(図1参照)と、を備えるものである。
【0025】
前記ランプハウジング101は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材)から構成されている。前記ランプハウジング101は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプハウジング101の閉塞部には、透孔104が設けられている。
【0026】
前記ランプレンズ102は、たとえば、光透過性の部材(例えば、透明樹脂部材やガラス部材)から構成されている。前記ランプレンズ102は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記ランプレンズ102の開口部の周縁部と前記ランプハウジング101の開口部の周縁部とは、水密に固定されている。前記ランプハウジング101および前記ランプレンズ102により、灯室105が区画されている。
【0027】
前記リフレクタ103は、前記光源ユニット1から放射される光を配光制御する配光制御部であって、焦点Fを有する。前記リフレクタ103は、前記灯室105内に配置されていて、かつ、前記ランプハウジング101などに固定されている。前記リフレクタ103は、たとえば、光不透過性の部材(例えば、樹脂部材や金属部材)から構成されている。前記リフレクタ103は、一方が開口し、他方が閉塞されている中空形状をなす。前記リフレクタ103の閉塞部には、透孔106が前記ランプハウジング101の前記透孔104と連通するように設けられている。前記リフレクタ103の内面には、反射面107が設けられている。なお、前記リフレクタ103は、前記ランプハウジング101と別個の部材からなるものであるが、ランプハウジングと一体のリフレクタの場合であっても良い。この場合においては、ランプハウジングの一部に反射面を設けてリフレクタ機能を設けるものである。
【0028】
(光源ユニット1の説明)
前記光源ユニット1は、図5〜図7に示すように、光源部10と、ソケット部11と、カバー部12と、を備える。前記光源部10および前記カバー部12は、前記ソケット部11の一端部(上端部)に取り付けられている。前記光源部10は、前記カバー部12によりカバーされている。
【0029】
前記光源ユニット1は、図7に示すように、前記車両用灯具100に装備されている。すなわち、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に防水パッキン(Oリング)108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられている。前記光源部10および前記カバー部12が前記ランプハウジング101の前記透孔104および前記リフレクタ103の前記透孔106を経て前記灯室105内であって、前記リフレクタ103の前記反射面107側に配置されている。
【0030】
(光源部10の説明)
前記光源部10は、図2、図5、図6に示すように、取付部材としての基板3と、前記半導体型光源の複数個この例では5個の発光チップ40、41、42、43、44と、制御素子としての9個の抵抗R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9および2個のダイオードD1、D2と、配線素子としての導体5およびワイヤ配線およびボンディング部と、を備えるものである。
【0031】
前記基板3は、この例では、セラミックからなる。前記基板3は、図2、図5、図6に示すように、平面(上)から見てほぼ八角形の板形状をなす。前記基板3の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、切欠31、32、33がそれぞれ設けられている。前記基板3の一面(上面)には、平面の取付面34が設けられている。前記基板3の他面(下面)には、平面の当接面35が設けられている。前記基板3の取付面34には、高反射塗料や高反射蒸着などの高反射面(図示せず)が設けられている。
【0032】
前記基板3の前記取付面34には、前記5個の発光チップ40〜44および前記9個の抵抗R1〜R9および前記2個のダイオードD1、D2および配線素子としての前記導体5および前記ワイヤ配線および前記ボンディング部が取り付けられている(すなわち、実装、印刷、蒸着、メッキ、エッチングなどにより、設けられている)。なお、図5、図6においては、図面を簡略化するために、前記9個の抵抗R1〜R9および前記2個のダイオードD1、D2および配線素子としての前記導体5および前記ワイヤ配線および前記ボンディング部および切欠31〜33などの図示を省略してある場合がある。
【0033】
前記5個の発光チップ40〜44からなる前記半導体型光源は、LED、EL(有機EL)などの自発光半導体型光源(この実施例ではLED)を使用する。前記発光チップ40〜44は、図1、図2、図5、図6に示すように、平面(上)から見て微小な矩形(正方形もしくは長方形)形状の半導体チップ(光源チップ)からなり、この例では、ベアチップからなる。前記5個の発光チップ40〜44は、図6に示すように、光学系の前記リフレクタ103の焦点F、および、前記光源ユニット1の前記ソケット部11の中心(取付回転中心)O近傍に1列に、光源バルブ(電球)のフィラメントもしくは放電電球(HIDランプ)のアーク放電による発光とほぼ同様になるように、配置されている。
【0034】
前記5個の発光チップ40〜44は、小電流が供給される発光チップであって、テールランプの光源である1個の発光チップ40と、大電流が供給される発光チップであって、ストップランプの光源である4個の発光チップ41〜44と、に組み分け(グループ化)されている。前記テールランプ機能(テールランプの光源)の1個の発光チップ40は、右側の前記ストップランプ機能(ストップランプの光源)の2個の発光チップ41、42と左側の前記ストップランプ機能(ストップランプの光源)の2個の発光チップ43、44との間に配置されている。前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44は、順方向に直列に接続されている。
【0035】
(抵抗の説明)
前記抵抗R1〜R9は、たとえば、薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗などからなる。前記抵抗R1〜R9は、所定の駆動電流の値を得るための調整用の抵抗である。すなわち、前記発光チップ40〜44のVf(順方向電圧特性)のばらつきにより、前記発光チップ40〜44に供給される駆動電流の値が変化して前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、光度、照度)においてばらつきが発生する。このために、前記抵抗R1〜R9の値を調整して(トリミングして)前記発光チップ40〜44に供給される駆動電流の値を所定値にほぼ一定に設定することにより、前記発光チップ40〜44の明るさ(光束、光度、照度)のばらつきを調整(吸収)することができる。前記トリミングは、たとえば、レーザーで前記抵抗R1〜R9の一部を切り欠いて(図3(B)の一点鎖線、実線、破線の各トリミング溝(トリミング)50を参照)あるいは全部を切り欠いて(図3(C)、(D)の実線の切欠(オープン)51を参照)抵抗値を調整するものである。なお、オープンおよびトリミングにより抵抗値は増加する。
【0036】
前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に直列に接続されている前記抵抗は、オープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7とからなる。前記オープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とは、3組に並列に配置されていて、かつ、各組直列に配置されている。前記トリミング用の抵抗R7は、前記抵抗R1〜R6に直列配置されている。
【0037】
前記オープン用の抵抗R2、R4、R6の電力容量は、前記トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7の電力容量よりも小さい。前記オープン用の抵抗R2、R4、R6の面積は、前記トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7の面積よりも小さい。
【0038】
前記テールランプ機能の1個の発光チップ40に直列に接続されている前記抵抗R8、R9は、トリミング用の抵抗であって、直列に配置されている。
【0039】
前記テールランプ機能の1個の発光チップ40に直列に接続されている前記抵抗R8、R9と、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に直列に接続されている前記抵抗R1〜R7とは、図1、図2においてそれぞれ2個、7個配置されているが、抵抗の容量および調整する抵抗の可変幅により、配置する個数を変える場合がある。すなわち、前記抵抗の個数は、限定しない。
【0040】
前記ダイオードD1、D2は、たとえば、ベアチップダイオードもしくはSMDダイオードなどからなる。前記テールランプ機能の1個の発光チップ40と前記抵抗R8、R9とに直列に接続されているダイオードD2と、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44と前記抵抗R1〜R7とに直列に接続されているダイオードD1とは、逆接防止機能および逆方向からのパルスノイズ保護機能のダイオードである。
【0041】
前記導体5は、たとえば、導電性部材の薄膜配線もしくは厚膜配線などからなる。配線素子としての前記導体5および前記ワイヤ配線および前記ボンディング部は、制御素子としての前記抵抗R1〜R9および前記ダイオードD1、D2を介して前記発光チップ40〜44に給電するものである。
【0042】
前記5個の発光チップ40〜44および前記9個の抵抗R1〜R9および前記2個のダイオードD1、D2および前記導体5および前記ワイヤ配線および前記ボンディング部は、図1の電気回路図および図2の電気部品のレイアウト図およびに示すように、配置されていてかつ接続されている。
【0043】
前記光源部10は、前記の通り、取付部材としての前記基板3と、半導体型光源の前記発光チップ40〜44と、制御素子としての前記抵抗R1〜R9および前記ダイオードD1、D2と、配線素子としての前記導体5および前記ワイヤ配線および前記ボンディング部と、を備えるものである。
【0044】
前記5個の発光チップ40〜44および前記9個の抵抗R1〜R9および前記2個のダイオードD1、D2および前記導体5および前記配線および前記ボンディング部は、前記テールランプ機能と前記ストップランプ機能ごとに組み分け(グループ化)されている。すなわち、前記5個の発光チップは、小電流が供給され発熱量が小さい前記テールランプ機能の1個の発光チップ40と、大電流が供給され発熱量が大きい前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44とに、組み分けされている。
【0045】
前記5個の発光チップ40〜44のうち、前記テールランプ機能の1個の発光チップ40は、図6に示すように、前記基板3の中心Oであって後記放熱部材8の中心Oもしくはその近傍に配置されている。
【0046】
(ソケット部11の説明)
前記ソケット部11は、図5、図6に示すように、絶縁部材7と、放熱部材8と、3本の給電部材91、92、93と、を備えるものである。熱伝導性と導電性を有する前記放熱部材8と、導電性を有する前記給電部材91〜93とは、絶縁性を有する前記絶縁部材7中に、相互に絶縁状態で一体に組み込まれている。
【0047】
(絶縁部材7の説明)
前記絶縁部材7は、たとえば、絶縁性の樹脂部材からなる。前記絶縁部材7は、ほぼ円筒形状をなす。前記絶縁部材7の一端部(上端部)には、取付部70が設けられている。前記取付部70は、前記光源ユニット1を前記車両用灯具100に装備するものである。すなわち、前記取付部70は、前記ソケット部11の前記カバー12側の一部を前記ランプハウジング101の前記透孔104中に挿入して、その状態で、前記ソケット部11を中心O軸回りに回転させることにより、前記ソケット部11が前記ランプハウジング101に前記防水パッキン108を介して水密性にかつ着脱可能に取り付けられるためのものである。
【0048】
前記絶縁部材7の他端部(下端部)には、光源側のコネクタ部13が一体に設けられている。前記コネクタ部13には、電源側のコネクタ14が機械的に着脱可能にかつ電気的に断続可能に取り付けられている。
【0049】
(放熱部材8の説明)
前記放熱部材8は、たとえば、熱伝導性(導電性をも有する)のアルミダイカストや樹脂部材からなる。前記放熱部材8は、一端部(上端部)が平板形状をなし、中間部から他端部(下端部)にかけてフィン形状をなす。前記放熱部材8の一端部の上面には、当接面80が設けられている。前記放熱部材8の当接面80には、前記基板3の前記当接面35が相互に当接されている状態で、熱伝導性接着剤(図示せず)により接着されている。この結果、前記発光チップ40〜44は、前記基板3を介して前記放熱部材8の中心O近傍部分86が位置する箇所に対応して位置することとなる。
【0050】
前記放熱部材8の3辺(右辺、左辺、下辺)のほぼ中央には、切欠81、82、83が、前記基板3の前記切欠31〜33にそれぞれ対応して設けられている。前記放熱部材8の切欠81〜83および前記基板3の前記切欠31〜33には、前記3本の給電部材91〜93がそれぞれ配置している。前記放熱部材8と前記給電部材91〜93との間には、前記絶縁部材7が介在している。前記放熱部材8は、前記絶縁部材7に密着している。前記給電部材91〜93は、前記絶縁部材7に密着している。
【0051】
(給電部材91〜93の説明)
前記給電部材91〜93は、たとえば、導電性の金属部材からなる。前記給電部材91〜93の一端部(上端部)は、末広形状をなしていて、前記放熱部材8の切欠81〜83および前記基板3の前記切欠31〜33にそれぞれ位置する。前記給電部材91、92、93の一端部は、前記光源部10の前記導体5にそれぞれ電気的に接続されている。このようにして、前記光源部10は、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられることとなる。なお、前記給電部材91〜93の一端部は、前記基板3を前記放熱部材8に機械的に固定する場合もある。
【0052】
前記給電部材91〜93の他端部(下端部)は、窄まった形状をなしていて、前記コネクタ部13中に配置されている。前記給電部材91〜93の他端部は、オスターミナル(おす型端子)910、920、930を構成するものである。
【0053】
(コネクタ部13およびコネクタ14の説明)
図8に示すように、前記コネクタ14には、前記コネクタ部13の前記オスターミナル910〜930に電気的に断続するメスターミナル(めす型端子)141、142、143が設けられている。前記コネクタ14を前記コネクタ部13に取り付けることにより、前記メスターミナル141〜143が前記オスターミナル910〜930に電気的に接続する。また、前記コネクタ14を前記コネクタ部13から取り外すことにより、前記メスターミナル141〜143と前記オスターミナル910〜930との電気的接続が遮断される。
【0054】
図1に示すように、前記コネクタ14の前記第1メスターミナル141および前記第2メスターミナル142は、ハーネス144、145およびスイッチSWを介して電源(直流電源のバッテリー)15に接続されている。前記コネクタ14の前記第3メスターミナル143は、ハーネス146を介してアースされている(グランドされている)。前記コネクタ部13および前記コネクタ14は、3ピン(前記3本の給電部材91〜93、前記3本のオスターミナル910〜930、前記3本のメスターミナル141〜143)タイプのコネクタ部およびコネクタである。
【0055】
(スイッチSWの説明)
前記スイッチSWは、可動接点150と、第1固定接点151と、第2固定接点152と、第3固定接点153と、共通固定接点154と、からなる3位置切替スイッチである。
【0056】
前記可動接点150が第1固定接点151の位置に切り替わっているとき(図1中の一点鎖線に示す状態のとき)には、電流(駆動電流)が前記テールランプ機能のダイオードD2と抵抗R8、R9とを経て前記テールランプ機能の1個の発光チップ40に供給されている状態である。すなわち、前記テールランプ機能の1個の発光チップ40は、前記テールランプ機能のダイオードD2と抵抗R8、R9を経て駆動電流が供給されている。
【0057】
前記可動接点150が第2固定接点152の位置に切り替わっているとき(図1中の二点鎖線に示す状態のとき)には、電流(駆動電流)が前記ストップランプ機能のダイオードD1と抵抗R1〜R7とを経て前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に供給されている状態である。すなわち、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44は、前記ストップランプ機能のダイオードD1と抵抗R1〜R7とを経て駆動電流が供給されている。
【0058】
前記可動接点150が第3固定接点153の位置に切り替わっているとき(図1中の実線に示す状態のとき)には、前記5個の発光チップ40〜44への電流供給が遮断されている状態である。
【0059】
(カバー部12の説明)
前記カバー部12は、光透過性部材からなる。前記カバー部12には、前記5個の発光チップ40〜44からの光を光学制御して射出するプリズムなどの光学制御部(図示せず)が設けられている。前記カバー部12は、図7に示すように、前記光源部10をカバーするように、円筒形状の前記ソケット部11の一端部(一端開口部)に取り付けられている。前記カバー部12は、前記5個の発光チップ40〜44を外からの影響、たとえば、他のものが接触したり、塵埃が付着したりするのを防ぐものである。すなわち、前記カバー部12は、前記5個の発光チップ40〜44を外乱から保護するものである。
【0060】
この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路1およびこの実施例における車両用灯具100(以下、「この実施例における光源ユニット1および車両用灯具100」と称する)は、以上のごとき構成からなり、以下、前記ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44の合成Vfに見合った抵抗値の調整について説明する。
【0061】
まず、基板3に、厚膜または薄膜プロセスで抵抗R1〜R9、導体5、発光チップ実装パッドなどを一連で形成する。前記基板3に、あるばらつき幅でVfの異なる4個の発光チップ41〜44をランダムに選択して実装する。
【0062】
ここで、発光チップは、5個のVfランクに分類されている。たとえば、1.90V〜2.05VのVfランクと、2.05V〜2.20VのVfランクと、2.20V〜2.35VのVfランクと、2.35V〜2.50VのVfランクと、2.50V〜2.65VのVfランクと、に分類されている。このために、4個の発光チップ41〜44をランダムに選択すると、4個の発光チップ41〜44の合成Vfは、7.60V〜10.60Vの範囲となる。
【0063】
4個の発光チップ41〜44の合成Vfを、図4に示すように、5個のランクA、B、C、D、Eに分ける。たとえば、7.60V〜8.20VのAのVfランクと、8.20V〜8.80VのBのVfランクと、8.80V〜9.40VのCのVfランクと、9.40V〜10.00VのDのVfランクと、10.00V〜10.60VのEのVfランクと、に分ける。
【0064】
つぎに、4個の発光チップ41〜44に外部抵抗(図示せず、前記抵抗R1〜R7と別個の抵抗)を直列に接続して10mA程度の電流を供給して、4個の発光チップ41〜44の合成Vfを読み取る。この読み取った4個の発光チップ41〜44の合成Vfを、図4に示す5個の合成VfのランクA、B、C、D、Eに、照合させる。図4に示す5個の合成VfのランクA、B、C、D、Eに従って、図3(C)、(D)に示すように、オープン用の抵抗R2、R4、R6を必要分トリミングレーザーでオープンする。たとえば、読み取った合成VfがAランクの場合には、オープン用の抵抗R2、R4、R6をオープンする。読み取った合成VfがBランクの場合には、オープン用の抵抗R4、R6をオープンする。読み取った合成VfがCランクの場合には、オープン用の抵抗R6をオープンする。読み取った合成VfがDランクの場合には、オープン用の抵抗R6をオープンする。読み取った合成VfがEランクの場合には、オープン用の抵抗R2、R4、R6をオープンしない。
【0065】
つぎに、設定電流(設定光量、設定光束、設定光度)になるように、図3(B)に示すように、トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7を最大130%(もしくは最大150%)を目処に順次トリミングする。たとえば、読み取った合成VfがAランクの場合には、トリミング用の抵抗R3、R5、R7をトリミングする。読み取った合成VfがBランクの場合には、トリミング用の抵抗R3、R5、R7をトリミングする。読み取った合成VfがCランクの場合には、トリミング用の抵抗R3、R5、R7をトリミングする。読み取った合成VfがDランクの場合には、トリミング用の抵抗R7をトリミングする。読み取った合成VfがEランクの場合には、トリミング用の抵抗R7をトリミングする。
【0066】
このようにして、オープン用の抵抗R2、R4、R6およびトリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7において、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44の合成Vfに見合った抵抗値を調整するものである。なお、ほぼ同様に、抵抗R8、R9において、テールランプ機能の1個の発光チップ40のVfに見合った抵抗値を調整する。
【0067】
この実施例における車両用灯具の半導体型光源の駆動回路1およびこの実施例における車両用灯具100(以下、「この実施例における光源ユニット1および車両用灯具100」と称する)は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。
【0068】
まず、スイッチSWの可動接点150を第1固定接点151に切り替える。すると、電流(駆動電流)は、テールランプ機能のダイオードD2と抵抗R8、R9とを経て、テールランプ機能の1個の発光チップ40に供給される。この結果、テールランプ機能の1個の発光チップ40が発光する。
【0069】
このテールランプ機能の1個の発光チップ40から放射された光は、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ40から放射された光の一部は、基板3の高反射面でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、図8に示す、テールランプ機能の配光を外部に照射する。
【0070】
つぎに、スイッチSWの可動接点150を第2固定接点152に切り替える。すると、電流(駆動電流)は、ストップランプ機能のダイオードD1と抵抗R1〜R7とを経て、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44に供給される。この結果、ストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44が発光する。
【0071】
このストップランプ機能の4個の発光チップ41〜44から放射された光は、光源ユニット1のカバー部12を透過して配光制御される。なお、発光チップ41〜44から放射された光の一部は、基板3の高反射面でカバー部12側に反射される。配光制御された光は、車両用灯具100のランプレンズ102を透過して再度配光制御されて外部に照射される。これにより、車両用灯具100は、図9に示す、ストップランプ機能の配光を外部に照射する。このストップランプ機能の配光は、前記のテールランプ機能の配光と比較して、明るい(光束、光度、照度が大である)。
【0072】
それから、スイッチSWの可動接点150を第3固定接点153に切り替える。すると、電流(駆動電流)が遮断される。この結果、1個の発光チップ40もしくは4個の発光チップ41〜44は、消光する。これにより、車両用灯具100は、消灯する。
【0073】
そして、光源部10の発光チップ40〜44および抵抗R1〜R9およびダイオードD1、D2および導体51〜56において発生した熱は、基板3を介して放熱部材8に伝達し、この放熱部材8から外部に放射される。
【0074】
この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、以上のごとき構成および作用からなり、以下、その効果について説明する。
【0075】
この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、基板3に4個の発光チップ41〜44と抵抗R1〜R7とを実装し、4個の発光チップ41〜44に設定した所定の値の電流を供給するために、抵抗R1〜R7の値を調整する。この結果、 この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、基板3に4個の発光チップ41〜44と抵抗R1〜R7とを簡単にかつ安価にかつ小型に実装することができる。
【0076】
ここで、半導体型光源の発光チップ(特にベアチップ)の製造過程では、ウエハー上において、あるばらつき幅でVfの異なる発光チップが製造される。そこで、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100のように、4個の発光チップ41〜44を基板3に実装して使用する場合において、ウエハー上で発光チップのVfを1個ずつ個別に測定し、かつ、ある幅のVfごとにグループ化し、そのグループ化された発光チップを複数個基板に実装することは、非効率であり、かつ、困難であり、かつ、コスト高となる。
【0077】
このために、あるばらつき幅でVfの異なる発光チップを複数個ランダムに基板に実装し、その後、定格の入力条件で、設定された電流値または光束値を実現させるために、複数の発光チップと直列に接続された抵抗の値を、複数の発光チップの合成されたVfに見合う値に調整する必要がある。
【0078】
ここで、小型、低コストを求める厚膜または薄膜プロセスで抵抗、導体、発光チップ実装パッドなどを一連で形成する場合において、複数の発光チップを基板に実装した後に、複数の発光チップの合成Vfに見合う抵抗値を形成することは困難であり、合理的ではない。
【0079】
そこで、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、厚膜または薄膜プロセスで抵抗R1〜R7、導体5、発光チップ実装パッドなどを一連で形成した基板3に4個の発光チップ41〜44を実装し、その後、4個の発光チップ41〜44と直列に接続された抵抗R1〜R7の値を、4個の発光チップ41〜44の合成Vfに見合う値に調整するものであり、合理的である。
【0080】
特に、4個の発光チップ41〜44を直列に接続する場合は、個々の発光チップのVfのばらつきが加算(増幅)されるので、4個の発光チップ41〜44に設定した所定の電流を供給するために設けられている(直列に実装されている)抵抗の値の調整幅もたとえば約200〜300%に増大する。このために、ただ単に4個の発光チップ41〜44に直列に接続されている抵抗をトリミングする手法では、必要な調整幅を確保することが困難である。そこで、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、必要な調整幅を広げるために、抵抗として、トリミングする抵抗(トリミング用の抵抗)R1、R3、R5とオープンする抵抗(オープン用の抵抗)R2、R4、R6とを並列に接続して調整幅を広げているものである。
【0081】
しかも、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、抵抗がオープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とが並列に配置されているので、抵抗の値を調整する際には、4個の発光素子41〜44に適宜の電流(4個の発光素子41〜44にストレスがかからない程度の値の電流)を供給して4個の発光素子41〜44の合成Vfを読み取り、まず、オープン用の抵抗R2、R4、R6をオープンするか否かを判断し、その判断に基づいて、オープン用の抵抗R2、R4、R6をオープンしたりそのままにしたりし、続いて、トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7をトリミングするか否かを判断し、その判断に基づいて、トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7の値を調整したりそのままにしたりする。このように、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、効率的であり、合理的であり、安価なコストとなる。
【0082】
また、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、オープン用の抵抗R2、R4、R6の電力容量(抵抗容量)をトリミング用の抵抗R1、R3、R5の電力容量(抵抗容量)よりも小さくすることができる。すなわち、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、オープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とが並列に接続されているので、電流がオープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とに分流される。このために、同じ程度の抵抗値が並列に接続されている場合において、抵抗の電力ロスがR×I×Iであるから、オープンにする抵抗(オープン用の抵抗)R2、R4、R6の電力容量(抵抗容量)がトリミングする抵抗(トリミング用の抵抗)R1、R3、R5の電力容量(抵抗容量)の4分の1で済む。なお、トリミング用の抵抗R1、R3、R5の値はトリミング後増加するので、オープン用の抵抗R2、RR4、R6に流れる電流はその分増加して4分の1の電力容量(抵抗容量)より若干増加する。このように、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、オープン用の抵抗R2、R4、R6の電力容量(抵抗容量)をトリミング用の抵抗R1、R3、R5の電力容量(抵抗容量)よりも小さくすることができるので、安価に製造することができる。
【0083】
さらに、この実施例における駆動回路2および車両用灯具100は、オープン用の抵抗R2、R4、R6およびトリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7が薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗からなる場合において、オープン用の抵抗R2、R4、R6の面積がトリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7の面積よりも小さいので、オープン用の抵抗R2、R4、R6を効率良くオープンすることができ、一方、トリミング用の抵抗R1、R3、R5、R7を効率良く抵抗値を調整することができる。
【0084】
なお、前記の実施例においては、5個の発光チップ40〜44を使用するものである。ところが、この発明においては、発光チップとして、2個〜4個あるいは6個以上であっても良い。テールランプ機能として使用する発光チップの個数やレイアウト、および、ストップランプ機能として使用する発光チップの個数やレイアウトは、特に限定しない。
【0085】
また、前記の実施例においては、テール・ストップランプに使用するものである。ところが、この発明においては、テール・ストップランプ以外のコンビネーションランプにも使用することができる。
【0086】
さらに、前記の実施例においては、テールランプとストップランプとの2個のランプの切替に使用するものである。ところが、この発明においては、3個以上のランプの切替にも使用できる。
【0087】
さらにまた、前記の実施例においては、5個の発光チップ40〜44を1列に配置したものである。ところが、この発明においては、発光チップを、複数列に、角形の角上に、円形状に、配置しても良い。
【0088】
さらにまた、前記の実施例においては、カバー部12とランプレンズ102とにより配光制御するものである。ところが、この発明においては、カバー部12もしくはランプレンズ102のうち少なくともいずれか一方により配光制御するようにしても良い。
【0089】
さらにまた、前記の実施例においては、ストップランプ機能の抵抗が、並列に接続されているオープン用の抵抗R2、R4、R6とトリミング用の抵抗R1、R3、R5とを3組配置してなるものである。ところが、この発明においては、並列に接続されているオープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とを1組、2組、4組以上配置しても良い。すなわち、オープン用の抵抗とトリミング用の抵抗との並列接続の組数は、トリミング用の抵抗のトリミング許容増加値(抵抗の容量とトリミング(一部切欠50)の本数など)で決まる。たとえば、前記の実施例においては、トリミング許容増加量を約30〜50%程度とするものであるが、この発明においては、抵抗の容量とトリミング(一部切欠50)の本数などでトリミング許容増加量を増加すれば、オープン用の抵抗とトリミング用の抵抗との並列接続の組数を低減することができ、その分、製造コストを安価にすることができる。
【0090】
さらにまた、前記の実施例においては、ストップランプ機能の抵抗が、並列に接続されているオープン用の抵抗R2、R4、R6およびトリミング用の抵抗R1、R3、R5に1個のトリミング用の抵抗R7が後流側に直列に接続されているものである。ところが、この発明においては、上流側に設けても良いし、オープン用の抵抗およびトリミング用の抵抗とオープン用の抵抗およびトリミング用の抵抗との間に設けても良いし、1個のトリミング用の抵抗を設けなくても良い。
【0091】
さらにまた、前記の実施例においては、テールランプ機能の抵抗が、直列に接続されているトリミング用の抵抗R8、R9である。ところが、この発明においては、1個の抵抗、3個以上の抵抗であっても良いし、並列に接続してもよいし、並列および直列に接続してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 光源ユニット
10 光源部
11 ソケット部
12 カバー部
13 コネクタ部
14 コネクタ
141 第1メスターミナル
142 第2メスターミナル
143 第3メスターミナル
144、145、146 ハーネス
15 電源
150 可動接点
151 第1固定接点
152 第2固定接点
153 第3固定接点
154 共通固定接点
100 車両用灯具
101 ランプハウジング
102 ランプレンズ
103 リフレクタ
104 透孔
105 灯室
106 透孔
107 反射面
108 防水パッキン
2 駆動回路
3 基板(取付部材)
31、32、33 切欠
34 取付面
35 当接面
40 テールランプ機能の発光チップ
41、42、43、44 ストップランプ機能の発光チップ
5 導体
50 一部の切欠(トリミング)
51 全部の切欠(オープン)
7 絶縁部材
70 取付部
8 放熱部材
80 当接面
81、82、83 切欠
91、92、93 給電部材
910 第1オスターミナル
920 第2オスターミナル
930 第3オスターミナル
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9 抵抗
D1、D2 ダイオード
F 焦点
O 中心
SW スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体型光源を光源とする車両用灯具であって、前記車両用灯具の半導体型光源の駆動回路において、
前記半導体型光源は、基板に実装されている複数の発光チップからなり、
前記基板には、前記複数の発光チップに設定した所定の値の電流を供給する抵抗が実装されていて、
前記抵抗は、少なくとも、オープン用の抵抗とトリミング用の抵抗とが並列に配置されている、
ことを特徴とする車両用灯具の半導体型光源の駆動回路。
【請求項2】
前記オープン用の抵抗は、電力容量が前記トリミング用の抵抗の電力容量よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路。
【請求項3】
前記オープン用の抵抗および前記トリミング用の抵抗は、薄膜抵抗もしくは厚膜抵抗からなり、
前記オープン用の抵抗は、面積が前記トリミング用の抵抗の面積よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路。
【請求項4】
半導体型光源を光源とする車両用灯具において、
灯室を区画するランプハウジングおよびランプレンズと、
前記灯室内に配置されていて、かつ、複数の発光チップからなる半導体型光源を光源とする光源ユニットと、
前記光源ユニットの前記半導体型光源の駆動回路であって、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用灯具の半導体型光源の駆動回路と、
を備える、ことを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−154910(P2011−154910A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15926(P2010−15926)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】