説明

車両用灯具

【課題】灯具におけるランプハウジングとランプレンズとの間のシール性を向上させる。
【解決手段】ランプレンズ13から突出し、ランプハウジング11のシール溝21内のシール材26に埋入されるシール突条板31を設ける。ランプハウジング11の外縁部側に係止孔37を形成する一方、係止突起38をシール突条板31に形成する。シール溝21を形成する上記ランプハウジング11の内方側の内側壁22から一方向Aに向かって延出する延出片36を設け、延出片36に係止孔37を形成する。シール突条板31は、ランプレンズ13の外縁部側の内側面からシール溝21の幅方向でランプハウジング11の内方側に向かって一体的に突出する突条板基部32と、突条板基部32の突出端縁部から逆方向Bに向かって突出してシール材26に埋入される突条板本体33とを備える。突条板基部32の突出端縁部に係止突起38が突設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に支持されたランプハウジング側に係止孔を形成する一方、ランプレンズ側に、上記係止孔に係止される係止突起を形成した車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記車両用灯具には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、車両用灯具は、車体に支持され、一方向に向かって開く開口が形成されたランプハウジングと、上記一方向と反対の逆方向外方から上記開口を覆うランプレンズとを備えている。上記ランプハウジングの外縁部に上記一方向に向かって開き上記外縁部に沿って延びるシール溝が形成され、このシール溝に接着性シール材が充填される。上記ランプレンズから突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入されるシール突条板が設けられる。また、上記ランプハウジングの外縁部側に係止孔が形成される一方、この係止孔に係止される係止突起が上記シール突条板に形成されている。そして、上記シール材と、上記係止孔への係止突起の係止とにより、上記ランプハウジングにランプレンズが取り付けられる。
【0003】
上記灯具の内部空間に設けられたランプを点灯させると、このランプからの光は、上記ランプレンズを通し上記一方向に向かって照射される。一方、雨天時など、灯具の外部の水がこの灯具の内部空間に浸入しようとすることは、上記ランプハウジング、ランプレンズ、およびこれらの間に介設されたシール材によって防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平6−83571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記した灯具の組立作業は、通常、次のように行なわれる。
【0006】
即ち、まず、上記ランプハウジングのシール溝に熱溶融させた粘性のシール材を充填する。次に、上記ランプハウジングにランプレンズを接近させて、このランプレンズから突出させたシール突条板の突出端縁部を上記シール材に押し込んで埋入させる。また、このようにシール突条板の突出端縁部をシール材に埋入させるのと同時期に、上記ランプハウジング側の係止孔にランプレンズ側の係止突起を係止させる。その後、上記シール材を硬化させれば、上記灯具の組立作業が終わる。
【0007】
ここで、上記従来の技術では、係止孔は、上記シール溝を形成する内、外側壁のうち、上記ランプハウジングの外方側の外側壁に形成されている。そして、この外側壁は、ランプハウジングの外殻の一部を構成するものであって、その外縁部に沿って長く延びるよう形成されており、よって、大きい剛性を有している。
【0008】
このため、上記した灯具の組立作業において、上記係止孔に係止突起を係止させようとして、この係止の当初に、上記係止突起を上記した剛性の大きい外側壁に圧接させると、この外側壁側からの反力により、上記係止突起を形成しているシール突条板が弾性的に撓んで、その厚さ方向に往移動し、その後、上記係止が終了すれば、上記シール突条板は元位置に復元しようとして、その厚さ方向に復移動する。
【0009】
よって、上記係止時には、上記シール突条板は、その厚さ方向に往、復移動しながら上記シール材に埋入されることから、このシール材は、上記シール突条板によって上記シール溝の幅方向で無用に撹拌されがちとなる。この結果、このシール溝の内面とシール突条板の外面との間におけるシール材の充填に偏りが生じて、灯具におけるシール性の向上が阻害されるおそれを生じる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、灯具におけるランプハウジングとランプレンズとの間のシール性を向上させるようにすることである。
【0011】
請求項1の発明は、車体2に支持され、一方向Aに向かって開く開口12が形成されたランプハウジング11と、上記一方向Aと反対の逆方向Bに向かって開口する椀形状をなして上記開口12を覆うランプレンズ13とを備え、上記ランプハウジング11の外縁部に上記一方向Aに向かって開き上記外縁部に沿って延びるシール溝21を形成して、このシール溝21に接着性シール材26を充填し、上記ランプレンズ13から突出し、その突出端縁部が上記シール材26に埋入されるシール突条板31を設け、上記ランプハウジング11の外縁部側に係止孔37を形成する一方、この係止孔37に係止される係止突起38を上記シール突条板31に形成した車両用灯具において、
上記シール溝21を形成する内、外側壁22,23のうち、上記ランプハウジング11の内方側の内側壁22から上記一方向Aに向かって延出する延出片36を設けてこの延出片36に上記係止孔37を形成し、
上記シール突条板31が、上記ランプレンズ13の外縁部側の内側面から上記シール溝21の幅方向で上記ランプハウジング11の内方側に向かって一体的に突出する突条板基部32と、この突条板基部32の突出端縁部から上記逆方向Bに向かって突出し、その突出端縁部が上記シール材26に埋入される突条板本体33とを備え、上記突条板基部32の突出端縁部に上記係止突起38を突設したことを特徴とする車両用灯具である。
【0012】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号や図面番号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明による効果は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、車体に支持され、一方向に向かって開く開口が形成されたランプハウジングと、上記一方向と反対の逆方向に向かって開口する椀形状をなして上記開口を覆うランプレンズとを備え、上記ランプハウジングの外縁部に上記一方向に向かって開き上記外縁部に沿って延びるシール溝を形成して、このシール溝に接着性シール材を充填し、上記ランプレンズから突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入されるシール突条板を設け、上記ランプハウジングの外縁部側に係止孔を形成する一方、この係止孔に係止される係止突起を上記シール突条板に形成した車両用灯具において、
上記シール溝を形成する内、外側壁のうち、上記ランプハウジングの内方側の内側壁から上記一方向に向かって延出する延出片を形成してこの延出片に上記係止孔を設けている。
【0015】
上記した灯具の組立作業は、通常、次のように行なう。
【0016】
即ち、まず、上記ランプハウジングのシール溝に熱溶融させた接着性で粘性のシール材を充填する。次に、上記ランプハウジングに対し、その外方からランプレンズを接近させて、このランプレンズから突出させたシール突条板の突出端縁部を上記シール材に押し込んで埋入させる。また、このようにシール突条板の突出端縁部をシール材に埋入させるのと同時期に、上記ランプハウジング側の係止孔にランプレンズ側の係止突起を係止させる。その後、上記シール材を硬化させれば、上記灯具の組立作業が終る。
【0017】
ここで、上記したように、係止孔は、上記シール溝を形成する内、外側壁のうち、上記ランプハウジングの内方側の内側壁から延出した延出片に形成したものである。このため、この延出片は、ランプハウジングの外殻の一部を構成するものではなく、また、このランプハウジングの内部に位置して外観上見え易いものでもない。よって、この延出片は、強度の確保や見栄えなどに大きくは考慮することなく、その幅寸法や厚さを小さくさせるなどして、剛性を、ある程度小さくさせることができる。
【0018】
このため、上記灯具の組立作業において、上記係止孔に係止突起を係止させようとして、この係止の当初に上記係止突起を上記延出片に圧接させたとき、この延出片は弾性的に円滑に撓んでその厚さ方向に往移動し、その後、上記係止が終了すれば、上記延出片は元位置に復元しようとして、その厚さ方向に復移動する。
【0019】
よって、上記したように、係止時に、延出片がその厚さ方向に円滑に往、復移動することによって、上記シール突条板がその厚さ方向に移動することが防止され、この状態で上記シール突条板がシール溝内のシール材に埋入される。このため、このシール材が上記シール溝の幅方向で上記シール突条板によって無用に撹拌されることは防止される。この結果、上記シール溝の内面とシール突条板の外面との間のシール材に所望の充填状態が得られて、灯具におけるシール性が向上する。
【0020】
しかも、本発明によれば、シール突条板は、上記ランプレンズの外縁部側の内側面から上記シール溝の幅方向で上記ランプハウジングの内方側に向かって一体的に突出する突条板基部と、この突条板基部の突出端縁部から上記逆方向に向かって突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入される突条板本体とを備え、上記突条板基部の突出端縁部に上記係止突起を突設している。
【0021】
ここで、上記ランプレンズは、上記灯具の外殻を構成するものであり、かつ、椀形状をなしていて剛性が大きいものであり、また、上記突条板基部は、上記シール溝の幅方向に延びていて、この幅方向からの外力に対し大きい剛性を発揮する。
【0022】
このため、前記した係止時に、係止突起が延出片に圧接して、この延出片からの反力が、上記係止突起を介し上記突条板基部やランプレンズの外縁部側に対し上記シール溝の幅方向で与えられるとしても、これら突条板基部やランプレンズが、上記シール溝の幅方向で撓んだり、変形したりすることは、より確実に防止される。つまり、上記係止時に、上記突条板基部と一体的に形成された突条板本体が上記シール溝の幅方向で移動することは、より確実に防止される。よって、上記係止時に、上記シール溝内のシール材がシール溝の幅方向で上記シール突条板の突条板本体によって無用に撹拌されることは、より確実に防止されて、灯具におけるシール性が、より向上する。
【0023】
また、上記した灯具のシール性能の向上という効果は、この灯具の構造を工夫することで達成できるのであって、別途の部材を設けないで足りることから、上記効果は簡単な構成で、安価に達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図4の部分拡大断面作用説明図である。
【図2】灯具の後面部分破断部分断面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV線矢視断面図である。
【図5】灯具の斜視展開図である。
【図6】灯具の部分拡大斜視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の車両用灯具に関し、灯具におけるランプハウジングとランプレンズとの間のシール性を向上させるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための形態は、次の如くである。
【0026】
即ち、車両用灯具は、車体に支持され、一方向に向かって開く開口が形成されたランプハウジングと、上記一方向と反対の逆方向に向かって開口する椀形状をなして上記開口を覆うランプレンズとを備える。上記ランプハウジングの外縁部に上記一方向に向かって開き上記外縁部に沿って延びるシール溝が形成され、このシール溝に接着性シール材が充填される。上記ランプレンズから突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入されるシール突条板が設けられる。上記ランプハウジングの外縁部側に係止孔が形成される一方、この係止孔に係止される係止突起が上記シール突条板に形成される。
【0027】
上記シール材を形成する内、外側壁のうち、上記ランプハウジングの内方側の内側壁から上記一方向に向かって延出する延出片が設けられてこの延出片に上記係止孔が形成される。上記シール突条板は、上記ランプレンズの外縁部側の内側面から上記シール溝の幅方向で上記ランプハウジングの内方側に向かって一体的に突出する突条板基部と、この突条板基部の突出端縁部から上記逆方向に向かって突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入される突条板本体とを備えている。そして、上記突条板基部の突出端縁部に上記係止突起が突設されている。
【実施例】
【0028】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0029】
図2〜5において、符号1は、自動車で例示される車両であり、矢印Frは、この車両1の進行方向の前方を示している。
【0030】
車両1の板金製車体2の後壁にはバックドア開口3が形成され、このバックドア開口3を開閉可能に閉じるバックドア4が設けられる。また、上記バックドア開口3の下部開口縁をその後方から覆って車体2に支持されるリアバンパ5が設けられる。また,このバンパ5の各側部の上方に隣接して上記バックドア開口3の各側部開口縁部にリヤコンビランプといわれる灯具6が設けられる。
【0031】
上記灯具6は、上記バックドア開口3の側部開口縁部を構成する車体2部分に、それぞれ上下一対の締結具9とクリップ10とによって支持される樹脂製のランプハウジング11を備えている。このランプハウジング11には、一方向Aである車体2の後方に向かって開く開口12が形成されている。また、上記灯具6は、上記一方向Aとは反対の逆方向Bである車体2の後方側から、上記開口12を覆う樹脂製で透明のランプレンズ13を備えている。上記ランプハウジング11とランプレンズ13とは互いに結合されて、灯具6の外殻を構成する。
【0032】
上記ランプハウジング11は、上記締結具9とクリップ10とによって上記車体2に支持され、その内部に種々のランプ17〜19を取り付けたハウジング本体20を有している。また、上記ランプハウジング11の面方向での外縁部に、上記一方向Aに向かって開くシール溝21が形成され、このシール溝21は上記ランプハウジング11の外縁部に沿って全体的に連続的に延びるよう形成されている。上記シール溝21は、上記開口12の面方向で互いに対面する内、外側壁22,23と、これら内、外側壁22,23の上記逆方向B側の端縁部同士を一体的に結合する底板24とにより形成されている。上記内、外側壁22,23のうち、ランプハウジング11の内方側の内側壁22は、上記ハウジング本体20の外縁部に一体的に結合されている。上記シール溝21には、樹脂製の接着性シール材26が充填されている。
【0033】
上記ランプレンズ13は、このランプレンズ13の面方向の中間部を構成するレンズ本体28と、このレンズ本体28の外縁部から上記逆方向Bに向かって一体的に延出し、上記ランプレンズ13の外縁部側を構成する筒形状のレンズ側部29とを備え、全体として上記逆方向Bに向かって開口する椀形状をなしている。上記ランプレンズ13の各部うち、車体2の外側がわを構成するランプレンズ13の外側部分では、このランプレンズ13の外縁部は、上記シール溝21の幅方向でこのシール溝21の外側方近傍に位置させられている。また、上記ランプレンズ13の上記外側部分では、上記レンズ側部29から一体的に突出し、その突出端縁部が上記シール溝21内の上記シール材26に埋入されるシール突条板31が設けられている。
【0034】
上記ランプレンズ13の上記外側部分を除く、このランプレンズ13の他部分における外縁部は、上記シール溝21内の上記シール材26に埋入されている。また、上記ランプレンズ13の上記他部分では、上記シール溝21の幅方向でこのシール溝21の外側方近傍に、前記バックドア4やバンパ5の各外縁部が配置されている。これにより、上記灯具6の外観上、上記シール溝21が容易に見えることは上記バックドア4やバンパ5によって防止される。
【0035】
上記シール突条板31は、上記レンズ側部29の内側面から上記シール溝21の幅方向で上記ランプハウジング11の内方側に向かって一体的に突出する突条板基部32と、この突条板基部32の突出端縁部から上記逆方向Bに向かって一体的に突出する突条板本体33とを備えている。上記ランプレンズ13の上記外側部分において、上記突条板基部32と突条板本体33とは上記レンズ側部29の延出端縁部に沿って長く延び、その長手方向の各部断面がL字形状をなしている。そして、上記突条板本体33の突出端縁部が上記シール溝21内のシール材26に埋入されている。
【0036】
上記シール溝21を形成する上記ランプハウジング11の内方側の内側壁22から上記一方向Aに向かって一体的に延出する延出片36が設けられる。上記内側壁22の長手方向における上記延出片36の幅寸法は小さくされ、この延出片36に係止孔37が形成されている。一方、上記突条板基部32の突出端縁部における長手方向の一部分から上記シール溝21の幅方向で上記ランプハウジング11の内方側に向かって一体的に突出し、上記係止孔37に係止される係止突起38が設けられている。上記延出片36、係止孔37、および係止突起38は、上下2組が設けられている。
【0037】
そして、上記シール材26と、上記係止孔37への係止突起38の係止とにより、上記ランプハウジング11にランプレンズ13が取り付けられる。
【0038】
上記灯具6の内部空間に設けられたランプ17〜19を点灯させると、このランプ17〜19からの光は、上記ランプレンズ13を通し上記一方向Aに向かって照射される。一方、雨天時など、灯具6の外部の水がこの灯具6の内部空間に浸入しようとすることは、上記ランプハウジング11、ランプレンズ13、およびこれらの間に介設されたシール材26によって防止される。
【0039】
上記した灯具6の組立作業は、次のように行なう。
【0040】
即ち、まず、上記ランプハウジング11のシール溝21に熱溶融させた接着性で粘性のシール材26を充填する。次に、図1中二点鎖線で示すように、上記一方向Aで上記ランプハウジング11から離れたところから、このランプハウジング11に対し、ランプレンズ13を上記逆方向Bに移動させながら接近させて、図1中実線で示すように、このランプレンズ13から突出させたシール突条板31の突出端縁部を上記シール材26に押し込んで埋入させる。また、このようにシール突条板31の突出端縁部をシール材26に埋入させるのと同時期に、上記ランプハウジング11側の係止孔37にランプレンズ13側の係止突起38を係止させる。その後、上記シール材26を硬化させれば、上記灯具6の組立作業が終る。
【0041】
ここで、前記したように、係止孔37は、上記シール溝21を形成する内、外側壁22,23のうち、上記ランプハウジング11の内方側の内側壁22から延出した延出片36に形成したものである。このため、この延出片36は、ランプハウジング11の外殻の一部を構成するものではなく、また、このランプハウジング11の内部に位置して外観上見え易いものでもない。よって、この延出片36は、強度の確保や見栄えなどに大きくは考慮することなく、その幅寸法や厚さを小さくさせるなどして、剛性を、ある程度小さくさせることができる。
【0042】
このため、上記灯具6の組立作業において、上記係止孔37に係止突起38を係止させようとして、この係止の当初に上記係止突起38を上記延出片36に圧接させたとき、この延出片36は弾性的に円滑に撓んでその厚さ方向に往移動し(図1中一点鎖線)、その後、上記係止が終了すれば、上記延出片36は元位置に復元しようとして、その厚さ方向に復移動する(図1中実線)。
【0043】
よって、上記したように、係止時に、延出片36がその厚さ方向に円滑に往、復移動することによって、上記シール突条板31がその厚さ方向に移動することが防止され、この状態で上記シール突条板31がシール溝21内のシール材26に埋入される。このため、このシール材26が上記シール溝21の幅方向で上記シール突条板31によって無用に撹拌されることは防止される。この結果、上記シール溝21の内面とシール突条板31の外面との間のシール材26に所望の充填状態が得られて、灯具6におけるシール性が向上する。
【0044】
しかも、前記したように、シール突条板31は、上記ランプレンズ13の外縁部側であるレンズ側部29の内側面から上記シール溝21の幅方向で上記ランプハウジング11の内方側に向かって一体的に突出する突条板基部32と、この突条板基部32の突出端縁部から上記逆方向Bに向かって突出し、その突出端縁部が上記シール材26に埋入される突条板本体33とを備え、上記突条板基部32の突出端縁部に上記係止突起38が突設されている。
【0045】
ここで、上記ランプレンズ13は、上記灯具6の外殻を構成するものであり、かつ、椀形状をなしていて剛性が大きいものであり、また、上記突条板基部32は、上記シール溝21の幅方向に延びていて、この幅方向からの外力に対し大きい剛性を発揮する。
【0046】
このため、前記した係止時に、係止突起38が延出片36に圧接して、この延出片36からの反力が、上記係止突起38を介し上記突条板基部32やランプレンズ13のレンズ側部29に対し上記シール溝21の幅方向で与えられるとしても、これら突条板基部32やランプレンズ13が、上記シール溝21の幅方向で撓んだり、変形したりすることは、より確実に防止される。つまり、上記係止時に、上記突条板基部32と一体的に形成された突条板本体33が上記シール溝21の幅方向で移動することは、より確実に防止される。よって、上記係止時に、上記シール溝21内のシール材26がシール溝21の幅方向で上記シール突条板31の突条板本体33によって無用に撹拌されることは、より確実に防止されて、灯具6におけるシール性が、より向上する。
【0047】
また、前記したように、ランプレンズ13の外縁部を、上記シール溝21の幅方向でこのシール溝21の外側方にまで位置させている。
【0048】
このため、灯具6の外観上、上記延出片36、係止孔37、および係止突起38に加え、シール溝21内のシール材26が、容易に見えることは、上記ランプレンズ13の外縁部により防止されて、灯具6の外観上の見栄えが向上する。
【0049】
また、上記した灯具6のシール性能の向上や見栄えの向上という効果は、この灯具6の構造を工夫することで達成できるのであって、別途の部材を設けないで足りることから、上記効果は簡単な構成で、安価に達成できる。
【0050】
なお、以上は図示の例によるが、上記灯具6はヘッドランプであってもよく、この場合には、上記一方向Aは車体2の前方に相当する。また、上記シール突条板31は、上記ランプレンズ13の外縁部の全体にわたり形成してもよく、この場合、上記ランプレンズ13の外縁部の長手方向の各部を、全体にわたり上記シール溝21の幅方向でこのシール溝21の外側方近傍に位置させてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
2 車体
6 灯具
11 ランプハウジング
12 開口
13 ランプレンズ
21 シール溝
22 内側壁
23 外側壁
26 シール材
28 レンズ本体
29 レンズ側部
31 シール突条板
32 突条板基部
33 突条板本体
36 延出片
37 係止孔
38 係止突起
A 一方向
B 逆方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に支持され、一方向に向かって開く開口が形成されたランプハウジングと、上記一方向と反対の逆方向に向かって開口する椀形状をなして上記開口を覆うランプレンズとを備え、上記ランプハウジングの外縁部に上記一方向に向かって開き上記外縁部に沿って延びるシール溝を形成して、このシール溝に接着性シール材を充填し、上記ランプレンズから突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入されるシール突条板を設け、上記ランプハウジングの外縁部側に係止孔を形成する一方、この係止孔に係止される係止突起を上記シール突条板に形成した車両用灯具において、
上記シール溝を形成する内、外側壁のうち、上記ランプハウジングの内方側の内側壁から上記一方向に向かって延出する延出片を設けてこの延出片に上記係止孔を形成し、上記シール突条板が、上記ランプレンズの外縁部側の内側面から上記シール溝の幅方向で上記ランプハウジングの内方側に向かって一体的に突出する突条板基部と、この突条板基部の突出端縁部から上記逆方向に向かって突出し、その突出端縁部が上記シール材に埋入される突条板本体とを備え、上記突条板基部の突出端縁部に上記係止突起を突設したことを特徴とする車両用灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−195240(P2012−195240A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59932(P2011−59932)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】