説明

車両用無線装置

【課題】送受信する周波数を、車両側無線機と携帯側無線機の両無線機に共通する構成により決定することで、リレーアタックを十分に防止できる車両用無線装置を提供する。
【解決手段】車両側無線機2は、認証データ作成手段5と、車両側認証データ送信手段6と、車両側演算データ作成手段7と、受信手段8と、照合手段9と、を有し、携帯側無線機3は、携帯側認証データ受信手段10と、携帯側演算データ作成手段11と、送信手段12と、を備え、車両側演算データ作成手段7及び携帯側演算データ作成手段11は、共通の論理演算により車両側照合データ7aと携帯側照合データ11aとを作成し、車両側演算データ作成手段7及び携帯側演算データ作成手段11は、共通の論理演算により同一となる受信周波数7b´と送信周波数11b´を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車両側無線機と、その車両に関与する人員が所持する携帯側無線機との両無線機間にて、車両情報の照合を行う車両用無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車両側無線機と、その車両に関与する人員が所持する携帯側無線機との両無線機間にて無線通信を行う車両用無線装置において、互いの無線機(車両側無線装置及び携帯側無線装置)が通信対象として正当か否かを確認するための認証データを、所定の周波数で送受信(双方向無線通信)して照合を行い、照合を確認した後、車両ドアの施錠、開錠やエンジン始動等の許可を与える車両用無線装置が知られている。
【0003】
このような車両用無線装置においては、車両ドアの開錠等を許可する範囲(携帯側無線機と車両側無線機との距離)を制限するために、車両側無線機は到達距離が短いLF信号を携帯側無線機に向けて送信する。一方、携帯側無線機は、遠方からのリモコン操作(一方向通信)によるドア開錠等も可能とするため、到達距離が長いRF信号を車両側無線機に向けて送信する。
つまり、かかる車両用無線装置においては、車両側無線装置のLF信号と携帯側無線装置のRF信号との双方無線通信により車両情報の照合を行い、ドアの開錠等がなされている。
【0004】
そのため、近年、このような車両用無線装置において、いわゆるリレーアタックが懸念されている。このリレーアタックは、車両を駐車した運転者が携帯側無線機を所持して車両から離れた場合に行われることが想定される。つまり、車両から離れる運転者が所持する携帯側無線機と、駐車した車両の車両側無線機との双方向無線通信を、不審者が悪用することにより、ドアの開錠等を行うものである。
具体的には、不審者Aが、用意した無線通信装置(中継器A)を駐車した車両(車両側無線機)のそばに設置するとともに、不審者Bが、用意した無線装置(中継器B)を所持して、車両から離れる運転者(携帯側無線機を所持)に近づく。すると、中継器Aは、車両側無線機からのLF信号を受信し、受信したLF信号をRF信号にして中継器Bに送信する(中継器Aと中継器Bとは距離が離れている)。そして、中継者Bは、受信したRF信号をLF信号にして、あたかも車両(車両側無線機)のLF信号であるかのように、中継器Bが携帯側無線機にLF信号を送信して、携帯側無線機からRF信号を送信させる。その結果、携帯側無線機のRF信号が車両側無線機に届いた場合は、ドアの開錠やエンジン始動等をさせることが可能となる。
【0005】
そこで、リレーアタックを防止するために、車両側無線機と携帯側無線機との間の通信を中継する際に、中継器において発生する遅延時間を検出する車両用無線装置や、携帯側無線機から送信されるRF信号の電界強度レベルを計測することにより、携帯側無線機がLF信号の届く距離にいるか否かを検出する車両用無線装置などの、なりすまし判定部を備えた車両用無線装置が提案されている。
しかしながら、携帯側無線機から送信されるRF信号の周波数は、固定の周波数であるため、予めRF信号の周波数を調べておき、かかるRF信号を受信する第三の無線装置(中継器C)に、電界強度レベルを調整させることにより、電界強度レベルを偽装することは可能である。また、高性能の中継器を利用して遅延時間の検出を困難にすることも可能である。よって、なりすまし判定部を備えた車両用無線装置においてもリレーアタックを十分に防止することは困難であった。
【0006】
そのため、上記なりすまし判定部を備えた車両側無線機が送信するLF信号に、車両側無線機が受信する(携帯側無線機が送信する)RF信号の周波数情報を加えて通信を行う車両用無線装置が提案されている(特許文献1)。この車両用無線装置は、携帯側無線機から送信されるRF信号の周波数情報が、車両側無線機が送信するLF信号により送信される。よって、RF信号の周波数を予め調べることはできず、電界強度レベルを調整する中継器Cにおいて、RF信号の検出に時間を要する。それ故、遅延時間の検出を容易にすることができ、リレーアタックの防止を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−240315号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の車両用無線装置では、車両側無線機からのLF信号によりRF信号の周波数が特定される。そのため、車両側無線機が送信するLF信号を受信して解析することにより、RF信号の周波数を知ることができる。したがって、RF信号の電界強度レベルを調整する中継器Cが、車両側無線機のLF信号を受信し、RF信号の周波数を把握することができる。そして、RF信号の周波数を把握した中継器Cは、RF信号を容易に検出できるので、携帯側無線機を偽装したRF信号を車両側無線機に送信することができる。よって、かかる車両用無線装置は、遅延時間の検出が困難となり、リレーアタックを十分に防止できない場合がある。
【0009】
本発明の課題は、送受信する周波数を、車両側無線機と携帯側無線機の両無線機に共通する構成により決定することで、リレーアタックを十分に防止できる車両用無線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明の車両用無線装置は、以下の構成を有する。
車両側無線機は、
車両情報を照合するための認証データを作成する認証データ作成手段と、
車両に関与する人員が所持する携帯側無線機に認証データを送信する車両側認証データ送信手段と、
認証データを論理演算して、車両側照合データと、携帯側無線機が送信する携帯側照合データを受信する受信周波数を決定する受信周波数データと、を作成する車両側演算データ作成手段と、
受信周波数により携帯側照合データを受信する受信手段と、
車両側照合データと携帯側照合データとを照合する照合手段と、を有し、
携帯側無線機は、
認証データを受信する携帯側認証データ受信手段と、
認証データを論理演算して、携帯側照合データと、車両側無線機が受信する携帯側照合データを送信する送信周波数を決定する送信周波数データと、を作成する携帯側演算データ作成手段と、
送信周波数により携帯側照合データを送信する送信手段と、を備え、
車両側演算データ作成手段及び携帯側演算データ作成手段は、共通の論理演算により車両側照合データと携帯側照合データとを作成し、
車両側演算データ作成手段及び携帯側演算データ作成手段は、共通の論理演算により同一となる受信周波数と送信周波数を決定することを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用無線装置は、車両側無線機においては、認証データを論理演算することで受信周波数を決める。一方、携帯側無線機においては、車両側無線機から送信される認証データを、車両側無線機と共通の論理演算することで送信周波数を決める。つまり、同一の認証データに対し、同一の論理演算をすることで受信周波数又は送信周波数が決まるので、車両側無線機の受信周波数と携帯側無線機の送信周波数が同一となる周波数を決定される。そして、かかる周波数に基づいて送受信する携帯側照合データと、車両側照合データとを照合する。
したがって、携帯側照合データを送受信する受信周波数及び送信周波数は、(通信を悪用する不審者から見れば)直接関係のない認証データをもとに、決定されるため、受信周波数及び送信周波数の秘匿性が高くなり、リレーアタックを十分に防止することができ、車両のセキュリティー性を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の車両用無線装置は、車両側演算データ作成手段は、車両側照合データを論理演算することにより、受信周波数データを作成し、携帯側演算データ作成手段は、携帯側照合データを論理演算することにより、送信周波数データを作成することができる。
【0013】
受信周波数データは、車両側演算データ作成手段が認証データを論理演算することにより作成される車両側照合データを、車両側演算データ作成手段が更に論理演算することにより、作成される。
一方、送信周波数データは、携帯側演算データ作成手段が認証データを論理演算することにより作成される携帯側照合データを、携帯側演算データ作成手段が更に論理演算することにより、作成される。
つまり、受信周波数データ及び送信周波数データは、車両側照合データ及び携帯側照合データにより決定される。よって、車両側照合データ及び携帯側照合データとを作成できる認証データのビット数があれば、受信周波数データ及び送信周波数データを作成することが可能となり、送受信する認証データのビット数を低減することができる。
【0014】
一方、本発明の車両用無線装置は、車両側演算データ作成手段が、認証データを論理演算した車両側演算データは、車両側照合データと受信周波数データとを含み、携帯側演算データ作成手段が、認証データを論理演算した携帯側演算データは、携帯側照合データと送信周波数データとを含むことができる。
【0015】
そのため、車両側演算データ作成手段は、受信周波数データを、車両側照合データと独立に作成することができ、携帯側演算データ作成手段は、送信周波数データを、携帯側認証データと独立に作成することができる。
つまり、車両側演算データ作成手段は、車両側照合データと受信周波数データとを同一の論理演算により作成することができる。また、携帯側演算データ作成手段は、携帯側照合データと送信周波数データとを同一の論理演算により作成することができる。よって、車両側照合データにより受信周波数データを決定し、携帯側照合データにより送信周波数を決定する場合に比べ、応答性を落さずに送信周波数及び受信周波数を決定することができる。
また、論理演算した車両側照合データ又は携帯側照合データの一部が送信周波数データ又は受信周波数データとなるため、送信周波数データ及び受信周波数データの解読が困難で秘匿性が高くなり、リレーアタックを効果的に防止することができる。
【0016】
そして、車両側照合データは、車両情報を照合する車両側車両情報照合データと車両側予備照合データとを含み、受信周波数データは、車両側車両情報照合データを受信する車両情報受信周波数データと、車両側予備照合データを受信する予備受信周波数データとを含み、携帯側照合データは、車両情報を照合する携帯側車両情報照合データと携帯側予備照合データとを含み、送信周波数データは、携帯側車両情報照合データを送信する車両情報送信周波数データと携帯側予備照合データを送信する予備送信周波数データとを含むことができる。
【0017】
照合するデータを分けて照合することにより、照合の精度を高めることができる。また、リレーアタックを行う不審者が用いる中継器は一般的には、周波数が固定されているため、車両情報受信周波数データ及び車両情報送信周波数データにより決定される周波数と、予備受信周波数データ及び予備送信周波数データにより決定される周波数とが異なる場合には、携帯側車両情報照合データと携帯側予備照合データのいずれか一方を中継できたとしても、他方のデータは、周波数が異なるため中継することができず、車両側無線機における照合が一致せず、より一層、リレーアタックを防止することができる。
【0018】
さらに、車両側照合データは、車両側予備照合データ及び予備受信周波数データとを複数有し、携帯側照合データは、携帯側予備照合データ及び予備送信周波数データとを複数有することができる。照合するデータを3つ以上に分けて、照合がなされるので、より照合の精度を高めることができる。
また、照合するデータを3つ以上の異なる周波数に分けて照合する場合にリレーアタックを行うためには、比較的広い帯域を中継できる中継器を用いる必要がある。そのため、不審者が用いる中継器のコストを上げることができ、リレーアタックを行う不審者に対して費用対効果を悪化させることができる。よって、リレーアタックを抑止することができる。
【0019】
そして、車両側演算データ作成手段及び携帯側演算データ作成手段が、共通の論理演算により同一となる受信周波数と送信周波数を決定する周波数は、該共通の論理演算によりランダムに変更することができる。そのため、受信周波数及び送信周波数の周波数がランダムに変更するので、周波数が固定されている中継器では中継をすることができず、より一層、リレーアタックを防止することができる。
【0020】
また、受信周波数及び送信周波数は、変更する周波数のチャンネルが予め設定することができる。そのため、周波数のチャンネルを固定することにより、車両側無線機と携帯側無線機の無線機構成を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の車両用無線装置の概略図を示すブロック図。
【図2】図1の車両側制御手段のブロック図。
【図3】本発明の車両用無線装置の処理手順を示す概略図。
【図4】図3の車両側無線機の処理手順を示すフローチャート。
【図5】図3の携帯側無線機の処理手順を示すフローチャート。
【図6】図3の車両側無線機と携帯側無線機との双方向無線通信のやり取りを示したタイミング図。
【図7】図6において、携帯側照合データが携帯側車両情報照合データと携帯側予備照合データとを含んだ場合のタイミング図。
【図8】図3とは異なる処理手順を示す概略図。
【図9】図8の車両側無線機の処理手順を示すフローチャート。
【図10】図8の携帯側無線機の処理手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態を添付の図面を用いて説明する。
図1は、本発明の車両用無線装置1の概略図を示すブロック図である。車両用無線装置1は、車両側無線機2と、車両Cに関与する人員Hが所持する携帯側無線機3とを有する。
【0023】
最初に車両側無線機2の構成について説明をする。車両側無線機2は、車両側認証データ送信手段6と、受信手段8と、照合ECU15(ECU:Electronic Control Unit)とを備える。
車両側認証データ送信手段6は、車両Cに関与する人員Hが所持する携帯側無線機3に、認証データ5aを送信するLF送信部である。LF送信部は、例えば車両Cのドアハンドルや車室内に装備され、LF(長波)帯域の電磁波によってポーリング信号を送信する。
受信手段8は、携帯側無線機3が送信する携帯側照合データ11aを受信するRF受信部である。車両側演算データ作成手段7が作成する受信周波数データ7bに基づいて受信周波数7b´が決定される。RF受信部は、例えば車室内に装備されて、車外、車室内から送信されたRF信号を受信する。
【0024】
車両側制御手段16は、通常のコンピュータの構造を有する。また、図1及び図2には図示されていないが、各種演算や情報処理を司るCPU、CPUの作業領域としての一時記憶部であるRAM、各種情報を記憶するための不揮発性のメモリを備える。具体的には、図2のブロック図に示すように、認証データ作成手段5と、車両側演算データ作成手段7と、照合手段9と、認証データ送信周波数変更手段26とを有する。
認証データ作成手段5は、車両情報4を照合するための乱数文字列である認証データ5a(チャレンジ信号)を作成するチャレンジ信号生成部である。
車両側演算データ作成手段7は、認証データ作成手段5が作成した認証データ5aを論理演算する車両側レスポンス生成部である。論理演算により、車両側照合データ7aと受信周波数データ7bとを作成する。
照合手段9は、車両側演算データ作成手段7が作成した車両側照合データ7aと、携帯側無線機3が送信する携帯側照合データ11aと、を照合するレスポンス照合部である。
認証データ送信周波数変更手段26は、受信手段8が受信した携帯側照合データ11aを論理演算して、車両側認証データ送信手段6が送信する認証データ5aの送信周波数(認証データ送信周波数26a)を変更する。
【0025】
車両側照合データ7aは、認証データ5a(チャレンジ信号)に対する車両側無線機3の照合回答データ(レスポンス信号)である。具体的には、車両側照合データ7aは、乱数文字列である認証データ5aと、車両側制御手段16の不揮発性のメモリに記憶された車両識別IDを含む車両情報と、を特定のアルゴリズムに従って合成を行い、作成した数値列である。そして、車両側照合データ7aは、車両情報4を照合する車両側車両情報照合データ7a1と車両側予備照合データ7a2とを含む。車両側車両情報照合データ7a1は、例えば、乱数文字列である認証データ5aと不揮発性のメモリに記憶された車両識別IDにより作成された数値列である。車両側予備照合データ7a2は、例えば、車両識別ID以外の車両情報により作成された数値列である。かかる論理演算により、数値列の異なる複数の車両側予備照合データ7a2が作成される。車両側予備照合データ7a2は、車両側車両情報照合データ7a1を論理演算して作成した数値列としてもよく、種々の方法により作成することができる。
【0026】
受信周波数データ7bは、携帯側無線機3が送信する携帯側照合データ11aを受信手段8が受信する受信周波数7b´を決定する。受信周波数データ7bは、乱数文字列の認証データ5aを基にしたランダムな数値列となる。具体的には、受信周波数データ7bは、車両側演算データ作成手段7が、車両側照合データ7aを論理演算することで作成される。乱数文字列である認証データ5aによりランダムな数値列が作成される車両側照合データ7aを、論理演算することで、ランダムな受信周波数データ7bが作成される。よって、受信周波数7b´はランダムに変更される。また、変更する周波数のチャンネルCNは、受信周波数データ7bに基づいて予め設定される。
また、受信周波数データ7bは、車両情報受信周波数データ7b1と複数の予備受信周波数データ7b2を有する。車両情報受信周波数データ7b1は、携帯側車両情報照合データ11a1を受信手段8が受信する周波数を決定し、予備受信周波数データ7b2は、携帯側予備照合データ11a2を受信手段8が受信する周波数を決定する。
【0027】
一方、車両側無線機2を備える車両Cは、当該車両Cのドアに、ロック機構21、タッチセンサ22、ロックボタン23、キーシリンダ24を有する。ロック機構21により、ドアが施錠又は開錠される。タッチセンサ22は、車両Cのドアハンドルに装備されて、車両Cに関与する人員Hがドアハンドルを握ったことを検出するセンサである。
ロックボタン23は、いわゆるスマートキーシステムにおけるドアの施錠ボタンである。ドアハンドル付近に備えられ、車両側無線機2と携帯側無線機3との間で車両情報4の照合が成功した場合、当該車両Cに関与する人員Hが押すとドアが施錠されるボタンである。キーシリンダ24は、ドアハンドル付近に備えられ、携帯側無線機3である電子キーのメカニカルキー部20を挿入するための孔部である。
なお、ドアは車両Cに装備された複数のドア(運転席側ドア、助手席側ドア、後部座席右側、左側ドアなど)を指し、その個々のドアにロック機構21、タッチセンサ22、ロックボタン23、キーシリンダ24が装備される。
【0028】
また車両Cは、車室内の運転席近傍に、エンジンスタートスイッチ25を備える。エンジンスタートスイッチ25はスマートスタートシステムにおけるエンジン始動のためのスイッチであり、車両側無線機2と携帯側無線機3との間で車両情報4の照合が成功した状態で押すとエンジンが始動するスイッチである。以上の各部は車内通信(CAN通信)により接続されて情報の受け渡しが可能となっている。
なお、車両Cは自動車であれば何ら限定されず、例えばガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車や、電気自動車、ハイブリッド車でもよい。
【0029】
次に、携帯側無線機3の構成について説明する。携帯側無線機3は、いわゆるスマートキーシステムに関わる電子キーであり、車両Cに関与する人員Hが所持するものである。携帯側無線機3は、携帯側認証データ受信手段10、送信手段12、携帯側制御手段17、ロックスイッチ18、アンロックスイッチ19、メカニカルキー部20を備える(図1)。
【0030】
携帯側認証データ受信手段10は、車両側認証データ送信手段6が送信する認証データ5aを受信するLF受信部である。送信手段12は、車両側無線機2が受信する携帯側照合データ11aを送信するRF送信部である。
【0031】
携帯側制御手段17は、図1に示すように、携帯側演算データ作成手段11と認証データ受信周波数変更手段27とを有する。また、図1に図示されていないが、各種演算や情報処理を司るCPU、CPUの作業領域としての一時記憶部であるRAM、各種情報を記憶するための不揮発性のメモリを備える。
携帯側演算データ作成手段11は、携帯側認証データ受信手段10が受信した認証データ5aを論理演算する携帯側レスポンス生成部である。論理演算により、携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bとを作成する。
認証データ受信周波数変更手段27は、送信手段12が送信する携帯側照合データ11aを論理演算して、携帯側認証データ受信手段10が受信する認証データ5aの受信周波数(認証データ受信周波数27a)を変更する。
【0032】
携帯側照合データ11aは、受信した認証データ5a(チャレンジ信号)に対する携帯側無線機3の照合回答データ(レスポンス信号)である。具体的には、携帯側照合データ11aは、乱数文字列である認証データ5aと、携帯側制御手段17の不揮発性のメモリに記憶された車両識別ID(車両側制御手段16が有する車両識別IDと同一)を含む車両情報4(車両側制御手段16が有する車両情報4と同一)と、を特定のアルゴリズム(車両側制御手段16が有するアルゴリズムと同一)に従って合成を行い、作成した数値列である。つまり、車両側演算データ作成手段7が車両側照合データ7を作成する論理演算と共通の論理演算により、携帯側照合データ11aを作成するものである。そして、携帯側照合データ7aは、車両情報4を照合する携帯側車両情報照合データ11a1と携帯側予備照合データ11a2とを含む。携帯側車両情報照合データ11a1は、例えば、乱数文字列である認証データ5aと不揮発性のメモリに記憶された車両識別IDにより作成された数値列である。携帯側予備照合データ11a2は、例えば、車両識別ID以外の車両情報により作成された数値列である。かかる論理演算により、数値列の異なる複数の車両側予備照合データ11a2が作成される。携帯側予備照合データ11a2は、携帯側車両情報照合データ11a1を論理演算して作成した数値列としてもよく、種々の方法により作成することができる。ただし、車両側無線機2と同一の論理演算により、携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bとを作成する必要がある。
【0033】
送信周波数データ11bは、車両側無線機2が受信する携帯側照合データ11aを送信する送信周波数11b´を決定する。送信周波数データ11bは、乱数文字列である認証データ5aを基にしたランダムな数値列となる。具体的には、送信周波数データ11bは、携帯側演算データ作成手段11が、携帯側照合データ11aを論理演算することで作成される。乱数文字列である認証データ5aによりランダムな数値列が作成される携帯側照合データ11aを、論理演算することで、ランダムな送信周波数データ11bが作成される。よって、送信周波数11b´はランダムに変更される。また、変更する周波数のチャンネルCNは、送信周波数データ11bに基づいて予め設定される。この場合においても、車両側演算データ作成手段7が行う論理演算と共通の論理演算を用いて、携帯側演算データ作成手段11が論理演算をするため、変更する周波数は車両側無線機2と同じ結果となる。
また、送信周波数データ11bは、車両情報送信周波数データ11b1と複数の予備送信周波数データ11b2とを有する。車両情報送信周波数データ11b1は、携帯側車両情報照合データ11a1を送信する周波数を決定し、予備送信周波数データ11b2は、携帯側予備照合データ11a2を送信する周波数を決定する。この場合においても、各データが車両側無線機2と携帯側無線機3とにおいて共通の論理演算がなされるので、車両情報送信周波数データ11b1により決定する周波数と、車両情報受信周波数データ7b1により決定する周波数とが同一となる。予備受信周波数データ7b2と予備送信周波数データ11b2も同様となる。
【0034】
次に、携帯側無線機3のその他の構成について説明する。ロックスイッチ18、アンロックスイッチ19は、いわゆるワイヤレスキーレスエントリーシステムにおけるドアの開錠、施錠に関するスイッチである。車両Cに関与する人員Hが車両Cの外の通信範囲内でロックスイッチ18を押すと車両Cのドアが施錠され、アンロックスイッチ19を押すと開錠許可状態となる。
メカニカルキー部20は、機械的なキー部であり、ドアのキーシリンダ24に挿入されて、ドアの開錠、施錠などが実行される。
【0035】
以上の構成のもとで、車両用無線装置1は、いわゆるスマートエントリーシステムにおけるリレーアタックを十分に防止することができる処理を実行する。その処理手順の概略が図3に示されている。図3の処理手順は、具体的には、図4及び図5に示すフローチャートにおける処理手順となり、かかる処理手順を予めプログラム化して、例えば、車両側無線装置2及び携帯側無線装置3のメモリに記憶しておき、車両側制御手段16及び携帯側制御手段17が呼び出して自動的に実行する。
【0036】
先ず、図3を参照して、処理手順の概略を説明する。
車両側無線機2は、認証データ5aを作成して、認証データ5aを携帯側無線機3に送信する。
次に、車両側無線機2は、送信した認証データ5aと同一のデータを基に論理演算することにより、車両側照合データ7aを作成する。そして、車両側照合データ7aを基に論理演算して、受信周波数データ7bを作成する。
車両側無線機2は、受信周波数データ7bにより決定される受信周波数7b´の周波数Fにより、携帯側無線機3が送信する携帯側照合データ11aを受信し、車両側照合データ7aと携帯側照合データ11aとの照合を行う。
一方、携帯側無線機3は、車両側無線機2が送信する認証データ5aを受信する。
次に、携帯側無線機3は、受信した認証データ5aを用いて、車両側無線機2と同一の論理演算をすることで、携帯側照合データ11aを作成する。そして、携帯側照合データ11aを、車両側無線機2と同一の論理演算をし、送信周波データ11bを作成する。
携帯側無線機3は、送信周波数データ11bにより決定される送信周波数11b´の周波数F(受信周波数7b´と同一の周波数)により、車両側無線機2に対して、携帯側照合データ11aを送信する。
したがって、認証データ5aを基に車両側無線機2及び携帯側無線機3の内部において、共通の方法で携帯側照合データ11aを送受信する周波数が決定される。そのため、受信周波数及び送信周波数の秘匿性が高くなり、リレーアタックを十分に防止することができ、車両のセキュリティー性を向上させることができる。
また、車両側無線機2と携帯側無線機3との間でデータのやり取りが継続して行われる場合には、車両側無線機2においては、認証データ送信周波数変更手段26が、受信した携帯側照合データ11aを基に論理演算することで認証データ送信周波数26aを変更する。そして、当該認証データ送信周波数26aにより、車両側認証データ送信手段10は認証データ5aを携帯側無線機3に送信する。なお、ここで言う変更には、変更することにより同一の周波数となることも含むことを意味する。
一方、携帯側無線機3においては、認証データ受信周波数変更手段27は、携帯側演算データ作成手段11が作成し車両側無線機2に向けて送信した携帯側照合データ11aを基に論理演算することで認証データ受信周波数27aを変更する。そして、当該認証データ受信周波数27aにより、携帯側認証データ受信手段10は認証データ5aを受信する。なお、ここで言う変更には、変更することにより同一の周波数となることも含むことを意味する。
つまり、認証データ送信周波数変更手段26及び認証データ受信周波数変更手段27が、携帯側照合データ11aを基として共通の論理演算により同一の周波数となる認証データ送信周波数26a及び認証データ受信周波数27aを決定する。したがって、認証データ5aを送受信する周波数の秘匿性が高くなり、より一層、リレーアタックを防止することができる。
以上により、車両側無線機2において、照合が成立する場合には、ドアの開錠、施錠やエンジン始動などが実行される。
【0037】
図4は、車両側無線装置2の処理を示すものであり、図4の処理では、まずS1で車両側無線機2は、LF送信部から携帯側無線機3の存在を確認するポーリング信号を定期的に繰り返し送信する。続いてS2において、車両C付近に当該車両Cに対応する携帯側無線機3が存在するか否かを判定する。ポーリング信号の到達範囲内に携帯側無線機3が存在すれば、携帯側無線機3は、当該ポーリング信号を受信して内容解析をする。解析の結果、自身に対するポーリング信号であることを確認すると、携帯側無線機3は、RF応答信号を車両側無線機2に送信する。車両側無線機2が応答信号を受信した場合(S2:YES)は、S3に進み、応答信号を受信しない場合(S2:NO)は、S1に戻り再び携帯側無線機3を探索する。
【0038】
S3に進むと、照合ECU15は、認証データ作成手段5により、車両情報4を照合するための認証データ5aを作成して、S4に進む。S4では、S3で作成した認証データ5aを携帯側無線機3に送信して、S5に進む。
【0039】
S5では、照合ECU15は、S4で送信した認証データ5aと同一の認証データ5aと、メモリに記憶された車両情報4と、を特定のアルゴリズムに従って合成して車両側照合データ7を作成し、S6に進む。S6では、照合ECU15は、S5の演算結果である車両側照合データ7aを基に、論理演算を行い、受信周波数データ7bを作成し、S7へ進む。よって、車両側照合データ7aを作成できる認証データ5aのビット数があれば、受信周波数データ7bを作成することができる。この場合、受信周波数データ7bを作成する際に基となる車両側照合データ7aを整数倍する論理演算をして受信周波数データ7bを作成すれば、送受信する認証データ5aのビット数を増やすことなく(通信の応答性を損なうことなく)秘匿性を向上することができる。
【0040】
続いてS7で照合ECU15は、S6で作成した受信周波数データ7bにより決定される受信周波数7b´に基づいて、RF信号を受信したか否かを判定する。RF信号を受信した場合(S7:YES)はS8に進み、RF信号を受信していない場合(S7:NO)はS10に進む。
【0041】
S8に進んだら、照合ECU15は、S7で受信が確認されたRF信号と、S5で作成した車両側照合データ7とを照合して、照合が成功したか否かを判定する。照合が成功した場合(S8:YES)はS9に進み、照合が不成功であった場合には、S10に進む。
【0042】
S10に進んだ場合、照合ECU15は、経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する。ここで経過時間とはS4で認証データ5aを送信してからの経過時間とする。経過時間が所定時間を超えている場合(S10:YES)はS1に戻り、まだ所定時間を超えていない場合(S10:NO)は再びS7に戻ってRF信号の受信を待つ。
一方、S9に進んだ場合、照合ECU15は、ドア開錠等の所定の制御を行う。
【0043】
図5は、携帯側無線装置3の処理を示すものであり、図5の処理では、まずS101で携帯側無線機3は、携帯側無線機3に対応する車両C(車両側無線機2)が存在するか否かを判定する。携帯側無線機3が車両側無線機2からのポーリング信号を受信して内容解析の結果、自身に対するポーリング信号であると確認してRF応答信号を送信した場合(S101:YES)は、S102に進み、RF応答信号を送信しない場合(S101:NO)は、S101に戻る。
【0044】
S102に進むと、携帯側認証データ受信手段10は、車両側無線機2が送信する認証データ5aを受信したか否かを判定する。認証データ5aを受信した場合(S102:YES)はS103に進み、認証データ5aを受信していない場合(S102:NO)はS106に進む。
【0045】
S106に進んだ場合、携帯側制御手段17は、経過時間が所定時間を超えたか否かを判定する。ここで経過時間とはS101でRF応答信号を送信してからの経過時間とする。経過時間が所定時間を超えている場合(S106:YES)はS101に戻り、まだ所定時間を超えていない場合(S106:NO)は再びS102に戻って認証データ5aの受信を待つ。
【0046】
S103では、携帯側制御手段17は、S102で受信した認証データ5aと、メモリに記憶された車両情報4と、を特定のアルゴリズムに従って合成して携帯側照合データ11を作成し、S104に進む。なお、S103は、S5と共通の論理演算を行うことにより、携帯側照合データ11を作成する。
【0047】
続いてS104では、携帯側制御手段17は、S103の演算結果である携帯側照合データ11aを、更に論理演算を行い、送信周波数データ11bを作成し、S105へ進む。よって、携帯側照合データ11aを作成できる認証データ5aのビット数があれば、送信周波数データ11bを作成することができる。この場合、送信周波数データ11bを作成する際に基となる携帯側照合データ11aを整数倍する論理演算(車両側照合データ7aと同一の論理演算)して送信周波数データ11bを作成すれば、送受信する認証データ5aのビット数を増やすことなく(通信の応答性を損なうことなく)秘匿性を向上することができる。
なお、ここでも、S104は、S6と共通の論理演算を行うことにより、送信周波数データ11bを作成する。
【0048】
S105では、携帯側制御手段17は、S104で作成した送信周波数データ11bにより決定される送信周波数11b´に基づいて、携帯側照合データ11aをRF信号として車両側無線機2に送信する。
【0049】
図6は、車両側無線機2と携帯側無線機3とのデータのやり取りを時間の変化とともに示すタイミング図である。車両側無線機2と携帯側無線機3との間で無線通信を行うデータのやり取りについて説明する。
先ず車両側無線機2はポーリング信号を送信する。ポーリング信号により、車両Cに対応する携帯側無線機3が車両Cの付近に存在するかを確認する。
車両側無線機2が送信するポーリング信号を受信した携帯側無線機3は、ポーリング信号に対するRF応答信号を車両側無線機2に送信する。
RF応答信号を受信した車両側無線機2は、認証データ作成手段6において作成した認証データ5aを携帯側無線機3に送信する。
認証データ5aを受信した携帯側無線機3は、携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bとを作成する。携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bは、携帯側照合データ作成手段11により、認証データ5aに基づき作成される。
携帯側無線機3は、送信周波数データ11bにより決定する送信周波数11b´により、携帯側照合データ11bを車両側無線機2に送信する。乱数文字列である認証データ5aに基づき送信周波数11b´が決定されるので、携帯側照合データ11aを送受信する周波数は、その都度異なる(作成される認証データ5aによっては、前回と同じ周波数の場合もある)。そのため、周波数が固定されている中継器では、携帯側照合データ11bを中継することができず、リレーアタックを防止することができる。
【0050】
図7は、図6の車両側無線機2と携帯側無線機3とのデータのやり取りを時間の変化とともに示すタイミング図において、携帯側照合データ11aが、携帯側車両情報照合データ11a1と携帯側予備照合データ11a2とを含んだ場合を示したものである。車両側無線機2が、認証データ5aを送信するまでは、図6のタイミング図と同様である。
認証データ5aを受信した携帯側無線機3は、認証データ5aに基づき、携帯側車両情報照合データ11a1と複数の携帯側予備照合データ11a2とを含む携帯側照合データ7aを作成する。
また、携帯側照合データ7aとともに、車両情報送信周波数データ11b1と複数の予備送信周波数データ11b2とを含む送信周波数データ11bを作成する。車両情報送信周波数データ11b1と予備送信周波数データ11b2は、認証データ5aに基づき各々ランダムな周波数が決定される。
そのため、携帯側車両情報照合データ11a1と複数の携帯側予備照合データ11a2は、各々ランダムな周波数により、携帯側無線機3から車両側無線機2に送信される。そのため、照合するデータを分けて照合することにより、照合の精度を高めることができる。それ故、リレーアタックを行う不審者に対してリレーアタックの費用対効果を悪化させることができ、リレーアタックを抑止させることができる。
なお、変更する周波数のチャンネルを固定することにより、車両側無線機と携帯側無線機の無線機構成を簡易にすることが可能となる。
【0051】
図8は、図3とは異なる処理手順により、リレーアタックを防止する概略図を示したものである。かかる処理手順を予めプログラム化して、例えば、車両側無線装置2及び携帯側無線装置3のメモリに記憶しておき、車両側制御手段16及び携帯側制御手段17が呼び出して自動的に実行する。
【0052】
図8を参照して、処理手順の概略を説明する。
車両側無線機2は、認証データ5aを作成して、認証データ5aを携帯側無線機3に送信する。
次に、送信した認証データ5aと同一のデータを論理演算することにより、車両側演算データ13を作成する。車両側演算データ13は、車両側照合データ7aと受信周波数データ7bとを含む。
そして、受信周波数データ7bにより決定される受信周波数7b´の周波数Fにより、携帯側無線機3が送信する携帯側照合データ11aを受信して、車両側照合データ7aと携帯側照合データ11aとの照合を行う。
一方、携帯側無線機3は、車両側無線機2が送信する認証データ5aを受信する。
次に、受信した認証データ5aを用いて、車両側無線機2と同一の論理演算をすることで、携帯側演算データ14を作成する。携帯側演算データ14は、携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bとを含む。
そして、送信周波数データ11bにより決定される送信周波数11b´の周波数F(受信周波数7b´と同一の周波数)により、車両側無線機2に対して、携帯側照合データ11aを送信する。
また、車両側無線機2と携帯側無線機3との間でデータのやり取りが継続して行われる場合には、車両側無線機2においては、認証データ送信周波数変更手段26が、受信した携帯側照合データ11aを基に論理演算することで認証データ送信周波数26aを変更する。そして、当該認証データ送信周波数26aにより、車両側認証データ送信手段10は認証データ5aを携帯側無線機3に送信する。なお、ここで言う変更には、変更することにより同一の周波数となることも含むことを意味する。
一方、携帯側無線機3においては、認証データ受信周波数変更手段27は、携帯側演算データ作成手段11が作成し車両側無線機2に向けて送信した携帯側照合データ11aを基に論理演算することで認証データ受信周波数27aを変更する。そして、当該認証データ受信周波数27aにより、携帯側認証データ受信手段10は認証データ5aを受信する。なお、ここで言う変更には、変更することにより同一の周波数となることも含むことを意味する。
つまり、認証データ送信周波数変更手段26及び認証データ受信周波数変更手段27が、携帯側照合データ11aを基として共通の論理演算により同一の周波数となる認証データ送信周波数26a及び認証データ受信周波数27aを決定する。したがって、認証データ5aを送受信する周波数の秘匿性が高くなり、より一層、リレーアタックを防止することができる。
以上により、車両側無線機2において、照合が成立する場合には、ドアの開錠、施錠やエンジン始動などが実行される。
【0053】
次に、具体的な処理手順について説明する。具体的には、車両側無線機2の処理手順は、図4に示すフローチャートとS5及びS6以外は、同様の処理手順となるため、説明を省略し、S5及びS6に変わる手順を、図9を参照して説明する。
【0054】
S5に代わるS5´では、照合ECU15は、S4で送信した認証データ5aと同一の認証データ5aと、メモリに記憶された車両情報4と、を特定のアルゴリズムに従って合成して車両側演算データ13を作成し、S6に代わるS6´に進む。S5´の演算結果である車両側演算データ13は、車両側照合データ7aと受信周波数データ7bとを含む。
そのため、S6´において、照合ECU15は、車両側演算データ13から車両側照合データ7aと受信周波数データ7bを選択し、S7へ進み、図4と同様の手順を行う。よって、車両側照合データ7aにより受信周波数データ7bを決定する場合に比べ、応答性を落さずに受信周波数7b´を決定することができる。
【0055】
一方、携帯側無線機3の処理手順は、図5に示すフローチャートとS103及びS104以外は、同様の処理手順となるため、説明を省略し、S103及びS104に変わる手順を、図10を参照して説明する。
【0056】
S103に代わるS103´では、携帯側制御手段17は、S102で受信した認証データ5aと、メモリに記憶された車両情報4と、を特定のアルゴリズムに従って合成して携帯側演算データ14を作成し、S104に代わるS104´に進む。S104´の演算結果である携帯側演算データ14は、携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bとを含む。
そのため、S104´において、携帯側制御手段17は、携帯側演算データ14から携帯側照合データ11aと送信周波数データ11bを選択し、S105へ進み、図5と同様の手順を行う。よって、携帯側照合データ11aにより送信周波数データ11bを決定する場合に比べ、応答性を落さずに送信周波数11b´を決定することができる。
【0057】
図8ないし図10で示した、処理手順においては、論理演算した車両側演算データ13又は携帯側演算データ14の一部が受信周波数データ7b又は送信周波数データ11bとなるため、受診周波数データ7b及び送信周波数データ11bの解読が困難で秘匿性が高くなり、リレーアタックを効果的に防止することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 車両用無線装置
2 車両側無線機
3 携帯側無線機
4 車両情報
5 認証データ作成手段
5a 認証データ
6 車両側認証データ送信手段
7 車両側演算データ作成手段
7a 車両側照合データ
7b 受信周波数データ
7b´ 受信周波数
8 受信手段
9 照合手段
10 携帯側認証データ受信手段
11 携帯側演算データ作成手段
11a 携帯側照合データ
11b 送信周波数データ
11b´ 送信周波数
12 送信手段
13 車両側演算データ
14 携帯側演算データ
15 照合ECU
16 車両側制御手段
17 携帯側制御手段
C 車両
H 人員
CN チャンネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側無線機は、
車両情報を照合するための認証データを作成する認証データ作成手段と、
車両に関与する人員が所持する携帯側無線機に前記認証データを送信する車両側認証データ送信手段と、
前記認証データを論理演算して、車両側照合データと、前記携帯側無線機が送信する携帯側照合データを受信する受信周波数を決定する受信周波数データと、を作成する車両側演算データ作成手段と、
前記受信周波数により前記携帯側照合データを受信する受信手段と、
前記車両側照合データと前記携帯側照合データとを照合する照合手段と、を有し、
前記携帯側無線機は、
前記認証データを受信する携帯側認証データ受信手段と、
前記認証データを論理演算して、前記携帯側照合データと、前記車両側無線機が受信する前記携帯側照合データを送信する送信周波数を決定する送信周波数データと、を作成する携帯側演算データ作成手段と、
前記送信周波数により前記携帯側照合データを送信する送信手段と、を備え、
前記車両側演算データ作成手段及び前記携帯側演算データ作成手段は、共通の論理演算により前記車両側照合データと前記携帯側照合データとを作成し、
前記車両側演算データ作成手段及び前記携帯側演算データ作成手段は、共通の論理演算により同一となる前記受信周波数と前記送信周波数を決定することを特徴とする車両用無線装置。
【請求項2】
前記車両側演算データ作成手段は、前記車両側照合データを論理演算することにより、前記受信周波数データを作成し、
前記携帯側演算データ作成手段は、前記携帯側照合データを論理演算することにより、前記送信周波数データを作成することを特徴とする請求項1に記載の車両用無線装置。
【請求項3】
前記車両側演算データ作成手段が、前記認証データを論理演算した車両側演算データは、前記車両側照合データと前記受信周波数データとを含み、
前記携帯側演算データ作成手段が、前記認証データを論理演算した携帯側演算データは、前記携帯側照合データと前記送信周波数データとを含むことを特徴とする請求項1に記載の車両用無線装置。
【請求項4】
前記車両側照合データは、前記車両情報を照合する車両側車両情報照合データと車両側予備照合データとを含み、
前記受信周波数データは、前記車両側車両情報照合データを受信する車両情報受信周波数データと、前記車両側予備照合データを受信する予備受信周波数データとを含み、
前記携帯側照合データは、前記車両情報を照合する携帯側車両情報照合データと携帯側予備照合データとを含み、
前記送信周波数データは、前記携帯側車両情報照合データを送信する車両情報送信周波数データと前記携帯側予備照合データを送信する予備送信周波数データとを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両用無線装置。
【請求項5】
前記車両側照合データは、前記車両側予備照合データ及び前記予備受信周波数データとを複数有し、
前記携帯側照合データは、前記携帯側予備照合データ及び前記予備送信周波数データとを複数有することを特徴とする請求項4に記載の車両用無線装置。
【請求項6】
前記車両側演算データ作成手段及び前記携帯側演算データ作成手段が、共通の論理演算により同一となる前記受信周波数と前記送信周波数を決定する周波数は、該共通の論理演算によりランダムに変更することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両用無線装置。
【請求項7】
前記受信周波数及び前記送信周波数は、変更する周波数のチャンネルが予め設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用無線装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−67500(P2012−67500A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−212917(P2010−212917)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】