説明

車両用物体検出装置

【課題】電磁波を用いて物体を検知する場合、路側に存在する物体が誤まって自車の進路に侵入したと誤検知されるのを防止するようにした車両用物体検出装置を提供する。
【解決手段】自車の進路を推定し(S12)、検知された物体が進路の側方に存在する路側物か否か判定し(S14)、推定された進路と路肩との境界線を設定し(S16)、検知された物体が進路の側方に存在する路側物と判定されるとき、物体を構成する点群のいずれかが境界線を越えて自車の進路に侵入したか否か判定し(S18からS22)、点群のいずれかが境界線を越えて進路に侵入したと判定されるとき、物体を障害物と判定する(S24)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用物体検出装置に関し、より具体的には電磁波を用いて検知された看板などの路側物の反射点の点群が他の路側物に乗り移ることで生じる物体の誤検出を防止するようにした装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自車の進行方向に電磁波を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた反射点の点群に基づいて車両進行方向前方の歩行者などの横移動物体を検知することは良く行われており、その例として下記の特許文献1記載の技術を挙げることができる。その従来技術においては、物体の横移動速度と位置と大きさとを総合的に勘案して歩行者などか否か判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−251200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁波を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた点群に基づいて物標を検知し、それから自車の進路に侵入/存在する物体を検出する場合、物体を構成する反射点の点群の乗り移りに起因して誤検出してしまうことがある。
【0005】
即ち、図4に示す如く、自車の進路の外側に検知されていた看板などの物体からの反射波が途切れた場合、トラッキング処理によってポールなどの別の物体の反射波(別の物体を構成する反射点の点群)に結び付けられてしまうことが生じる。特に自車の進路の内側の反射波に結び付けられると、その看板などの物体があたかも自車の進路に侵入したかのように誤認してしまうことがある。その点で上記した特許文献1記載の技術では物体の横移動速度などを用いて検出しているため、そのような誤検出を防止することができなかった。
【0006】
従って、この発明の目的は上記した課題を解決し、電磁波を用いて物体を検知する場合、路側に存在する物体が誤って自車の進路に侵入したと誤検知するのを防止するようにした車両用物体検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を解決するために、請求項1にあっては、自車の進行方向に電磁波を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた点群に基づいて物体Aを検出する車両用物体検出装置において、自車の進路を推定する自車進路推定手段と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物か否か判定する路側物判定手段と、前記推定された進路と路肩との境界線を設定する境界線設定手段と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物と判定されるとき、前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線を越えて前記自車の進路に侵入したか否か判定する進路侵入判定手段と、前記点群aのいずれかが前記境界線を越えて前記進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する障害物判定手段とを備える如く構成した。
【0008】
請求項2に係る車両用物体検出装置にあっては、前記境界線設定手段は、前記物体Aと前記自車との間に検知された物体Bを構成する点群bの重心位置を前記境界線と設定する如く構成した。
【0009】
請求項3に係る車両用物体検出装置にあっては、前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線に対して前記自車の進路の反対側において前記境界線に向けて移動すると共に、前記物体Aを構成する点群aのいずれかの前記反射点の反射強度が低下したか否か判定する進路外判定手段を備え、前記進路侵入判定手段は、前記点群aのいずれかが前記境界線に向けて移動し、前記点群aのいずれかの反射強度が低下したと判定されると共に、前記点群aのいずれかが前記進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する如く構成した。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に係る車両用物体検出装置にあっては、自車の進路を推定し、検知された物体Aが進路の側方に存在する路側物か否か判定し、推定された進路と路肩との境界線を設定し、検知された物体Aが進路の側方に存在する路側物と判定されるとき、物体Aを構成する反射点の点群aのいずれかが境界線を越えて自車の進路に侵入したか否か判定し、反射点の点群aのいずれかが境界線を越えて進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する如く構成したので、電磁波を用いて物体を検知する場合、路側(境界線付近)あるいはその外に存在する物体が誤って自車の進路に侵入したと誤検知するのを防止することができる。また、それによって不要な接触回避制御などを抑制することができる。
【0011】
請求項2に係る車両用物体検出装置にあっては、物体Aと自車との間に検知された物体Bを構成する反射点の点群bの重心位置を境界線と設定する如く構成したので、境界線を適正かつ容易に設定することができ、路側(境界線付近)あるいはその外に存在する物体が誤って自車の進路に侵入したと誤検知するのを確実に防止することができる。
【0012】
請求項3に係る車両用物体検出装置にあっては、物体Aを構成する反射点の点群aのいずれかが境界線に対して自車の進路の反対側において境界線に向けて移動すると共に、物体Aを構成する点群aのいずれかの反射点の反射強度が低下したか否か判定し、反射点の点群aのいずれかが境界線に向けて移動し、点群aのいずれかの反射強度が低下したと判定されると共に、点群aのいずれかが進路に侵入したと判定されるとき、物体Aを障害物と判定する如く構成したので、路側(境界線付近)あるいはその外に存在する物体が誤って自車の進路に侵入したと誤検知するのを一層確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施例に係る車両用物体検出装置を全体的に示す概略図である。
【図2】図1に示す車両用物体検出装置の動作を示すフロー・チャートである。
【図3】図2フロー・チャートの処理を説明する説明図である。
【図4】図2フロー・チャートの処理が解決しようとする、物標の乗り移りに起因した物体の誤検出を具体的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に即してこの発明に係る車両用物体検出装置を実施するための形態について説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、この発明の実施例に係る車両用物体検出装置を全体的に示す概略図である。
【0016】
図1において、符号10は車両(以下「自車」という)を示し、その前部には4気筒のエンジン(内燃機関。図1で「ENG」と示す)12が搭載される。エンジン12の出力は自動変速機(図1で「T/M」と示す)14に入力される。自動変速機14は前進5速、後進1速の有段式であり、エンジン12の出力はそこで適宜変速されて左右の前輪16に伝えられ、左右の前輪16を駆動しつつ、左右の後輪20を従動させて自車10を走行させる。
【0017】
自車10の運転席にはオーディオスピーカとインディケータからなる警報装置22が設けられ、音声と視覚によって運転者に警報する。自車10の運転席床面に配置されたブレーキペダル24は、マスタバック26、マスタシリンダ30およびブレーキ油圧機構32を介して左右の前輪16と後輪20のそれぞれに装着されたブレーキ(ディスクブレーキ)34に接続される。
【0018】
運転者がブレーキペダル24を踏み込むと、その踏み込み力はマスタバック26で増力され、マスタシリンダ30は増力された踏み込み力で制動圧を発生し、ブレーキ油圧機構32を介して前輪16と後輪20のそれぞれに装着されたブレーキ34を動作させ、自車10を減速させる。ブレーキペダル24の付近にはブレーキスイッチ36が配置され、運転者によってブレーキペダル24が操作されるとき、オン信号を出力する。
【0019】
ブレーキ油圧機構32は、リザーバに接続される油路に介挿された電磁ソレノイドバルブ群、油圧ポンプ、および油圧ポンプを駆動する電動モータ(全て図示せず)などを備える。電磁ソレノイドバルブ群は駆動回路(図示せず)を介してECU(電子制御ユニット)38に接続され、よって4個のブレーキ34は、運転者によるブレーキペダル24の操作とは別に、ECU38によって相互に独立して作動するように構成される。
【0020】
また、前輪付近には操舵をアシストする電動モータ40が配置されて操舵をアシストする。即ち、ステアリングシャフトなどから伝達されるステアリングホイールの回転運動をピニオンを介してラックの往復運動に変換し、タイロッド(図示せず)を介し前輪を転舵させる機構において、そのラック上に電動モータ40が配置される。
【0021】
電動モータ40も駆動回路(図示せず)を介してECU38に接続される。ECU38は、障害物を操舵によって回避する必要があるとき、電動モータ40を動作させて乗員(運転者)が操舵によって障害物を回避するのをアシストする。
【0022】
自車10の前部にはレーダ(レーザスキャンレーダ)42が設けられる。レーダ42は自車10の進行方向に向けてレーザ光(電磁波(搬送波))を発射し、進行方向に存在する物体(先行車などの障害物)からのレーザ光の反射波を受信することにより、物体を検知する。
【0023】
レーダ42の出力はマイクロコンピュータからなるレーダ出力処理ECU(電子制御ユニット)44に送られる。レーダ出力処理ECU44では、レーザ光を発射してから反射光を受信するまでの時間が測定されて物体までの相対距離が算出され、さらに相対距離を微分することで物体までの相対速度が求められる。また、反射波の入射方向から物体の方位を検知し、物体の二次元情報を得る。
【0024】
レーダ出力処理ECU44の出力は、ECU(電子制御ユニット)38に送られる。図示は省略するが、ECU38は、CPU,RAM,ROM、入出力回路などからなるマイクロコンピュータから構成される。
【0025】
前輪16と後輪20の付近には車輪速センサ46がそれぞれ配置され、各車輪の所定回転角度ごとにパルス信号を出力する。自車10の運転席に設けられたステアリングホイール50の付近には操舵角センサ52が配置され、運転者によって入力されたステアリングホイール50の操舵角に比例する出力を生じる。自車10の重心位置付近にはヨーレートセンサ54が配置され、自車10の鉛直軸(ヨー軸)回りのヨーレート(回転角速度)に比例する出力を生じる。
【0026】
また、エンジン12のクランクシャフト(図示せず)の付近にはクランク角センサ60が配置されてクランク角度を示すパルス信号を出力すると共に、吸気管(図示せず)には吸気管内絶対圧センサ62が配置されて吸気管内絶対圧(エンジン負荷)に応じた信号を出力する。スロットルバルブ(図示せず)の付近にはスロットル開度センサ64が配置され、スロットル開度に応じた信号を出力する。
【0027】
上記したセンサ群の出力も、ECU38に送出される。ECU38は4個の車輪速センサ46の出力をカウントし、その平均値を算出するなどして自車10の走行速度を示す車速を検出すると共に、クランク角センサ60の出力をカウントしてエンジン回転数NEを検出する。
【0028】
さらに、自車10にはナビゲーション装置70が搭載される。ナビゲーション装置70は、現在位置検出部70aと、ナビゲーション処理部70bと、地図データ記憶部70cと、入力部70dと、表示部70eからなる。
【0029】
現在位置検出部70aは、GPS(Global Positioning System)信号などの測位信号を受信する測位信号受信部70a1と、自車10の水平面での向きや鉛直方向に対する傾斜角度などに応じた信号を出力するジャイロセンサ70a2を備え、受信した測位信号あるいはジャイロセンサ70a2と前記した車輪速センサ46の出力に基づく自律航法に基づいて自車10の現在位置を算出する。
【0030】
地図データ記憶部70cはCD−ROMなどの記憶媒体からなり、自車10が走行する道路の幅員、交差点、右折レーンなどを含む地図(道路)データを記憶(格納)する。入力部70dはスイッチ群やキーボードなどからなり、表示部70eはディスプレイを備える。
【0031】
ナビゲーション処理部70bは、地図データ記憶部70cに記憶される地図(道路)データにおいて現在位置検出部70aで得られる自車10の現在位置、あるいは入力部70dに入力される自車10の位置などを表示部70eに表示させる。
【0032】
ナビゲーション処理部70bとECU38は通信自在に接続され、ナビゲーション処理部70bは自車10が走行する位置を道路地図データ上に特定する情報をECU38に出力する。
【0033】
図2は、図1に示す装置の動作を示すフロー・チャートである。
【0034】
以下説明すると、S10においてレーダ42の検知情報を取り込む。即ち、図3に示す如く、自車(車両)10の進行方向にレーダ42から電磁波を経時的に送信し、進行方向に存在する全ての物体(物標)に反射させて得た反射点に基づいて物体を経時的に検知する。
【0035】
レーダ42の検知領域(符号42aで示す)では、図3に示す如く、物体は電磁波の反射点として捉えられる。その反射点を自車10の進行方向(前後方向)とそれに直交する方向(左右方向)からなる、レーダ出力処理ECU44のメモリに設けられたスキャナデータ上の、2次元平面に投影した場合、物体の反射点は複数個互いに近い位置に連続して分布するため、物体は反射点の集合(点群)として検出される。
【0036】
ここで、この発明の課題を再説すると、自車の進行方向にレーザ(電磁波)を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた点群に基づいて物標を検知し、それから自車の進路に侵入/存在する物体を検出する場合、点群の乗り移りに起因して誤検出してしまうことがある。
【0037】
図4を参照して説明すると、同図(a)に示すような自車10の進路の外側(路側)の上方位置に看板などの上方物(物体A)が存在する走行路を走行する場合、同図(b)に示すように自車10が物体Aの遠方にあるときはレーザが当たるために反射波が戻ってくるが、同図(c)に示すように物体Aに接近すると、レーザが当たらないために反射波が戻ってこない。
【0038】
このように、看板のような上方物は遠方では検出されるが、近場で検出が途切れるため、検知されていた物体Aからの反射波が途切れたとき、トラッキング処理によって物体Aの点群aのいずれかが別の物体Bの反射波(物体Bを構成する反射点の点群b)に結び付けられてしまうことがある。
【0039】
特に、同図(d)に示す如く、物体Bとしてポールなどの路側物が検出されているとき、物体A(看板)の反射点の点群aのいずれかが物体B(ポール)の反射点の点群bに乗り移ることがあり、さらに同図(e)に示すように進路の内側に侵入すると、その物体Aがあたかも自車10の進路に侵入したかのように誤認してしまうことがあることから、この発明はその不都合を解消することを課題とする。
【0040】
図2フロー・チャートの説明に戻ると、次いでS12に進み、車輪速センサ46とヨーレートセンサ54の出力から自車10の車速とヨーレート(自車の運動状態)を検出し、検出された運動状態から自車10の進路を推定する。尚、それに代え、ナビゲーション装置70の地図データ記憶部70cにアクセスして自車10が現在走行している道路についての情報を取得しても良い。
【0041】
次いでS14に進み、レーダ42の出力から検出された物体が推定された自車10の進路の側方に存在するかどうか判断する。
【0042】
図3(a)を参照して説明すると、検知された物体はスキャナデータ上の2次元平面上に反射点の点群で示されるが、そこには自車10の進路(符号10aで示す)も表示される。従って、S14の処理においては検出された物体が進路10aの側方に存在する路側物か否か判断する。
【0043】
路側物は物体A(看板)、物体B(ポール)の他、進路の側方に存在するガードレール、建物などのさまざまな物体を意味する。路側物は物体A(看板)のように1個であっても良く、物体B(ポール)のように複数個であっても良い。
【0044】
S14で否定されるときは以降の処理をスキップすると共に、肯定されるときはS16に進み、路側(推定された自車10の進路10aと路肩との境界線)10bを設定する。この路側(境界線)10bの設定は、図3(a)に示す如く、検出された物体の重心位置、具体的には進路の側方に進路に沿って検出される複数個の物体、図示例では物体Aと自車10との間に検知された物体B(ポール)の重心位置、より具体的には物体Bの複数の重心位置の中心(平均)とする。
【0045】
尚、それに代え、路側10bは、推定された自車10の進路10aを中心として左に所定距離(例えば1.8m)だけ離間した位置に設定しても良く、あるいはナビゲーション装置70から取得された道路情報に基づいて設定しても良い。
【0046】
次いでS18に進み、路側10bの外で検出された物体A(看板)を構成する反射点の点群aのいずれかが路側10bに対して自車10の進路10aの反対側10cにおいて境界線10bに向けて移動、即ち、物体B(ポール)を構成する反射点の点群bに向けて移動するか否か判断する。即ち、図3(b)に示す如く、看板を構成する反射点の点群のいずれかがポールを構成する点群に乗り移ったか否か判断する。
【0047】
S18で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS20に進み、物体A(看板)を構成する反射点の点群aのいずれかの反射点の反射強度が低下したか否か判定する。即ち、自車10の接近に伴ってレーダ42の検知範囲から外れつつあるか否か判断する。
【0048】
S20で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS22に進み、物体Aを構成する反射点の点群aのいずれかが路側10bを越えて自車10の進路10aに侵入したか否か判定する。図3(c)(d)にそれを示す。
【0049】
図3(d)に示す状態にあるときはS22で否定されて以降の処理をスキップする一方、図3(c)に示す状態にあるときは肯定されてS24に進み、前記物体Aを障害物と判定すると共に、接触回避支援制御を実行する。
【0050】
即ち、図示しない別ルーチンにおいて自車10の進路10aにおいて物体Aと接触の可能性があるか否か判断され、接触の可能性があると判断されるとき、警報装置22による警報(あるいはブレーキ油圧機構32を介しての制動あるいは電動モータ40を介しての操舵アシスト)などの接触回避支援制御が実行される。
【0051】
この実施例は上記のように構成したので、レーダ42を用いて物体を検知する場合、路側(境界線付近)10bに存在する物体Aが誤って自車10の進路10aに侵入したと誤検知するのを防止でき、不要な接触回避制御などを抑制することができる。
【0052】
以上の如く、この実施例にあっては、自車10の進行方向に電磁波を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた点群に基づいて物体Aを検出する車両用物体検出装置において、自車10の進路10aを推定する自車進路推定手段(ECU38,S12)と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物か否か判定する路側物判定手段(ECU38,S14)と、前記推定された進路と路肩との境界線10bを設定する境界線設定手段(ECU38,S16)と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物と判定されるとき、前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線を越えて前記自車の進路に侵入したか否か判定する進路侵入判定手段(ECU38,S18からS22)と、前記点群aのいずれかが前記境界線10bを越えて前記進路10aに侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する障害物判定手段(ECU38,S24)とを備える如く構成したので、電磁波(レーダ42)を用いて物体を検知する場合、路側(境界線付近)10bあるいは反対側(外)10cに存在する物体Aが誤って自車10の進路10aに侵入したと誤検知するのを防止することができる。また、それによって不要な接触回避制御などを抑制することができる。
【0053】
また、前記境界線設定手段は、前記物体Aと前記自車との間に検知された物体Bを構成する点群bの重心位置、より具体的にはその中心を前記境界線10bと設定する(S16)如く構成したので、境界線10bを適正かつ容易に設定することができ、よって路側(境界線付近)10bあるいは反対側(外)10cに存在する物体Aが誤って自車10の進路10aに侵入したと誤検知するのを確実に防止することができる。
【0054】
また、前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線10bに対して前記自車10の進路10aの反対側10cにおいて前記境界線10bに向けて移動すると共に、前記物体Aを構成する点群aのいずれかの前記反射点の反射強度が低下したか否か判定する進路外判定手段(ECU38,S18,S20)を備え、前記進路侵入判定手段は、前記点群aのいずれかが前記境界線10bに向けて移動し、前記点群aのいずれかの反射強度が低下したと判定されると共に、前記点群aのいずれかが前記進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する如く構成したので、路側(境界線付近)10bあるいは反対側(外)10cに存在する物体Aが誤って自車10の進路10aに侵入したと誤検知するのを一層確実に防止することができる。
【0055】
尚、上記において、電磁波を送信する装置としてレーザレーダを開示したが、それに代え、あるいはそれに加え、ミリ波レーダを用いても良い。
【符号の説明】
【0056】
10 車両(自車)、10a 進路、10b 路側(境界線)、10c 反対側、12 エンジン(内燃機関)、16 前輪、20 後輪、22 警報装置、34 ブレーキ、36 ブレーキスイッチ、38 ECU(電子制御ユニット)、40 電動モータ、42 レーザレーダ、44 レーダ出力処理ECU、46 車輪速センサ、50 ステアリングホイール、52 操舵角センサ、54 ヨーレートセンサ、60 クランク角センサ、62 吸気管内絶対圧センサ、64 スロットル開度センサ、70 ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の進行方向に電磁波を送信して得た反射点を2次元平面に投影して求めた点群に基づいて物体Aを検出する車両用物体検出装置において、自車の進路を推定する自車進路推定手段と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物か否か判定する路側物判定手段と、前記推定された進路と路肩との境界線を設定する境界線設定手段と、前記検知された物体Aが前記進路の側方に存在する路側物と判定されるとき、前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線を越えて前記自車の進路に侵入したか否か判定する進路侵入判定手段と、前記点群aのいずれかが前記境界線を越えて前記進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定する障害物判定手段とを備えたことを特徴とする車両用物体検出装置。
【請求項2】
前記境界線設定手段は、前記物体Aと前記自車との間に検知された物体Bを構成する点群bの重心位置を前記境界線と設定することを特徴とする請求項1記載の車両用物体検出装置。
【請求項3】
前記物体Aを構成する点群aのいずれかが前記境界線に対して前記自車の進路の反対側において前記境界線に向けて移動すると共に、前記物体Aを構成する点群aのいずれかの前記反射点の反射強度が低下したか否か判定する進路外判定手段を備え、前記進路侵入判定手段は、前記点群aのいずれかが前記境界線に向けて移動し、前記点群aのいずれかの反射強度が低下したと判定されると共に、前記点群aのいずれかが前記進路に侵入したと判定されるとき、前記物体Aを障害物と判定することを特徴とする請求項1または2記載の車両用物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−221239(P2012−221239A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86609(P2011−86609)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】