車両用画像表示装置
【課題】自車両の前方や後方等を撮影して運転者の運転を補助し、撮影した画像に含まれる個人情報を保護することができる車両用画像表示装置を提供する。
【解決手段】車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、カメラ画像を利用して第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、周辺監視部によって第2の車両の存在を判別したとき、第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、カメラ画像にマスク画像及び識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備する。
を具備する。
【解決手段】車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、カメラ画像を利用して第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、周辺監視部によって第2の車両の存在を判別したとき、第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、カメラ画像にマスク画像及び識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備する。
を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載したカメラで車両の前方や後方の映像を撮影し、車両の周辺画像を表示することで運転の補助を行う車両用画像表示装置に係り、特にプライバシーの保護を図った車両用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に複数のカメラを搭載し、自車の前方や後方等を撮影し、走行中の見えにくい領域を撮影して運転者に視認させたり、後方車両の異常な接近や挙動を監視したり、或いはバックして駐車する際に後方画像を表示して運転の補助を行うようにした車両用画像表示装置が知られている。
【0003】
一方、近年のカメラ性能は日増しに改善され、高分解能化が進み、かつ夜間撮影等にも対応したカメラもある。このため、車両に搭載したカメラで自車の前方や後方を撮影した場合、例えば前方車両や後方車両に乗っている人物などが映ることがある。また前方車両或いは後方車両の車室内に置かれた書類や車両のナンバープレート等を撮影してしまうことがある。
【0004】
しかしながら、カメラで撮影した画像には個人のプライバシーに関する画像、例えば人物の顔、ナンバープレート等が含まれることがあるため、人間の視力を越える高性能カメラで撮影した画像が保存された場合は、プイバシーの侵害や盗撮扱いされる可能性もある。
【0005】
カメラが高性能化して、詳細でクリアな画像が見られるようになれば、前後車両の車室内の個人情報をどの様に保護するかが将来的に課題となる。高性能カメラのズーム機能や微光撮影機能の有無は被写体側からは関知しようがないため、カメラによる撮影が車両の運転を補助するための撮影行為なのか、故意の盗撮行為なのかは区別できない。しかも技術の進化やニーズの高まりにより、より高性能な基本性能を備え、かつ暗闇でも見通せるような車載カメラが発達することも十分に予想される。
【0006】
したがって、ドライブアシストを目的とした車載カメラが普及したときに、カメラによる車両周辺の監視が常時行われると、他車からはカメラ搭載車両が前後に居る間は継続して室内が見られる状況にあるため、感情的に気持ちのよいものではない。そのためカメラを搭載した車載機器は、将来的に個人情報を保護するための対策を採る必要があると考えられる。
【0007】
特許文献1にはプライバシーを保護する目的で、乗員個人を特定する情報(例えば乗員の顔を含む画像)をマスク処理する車内環境記録装置が開示されている。また特許文献2には、監視システムにおいて、カメラで撮影した画像のうちナンバープレート部分を識別して隠蔽する画像処理装置が開示されている。さらに特許文献3には、前方車両や右折車両等によって生じる死角の状況を把握するため、レーダ装置を用いて監視する例が開示されている。
【0008】
しかしながら、カメラ性能の向上を考慮すると他車の乗員の顔画像やナンバープレート部分をマスクするだけでは個人情報を保護することは難しく、更なる改善が望まれている。また前方や後方車両のマスク領域を広げた場合、前方車両の窓を通して認識していた前前方車両が隠されてしまう可能性があり、ドライブアシストの機能が低下してしまう。またレーダ装置を使用することはコスト的に不利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−9761号公報
【特許文献2】特開2007−164275号公報
【特許文献3】特開2007−164275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の車両用画像表示装置では、撮影した画像の一部(例えば顔やナンバープレート等)をマスクして個人情報の保護を図ったものもあるが、マスク領域を広げた場合、前前方車両(又は後後方車両)が隠されてしまう可能性があり、ドライブアシストの機能が低下するという不具合があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑み、自車両の前方や後方等の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した画像に含まれる個人情報を保護することができる車両用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の車両用画像表示装置は、車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、前記複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、前記カメラ画像を利用して前記第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、前記周辺監視部によって前記第2の車両の存在を判別したとき、前記第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、前記カメラ画像に前記マスク画像及び前記識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用画像表示装置によれば、自車両の前方や後方の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した前方車両や後方車両の窓部等をマスクすることで個人情報を保護することができる。また、マスク処理によって前前方車両や後後方車両が隠される場合でも疑似画像を表示して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態の動作を説明する車両位置の一例を示す図。
【図3】自車両の前方を撮影した画像の一例を示す説明図。
【図4】前方車両の一部をマスク画像でマスクした例を示す説明図。
【図5】並走車のマスク処理の一例を示す説明図。
【図6】前方車両の画像に前前方車両の疑似画像を合成した例を示す説明図。
【図7】画像処理部の動作を説明するフローチャート。
【図8】周辺監視部における前前方車両の検出動作を示す説明図。
【図9】前方車両と前前方車両の配列の一例を示す説明図。
【図10】前方車両の前の物体を前前方車両と認識するまでのフローチャート。
【図11】前前方車両を画像から検出するためのフローチャート。
【図12】前前方車両が検出できなかった場合のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図である。図1の車両用画像表示装置は、撮像部10、画像処理部20、車両情報生成部30、操作部40及び表示部50を備えている。
【0017】
撮像部10は、自車両の周囲の映像を撮影する複数のカメラ11,12…nを有している。カメラ11,12…nは、車両の前方、後方、及び左側、右側等をそれぞれ撮影するものであり、前方車両や後方車両、対向車両など、自車両の周囲の映像を撮影することができる。各カメラ11,12…nは、自車両の任意の位置に取り付けられる。以下の説明では、自車両の前方及び後方を撮影する前方カメラ11と後方カメラ12を備えた例を説明する。
【0018】
画像処理部20は、制御部21、マスク画像生成部22、周辺監視部23、識別画像生成部24、カメラ画像処理部25及び合成処理部26を含む。制御部21は、CPU,ROM,RAM等を有し、操作部40からの操作に応答して画像処理部20及び撮像部10の動作を制御する。マスク画像生成部22は、カメラ11,12で撮影した画像のうち、前方車両や後方車両の窓やナンバープレート部分等をマスク(masking)する画像を生成する。
【0019】
周辺監視部23は、前方車両や後方車両によって隠されてしまう可能性がある前前方車両や後後方車両を監視する。識別画像生成部24は、周辺監視部23の監視結果をもとに、前前方車両や後後方車両の存在を示す識別画像、例えば前前方車両や後後方車両の疑似画像(イラスト)を生成する。カメラ画像処理部25は、複数のカメラ11,12…で撮像した画像を処理し、前方画像又は後方画像等、表示部50に表示する画像を選択処理して合成処理部26に供給する。合成処理部26は、カメラ画像処理部25から出力されたカメラ画像に、マスク画像生成部22からのマスク画像と識別画像生成部24からの疑似画像を合成して表示部50に出力する。
【0020】
車両情報生成部30は、ナビゲーション装置31を含む。ナビゲーション装置31は、自車両の現在位置を検出するGPS受信部、地図データを格納した記録媒体、目的地までの経路を探索する探索部等を有する。また自車両の車速、加速度、傾き等を検出する車速度センサやジャイロセンサ等を有し、これらGPS受信部、記録媒体、探索部、車速センサやジャイロセンサ等がCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して接続されている。したがって、車両情報生成部30からは、自車両の現在位置や進行方向(前進、バック、右・左折)等の情報を得ることができる。
【0021】
操作部40は、ユーザ(運転者等)が操作するもので、カメラ11,12で撮影した画像を表示する場合の画面切り替え操作等を行う。表示部50は、液晶ディスプレイ等の表示パネルを含み、表示部50をタッチパネル式とすることで操作部40を兼用することもでき、ナビゲーション画像を表示する際に現在地や目的地を入力することができる。
【0022】
以下。本発明の実施形態の動作を詳細に説明する。図2(a)は、自車両Aに備えた前方カメラ11で前方車両B及び前前方車両Cを撮影する例を示している。また図2(b)は自車両Aに備えた後方カメラ12で後方車両B及び後後方車両Cを撮影する例を示している。尚、前方車両B又は後方車両Bを総称して第1の車両Bと呼び、また前前方車両C又は後後方車両Cを総称して第2の車両Cと呼ぶこともある。
【0023】
本発明では、前方カメラ11又は後方カメラ12で撮像した背景画像の中に前方車両又は後方車両の画像が存在する場合に、個人情報に該当する画像を表示しないようにするため、例えば車両の窓、ナンバープレート、車のキャビン等の領域を自動認識する。そして認識した領域を個人情報保護領域として目隠しするため、マスク画像をリアルタイムで生成して、カメラ画像にオーバーラップさせて表示する。マスク画像としては、例えば該当領域を塗りつぶしたり、モザイク表示する画像がある。
【0024】
図3は、自車両の前方を撮影した画像の一例を示し、自車両の前に前方車両Bと前前方車両Cがあり、前方車両Bに対して前前方車両Cが小さい場合のリアルタイム画像を示している。一方、個人情報を含む画像をマスクするため、図4で示すように前方車両Bの窓及びナンバープレート部分は、マスク画像D1,D2によってマスクする。
【0025】
マスク画像D1,D2は、マスク画像生成部22によって生成されるが、窓は一般的に車両の上部にあり、また窓の色と車両本体の色が異なるため、窓の大体の位置と色情報とを基に窓部を判別しマスク画像D1を生成する。またナンバープレートは、一般的に車両の下部にあり、かつ長方形状であるため、大体の位置と形状でナンバープレート部分を判別しマスク画像D2を生成する。マスク画像D1,D2は合成処理部26でカメラ画像と合成される。
【0026】
尚、図4では前方車両Bの後方の窓と後方のナンバープレートをマスクする例を示しているが、後方車両Bについては、後方車両Bの前方の窓と前方のナンバープレートをマスクすることになる。また、マスク処理は前方車両や後方車両だけでなく、並走車両の画像についても行うと良い。
【0027】
例えば、片側2車線以上の広い道路では、自車両の右側や左側を別の車両が並走する場合がある。撮像部10の前方カメラ11や後方カメラ12の視野角が魚眼カメラのように広い場合、或いは自車両の右側及び左側にカメラを取り付けた場合は、並走車両を撮影することができるため、並走車両についてもマスク処理を行う。
【0028】
図5は、並走車のマスク処理の一例を示している。図5(a)はスポーツカーのように天井のない車両の一部をマスクする例であり、前方の窓と車両のキャビンの部分をマスク画像D3によってマスクし、ナンバープレートをマスク画像D4によってマスクする。オープンカーのように、天井部のない車両については、窓を含む車両の上部全体をマスクしてもよい。図5(b)はセダンタイプの並走車両の一部をマスクする例であり、前方の窓部分をマスク画像D5によってマスクし、ナンバープレートをマスク画像D6によってマスクする。
【0029】
一方、通常であれば、第1の車両Bの窓を通して第2の車両Cを確認することができるが、第1の車両Bの窓をマスクした場合、第2の車両Cが隠されてしまい目視できなくなる可能性がある。特に第2の車両Cが第1の車両Bよりも小さい場合は、第1の車両Bの窓だけでなく本体によっても隠されるため、より一層目視しにくくなる。
【0030】
そこで、本発明では、周辺監視部23で第2の車両Cの有無を監視し、第2の車両Cが居る場合に識別画像生成部24で第2の車両Cを模した疑似画像(イラストE)を生成し、合成処理部26でカメラ画像にイラストEを重ねて表示する。イラストEは、単純な図形や、個人的趣味のキャラクター図形などで良い。尚、周辺監視部23における第2の車両Cの監視方法については後述する。
【0031】
図6は、前方車両Bの画像に前前方車両CのイラストEを重ねて表示した例を示す。図6(a)は、図3のように前方車両Bによって前前方車両Cの一部が隠れている場合のイラストEの合成位置を示し、図6(b)は、前方車両Bによって前前方車両Cが殆ど隠れている場合のイラストEの合成位置を示す。
【0032】
自車両の運転者は、表示部50に表示されたカメラ画像を観察することで前方または後方の状況を確認できるが、個人のプライバシーを考慮して第1の車両Bの窓やナンバープレートはマスクするため、個人情報を保護することができる。また第1の車両Bの前方または後方にいる第2の車両Cの存在をイラストEで確認することができる。
【0033】
図7は、画像処理部20の動作を説明するフローチャートである。画像処理部20は、制御部21の制御のもとに以下のステップで動作する。
【0034】
図7において、ステップS1はリアルタイムの画像(マスクしない画像)が必要か否かを判断する。即ち、複数のカメラ11,12…からの画像や車両情報生成部30からの情報等を総合判断して緊急時か否かを判断し、事故もしくは緊急性のある場合、或いは事故回避を行う必要がある場合は、リアルタイム画像が望ましいと判断してステップS2に進み、マスク処理を行なわずに生画像による表示を行う。これによりステップS9において、図3のようなリアルタイム画像を表示する。
【0035】
ステップS1の判断がNOの場合、ステップ3では個人情報のマスクが必要か否かを判断する。例えば第1の車両Bの窓が黒い場合等は車室内が窓を通して見えないため、マスク処理をする必要がない。したがってマスクする必要がない場合は、ステップS2に進み図3のようにリアルタイム画像を表示する。
【0036】
ステップS3でマスクが必要であると判断した場合は、ステップ4においてマスク領域が全体画像に対して占める割合を判断する。つまり、被写体の窓が小さければ、窓を通して見た室内情報量も限られるのでプライバシーを侵害することはないと考えられる。したがって、撮影した画像の全領域に対して窓のマスク領域が予め設定した割合よりも小さい場合は、ステップS2に進み、マスク処理を行なわずに生画像による表示を行う。尚、ステップS9では、ナンバープレート部分をマスクすると良い。
【0037】
ステップ4においてマスク領域の画像が占める割合が大きいときは、ステップS5において自車両Aから第1の車両B及び建物までの距離を測定する。カメラ性能に鑑みて、第1の車両Bまでの距離が十分離れている場合は、個人情報等の撮影は困難であるため、ステップS2に進み、リアルタイム画像を表示する。尚、カメラの分解能や周囲状況(明暗、霧など)によって距離係数は変化する。また周辺に建物がある場合は、建物を撮影した中に個人情報に該当する画像(窓、表札等)が含まれる可能性があるため、同様にマスクする。
【0038】
ステップS5において第1の車両Bまでの距離が近い場合は、ステップS6でマスク領域を塗りつぶしてカメラ画像に重ねる。さらにステップS7では第2の車両の表示が必要か否かを判断する。つまりカメラ画像の一部をマスクしたことで、第1の車両のさらに前又は後ろに居る車両は陰に隠れて見えなくなってしまうため、それらの車両を表示する必要があるかないかを判断する。第2の車両がいない場合や距離が遠い場合は、ステップS10において、図4で示すように第1の車両Bの窓やナンバープレートをマスクした画像のみを合成して表示する。
【0039】
また第2の車両の表示が必要な場合は、ステップS8において第2の車両Cを表す疑似画像(イラストE)を合成し、ステップS11において図6に示すようなマスク画像D1,D2とイラストEが合成されたカメラ画像を表示する。
【0040】
尚、図4で示すように前前方車両Cの一部が前方車両Bからはみ出している場合は、前前方車両Cの隠れていない部分の生画像を識別画像として表示してもよいし、前前方車両Cの全体を疑似画像(イラスト)で表示してもよい。例えば、操作部40によって「生画像−イラスト」の表示切り替えを行うようにすると良い。イラストの表示を行った場合は、チラツキ現象を抑え、第2車室C内の個人情報をマスクすることができる。
【0041】
次に第2の車両Cの存在を確認して疑似画像を生成する方法を具体的に説明する。尚、以下の説明では前方車両Bの前に前前方車両Cが居るか否かを監視する場合を説明するが、後方車両Bの後ろに後後方車両Cが居るか否かを監視する場合も同じ手法を用いることができる。
【0042】
第2の車両Cの存在の有無は、制御部21の制御のもとに周辺監視部23によって行い、疑似画像の生成は識別画像生成部24が行う。周辺監視部23は、前方カメラ11で撮影した画像をもとに前方車両Bへの異常接近や挙動を監視しているが、同時に前方車両Bのひとつ先の前前方車両Cも同時に認識し、その存在と消失を判断する。例えば、以下の(1)〜(5)の判断ポイントをもとにカメラで撮影した画像情報から風景と切り分けて車両を見分ける。(1)前方車両Bの前に居る前前方車両Cをどのように認識するか、(2)画像情報に含まれる物体を車両と認識するか、(3)前前方車両Cが前方車両Bの陰に隠れて見えない期間の位置の判断と消失の判断、(4)前前方車両Cが別の車両にスリ替わったときの判断。以下、具体的に(1)〜(4)の判断ポイントについて説明する。
【0043】
(1)先ず周辺監視部23は、前方車両Bの形状、サイズ、外形色を判断して記録する。また形状、サイズから普通車、小型車、トラック等の大雑把な全長を推測する。前前方車両Cの検出は、前方車両Bの色と異なる物体、もしくは、前方車両のサイズ以上にはみ出した物体を検出する。或いは前方車両Bの窓を通して、または前方車両Bの上下や横から前前方車両Cを認識する。検出個所は、図8で例示するように、前方車両Bの窓F0、上部F1、下部F2、左横F3、右横F4の計5カ所である。
このとき、前方車両Bの窓を通して前前方車両Cが判断できたか、もしくは、前前方車両Cが前方車両Bの上下左右から2カ所以上にはみ出して認識できたかを記録し履歴を残す。こうして認識した結果をC車両存在フラグと呼ぶことにする。尚、前方車両B及び前前方車両Cが居なくなった場合は、認識結果を初期化する。
そして、前方車両Bの全長L1と、前方車両Bの前の物体までの距離L2、及び前方の風景までの距離L3(=∞)を基に、
L1<L2≦L3(=∞)…(1)
の条件が成り立てば、前方車両Bの前の物体を前前方車両Cと看做す。またこの時に、物体を車両と仮定して、前前方車両Cのサイズを推測して、「(仮)サイズ」として記録しておく(後述の「車両スリ替わり」を判定する際に利用する)。
【0044】
(2)前方車両Bのさらに前方の物体を前前方車両Cと認識するための条件は次の(a),(b)の通りである。このとき正式に車両と認識されるまでの物体を「車両(仮)」と呼ぶ。
(a)車両(仮)が、自車両および前方車両Bと同一車線を走行中である。
(b)同一車線でない時は、走行中に限り自車両A(あるいは前方車両B)から一定距離をM秒間保っている。
車両(仮)が実際に車両であると認識される前に停車した場合は、M秒カウントを一時停止するか、再度、車両(仮)が走行を開始した際にM秒カウントをリセットし、再度M秒カウントを行う。そして自車両Aが走行中だった場合に限り、一定距離を継続する物体は車両であると推察し、前方車両の全長L1と、前方車両の前の物体までの距離L2、及び前方車両の全長L1に所定距離Kを加算した距離L4を基に、
L1<L2≦L4(L4=L1+K)…(2)
の条件が成り立てば、前方車両Bの前の物体を前前方車両Cと看做す。
【0045】
(3)次に前述したC車両存在フラグにより、前前方車両Cが恒常的に居るものか、それとも車両の位置関係により一時的に視認できたものかを区分する。つまり、図9(a)のように、前方の普通車Bの前に大型の車両Cが居る場合は、恒常的に大型車両Cを認識できるので、普通車Bの前からN秒間、大型車両Cが不可視になったなら居なくなったと判断する。
【0046】
また図9(b)のように、自車両の前方に大型車両Bが居て、さらにその前に普通車Cが居る場合は、自車両からは普通車Cが時々その一部しか視認できないので、大型車両Bの陰に隠れてずっと見えなくても居なくなったとは判断しない。こうして、B車両およびC車両と思われる物体の検出ポーリングを定期的に行い、前前方車両Cが画像上で不可視だった場合でも、N秒間は「居る」と判断し続ける。
【0047】
このときの前前方車両Cの位置は、次の(c)〜(e)の通りに判断する。
(c)前前方車両Cは、前方車両Bのさらに前方に居る。
(d)前前方車両Cは、前方車両の左右センター位置で上下位置は最後に認識した位置とする。
(e)前前方車両Cの前方車両Bとの相対距離は最後に認識した相対距離を維持する。
また、前前方車両Cが画像上で不可視の状態がN秒間継続された場合でも、一時的に視認できたと履歴されている場合は、居ないとは判断できないのでN秒後でも「居る」と判断する。但し自車両の前方の一定距離内に車両が存在しなくなった場合は、前方車両Bだけでなく前前方車両Cも「居なくなった」と判断する。
【0048】
(4)前前方車両Cの、推測サイズ、もしくは外形色が大きく変化した場合には、前前方車両Cが別の車両と入れ替わったと判断する。これを「車両スリ替わり」と呼び、C車両存在フラグをクリアする。車両がスリ替わったことに伴って、以前の車両に対してフラグ・情報を記録していた場合、これらの旧い情報はスリ替わったものと判定したタイミングでクリアし破棄する。
【0049】
こうして、前方車両Bの前に前前車両Cが居ると判断した場合は、前前車両Cの疑似画像(イラストE)を生成し、図6のようにイラストEをカメラ画像に合成して表示する。イラストEの位置は、前前車両Cの位置に応じて変化する。また前前方車両Cがスリ替わった場合は、スリ替わり後の車両に合わせて色やサイズを変化させ、過去のイラストは削除する。
【0050】
図10は、前方車両Bの前の物体が前前方車両Cと認識されるまでのフローチャートを示す。尚、以下の説明では、前方車両BをB車両と呼び、前前方車両CをC車両と呼ぶこともある。
【0051】
図10において、ステップ21ではB車両の情報を判定し記録する。つまりB車両が視認できる場合、形状やサイズ、及び自車両との距離を推測して記録する。またB車両の外形色の情報を記録する。ステップS22ではC車両(仮)情報を判定して記録する。ここでは、C車両と思われる物体の形状やサイズ、及び自車両からの距離を推測して記録する。またC車両の存在フラグやC車両(仮)の検出タイマーを設定する。ステップS23では、C車両(仮)が検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合はステップS24に進み、図12で後述するC車両、C車両(仮)が検出できない場合のフローに進む。
【0052】
ステップS23でC車両(仮)が検出できた場合は、ステップS25で車両のスリ替わりを検出する。車両のスリ替わりが検出されたときはステップS26でC車両(仮)として記録情報を再設定する。再設定後、又はステップS25で車両のスリ替わりが検出されなかった場合は、ステップS27でC車両(仮)とのL2距離が(1)式の条件を満たすか否かを判断する。(1)式の条件を満たさない場合はステッフS24に進み、満たす場合はステップS28でC車両(仮)が自車両Aの車線上にいるか否かを判断する。
【0053】
ステップS28の判断でC車両(仮)が同じ車線上にいない場合は、ステッフS24に進み、同じ車線上にいる場合はステップS29で自車両Aが走行中か否かを判断する。自車両Aが走行中でない場合は、ステッフS24に進み、走行中であればステップS30でC車両(仮)との距離L2が(2)式の条件を満たすか否かを判断する。(2)式の条件を満たさない場合はステッフS24に進み、満たす場合はステップS31でC車両(仮)は単なる物体ではなく車両と判断する。このとき、C車両フラグをオンにし、C車両消失タイマーをセットする。尚、C車両消失タイマーは、C車両が検出される度にリセットされる。
【0054】
図11は、C車両を画像から検出するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。図11において、ステップS41ではB車両が検出できたか否かを判断する。検出できた場合は、ステップS42ではB車両の窓を通してその前方にいるC車両と思える物体が検出できたか否かを判断する。C車両と思える物体が検出できた場合は、ステップS43に進み、C車両の存在フラグをオンにし、ステップS44では、C車両と思える物体が明確に検出できたとして、識別画像生成部24でC車両を示すイラストを生成し、例えば図6(a)のようなイラストEを表示する。
【0055】
またステップS41でB車両が検出できなかった場合は、ステップS45でB車両及びC車両の情報を初期化する。この場合は、ステップS46で自車両の前方に車両と思える物体はないと判断する。またステップS42で、B車両の窓を通してC車両と思える物体が検出できなかった場合は、ステップS47で、B車両からはみ出しているC車両と思える物体があるか否かを判断する。C車両と思える物体がある場合は、ステップS48でB車両からはみ出しているC車両と思える物体が同時に2か所以上検出されたか否かを判断する。C車両と思える物体が同時に2か所以上検出された場合(図9(a)のような場合)は、ステップS43に進みC車両の存在フラグをオンにする。
【0056】
ステップS48でC車両と思える物体が同時に2か所以上検出されなかった場合(図9(b)のような場合で前前方車両Cが隠れているとき)は、ステップS50に進み、C車両存在フラグは操作しない。この状態ではC車両と思える物体を明確には視認できず、ステップS51ではC車両と思える物体の一部を検出したものと判断する。このとき、C車両を示すイラストEは図6(b)のように表示される。
【0057】
図12は、C車両及びC車両(仮)が検出できなかった場合のフローチャートである。図12において、ステップS61ではC車両(仮)が既に車両判定されているか否かを判断する。C車両(仮)が車両判定されている場合は、ステップS62で、C車両消失タイマーはゼロか否かを判定する。C車両消失タイマーがゼロである場合は、ステップS63でC車両存在フラグはオンか否かを判断する。
【0058】
ステップS62で、C車両消失タイマーゼロでない場合、及びステップS63でC車両存在フラグがオンでない場合は、ステップS64に進み、C車両は見えなくなったが居なくなった訳ではないと判断し、過去のC車両情報をもとにイラストの表示を行う。ステップS65では、C車両の位置はB車両前方のセンター位置とし、自車両Aとの相対距離は過去の情報を用いる。ステップS66は、物体は見えないが車両として認識し続ける期間に相当する。
【0059】
ステップS63でC車両存在フラグがオンのときは、恒常的に視認可能な状況で一定時間C車両が見えないとして、C車両は居なくなったと判断し、必要であればC車両情報をクリアにする。ステップS68では、C車両は居なくなったと判断する。
【0060】
またステップS61でC車両(仮)が車両判定されていないと判断した場合は、ステップS69で、C車両(仮)検出タイマーがゼロか否かを判断する。C車両(仮)検出タイマーがゼロの場合はステップS70に進み、C車両は居なくなったと判断し、必要であればC車両の情報をクリアし、ステップS71では、車両と認識する前の物体が居なくなったと判断する。またステップS69で、C車両(仮)検出タイマーがゼロでない場合は、ステップS72に進み、C車両は見えなくなったが居なくなった訳ではないと判断し、過去のC車両(仮)情報をもとにイラストの表示を行う。ステップS73では、C車両の位置はB車両前方のセンター位置とする。ステップS74は、物体はあるが車両としては認識されない期間に相当する。
【0061】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、自車両の前方や後方の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した前方車両や後方車両の窓部等をマスクすることで個人情報を保護することができる。また、マスク処理によって前前方車両や後後方車両が隠される場合でも疑似画像を表示して認識することができる。また、カメラ性能が向上した場合に、カメラで撮影した画像の個人情報部分をマスクすることで盗撮行為に該当するのを避けることができる。
【0062】
尚、以上説明した実施形態については各種の変形例が考えられる。例えば、カメラは車両の前方及び後方を撮影する以外に横方向を撮影可能にしてもよい。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…撮像部
11,12,n…カメラ
20…画像処理部
21…制御部
22…マスク画像生成部
23…周辺監視部
24…識別画像生成部
25…カメラ画像処理部
26…合成処理部
30…車両情報生成部
31…ナビゲーション装置
40…操作部
50…表示部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載したカメラで車両の前方や後方の映像を撮影し、車両の周辺画像を表示することで運転の補助を行う車両用画像表示装置に係り、特にプライバシーの保護を図った車両用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に複数のカメラを搭載し、自車の前方や後方等を撮影し、走行中の見えにくい領域を撮影して運転者に視認させたり、後方車両の異常な接近や挙動を監視したり、或いはバックして駐車する際に後方画像を表示して運転の補助を行うようにした車両用画像表示装置が知られている。
【0003】
一方、近年のカメラ性能は日増しに改善され、高分解能化が進み、かつ夜間撮影等にも対応したカメラもある。このため、車両に搭載したカメラで自車の前方や後方を撮影した場合、例えば前方車両や後方車両に乗っている人物などが映ることがある。また前方車両或いは後方車両の車室内に置かれた書類や車両のナンバープレート等を撮影してしまうことがある。
【0004】
しかしながら、カメラで撮影した画像には個人のプライバシーに関する画像、例えば人物の顔、ナンバープレート等が含まれることがあるため、人間の視力を越える高性能カメラで撮影した画像が保存された場合は、プイバシーの侵害や盗撮扱いされる可能性もある。
【0005】
カメラが高性能化して、詳細でクリアな画像が見られるようになれば、前後車両の車室内の個人情報をどの様に保護するかが将来的に課題となる。高性能カメラのズーム機能や微光撮影機能の有無は被写体側からは関知しようがないため、カメラによる撮影が車両の運転を補助するための撮影行為なのか、故意の盗撮行為なのかは区別できない。しかも技術の進化やニーズの高まりにより、より高性能な基本性能を備え、かつ暗闇でも見通せるような車載カメラが発達することも十分に予想される。
【0006】
したがって、ドライブアシストを目的とした車載カメラが普及したときに、カメラによる車両周辺の監視が常時行われると、他車からはカメラ搭載車両が前後に居る間は継続して室内が見られる状況にあるため、感情的に気持ちのよいものではない。そのためカメラを搭載した車載機器は、将来的に個人情報を保護するための対策を採る必要があると考えられる。
【0007】
特許文献1にはプライバシーを保護する目的で、乗員個人を特定する情報(例えば乗員の顔を含む画像)をマスク処理する車内環境記録装置が開示されている。また特許文献2には、監視システムにおいて、カメラで撮影した画像のうちナンバープレート部分を識別して隠蔽する画像処理装置が開示されている。さらに特許文献3には、前方車両や右折車両等によって生じる死角の状況を把握するため、レーダ装置を用いて監視する例が開示されている。
【0008】
しかしながら、カメラ性能の向上を考慮すると他車の乗員の顔画像やナンバープレート部分をマスクするだけでは個人情報を保護することは難しく、更なる改善が望まれている。また前方や後方車両のマスク領域を広げた場合、前方車両の窓を通して認識していた前前方車両が隠されてしまう可能性があり、ドライブアシストの機能が低下してしまう。またレーダ装置を使用することはコスト的に不利になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−9761号公報
【特許文献2】特開2007−164275号公報
【特許文献3】特開2007−164275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の車両用画像表示装置では、撮影した画像の一部(例えば顔やナンバープレート等)をマスクして個人情報の保護を図ったものもあるが、マスク領域を広げた場合、前前方車両(又は後後方車両)が隠されてしまう可能性があり、ドライブアシストの機能が低下するという不具合があった。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑み、自車両の前方や後方等の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した画像に含まれる個人情報を保護することができる車両用画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の車両用画像表示装置は、車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、前記複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、前記カメラ画像を利用して前記第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、前記周辺監視部によって前記第2の車両の存在を判別したとき、前記第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、前記カメラ画像に前記マスク画像及び前記識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用画像表示装置によれば、自車両の前方や後方の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した前方車両や後方車両の窓部等をマスクすることで個人情報を保護することができる。また、マスク処理によって前前方車両や後後方車両が隠される場合でも疑似画像を表示して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】一実施形態の動作を説明する車両位置の一例を示す図。
【図3】自車両の前方を撮影した画像の一例を示す説明図。
【図4】前方車両の一部をマスク画像でマスクした例を示す説明図。
【図5】並走車のマスク処理の一例を示す説明図。
【図6】前方車両の画像に前前方車両の疑似画像を合成した例を示す説明図。
【図7】画像処理部の動作を説明するフローチャート。
【図8】周辺監視部における前前方車両の検出動作を示す説明図。
【図9】前方車両と前前方車両の配列の一例を示す説明図。
【図10】前方車両の前の物体を前前方車両と認識するまでのフローチャート。
【図11】前前方車両を画像から検出するためのフローチャート。
【図12】前前方車両が検出できなかった場合のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る車両用画像表示装置の構成を示すブロック図である。図1の車両用画像表示装置は、撮像部10、画像処理部20、車両情報生成部30、操作部40及び表示部50を備えている。
【0017】
撮像部10は、自車両の周囲の映像を撮影する複数のカメラ11,12…nを有している。カメラ11,12…nは、車両の前方、後方、及び左側、右側等をそれぞれ撮影するものであり、前方車両や後方車両、対向車両など、自車両の周囲の映像を撮影することができる。各カメラ11,12…nは、自車両の任意の位置に取り付けられる。以下の説明では、自車両の前方及び後方を撮影する前方カメラ11と後方カメラ12を備えた例を説明する。
【0018】
画像処理部20は、制御部21、マスク画像生成部22、周辺監視部23、識別画像生成部24、カメラ画像処理部25及び合成処理部26を含む。制御部21は、CPU,ROM,RAM等を有し、操作部40からの操作に応答して画像処理部20及び撮像部10の動作を制御する。マスク画像生成部22は、カメラ11,12で撮影した画像のうち、前方車両や後方車両の窓やナンバープレート部分等をマスク(masking)する画像を生成する。
【0019】
周辺監視部23は、前方車両や後方車両によって隠されてしまう可能性がある前前方車両や後後方車両を監視する。識別画像生成部24は、周辺監視部23の監視結果をもとに、前前方車両や後後方車両の存在を示す識別画像、例えば前前方車両や後後方車両の疑似画像(イラスト)を生成する。カメラ画像処理部25は、複数のカメラ11,12…で撮像した画像を処理し、前方画像又は後方画像等、表示部50に表示する画像を選択処理して合成処理部26に供給する。合成処理部26は、カメラ画像処理部25から出力されたカメラ画像に、マスク画像生成部22からのマスク画像と識別画像生成部24からの疑似画像を合成して表示部50に出力する。
【0020】
車両情報生成部30は、ナビゲーション装置31を含む。ナビゲーション装置31は、自車両の現在位置を検出するGPS受信部、地図データを格納した記録媒体、目的地までの経路を探索する探索部等を有する。また自車両の車速、加速度、傾き等を検出する車速度センサやジャイロセンサ等を有し、これらGPS受信部、記録媒体、探索部、車速センサやジャイロセンサ等がCAN(Controller Area Network)等の車内LANを介して接続されている。したがって、車両情報生成部30からは、自車両の現在位置や進行方向(前進、バック、右・左折)等の情報を得ることができる。
【0021】
操作部40は、ユーザ(運転者等)が操作するもので、カメラ11,12で撮影した画像を表示する場合の画面切り替え操作等を行う。表示部50は、液晶ディスプレイ等の表示パネルを含み、表示部50をタッチパネル式とすることで操作部40を兼用することもでき、ナビゲーション画像を表示する際に現在地や目的地を入力することができる。
【0022】
以下。本発明の実施形態の動作を詳細に説明する。図2(a)は、自車両Aに備えた前方カメラ11で前方車両B及び前前方車両Cを撮影する例を示している。また図2(b)は自車両Aに備えた後方カメラ12で後方車両B及び後後方車両Cを撮影する例を示している。尚、前方車両B又は後方車両Bを総称して第1の車両Bと呼び、また前前方車両C又は後後方車両Cを総称して第2の車両Cと呼ぶこともある。
【0023】
本発明では、前方カメラ11又は後方カメラ12で撮像した背景画像の中に前方車両又は後方車両の画像が存在する場合に、個人情報に該当する画像を表示しないようにするため、例えば車両の窓、ナンバープレート、車のキャビン等の領域を自動認識する。そして認識した領域を個人情報保護領域として目隠しするため、マスク画像をリアルタイムで生成して、カメラ画像にオーバーラップさせて表示する。マスク画像としては、例えば該当領域を塗りつぶしたり、モザイク表示する画像がある。
【0024】
図3は、自車両の前方を撮影した画像の一例を示し、自車両の前に前方車両Bと前前方車両Cがあり、前方車両Bに対して前前方車両Cが小さい場合のリアルタイム画像を示している。一方、個人情報を含む画像をマスクするため、図4で示すように前方車両Bの窓及びナンバープレート部分は、マスク画像D1,D2によってマスクする。
【0025】
マスク画像D1,D2は、マスク画像生成部22によって生成されるが、窓は一般的に車両の上部にあり、また窓の色と車両本体の色が異なるため、窓の大体の位置と色情報とを基に窓部を判別しマスク画像D1を生成する。またナンバープレートは、一般的に車両の下部にあり、かつ長方形状であるため、大体の位置と形状でナンバープレート部分を判別しマスク画像D2を生成する。マスク画像D1,D2は合成処理部26でカメラ画像と合成される。
【0026】
尚、図4では前方車両Bの後方の窓と後方のナンバープレートをマスクする例を示しているが、後方車両Bについては、後方車両Bの前方の窓と前方のナンバープレートをマスクすることになる。また、マスク処理は前方車両や後方車両だけでなく、並走車両の画像についても行うと良い。
【0027】
例えば、片側2車線以上の広い道路では、自車両の右側や左側を別の車両が並走する場合がある。撮像部10の前方カメラ11や後方カメラ12の視野角が魚眼カメラのように広い場合、或いは自車両の右側及び左側にカメラを取り付けた場合は、並走車両を撮影することができるため、並走車両についてもマスク処理を行う。
【0028】
図5は、並走車のマスク処理の一例を示している。図5(a)はスポーツカーのように天井のない車両の一部をマスクする例であり、前方の窓と車両のキャビンの部分をマスク画像D3によってマスクし、ナンバープレートをマスク画像D4によってマスクする。オープンカーのように、天井部のない車両については、窓を含む車両の上部全体をマスクしてもよい。図5(b)はセダンタイプの並走車両の一部をマスクする例であり、前方の窓部分をマスク画像D5によってマスクし、ナンバープレートをマスク画像D6によってマスクする。
【0029】
一方、通常であれば、第1の車両Bの窓を通して第2の車両Cを確認することができるが、第1の車両Bの窓をマスクした場合、第2の車両Cが隠されてしまい目視できなくなる可能性がある。特に第2の車両Cが第1の車両Bよりも小さい場合は、第1の車両Bの窓だけでなく本体によっても隠されるため、より一層目視しにくくなる。
【0030】
そこで、本発明では、周辺監視部23で第2の車両Cの有無を監視し、第2の車両Cが居る場合に識別画像生成部24で第2の車両Cを模した疑似画像(イラストE)を生成し、合成処理部26でカメラ画像にイラストEを重ねて表示する。イラストEは、単純な図形や、個人的趣味のキャラクター図形などで良い。尚、周辺監視部23における第2の車両Cの監視方法については後述する。
【0031】
図6は、前方車両Bの画像に前前方車両CのイラストEを重ねて表示した例を示す。図6(a)は、図3のように前方車両Bによって前前方車両Cの一部が隠れている場合のイラストEの合成位置を示し、図6(b)は、前方車両Bによって前前方車両Cが殆ど隠れている場合のイラストEの合成位置を示す。
【0032】
自車両の運転者は、表示部50に表示されたカメラ画像を観察することで前方または後方の状況を確認できるが、個人のプライバシーを考慮して第1の車両Bの窓やナンバープレートはマスクするため、個人情報を保護することができる。また第1の車両Bの前方または後方にいる第2の車両Cの存在をイラストEで確認することができる。
【0033】
図7は、画像処理部20の動作を説明するフローチャートである。画像処理部20は、制御部21の制御のもとに以下のステップで動作する。
【0034】
図7において、ステップS1はリアルタイムの画像(マスクしない画像)が必要か否かを判断する。即ち、複数のカメラ11,12…からの画像や車両情報生成部30からの情報等を総合判断して緊急時か否かを判断し、事故もしくは緊急性のある場合、或いは事故回避を行う必要がある場合は、リアルタイム画像が望ましいと判断してステップS2に進み、マスク処理を行なわずに生画像による表示を行う。これによりステップS9において、図3のようなリアルタイム画像を表示する。
【0035】
ステップS1の判断がNOの場合、ステップ3では個人情報のマスクが必要か否かを判断する。例えば第1の車両Bの窓が黒い場合等は車室内が窓を通して見えないため、マスク処理をする必要がない。したがってマスクする必要がない場合は、ステップS2に進み図3のようにリアルタイム画像を表示する。
【0036】
ステップS3でマスクが必要であると判断した場合は、ステップ4においてマスク領域が全体画像に対して占める割合を判断する。つまり、被写体の窓が小さければ、窓を通して見た室内情報量も限られるのでプライバシーを侵害することはないと考えられる。したがって、撮影した画像の全領域に対して窓のマスク領域が予め設定した割合よりも小さい場合は、ステップS2に進み、マスク処理を行なわずに生画像による表示を行う。尚、ステップS9では、ナンバープレート部分をマスクすると良い。
【0037】
ステップ4においてマスク領域の画像が占める割合が大きいときは、ステップS5において自車両Aから第1の車両B及び建物までの距離を測定する。カメラ性能に鑑みて、第1の車両Bまでの距離が十分離れている場合は、個人情報等の撮影は困難であるため、ステップS2に進み、リアルタイム画像を表示する。尚、カメラの分解能や周囲状況(明暗、霧など)によって距離係数は変化する。また周辺に建物がある場合は、建物を撮影した中に個人情報に該当する画像(窓、表札等)が含まれる可能性があるため、同様にマスクする。
【0038】
ステップS5において第1の車両Bまでの距離が近い場合は、ステップS6でマスク領域を塗りつぶしてカメラ画像に重ねる。さらにステップS7では第2の車両の表示が必要か否かを判断する。つまりカメラ画像の一部をマスクしたことで、第1の車両のさらに前又は後ろに居る車両は陰に隠れて見えなくなってしまうため、それらの車両を表示する必要があるかないかを判断する。第2の車両がいない場合や距離が遠い場合は、ステップS10において、図4で示すように第1の車両Bの窓やナンバープレートをマスクした画像のみを合成して表示する。
【0039】
また第2の車両の表示が必要な場合は、ステップS8において第2の車両Cを表す疑似画像(イラストE)を合成し、ステップS11において図6に示すようなマスク画像D1,D2とイラストEが合成されたカメラ画像を表示する。
【0040】
尚、図4で示すように前前方車両Cの一部が前方車両Bからはみ出している場合は、前前方車両Cの隠れていない部分の生画像を識別画像として表示してもよいし、前前方車両Cの全体を疑似画像(イラスト)で表示してもよい。例えば、操作部40によって「生画像−イラスト」の表示切り替えを行うようにすると良い。イラストの表示を行った場合は、チラツキ現象を抑え、第2車室C内の個人情報をマスクすることができる。
【0041】
次に第2の車両Cの存在を確認して疑似画像を生成する方法を具体的に説明する。尚、以下の説明では前方車両Bの前に前前方車両Cが居るか否かを監視する場合を説明するが、後方車両Bの後ろに後後方車両Cが居るか否かを監視する場合も同じ手法を用いることができる。
【0042】
第2の車両Cの存在の有無は、制御部21の制御のもとに周辺監視部23によって行い、疑似画像の生成は識別画像生成部24が行う。周辺監視部23は、前方カメラ11で撮影した画像をもとに前方車両Bへの異常接近や挙動を監視しているが、同時に前方車両Bのひとつ先の前前方車両Cも同時に認識し、その存在と消失を判断する。例えば、以下の(1)〜(5)の判断ポイントをもとにカメラで撮影した画像情報から風景と切り分けて車両を見分ける。(1)前方車両Bの前に居る前前方車両Cをどのように認識するか、(2)画像情報に含まれる物体を車両と認識するか、(3)前前方車両Cが前方車両Bの陰に隠れて見えない期間の位置の判断と消失の判断、(4)前前方車両Cが別の車両にスリ替わったときの判断。以下、具体的に(1)〜(4)の判断ポイントについて説明する。
【0043】
(1)先ず周辺監視部23は、前方車両Bの形状、サイズ、外形色を判断して記録する。また形状、サイズから普通車、小型車、トラック等の大雑把な全長を推測する。前前方車両Cの検出は、前方車両Bの色と異なる物体、もしくは、前方車両のサイズ以上にはみ出した物体を検出する。或いは前方車両Bの窓を通して、または前方車両Bの上下や横から前前方車両Cを認識する。検出個所は、図8で例示するように、前方車両Bの窓F0、上部F1、下部F2、左横F3、右横F4の計5カ所である。
このとき、前方車両Bの窓を通して前前方車両Cが判断できたか、もしくは、前前方車両Cが前方車両Bの上下左右から2カ所以上にはみ出して認識できたかを記録し履歴を残す。こうして認識した結果をC車両存在フラグと呼ぶことにする。尚、前方車両B及び前前方車両Cが居なくなった場合は、認識結果を初期化する。
そして、前方車両Bの全長L1と、前方車両Bの前の物体までの距離L2、及び前方の風景までの距離L3(=∞)を基に、
L1<L2≦L3(=∞)…(1)
の条件が成り立てば、前方車両Bの前の物体を前前方車両Cと看做す。またこの時に、物体を車両と仮定して、前前方車両Cのサイズを推測して、「(仮)サイズ」として記録しておく(後述の「車両スリ替わり」を判定する際に利用する)。
【0044】
(2)前方車両Bのさらに前方の物体を前前方車両Cと認識するための条件は次の(a),(b)の通りである。このとき正式に車両と認識されるまでの物体を「車両(仮)」と呼ぶ。
(a)車両(仮)が、自車両および前方車両Bと同一車線を走行中である。
(b)同一車線でない時は、走行中に限り自車両A(あるいは前方車両B)から一定距離をM秒間保っている。
車両(仮)が実際に車両であると認識される前に停車した場合は、M秒カウントを一時停止するか、再度、車両(仮)が走行を開始した際にM秒カウントをリセットし、再度M秒カウントを行う。そして自車両Aが走行中だった場合に限り、一定距離を継続する物体は車両であると推察し、前方車両の全長L1と、前方車両の前の物体までの距離L2、及び前方車両の全長L1に所定距離Kを加算した距離L4を基に、
L1<L2≦L4(L4=L1+K)…(2)
の条件が成り立てば、前方車両Bの前の物体を前前方車両Cと看做す。
【0045】
(3)次に前述したC車両存在フラグにより、前前方車両Cが恒常的に居るものか、それとも車両の位置関係により一時的に視認できたものかを区分する。つまり、図9(a)のように、前方の普通車Bの前に大型の車両Cが居る場合は、恒常的に大型車両Cを認識できるので、普通車Bの前からN秒間、大型車両Cが不可視になったなら居なくなったと判断する。
【0046】
また図9(b)のように、自車両の前方に大型車両Bが居て、さらにその前に普通車Cが居る場合は、自車両からは普通車Cが時々その一部しか視認できないので、大型車両Bの陰に隠れてずっと見えなくても居なくなったとは判断しない。こうして、B車両およびC車両と思われる物体の検出ポーリングを定期的に行い、前前方車両Cが画像上で不可視だった場合でも、N秒間は「居る」と判断し続ける。
【0047】
このときの前前方車両Cの位置は、次の(c)〜(e)の通りに判断する。
(c)前前方車両Cは、前方車両Bのさらに前方に居る。
(d)前前方車両Cは、前方車両の左右センター位置で上下位置は最後に認識した位置とする。
(e)前前方車両Cの前方車両Bとの相対距離は最後に認識した相対距離を維持する。
また、前前方車両Cが画像上で不可視の状態がN秒間継続された場合でも、一時的に視認できたと履歴されている場合は、居ないとは判断できないのでN秒後でも「居る」と判断する。但し自車両の前方の一定距離内に車両が存在しなくなった場合は、前方車両Bだけでなく前前方車両Cも「居なくなった」と判断する。
【0048】
(4)前前方車両Cの、推測サイズ、もしくは外形色が大きく変化した場合には、前前方車両Cが別の車両と入れ替わったと判断する。これを「車両スリ替わり」と呼び、C車両存在フラグをクリアする。車両がスリ替わったことに伴って、以前の車両に対してフラグ・情報を記録していた場合、これらの旧い情報はスリ替わったものと判定したタイミングでクリアし破棄する。
【0049】
こうして、前方車両Bの前に前前車両Cが居ると判断した場合は、前前車両Cの疑似画像(イラストE)を生成し、図6のようにイラストEをカメラ画像に合成して表示する。イラストEの位置は、前前車両Cの位置に応じて変化する。また前前方車両Cがスリ替わった場合は、スリ替わり後の車両に合わせて色やサイズを変化させ、過去のイラストは削除する。
【0050】
図10は、前方車両Bの前の物体が前前方車両Cと認識されるまでのフローチャートを示す。尚、以下の説明では、前方車両BをB車両と呼び、前前方車両CをC車両と呼ぶこともある。
【0051】
図10において、ステップ21ではB車両の情報を判定し記録する。つまりB車両が視認できる場合、形状やサイズ、及び自車両との距離を推測して記録する。またB車両の外形色の情報を記録する。ステップS22ではC車両(仮)情報を判定して記録する。ここでは、C車両と思われる物体の形状やサイズ、及び自車両からの距離を推測して記録する。またC車両の存在フラグやC車両(仮)の検出タイマーを設定する。ステップS23では、C車両(仮)が検出できたか否かを判断し、検出できなかった場合はステップS24に進み、図12で後述するC車両、C車両(仮)が検出できない場合のフローに進む。
【0052】
ステップS23でC車両(仮)が検出できた場合は、ステップS25で車両のスリ替わりを検出する。車両のスリ替わりが検出されたときはステップS26でC車両(仮)として記録情報を再設定する。再設定後、又はステップS25で車両のスリ替わりが検出されなかった場合は、ステップS27でC車両(仮)とのL2距離が(1)式の条件を満たすか否かを判断する。(1)式の条件を満たさない場合はステッフS24に進み、満たす場合はステップS28でC車両(仮)が自車両Aの車線上にいるか否かを判断する。
【0053】
ステップS28の判断でC車両(仮)が同じ車線上にいない場合は、ステッフS24に進み、同じ車線上にいる場合はステップS29で自車両Aが走行中か否かを判断する。自車両Aが走行中でない場合は、ステッフS24に進み、走行中であればステップS30でC車両(仮)との距離L2が(2)式の条件を満たすか否かを判断する。(2)式の条件を満たさない場合はステッフS24に進み、満たす場合はステップS31でC車両(仮)は単なる物体ではなく車両と判断する。このとき、C車両フラグをオンにし、C車両消失タイマーをセットする。尚、C車両消失タイマーは、C車両が検出される度にリセットされる。
【0054】
図11は、C車両を画像から検出するためのアルゴリズムを示すフローチャートである。図11において、ステップS41ではB車両が検出できたか否かを判断する。検出できた場合は、ステップS42ではB車両の窓を通してその前方にいるC車両と思える物体が検出できたか否かを判断する。C車両と思える物体が検出できた場合は、ステップS43に進み、C車両の存在フラグをオンにし、ステップS44では、C車両と思える物体が明確に検出できたとして、識別画像生成部24でC車両を示すイラストを生成し、例えば図6(a)のようなイラストEを表示する。
【0055】
またステップS41でB車両が検出できなかった場合は、ステップS45でB車両及びC車両の情報を初期化する。この場合は、ステップS46で自車両の前方に車両と思える物体はないと判断する。またステップS42で、B車両の窓を通してC車両と思える物体が検出できなかった場合は、ステップS47で、B車両からはみ出しているC車両と思える物体があるか否かを判断する。C車両と思える物体がある場合は、ステップS48でB車両からはみ出しているC車両と思える物体が同時に2か所以上検出されたか否かを判断する。C車両と思える物体が同時に2か所以上検出された場合(図9(a)のような場合)は、ステップS43に進みC車両の存在フラグをオンにする。
【0056】
ステップS48でC車両と思える物体が同時に2か所以上検出されなかった場合(図9(b)のような場合で前前方車両Cが隠れているとき)は、ステップS50に進み、C車両存在フラグは操作しない。この状態ではC車両と思える物体を明確には視認できず、ステップS51ではC車両と思える物体の一部を検出したものと判断する。このとき、C車両を示すイラストEは図6(b)のように表示される。
【0057】
図12は、C車両及びC車両(仮)が検出できなかった場合のフローチャートである。図12において、ステップS61ではC車両(仮)が既に車両判定されているか否かを判断する。C車両(仮)が車両判定されている場合は、ステップS62で、C車両消失タイマーはゼロか否かを判定する。C車両消失タイマーがゼロである場合は、ステップS63でC車両存在フラグはオンか否かを判断する。
【0058】
ステップS62で、C車両消失タイマーゼロでない場合、及びステップS63でC車両存在フラグがオンでない場合は、ステップS64に進み、C車両は見えなくなったが居なくなった訳ではないと判断し、過去のC車両情報をもとにイラストの表示を行う。ステップS65では、C車両の位置はB車両前方のセンター位置とし、自車両Aとの相対距離は過去の情報を用いる。ステップS66は、物体は見えないが車両として認識し続ける期間に相当する。
【0059】
ステップS63でC車両存在フラグがオンのときは、恒常的に視認可能な状況で一定時間C車両が見えないとして、C車両は居なくなったと判断し、必要であればC車両情報をクリアにする。ステップS68では、C車両は居なくなったと判断する。
【0060】
またステップS61でC車両(仮)が車両判定されていないと判断した場合は、ステップS69で、C車両(仮)検出タイマーがゼロか否かを判断する。C車両(仮)検出タイマーがゼロの場合はステップS70に進み、C車両は居なくなったと判断し、必要であればC車両の情報をクリアし、ステップS71では、車両と認識する前の物体が居なくなったと判断する。またステップS69で、C車両(仮)検出タイマーがゼロでない場合は、ステップS72に進み、C車両は見えなくなったが居なくなった訳ではないと判断し、過去のC車両(仮)情報をもとにイラストの表示を行う。ステップS73では、C車両の位置はB車両前方のセンター位置とする。ステップS74は、物体はあるが車両としては認識されない期間に相当する。
【0061】
以上説明したように本発明の実施形態によれば、自車両の前方や後方の周囲の状況を撮影して運転者の運転を補助するとともに、撮影した前方車両や後方車両の窓部等をマスクすることで個人情報を保護することができる。また、マスク処理によって前前方車両や後後方車両が隠される場合でも疑似画像を表示して認識することができる。また、カメラ性能が向上した場合に、カメラで撮影した画像の個人情報部分をマスクすることで盗撮行為に該当するのを避けることができる。
【0062】
尚、以上説明した実施形態については各種の変形例が考えられる。例えば、カメラは車両の前方及び後方を撮影する以外に横方向を撮影可能にしてもよい。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…撮像部
11,12,n…カメラ
20…画像処理部
21…制御部
22…マスク画像生成部
23…周辺監視部
24…識別画像生成部
25…カメラ画像処理部
26…合成処理部
30…車両情報生成部
31…ナビゲーション装置
40…操作部
50…表示部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、
前記複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、
前記カメラ画像を利用して前記第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、
前記周辺監視部によって前記第2の車両の存在を判別したとき、前記第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、
前記カメラ画像に前記マスク画像及び前記識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備したことを特徴とする車両用画像表示装置。
【請求項2】
前記合成処理部は、緊急時には前記マスク画像を合成せずにリアルタイムの撮影画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
前記マスク画像生成部は、前記第1の車両の窓及びナンバープレートを含む部分を前記個人情報保護領域として前記マスク画像を生成することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項4】
前記マスク画像生成部は、前記第1の車両の窓の色、窓の大きさ、及び前記自車両から前記第1の車両まで距離のいずれかの情報に基づいて、前記マスク画像を生成するか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項5】
前記識別画像生成部は、前記識別画像として前記第2の車両の疑似画像を生成することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項6】
前記周辺監視部は、前記第1の車両の窓部、及び前記第1の車両の上部、下部、側面を含む複数個所の画像を監視し、前記第1の車両と色の異なる物体、又は第1の車両のサイズ以上にはみ出した物体を前記第2の車両として認識することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項1】
車両の前方及び後方の映像を夫々撮影する複数のカメラを含み前記車両の周囲を撮影可能な撮像部と、
前記複数のカメラで撮影したカメラ画像のうち、自車両の前方又は後方に近接する第1の車両の画像に含まれる個人情報保護領域を目隠しするマスク画像を生成するマスク画像生成部と、
前記カメラ画像を利用して前記第1の車両の前方又は後方での第2の車両の有無を監視する周辺監視部と、
前記周辺監視部によって前記第2の車両の存在を判別したとき、前記第2の車両の存在を示す識別画像を生成する識別画像生成部と、
前記カメラ画像に前記マスク画像及び前記識別画像を合成して表示部に表示する合成処理部と、を具備したことを特徴とする車両用画像表示装置。
【請求項2】
前記合成処理部は、緊急時には前記マスク画像を合成せずにリアルタイムの撮影画像を前記表示部に表示することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項3】
前記マスク画像生成部は、前記第1の車両の窓及びナンバープレートを含む部分を前記個人情報保護領域として前記マスク画像を生成することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項4】
前記マスク画像生成部は、前記第1の車両の窓の色、窓の大きさ、及び前記自車両から前記第1の車両まで距離のいずれかの情報に基づいて、前記マスク画像を生成するか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項5】
前記識別画像生成部は、前記識別画像として前記第2の車両の疑似画像を生成することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【請求項6】
前記周辺監視部は、前記第1の車両の窓部、及び前記第1の車両の上部、下部、側面を含む複数個所の画像を監視し、前記第1の車両と色の異なる物体、又は第1の車両のサイズ以上にはみ出した物体を前記第2の車両として認識することを特徴とする請求項1記載の車両用画像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−39983(P2011−39983A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189260(P2009−189260)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】
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