説明

車両用異常予測装置及び方法

【課題】車両の走行経路を考慮することで車両の部品の異常の可能性を精度良く評価すること。
【解決手段】本発明による車両用異常予測装置は、車両の走行経路の特徴を検出する走行経路検出手段と、車両走行時において車両の部品の振動を検出する部品振動検出手段、又は、車両走行時において車両の部品から発生する部品音を検出する部品音検出手段と、車両に異常が生じていない状況下で検出された振動又は音を、走行経路検出手段により検出された走行経路の特徴と対応付けて記憶する学習記憶手段と、学習記憶手段に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が走行経路検出手段により検出された場合に、その際に部品振動検出手段又は部品音検出手段により検出された振動又は音と、該走行経路の特徴に対応付けられて学習記憶手段に記憶された振動又は音とを比較することで、車両の部品の異常の可能性を評価する異常評価手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の部品の異常の可能性を評価・予測する車両用異常予測装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動変速機から発生する音または振動を検出して音または振動に応じた信号を出力する信号検出手段と、信号に対してウェーブレット変換を行い変換データを出力するウェーブレット変換演算器と、変換データに基づいて機器の異常を検出する異常検出処理装置とを備える異常検出処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この異常検出処理装置は、変換データの特徴を演算して演算値を出力する演算手段と、演算値をあらかじめ設定された基準値と比較する比較手段と、比較手段の比較結果に基づき、演算値が基準値に対して所定の関係を越えたときに自動変速機の異常を知らせる警報を出力する警報手段とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−219955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両の部品の振動態様は、車両の走行経路(例えば、道路の凸凹や曲率半径等)に依存して変化しうる。従って、車両の走行経路を考慮せずに、車両の部品の振動態様を評価する構成では、車両の部品の異常を誤検出してしまう虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、車両の走行経路を考慮することで車両の部品の異常の可能性を精度良く評価することができる車両用異常予測装置及び方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一局面によれば、車両の走行経路の特徴を検出する走行経路検出手段と、
車両走行時において車両の部品の振動を検出する部品振動検出手段、又は、車両走行時において車両の部品から発生する部品音を検出する部品音検出手段と、
車両に異常が生じていない状況下で前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音を、前記走行経路検出手段により検出された走行経路の特徴と対応付けて記憶する学習記憶手段と、
前記学習記憶手段に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が前記走行経路検出手段により検出された場合に、その際に前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音と、該走行経路の特徴に対応付けられて前記学習記憶手段に記憶された振動又は音とを比較することで、車両の部品の異常の可能性を評価する異常評価手段とを備えることを特徴とする、車両用異常予測装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両の走行経路を考慮することで車両の部品の異常の可能性を精度良く評価することができる車両用異常予測装置等が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例(実施例1)による車両用異常予測装置1の主要構成を示す構成図である。
【図2】実施例1のECU10により実行される学習結果データベース30の学習データ及び正常パターンの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図3】車両用異常予測装置1により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】正常パターンと検出パターンとの関係の一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施例(実施例2)による車両用異常予測装置2の主要構成を示す構成図である。
【図6】実施例1のECU10により実行される学習結果データベース30の学習データの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】車両用異常予測装置2により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例(実施例3)による車両用異常予測装置3の主要構成を示す構成図である。
【図9】ECU10により実行される学習結果データベース30の学習データの生成処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】車両用異常予測装置3により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】本発明の一実施例(実施例4)による車両用異常予測装置4の主要構成を示す構成図である。
【図12】音変化による故障期間判定方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0010】
図1は、本発明の一実施例(実施例1)による車両用異常予測装置1の主要構成を示す構成図である。車両用異常予測装置1は、ECU(電子制御ユニット)10を中心として構成される。
【0011】
ECU10は、マイクロコンピュータによって構成されており、例えば、CPU、制御プログラムを格納するROM、演算結果等を格納する読書き可能なRAM、タイマ、カウンタ、入力インターフェイス、及び出力インターフェイス等を有する。ECU10は、CPUがROMに記憶された各種のプログラムを実行することで、後述の異常予測機能を実現する。
【0012】
ECU10には、マイクロフォン20と振動検出センサ22とが接続される。
【0013】
マイクロフォン20は、車両に設けられ、車両の部品から発生する音を検出する。マイクロフォン20は、異常検出対象の部品の近傍に設置される専用のマイクロフォンであってもよい。或いは、マイクロフォン20は、例えば音声認識装置に音声を入力するために設定されたマイクロフォンのように、他の目的で設定されたマイクロフォンであってもよい。マイクロフォン20は、異常検出対象の部品の数に応じて複数個設けられてもよい。尚、異常検出対象の部品は、車両の任意の部品であってよく、例えば異常の兆候時に鳴きなどの音を発するブレーキ等であってよい。また、異常検出対象の部品は、ECUブラケット亀裂発生時に想定範囲を超えて振動することにより音を発生するECU取付部であってもよい。また、異常検出対象の部品は、ハーネスクランプのはずれ時に振動時に想定範囲を超えて振動することにより音(周囲に当たる音)を発生するハーネスであってもよい。また、異常検出対象の部品は、エアホースのクランプ緩み時にエアーが漏れ、それによりエアフローセンサの出力に影響が出てエンジンが誤った情報で制御されることで、正常時と異なる音(エンジン回転数が通常時と異なる態様で上がったり下がったりする音)を発生するエンジンであってもよい。
【0014】
振動検出センサ22は、加速度センサやジャイロセンサの形態であってよい。振動検出センサ22は、異常検出対象の部品上又はその近傍に設置される専用のマイクロフォンであってもよい。或いは、振動検出センサ22は、他の目的で設定された加速度センサやジャイロセンサにより構成されてもよい。尚、異常検出対象の部品は、車両の任意の部品であってよく、例えば異常の兆候時に比較的大きい振幅の振動が発生するエンジンブロック等であってよい。
【0015】
ECU10には、走行経路検出手段40が接続される。
【0016】
走行経路検出手段40は、車両の走行経路の特徴を検出するセンサである。車両の走行経路の特徴は、走行経路の曲率半径(カーブの度合い)の特徴、走行経路の道路勾配(高低差)の特徴、走行経路における道路のカントの特徴、走行経路の段差(道路の凸凹や継ぎ目を含む)や舗装状態の特徴を含んでよい。走行経路検出手段40は、ヨーレートセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサの形態であってよい。これらのセンサは、専用に設けられてもよいし、衝突安全制御や車両走行制御(例えば、車両安定化制御)等で利用されるセンサと共用であってよい。或いは、走行経路検出手段40は、道路状態を画像認識する車載カメラ及び画像処理装置の形態であってもよい。或いは、走行経路検出手段40は、走行経路の特徴を直接又は間接的に表す地図データを保有するナビゲーション装置及び自車位置を検出するGPS受信機の形態であってもよい。
【0017】
ECU10には、後述する学習データ(後述する正常パターン)を記憶する学習結果データベース(DB)30が接続される。学習結果データベース30は、ハードディスクドライブ(HDD)やEEPROMのような書き換え可能な不揮発性のメモリにより構成される。
【0018】
図2は、ECU10により実行される学習結果データベース30の学習データ(及びそれに基づく正常パターン)の生成処理の一例を示すフローチャートである。尚、この学習データの生成処理は、車両になんら異常やその兆候が発生していない状況下で実行される。例えば、車両の総走行距離が1万キロ未満である間に実行されてもよい。この場合、その間に例えば車両の異常の検出(ダイアグの発生)や異常の修理等があった場合は、学習データの生成処理がやり直しされてもよい。
【0019】
ステップ200では、車両が走行経路を走行している際に発生する音及び振動がマイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出され、学習される。この際、音及び振動のデータは、当該データが取得された際の車両の走行経路の特徴に対応付けて学習される。ここで、音及び振動のデータに対応付けられる車両の走行経路の特徴は、走行経路検出手段40により検出された走行経路のデータが使用される。例えば、車両の走行経路の特徴が、比較的大きい上下振動である場合、当該上下振動の波形に対応付けて、当該上下振動時に発生する部品の音及び振動のデータが学習される。尚、車両の走行経路の全行程に亘って音及び振動のデータが学習される必要はなく、例えば特徴的な音及び振動のデータが得られた際のデータのみが学習されてもよい。或いは、逆の考え方で、車両の走行経路の特徴が検出された際、それに対応付けて、その際の音及び振動のデータが学習されてもよい。
【0020】
ステップ202では、同一の走行経路で例えば10回以上走行を行い、上記ステップ200の処理で得られる音及び振動のデータ(10回以上の走行分のデータ)を蓄積する。
【0021】
ステップ204では、上記ステップ202で蓄積された音及び振動のデータに基づいて、正常パターンを生成する。正常パターンは、上記ステップ202で蓄積された音及び振動のデータを平均化することで生成されてもよい。このようにして生成される正常パターンは、車両になんら異常やその兆候が発生していない状況下で得られる音及び振動のデータに基づいて生成されているので、車両になんら異常やその兆候が発生していないときの音及び振動のデータを表すことになる。
【0022】
このようにして、車両の実走行により学習データ及び正常パターンが生成・蓄積されていく。尚、学習データ及び正常パターンは、特に、ユーザがよく利用する走行経路で生成され易くなる。また、学習データ及び正常パターンは、異常検出対象の部品が複数存在する場合は、異常検出対象の部品毎に生成されてもよい。
【0023】
尚、学習データの生成処理は、出荷前に車両メーカーにより事前に実行されてもよい(例えば、試験車両を利用して実行されてもよい)。この場合、生成された学習データ及びそれに基づく正常パターンは、同一の車種の車両の学習結果データベース30に出荷前に格納されてもよい。学習結果データベース30の学習データ及びそれに基づく正常パターンは、同一の車種の他の車両で得られた学習データやメーカー等で生成された学習データ及びそれに基づく正常パターンにより事後的に更新されてもよい。
【0024】
図3は、車両用異常予測装置1により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。図3に示す処理ルーチンは、車両走行中にリアルタイムで実行されてもよいし、事後的な解析処理として非リアルタイムで実行されてもよい。尚、異常検出対象の部品が複数存在する場合は、図3に示す処理ルーチンは、異常検出対象の部品毎に実行されてもよい。
【0025】
ステップ300では、走行経路検出手段40は、車両走行中に走行経路の特徴を検出する。リアルタイムで実行する構成の場合、走行経路検出手段40は、車両走行中に、所定の走行経路の特徴を検出した場合に、異常兆候判定処理を開始するトリガを生成してもよい。
【0026】
ステップ304では、マイクロフォン20及び振動検出センサ22は、音及び振動を検出する。マイクロフォン20及び振動検出センサ22は、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した音及び振動パターン(当該地点及びその前後の音及び振動パターン)を検出する。尚、マイクロフォン20及び振動検出センサ22は、車両走行中は常時音及び振動を検出していてもよく、図3に示す処理ルーチンが非リアルタイムで実行される場合は、車両走行中に得られる全検出データが記憶されていてもよい。他方、図3に示す処理ルーチンがリアルタイムで実行される場合は、最新の所定データ量の検出データのみがFIFO方式で記憶されていてもよい。いずれの場合も、記憶された検出データのうちから、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した検出データが抽出されて使用される。
【0027】
ステップ306では、ECU10は、上記ステップ300で検出された走行経路の特徴と同一又は類似する走行経路の特徴に対応する正常パターンが、学習結果データベース30内に存在するか否かを判定する。学習結果データベース30内に正常パターンが存在する場合は、ステップ308に進む。他方、学習結果データベース30内に正常パターンが存在しない場合は、今回の走行経路の特徴の検出時には異常兆候の判定が精度良くできないと判断して、そのまま終了する。尚、この場合も、正常パターン生成のために、上記ステップ304で得られる音及び振動データは、上記ステップ300で得られる走行経路の特徴と対応付けて蓄積されてもよい(図2のステップ200参照)。
【0028】
ステップ308及び310では、ECU10は、上記ステップ304で得られる音及び振動のパターン(検出パターン)を、学習結果データベース30内から抽出した正常パターン(上記ステップ300で検出された走行経路の特徴と同一又は類似する走行経路の特徴に対応する正常パターン)と比較し、これらが略一致するか否かを判断する。この判断は、波形パターンのマッチング度合いを考慮して実現されてもよいし(後述の図4参照)、最大振幅や周波数スペクトルを比較して実現されてもよい。上記ステップ304で得られる音及び振動の検出パターンが、学習結果データベース30内から抽出した正常パターンと略一致する場合は、ステップ312に進み、一致しない場合(例えば10%以上の乖離が存在する場合)は、ステップ314に進む。
【0029】
ステップ312では、ECU10は、異常検出対象の部品は現在のところ「正常」(異常の兆候なし)と判断する。この場合、ECU10は、異常検出対象の部品が「正常」であることを示す情報(フラグ)を設定してもよい。
【0030】
ステップ314では、ECU10は、異常検出対象の部品は「異常の兆候有り」と判断する。この場合、ECU10は、異常検出対象の部品が「異常の兆候有り」であることを示す情報(フラグ)を設定してもよい。また、ECU10は、異常の兆候の検出時に所定の措置を行ってもよい。例えば、ECU10は、運転者に整備施設等での点検等を促すメッセージを音声及び/又は表示により出力したり、車載通信機(図示せず)を介してサービスセンターと通信して、異常の兆候がある部品の先行手配を実施したりしてもよい。
【0031】
図4は、上述の図3のステップ308及び310の判定処理における正常パターンと検出パターンとの関係の一例を示す図である。図4において、正常パターンは、参照符号Pにより指示され、ハッチングを付した範囲を持つパターンとして示されている。検出パターンは、参照符号Qにより指示されている。この場合、検出パターンQは、図中のX部において、正常パターンPから比較的大きなレベルで逸脱している。従って、かかる場合には、ECU10は、「異常の兆候有り」と判断することになる(上述の図3のステップ314参照)。
【0032】
このように図3に示す処理によれば、車両の走行経路の特徴を考慮して、車両の部品の振動及び音を評価するので、当該車両の部品の異常の兆候の有無を精度良く判断することができる。これにより、例えばECUブラケット亀裂時に当該亀裂を早期に発見し、例えばブラケット修理を促すことで、亀裂に起因した振動によりECU内部の部品が基板から離脱したり破損したりすることを防止することができる。また、ハーネスクランプ外れ時に当該外れを早期に発見し、例えばクランプの修理を促すことで、ハーネスのコネクタ部の勘合不良やハーネスの破損を防止することができる。また、エアホースのクランプ緩み時に当該緩みを早期に発見し、例えばクランプの修理を促すことで、エンジンの正常時の制御を早期に復帰させることができる。
【0033】
図5は、本発明の一実施例(実施例2)による車両用異常予測装置2の主要構成を示す構成図である。図1に示した要素と同一であってよい構成については、同一の参照符号を付している。図5に示す実施例は、主に、車両用異常予測装置2が操作態様検出手段42を有する点が、図1に示した車両用異常予測装置1と異なる。
【0034】
ECU10には、走行経路検出手段40と操作態様検出手段42とが接続される。
【0035】
操作態様検出手段42は、運転者による車両の操作態様を検出するセンサ(スイッチを含む)である。操作態様検出手段42は、アクセルペダルの操作態様を検出するセンサ、ブレーキペダルの操作態様を検出するセンサ、ステアリングホイールの操作態様を検出するセンサ、シフトレバーの操作態様を検出するセンサ等を含んでよい。また、操作態様検出手段42は、運転者による車両の操作(又は自動制御を実施する構成では制御状態)に相関するパラメータを検出するセンサであってもよい。例えば、操作態様検出手段42は、スロットルバルブの開度を検出するセンサ、エンジン回転数を検出するセンサ、車速を検出するセンサ、加速度を検出するセンサ、ヨーレートを検出するセンサ等を含んでよい。また、操作態様検出手段42は、エアコン等の車載機器の操作態様を検出するスイッチを含んでよい。
【0036】
図6は、ECU10により実行される学習結果データベース30の学習データ(及びそれに基づく正常パターン)の生成処理の一例を示すフローチャートである。尚、この学習データの生成処理は、車両になんら異常やその兆候が発生していない状況下で実行される。例えば、車両の総走行距離が1万キロ未満である間に実行されてもよい。この場合、その間に例えば車両の修理等が実行された場合は、学習データの生成処理がやり直しされてもよい。
【0037】
ステップ600では、車両が走行経路を走行している際に発生する音及び振動がマイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出され、学習される。この際、音及び振動のデータは、当該データが取得された際の車両の走行経路の特徴及び当該データが取得された際の運転者による車両の操作態様に対応付けて学習される。ここで、音及び振動のデータに対応付けられる車両の操作態様は、操作態様検出手段42により検出された操作態様のデータが使用される。例えば、車両の操作態様がブレーキペダルのある操作速度によるある操作量の操作と共にステアリングホイールの左方向へのある操舵速度によるある操舵角の操舵である場合、当該操作態様に対応付けて、その際の異常検出対象の部品の音及び振動のデータが学習される。尚、車両の走行経路の全行程に亘って音及び振動のデータが学習される必要はなく、例えば特徴的な音及び振動のデータが得られた際のデータのみが学習されてもよい。或いは、逆の考え方で、車両の走行経路の特徴が検出された際、及び/又は、特徴的な車両の操作態様が検出された際、それらに対応付けて、その際の音及び振動のデータが学習されてもよい。
【0038】
ステップ602では、同一の走行経路で例えば10回以上走行を行い、上記ステップ600の音及び振動のデータを蓄積する。
【0039】
ステップ604では、上記ステップ602で蓄積された音及び振動のデータに基づいて、正常パターンを生成する。正常パターンは、上記ステップ602で蓄積された音及び振動のデータを平均化することで生成されてもよい。この際、正常パターンは、同一又は類似する車両の操作態様毎に生成される。このようにして生成される正常パターンは、車両になんら異常やその兆候が発生していない状況下で得られる音及び振動のデータに基づいて生成されているので、車両になんら異常やその兆候が発生していないときの音及び振動のデータを表すことになる。
【0040】
このようにして、車両の実走行により学習データ及び正常パターンが生成・蓄積されていく。尚、学習データ及び正常パターンは、特に、ユーザがよく利用する走行経路で生成され易くなる。また、学習データ及び正常パターンは、異常検出対象の部品が複数存在する場合は、異常検出対象の部品毎に生成されてもよい。
【0041】
尚、学習データの生成処理は、出荷前に車両メーカーにより事前に実行されてもよい。この場合、生成された学習データ及びそれに基づく正常パターンは、同一の車種の車両の学習結果データベース30に出荷前に格納されてもよい。学習結果データベース30の学習データ及びそれに基づく正常パターンは、他の車両で得られた学習データやメーカー等で事後的に生成された学習データ及びそれに基づく正常パターンにより事後的に更新されてもよい。
【0042】
図7は、車両用異常予測装置2により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理ルーチンは、車両走行中にリアルタイムで実行されてもよいし、事後的な解析処理として非リアルタイムで実行されてもよい。
【0043】
ステップ700の処理は、図3に示したステップ300の処理と同様であってよい。
【0044】
ステップ702では、操作態様検出手段42は、車両走行中に車両の操作態様を検出する。操作態様検出手段42は、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した操作態様(当該地点及びその前後の操作態様)を検出する。尚、操作態様検出手段42は、車両走行中は常時車両の操作態様を検出していてもよく、図7に示す処理ルーチンが非リアルタイムで実行される場合は、車両走行中に得られる車両の操作態様の全検出データが記憶されていてもよい。他方、図7に示す処理ルーチンがリアルタイムで実行される場合は、最新の所定データ量の検出データのみがFIFO方式で記憶されていてもよい。いずれの場合も、記憶された検出データのうちから、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した操作態様の検出データが抽出されて使用される。
【0045】
ステップ704の処理は、図3に示したステップ304の処理と同様であってよい。
【0046】
ステップ706では、ECU10は、上記ステップ700で検出された走行経路の特徴と同一又は類似する走行経路の特徴に対応する正常パターンであって、且つ、上記ステップ702で検出された車両の操作態様と同一又は類似する車両の操作態様に対応する正常パターンが、学習結果データベース30内に存在するか否かを判定する。学習結果データベース30内に正常パターンが存在する場合は、ステップ708に進む。他方、学習結果データベース30内に正常パターンが存在しない場合は、今回の走行経路の特徴の検出時には異常兆候の判定が精度良くできないと判断して、そのまま終了する。尚、この場合も、正常パターン生成のために、上記ステップ704で得られる音及び振動データは、上記ステップ700で得られる走行経路の特徴及び上記ステップ702で得られる車両の操作態様と対応付けて蓄積されてもよい(図6のステップ600参照)。
【0047】
ステップ708及び710では、ECU10は、上記ステップ704で得られる音及び振動のパターン(検出パターン)を、学習結果データベース30内から抽出した正常パターンと比較し、これらが略一致するか否かを判断する。この判断は、波形パターンのマッチング度合いを考慮して実現されてもよいし(図4参照)、最大振幅や周波数スペクトルを比較して実現されてもよい。上記ステップ704で得られる音及び振動の検出パターンが、学習結果データベース30内から抽出した正常パターンと略一致する場合は、ステップ712に進み、一致しない場合(所定レベル以上の乖離が存在する場合)は、ステップ714に進む。
【0048】
ステップ712及びステップ714の処理は、図3に示したステップ312及びステップ314の処理と同様であってよい。
【0049】
このように図7に示す処理によれば、車両の走行経路の特徴のみならず車両の操作態様をも考慮して、車両の部品の振動及び音を評価するので、当該車両の部品の異常の兆候の有無を精度良く判断することができる。即ち、車両の操作態様が変化するとそれに応じて車両の制御状態も変化し、車両の部品の振動及び音のパターンが変化しうるが、図7に示す処理によれば、かかる変化をも考慮するので、異常の兆候の有無を精度良く判断することができる。
【0050】
図8は、本発明の一実施例(実施例3)による車両用異常予測装置3の主要構成を示す構成図である。図1に示した要素と同一であってよい構成については、同一の参照符号を付している。図8に示す実施例は、主に、車両用異常予測装置3が道路状態検出手段44を有する点が、図1に示した車両用異常予測装置1と異なる。
【0051】
ECU10には、走行経路検出手段40と道路状態検出手段44とが接続される。
【0052】
走行経路検出手段40は、上述の実施例1と同様、車両の走行経路の特徴を検出するセンサであるが、上下振動を検出するセンサ(加速度センサ)を含まない。車両の走行経路の特徴は、走行経路の曲率半径(カーブの度合い)の特徴、走行経路の道路勾配(高低差)の特徴、走行経路における道路のカントの特徴、走行経路の段差(道路の継ぎ目を含む)や舗装状態の特徴を含んでよい。例えば、走行経路検出手段40は、道路状態を画像認識する車載カメラ及び画像処理装置の形態であってもよい。或いは、走行経路検出手段40は、走行経路の特徴を直接又は間接的に表す地図データを保有するナビゲーション装置及び自車位置を検出するGPS受信機の形態であってもよい。
【0053】
道路状態検出手段44は、走行経路における道路状態を検出するセンサである。道路状態は、工事による路面状況の変化(悪化)や穴あき、また工事によるカーブ状態の変更(片側通行や新たな道路の作成)のような、車両の振動状態に変化を及ぼしうる状態を含む。例えば、道路状態検出手段44は、道路状態を画像認識する車載カメラ及び画像処理装置の形態であってもよい。この場合、道路状態検出手段44は、走行経路検出手段40と共通のハードウェア(車載カメラ及び画像処理装置)を使用して実現されてもよい。また、道路状態検出手段44は、地図データを保有するナビゲーション装置及び自車位置を検出するGPS受信機の形態であってもよい。また、道路状態検出手段44は、VICS(道路交通情報通信システム)や3Wにて近隣道路の工事情報を取得する通信装置の形態であってもよい。
【0054】
図9は、ECU10により実行される学習結果データベース30の学習データ(及びそれに基づく正常パターン)の生成処理の一例を示すフローチャートである。尚、この学習データの生成処理は、車両になんら異常やその兆候が発生していない状況下で実行される。例えば、車両の総走行距離が1万キロ未満である間に実行されてもよい。この場合、その間に例えば車両の修理等が実行された場合は、学習データの生成処理がやり直しされてもよい。
【0055】
ステップ900では、車両が走行経路を走行している際に発生する音及び振動がマイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出され、学習される。この際、音及び振動のデータは、当該データが取得された際の車両の走行経路の特徴及び当該データが取得された際の走行経路の道路状態に対応付けて学習される。ここで、音及び振動のデータに対応付けられる走行経路の道路状態は、道路状態検出手段44により検出された走行経路の道路状態のデータが使用される。
【0056】
ステップ902では、同一の走行経路で例えば10回以上走行を行い、上記ステップ900の音及び振動のデータを蓄積する。
【0057】
ステップ904では、上記ステップ902で蓄積された音及び振動のデータに基づいて、正常パターンを生成する。このようにして、車両の実走行により学習データ及び正常パターンが生成・蓄積されていく。
【0058】
図10は、車両用異常予測装置3により実行される異常兆候判定処理の一例を示すフローチャートである。図10に示す処理ルーチンは、車両走行中にリアルタイムで実行されてもよいし、事後的な解析処理として非リアルタイムで実行されてもよい。
【0059】
ステップ1000の処理は、図3に示したステップ300の処理と同様であってよい。
【0060】
ステップ1003では、道路状態検出手段44は、車両走行中に走行経路の道路状態を検出する。道路状態検出手段44は、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した道路状態(当該地点及びその前後の道路状態)を検出する。尚、道路状態検出手段44は、車両走行中は常時走行経路の道路状態を検出していてもよく、図10に示す処理ルーチンが非リアルタイムで実行される場合は、車両走行中に得られる道路状態の全検出データが記憶されていてもよい。他方、図10に示す処理ルーチンがリアルタイムで実行される場合は、最新の所定データ量の検出データのみがFIFO方式で記憶されていてもよい。いずれの場合も、記憶された検出データのうちから、走行経路検出手段40により走行経路の特徴が検出された地点に関連した道路状態の検出データが抽出されて使用される。
【0061】
ステップ1004及び1006の処理は、図3に示したステップ304及び306の処理と同様であってよい。
【0062】
ステップ1006において、学習結果データベース30内に正常パターンが存在する場合は、ステップ1008に進む。他方、学習結果データベース30内に正常パターンが存在しない場合は、今回の走行経路の特徴の検出時には異常兆候の判定が精度良くできないと判断して、そのまま終了する。尚、この場合も、正常パターン生成のために、上記ステップ1004で得られる音及び振動データは、上記ステップ1000で得られる走行経路の特徴及び上記ステップ1003で道路状態検出手段44により検出される道路状態と対応付けて蓄積されてもよい(図9のステップ900参照)。
【0063】
ステップ1007では、ECU10は、上記ステップ1003にて検出された道路状態が、上記ステップ1006で抽出した学習結果データベース30内の正常パターンに対応付けられた道路状態に対して変化しているか否かを判定する。例えばナビゲーション装置及びGPS受信機の情報に基づいて進行方向方位と実走行方位を比較し、方位が公差を考慮しても異なる場合は、例えば工事等を避けるための迂回経路を走行していると判断し、道路状態が変化していると判定(推定)されてもよい。また、例えば、学習時以後に工事による路面状況の変化や穴あきが生じている場合は、例えば加速度センサで検出される上下振動(道路高低)が学習時の同データから所定レベル以上乖離するので、道路状態が変化していると判定されてもよい。また、VICS等にて得られる工事情報に基づいて走行道路にて工事が実施されていると判定できる場合は、道路状態が変化していると判定されてもよい。
【0064】
本ステップ1007において、道路状態が変化していない場合は、ステップ1008に進む、他方、道路状態が変化した場合は、今回の走行経路の特徴の検出時には異常兆候の判定が精度良くできないと判断して、そのまま終了する。尚、この場合も、正常パターン生成のために、上記ステップ1004で得られる音及び振動データは、上記ステップ1000で得られる走行経路の特徴及び上記ステップ1003で道路状態検出手段44により検出される道路状態と対応付けて蓄積されてもよい(図9のステップ900参照)。
【0065】
ステップ1008,1010,1012及び1014の処理は、図3に示したステップ308,310,312及び314の処理と同様であってよい。
【0066】
このように図10に示す処理によれば、車両の走行経路の特徴のみならず道路状態の変化をも考慮して、車両の部品の振動及び音を評価するので、当該車両の部品の異常の兆候の有無を精度良く判断することができる。即ち、走行経路の道路状態が変化するとそれに応じて車両の部品の振動及び音のパターンが変化しうるが、図10に示す処理によれば、かかる変化をも考慮するので、異常の兆候の有無を精度良く判断することができる。
【0067】
図11は、本発明の一実施例(実施例4)による車両用異常予測装置4の主要構成を示す構成図である。
【0068】
本実施例の車両用異常予測装置4は、車載機120と情報センタ113とを有する。車載機120は、図1に示した車両用異常予測装置1、図5に示した車両用異常予測装置2又は図8に示した車両用異常予測装置3と同様の構成を有してよいが、異常兆候判定処理は、外部の情報センタ113により実行される。この目的のため、車両用異常予測装置4は、例えば携帯電話網の基地局112や無線LANのアクセスポイント等を介してネットワーク114に接続し、情報センタ113と通信可能である通信モジュールを備える。この通信は例えばテレマティックスで実現されてもよく、例えば、TCP(Transmission Control Protocol )/IP(Internet Protocol)等のプロトコルと上位互換であるHTTP(Hyper Text Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)等のプロトコルが用いられる。
【0069】
情報センタ113はコンピュータの一形態であるサーバ140を有する。サーバ140は、上述の実施例1,2又は3で説明したような異常兆候判定処理(図3、図7及び図10)を例えば非リアルタイムで実行する。この目的のため、車載機120は、各種の検出データ(走行経路の特徴等のデータ)を情報センタ113に送信する。この送信は、例えば車両の1トリップの終了毎に若しくは定期的にまとめて実行されてもよい。サーバ140は、異常兆候判定処理の結果、「異常の兆候有り」と判断した場合(図3のステップ314、図7のステップ714及び図10のステップ1014)、その旨を車載機120に通知する。また、情報センタ113は、予兆診断結果に応じて、故障に至る前に、修理・退避等を勧告することもできる。尚、情報センタ113で各種情報を集約することで、異常兆候(予兆)が複数の車両で発生した際、その箇所を重点的に解析し、次の製品にフィードバックすることも可能である。
【0070】
尚、本実施例4において、情報センタ113のサーバ140は、異常兆候判定処理(図3、図7及び図10)に代えて若しくはそれに加えて、学習データ(及びそれに基づく正常パターン)の生成処理を実行してもよい。この場合、複数の車両からのデータを使用できるので、学習データ(及びそれに基づく正常パターン)を効率的に広範囲の走行経路に対して生成することができる。この場合も、車載機120は、正常パターンに生成に必要な各種の検出データ(走行経路の特徴等のデータ)を情報センタ113に送信する。車両側で異常兆候判定処理を行う構成の場合、情報センタ113のサーバ140により生成された正常パターンは、複数の車両に配信されてもよい。
【0071】
また、同様の観点から、異常兆候判定処理及び/又は学習データ(及びそれに基づく正常パターン)の生成処理は、任意の協動態様で情報センタ113及び車載機120により協動して実現されてもよい。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
例えば、上述した実施例では、マイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出される音及び振動の双方が利用されているが、いずれか一方のみを利用することも可能である。また、異常検出対象の部品によっては、異常の兆候が音及び振動のいずれか一方のみに現れる場合もある。従って、かかる異常検出対象の部品に対しては、音及び振動のうちの異常の兆候が現れる方のみを考慮すればよい。例えば、ワイヤハーネスのように質量の小さい部品は、異常の兆候が音に現れるが振動に現れない。他方、エンジンブロックのように質量の大きい部品は、異常の兆候が音及び振動のいずれにも現れる。従って、予め部品(異常検出対象の部品)毎の振動・音の変化パターンを計測しておき、その結果と、振動共振周波数、音の周波数を学習し、部品毎に判定を実施してもよい。
【0074】
また、上述した実施例では、異常の兆候(疲労等を含む)を異常発生前に検知するものであったが、異常発生時には、異常の兆候が出始めるときよりも顕著に、マイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出される音及び振動に変化が現れうる。従って、マイクロフォン20及び振動検出センサ22により検出される音及び振動の少なくともいずれか一方を同様に用いて、異常の兆候に代えて若しくはそれに加えて、異常の発生を検出することも可能である。この場合、異常の発生が検出されると、ECU10は、例えば、運手席のインストルメントパネルに設けられた警告ランプを点灯し又は警告表示部に警告表示して運転者に警告すると共に、その異常情報(異常コード)をECU10の所定メモリに記憶してもよい。
【0075】
また、上述した実施例において、音の変化に基づく故障期間の判定を追加してもよい。図12は、音変化による故障期間判定方法の説明図である。図12は、縦軸に、特定の部品(異常検出対象の部品)の音の振幅を示し、横軸に経過時間を示す。図12では、正常時の音の変化度がΔAnorで示され、故障まで余裕があるときの音の変化度がΔA1で示され、まもなく故障に至るときの音の変化度がΔA2で示されている。これらの範囲は、実験等から適合されてよいし、過去の多数の車両から取得したデータ(部品が壊れるまでの音の変化のデータ)に基づいて適合されてもよい。これにより、音の変化度に応じて部品の故障期間を精度良く判定することができる。尚、音の変化度がΔAnorを超えるがΔA1の範囲内である間(図12のX1参照)は、緊急度の比較的低いメッセージを音声及び/又は表示により出力してもよい。例えば、運転者に部品を例えば1ヶ月以内に修理・交換するように促すメッセージを音声及び/又は表示により出力してもよい。音の変化度がΔA1を超えるがΔA2の範囲内である間(図12のX2参照)は、緊急度の比較的高いメッセージを音声及び/又は表示により出力してもよい。例えば、運転者に部品を直ちに最寄の販売店等で修理・交換するように促すメッセージを音声及び/又は表示により出力してもよい。
【符号の説明】
【0076】
1,2,3,4 車両用異常予測装置
10 ECU
20 マイクロフォン
22 振動検出センサ
30 学習結果データベース
40 走行経路検出手段
42 操作態様検出手段
44 道路状態検出手段
112 基地局
113 情報センタ
114 ネットワーク
120 車載機
140 サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行経路の特徴を検出する走行経路検出手段と、
車両走行時において車両の部品の振動を検出する部品振動検出手段、又は、車両走行時において車両の部品から発生する部品音を検出する部品音検出手段と、
車両に異常が生じていない状況下で前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音を、前記走行経路検出手段により検出された走行経路の特徴と対応付けて記憶する学習記憶手段と、
前記学習記憶手段に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が前記走行経路検出手段により検出された場合に、その際に前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音と、該走行経路の特徴に対応付けられて前記学習記憶手段に記憶された振動又は音とを比較することで、車両の部品の異常の可能性を評価する異常評価手段とを備えることを特徴とする、車両用異常予測装置。
【請求項2】
運転者による車両の操作態様を検出する操作態様検出手段を更に備え、
前記学習記憶手段は、車両に異常が生じていない状況下で前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音を、前記走行経路検出手段により検出された走行経路の特徴及び前記操作態様検出手段により検出された車両の操作態様と対応付けて記憶し、
前記異常評価手段は、前記学習記憶手段に記憶された車両の操作態様と略同一の車両の操作態様が前記操作態様検出手段により検出され、且つ、前記学習記憶手段に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が前記走行経路検出手段により検出された場合に、その際に前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音と、該車両の操作態様及び該走行経路の特徴に対応付けられて前記学習記憶手段に記憶された振動又は音とを比較することで、車両の部品の異常の可能性を評価する、請求項1に記載の車両用異常予測装置。
【請求項3】
車両が走行している道路の状態を検出する道路状態検出手段を更に備え、
前記学習記憶手段は、車両に異常が生じていない状況下で前記部品振動検出手段又は前記部品音検出手段により検出された振動又は音を、前記走行経路検出手段により検出された走行経路の特徴及び前記道路状態検出手段により検出された道路の状態と対応付けて記憶し、
前記異常評価手段は、前記学習記憶手段に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が前記走行経路検出手段により検出された場合であっても、前記学習記憶手段に記憶された道路の状態とは異なる道路の状態が前記道路状態検出手段により検出された場合には、車両の部品の異常の可能性の評価を実行しない、請求項1に記載の車両用異常予測装置。
【請求項4】
車両の走行経路の特徴を検出する走行経路検出手段は、車両の上下振動の特徴を検出する手段、車両の走行経路の道路の曲率半径の特徴を検出する手段及び車両の走行経路の道路勾配の特徴を検出する手段のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の車両用異常予測装置。
【請求項5】
車両の走行経路の特徴を検出する走行経路検出段階と、
車両走行時において車両の部品の振動を検出する部品振動検出段階、又は、車両走行時において車両の部品から発生する部品音を検出する部品音検出段階と、
車両に異常が生じていない状況下で前記部品振動検出段階又は前記部品音検出段階により検出された振動又は音を、前記走行経路検出段階により検出された走行経路の特徴と対応付けて記憶する学習記憶段階と、
前記学習記憶段階に記憶された走行経路の特徴と略同一の走行経路の特徴が前記走行経路検出段階により検出された場合に、その際に前記部品振動検出段階又は前記部品音検出段階により検出された振動又は音と、該走行経路の特徴に対応付けられて前記学習記憶段階に記憶された振動又は音とを比較することで、車両の部品の異常の可能性を評価する異常評価段階とを備えることを特徴とする、車両用異常予測方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−203116(P2011−203116A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70672(P2010−70672)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】