説明

車両用空調装置

【課題】車室内の暖房効率の向上を可能としながら、ウインドガラスが曇ったり、車室内の空気が汚れることにより乗員に不快感を生じさせるのを確実に防止する。
【解決手段】エアコン10では、内外気箱28に車室66内に開口された内気導入口60、エンジンルーム78内に開口された第1の外気導入口74及びカウルトップパネル84に開口された第2の外気導入口76が形成され、外気温センサ、排ガスセンサ及び湿度センサの検出結果に基づいて、何れか一つが開かれる。これにより、暖房時の暖房効率の向上を図りながら、ウインドガラス82の曇りを防止することができる。また、エンジンルーム内の空気が汚れているときには、この空気が車室内に導入されて乗員に不快感を生じさせてしまうのを確実に防止できるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外気又は内気を選択して導入し、車室内を空調する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車室内を空調する車両用空調装置(以下、エアコンとする)は、ブロワユニット及びエアコンユニットを備え、ブロワユニット及びエアコンユニットが、車室前部のインストルメントパネル内に配設されている。このブロワユニットには、車室内に開口されて車室内の空気(内気)を導入可能とする内気導入口及び、カウルトップに開口が形成されて車外の空気(外気)を導入可能とする外気導入口が形成され、内気導入口又は外気導入口を選択して開放するダンパが設けられており、ブロワファンの駆動によって内気又は外気を導入して、エアコンユニットでの温調されるようにしている。
【0003】
一方、外気を導入して車室内を空調するときに、周囲を走行している車両から排出される排気ガスを含んだ空気が車室内に導入されて、車室内の空気を汚してしまうことがある。また、内気を導入して車室内を空調すると、ウインドガラスに曇が生じ易くなる。
【0004】
ここから、特許文献1では、外気の状態を検知する臭気センサと、外気中の水分を検出する検出手段を設け、臭気センサによって外気中の悪臭を検知すると内気導入に切換えて、車室内の空気が汚れるのを防止し、雨天などの時には、外気導入に切換えて、ウインドガラスの曇りを防止するように提案されている。
【0005】
ところで、エアコンによって車室内を暖房するとき、内気を導入して空調を行うと、ウインドガラスに曇りが生じ易くなるが、外気を導入することにより、ウインドガラスに曇りが生じるのを抑えることができる。
【0006】
しかし、暖房効率を考慮した場合、エアコンユニットに導入される空気の温度が高いことが好ましい。
【0007】
ここから、特許文献2では、従来のカウルトップに開口された外気導入口に加え、エンジンルーム内に開口された外気導入口を設け、暖房時には、エンジンルーム内から外気を導入することにより、暖房効率の向上を図るように提案している。
【特許文献1】実開平5−41911号公報
【特許文献2】特開2003−285620号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、エンジンルーム内には、車両前端部のグリルから外気が導入されるようになっており、前方の車両から排出される排気ガスなどが入り込みやすくなっている。
【0009】
また、停車中や低速走行中では、エンジンルーム内に入り込んだ排気ガスなどを含んだ空気が滞留していることがあり、この状態で、エンジンルーム内の空気を導入すると、乗員に不快感を生じさせてしまうという問題が生じる。
【0010】
本発明は上記事実を考慮してなされたものであり、暖房性能の向上を図りながら、車室内の乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止する車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、車室内の空気または室外の空気を導入して空調風を生成し、生成した空調風を車室内へ吹出して空調する車両用空調装置であって、車室内の空気を導入可能とする内気導入口及び外気としてエンジンルーム内の空気を導入可能とする外気導入口が設けられた空気導入部と、前記空気導入部に設けられて前記内気導入口及び前記導入口を開閉する切換えダンパと、前記エンジンルーム内に設けられた空気質検出手段と、前記空気室検出手段の検出結果によって空気質の低下を検出したときに、前記切換えダンパを作動させて前記外気導入口を閉じて前記エンジンルーム内の空気の導入を禁止するダンパ制御手段と、を含むことを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、切換ダンパによって内気導入口又は外気導入口の一方を開いて、内気又は外気を導入する。また、外気導入口は、エンジンルーム内の空気を導入可能となっており、これにより、暖房時に外気導入口を開いてエンジンルーム内の空気を導入することにより、暖房効率を向上させながら、ウインドガラスの曇りを防止することができる。
【0013】
また、本発明では、空気質検出手段によってエンジンルーム内の空気質を検出し、エンジンルーム内の空気が汚れていると判断されるときには、エンジンルーム内の空気の導入を禁止する。
【0014】
これにより、車室内に汚れた空気が入り込んで乗員に不快感を生じさせてしまうのを確実に防止することができる。
【0015】
請求項2の発明は、前記空気導入部に、外気導入口としてエンジンルームへ向けて開口された第1の外気導入口及びカウルトップに開口された第2の外気導入口が形成され、外気を導入するときに、前記ダンパ制御手段が、前記空気質検出手段の検出結果に基づいて前記切換ダンパを作動して前記第1の又は前記第2の外気導入口を選択して開くことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、エンジンルーム内の空気を導入する第1の外気導入口と、カウルトップから外気を導入する第2の外気導入口を設け、エンジンルーム又はカウルトップから外気の導入が可能となるようにし、外気を導入するときには、空気質検出手段の検出結果に基づいて第1又は第2の外気導入口から導入する。
【0017】
これにより、車室内の乗員に不快感を生じさせることなく、ウインドガラスの曇りを確実に防止することができる。
【0018】
また、請求項3に係る発明は、ウインドガラスの曇りを予測する曇予測手段を含み、前記曇予測手段によって前記ウインドガラスの曇りが予測されるときに、前記ダンパ制御手段が、前記外気導入口を選択して前記切換ダンパによって開くことを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、雲予測手段によってウインドガラスに曇りが生じる環境下であるか否かを予測し、ウインドガラスの曇りが予測されるときには、外気導入口から外気を導入し、ウインドガラスの曇りを確実に防止して、走行安全性が確保されるようにする。
【0020】
請求項4に係る発明は、外気温を検出する外気温検出手段を含み、前記ダンパ制御手段が、前記外気温検出手段によって検出する外気温に基づいて前記内気導入口、前記第1の外気導入口又は前記第2の外気導入口の何れかを選択して開放することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、外気温検出手段によって暖房運転が行われるか否かを判断し、判断結果に基づいて内気導入口、第1の外気導入口又は第2の外気導入口を開く。
【0022】
これにより、例えば、暖房負荷が大きいときに、第2の外気導入口を開いて、暖房負荷をさらに大きくしてしまったり、冷房負荷が大きいときに、第1の外気導入口を開いて、冷房能力をさらに高くして、運転効率を低下させてしまうのを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように本発明によれば、空気質検出手段の検出結果に基づいてエンジンルームの空気を、外気として導入することにより、暖房効率を向上させながら、ウインドガラスの曇りを防止できると共に、車室内の空気が汚れて、乗員に不快感を生じさせてしまうのを確実に防止することができるという優れた効果が得られる。
【0024】
また、本発明では、第1の外気導入口と第2の外気導入口を選択して外気を導入することにより、乗員に不快感を生じさせること無く、確実にウインドガラスの曇りを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2には、本実施の形態に適用した車両用空調装置(以下、エアコン10とする)の概略構成を示している。
【0026】
エアコン10には、コンプレッサ12、コンデンサ14、エキスパンションバルブ16及びエバポレータ18によって冷媒を循環する冷凍サイクルが形成されている。
【0027】
コンプレッサ12は、図示しないエンジン又はコンプレッサモータなどを駆動源として回転駆動されることにより冷媒を圧縮して、高温、高圧の冷媒を送り出す。コンデンサ14は、この冷媒を冷却することにより液化し、エバポレータ18では、液化された冷媒が気化され、エバポレータ18を通過する空気を冷却すると共に、空気中の水分がエバポレータ18に結露することにより除湿が行なわれる。なお、エキスパンションバルブ16は、液化された冷媒を急激に減圧することにより霧状にしてエバポレータ18へ供給するようにして、エバポレータ18での冷媒の気化を促進する。
【0028】
一方、このエアコン10は、ブロワユニット20及びエアコンユニット22を備えている。ブロワユニット20には、ブロワファン24が設けられ、エアコンユニット22には、エバポレータ18及びヒータコア26が配設されている。
【0029】
ブロワユニット20には、内外気箱28が連結されており、ブロワユニット20は、この内外気箱28を介して、車室内及び車外と連通されている。これにより、エアコン10では、ブロワモータ30によってブロワファン24が回転駆動されると、車室内の空気(内気)又は室外(車外)の空気(外気)が導入されて、エアコンユニット22へ送り込まれる。
【0030】
エアコンユニット22には、エバポレータ18及びヒータコア26を通過する空気の流路が形成されている。このヒータコア26には、車両の図示しないエンジンとの間で、エンジン冷却水が循環されるようになっており、エアコンユニット22では、ヒータコア26を通過する空気とエンジン冷却水との間で熱交換を行うことにより、空気を加熱する。
【0031】
エアコンユニット22内には、エバポレータ18とヒータコア26の間に、エアミックスダンパ32が配設されており、エアコン10では、エアミックスダンパ32の開度によってヒータコア26を通過する空気量とヒータコア26をバイパスする空気量が制御される。
【0032】
エアコン10では、ヒータコア26によって加熱された空気と、ヒータコア26をバイパスした空気を混合する。このときに、エアミックスダンパ32の開度が制御されることにより、所定温度の空調風が生成されるようにしている。なお、エアミックスダンパ32の全閉状態では、エバポレータ18を通過した空気がヒータコア26をバイパスされ(MAX COOL)、エアミックスダンパ32が全開状態では、殆どの空気がヒータコア26を通過される(MAX HOOT)。
【0033】
一方、エアコン10には、この空調風の吹出し口として、ウインドガラスへ向けて開口されたデフロスタ吹出し口34(センタデフロスタ吹出し口34A、サイドデフロスタ吹出し口34B)、車室内の乗員へ向けて開口されたレジスタ吹出し口36(センタレジスタ吹出し口36A、サイドデフロスタ吹出し口36B)、及び、前席と後席の乗員の足元に向けて開口された足元吹出し口38(前席足元吹出し口38A、後席足元吹出し口38B)が設けられており、デフロスタ吹出し口34、レジスタ吹出し口36及び足元吹出し口38が、エアコンユニット22に形成されている。なお、後席足元吹出し口38Bは、エアコンユニット22に連結されたリアヒータダクト40に形成されている。
【0034】
エアコンユニット22内には、モード切換ダンパ42が設けられており、エアコン10では、モード切換ダンパ42によってデフロスタ吹出し口34、レジスタ吹出し口36及び足元吹出し口38を選択的に開閉する。
【0035】
エアコン10では、空調風の吹出しモードとして、デフロスタ吹出し口34から空調風を吹き出してウインドガラスの曇り除去するDEFモード、レジスタ吹出し口46から乗員へ向けて空調風を吹き出すFACEモード、暖房時に足元吹出し口38から前席及び後席の乗員の足元へ向けて空調風を吹き出すFOOTモード、デフロスタ吹出し口34と足元吹出し口38から空調風を吹き出すDEF/FOOTモード及び、レジスタ吹出し口36と足元吹出し口38から空調風を吹き出すBI−LEVELモードが選択可能となっている。
【0036】
エアコン10では、空調風の吹出しモードが選択ないし設定されることにより、該当吹出しモードに応じてモード切換ダンパ42を作動させて、吹出しモードに応じた吹出し口から空調風を吹き出す。
【0037】
一方、図3に示されるように、エアコン10は、空調運転を制御するエアコンECU44を備えている。エアコンECU44は、図示しないCPU、ROM、RAMなどがバスによって接続されたマイクロコンピュータと、入出力用のインターフェイス及び各種のドライバ回路を含む一般的構成となっている。
【0038】
エアコン10では、一例としてコンプレッサモータ46によってコンプレッサ12を駆動するようにしており、エアコンECU44には、このコンプレッサモータ46が接続されており、コンプレッサモータ46のオン/オフ及び回転数を制御することにより、エバポレータ18を通過する空気の温度を制御している。
【0039】
また、エアコンECU44には、ブロワモータ30が接続され、エアミックスダンパ32及びモード切換ダンパ42を駆動するアクチュエータ48A、48Bが接続されている。
【0040】
エアコンECU44は、ブロワモータ30のオン/オフ及び回転数を制御することにより、吹出し口から吹き出される空調風の風量(ブロワ風量)を制御すると共に、アクチュエータ48A、48Bによってエアミックスダンパ32の開度制御及び、吹き出しモードの切り換えを行う。
【0041】
また、エアコンECU44には、室内温度を検出する室温センサ50、外気温度を検出する外気温センサ52、日射量を検出する日射センサ54、エバポレータ18を通過した空気の温度(エバポレータ後温度)を検出するエバポレータ後温度センサ56、エンジン冷却水の水温を検出する水温センサ58などの各種のセンサが接続されている。
【0042】
エアコンECU44では、図示しない操作パネルのスイッチ操作によって設定される設定温度などの運転条件と、各種のセンサによって検出する環境条件に基づいて、室内を設定温度とするための目標吹出し温度を演算する。
【0043】
この目標吹出し温度の演算は、設定温度、室温センサ50によって検出する室温、外気温センサ52によって検出する外気温、日射センサ54によって検出する日射量から一般的演算式に基づいて得られる。
【0044】
また、エアコンECU44は、オートモードに設定されていると、目標吹出し温度に基づいて、エアミックスダンパ32の開度、吹出しモードの設定及びブロワ風量の設定などを行い、これらの設定ないし操作パネル上の設定に基づいて空調運転を行う。
【0045】
なお、エアミックスダンパ32の開度は、エバポレータ後温度、エンジン冷却水の水温、冷却水を循環するウォータポンプを駆動するエンジンの回転数に応じて定まるエンジン冷却水の流量及びヒータコア26の熱効率から得られ、ブロワ風量は、目標吹出し温度Tと設定温度又は室温から得られる。
【0046】
これにより、エアコン10は、車室内が設定温度となるように空調運転が行われる。なお、このようなエアコン10の基本的動作は、公知の構成を適用でき、ここでは詳細な説明を省略する。
【0047】
ところで、図1及び図2に示されるように、エアコン10では、内外気箱28に内気導入口60と外気導入口62が形成されている。図1に示されるように、内気導入口60は、車両64の車室66内に向けて開口されており、これにより、エアコン10では、車室66内の空気(内気)の導入が可能となっている。
【0048】
また、内外気箱28には、内気導入口60又は外気導入口62を選択的に開く内外気切換ダンパ68が設けられている。
【0049】
図3に示されるように、エアコンECU44には、内外気切換ダンパ68を作動するアクチュエータ70が接続されており、エアコンECU44は、アクチュエータ70の駆動を制御することにより、内気導入口60又は外気導入口62の一方を開放する。
【0050】
エアコン10は、空調風の生成に用いる空気の導入モードとして内気循環モードと外気導入モードの選択が可能となっており、エアコンECU44は、内気循環モードが選択されると、内外気切換ダンパ68によって内気導入口60を開放すると共に外気導入口62を閉塞し、ブロワファン24が作動することにより、車室66内の空気が内気導入口60から吸引されるようにしている。
【0051】
一方、図1に示されるように、内外気箱28には、外気導入口62に外気導入ダクト72が連結されている。この外気導入ダクト72には、第1の外気導入口74と、第2の外気導入口76が形成されている。
【0052】
車両64には、車室66と車両前部のエンジンルーム78とを区画するダッシュパネル80が配設されている。このダッシュパネル80の上端部は、ウインドガラス82の下端部に、車幅方向(図1の紙面表裏方向)に沿って配設されたカウルトップパネル84に連結されている。
【0053】
第2の外気導入口76は、カウルトップパネル84に開口されており、これにより、エアコン10では、ウインドガラス82の下端部近傍の車外の空気を外気として、カウルトップベンチレータルーバ86を介して導入可能となっている。
【0054】
また、第1の外気導入口74は、エンジンルーム78内に開口されている。このエンジンルーム78内には、車両前端部の図示しないグリルから、車両前方側の空気が入りこむようになっている。このエンジンルーム78内には、エンジン(図示省略)等が配置されており、これにより、エンジンルーム78内の空気は、エンジンの発熱により温度が上昇されており、エアコン10では、このエンジンルーム78内の空気を外気として、第1の外気導入口74から導入可能となっている。
【0055】
外気導入ダクト72には、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76を選択的に開く外気切換ダンパ88が設けられている。
【0056】
図3に示されるように、エアコンECU44には、外気切換ダンパ88を駆動するアクチュエータ90が設けられており、アクチュエータ90の駆動を制御することにより、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76の一方を開放する。
【0057】
エアコンECU44では、外気導入モードに設定されているときに、アクチュエータ70を駆動して、内気導入口60を閉塞すると共に、外気導入口62を開く。これにより、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76から外気の導入が可能となるようにしている。
【0058】
また、エアコンECU44では、アクチュエータ90の駆動を制御することにより、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76を開いて、車両64の外方の空気又はエンジンルーム78内の空気を外気として導入するようにしている。
【0059】
一方、図3に示されるように、エアコン10には、空気質を検出する空気質検出手段の一例とする排ガスセンサ92及び、ウインドガラス82の曇りを予測する予測手段の一例とする湿度センサ94が設けられており、排ガスセンサ92及び湿度センサ94が、エアコンECU44に接続されている。
【0060】
排ガスセンサ92は、エンジンルーム78内の所定位置に配置され(図1では図示省略)、エアコンECU44は、この排ガスセンサ92によってエンジンルーム78内の空気が汚れているか否かを検出する。
【0061】
このような排ガスセンサ92としては、Oセンサ、NOxセンサなどの空気質を検出する任意のセンサを使用することができる。また、排ガスセンサ92は、一つの成分のみを検出するものに限らず、それぞれが空気中の異なる成分を検出する複数のセンサを用いて構成されたものであっても良い。
【0062】
また、本実施の形態では、空気質検出手段として排ガスセンサ92を例に説明するが、空気質検出手段は、これに限らず、例えば、臭いを検出する臭気センサなど、乗員に不快感や違和感を生じさせる空気中の成分を検出や状態を検出するものであれば、任意の検出手段を適用することができる。
【0063】
湿度センサ94は、車室66内に配置され(図1では図示省略)、エアコンECU44では、湿度センサ94によって車室66内の湿度を検出することにより、ウインドガラス82に曇りが生じやすい湿度となっているか否かを判断する。
【0064】
ここで、エアコンECU44は、暖房負荷が大きく、車室66内の暖房を行うときには、エアコンECU44は、例えば、外気温が低く暖房運転が行われる環境である時には、湿度センサ94によって検出する車室66内の湿度から、ウインドガラス82の曇りを予測し、ウインドガラス82に曇りが生じる可能性が低いときには、内気循環モードで空調運転を行うが、ウインドガラス82に曇りが生じる可能性がある時には、外気導入モードでの暖房運転が行われるようにする。
【0065】
また、エアコンECU44では、外気導入モードで暖房運転を行うときに、排気ガスセンサ92によってエンジンルーム78内の空気の汚れを判断し、エンジンルーム78内の空気が汚れていないときには、外気としてエンジンルーム78内の空気を導入することにより、外気導入モードで暖房運転を行うときの暖房効率の低下を抑えるようにしている。
【0066】
ここで、エアコン10に設けているエアコンECU44の導入モードの切換えを、図4を参照しながら説明する。図4には、導入モードの切換え処理の概略を示している。
【0067】
例えば、エアコン10では、導入モードの切換えをエアコンECU44が行なう自動モードが設定されており、図4のフローチャートは、図示しない操作パネルのスイッチ操作によって自動モードに設定されていることにより実行され、自動モードの解除又はエアコン10の停止によって終了する。
【0068】
このフローチャートでは、最初のステップ100で、外気温センサ52によって検出する外気温Toを読込み、次のステップ102では、外気温Toが、予め設定している温度Tos(例えば、10°C)以下か否かから、車室66内の暖房運転を行う環境であるか否かを確認する。
【0069】
ここで、外気温Toが設定温度Tosを超えているとき(To>Tos)には、ステップ102で否定判定してステップ104へ移行する。このステップ104では、外気温Toが設定温度Tosよりも高いため、暖房運転が行われる可能性が低く、また、暖房運転が行われてもウインドガラス82に曇りが生じる可能性が低いとして、内気循環モードに設定する。
【0070】
これにより、エアコンECU44は、アクチュエータ70を駆動して、内外気切換ダンパ68によって内気導入口60を開いて、外気導入口62を閉じ、内気循環モードでの空調運転を行う。
【0071】
一方、外気温Toが設定温度Tos以下(To≦Tos)であるときには、車室66内の暖房運転を行ったときに、ウインドガラス82に曇りが生じる可能性が高いと判断して、ステップ102で肯定判定してステップ106へ移行する。
【0072】
このステップ106では、排気ガスセンサ92の検出値を読込み、エンジンルーム78内の空気が汚れているか否かを確認する(ステップ108)。
【0073】
ここで、エンジンルーム78内の空気に汚れが無く、車室66内にエンジンルーム78内の空気を導入したときに、乗員に不快感などを生じさせないと判断されるときには、ステップ108で肯定判定してステップ110へ移行する。このステップ110では。エンジンルーム78から外気を導入する外気導入モードに設定する。
【0074】
エアコンECU44では、エンジンルーム78からの外気導入に設定されると、アクチュエータ70を駆動して、内気導入口60を閉じて外気導入口62を開くと共に、アクチュエータ90によって外気切換ダンパ88を作動させて、第2の外気導入口76を閉じて第1の外気導入口74を開く。これにより、エンジンルーム78内の空気を第1の外気導入口74から導入しながら車室66内の空調が行われる。
【0075】
これに対して、エンジンルーム78内の空気に汚れが生じていると判断すると、ステップ108で否定判定してステップ112へ移行する。このステップ112では、湿度センサ94によって車室66内の湿度Hを検出し、車室66内の湿度が、内気循環モードで暖房運転を行ったときに、ウインドガラス82に曇りを生じさせる可能性のあるとして設定している湿度Hs(例えば、Hs=50%)以下か否かを確認する(ステップ114)。
【0076】
ここで、車室66内の湿度Hが、設定湿度Hs以下(H≦Hs)である時には、ステップ114で肯定判定してステップ104へ移行して、内気循環モードに設定する。
【0077】
また、車室66内の湿度Hが設定湿度Hを超えているとき(H>Hs)には、ステップ114で否定判定してステップ116へ移行する。このステップ116では、カウルトップパネル84に開口している第2の外気導入口76から外気導入を行なうように設定する。
【0078】
これにより、エアコンECU44では、アクチュエータ70を駆動して内気導入口60を閉じて外気導入口62を開くと共に、アクチュエータ90を駆動して第1の外気導入口74を閉じて第2の外気導入口76を開き、カウルトップベンチレータルーバ86から吸引される新鮮な外気を導入して車室66内の空調を行う。
【0079】
このように、エアコンECU44は、外気温Toが低く、車室66内の暖房運転が行われるときには、排ガスセンサ92によってエンジンルーム78内の空気の汚れを検出し、エンジンルーム78内の空気が汚れていなければ、エンジンルーム78内の空気を外気として導入する。
【0080】
また、エンジンルーム78内の空気に汚れが生じていると判断されるときには、車室66内の湿度を検出し、ウインドガラス82の曇りが生じる可能性を予測し、湿度が低く、ウインドガラス82に曇りが生じる可能性が低いときには、内気循環モードを選択する。
【0081】
これにより、ウインドガラス82に曇りを生じさせてしまったり、汚れた空気を車室66内に導入して乗員に不快感を生じさせてしまうこと無く、効率的な暖房運転を行うことができる。
【0082】
一般に、熱効率を考慮した時には、内気循環モードでの空調運転が好ましいが、暖房運転中は除湿能力が低下し、車室66内の湿度が上昇し、ウインドガラス82に曇りが生じ易くなる。これに対して、外気導入モードで暖房運転を行うことにより、車室66内の湿度上昇を抑え、ウインドガラス82の曇りを防止することができるが、低い温度の外気を導入することは大きな暖房能力が要求される。
【0083】
このときに、走行用の駆動源としてエンジンに加えて電気モータが設けられた車両や、停止中にエンジンを停止するアイドルストップなどのエンジン停止制御を行う車両では、エンジン停止時間が長くなると、エンジン冷却水の水温が低下して暖房能力が低くなることがある。
【0084】
このような車両において、エンジンの発熱によって温度上昇されているエンジンルーム78内の空気を外気として導入することにより、実質的な暖房能力を高くすることができ、省動力化を図りながら車室66内を所望の暖房状態に空調することができる。
【0085】
また、エンジンルーム78内の空気を導入した場合、エンジンルーム78内の空気に、周囲を走行して車両等から排出される排気ガスなどが含まれていると、車室66内の乗員に不快感を生じさせてしまう。
【0086】
このときに、排ガスセンサ92によってエンジンルーム78内の空気の汚れを判断し、エンジンルーム78内の空気に汚れが生じていないときにのみ、エンジンルーム78内の空気を導入するために、車室66内の空気が汚れて、乗員に不快感を生じさせてしまうのを確実に防止することができる。
【0087】
なお、以上説明した本実施の形態では、外気温センサ52によって検出する外気温から暖房負荷を判断するようにしたが、これに限らず、目標吹出し温度、目標吹出し温度と室温、設定温度などをもちいて暖房負荷を判断するようにしても良い。
【0088】
また、ウインドガラス82の曇りは、車室66内の湿度のみでなく、外気温や室温も影響することから、エアコンECU44では、湿度センサ94の検出湿度のみでなく、外気温センサ52によって検出する外気温などの環境状態、車室66内の空調状態などを含めて、ウインドガラス82の曇りを予測することが好ましい。
【0089】
さらに、本実施の形態では、内外気ダンパ切換ダンパ68と外気切換ダンパ88を用いて、内気導入口60、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76を選択的に開閉するようにしたが、本発明は、これに限らず、一つの切換ダンパによって、内気導入口60、第1の外気導入口74又は第2の外気導入口76を開閉するなど、任意の構成を適用することができる。
【0090】
また、本実施の形態では、エアコン10を例に説明したが、本発明は、内気又は外気を導入して車室内を空調する任意の構成の車両用空調装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態に係る空気導入部を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係るエアコンの概略構成図である。
【図3】エアコンの制御部を示す概略構成図である。
【図4】エアコンECUによる空気の導入モードの設定の一例を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0092】
10 エアコン(車両用空調装置)
20 ブロワユニット
24 ブロワファン
28 内外気箱(空気導入部)
44 エアコンECU(ダンパ制御手段、曇予測手段)
52 外気温センサ(外気温検出手段)
60 内気導入口
62 外気導入口
64 車両
66 車室
68 内外気切換ダンパ(切換ダンパ)
72 外気導入ダクト(空気導入部)
74 第1の外気導入口(外気導入口)
76 第2の外気導入口(外気導入口)
78 エンジンルーム
84 カウルトップパネル
88 外気切換ダンパ(切換ダンパ)
92 排ガスセンサ(空気質検出手段)
94 湿度センサ(曇予測手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の空気または室外の空気を導入して空調風を生成し、生成した空調風を車室内へ吹出して空調する車両用空調装置であって、
車室内の空気を導入可能とする内気導入口及び外気としてエンジンルーム内の空気を導入可能とする外気導入口が設けられた空気導入部と、
前記空気導入部に設けられて前記内気導入口及び前記導入口を開閉する切換えダンパと、
前記エンジンルーム内に設けられた空気質検出手段と、
前記空気室検出手段の検出結果によって空気質の低下を検出したときに、前記切換えダンパを作動させて前記外気導入口を閉じて前記エンジンルーム内の空気の導入を禁止するダンパ制御手段と、
を含むことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空気導入部に、外気導入口としてエンジンルームへ向けて開口された第1の外気導入口及びカウルトップに開口された第2の外気導入口が形成され、外気を導入するときに、前記ダンパ制御手段が、前記空気質検出手段の検出結果に基づいて前記切換ダンパを作動して前記第1の又は前記第2の外気導入口を選択して開くことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
ウインドガラスの曇りを予測する曇予測手段を含み、前記曇予測手段によって前記ウインドガラスの曇りが予測されるときに、前記ダンパ制御手段が、前記外気導入口を選択して前記切換ダンパによって開くことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
外気温を検出する外気温検出手段を含み、前記ダンパ制御手段が、前記外気温検出手段によって検出する外気温に基づいて前記内気導入口、前記第1の外気導入口又は前記第2の外気導入口の何れかを選択して開放することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−100578(P2008−100578A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−283819(P2006−283819)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】