説明

車両用空調装置

【課題】電動ポンプによって冷却水を循環するときに、省動力化を図りながら乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止する。
【解決手段】エアコンECUでは、DEFモードが選択されると外気温に基づいて最大流量又は最大流量より低い設定流量を要求流量Vrとして設定して、冷却液の循環要求を行う(ステップ10〜110)。また、暖房時に液温Twが設定温度TS3と設定温度TS1の間であると、最少流量で冷却液が循環されるように要求し(ステップ134、130、132)、液温が設定温度TS3以下でブロワファンが停止されているときに、外気導入モードが選択されていると、車速Svが設定速度を越えたときに、最少流量での冷却液の循環を要求する(ステップ134〜146)、電動ポンプの回転数を抑えた防曇性の確保、冷却水の暖機促進又は液温低下の防止と共に、吹出し口から冷風が吹出されてしまうのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の冷却液を用いて温調した空調風を生成する車両用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
走行用の駆動源として内燃機関(以下、エンジンとする)を備えた車両に設けられる空調装置(以下、エアコンとする)では、加熱用の熱交換器として設けられているヒータコアとエンジンとの間で循環されるエンジン冷却液を用いて、空調風を加熱するようにしている。このエンジン冷却液は、一般に、エンジンの駆動力で回転駆動されるウォータポンプによってエンジンとエンジンラジエータ及びヒータコアとの間で循環される。
【0003】
近年、省動力化、エミッション低減を目的として、アイドリングストップなど予め設定されているエンジン停止条件が成立するとエンジンの駆動を停止するエンジン停止制御(エコラン制御とする)が行われる車両が普及しており、このような車両では、エンジン停止時でも、エンジン冷却液の循環が可能となるように、電動モータによって駆動される電動ポンプが用いられている。
【0004】
エコラン制御が行われる車両には、走行用の駆動源としてエンジンに加えて電気モータを備えたハイブリッド車があり、このハイブリッド車では、走行停止時などのアイドル時のみではなく、車両走行中にエンジンを停止して、燃費の向上やエミッションの低減が図られる。
【0005】
一方、エコラン制御を行う車両であっても、エンジン始動時にエンジン及びエンジン冷却液の温度が低いと暖機運転を行い、エンジンが効率的に駆動可能となる温度状態とするようになっている。
【0006】
エアコンでは、エンジンの暖機運転中などで、エンジン冷却液の液温が低いと所望の暖房能力が得られなくなり、暖房能力が不足していると温度の低い空調風が吹き出されて乗員に不快感を生じさせてしまう。また、エンジン暖機運転中に、エンジン冷却液を用いた車室内の暖房を開始すると、ヒータコアによってエンジン冷却液が冷却されてしまい暖機運転に要する時間が長くなってしまうことがある。
【0007】
ここから、内燃機関の暖機運転を行うときに、冷却液の循環を抑えることにより暖機促進を図る提案がなされている。
【0008】
例えば、特許文献1の提案では、冷却水の水温が所定温度以下である場合、冷却水回路に循環される冷却水流量を減少させることにより、暖機時間の短縮を図り、暖房の立ち上がりを改善するようにしている。
【0009】
また、特許文献2の提案では、エンジン冷却水の水温が外気温度に応じて選択される設定温度に達するまでは送風を停止し、冷風が吹き出されてしまうのを防止している。
【0010】
一方、走行中の車両では、車両が前方から受ける圧力(ラム圧)によって車室内に吹き出される空調の風量が変化し、乗員に不快感を生じさせてしまうことがある。ここから、特許文献3では、車両の走行速度と外気の導入割合に基づいて目標吹出し温度を補正するように提案している。
【0011】
ところで、エコラン制御を行うときに省動力効果を得るためには、エンジン停止時間を長くすると共に、頻繁に、エンジンの停止/再始動が繰り返されてしまうのを抑える必要があり、また、電動ポンプを駆動することにより電力消費を抑えることにより、省動力効果を大きくすることができる。
【0012】
しかし、エンジンの停止時間が長くなってエンジン冷却液の液温が低下したり、電動ポンプを停止しているときには、エアコンの暖房能力も低下する。ここから、特許文献4では、エンジン冷却液の温度が低下すると、エンジンを始動し、エンジン冷却液の液温が所定温度を超えると、エンジン停止を行うと共に、電動ポンプを作動するように提案している。
【0013】
しかしながら、車両走行中に電動ポンプを停止していると、送風を停止していても、車両走行中のラム圧によって吹出し口から空気が吹き出されてしまうことがある。これを防止するために、車両の走行速度に応じて目標吹出し温度を補正しても、エンジン冷却水の水温が低く暖房能力が不足していると、冷風が吹き出されてしまうことになる。
【特許文献1】特開平10−18845号公報
【特許文献2】特開平6−72132号公報
【特許文献3】実開平1−107610号公報
【特許文献4】特開2005−163545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、電動ポンプの駆動を適正に制御することにより省動力化を図りながら、暖房時の熱源とするエンジン冷却液の液温が低いために、乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止した車両用空調装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明は、回転数に応じた流量の冷却液をエンジンとヒータコアとの間で循環可能とする電動ポンプと、前記エンジンの駆動状態に基づいて前記電動ポンプの駆動/停止及び駆動時の回転数を制御すると共に、流量要求が入力されたときに入力された要求流量に応じた回転数で前記電動ポンプを駆動する駆動制御手段と、を含む車両に設けられ、前記冷却液が循環される前記ヒータコアによる空気の加熱量を制御して生成した空調風を、吹出し口から車室内へ吹出して空調する車両用空調装置であって、回転駆動されることにより前記空調風を発生するブロワファンと、前記冷却液の液温を検出する液温検出手段と、前記ブロワファンの作動を制御すると共に、前記ヒータコアによって加熱される空気量を制御して生成した空調風によって車室内を空調すると共に、暖房時に前記液温検出手段によって検出される液温が設定温度以下であるときに、前記ブロワファンの作動を停止する空調制御手段と、車速を検出する車速検出手段と、前記冷却液の液温が前記設定温度に達しないことにより前記空調制御手段によって前記ブロワファンが停止されているときに、前記車速検出手段によって検出される前記車速に基づいて、前記ヒータコアへ循環される前記冷却液の前記要求流量を設定する要求設定手段と、前記要求設定手段によって前記要求流量が設定されたときに、該要求流量での前記冷却液の循環を前記駆動制御手段に要求する要求手段と、を含むことを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、例えば、エアミックスダンパによってヒータコアを通過する空気量を制御して生成した空調風によって車室内を空調する。また、駆動制御手段は、エンジンの駆動/停止、駆動時の回転数、冷却液の液温などの駆動状態に基づいて、電動ポンプの駆動/停止、駆動時の回転数を制御する。
【0017】
ここで、空調制御手段は、冷却液の液温が設定温度より低くなるとブロワファンを停止し、冷風が吹出されてしまうのを防止しながら、省動力化を図る。
【0018】
このとき、設定手段は、例えば、車速が予め設定されている速度を越えると、要求流量を設定し、この要求流量に基づいて電動ポンプが駆動されて、冷却液が循環されるようにする。
【0019】
これにより、例えば、車速が高く、ラム圧によって車両前方側の空気が吹出し口から吹出されても、ヒータコアに循環される冷却液によって加熱されることになるので、乗員に不快感を生じさせてしまうのを抑えることができる。
【0020】
請求項2に係る発明は、前記空調風として車外の空気を導入する外気導入口と車室内の空気を導入する内気導入口とを切換える切換手段を含み、前記切換手段によって前記外気導入口から外気を導入するように切換えられているときに、前記要求設定手段が前記要求流量を設定する、ことを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、外気導入口が開かれているときに、電動ポンプを作動して冷却液が循環されるようにし、電動ポンプの駆動を抑える。すなわち、外気導入口が開口されているとラム圧により外気が吹出し口から吹き出されるので、このときにのみ、電動ポンプを駆動することにより省動力化を可能とする。
【0022】
また、請求項3に係る発明は、前記要求設定手段が、予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最少流量を前記要求流量として設定する、ことを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、要求流量を最少流量に設定する。これにより、電動ポンプの回転数を抑え、省動力化を図ることができると共に、エンジンが停止されているときの冷却液の温度低下を抑えることができる。
【0024】
すなわち、本発明では、冷却液の液温が低いときに、暖機促進や液温低下抑制を行う暖機促進モードとするが、暖気促進モードにおいて、車速が高くなると、少なくとも電動ポンプが駆動されるようにして、乗員に不快感が生じるのを抑え、また、要求流量を抑えることにより、電力消費などを抑えるようにしている。
【0025】
請求項4に係る発明は、前記空調風の吹出し口としてウインドガラスに向けられたデフロスタ吹出し口を選択する選択手段と、外気温を検出する外気温検出手段と、を含み、前記空調制御手段が、前記選択手段によって前記デフロスタ吹出し口が選択されたときに、前記ヒータコアを通過する空気量を増加させて生成した空調風をデフロスタ吹出し口から吹き出すように制御するとき、前記要求設定手段が、前記選択手段によって前記デフロスタ吹出し口が選択され、かつ、前記外気温検出手段によって検出される前記外気温が設定温度より低いときに、予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最大流量を前記要求流量として設定し、外気温が前記設定温度を超えているときに、前記最大流量より低い所定流量を前記要求流量として設定する、ことを特徴とする。
【0026】
この発明によれば、フロントウインドガラスなどの防曇が選択されたときに、ヒータコアを循環される冷却液の流量を増加させて、防曇性能を図るようにしている。
【0027】
このときに、外気温が低ければ、最大流量で冷却液が循環されるようにし、外気温が比較的たかれば、要求流量を低くし、不必要で電動ポンプの回転数を上昇させて、電力消費が増加するのを抑える。
【0028】
また、請求項5に係る発明は、前記液温が第1の設定温度となったときに前記空調制御手段が前記ブロワアファンを停止し、前記液温が前記第1の設定温度より高い第2の設定温度となったときに前記空調制御手段が前記ブロワファンを駆動するときに、前記液温が前記第1の設定温度を超えたときに前記設定手段が前記要求流量を設定する、ことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、ブロワファンが停止しているときの第1の設定温度と第2の設定温度の範囲で電動ポンプが駆動されて冷却液が循環されるようにしている。これにより、液温が第2の設定温度に達してブロワファンが駆動されるときまでにヒータコアの余熱を行うことができるので、ブロワファンが作動したときに、冷風が吹出されてしまうのを防止することができる。
【0030】
すなわち、電動ポンプに対してブロワファンが遅れて作動(遅動)するように制御することにより、ブロワファンが作動したときに、冷風が吹き出されるのを防止している。
【0031】
また、請求項6に係る発明は、前記設定手段が、前記要求流量として予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最少流量を要求流量として設定することを特徴とする。
【0032】
この発明によれば、ブロワファンが停止しているときの要求流量を最少流量として、電動ポンプの回転数を抑え、省動力化を図る。
【0033】
すなわち、本発明では、第1の設定温度以下では、暖機促進モードとするが、第1の設定温度と第2の設定温度の間は、要求流量を抑えた低流量モードとしている。また、液温が第2の設定温度以上であるときには、例えば、電動ポンプの回転数を抑えるように要求流量を設定して、設定した要求流量が得られるように制御する要求流量モードを適用するようにしても良く、省動力化を図るためには好ましい。
【発明の効果】
【0034】
以上説明したように本発明によれば、電動ポンプを用いて冷却液の循環を行うときに、省動力化を図りながら、ラム圧によって吹出し口から外気が吹出され多ときに、乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止することができる。
【0035】
また、本発明では、フロントウインドガラスの防曇が選択されたときに、防曇性を確保しながら、不必要に電動ポンプの回転数が上昇されてしまうのを防止することができる。
【0036】
さらに、本発明では、冷却液の液温が低くなってブロワファンが停止している状態から、液温の上昇によってブロワファンが作動するときに、低い温度の空調風が吹出されて乗員に不快感を生じさせてしまうのを抑えることができるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2には、本実施の形態に適用した車両用空調装置(以下、エアコンとする)10の概略構成を示している。
【0038】
このエアコン10は、コンプレッサ12、コンデンサ14、エキスパンションバルブ16及びエバポレータ18によって冷媒が循環される冷凍サイクルが形成されている。
【0039】
コンプレッサ12は、コンプレッサモータ20によって回転駆動されて、これにより冷媒が圧縮され、高温高圧となった冷媒がコンデンサ14へ送り出される。コンデンサ14では、高温高圧の冷媒が冷却されることにより液化され、液化された冷媒がエバポレータ18へ送られる。
【0040】
エバポレータ18では、液化された冷媒が気化する。このとき、エバポレータ18を通過する空気が冷却される。エキスパンションバルブ16は、液化されていた冷媒が急激に減圧され、これにより、冷媒が霧状となってエバポレータ18へ送られ、エバポレータ18での冷媒の気化効率の向上が図られる。
【0041】
一方、エアコン10は、エアコンユニット22を備えており、このエアコンユニット22内にエバポレータ18が配設されている。また、エアコンユニット22には、ブロワファン24が設けられていると共に、空気導入口26及び吹出し口28が形成されている。
【0042】
エアコンユニット22では、ブロワモータ30が作動してブロワファン24が回転駆動されることにより、空気導入口26から空気を吸引し、この空気がエバポレータ18を通過した後、吹出し口28から空調風として車室内へ吹き出される。
【0043】
エアコン10では、空調風を生成するときの空気の導入モードとして車室内の空気を導入する内気循環モードと、車外の空気を導入する外気導入モードとが設定されており、エアコンユニット22には、空気導入口26として、車室内に開口された内気導入口26Aと、車外に開口された外気導入口26Bが形成され、内気導入口26A又は外気導入口26Bを選択的に開放する切換ダンパ32が設けられている。
【0044】
エアコン10では、導入モードが設定されることにより、設定された導入モードに応じて切換ダンパ32が作動され、外気又は内気がエアコンユニット22内に導入される。
【0045】
また、エアコン10では、吹出し口28として車両の図示しないフロントウインドガラスへ向けて開口されたデフロスタ吹出し口28A、車室内の乗員へ向けて開口されたレジスタ吹出し口28B及び、前席と後席の乗員の足元へ向けて開口された足元吹出し口28Cが設けられ、モード切換ダンパ34によってデフロスタ吹出し口28A、レジスタ吹出し口28B及び足元吹出し口28Cが選択的に開閉される。
【0046】
エアコン10では、空調風の吹出しモードとして、デフロスタ吹出し口28Aから空調風を吹き出すDEFモード、レジスタ吹出し口28Bから空調風を吹き出すFACEモード、足元吹出し口28Cから吹き出すFOOTモード及び、デフロスタ吹出し口28Aと足元吹出し口28Cとから空調風を吹き出すDEF/FOOTモード、レジスタ吹出し口28Bと足元吹出し口28Cとから空調風を吹き出すBI−LEVELモードが設定されており、吹出しモードが設定されることにより、設定された吹出しモードに応じてモード切換ダンパ34が作動される。
【0047】
一方、エアコン10は、空調風となる空気を加熱するヒータコア36及び、ヒータコア36を通過する空気量を制御するエアミックスダンパ38を備え、エアコンユニット22には、エバポレータ18の下流側にヒータコア36が配設され、エバポレータ18とヒータコア36との間にエアミックスダンパ38が配設されている。
【0048】
エアコンユニット22では、ヒータコア36を通過することにより加熱された空気と、ヒータコア36をバイパスされることによりエバポレータ18を通過したときのままの温度の空気が混合されて空調風が生成される。このとき、エアコン10では、エアミックスダンパ38の開度によってヒータコア36を通過する空気量と、ヒータコア36をバイパスする空気量を制御し、所望の温度の空調風が生成されるようにしている。
【0049】
一方、図1に示されるように、エアコン10が設けられる車両には、走行用の駆動源としてエンジン40を備えている。このエンジン40は、シリンダブロック及びシリンダヘッドに、エンジン冷却液(例えば、冷却水、以下、冷却水とする)の循環路となるウォータジャケット(何れも図示省略)が形成された一般的構成の内燃機関となっている。
【0050】
また、この車両には、エンジンラジエータ42及びウォータポンプ44が設けられ、エンジン40とエンジンラジエータ42との間で冷却水が循環される冷却水回路46が形成されている。
【0051】
また、ウォータポンプ44は、電動モータ48が連結されており、この電動モータ48によって駆動される電動ポンプ50となっており(以下、ウォータポンプ44と電動モータ48を総称するときには、電動ポンプ50とする)、電動ポンプ50の作動により、エンジン40とエンジンラジエータ42との間で冷却水が循環され、エンジンラジエータ42で冷却水の冷却が行われてエンジン40の温度上昇が抑えられる。
【0052】
冷却水回路46には、サーモスタット52が設けられていると共に、サーモスタット52とエンジン40との間にバイパス路54が形成されている。サーモスタット52は、通過する冷却水の水温が所定温度を超えていると、エンジンラジエータ42への冷却水の流路を全開として、エンジンラジエータ42での冷却水の冷却が促進されるようにする。また、サーモスタット52は、冷却水の水温が前記所定温度を下回ると、エンジンラジエータ42への流路を徐々に狭め、冷却水の冷却が抑えられるようにし、さらに、冷却水の水温が低下すると、流路を全閉状態として、冷却水の冷却が停止されるようにする。
【0053】
これにより、エンジン40では、冷却水の水温が前記所定温度より高い設定温度に維持される。なお、冷却水回路46では、サーモスタット52がエンジンラジエータ42への流路を狭めたときに、バイパス路54を介して冷却水が循環される。
【0054】
一方、ヒータコア36とエンジン40との間には、冷却水が循環される循環回路56が形成されている。この循環回路56では、電動ポンプ50が作動することによりエンジン40からヒータコア36へ冷却水が送り出され、ヒータコア36を通過した冷却水が電動ポンプ50を介してエンジン40へ戻される。
【0055】
エアコン10では、ヒータコア36内を循環される冷却水を熱源として、ヒータコア36を通過する空気(空調風)の加熱を行う。
【0056】
冷却水回路46と循環回路56との間では、冷却水の流量の比率が定まっており、また、冷却水の流量は、電動ポンプ50(電気モータ48)の回転数(ウォータポンプ44の回転数)によって変化する。これにより、ヒータコア36には、電動ポンプ50の回転数に応じた流量の冷却水が循環される。
【0057】
車両には、エンジン40の駆動を制御するエンジンECU58が設けられている。また、エアコン10が設けられる車両としては、走行用の駆動源としてエンジン40に加えて電気モータ(図示省略)を備えたハイブリッド車を適用することができ、このときには、電気モータの駆動を制御するハイブリッドECU58Aが設けられ、エンジンECU58とハイブリッドECU58Aとで、エンジン40ないし電気モータの駆動が制御される。
【0058】
このとき、エンジンECU58は、予め設定されているエンジン停止条件が成立するとエンジン40の駆動を停止し、エンジン40が駆動停止中に、エンジン再始動条件が成立することによりエンジン40を再始動するエンジン停止制御を行う。なお、このようなエンジン停止制御は公知の一般的構成を適用できここでは詳細な説明を省略する。
【0059】
電動ポンプ50は、エンジンECU58に接続されており、エンジンECU58は、電動ポンプ50の駆動/停止及び駆動時の回転数を制御することにより、冷却水回路46及び循環回路56を循環される冷却水の流量を制御している。
【0060】
このとき、エンジンECU58では、エンジン40の駆動状態及び冷却水の水温に応じて、電動ポンプ50の回転/停止及び回転数の制御を行う。また、エンジンECU58では、電動ポンプの回転及び回転数を抑えることにより、電動ポンプ50による電力消費を抑えて、省動力化が図られるようにしている。
【0061】
図2に示されるように、エアコンECU60には、コンプレッサモータ20、ブロワモータ30が接続しており、コンプレッサモータ20の駆動/停止及び回転数を制御することにより冷房能力を制御し、ブロワモータ30の駆動/停止及び回転数を制御することにより空調風の風量(ブロワ風量Va)を制御する。
【0062】
エアコンECU60には、切換ダンパ32を作動するアクチュエータ62、モード切換ダンパ34を作動するアクチュエータ64及び、エアミックスダンパ38を回動するアクチュエータ66が接続されている。
【0063】
また、エアコンECU60には、車室内の温度を検出する室温センサ68、車外の温度(外気温)を検出する外気温センサ70、日射量を検出する日射センサ72、エバポレータ18を通過した空気の温度を検出するエバポレータ後温度センサ74、ヒータコア36へ供給される冷却水の水温を検出する水温センサ76等のエアコン10が空調運転を行うときの環境条件や運転状態を検出する各種のセンサが接続されている。なお、冷却水の水温は、エンジンECU58が検出する水温を取得するようにし、水温センサ76は、実際にヒータコア36を流れる冷却水の水温を検出するようにしても良く、また、実際にヒータコア36を流れる水温を、エンジンECU58が検出するエンジン40から送り出される冷却水の水温に基づいて予測した水温を用いるようにしてもよい。
【0064】
エアコンECU60には、運転条件などの設定及び運転/停止等の指示が入力される操作パネル78が接続されており、エアコンECU60は、操作パネル78のスイッチ操作によって運転モード、設定温度などの運転条件が設定されると、設定された運転条件と環境条件に基づいてコンプレッサモータ20(コンプレッサ12)の駆動、ブロワモータ30(ブロワファン24)の駆動及びアクチュエータ62〜66等の駆動を制御し、車室内が設定温度となるように空調運転を行う。
【0065】
例えば、エアコンECU60は、操作パネル78上で設定された設定温度TSETに基づいて、車室内を設定温度TSETとするための目標吹出し温度TAOを設定し、この目標吹出し温度TAOに基づいて、エアミックスダンパ38の開度Sを設定する。また、エアコンECU60では、オートモードでの空調運転が指示されていると、空調風の風量(ブロワ風量)Va、吹出しモード等の設定を行う。
【0066】
目標吹出し温度TAOは、設定温度TSET、室温センサ68によって検出される室温Tr、外気温センサ70によって検出される外気温To、日射センサ72によって検出される日射量STから、一般的演算式を用いて得られる。
【0067】
AO=K・TSET−K・To−K・Tr−K・ST+C
(ただし、K、K、K、K及びCは予め設定されている定数)
また、ブロワ風量Vaは、設定温度TSET、予め設定している温度又は室温Tr等を基準温度とし、この基準温度と目標吹出し温度TAOから設定される。例えば、設定温度TSETを基準温度とするときには、目標吹出し温度TAOが設定温度TSETに近いとき(差が少ないとき)にブロワ風量Vaが少なくなり、目標吹出し温度TAOと設定温度TSETの差が大きくなるにしたがってブロワ風量Vaが増加されるように設定することができる。
【0068】
また、エアコン10では、エバポレータ18を通過した後、ヒータコア36を通過した空気と、ヒータコア36をバイパスする空気を混合したときの温度が目標吹出し温度TAOとなるようにエアミックスダンパ38の開度Sを制御する。
【0069】
ヒータコア36を通過した空気量とヒータコア36をバイパスした空気量の比を混合比rとすると、エアミックスダンパ38の開度Sによってこの混合比rが定まり、また、混合比rからエアミックスダンパ38の開度Sが得られる。このような混合比rは、エバポレータ18を通過した空気の温度(エバポレータ後温度Te)、ヒータコア36を通過した空気の温度(ヒータコア後温度Th)から算出することができる。
【0070】
r=(TAO−Te)/(Th−Te)
このとき、エバポレータ後温度Teは、エバポレータ後温度センサ74によって検出され、ヒータコア後温度Thは、ヒータコア36の下流側に温度センサを設けて検出することができるが、ヒータコア36を通過する冷却水の水温Tw、冷却水の流量Vw、ブロワ風量Va及びエバポレータ後温度Teと、ヒータコア36ごとに定まる熱効率を用いて算出可能であり、ヒータコア36を流れる冷却水の流量Vwは、電動ポンプ50の回転数によって定まり、エンジンECU58から電動ポンプ50の回転数を取得することにより混合比rを算出することができる。
【0071】
エアコンECU60では、ブロワ風量Va、混合比rを算出すると、ブロワ風量Vaに基づいてブロワモータ30の駆動電圧を設定すると共に、混合比rに基づいてエアミックスダンパ38を開閉するアクチュエータ66の駆動量を設定して、これらの設定に基づいたブロワモータ30の駆動と共に、アクチュエータ66の駆動によるエアミックスダンパ38の開度制御(A/M制御)により、目標吹出し温度TAOの空調風が生成されるようにしている。
【0072】
このようなA/M制御では、例えば、冷房負荷が大きくなると、エアミックスダンパ38を全閉(開度S=0)として空調運転を行い(MAX COOL)、暖房負荷が大きくなると、エアミックスダンパ38の開度Sを大きくし、また、疎の時点での最大能力で暖房を行うときには、エアミックスダンパ38が全開(開度S=100)となる(MAX HOT)。
【0073】
ところで、冷却水を用いて車室内を空調(暖房)するときに、省動力化を図るためには、電動ポンプ50の回転数を低くすることが好ましいが、電動ポンプ50の回転数を低くすると、ヒータコア36を循環される冷却水の流量Vwが少なくなり、所望の暖房効果が得られるなくなることがある。
【0074】
ここから、エアコン10では、ブロワ風量Va及び冷却水の水温Twなどに基づいて、冷却水の流量Vwを抑えながら、乗員に不快感を生じさせることのないように、冷却水の流量が要求流量Vrとして設定されている。
【0075】
エアコンECU60では、ブロワ風量Va、冷却水の水温Twなどの予め設定されている条件と、その条件に応じて設定されている要求流量Vrでの電動ポンプ50の駆動要求(冷却水の循環要求)をエンジンECU58に行うようになっている。
【0076】
また、エンジンECU58では、エンジン40の駆動状態及び冷却水の水温に基づいて電動ポンプ50の回転制御を行うと共に、エアコンECU60から冷却水の要求流量Vrが入力されると、ヒータコア36を流れる冷却水の流量Vwが要求流量Vrとなるように電動ポンプ50の回転数制御を行うようになっている。
【0077】
ヒータコア36では、冷却水の流量Vwが低下すると、表面に温度ムラが生じて、通過する空気の均一な加熱が困難となり、また、流量Vwが多くなり過ぎると熱交換の効率が低下してしまう。
【0078】
ここから、エアコン10では、ヒータコア36の表面に温度にムラが生じない範囲で、ヒータコア36への冷却水の流量Vwの最小値と最大値の範囲で、要求流量Vrの最少流量Vminと最大流量Vmaxが設定され、エアコンECU60では、この最少流量Vminから最大流量Vmaxの範囲で要求流量Vrが設定される(Vmin≦Vr≦Vmax)。なお、以下の説明では、最少流量Vminを6l/min(リットル/分)、最大流量Vmaxを16l/minとしている。
【0079】
一方、エンジンECU58では、図示しないイグニッションスイッチがオンされてエンジン40を始動するときに、冷却水の水温が低いと、エンジン40の暖機運転を行う。このとき、冷却水の水温が低い間は、電動ポンプ50を停止し、冷却水の温度上昇の促進が図られるようにしている。
【0080】
また、エンジンECU58では、エンジン40が停止されることにより、冷却水の水温が低下すると、電動ポンプ50の駆動を停止し、冷却水の水温低下が抑えられるようにしている。
【0081】
ここで、エアコンECU60では、暖房運転状態などで冷却水の水温が低下していると、ブロワファン24を停止状態として、車室内に冷風が吹き出されてしまうのを防止している。
【0082】
エアコンECU60では、ヒータコア36に循環される冷却水の水温Twが、所定温度に達すると、ブロワファン24を最低風量で駆動し、冷却水の水温Twが増加するにしたがって、ブロワ風量Vaが増加されるようにブロワファン24の回転数を上昇させる。また、エアコンECU60では、ヒータコア36に循環される冷却水の水温Twが低下すると、ブロワ風量Vaを低下させると共に、水温Twが、所定の温度以下となると、ブロワファン24(ブロワモータ30)の駆動を停止するようにしている。
【0083】
図3には、冷却水の水温Twに対するブロワ風量Va(ブロワレベルL)の設定の一例を示している。なお、図3では、ブロワ風量VaをブロワレベルLとし、ブロワレベルL〜L31までの31ステップで変化させるようにし、ブロワレベルLに応じてブロワモータ30の駆動電圧が設定されている。
【0084】
図3に示されるように、エアコンECU60には、第2の設定温度となる設定温度TS1及び、設定温度TS1より高い設定温度TS2(TS1<TS2、例えば、TS1=40°C、TS2=65°C)が設定されており、エアコンECU60は、冷却水の水温Twが設定温度TS1に達するまでは、ブロワファン24を停止状態(ブロワレベルL)とし、水温Twが設定温度TS1に達すると、ブロワ風量Vaを最低風量(ブロワレベルL)としてブロワファン24を駆動する。また、ブロワファン24の駆動が開始されると、水温Twが設定温度TS2に達するまでは、水温Twの上昇に伴ってブロワレベルLが増加される。
【0085】
また、エアコンECU60では、冷却水の水温Twに対するブロワレベルLにヒシテリシスを持たせるように、設定温度TS1より低い第1の設定温度とする設定温度TS3及び、設定温度TS2より低い設定温度TS4(TS3<TS1<TS4<TS2、例えば、温度幅を4°Cのヒシテリシスとしたときには、TS3=36°C、TS4=61°C)が設定され、冷却水の水温Twが低下するときには、設定温度TS4から水温Twに応じてブロワレベルLを下げ、水温Twが設定温度TS3より低下すると、ブロワファン24を停止(ブロワレベルL)とするようにしている。
【0086】
エアコンECU60は、このブロワレベルLを、例えば、水温Twに対するブロワ風量Vaの上限とするようにしてブロワファン24を駆動する。
【0087】
ここで、エアコンECU60では、エンジン40の始動開始時などにおいて暖機運転が行われて、冷却水の水温の上昇が図られているときには、冷却水の水温が設定温度TS1に達する前に、冷却水の循環要求を行う。
【0088】
例えば、エアコンECU60では、冷却水の水温Twが、ブロワファン24の駆動が開始される設定温度TS1よりも低い設定温度TS3に達すると、要求流量Vrを最少流量Vminに設定して、冷却水の循環を要求する。これにより、エンジンECU58が電動ポンプ50を駆動して冷却水の循環が行われることにより、ヒータコア36の余熱が行われるようにしている。
【0089】
また、エアコンECU60では、冷却水の水温Twが設定温度TS1を超えていると、ブロワ風量Va(ブロワレベルL)及び、外気温センサ70によって検出される外気温To及び冷却水の水温Twに基づいて、要求流量Vrを設定するようにしている。
【0090】
このとき、エアコンECU60では、外気温Toに対するフラグFoと、冷却水の水温Twに対するフラグFwを設定し、このフラグFo、Fwの状態に応じて、予め設定されているマップから要求流量Vrを設定するようにしている。
【0091】
図4(A)には、フラグFwの設定の一例を示している。サーモスタット52で流量の開閉に適用される設定温度WS1、WS2を用いている。サーもスタット52では、サーモスタット52を流れる冷却水の水温Twが、設定温度WS2(例えば、87°C)よりも高くなると全開となり、設定温度WS1(例えば、83°C)より低くなると全閉となる。
【0092】
このときに、エアコンECU60では、水温Twが設定温度TS1よりも低い(Tw≦WS1)とフラグFwをリセット(Fw=0)し、設定温度WS2よりも高くなる(Tw≧WS2)とフラグFwをセット(Fw=1)する。また、フラグFwがセットされていると、水温Twが設定温度WS1まで低下することにより、フラグFwをリセットするようにしている。
【0093】
図4(B)には、フラグFoの設定の一例を示している。エアコンECU60では、外気温Toが設定温度TO1(例えば、TO1=−9°C)よりも低い(To≦TO1)とフラグFoをリセットし(Fo=0)、設定温度TO2(例えば、TO2=−7°C)よりも高くなるとフラグFoをセットする(Fo=1)。
【0094】
図5(A)から図5(D)には、フラグFw、Foの状態に対応するブロワレベルLに対する要求流量Vrのマップの一例を示している。図5(A)はサーモスタット52が閉じられ(フラグFw=0)、外気温Toが低いとき(フラグFo=0)に対応し、図5(B)はサーモスタット52が閉じられ(フラグFw=0)、外気温Toが高いとき(フラグFo=1)に対応している。また、図5(C)はサーモスタット52が開かれ(フラグFw=1)、外気温Toが低いとき(フラグFo=0)に対応し、図5(D)はサーモスタット52が開かれ(フラグFw=1)かつ外気温Toが高いとき(フラグFo=1)に対応している。
【0095】
ここで、エアコン10では、冷却水の水温Twが高いと暖房能力が高くなるが、冷却水の水温Twが同じときには、冷却水の要求流量Vrを大きくすることにより、暖房能力を大きくすることができ、要求流量Vrを少なくすることにより、省動力化を図ることができる。
【0096】
ここから、エアコンECU60では、冷却水の水温Twが高いとき(フラグFw=1)には、冷却水の要求流量Vrの上限を、最大流量Vmaxより低い設定流量VS1(例えば、設定流量VS1=10l/min)にして省動力化を図る(図5(C)又は図5(D)を適用)。
【0097】
また、エアコンECU60は、冷却水の水温Twが低いと、要求流量Vrを最大流量Vmaxまで選択可能とすることにより、暖房能力が確保されるようにしている。このとき、外気温Toが低ければ(フラグFo=0、図5(A))、外気温Toが高いとき(フラグFo=1、図5(B))に比べ、ブロワレベルLに対する要求流量Vrが多くなるようにしている。なお、図5(B)(フラグFw=0、フラグFo=1)では、要求流量Vrの上限を最大流量Vmaxよりも低い設定流量VS2(例えば、VS2=14l/min)としている。
【0098】
一方、エアコン10では、レジスタ吹出し口28Bから乗員へ向けて空調風を吹き出すと共に足元吹出し口28Cから乗員の足元へ向けて空調風を吹き出すBI−LEVELモードが設定されており、エアコンECU60では、吹出しモードとしてBI‐LEVELモードが選択ないし設定されると、冷却水の水温Twに応じた要求流量Vrに補正流量αを加算することにより、要求流量Vrの補正を行う(Vr=Vr+α)。このとき、水温Twが低ければ、補正流量αを多くして、乗員に暖房感が生じるようにし、水温Twが高ければ、補正流量αを少なくすることにより、乗員に暖房の利き過ぎ感を生じさせてしまうのを防止するようにしている。
【0099】
図6には、このときの水温Twに対する補正流量αのマップの一例を示している。このマップでは、補正流量αの最大値を補正流量αs(例えばαs=3l/min)とし、冷却水の水温Twが設定水温TS5以下(Tw≦TS5、例えばTS5=55°C)であれば、補正流量αとして流量αsを設定し、また、水温Twが設定水温TS6以上(Tw≧TS6、例えばTS6=70°C)であるときには、十分な暖房感が得られる暖房能力であるとして、補正なし(補正流量α=0)とし、水温Twが設定温度TS5から設定温度TS6の間で(TS5<Tw<TS6)あれば、水温Twが高くなるほど補正流量αが少なくなるようにしている。
【0100】
一方、エアコンECU60には、車両の走行速度を検出する速度センサ80が接続されており、エアコン60は、この速度センサ80によって車両の走行速度(以下、車速Svとする)の検出が可能となっている。なお、車速Svは、エンジンECU58においても検出されており、このエンジンECU58で検出される車速Svを、エアコンECU60が取得するものであっても良い。
【0101】
エアコンECU60では、冷却水の水温Twが設定温度TS1又は設定温度TS3より低いと、流量要求を停止(要求流量Vr=0)すると共に、ブロワファン24を停止している(図3参照)が、この状態で、かつ、外気導入モードに設定されていると、車両走行によるラム圧によって吹出し口から加熱されていない空気が吹き出されてしまう。
【0102】
ここから、エアコンECU60では、速度センサ80によって検出される車速Svが高くなって設定速度を超えると、ブロワファン24を停止状態としたまま、冷却水の循環要求を行う。このときの要求流量Vrは、低いことが好ましく、エアコンECU60では、要求流量Vrを最少流量Vminに設定する。
【0103】
図7には、このときの要求流量Vrの設定の概略を示している。エアコンECU60には、設定速度SS1、SS2(SS1<SS2、例えば、SS1=45km/h、SS2=50km/h)が設定されており、車速Svが、設定速度SS2以上となると(Sv≧SS2)、要求流量Vrとして最少流量Vminを設定して、電動ポンプ50の作動要求(冷却水の循環要求)を行う。また、エアコンECU60は、車速Svが設定速度SS1まで低下する(Sv≦SS1)と、流量要求を停止する(要求流量Vr=0)。
【0104】
また、エアコン10には、操作パネル78にDEFスイッチ82が設けられており、フロントウインドガラスに曇りが生じ、この曇りを除去するために乗員が、フロントウインドガラスこのDEFスイッチ82を操作すると、エアコンECU60は、吹出しモードをDEFモードに設定して空調運転を行う。
【0105】
エアコンECU60では、DEFモードでの空調運転を行うときに、冷却水の要求流量Vrを大きくして暖房能力が向上されるようにしている。また、エアコンECU60では、このときの要求流量Vrを、外気温センサ70によって検出する外気温Toに基づいて設定するようにしている。
【0106】
図8には、DEFモードに設定されたときの外気温Toに対する要求流量Vrの一例を示している。なお、エアコン10では、要求流量Vrが、最大流量Vmaxと最大流量Vmaxより僅かに低い設定流量VS3(例えば、VS3=14l/min)の二段階に設定されており、エアコンECU60では、外気温Toに基づいて何れか一方を選択する。
【0107】
また、エアコンECU60では、要求流量Vrを設定するときの外気温Toとして、設定温度TO3、設定温度TO4(TO3<TO4、例えばTO3=0°C、TO4=2°C)が設定されており、外気温Toが設定温度TOS4を超えているとき(To≧TO4)には、要求流量Vrを、設定流量VS3とするが、外気温Toが、設定温度TO4より低い設定温度TO3以下(To≦TO3)となると、要求流量Vrを最大流量Vmaxに設定する。なお、エアコンECU60では、要求流量Vrが最大流量Vmaxに設定されている状態で外気温Toが設定温度TO4以上となったときに、要求流量Vrを設定流量VS3に下げ、要求流量Vrが設定流量VS3に設定されている状態で、外気温Toが設定温度TO3以下となったときに、要求流量Vrを最大流量Vmaxに上げるようにしている。
【0108】
なお、エアコンECU60では、DEFモードが選択されると、例えば、ブロワ風量Vaを増加させ(ブロワレベルLを高くして)、フロントウインドガラスの防曇促進を図る。
【0109】
以下に、本実施の形態の作用を説明する。
【0110】
エアコン10が設けられている車両では、図示しないイグニッションスイッチがオンされて走行が開始されると、エンジンECU58及びハイブリッドECU58Aによってエンジン40及び図示しない電気モータの駆動を制御して走行される。
【0111】
また、エンジンECU58は、図示しないイグニッションスイッチがオンされたときに、エンジン40及び冷却水の水温が低下していると、エンジン40の暖機運転を行う。このときに、冷却水の水温が低い間は、電動ポンプ50を停止して、暖機促進が図られるようにしている。なお、車両としては、エンジン40の排気熱によって冷却水を加熱する排気熱回収装置を備えたものであっても良く、このときには、暖機運転中であっても電動ポンプ50を作動させて、冷却水の循環を行い排気熱回収の効率化及び暖機促進を図るようにすれば良い。
【0112】
一方、エンジンECU58及びハイブリッドECU58Aでは、車両走行が開始されると、エンジン40及び図示しない電気モータの駆動を制御する。このときに、エンジンECU58では、予め設定されているエンジン停止条件が成立とするエンジン40の駆動を停止し、エンジン40の停止中にエンジン再始動条件が成立することによりエンジン40の駆動を開始するエコラン制御を行う。
【0113】
このとき、エンジンECU58では、冷却水の水温が低下すると、電動ポンプ50の駆動を停止し、冷却水の水温低下を抑えるようにしている。
【0114】
なお、ハイブリッド車では、車両減速状態であると、タイヤの回転に対して負荷となるようにモータジェネレータを回転して減速を行うことによりモータジェネレータで回生発電を行ない、発電された電力(回生電力)を走行用の電力として充電する。このときには、回生発電が行なわれるときに回生電力を電動ポンプ50の回転数を増加させて、発電効率及び回生電力の充電効率を図るようにしても良い。
【0115】
ところで、エアコンECU60では、運転条件が設定されると、運転条件と環境条件に基づいて、目標吹出し温度TAOを設定し、この目標吹出し温度TAOの空調風が得られるようにエアミックスダンパ38の開度Sを制御するエアミックダンパ制御(A/M制御)を行いながら車室内を空調する。
【0116】
このとき、本実施の形態に適用しているエアコン10では、外気温To、車速Sv、冷却水の水温Twなどに応じて、冷却水の要求流量Vrが設定されており、エアコンECU60は、冷却水の要求流量Vrを設定すると、ヒータコア36に要求流量Vrの冷却水が循環されるように要求する。また、エンジンECU58は、エアコンECU60から冷却水の要求流量Vrが入力されると、ヒータコア36に循環される冷却水の流量Vwが要求流量Vrとなるように電動ポンプ50を作動する。
【0117】
ここで、図9を参照しながら、エアコンECU60での冷却水の流量要求制御を説明する。なお、このフローチャートは、図示しない車両のイグニッショスイッチがオンされて、エアコン10の空調運転が指示されると実行され、エアコン10の運転停止又はイグニッションオフによって終了する。また、エアコン10では、設定された運転条件と環境条件に基づいて、目標吹出し温度TAOを設定し、設定した目標吹出し温度TAOに基づいてエアミックスダンパ38の開度Sを制御しながら車室内の空調を行う。
【0118】
図9に示されるフローチャートでは、最初のステップ100で、エアミックスダンパ38が全閉(開度S=0)となるMAX COOLか否かを確認する。暖房負荷が小さく冷房負荷が大きいと、ヒータコア36を用いた空調風の加熱が不要となり、エアコンECU60は、エアミックスダンパ38を全閉状態とするMAX COOLでの空調運転(冷房運転)を行う。
【0119】
このときには、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行し、要求流量Vr=0とする。これにより、エンジンECU58では、エンジン40の回転数に基づいて電動ポンプ50の駆動制御を行い、エンジン40が停止したときには、電動ポンプ50も停止される。
【0120】
一方、暖房負荷があると、暖房負荷に応じてエアミックスダンパ38が開かれる(非MAX COOL)。このときには、ステップ102で否定判定されてステップ104へ移行する。このステップ104では、DEFモードか否かを確認する。
【0121】
車両のウインドガラスは、外気温が低くなり表面温度が低下すると曇りが生じ易くなり、フロントウインドガラスに曇りが生じると前方視界が悪化する。このときに、DEFスイッチ82がオンされると、エアコンECU60では、空調風の吹出しモードをDEFモードに切換え、デフロスタ吹出し口28Aから、フロントウインドガラスへ向けて空調風を吹き出すようにする。このとき、エアコンECU60は、エアミックスダンパ38を最大開度(MAX HOT)として、フロントウインドガラスの防曇を行う。
【0122】
また、エアコンECU60は、DEFスイッチ82がオン操作されてDEFモードに移行すると、ステップ104で肯定判定し、ステップ106へ移行する。
【0123】
このステップ106では、外気温センサ70によって検出される外気温Toを読込み、次のステップ108では、外気温Toに基づいて、冷却水の要求流量Vrを設定する。
【0124】
図8に示されるように、エアコン10では、DEFモードが選択されたときの外気温Toに対する要求流量Vrが設定されており、エアコンECU60は、外気温Toと図8のマップに基づいて、要求流量Vrを設定する。
【0125】
ここで、エアコンECU60は、外気温Toが、設定温度TO4以上(To≧TO4)であると、要求流量Vrを最大流量Vmaxより低い設定流量VS3に設定するが、外気温Toが、設定温度TO3以下であると、要求流量Vrを最大流量Vmaxに設定する。
【0126】
この後、図9のステップ110では、設定した要求流量Vrで冷却水がヒータコア36へ流れるように、エンジンECU58に流量要求を行う。これにより、エンジンECU58が、要求流量Vrを得られるように、電動ポンプ50の回転数制御を行うことにより、エアコン10では、大きな暖房能力で、フロントウインドガラスの防曇を行うことができる。
【0127】
ここで、エアコン10では、外気温Toに対する設定温度(設定温度TO3、TO4)を、フロントウインドガラスに付着した水分が凍結する可能性があるか否かを判断可能な温度としている。
【0128】
すなわち、設定温度TO3=0°Cとすると、外気温Toが、氷点下(To≦0°C)であるか否かを確認でき、外気温Toが氷点下あると、フロントウインドガラスに付着した水分が凍結する可能性があり、解凍するために大きな暖房能力が要求される。ここから、外気温Toが設定温度TO3(TO3=0°C)以下であれば、要求流量Vrを最大流量Vmaxとして、フロントウインドガラスに付着した水分の解凍及び凍結防止を行う。
【0129】
また、外気温Toが比較的高いときには、車室内の乗員が発する呼気等により車室内の湿度が上昇することによるフロントウインドガラスの曇りであると判断することができる。このときに、要求流量Vrを最大流量Vmaxに設定すると、不必要に電動ポンプ50の回転数を上げてしまうことになる。
【0130】
ここから、エアコンECU60では、外気温Toが、フロントウインドガラス等に凍結を生じさせることのない温度であると判断すると、要求流量Vrを最大流量Vmaxより低い設定流量VS3に設定することにより、フロントウインドガラスに対する防曇性能を確保しながら、電動ポンプ50の回転数を抑えて、省動力化が可能となるようにしている。
【0131】
なお、本実施の形態では、DEFモードが選択されたときの要求流量Vrを2段階に分けるようにしたが、外気温Toに基づいて3段階以上に分けるようにしたものであっても良い。また、外気温Toに対する設定温度TO3、TO4は、一例を示すものであり、フロントウインドガラスの防曇性を確保しながら、省動力化を可能とする温度であれば、任意の設定温度を適用することができる。
【0132】
一方、DEFモードが選択されていないときには、ステップ104で否定判定してステップ112へ移行する。このステップ112では、水温センサ76によって冷却水の水温Twを読込み、次のステップ114では、水温Twが設定温度TS1(図3参照、例えば40°C)以上となっているか否かを確認する。
【0133】
エアコンECU60では、暖房運転時に水温Twが設定温度TS1を超えていることにより、ブロワファン24を作動させて、車室内の空調(暖房)を行う。ここから、ステップ114で肯定判定されるとステップ116へ移行し、先ず、冷却水の水温Twに基づいたフラグFwを設定し(図4(A)参照)、次のステップ118では、外気温Toに基づいたフラグFoを設定する(図4(B)参照)。
【0134】
この後、ステップ120では、フラグFw、Foに基づいて、図5(A)〜図5(D)からブロワ風量Va(ブロワレベルL)に対する要求流量Vrのマップを選択し、選択したマップとブロワ風量Va(ブロワレベルL)とに基づいて、要求流量Vrを設定する。
【0135】
また、ステップ122では、空調風の吹出しモードがレジスタ吹出し口28Bと足元吹出し口28Cが選択されたBI−LEVELモードであるか否かを確認する。
【0136】
ここで、BI−LEVELモードである時には、ステップ122で肯定判定してステップ124へ移行し、冷却水の水温Twと図6に示される水温Twに対する補正流量αのマップに基づいて、補正流量αを設定し、設定した補正流量αで、要求流量Vrの補正(Vr=Vr+α)を行う。
【0137】
このようにして要求流量Vrが設定されると、ステップ126では、設定した要求流量Vrでヒータコア36に冷却水が循環されるように、循環要求を行う。
【0138】
一方、冷却水の水温Twが設定水温TS1より低くなっていると、ステップ114で否定判定されてステップ128へ移行する。このステップ128では、エアミックスダンパ38が全開以下の開度となっているか否かを確認する。すなわち、暖房能力が不足しているMAX HOT又は、暖房能力の不要なMAX COOLの何れでもないことを確認している。
【0139】
ここで、冷却水の水温Twが設定温度TS1よりも低くなっているときに、エアミックスダンパ38を用いた空調風の温度制御が行われているときには、エアコン10が冷房運転を行っているので、ステップ128で肯定判定してステップ130へ移行し、要求流量Vrを最少流量Vminに設定し、最少流量Vminで冷却水の循環が行われるようにエンジンECU58へ流量要求を行う(ステップ132)。
【0140】
一方、エアミックスダンパ38が全開(S=100)となっている時には、ステップ128で否定判定してステップ134へ移行する。このステップ134では、冷却水の水温Twが設定温度TS3から設定温度TS1の範囲であるか否かを確認する。
【0141】
ここで、冷却水の水温Twが設定温度TS3から設定温度TS1の間であると(TS3<Tw<TS1)、ステップ134で肯定判定して、ステップ130へ移行する。
【0142】
エアコンECU60では、暖房運転を行うときに、冷却水の水温Twが設定温度TS1に達していないと、ブロワファン24を停止して、温調されていない空調風(冷風)が吹き出されてしまうのを防止している。
【0143】
また、エンジン40の暖機運転が行われているときに、エアコンECU60は、冷却水の水温Twが設定温度TS1に達すると、ブロワファン24を駆動して暖機立ち上げを行う。
【0144】
しかし、エンジン40の暖機運転中は、エンジン40の暖機促進を図るために、電動ポンプ50が停止されており、ヒータコア36内の冷却水の水温Twは低くなっている。また、水温Twが設定水温TS1に達したタイミングで、ブロワファン24と共に電動ポンプ50を作動すると、最初にヒータコア36へ送り込まれる冷却水は水温Twが低い可能性が高く、このために、ブロワファン24を作動したときに、冷風が吹き出されることになる。
【0145】
ここから、エアコンECU60では、冷却水の水温Twが設定温度TS1に達する前の温度となっているか否かを、水温Twが設定温度TS3から設定温度TS1の範囲であるかによって確認し、この範囲である時には、ステップ130へ移行し、要求流量Vrを最少流量Vminに設定し、最少流量Vminでの冷却水の循環を要求する(ステップ132)。
【0146】
これにより、ヒータコア36の余熱を行うことができるので、冷却水の水温Twが設定温度TS1に達したときにブロワファン24を駆動して送風を開始しても、冷風が車室内に吹き出されて、乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止することができる。
【0147】
一方、冷却水の水温Twが設定温度TS3以下(Tw≦TS3)であると、ステップ134で否定判定されてステップ136へ移行する。すなわち、暖房運転状態であって、冷却水の水温Twが低く、ブロワファン24が停止されていると、ステップ136で、空気の導入モータが内気循環モードではなく、外気導入モードに設定されているかを確認する。
【0148】
ここで、外気導入モードではなく、内気循環モードに設定され、切換ダンパ32によって内気導入口26Aが開かれているときには、ステップ136で否定判定してステップ138に移行し、流量要求なし(要求流量Vr=0)に設定する。これにより、エンジンECU58への冷却水の循環要求が行われず、冷却水の温度低下が抑えられ、省動力化が図られるようにする。
【0149】
これに対して、外気導入モードが選択されて、外気導入口26Bが開かれているときには、ステップ136で肯定判定されてステップ140へ移行する。このステップ140では、速度センサ80によって検出される車速Svを読込み、次のステップ142では、車速Svと図7に示される車速Svに対する要求流量のマップに基づいて、要求流量Vrを設定する。
【0150】
ここで、車両が加速されて車速Svが設定速度SS2(例えば、SS2=50km/h)以上(Sv≧SS2)となると、要求流量Vrを最少流量Vminに設定する。また、車両が減速されたときには、車速Svが設定速度SS1(例えば、SS1=45km/h)以下(Sv≦SS1)となると、流量要求なし(要求流量Vr=0)に設定する。
【0151】
このようにして、冷却水の水温Twが低いためにブロワファン24が停止された状態での車速Svに基づいた要求流量Vrを設定すると、ステップ144では、流量要求なし(要求流量Vr=0)か否かを確認し、要求流量があるとき(ここでは、最少流量Vmin)には、ステップ144で否定判定してステップ146へ移行し、設定に基づいた冷却水の循環を要求する。
【0152】
一般に、走行される車両には、車両前方から圧力(ラム圧)を受ける。このときに、エアコン10が外気導入モードとなって、車外と連通された外気導入口26Bが開かれていると、ブロワファン24が停止状態であっても、エアコンユニット22内に外気が導入されて、吹出し口28から吹き出される。このときに、暖房運転に設定されていると、足元吹出し口28Aが開かれて、乗員の足元に冷風が吹き出され、乗員に不快感を生じさせてしまう。
【0153】
ここで、エアコンECU60では、冷却水の水温Twが低下して、ブロワファン24が停止しているときに、外気導入モードに設定されていると、冷却水の循環を行うように要求する。
【0154】
これにより、エンジン冷却液がヒータコア36に循環されると、ラム圧によって外気導入口28Bから入りこんだ空気を加熱することができるので、吹出し口28から冷風が吹き出されて、乗員に不快感を生じさせてしまうのを防止することができる。
【0155】
このときに、冷却水の流量Vwを、最少流量Vminとすることにより、冷却水が冷却されるのを抑えることができると共に、電動ポンプ50の回転数を必要最低限の回転数に抑えることができるので、電力消費を抑えることができる。
【0156】
なお、ここでは一例として、設定速度SS1=50km/h、設定速度SS2=45km/hとしたが、設定速度はこれに限るもではなく、ラム圧によって空調風が吹き出される最低速度又は最低速度に応じて設定した速度などを適用することができる。
【0157】
このようにエアコン10では、水温Tw設定温度TS3以下であるときに、ブロワファン24を停止すると共に電動ポンプ50を停止可能とした暖機促進及び水温低下を抑制する暖機促進モードとし、また、水温Twが設定温度TS3から設定温度TS1の範囲では、冷却水の流量を抑えてブロワファン24の作動に先立って電動ポンプ50を作動する低流量制御モードとし、設定温度TS1を超えることにより、水温Tw、ブロワ風量Vaなどに基づいて電動ポンプ50の回転数を抑えた要求流量Vrでの流量要求を行う要求流量制御モードとすることにより、電動ポンプ50を用いて冷却液を循環するときに、省動力化を図りながら、効率的な空調運転を行うことができる。
【0158】
なお、以上説明した本実施の形態では、エンジンECU58で電動ポンプ50を制御するようにしているが、電動ポンプの制御手段は、エアコンECU60を用いてもよく、また、冷却装置として別に設けたコントローラによって制御されるものであっても良い。
【0159】
また、以上説明した本実施の形態は、本発明の構成を限定するものではなく、本発明は、ハイブリッド車などのエンジン停止制御を行う任意の構成の車両及び車両に設ける空調装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】本実施の形態に係る冷却水の循環系統を示す概略構成図である。
【図2】本実施の形態に適用したエアコンの概略構成図である。
【図3】暖房運転時の冷却水の水温に対するブロワ風量の一例を示す線図である。
【図4】(A)は冷却水の水温に基づいたフラグの設定の一例を示す線図であり、(B)は外気温に基づいたフラグの設定の一例を示す線図である。
【図5】(A)から(D)のそれぞれは、水温のフラグと外気温のフラグの状態に応じたブロワ風量(ブロワレベル)に対する要求流量の設定の一例を示す線図である。
【図6】水温に対する要求流量の補正流量の設定の一例を示す線図である。
【図7】車速に対する要求流量の設定の一例を示す線図である。
【図8】外気温に対する要求流量の設定の一例を示す線図である。
【図9】本実施の形態に係る冷却水の要求流量の設定の概略を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0161】
10 エアコン(車両用空調装置)
18 エバポレータ
22 エアコンユニット
24 ブロワファン
26 空気導入口
26B 外気導入口
28 吹出し口
28A デフロスタ吹出し口
30 ブロワモータ
32 切換ダンパ(切換手段)
36 ヒータコア
38 エアミックスダンパ
40 エンジン
50 電動ポンプ
58 エンジンECU(駆動制御手段)
60 エアコンECU(切換手段、空調制御手段、要求設定手段、要求手段)
70 外気温センサ(外気温検出手段)
76 水温センサ(液温検出手段)
80 車速センサ(車速検出手段)
82 DEFスイッチ(選択手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転数に応じた流量の冷却液をエンジンとヒータコアとの間で循環可能とする電動ポンプと、
前記エンジンの駆動状態に基づいて前記電動ポンプの駆動/停止及び駆動時の回転数を制御すると共に、流量要求が入力されたときに入力された要求流量に応じた回転数で前記電動ポンプを駆動する駆動制御手段と、
を含む車両に設けられ、前記冷却液が循環される前記ヒータコアによる空気の加熱量を制御して生成した空調風を、吹出し口から車室内へ吹出して空調する車両用空調装置であって、
回転駆動されることにより前記空調風を発生するブロワファンと、
前記冷却液の液温を検出する液温検出手段と、
前記ブロワファンの作動を制御し、前記ヒータコアによって加熱される空気量を制御して生成した空調風によって車室内を空調すると共に、暖房時に前記液温検出手段によって検出される液温が設定温度以下であるときに、前記ブロワファンの作動を停止する空調制御手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記冷却液の液温が前記設定温度に達しないことにより前記空調制御手段によって前記ブロワファンが停止されているときに、前記車速検出手段によって検出される前記車速に基づいて、前記ヒータコアへ循環される前記冷却液の前記要求流量を設定する要求設定手段と、
前記要求設定手段によって前記要求流量が設定されたときに、該要求流量での前記冷却液の循環を前記駆動制御手段に要求する要求手段と、
を含むことを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
前記空調風として車外の空気を導入する外気導入口と車室内の空気を導入する内気導入口とを切換える切換手段を含み、
前記切換手段によって前記外気導入口から外気を導入するように切換えられているときに、前記要求設定手段が前記要求流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記要求設定手段が、予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最少流量を前記要求流量として設定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記空調風の吹出し口としてウインドガラスに向けられたデフロスタ吹出し口を選択する選択手段と、
外気温を検出する外気温検出手段と、
を含み、前記空調制御手段が、前記選択手段によって前記デフロスタ吹出し口が選択されたときに、前記ヒータコアを通過する空気量を増加させて生成した空調風をデフロスタ吹出し口から吹き出すように制御するとき、
前記要求設定手段が、前記選択手段によって前記デフロスタ吹出し口が選択され、かつ、前記外気温検出手段によって検出される前記外気温が設定温度より低いときに、予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最大流量を前記要求流量として設定し、外気温が前記設定温度を超えているときに、前記最大流量より低い所定流量を前記要求流量として設定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記液温が第1の設定温度となったときに前記空調制御手段が前記ブロワアファンを停止し、前記液温が前記第1の設定温度より高い第2の設定温度となったときに前記空調制御手段が前記ブロワファンを駆動するときに、
前記液温が前記第1の設定温度を超えたときに前記設定手段が前記要求流量を設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記設定手段が、前記要求流量として予め設定されている要求流量の設定可能範囲内で最少流量を要求流量として設定することを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−155860(P2008−155860A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349518(P2006−349518)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】