説明

車両用空調装置

【課題】車両の窓ガラス110の内表面の曇りを良好に除去する。
【解決手段】第2のデフモードを実行すれば、第2のファン30bが内気を第2の空気通路10b内に導く。第1のファン30aが内気を第1の空気通路10aから連通口16aを通して第2の空気通路10b内に導く。このため、内気導入口11bから導入された内気と空気通路10aから連通口16aを通して導入された内気とはエアミックスドア70により温度調節されて第1のデフ吹出口12aから吹き出されることになる。以上により、外気に含まれる湿度が高く、外気を用いて窓ガラス110の曇りを良好に除去することができない場合でも、内気を用いて窓ガラス110の曇りを良好に除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓ガラスの内表面に空気を吹き出す吹出口を備える車両用空調装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用空調装置では、例えば、特許文献1に示すように、フロント側窓ガラスの内表面に外気を吹き出す第1のデフ吹出口と、第1のデフ吹出口より室内側(車両後側)に配置されている第2のデフ吹出口と、第1のデフ吹出口に外気を導入する第1の空調ユニットと、加熱用熱交換器、およびエアミックスドアを内蔵して第2のデフ吹出口から吹き出す空気温度を調節する第2の空調ユニットとを備えたものがある。
【0003】
このものにおいて、第1のデフ吹出口から吹き出される外気によりフロント側窓ガラスの曇りを除去するようになっている。加えて、第1のデフ吹出口からの外気がフロント側窓ガラスの上端部付近で第2のデフ吹出口から空調風と混合されることにより、第1のデフ吹出口からの外気としての冷風が乗員に直接到達するのを防止している。
【特許文献1】特開平5−178079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の車両用空調装置では、雨天等で、外気に含まれる湿度が高い場合には、湿度の高い空気が第1のデフ吹出口から吹き出されるため、フロント側窓ガラスの曇りを除去することができない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、窓ガラスの防曇に際して外気を用いることができない場合でも、窓ガラスの曇りを良好に除去することができるようにした車両用空調装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、前記第1の空気通路内に導入した外気を前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出し、前記第2の空気通路内に導入した内気を前記第2のデフ吹出口(12b)から吹き出す第1のデフモードと、前記第2の空気通路内に導入されて前記冷却用熱交換器(50)により除湿された内気を前記第1の連通路(16b)を通過させて前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出す第2のデフモードとのうちいずれか一方を実行する制御手段(130)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、外気に含まれる湿度が高いとき、外気に悪臭、煙が含まれているときなど、外気を第1のデフ吹出口から窓ガラスに吹き出すことができないときには、第2のデフモードを実行すれば、冷却用熱交換器により除湿された内気を第1のデフ吹出口から窓ガラスに吹き出すことができるので、窓ガラスの曇りを良好に除去することができる。
【0008】
ここで、特開平5−178079の図5に示すように、第1の空気通路内にも冷却用熱交換器を配置して、第1のデフモードにおいて、第1の空気通路内の冷却用熱交換器により除湿された外気を第1のデフ吹出口から窓ガラスに吹き出して、外気に含まれる湿度が高いときでも、外気により窓ガラスの曇りを良好に除去することも考えられる。
【0009】
これに対し、請求項1に係る発明では、第1のデフモードでは、第1のデフ吹出口から外気を窓ガラスに吹き出すことにより、窓ガラスの曇りを除去できる。加えて、第2のデフモードでは、冷却用熱交換器により除湿された内気を第1のデフ吹出口から窓ガラスに吹き出すことにより、窓ガラスの曇りを除去する。このため、第1の空気通路内に冷却用熱交換器を配置する必要がない。
【0010】
請求項2に係る発明では、前記制御手段(130)が前記第2のデフモードを実行する際には、前記第2の開閉ドア(17a)により前記第2の連通路(16a)を開口し、かつ前記内外気切替ドア(21)により前記内気導入口を開口して、前記第1の空気通路内に導入した内気を前記第2の連通路(16a)を通して前記冷却用熱交換器(50)の空気上流側に導入して前記冷却用熱交換器(50)により除湿された内気を前記第1の連通路(16b)を通過させて前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出すようになっていることを特徴とする。
【0011】
これにより、第2のデフモードを実行する際には、第2の連通路および内気導入口を通して内気を冷却用熱交換器の空気上流側に導入しているので、第1のデフ吹出口から吹き出される空気量を増やすことができる。
【0012】
請求項3に係る発明では、前記第1の連通路(16b)を開閉する第1の開閉ドア(17b)を備え、
前記制御手段(130)が前記第1のデフモードを実行した際には、前記第1の開閉ドア(17b)により前記第1の連通路(16b)を閉鎖し、
前記制御手段(130)が前記第2のデフモードを実行した際には、前記第1の開閉ドア(17b)により前記第1の連通路(16b)を開口し、かつ前記第1の開閉ドア(17b)により前記第2のデフ吹出口(12b)側をも開口して、前記冷却用熱交換器(50)により除湿された前記内気を前記第1、第2のデフ吹出口(12a、12b)のそれぞれから吹き出させるようになっていることを特徴とする。
【0013】
これにより、冷却用熱交換器により除湿された大量の内気を窓ガラスの内表面に吹き出すことができる。
【0014】
請求項4に係る発明では、前記第2の空気通路(10b)内に配置され、前記内気の温度を調整する温度調整ユニット(70)を備え、
前記第2の連通路(16a)は、前記第2の空気通路(10b)内のうち前記温度調整ユニット(70)と前記冷却用熱交換器(50)とに対する空気上流側と前記第1の空気通路(10a)との間を連通するものであり、
前記第1の連通路(16b)は、前記第2の空気通路(10b)内のうち前記温度調整ユニット(70)と前記冷却用熱交換器(50)とに対する空気下流側と、前記第1の空気通路(10a)のうち前記第2の連通路(16a)の空気下流側との間を連通するものであることを特徴とする。
【0015】
請求項5に係る発明では、前記制御手段(130)が前記第1のデフモードを実行した際には、前記温度調整ユニット(70)により温度調整された内気が前記第2のデフ吹出口(12b)から吹き出されるようになっており、
前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面に沿って上側に流れた空気が前記窓ガラスの内表面上端部を通過した後に、前記第2デフ吹出口から吹き出された空気により混合されるようになっていることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係る発明では、前記第2のデフ吹出口(12b)から空気を吹き出す吹出角度は、前記第1のデフ吹出口(12a)から空気を吹き出す吹出角度より車室内側に向くように設定されることにより、
前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面上端部を通過した空気が、車両天井部のうち前記窓ガラス側で前記第2のデフ吹出口(12b)からの空気により混合されるようになっていることを特徴とする。
【0017】
これにより、第1のデフモードが実行されたときに、第1のデフ吹出口から吹き出された外気が乗員に直接到達することを防ぐことができる。
【0018】
請求項7に係る発明では、前記第2のデフ吹出口(12b)は、前記第1のデフ吹出口(12a)より所定寸法だけ車室内側にオフセットして配置されることにより、前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面上端部を通過した空気が、車両天井部のうち前記窓ガラス側で前記第2デフ吹出口からの空気により混合されるようになっていることを特徴とする。
【0019】
これにより、第1のデフモードが実行されたときに、第1のデフ吹出口から吹き出された外気が乗員に直接到達することを防ぐことができる。
【0020】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る車両用空調装置の第1実施形態について説明する。図1は本実施形態における車両用空調装置の室内空調ユニット1の概略構成を示す図である。
【0022】
室内空調ユニット1は、内外気切替箱2、送風機ユニット3、および空調ユニット4から構成される。内外気切替箱2、送風機ユニット3、および空調ユニット4は、車両のダッシュボード内側に配置されている。
【0023】
内外気切替箱2は、ケース20、および内外気切替ドア21を備える。ケース20は、内気導入口20a、外気導入口20b、および空気排出口20cを有する。内外気切替ドア21は、内気導入口20aおよび外気導入口20bのうち少なくとも一方を開口する。内外気切替ドア21は、サーボモータ80により駆動される。
【0024】
送風機ユニット3は、第1、第2のファン30a、30bおよび電動モータ31から構成されている。第1、第2のファン30a、30bは、電動モータ31により駆動される。
【0025】
第1のファン30aは、内外気切替箱2の空気排出口20cから空気を導入して空調ケーシング10の第1の空気通路10aの空気入口11aに吹き出す。第2のファン30aは、第2の空気通路10bの内気導入口11bから内気を導入して後述する第2のデフ吹出口に向けて吹き出す。第2の空気通路10bと第1の空気通路10aとは、空調ケーシング10内において壁10cにより区分けされている。
【0026】
本実施形態では、第1、第2のファン30a、30bとして遠心式ファンが用いられている。第1、第2のファン30a、30bとして、それぞれが一体化されたものが用いられている。
【0027】
第1の空気通路10aの最下流側には、第1のデフ吹出口12aが設けられている。第1のデフ吹出口12aは、図2に示すように、フロント側の窓ガラス110の下側のダッシュボード111に設けられている。第1のデフ吹出口12aは、フロント側の窓ガラス110の内表面に向けて開口されている。
【0028】
第2の空気通路10bには、冷却用熱交換器50、加熱用熱交換器60、およびエアミックスドア70が配置されている。
【0029】
冷却用熱交換器50は、圧縮機、凝縮器、減圧器とともに周知の冷凍サイクル装置を構成し、冷媒の蒸発により第2のファン30bから吹き出される空気を冷却、除湿する。加熱用熱交換器60は、冷却用熱交換器50の空気下流側に配置され、冷却用熱交換器50から吹き出される冷風をエンジン冷却水(温水)により加熱する。圧縮機は、走行用エンジンからの駆動力により電磁クラッチを介して駆動される。
【0030】
第2の空気通路10b内において加熱用熱交換器60の側方にはバイパス通路65が設けられている。バイパス通路65は、冷却用熱交換器50からの冷風を加熱用熱交換器60をバイパスして流す。
【0031】
加熱用熱交換器60の空気上流側には、エアミックスドア70が配置されている。エアミックスドア70は、回転軸70aを中心として回転自在に支持されている。エアミックスドア70は、温度調節ユニットを構成するもので、加熱用熱交換器60に流入する空気量とバイパス通路65に流入する空気量との比率を調整することにより、車室内に吹き出す空気温度を調整する。エアミックスドア70は、サーボモータ81により駆動される。
【0032】
第2の空気通路10b内において加熱用熱交換器60の空気下流側には、空気混合室90が設けられている。空気混合室90は、加熱用熱交換器60から吹き出される温風とバイパス通路65を通過した冷風とが混合される。
【0033】
第2の空気通路10bの最下流側には、第2デフ吹出口12b、フェイス吹出口12c、およびフット吹出口12dが設けられている。
【0034】
第2デフ吹出口12bは、図2に示すように、ダッシュボード111のうち第1のデフ吹出口12aの車両後側に配置されている。第2デフ吹出口12bは、上側でかつ斜め後側に向けて開口されて、空気混合室90から吹き出される空気を吹き出す。
【0035】
フェイス吹出口12cは、空気混合室90から吹き出される空気を乗員の上半身に向けて吹き出す。フェイス吹出口12cの空気上流側にはモードドア15aが配置されている。モードドア15aは、フェイス吹出口12cを開閉する。
【0036】
フット吹出口12dは、空気混合室90から吹き出される空気を乗員の下半身に向けて吹き出す。フット吹出口12dの空気上流側にはモードドア15bが配置されている。モードドア15bは、フット吹出口12dを開閉する。
【0037】
また、空調ケーシング10の壁10cには、連通口16a、16bが設けられている。連通口16a、16bは、それぞれ、空気通路10a、10bの間を連通している。
【0038】
連通口16aは、冷却用熱交換器50と加熱用熱交換器60とエアミックスドア70とに対して空気上流側に配置されている。連通口16bは、冷却用熱交換器50と加熱用熱交換器60とエアミックスドア70とに対して空気下流側に配置されている。
【0039】
空調ケーシング10には、連通口16a、16bを開閉する開閉ドア17a、17bが設けられている。開閉ドア17aは、サーボモータ80により駆動される。開閉ドア17b、およびモードドア15a、15bはリンク機構(図示省略)を介してサーボモータ82により駆動される。
【0040】
次に、本実施形態の車両用空調装置の電気的構成について図3を参照して説明する。図3は、車両用空調装置の電気的構成を示す図である。
【0041】
車両用空調装置は、図3に示すように、電子制御装置130、および操作パネル136を備える。操作パネル136には、各種の吹出モードを設定するスイッチが設けられている。電子制御装置130は、マイクロコンピュータおよびメモリなどから構成され、操作パネル136の出力信号に基づいて、モータ31、80、81、82、83、電磁クラッチ200を制御する。電磁クラッチ200は、圧縮機と走行用エンジンとの間を接続、或いは開放する。
【0042】
次に、本実施形態の作動について図1、図4説明する。
【0043】
本実施形態では、フロント側の窓ガラス110に空気を吹き出して窓ガラス110の曇りを取り除く吹出口モードとしての第1、第2のデフモードが実行される。以下、第1、第2のデフモードについて別々に説明する。
(第1のデフモード)
乗員が操作パネル136に第1のデフモードを設定された場合には、電子制御装置130がモータ80、82、83および電磁クラッチ200を次のように制御して第1のデフモードを実行する。
【0044】
まず、サーボモータ80を制御して内外気切替ドア21により内気導入口20aを閉鎖して、かつ外気導入口20bを開口し、かつサーボモータ83を制御して開閉ドア17aにより連通口16aを閉鎖する。さらに、サーボモータ82を制御して開閉ドア17bにより連通口16bを閉鎖する。これに加えて、電磁クラッチ200により走行用エンジンと圧縮機との間を開放して、圧縮機から冷却用熱交換器50への冷媒の流入を停止する。
【0045】
これにより、第1のファン30aが外気導入口20bから外気を導入して吹き出す。この吹き出された空気は、矢印a1の如く、第1の空気通路10a内を通過して第1のデフ吹出口12aから吹き出される。第1のデフ吹出口12aからの空気はフロント側の窓ガラス110の内表面に沿って上側に流れる。このとき、外気が低温で、かつ低湿度であるときには、窓ガラス110の曇りを除去することができる。
【0046】
一方、第2のファン30aが第2の空気通路10bの内気導入口11bを通して内気を導入して吹き出す。第2のファン30aから吹き出された空気は、冷却用熱交換器50を通過すると、この通過した空気は、矢印a2の如く、加熱用熱交換器60、或いはバイパス通路65を通過して第2のデフ吹出口12bから吹き出される。
【0047】
すなわち、エアミックスドア70により温度調節された空気(内気)が第2のデフ吹出口12bから吹き出されることになる。このとき、冷却用熱交換器50には、圧縮機からの冷媒が流入されていないため、冷却用熱交換器50を内気が通過する際に、内気は除湿されない。
【0048】
ここで、第2のデフ吹出口12bからの空気(図2中矢印a2)は、第1のデフ吹出口12aから吹き出されてフロント側の窓ガラス110の内表面の上端部110aを通過して車両天井部140のうち窓ガラス110側に到達した空気(図2中矢印a1)に衝突して混合される。
(第2のデフモード)
乗員が操作パネル136に第2のデフモードを設定された場合には、電子制御装置130がモータ80、82、83および電磁クラッチ200を次のように制御して第2のデフモードを実行する。図4に第2のデフモードにおける室内空調ユニット1の状態を示す。
【0049】
まず、サーボモータ80を制御して内外気切替ドア21により内気導入口20aを開口して、かつ外気導入口20bを閉鎖し、かつサーボモータ83を制御して開閉ドア17aにより連通口16aを開口する。このとき、第1の空気通路10aのうち連通口16aより下流側を開閉ドア17aにより閉鎖する。
【0050】
さらに、サーボモータ82を制御して開閉ドア17bにより連通口16bを開口する。このとき、第2の空気通路10bのうち連通口16bより第2のデフ吹出口12b側を開閉ドア17bにより閉鎖する。これに加えて、電磁クラッチ200により走行用エンジンと圧縮機との間が接続されて、圧縮機から冷却用熱交換器50に冷媒が流入される。
【0051】
これにより、第1のファン30aが内気導入口20aから内気を導入して吹き出す。この吹き出された空気は、矢印a3の如く、第1の空気通路10aから連通口16aを通して第2の空気通路10b内に流れる。加えて、第2のファン30aが第2の空気通路10bの内気導入口11bを通して内気を矢印a4の如く、導入する。
【0052】
このため、内気導入口11bから導入された内気と第1の空気通路10aから連通口16aを通して導入された内気とは、冷却用熱交換器50を通過する。このとき、内気は冷却用熱交換器50内を流れる冷媒との間で熱交換して冷却、除湿される。
【0053】
この除湿、冷却された空気は、矢印a5の如く、加熱用熱交換器60、或いはバイパス通路65を通過して第1のデフ吹出口12aから吹き出される。すなわち、エアミックスドア70により温度調節された空気(内気)が第1のデフ吹出口12aから吹き出されることになる。
【0054】
ここで、第1のデフ吹出口12aからの空気は、フロント側の窓ガラス110の内表面に沿って流れる。このため、窓ガラス110の曇りを除去することができる。
【0055】
以上説明した本実施形態によれば、第2のデフモードを実行すれば、第1のファン30aが内気導入口20aから導入した内気を、第1の空気通路10aから連通口16aを通して第2の空気通路10b内に導く。このため、内気導入口11bから導入された内気と第1の空気通路10aから連通口16aを通して導入された内気とはエアミックスドア70により温度調節されて第1のデフ吹出口12aから吹き出されることになる。
【0056】
以上により、雨天などで外気が高湿度のとき、或いは外気に、煙、悪臭が含まれて、外気を用いる第1のデフモードを実施することができない場合でも、第2のデフモードを実行すれば、窓ガラス110の曇りを良好に除去することができる。
【0057】
ここで、特開平5−178079の図5に示すように、第1の空気通路10a内にも冷却用熱交換器を配置して、雨天のときには、第1のデフモードとして、第1の空気通路10a内の冷却用熱交換器により外気を除湿して窓ガラス110の内表面に吹き出して曇りを良好に除去することも考えられる。
【0058】
この場合、第1の空気通路10a内に冷却用熱交換器を配置することにより、
第1の空気通路10aの体格の大型化、通風圧損の増加を招く。
【0059】
これに対し、本実施形態の第1のデフモードでは、第1のデフ吹出口12aから窓ガラス110に吹き出すことにより、窓ガラス110の曇りを良好に除去する。加えて、第2のデフモードでは、冷却用熱交換器50により除湿された内気を用いて、窓ガラス110の曇りを良好に除去する。このため、第1の空気通路10a内に冷却用熱交換器を配置する必要がない。したがって、第1の空気通路10aの体格の大型化および通風圧損の増加を招くこともない。
【0060】
本実施形態では、第2のデフモードにおいて、第2の空気通路10bには、内気導入口11bを通して導入される内気に加えて、内気導入口20aから内気が導入される。このため、第1のデフ吹出口12aからの除湿された空気を大量に吹き出すことができる。このため、窓ガラス110の曇りをより良好に除去することができる。
【0061】
(第2実施形態)
第1のデフモードにおいて、第1のデフ吹出口12aから吹き出された空気により窓ガラス110の内表面の曇りを確実に除去する第2実施形態を示す。
【0062】
この場合の室内空調ユニット1の構成を図5に示す。
【0063】
本実施形態では、図5に示すように、第2のデフ吹出口12bから空気を吹き出す吹出角度は、第1のデフ吹出口12aから空気を吹き出す吹出角度より車室内側(具体的には車両後側)に向くように設定される。
【0064】
これにより、図6に示すように、第1のデフ吹出口12aから吹き出されて窓ガラス110の内表面の上端部110aを通過した空気が、車両天井部140のうち窓ガラス110側で第2のデフ吹出口12bからの空気により混合される。
【0065】
ここで、例えば、第1のデフ吹出口12aから吹き出されて窓ガラス110の内表面に沿って流れる空気が、上端部110aを通過する前で第2のデフ吹出口12bからの空気により混合される場合には、窓ガラス110の内表面の上端部110aにおいて曇りが除去されない。
【0066】
これに対し、本実施形態では、上述の如く、第1のデフ吹出口12aから吹き出されて窓ガラス110の内表面の上端部110aを通過した空気(図6中a1参照)が、車両天井部140のうち窓ガラス110側で第2のデフ吹出口12bからの空気(図6中a2参照)により混合される。したがって、窓ガラス110の内表面の上端部110aまで確実に曇りを除去できる。これに加えて、第1のデフ吹出口12aから吹き出された空気(外気)が乗員の頭部に直接到達することを防ぐことができる。
【0067】
(第3実施形態)
上述の第2実施形態では、第1のデフ吹出口12aから吹き出された空気により窓ガラス110の内表面の曇りを確実に除去するために、第2のデフ吹出口12bから空気を吹き出す吹出角度を、第1のデフ吹出口12aから空気を吹き出す吹出角度より車室内側に向くように設定した例を示したが、これに代えて、本
第3実施形態では、次のように第2のデフ吹出口12bを設定する。
【0068】
この場合の室内空調ユニット1の構成を図7に示す。
【0069】
本実施形態では、図7に示すように、第2のデフ吹出口12bは、第1のデフ吹出口12aより所定寸法ta(図7参照)だけ車室内側(車両後側)にオフセットして配置されている。
【0070】
これにより、上述の第2実施形態と同様に、第1のデフ吹出口12aから吹き出されて窓ガラス110の内表面の上端部110aを通過した空気(図8中a1参照)が、車両天井部140のうち窓ガラス110側において、第2のデフ吹出口12bからの空気(図8中a2参照)により混合される。したがって、窓ガラス110の内表面の上端部110aまで確実に曇りを除去できる。
【0071】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態において、第2のデフモードを実行する際には、第2の空気通路10bから吹き出される空気を第1のデフ吹出口12aだけから吹き出す例を示したが、これに代えて、本第4実施形態では、第2の空気通路10bから吹き出される空気を第1、第2のデフ吹出口12a、12bのそれぞれから吹き出す。
【0072】
この場合の室内空調ユニット1の状態を図9に示す。
【0073】
本実施形態では、図9に示すように、開閉ドア17bにより、連通口16bを開口し、かつ第2の空気通路10bのうち連通口16bに対して第2のデフ吹出口12b側を開口する。これにより、第2のデフモードを実行する際には、混合室90からの空気が第1、第2のデフ吹出口12a、12bのそれぞれから吹き出される。これにより、窓ガラス110の内表面に吹き出す風量を増やすことができる。したがって、窓ガラス110の曇りを急速に除去することができる。
【0074】
上述の各実施形態において、本発明に係る窓ガラスをフロント側窓ガラス110とした例を示したが、これに限らず、本発明に係る窓ガラスをサイド側窓ガラス、或いはリア側窓ガラスに適用してもよい。
【0075】
上述の各実施形態において、室内空調ユニット1の第2の空気通路10b内に、冷却用熱交換器50以外に、加熱用熱交換器60およびエアミックスドア70を配置した例を示したが、これに代えて、室内空調ユニット1の第2の空気通路10b内に、冷却用熱交換器50だけを配置して、加熱用熱交換器60とエアミックスドア70とを除去した構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1の第1、第2のデフ吹出口を示す模式図である。
【図3】第1実施形態における車両用空調装置の電気的構成を示す図である。
【図4】第1実施形態における車両用空調装置の第2デフモードの状態を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【図6】図4の第1、第2のデフ吹出口を示す模式図である。
【図7】本発明の第3実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【図8】図7の第1、第2のデフ吹出口を示す模式図である。
【図9】本発明の第4実施形態における車両用空調装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 室内空調ユニット
2 内外気切替箱
3 送風機ユニット
4 空調ユニット
10a 第1の空気通路
10b 第2の空気通路
12a 第1デフ吹出口
12b 第2デフ吹出口
16a 連通口
16b 連通口
17a 開閉ドア
17b 開閉ドア
20 ケース
21 内外気切替ドア
20a 内気導入口
20b 外気導入口
20c 空気排出口
30a 第1のファン
30b 第2のファン
40 冷却用熱交換器
50 加熱用熱交換器
65 バイパス通路
70 エアミックスドア
90 空気混合室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の窓ガラスの内表面に空気を吹き出す第1のデフ吹出口(12a)と、
前記第1のデフ吹出口側に外気を導く第1の空気通路(10a)と、
前記第1の空気通路(10a)に外気を導入して前記第1のデフ吹出口側に送風する第1のファン(30a)と、
前記第1のデフ吹出口(12a)より車室内側に配置され、空気を吹き出す第2のデフ吹出口(12b)と、
前記第2のデフ吹出口側に内気を導く第2の空気通路(10b)と、
前記第2の空気通路(10b)に内気を導入して前記第2のデフ吹出口側に送風する第2のファン(30b)と、
前記第2の空気通路(10b)内に配置され、空気を除湿する冷却用熱交換器(50)と、
前記第2の空気通路のうち前記冷却用熱交換器の空気下流側と前記第1の空気通路との間を連通する第1の連通路(16b)と、
前記第1の空気通路内に導入した外気を前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出し、前記第2の空気通路内に導入した内気を前記第2のデフ吹出口(12b)から吹き出す第1のデフモードと、前記第2の空気通路内に導入されて前記冷却用熱交換器(50)により除湿された内気を前記第1の連通路(16b)を通過させて前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出す第2のデフモードとのうちいずれか一方を実行する制御手段(130)と、を備えることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】
外気導入口と内気導入口のうち少なくとも一方の導入口を開口する内外気切替ドア(21)と、
前記第2の空気通路のうち前記冷却用熱交換器の空気上流側と前記第1の空気通路との間を連通する第2の連通路(16a)と、
前記第2の連通路(16a)を開閉する第2の開閉ドア(17a)と、を備え、
前記制御手段(130)が前記第1のデフモードを実行する際には、前記第2の開閉ドア(17a)により前記第2の連通路(16a)を閉鎖し、かつ前記内外気切替ドア(21)により前記外気導入口を開口して、前記第1の空気通路内に前記外気導入口を介して外気を導入してこの導入された外気を前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出すようになっており、
前記制御手段(130)が前記第2のデフモードを実行する際には、前記第2の開閉ドア(17a)により前記第2の連通路(16a)を開口し、かつ前記内外気切替ドア(21)により前記内気導入口を開口して、前記第1の空気通路内に導入した内気を前記第2の連通路(16a)を通して前記冷却用熱交換器(50)の空気上流側に導入して前記冷却用熱交換器(50)により除湿された内気を前記第1の連通路(16b)を通過させて前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
【請求項3】
前記第1の連通路(16b)を開閉する第1の開閉ドア(17b)を備え、
前記制御手段(130)が前記第1のデフモードを実行した際には、前記第1の開閉ドア(17b)により前記第1の連通路(16b)を閉鎖し、
前記制御手段(130)が前記第2のデフモードを実行した際には、前記第1の開閉ドア(17b)により前記第1の連通路(16b)を開口し、かつ前記第1の開閉ドア(17b)により前記第2のデフ吹出口(12b)側をも開口して、前記冷却用熱交換器(50)により除湿された前記内気を前記第1、第2のデフ吹出口(12a、12b)のそれぞれから吹き出させるようになっていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】
前記第2の空気通路(10b)内に配置され、前記内気の温度を調整する温度調整ユニット(70)を備え、
前記第2の連通路(16a)は、前記第2の空気通路(10b)内のうち前記温度調整ユニット(70)と前記冷却用熱交換器(50)とに対する空気上流側と前記第1の空気通路(10a)との間を連通するものであり、
前記第1の連通路(16b)は、前記第2の空気通路(10b)内のうち前記温度調整ユニット(70)と前記冷却用熱交換器(50)とに対する空気下流側と、前記第1の空気通路(10a)のうち前記第2の連通路(16a)の空気下流側との間を連通するものであることを特徴とする請求項2または3に記載の車両用空調装置。
【請求項5】
前記制御手段(130)が前記第1のデフモードを実行した際には、前記温度調整ユニット(70)により温度調整された内気が前記第2のデフ吹出口(12b)から吹き出されるようになっており、
前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面に沿って上側に流れた空気が前記窓ガラスの内表面上端部を通過した後に、前記第2デフ吹出口から吹き出された空気により混合されるようになっていることを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】
前記第2のデフ吹出口(12b)から空気を吹き出す吹出角度は、前記第1のデフ吹出口(12a)から空気を吹き出す吹出角度より車室内側に向くように設定されることにより、前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面上端部を通過した空気が、車両天井部のうち前記窓ガラス側で前記第2のデフ吹出口(12b)からの空気により混合されるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【請求項7】
前記第2のデフ吹出口(12b)は、前記第1のデフ吹出口(12a)より所定寸法だけ車室内側にオフセットして配置されることにより、前記第1のデフ吹出口(12a)から吹き出されて前記窓ガラスの内表面上端部を通過した空気が、車両天井部のうち前記窓ガラス側で前記第2デフ吹出口からの空気により混合されるようになっていることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−13056(P2010−13056A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176991(P2008−176991)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】