説明

車両用組付部品

【課題】車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置ずれを確実に防止することができる車両用組付部品を提供する。
【解決手段】車両用組付部品1が、車両に設けられた車両側固定用穴部3に固定部材を介して固定される部品側固定用穴部5を有する取付部7と、この取付部7に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との左右方向の位置合わせをする一対のリブ9,11と、この一対のリブ9,11の間に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との上下方向の位置合わせをするガイド13と、一対のリブ9,11の間に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との前後方向の位置合わせをする壁部15とを有した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適用される車両用組付部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に組付けられる車両用組付部品としては、車両用内装部品に取り付けられる取付部品を固定するための固定孔と、固定孔の周りに設けられ取付部品の固定フランジの形状に対応して固定フランジと当接して固定位置にガイドするガイドリブと、固定孔とガイドリブとを分離する分離溝とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この車両用組付部品では、ガイドリブが固定フランジと係合することにより、取付部品の固定孔と固定フランジに設けられたネジ孔とが位置合わせされるように構成されている。このため、固定フランジとガイドリブとを係合させることにより、目視で固定孔とネジ孔との位置を確認する必要がなく、取付作業を簡便にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−23724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような車両用組付部品では、固定フランジとガイドリブとの係合によって固定孔とネジ孔との位置合わせをある程度行うことができるが、すべての方向に対して位置合わせを行っておらず、ボルトなどの固定部材で固定するとき、或いは振動などの外力によって、互いの位置がずれてしまう恐れがあった。
【0006】
そこで、この発明は、車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置ずれを確実に防止することができる車両用組付部品の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の車両用組付部品は、車両に設けられた車両側固定用穴部に固定部材を介して固定される部品側固定用穴部を有する取付部と、この取付部に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との左右方向の位置合わせをする一対のリブと、この一対のリブの間に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との上下方向の位置合わせをするガイドと、前記一対のリブの間に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との前後方向の位置合わせをする壁部とを有することを特徴とする。
【0008】
この車両用組付部品では、一対のリブとガイドと壁部とによって車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置合わせをすべての方向で行うので、固定部材で固定するときや振動などの外力によって互いの位置がずれることがない。
【0009】
従って、車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置ずれを確実に防止することができ、作業者の手が入り難い狭い空間や目視で確認し難い空間でも車両用組付部品を車両に容易に取り付けることができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用組付部品であって、前記取付部は、筐体状の本体部に前記一対のリブを介して設けられ、この取付部は、前記本体部に複数箇所設けられていることを特徴とする。
【0011】
この車両用組付部品では、複数箇所の取付部のうち1箇所の取付部を車両側に取り付けることにより、他の箇所でも車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置合わせを行うことができ、作業効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置ずれを確実に防止することができる車両用組付部品を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用組付部品の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用組付部品を車両側本体部に組付けるときの斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用組付部品を車両側本体部に組付けるときの断面図である。
【図4】図3の状態から車両用組付部品を車両側本体部に組付けたときの断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用組付部品の他例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図5を用いて本発明の実施の形態に係る車両用組付部品について説明する。
【0015】
本実施の形態に係る車両用組付部品1は、車両に設けられた車両側固定用穴部3に固定部材(不図示)を介して固定される部品側固定用穴部5を有する取付部7と、この取付部7に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との左右方向の位置合わせをする一対のリブ9,11と、この一対のリブ9,11の間に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との上下方向の位置合わせをするガイド13と、一対のリブ9,11の間に設けられ車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との前後方向の位置合わせをする壁部15とを有する。
【0016】
また、取付部7は、筐体状の本体部17に一対のリブ9,11を介して設けられ、この取付部7は、本体部に複数箇所(ここでは2箇所)設けられている。
【0017】
なお、ここでは、図1で矢印が示すように、車両用組付部品1の本体部17の長手方向を「左右方向」とし、本体部17の厚さ方向を「上下方向」とし、本体部17の幅方向を「前後方向」とする。
【0018】
図1〜図4に示すように、車両用組付部品1は、本体部17と、取付部7と、一対のリブ9,11と、ガイド13と、壁部15とを備えている。本体部17は、筐体状に成形された樹脂からなる。なお、本体部17は、内部に部品を収容するケーシングであってもよいし、部品が外部に露出することを防止するカバーなどでもよく、車両に取り付けられる装置に対して適用することができる。この本体部17は、車両側本体部19に取り付けられる。
【0019】
車両側本体部19は、コ字状の筐体からなり、コ字状の2つの端部側にそれぞれ車両側固定用穴部3が設けられている。この車両側固定用穴部3は、内周側がねじ形状に形成され、ボルトなどの固定部材を介して車両用組付部品1の取付部7が固定される。
【0020】
取付部7は、板状の樹脂からなり、本体部17の上面よりも上方に複数(ここでは2つ)設けられている。この取付部7の中央部分には、車両側固定用穴部3と対応する位置に部品側固定用穴部5が設けられている。この部品側固定用穴部5は、内周側がねじ形状に形成され、取付部7を車両側固定用穴部3の上部に配置させて車両側固定用穴部3と位置合わせされた状態でボルトなどの固定部材を螺合することにより、車両用組付部品1が車両側本体部19に固定される。このような取付部7は、一対のリブ9,11を介して本体部17と一体的に設けられている。
【0021】
一対のリブ9,11は、取付部7側から先端側に向けて先細りとなる三角板状の樹脂からなり、取付部7と連続する一部材で形成され、本体部17の側面に本体部17と一体的に複数(ここでは2組)設けられている。また、一対のリブ9,11は、互いの対向面を離間して対向配置されている。この一対のリブ9,11の離間距離は、車両側本体部19の端部側の幅と略同等に設定されており、一対のリブ9,11間に車両側本体部19の端部を挿入したときに、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との左右方向の位置が一致するように設定されている。このため、一対のリブ9,11間に車両側本体部19の端部を挿入することにより、車両側本体部19の左右方向への移動が規制され、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との左右方向の位置合わせを行うことができる。この一対のリブ9,11間には、ガイド13が設けられている。
【0022】
ガイド13は、取付部7側から先端側に向けて肉厚を減じるように傾斜する傾斜面を有する筒状の樹脂からなり、一対のリブ9,11と連続する一部材で形成され、本体部17の側面に本体部17と一体的に複数(ここでは2つ)設けられている。このガイド13は、一対のリブ9,11間に車両側本体部19の端部を挿入させ、車両側本体部19の端部と当接して車両側本体部19の端部がガイド13の傾斜面に沿って移動されたときに、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との上下方向の位置が一致するように設定されている。このため、車両側本体部19の端部とガイド13とが当接することにより、車両側本体部19の上下方向への移動がガイド13の傾斜面によって導かれ、取付作業の流れの中で、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との上下方向の位置合わせを行うことができる。このガイド13の上方で一対のリブ9,11間には、壁部15が設けられている。
【0023】
壁部15は、板状の樹脂からなり、取付部7、一対のリブ9,11及びガイド13と連続する一部材で形成され、本体部17の上面の端部から取付部7に向けて本体部17と一体的に複数(ここでは2つ)設けられている。この壁部15は、車両側本体部19の端部とガイド13とが当接して車両側本体部19がガイド13によって導かれ、車両側本体部19の端部の側面と当接したときに、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との前後方向の位置が一致するように設定されている。このため、車両側本体部19の端部の側面と壁部15とが当接することにより、車両側本体部19の前後方向への移動が規制され、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との前後方向の位置合わせを行うことができる。
【0024】
このように構成された車両用組付部品1の車両側本体部19への取付は、まず、一対のリブ9,11間に車両側本体部19の端部が挿入されるように車両用組付部品1を配置させ、本体部17の側面と車両側本体部19の端部の側面とが当接するまで、一対のリブ9,11間に車両側本体部19の端部を挿入させる。次に、車両側本体部19の端部の上面とガイド13とが当接するように車両用組付部品1を下方に移動させ、当接したらガイド13の傾斜面に沿って車両用組付部品1をさらに下方に移動させる。次に、車両側本体部19の端部の上面と取付部7の下面とが当接するまで車両用組付部品1を下方に移動させる。このとき、車両用組付部品1の壁部15と車両側本体部19の端部の側面とが当接するように、車両用組付部品1を車両側本体部19側に押し当てる。そして、車両用組付部品1を車両側本体部19に組付けた状態では、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との位置合わせが終了しているので、部品側固定用穴部5側からボルトなどの固定部材を螺合させ、車両用組付部品1を車両側本体部19に固定して取付を終了する。なお、固定部材の螺合作業は、車両用組付部品1を車両側本体部19側に押し当てながら行うことが好ましい。
【0025】
このような車両用組付部品1では、一対のリブ9,11とガイド13と壁部15とによって車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との位置合わせをすべての方向で行うので、固定部材で固定するときや振動などの外力によって互いの位置がずれることがない。
【0026】
従って、車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との位置ずれを確実に防止することができ、作業者の手が入り難い狭い空間や目視で確認し難い空間でも車両用組付部品1を車両に容易に取り付けることができる。
【0027】
また、複数箇所の取付部7のうち1箇所の取付部7を車両側に取り付けることにより、他の箇所でも車両側固定用穴部3と部品側固定用穴部5との位置合わせを行うことができ、作業効率を向上することができる。
【0028】
なお、図5に示す車両用組付部品101のように、2つの取付部7に加えて、車両パネルやブラケットなどに固定された車両側取付部103に固定される部品側取付部105を設けてもよい。この場合には、3つの取付部のうちどれか1つの取付部を正規位置に合わせることにより、他の取付部も正規位置に配置され、取付部間のピッチを意識せずに容易に固定作業を行うことができる。
【0029】
なお、本発明の車両用組付部品では、車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置合わせにおいて、一対のリブが左右方向を、ガイドが上下方向を、壁部が前後方向を位置合わせすることとしているが、これに限らず、車両側固定用穴部と部品側固定用穴部との位置合わせをすべての方向で行える構成であれば、どの部位がどの方向を位置合わせしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…車両用組付部品
3…車両側固定用穴部
5…部品側固定用穴部
7…取付部
9,11…リブ
13…ガイド
15…壁部
17…本体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた車両側固定用穴部に固定部材を介して固定される部品側固定用穴部を有する取付部と、
この取付部に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との左右方向の位置合わせをする一対のリブと、
この一対のリブの間に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との上下方向の位置合わせをするガイドと、
前記一対のリブの間に設けられ前記車両側固定用穴部と前記部品側固定用穴部との前後方向の位置合わせをする壁部と、
を有することを特徴とする車両用組付部品。
【請求項2】
請求項1記載の車両用組付部品であって、
前記取付部は、筐体状の本体部に前記一対のリブを介して設けられ、この取付部は、前記本体部に複数箇所設けられていることを特徴とする車両用組付部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−225104(P2011−225104A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96828(P2010−96828)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】