説明

車両用表示装置、それを備えた車両及び車両用情報表示方法

【課題】 ドライバが視線を向けない状態で、周辺視野にて、多くの視覚的情報を得ることができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 車両用表示装置100は、提示情報を生成する装置30a等にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成部10と、画像情報生成部10にて生成された画像情報を表示する表示部20とを備えている。この画像情報は、提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する画像情報である。このように、提示情報を示す画像情報に動きの要素を付加することで、ドライバは、周辺視野において、多くの情報を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両においてドライバに向けて提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置に関する。本発明の車両用表示装置は、車両のインストルメント・パネルに好適に適用される。
【背景技術】
【0002】
車両のインストルメント・パネル(以下、「インパネ」と略称する。)は、運転席に座ったドライバから見ると、その前方であって、ステアリングの後方、かつフロントウィンドウの下方に位置するよう配置されている。インパネには、スピードメータ、タコメータ、燃料計、水温計、距離計など、自動車の走行に必要な情報を示す計器類が配置されている。
【0003】
昨今では、インパネにプロジェクタによる投影表示や液晶パネルによる表示の方式を採用することで、インパネに表示する情報を固定する必要がなくなり、スピードメータ等の法令上表示することが必須である情報を除き、必要に応じて任意の情報を表示するインパネも知られている。例えば、インパネの一部のエリアを使って、エアコンの操作をする際には操作状況(設定温度等)を表示するとともに、ナビゲーションをする場合には進行方向の指示を表示したりすることが可能である。
【0004】
上述のように、インパネは運転席に座ったドライバから見やすい位置に配置されているものの、ドライバがそこに視線を向ければ車両前方の状況を十分に把握できず、危険である。但し、ドライバは、運転時にはフロントウィンドウを通じて車両前方を見ている場合にも、その垂直視野内にインパネが入るため、視線をインパネまで落とさなくても、インパネから一定の視覚的な情報は得られる。
【0005】
非特許文献1によれば、情報を詳細に認知する能力は、視線からの角度が大きくなるにつれて劣っていく。例えば、色の識別という識別難度の比較的低い情報は、比較的広い視野角内で識別できるが、丸、三角、四角等の形状の識別のように、識別難度が色の識別より高い情報については、より狭い視野角内でしか識別できない。さらに、文字の識別という識別難度が丸、三角、四角等のような単純な形状の識別よりさらに高い情報は、単純な形状の識別が可能な視野角範囲より狭い視野角内でしか識別できない。
【0006】
従って、例えば、インパネに表示される比較的単純な情報である色の識別は、インパネに直接視線を向けなくても、車両前方に視線を向けたままで行うことが可能であるが、インパネに直接視線を向けずに、車両前方に視線を向けたままでは、より詳細な情報である文字の認識はまではできないということが生じる。
【0007】
特許文献1では、車両を走行させるエネルギーの現在の消費量に応じて表示部に表示される図形の表示面積又は表示色を変化させる車両用表示装置が提案されている。また、特許文献2では、車両速度、発動機の回転数、燃料残量、バッテリ残量、水温又は車間距離が所定の値になったときに、インパネの輝度又は表示色を変化させる車両用表示装置が提案されている。このように、ドライバに提示する情報を識別難度の低い視覚的情報に変換して出力することで、ドライバは視線をインパネに落とさなくても、インパネから一定の視覚的情報を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−113724号公報
【特許文献2】特開2006−258783号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】「情報数理シリーズ〈C−1〉図説エルゴノミクス入門」、野呂影勇、2003年12月20日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、ドライバに提示する視覚的情報を識別難度の低い情報に変換すると、ドライバが得られる情報の情報量も少なくなる。例えば、特許文献1に従って、エネルギー消費量が少ないこと(省エネルギー)を示す緑色と、エネルギー消費量が多いこと(非省エネルギー)を示す青色との間で、エネルギーの現在の消費量に応じて表示色を連続的に変化させて表示する場合には、ドライバは緑色を認識することで、現在のドライブ状態が非省エネルギーではなく省エネルギーの状態であることを認識できるが、それがどの程度の省エネルギードライブであるのかまでは、インパネに視線を向けてインジケータ等を確認しなければ分からない。
【0011】
また、例えば、特許文献2に従って、高速を示す高輝度と低速を示す低輝度との間で、車両速度に応じてインパネの輝度を連続的に変化させる場合には、ドライバは高輝度であることを認識することで、現在の車両速度が高速であることを認識できるが、それが具体的に時速何キロであるかまでは、インパネに視線を向けてメータ等を確認しなければ分からない。
【0012】
そこで、本発明は、ドライバが視線を向けない状態で周辺視野にて多くの視覚的情報を得ることができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の車両用表示装置は、提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置であって、提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションによって当該提示情報を表示する。
【0014】
即ち、従来の車両表表示装置では、提示すべき情報の変化に伴って、形状、色、輝度等を変化させるものはあったが、本発明の車両表示装置は、ある1つの情報を提示するのに形状、色、輝度等が変化するアニメーションを表示する。このように、提示情報を示す画像情報に、形状、色、輝度等といった要素だけでなく、それらの変化ないしは動きの要素を付加することで、ドライバは、比較的単純な視覚的情報しか認識できない周辺視野(視野の絶対的限界内には含まれるが、視線からの角度が大きい部分)において、より多くの情報を得ることができる。
【0015】
例えば、数字を表示する場合に、単純に静止画としてその数字を点灯させて表示すると、周辺視野では、何らかの図形が表示されていることは認識できるがそれが特定の数字であることを認識できない。このような場合にも、同一の位置及び大きさで、その数字を書き順に従って書いたようなアニメーションで表示することで、周辺視野でもその数字がいくつであるかを把握できる。本発明は、このような人間の周辺視野での変化ないし動きに対する認知能力を利用して、周辺視野で得られる視覚的情報の情報量を増大させるものである。
【0016】
また、上記の車両用表示装置において、前記アニメーションは、最終的に表示する図形が徐々に完成するように変化する。
【0017】
なお、表示する図形は、その形状が情報の内容を示す場合には、丸、三角、四角等の簡易な形状、又は数字、ひらがな、カタカナ、アルファベットといった余り複雑でない形状を採用することが望ましく、その色が情報の内容を示す場合には、赤、青、緑といった原色、又は緑、紫、橙といった二次色を採用することが望ましい。
【0018】
前記アニメーションは、数字、ひらがな、カタカナ、アルファベット等の字をその書き順に従って、徐々に書いていくアニメーションであってよい。
【0019】
この構成により、単に点灯するだけでは周辺視野では認識が困難な形状である数字等の字を、周辺視野にて認識できる。
【0020】
前記アニメーションは、自車両が進むべき方向を示す矢印を、その方向に自車両が進んだときの自車両の軌跡に従って、徐々に描いていくアニメーションである。
【0021】
この構成により、単に点灯するだけでは周辺視野では認識が困難な矢印の方向を、周辺視野にて認識できる。
【0022】
前記アニメーションは、自車両の周辺の他車両が存在する方向を示す三角形状又は矢印を、自車両の画像の周辺で、当該他車両が存在する方向から自車両に向けて徐々に描いていくアニメーションである。
【0023】
この構成により、単に点灯するだけでは周辺視野では認識が困難な自車両と他車両との位置関係を、周辺視野にて認識できる。
【0024】
また、本発明の車両用表示装置は、提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置であって、提示情報を生成する装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成部と、前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示部とを備え、前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する画像情報である。
【0025】
この構成により、提示情報を示す画像情報に、形状、色、輝度等といった要素だけでなく、それらの変化ないしは動きの要素を付加することで、ドライバは、比較的単純な視覚的情報しか認識できない周辺視野においても、より多くの情報を得ることができる。
【0026】
本発明の別の態様は、車両であって、この車両は、提示情報を生成する提示情報生成装置と、前記提示情報生成装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成部と、前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示部とを備え、前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する画像情報である。
【0027】
本発明の更に別の態様は、提示情報を画像情報として表示する車両用情報表示方法であって、この方法は、提示情報を生成する提示情報生成ステップと、前記提示情報生成装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成ステップと、前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示ステップとを含み、前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する情報である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ドライバは、車両表表示装置に視線を向けない状態で、その周辺視野にて、車両用表示装置から多くの視覚的情報を得ることができるので、ドライバは車両前方から視線を逸らさない状態で車両用表示装置から多く視覚的情報を得ることができ、運転の安全性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態における車両用表示装置を搭載した車両のブロック図
【図2】本発明の実施の形態における表示パネルを示す図
【図3a】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」の上棒を書き終えた段階)を示す図
【図3b】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」の左上棒まで書き終えた段階)を示す図
【図3c】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」の下棒を書いている段階)を示す図
【図3d】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」の右下棒を書いている段階)を示す図
【図3e】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」の右下棒まで書き終えた段階)を示す図
【図3f】エアコンの設定温度を示す情報の表示例(「6」を書き終えた段階)を示す図
【図4a】走行支援情報の表示例(矢印の直進方向の部分を描いている段階)を示す図
【図4b】走行支援情報の表示例(矢印の直進方向の部分を描き終えた段階)を示す図
【図4c】走行支援情報の表示例(矢印を描き終えた段階)を示す図
【図5a】周辺車両情報の表示例(三角形状の下六分の一程度の部分のみを書き終えた段階)を示す図
【図5b】周辺車両情報の表示例(三角形状の下三分の一程度の部分まで書き終えた段階)を示す図
【図5c】周辺車両情報の表示例(三角形状の下三分の二程度の部分まで書き終えた段階)を示す図
【図5d】周辺車両情報の表示例(三角形状を書き終えた段階)を示す図
【図6a】周辺車両情報の表示例(矢印の下三分の一程度の部分まで描き終えた段階)を示す図
【図6b】周辺車両情報の表示例(矢印の下三分の二程度の部分まで描き終えた段階)を示す図
【図6c】周辺車両情報の表示例(矢印を描き終えた段階)を示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態の車両用表示装置及びそれを搭載した車両について、図面を用いて説明する。
【0031】
図1は、第1の実施の形態の車両用表示装置を搭載した車両のブロック図である。図1は、本実施の形態の説明に関連する要素のみを表している。車両1は、画像情報生成部10及び表示部20を備えた車両用表示装置100と、車両用表示装置100にて表示する情報(提示情報)を生成する提示情報生成装置としてのナビゲーション装置30a、エアコン30b、オーディオ装置30c、通信装置30d、他車両センサ30e、速度センサ30fと、操作部40とを備えている。車両1は、車両用表示装置100にて表示する情報を生成する装置として上記以外の他の装置を備えていてよい。本実施の形態では、車両1は自動車である。
【0032】
操作部40は、ステアリングに設けられたスイッチである。操作部40をステアリングに設けることで、ドライバはステアリングから手を離すことなく操作を行うことができる。操作部40は、ナビゲーション装置30a、エアコン30b、オーディオ装置30c、及び通信装置30dに接続されており、それらの装置を操作することができる。
【0033】
ナビゲーション装置30aは、走行支援情報として、例えば右折を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。エアコン30bは、例えば操作部40にて設定された設定温度を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。オーディオ装置30cは、例えば操作部40にて設定された再生、一時停止等の状態や音量を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。通信装置30dは、例えば操作部40にて設定された通信先番号を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。他車両センサ30eは、車両周辺の他の車両の情報(周辺車両情報)として、例えば他車両の存在及びその方向を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。速度センサ30fは、例えば現在の走行速度を示す情報を生成して画像情報生成装置10に出力する。
【0034】
画像情報生成装置10は、ナビゲーション装置30a、エアコン30b、オーディオ装置30c、通信装置30d、他車両センサ30e、及び速度センサ30fから入力された情報を変換することで、表示部20で表示する画像情報を生成する。画像情報生成部10には、入力された情報に対応する画像情報が予め保存されている。画像情報生成部10は、保存された画像情報の中から、入力された情報に対応する画像情報を選択することで、画像情報を生成する。この画像情報には、本発明において特徴的なアニメーション(経時的に変化する画像)を表示するための画像情報のほか、静止画を表示するための画像情報も保存されている。画像情報生成部10にて生成された画像情報は、表示部20に出力される。
【0035】
表示部20は、液晶表示装置で構成される。液晶表示装置は、車両のインパネを構成する液晶の表示パネルと、この表示パネルを駆動するドライバ回路とを備えている。ドライバ回路に画像情報生成部10から取得した画像情報が入力され、このドライバ回路によって表示パネルを駆動することで、表示パネルに画像が表示される。
【0036】
表示部20は、プロジェクタと表示パネルとを備えて、一部又は全部がプロジェクタにて表示パネルに画像を投影することで、画像情報生成部10から取得した画像情報を表示してよく、また、表示部20の一部に機械的な回転計や後方からLED等の光源を点滅させて表示を行うランプが含まれていてもよい。表示パネルは、概ね横長の長方形状又は楕円形状であり、運転席に座ったドライバから見て、その前方であって、ステアリングの後方、かつフロントウィンドウの下方に位置するよう配置されている。
【0037】
図2は、表示部20の表示パネルを示す図である。表示パネル21では、右から順に第1の表示領域201、第2の表示領域202、第3の表示領域203が並んでいる。これら第1〜第3の表示領域の下に細長の第4の表示領域204がある。右側の第1の表示領域201には、法令上必要とされるスピードメータが表示される。中央の第2の表示領域202は、ドライバが画像を最も認識しやすい領域であるので、危険性に関るような重要な情報を表示する。左の第3の領域203には、運転の快適性に関するような比較的重要度の低い情報を表示する。また、第4の領域204には、各種計器類の異常があった場合に、異常のある計器に対応するマークを表示する。
【0038】
上述のように、本実施の形態では、表示パネル21として、液晶の表示パネルを採用しているので、各領域には任意の情報を表示できる。例えば、エアコン30bを操作する場合には、第3の領域において、その操作状況(例えば設定温度)を表示するとともに、オーディオ装置30cを操作する場合には、同じ第3の領域において、オーディオの操作状況(再生や早送り等)を表示するということも可能である。以下、表示部20による表示の例を具体的に説明する。
【0039】
(字の表示例)
図3a〜fは、エアコン30bの設定温度を示す情報の表示例を示す図である。図3a〜fは、表示パネルに表示される画像を時系列に並べて示している。図3a〜fは、エアコン30bの設定温度が操作部40によって「26」にされたときの表示例を示している。図3a〜fに示すように、表示部20は、「26」という数字を表示する際に、この数字をいきなり点灯させて静止画として表示するのではなく、「26」という数字が徐々に完成するようなアニメーションを表示する。
【0040】
しかも、徐々に完成するように表示するにあたって、単に上から徐々に表示していくといった単純な方法ではなく、人が手書きでその数字を書いたようなアニメーションにする。書き順は、一般的なドライバが採用するであろう書き順(国や地域によって異なることもある)を採用して設計すればよい。即ち、本実施の形態では、情報(特定の数)が、その情報の内容(当該数)に応じた方法(書き順)で変化するアニメーションとして表示される。
【0041】
図3a〜fの例は、このようにして既に「2」が書き終わった後に、「6」を書く様子を時系列で表している。「6」は、一般的には、右上から書き始めて左上、左下を通って、右に進み、その後、中間の高さまで上がって、既に書いた左の線に突き当たるまで左に進むようにして書かれるので、「6」を表示するアニメーションもこれと同じ順で書いたように表示する。
【0042】
このように、一般的な書き順に従って数字を書いたアニメーションを表示することにより、ドライバは、周辺視野においても、アニメーションによる画像の変化から、そのアニメーションによって特定の数字が書かれたということ、即ちそのアニメーションによって表示された数字を認識できる。
【0043】
なお、図3a〜fに示すように、アニメーションの過程において、まだ表示されていない部分にも薄い色(低輝度)で表示がされている。これは、アニメーションの途中であっても、ドライバが表示パネル21に視線を向けたときに、最終的に表示される画像を瞬時に認識できるようにするためである。即ち、上記の例で、「26」という数字を表示するアニメーションの開始時には、薄い色で「26」と表示されており、時間の経過とともに濃い色(高輝度)の部分が増えていく。
【0044】
なお、「2」、「6」以外の他の数字についても同様に、各々の書き順に従って徐々に書かれていくアニメーションを表示する。また、同様に、比較的簡単な文字、例えばひらがな、カタカナ、アルファベットについても、単に点灯させるだけの表示では識別できない周辺視野においても、上記と同様にしてその文字の書き順に従って徐々に書かれていくアニメーションを表示することで、識別できるようになる。
【0045】
さらに、複数の数字や文字を順に表示することで、より多くの情報をドライバに提供できる。例えば、「10:36」という時刻の情報を提示するために、「10」を上記のように第1の表示領域にてアニメーションで表示して、「10」を書き終わった後にそれを消して、同じ第1の表示領域に「36」を上記のようにアニメーションで表示してよい。
【0046】
(進行方向の表示例)
図4a〜cは、ナビゲーション装置30aによる走行支援情報の表示例を示す図である。図4a〜cは、表示パネルに表示される画像を時系列に並べて示している。図4a〜cは、ナビゲーション装置30aにて少し先の交差点を右折するという走行支援情報が生成されたときの表示例を示している。図4a〜cに示すように、表示部20は、下から上に伸びて右に折れ曲がった矢印を表示する際に、この矢印をいきなり点灯させて静止画として表示するのではなく、下から上に伸びて右に折れ曲がった矢印が徐々に完成するようなアニメーションを表示する。
【0047】
しかも、徐々に完成するように表示するにあたって、単に上から徐々に表示していくといった単純な方法ではなく、車両が実際に通る軌跡を示すアニメーションにする。即ち、本実施の形態では、情報(少し先の交差点を右折)が、その情報の内容(少し先まで直進してから右のほうに進む)に応じた方法(少し先まで直進してから右のほうに進んだときの車両の軌跡)で変化するアニメーションとして表示される。
【0048】
図4a〜cは、少し先を右折するという走行支援情報を下から上に伸びて右に折れ曲がった矢印で表示する例である。少し先の交差点を右折する場合には、車両はまず少し先まで直進してから右の方に進むことになる。よって、少し先の交差点を右折するという走行支援情報を表示するアニメーションもこれと同じように、下から徐々に上に伸びた後に、右方向に伸びて、最後に右向きの矢尻を書いたように表示する。
【0049】
このように、車両が走行支援情報に従って走行したときの車両の軌跡に従って矢印を書くアニメーションを表示することにより、ドライバは、周辺視野においても、アニメーションによる画像の変化から、そのアニメーションが特定の走行支援情報を表示したということ、即ちそのアニメーションによって表示された走行支援情報を認識できる。
【0050】
なお、図4a〜cの例でも、アニメーションの過程において、矢印のまだ表示されていない部分についても薄い色(低輝度)で表示がされている。これにより、アニメーションの途中であっても、ドライバが表示パネル21に視線を向けたときには、最終的に表示される画像を瞬時に認識できる。即ち、図4a〜cの例で、矢印を表示するアニメーションの開始時には、最終的に表示される上向きから右向きに折れ曲がる矢印が薄い色で表示されており、時間の経過とともに濃い色(高輝度)の部分が増えていく。
【0051】
なお、左折の場合は上記と同様にして左に折れる矢印を表示すればよい。また、直進の場合には、下からまっすぐ上に伸びる矢印を、下から徐々に完成するようなアニメーションで表示すればよい。
【0052】
また、停止の場合には、最初に上向きの矢印を表示しておいて、下から徐々に消えていくようなアニメーションを表示すればよい。この場合にも、「停止」という情報が、徐々に減速していって最終的に速度がゼロになるというその情報の内容に応じて、徐々に上向きの矢印が短くなっていって最終的に矢印がなくなるという方法で変化するアニメーションで表示される。
【0053】
(周辺車両情報の表示例)
図5a〜dは、他車両センサ30eにより検知された自車両周辺の他の車両の情報(周辺車両情報)の表示例を示す図である。図5a〜dは、表示パネルに表示される画像を時系列に並べて示している。図5a〜dは、他車両センサ30eにて自車両の左後方に他車両が存在するという周辺車両情報が生成されたときの表示例を示している。図5a〜dに示すように、表示部20は、自車両の左後方に他車両が存在するという周辺車両情報を示す画像として、上から見た自車両の画像とその車両の左下部分に配置された頂点に矢尻を有する三角形状の画像を表示する。この画像において、三角形状は、底辺が自車両から比較的遠い位置にあり、頂点が自車両の画像のすぐ横になるように配置される。
【0054】
そして、この三角形状を表示する際に、この三角形状をいきなり点灯させて静止画として表示するのではなく、三角形状が徐々に完成するアニメーションで表示する。しかも、三角形状を徐々に完成させるように表示するにあたって、単に上から徐々に表示していくといった単純な方法ではなく、周辺車両が存在する方向から自車両に向けて、徐々に三角形状を完成させていく。これにより、自車両に対して近づいてくる(又は自車両が近づいていく)可能性のある他車両が存在する方向から、自車両に向けて、徐々に伸びるともに、車両に近づくにつれて幅を徐々に狭くするアニメーションにする。即ち、本実施の形態では、情報(他車両の存在する方向)が、その情報の内容(自車両に対して近づいてくる可能性があること)に応じた方法(他車両の存在方向から自車両に向けて、徐々に三角形状を完成させる)で変化するアニメーションとして表示される。
【0055】
ドライバは、その他車両が自車両に近づいてくること、及び自車両がその他車両に近づいていくことを避けるように運転しなければならない。そこで、他車両センサ30eが、車両周辺に他車両の存在を検知した場合には、その存在方向から自車両に対して徐々に他車両が近づいてくることを示すアニメーションを表示することで、ドライバに注意を促すことができる。
【0056】
ここで、アニメーションの描画方法は、他車両と自車両との間の距離、及び/又は他車両の自車両に対する相対速度に応じて変更可能としてよい。例えば、他車両の自車両に対する相対速度が大きい場合に、描画速度を速くし、及び/又は他車両と自車両との間の距離が近い場合に、三角形状の輝度を高くしてよい。この場合、他車両センサ30eは、ソナー又はカメラで構成される。ソナー又はカメラを用いることで、他車両と自車両との間の距離、及び他車両の自車両に対する相対速度を測定できる。なお、図5a〜dの例でも、上記と同様の理由により、アニメーションの過程において、まだ表示されていない部分にも薄い色(低輝度)で表示がされている。
【0057】
なお、後方、右後方、左前方、右前方にて他車両が検知された場合にも、上記と同様にして、検知された他車両が存在する方向から徐々に自車両に向けて幅が狭くなるように描かれる三角形状をアニメーション表示することにより、ドライバは、周辺視野でも他車両の存在する方向を認識できる。
【0058】
図6a〜cは、周辺車両情報の他の表示例を示す図である。図6a〜cも、他車両センサ30eにて自車両の左後方に他車両が存在するという周辺車両情報が生成されたときの表示例を示しているが、図5の例と異なり、自車両の左後方に他車両が存在するという周辺車両情報を示す画像として、後ろから見た自車両の画像とその自車両の左下から自車両の左側方に向く矢印の画像を表示する。
【0059】
以上のように、本実施の形態の車両用表示装置によれば、提示情報をその内容に応じた方法で変化するアニメーションに変換して、そのアニメーションを表示するので、ドライバは、比較的単純な視覚的情報しか認識できない周辺視野にて、より多くの情報を得ることができる。
【0060】
なお、上記の実施の形態では、車両1が自動車である場合を例に挙げて説明をしたが、本発明の車両用表示装置は、二輪自動車、電車等、他の車両にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明にかかる車両用表示装置は、ドライバが視線を向けない状態で周辺視野にて多くの視覚的情報を得ることができるという効果を有し、車両においてドライバに向けて提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置等に好適に適用される。
【符号の説明】
【0062】
1 車両
10 画像情報生成部
20 表示部
21 表示パネル
30a ナビゲーション装置
30b エアコン
30c オーディオ装置
30d 通信装置
30e 他車両センサ
30f 速度センサ
40 操作部
100 車両用表示装置
201 第1の表示領域
202 第2の表示領域
203 第3の表示領域
204 第4の表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置であって、
提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションによって表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記アニメーションは、最終的に表示する図形が徐々に完成するように変化することを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記アニメーションは、字をその書き順に従って、徐々に書いていくアニメーションであることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記アニメーションは、自車両が進むべき方向を示す矢印を、その方向に自車両が進んだときの自車両の軌跡に従って、徐々に描いていくアニメーションであることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記アニメーションは、自車両の周辺の他車両が存在する方向を示す三角形状又は矢印を、自車両の画像の周辺で、当該他車両が存在する方向から自車両に向けて徐々に描いていくアニメーションであることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
提示情報を画像情報として表示する車両用表示装置であって、
提示情報を生成する装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示部とを備え、
前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する画像情報であることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項7】
提示情報を生成する提示情報生成装置と、
前記提示情報生成装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成部と、
前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示部とを備え、
前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する画像情報であることを特徴とする車両。
【請求項8】
提示情報を画像情報として表示する車両用情報表示方法であって、
提示情報を生成する提示情報生成ステップと、
前記提示情報生成装置にて生成された提示情報を変換することで、画像情報を生成する画像情報生成ステップと、
前記画像情報生成部にて生成された画像情報を表示する表示ステップとを含み、
前記画像情報は、前記提示情報を、当該提示情報の内容に応じた変化をするアニメーションで表示する情報であることを特徴とする車両用情報表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図3e】
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【図3f】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【公開番号】特開2011−240843(P2011−240843A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115392(P2010−115392)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】