説明

車両用表示装置

【課題】 走路の勾配を容易に認識することが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 地図情報記憶手段13に格納された三次元情報からなる地図情報に基づいて走路形状Rを表示する表示手段2と、車両の現在位置を検出する位置検出手段17と、この位置検出手段17により検出された車両Aの現在位置データと前記地図情報とに基づいて車両Aの前方側の走路形状Rを表示手段2に表示させる制御手段15とを備える車両用表示装置であって、制御手段15は、表示器2に表示させる走路形状Rの走路面R5毎に走路面R5の勾配に応じて高さの変化するポールからなる指標部Kを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示手段に走路形状を表示する車両用表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用表示装置として、車両のフロントガラス(投影部材)に表示ユニット(表示手段)から発せられる光を表示像として投影して、虚像を表示するヘッドアップディスプレイ装置が知られている(例えば下記特許文献1参照)。前記表示ユニットは、例えばハウジングに、液晶表示器等からなる表示器と、この表示器が発した前記表示像を反射させる反射鏡とを収容したものであり、車両のダッシュボード内に配設されるものである。前記表示ユニットが投射する前記表示像は前記フロントガラスにより運転者の視点に反射され、前記虚像が表示される。かかる構成によれば、前記フロントガラスに車速,エンジン回転数等の車両情報やナビゲーション情報等の各種情報を前記虚像として表示することが可能となる。
【特許文献1】特開平11−310055号公報
【0003】
また、前述の車両用表示装置において、車両運転者の視点から見た前方の走路形状を表示するものが知られている(例えば下記特許文献2参照)。かかる車両用表示装置によれば、運転者は、天候条件、走路のカーブ、周辺車両及び建物などの影響で、実際の前記走路形状を目視し難い場合であっても、表示される前記走路形状から実際の走路の形状を把握することができる。
【特許文献2】特開2000−211452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる特許文献2に記載の車両用表示装置においては、カーブの曲がり具合や走路幅などの走路形状について効果的に表現できるものの、走路形状を表示像として立体的に表現することが難しく、特に走路が上り坂か下り坂か、また勾配がどの程度か、を運転者が容易に判別できないという問題があった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、走路の勾配を容易に認識することが可能な車両用表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、地図情報記憶手段に格納された三次元情報からなる地図情報に基づいて走路形状を表示する表示手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記車両の現在位置データと前記地図情報とに基づいて前記車両の前方側の走路形状を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備える車両用表示装置であって、前記制御手段は、前記表示手段に表示させる前記走路形状の高低差を前記走路形状の路肩線から線状に延びる複数個の指標部によって表示させることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、前記制御手段は、前記走路形状の高低差に応じて、高さの異なる前記指標部を表示させることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記制御手段は、前記走路形状の高低差に応じて、前記走路形状の長手方向に沿い傾斜角度の異なる前記指標部を表示させることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、前記指標部が、ポールからなることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記表示手段は、前記車両のフロントガラスもしくは前記フロントガラスと運転者との間に設けられるコンバイナに、表示像を投影して表示するヘッドアップディスプレイからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、初期の目的を達成でき、走路の勾配を容易に認識することが可能な車両用表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の車両用表示装置を車両用ヘッドアップディスプレイ装置に適用したものを例に挙げ添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1,図2において、1は表示ユニットであり、車両Aのダッシュボード内に配設される。この表示ユニット1が投射する表示像Lは、コンバイナ処理されたフロントガラスWにより運転者の視点Dの方向に反射され、虚像Vとして表示される。前記運転者は虚像Vを風景と重畳させて観察することができる。
【0013】
2は表示器(表示手段)であり、この表示器2はTFT型の液晶表示素子及びバックライト手段からなるものである。3は回路基板であり、この回路基板3上に表示器2が搭載されている。4は反射鏡であり、この反射鏡4は表示器2が発した表示像LをフロントガラスW側に反射させる。反射鏡4の反射面4aは凹面になっており、表示器2からの表示像Lを拡大してフロントガラスWに投射することができる。5は反射鏡4を保持する保持部材であり、反射鏡4は保持部材5に両面粘着テープ等により接着されている。なお、表示器2は、液晶表示素子を備える構成に限定されるものではなく、例えば自発光型表示素子である有機ELパネルを備える構成であってもよい。
【0014】
6は例えば略箱型形状に形成された遮光性合成樹脂からなるハウジングであり、このハウジング6内には、表示器2,回路基板3,反射鏡4等が収容される。また、ハウジング6には反射鏡4の配設位置の上部(フロントガラスW側)を開口する開口部6aが設けられる。そして、ハウジング6には、開口部6aを塞ぐように透光性の合成樹脂材(例えばアクリル樹脂)からなる透光性カバー7が配設されている。この遮光性カバー7は略湾曲形状に形成され、表示像LをフロントガラスW側に通過させるものである。なお、図1中、6bはハウジング6空洞内に向けて延在する遮光壁であり、この遮光壁6bは、太陽光等の外光が表示器2に入射し虚像Vが見えにくくなる現象(ウォッシュアウト)を防止する機能を有している。
【0015】
図3は、車両用ヘッドアップディスプレイ装置の電気的な構成を示すブロック図である。車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、車両Aに搭載され、速度センサ(車速検出手段)10と、GPS(Global Positioning System)装置11と、ジャイロセンサ12と、記憶媒体(地図情報記憶手段)13と、操作手段14と、制御手段15と、表示駆動回路16と、表示器2とから主に構成されている。
【0016】
速度センサ10は、車両Aの走行速度を検出するためのもので、車速に応じた信号を制御手段15に出力する。
【0017】
GPS装置11は、自車位置(車両Aの現在位置)の緯度経度を求めるための装置であり、GPS用受信アンテナや増幅回路を備え、前記受信アンテナで受信した人工衛星からの位置情報である送信電波を高周波信号として増幅してなる信号を制御手段15に出力する。
【0018】
ジャイロセンサ12は、車両Aの車体向き(進行方向)を検出するためのものであり、車両Aの方向変化に応じた信号を制御手段15へ出力する。
【0019】
記憶媒体13は、CD−ROM、DVD−ROMあるいはハードディスク等によって構成され、地図データ及び走路形状を示すための三次元の座標情報(三次元情報)からなるデジタルマップデータ(地図情報)が記憶されており、前記デジタルマップデータは、制御手段15による後述する描画処理を行う際に使用される。なお、前記デジタルマップデータは、走路の形状を示す走路形状データ,高さを示す高さデータ,前記走路の左右(幅方向)の傾きを示す傾きデータ,前記走路の前後(長手方向)の傾き(勾配)を示す勾配データ、前記走路の曲率を示す曲率データ等を前記走路の所定位置(所定の経度緯度)毎に有している。
【0020】
操作手段14は、選択スイッチや決定スイッチ等の複数の操作部を有するものであり、後述する走路形状画像(前記走路の各三次元の座標情報を描画処理したもの)の表示形態または表示設定を切り換えるためのものである。また、前記運転者は、前記表示設定として、前記走路形状画像の表示または非表示の選択、あるいは前記走路形状画像を表示する際の各設定値等を、操作手段14を操作することによって、表示器2による表示内容を任意に設定することができる。
【0021】
制御手段15は、マイクロコンピュータを適用でき、処理動作のプログラムが記憶されたROMと、演算値を一時的に記憶するRAMと、予め設定される各種設定値を記憶するEEPROMと、前記プログラムを実行するためのCPUと、入出力インターフェイス回路とから主に構成される。前記入出力インターフェイス回路は、速度センサ10、GPS装置11、ジャイロセンサ12、記憶媒体13、操作手段14や、後述する表示駆動回路16に対してそれぞれ電気的な接続関係をなすための回路である。制御手段15は、各機構(速度センサ10,GPS装置11,ジャイロセンサ12,記憶媒体13,操作手段14)からの入力および前記プログラムに基づいて、後述する表示駆動回路16に制御信号を出力し、表示器2に所望の表示を促すものである。
【0022】
表示駆動回路16は、表示器2に表示用の信号を与えるための回路であり、ICまたはLSIにて構成される。表示駆動回路16は、制御手段15からの信号に基づいて所定の表示を行うように表示器2を駆動制御するものである。
【0023】
表示器2は、TFT型の液晶表示素子及びバックライト手段からなり、表示像Lを発するように表示駆動回路16により駆動制御される。表示器2は、表示駆動回路16によって、前記走路形状画像等の所望の表示形態を表示像LとしてフロントガラスWに投影するものである。
【0024】
以上の構成によって、制御手段15は、速度センサ10、GPS装置11、ジャイロセンサ12から構成される位置検出手段17の信号に基づいて、車両位置座標及び車両の向きを算出し、この車両の前方側(進行方向側)に対応する走路形状を、記憶媒体13に格納された前記デジタルマップデータに基づいて、表示駆動回路16を介して表示器2に表示させることができる。
【0025】
次に、制御手段15による表示像Lの描画に関して、図4,図5を用いて説明する。
【0026】
図4は、制御手段15による処理を示すものである。また図5は、車両Aの前方側(進行方向側)の走路形状を表示像Lとして、表示ユニット1にてフロントガラスWの面に投影して表示する表示画面の一例を示すものである。
【0027】
制御手段15は、位置検出手段17からの信号に基づいて、車両位置座標及び車両Aの進行方向を算出する(ステップS1)。この場合、制御手段15は、速度センサ10,GPS装置11,ジャイロセンサ12によって、車両位置座標を算出する。例えば制御手段15は、GPS装置11を用いて時間によって変化する車両Aの位置データと地図データとをマッピング処理することによって、車両Aの車両位置座標を算出することができる。また制御手段15は、速度センサ10やジャイロセンサ12からの信号に基づいて、車両Aの進む方向(移動幅)や車体の傾き方向が求まる。
【0028】
次に、制御手段15は、車両位置座標に応じて視点座標を設定し、車両Aの進行方向に基づいて表示方向を設定する(ステップS2)。この場合、視点座標は、車両位置座標よりも15メートル高い位置に設定され、表示方向は、車両Aの進行方向と同じ方向に設定される。
【0029】
次に、制御手段15は、記憶媒体13に格納されたデジタルマップデータにおいて、前記視点座標及び前記表示方向に基づいて選択される三次元の座標情報を演算することによって走路形状を描画処理する(ステップS3)。この場合、視点座標から表示方向側に500メートル以内の三次元の座標情報について演算し、表示像Lが表示されるように描画処理する。
【0030】
また、制御手段15は、前記描画処理された走路形状を走路形状画像として表示器2に表示させるように促す信号を表示駆動回路16に出力する(ステップS4)。
【0031】
前述の処理を繰り返すことによって、車両Aが走行する度に更新される視点座標と三次元の座標情報とに基づいた走路形状を表示像LとしてフロントガラスWに投影することができる。例えば、図5に示すような走路形状RをフロントガラスWに投影することができる。
【0032】
ここで制御手段15は、ステップS3の描画処理を行う際に、勾配の程度に応じて設定される表示色にて走路形状Rを表示させることができる。例えば、走路形状Rにおいて、下り勾配の部分R1は、赤色にて表示させるとともに、勾配が大きい程、濃い色の赤色にて表示させる。また、上り勾配の部分R2は、青色にて表示させるとともに、勾配が大きいほど濃い色の青色にて表示させる。なお、制御手段15は、この場合、デジタルマップデータの所定位置(所定の経度緯度)を通過し走路形状Rの輪郭(路肩線)R3と関係ない線(図5における走路形状Rの幅方向の線)を補助線R4として表示してなる。制御手段15は、この補助線R4間の走路面R5毎に勾配データを抽出して、この勾配の程度に対応する表示色を走路面R5毎に着色してなる走路形状Rを描画処理する。また、制御手段15は、この場合、勾配がほとんどない走路面R5部分を白色に着色して走路形状Rを描画処理し表示器2に投影表示させている。
【0033】
従って、運転者は、走路形状Rの表示色及びその濃淡の具合を視認することによって、走路が上り坂であるか下り坂であるか、あるいは勾配の程度を判断することができる。
【0034】
また制御手段15は、ステップS3の描画処理を行う際に、図5に示すように走路面R5毎に走路面R5の勾配の程度に応じて、各走路面R5の両端中央(各走路面R5における路肩線R3の中央)から上方に突出する一対の略円柱状のポールからなる指標部Kが走路形状Rとともに表示されるように描画処理される。
【0035】
具体的には、例えば視点座標(車両位置座標)側となる補助線R4間(図5中、表示像Lの下方に位置する補助線R4間)の走路面R51の勾配が、水平面に対して10度、下り勾配となっているとき、この走路面R51の両端中央に例えば高さ3センチメートルに設定された一対のポールからなる指標部K1を表示させるとともに、この走路面R51の指標部K1を基準として、車両Aの進行方向となる走路面R5毎に走路面R5の勾配に応じて高さの変化する一対のポールからなる指標部Kを各々表示させる。なお、この場合、前記進行方向となる走路面R5の勾配が、走路面R51の勾配に対して1度大きくなる(傾斜が急になる)に従って、指標部Kの高さを指標部K1の高さに対して2ミリメートル高く表示させるように設定されている。換言すると、走路面R5の勾配が急になるに従って、指標部Kの高さが高くなるよう設定され、例えば前記進行方向となる走路面R5の勾配が30度の場合、かかる走路面R5に表示される一対の指標部Kの高さは各々7センチメートルとなり、また走路面R5の勾配が5度の場合、かかる走路面R5に表示される一対の指標部Kの高さは各々2センチメートルとなる。なお、前記ポールの延長線は、地球中心を通るように設定されている。
【0036】
従って、運転者は、前記進行方向となる各走路面R5の勾配に応じて変化する指標部Kの高さを走路形状Rとともに視認することによって、前記進行方向となる走路が上り坂であるか下り坂であるか、あるいは前記走路の勾配の程度を容易に判断することができる。
【0037】
かかる車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、記憶媒体13に格納された三次元の座標情報からなるデジタルマップデータに基づいて走路形状Rを投影表示する表示器2と、車両Aの現在位置を検出する位置検出手段17と、位置検出手段17により検出された車両Aの現在位置データと前記デジタルマップデータとに基づいて車両Aの前方側の走路形状Rを表示器2に投影表示させる制御手段15とを有し、制御手段15は、表示器2に投影表示させる走路形状Rの走路面R5毎に走路面R5の勾配に応じて高さの変化するポールKを表示させるものである。
【0038】
従って、運転者は、表示器2が投影する表示像L全体を視認することによって、各走路面R5に表示されるポールKの高さ変化により走路形状R全体の高低差を把握することが可能となるため、周囲の景色から走路の勾配を判断し難い場合であっても、走路が上り坂であるのか下り坂であるのかを各ポールKの高さに基づいて瞬時に認識することができる。また、前述の車両用ヘッドアップディスプレイ装置は、車両Aの走路形状に対して、どの部分がどの程度の勾配であるのかを運転者に瞬時に認識させることができるため、運転者に対して車両Aの前方側の注意すべき走路形状を容易に把握させることが可能なものとなる。
【0039】
(第2実施形態)次に、図6を用いて、本発明の第2実施形態を説明するが、前述した第1実施形態と同一もしくは相当個所には、同一符号を付してその詳細な説明は省略する。この第2実施形態が前記第1実施形態と比べ異なる点は、走路面R5毎に表示される一対のポール(指標部)Kの高さを全て同一高さ(例えば5センチメートル)に設定するとともに、走路面R5毎の勾配に応じてポールKを走路形状Rの長手方向(車両Aの進行方向)に沿って傾斜させて表示する点である。
【0040】
具体的には、例えば視点座標側となる補助線R4間の走路面R51の勾配が、水平面に対して10度、下り勾配となっているとき、この走路面R51の両端中央に、前記両端中央と地球中心を通る基準線Fに対して10度だけ走路形状Rの奥行き方向側に傾いた一対のポールK1を表示させるとともに、この走路面R51の指標部K1を基準として、車両Aの進行方向となる走路面R5毎に走路面R5の勾配に応じて傾き(傾斜角度)の変化する一対のポールKを各々表示させる。なお、この場合、前記進行方向となる走路面R5の勾配が、走路面R51の勾配に対して1度大きくなる(傾斜が急になる)に従って、基準線Fに対するポールKの傾きを前記奥行き方向に1度傾けるように設定されている。換言すると、走路面R5の勾配が急になるに従って、ポールKが前記奥行き方向側に傾斜するよう設定され、例えば前記進行方向となる走路面R5の勾配が30度の場合、かかる走路面R5に表示される一対のポールKの傾きは基準線Fに対して前記奥行き方向側に30度傾くことになる。
【0041】
かかる第2実施形態においても、運転者は、表示器2が投影する表示像L全体を視認することによって、各走路面R5に表示されるポールKの傾き変化により走路形状R全体の高低差を把握することが可能となるため、周囲の景色から走路の勾配を判断し難い場合であっても、走路が上り坂であるのか下り坂であるのかを各ポールKの傾きに基づいて瞬時に認識することができる。
【0042】
また前記第2実施形態では、走路面R5毎の勾配に応じて基準線Fに対する一定高さのポールKの傾きが異なる例について説明したが、例えばポールKの傾きに加えて前記第1実施形態にて採用した構成のようにポールKの高さを同時に変化させるようにしてもよい。かかる構成のように走路面R5毎の勾配に応じてポールKの高さと傾きを同時に変化させることによって、運転者は、前記進行方向となる走路が上り坂であるか下り坂であるか、あるいは前記走路の勾配の程度をより確実に判断することができる。
【0043】
また前記各実施形態では、指標部Kが略円柱状のポールからなる場合について説明したが、指標部Kの形状は路肩線R3の上方に突出するように線状に延びるものであれば任意の形状を採用することができ、指標部Kを筒状、多角柱形状、円錐形状、多角錐形状等により表示してもよい。
【0044】
また前記各実施形態では、各走路面R5の勾配に応じて、ポールKの高さあるいは基準線Fに対するポールKの傾きを変化させるものであったが、例えば各走路面R5の勾配に応じてポールKの高さと傾きを変えずに、各走路面R5における各路肩線R3の略中央に一定高さからなるポールKをそれぞれ表示する構成であっても、運転者にポールKを通じて走路形状Rの勾配の程度を把握させ易くするというメリットがある。
【0045】
また前記各実施形態では、各走路面R5の路肩線R3の両端中央に一対のポールKがそれぞれ表示されている例について説明したが、路肩線R3上であれば路肩線R3上の任意の位置に各ポールKを表示させることができ、例えば各走路面R5における左側の路肩線においてはポールKを路肩線R3の中央部に表示させ、各走路面R5における右側の路肩線においてはポールKを前記中央部以外の位置に表示させることも可能である。
【0046】
また前記各実施形態においては、表示器2からの表示像Lは、フロントガラスWに投影されるものであったが、本発明における投影部材はこれに限定されるものではなく、例えば車両のフロントガラス面あるいは車両のダッシュボード上に配設されるコンバイナに表示器からの表示像を投影させるものであってもよい。
【0047】
また、前述したヘッドアップディスプレイ方式ではなく、例えば有機ELパネルあるいは液晶パネルからなる表示手段を採用し、運転者が直接、この表示手段の表示を視認するものであってもよい。
【0048】
なお、前述した各実施形態の記憶媒体13ではなく、例えば記憶媒体として車両外に設けられるサーバーを適用し、無線通信によって前記サーバーに格納されるデジタルマップデータを適宜ダウンロードすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置の表示ユニットの断面図である。
【図2】同実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置の概略図である。
【図3】同実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置のブロック図である。
【図4】同実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置の処理手順を示す図である。
【図5】同実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置の表示画像を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態による車両用ヘッドアップディスプレイ装置の表示画像を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2 表示器(表示手段)
13 記憶媒体(地図情報記憶手段)
15 制御手段
17 位置検出手段
A 車両
F 基準線
K,K1 指標部(ポール)
L 表示像
R 走路形状
R3 路肩線(輪郭)
R4 補助線
R5,R51 走路面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報記憶手段に格納された三次元情報からなる地図情報に基づいて走路形状を表示する表示手段と、車両の現在位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段により検出された前記車両の現在位置データと前記地図情報とに基づいて前記車両の前方側の走路形状を前記表示手段に表示させる制御手段と、を備える車両用表示装置であって、
前記制御手段は、前記表示手段に表示させる前記走路形状の高低差を前記走路形状の路肩線から線状に延びる複数個の指標部によって表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記走路形状の高低差に応じて、高さの異なる前記指標部を表示させることを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記走路形状の高低差に応じて、前記走路形状の長手方向に沿い傾斜角度の異なる前記指標部を表示させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記指標部が、ポールからなることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1つに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記表示手段は、前記車両のフロントガラスもしくは前記フロントガラスと運転者との間に設けられるコンバイナに、表示像を投影して表示するヘッドアップディスプレイからなることを特徴とする請求項1記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−153459(P2006−153459A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−339900(P2004−339900)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】