説明

車両用表示装置

【課題】 コンビネーションメータの見映えを良好にする。
【解決手段】 コンビネーションメータ100は、化粧板11の中央開口部11cを通して表示エリア41aを化粧板11の表面側に向けて配置される液晶表示パネル40と、中央開口部11cの内側に配置される環状カバー部50と、を備えており、環状カバー部50は、透光性を有する着色樹脂材料により成形されたものであって、中央開口部11cの外側から内側に向けて板厚方向寸法dが徐々に小さくなっている。したがって、環状カバー部40の灰色の濃度が中央開口部11cの外側から内側にかけて徐々に薄くなるグラデ−ションが視認されることになる。化粧板11および液晶表示パネル40の境界線をぼやかすことができる。化粧板11および液晶表示パネル40により生じる段差が環状カバー部50により隠される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示パネルにより情報表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車速、エンジン回転数を指針により指示する指針計器と、走行距離、液体燃料残量等の各種の車両情報を表示する表示器を組み合わせたコンビネーションメータが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、本発明者は、車速、エンジン回転数を指針により指示する車速計1、エンジン回転計2の間に、液晶表示パネル3を配置した車両用コンビネーションメータについて鋭意検討したところ、次のような問題点が生じることが分かった。
【0004】
このコンビネーションメータにおいては、図4に示すように、化粧板4の裏面側で、かつ開口部4aを通して表示部が表面側(すなわち、乗員側)に向けて液晶表示パネル3が配設される。
【0005】
液晶表示パネル3を黒表示していても背面のバックライトの光が若干漏光するため、目盛り盤21の地色の黒色、化粧板4の黒色とは微妙に黒色のバランスが異なるので、化粧板4および液晶表示パネル3の間の境界線が乗員に向けられることになり、見映えが悪くなる。
【0006】
そこで、本発明者は、図5に示すように、液晶表示パネル3の表面側にカバーシート5を配設して、化粧板4および液晶表示パネル3の間の境界線をぼかすようにすることを考えた。
【0007】
すなわち、このカバーシート5としては、灰色の透光性樹脂材料からなるフィルム部材であって、化粧板の開口端部に沿うように着色部5aが形成されているものを採用した。この着色部5aは、その灰色の濃度が開口部4aの外側から内側にかけて徐々に薄くなるグラデ−ションが形成されている。
【0008】
このため、化粧板4および液晶表示パネル3の間の境界線をぼかすことが可能になると考えた。しかし、このようなカバーシート5を採用しても、液晶表示パネル3が化粧盤4の裏面側に配置されるため、化粧板4の開口部4aおよび液晶表示パネル3により段差4bが生じるため、見映えを改善するには不十分であった。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、見映えを良好にするようにした車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
開口部(11c)を有する化粧板(11)と、
前記化粧板の裏面側で、かつ前記開口部を通して表示部を前記化粧板の表面側に向けて配置されて、情報を表示するための表示パネル(40)と、
前記開口部の内側に配置されて前記化粧板の開口端部に沿うように環状に成形される環状カバー部(50)と、を備えており、
前記環状カバー部は、透光性を有する着色樹脂材料により成形されたものであって、前記開口部の外側から内側に向けて板厚方向寸法が徐々に変化しているものであることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、環状カバー部は、開口部の外側から内側に向けて板厚方向寸法が徐々に変化しているので、環状カバー部の色の濃度が開口部の外側から内側にかけて徐々に変化してなるグラデ−ションが視認されることになる。したがって、化粧板および表示パネルの境界線をぼかして隠すことができる。
【0012】
また、環状カバー部により化粧板および表示パネルにより生じる段差を隠すことができる。以上により、車両用表示装置の見映えを良好にすることができる。
【0013】
具体的には、環状カバー部としては、前記開口部の外側から内側に向けて板厚方向寸法が徐々に小さくなるものを用いるようにしてもよい。特に、請求項2に記載の発明によれば、環状カバー部としては、断面三角形状に成形されているものを用いてもよい。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1、図2に本発明の車両用表示装置が適用されてなるコンビネーションメータ100の一実施形態を示す。図1は、コンビネーションメータ100を車両後方から視た正面図であり、図2は、図1中A−A断面図である。
【0016】
コンビネーションメータ100は、車室内のインストルメントパネルのうち運転席側にて車両後方に向けて配置されており、このコンビネーションメータ100は、図1、図2に示すように、ケーシング10、および、その開口部に配置される化粧板11を備えている。
【0017】
この化粧板11は、車両後方に向けて配置されており、この化粧板11の左側開口部内11aに車速計20が配置されている。車速計20は、図2に示すように、目盛り盤21と、目盛り盤21上を回転して車速を指示する指針22と、この指針22を回転させる回動機器23とから構成されている。
【0018】
一方、化粧板11の右側開口部内11bには、エンジン回転数計30が配置されており、エンジン回転数計30は、目盛り盤31と、目盛り盤31上を回転して車速を指示する指針32と、この指針32を回転させる回動機器33とから構成されている。
【0019】
また、エンジン回転数計30および車速計20の間には、液晶表示パネル部40が設けられており、液晶表示パネル部40は、化粧板11の裏面側に配置されている。
【0020】
この液晶表示パネル部40は、液体燃料の残量、走行距離などの各種の情報を表示するための液晶表示パネル41と、この液晶表示パネル41の車両前方(すなわち、裏面側から)から照明する照明部42とから構成されている。液晶表示パネル41は、化粧板11の中央開口部11cを通して表示部を車両後方(すなわち、化粧板の表面側)に向けて配置されている。なお、液晶表示パネル部40は、ケーシング10の底壁から突出するスペーサ(図示しない)により支えられている。
【0021】
また、中央開口部11cの内側には環状カバー部50が配置されており、環状カバー部50は、透明性を有する灰色の樹脂材料からなるものである。環状カバー部50は、化粧板11の中央開口端部11dに沿うように形成され、かつ開口部50a(図2参照)を有する環状に成形されている。
【0022】
そして、環状カバー部50において、図3に示すように、板厚方向寸法dが中央開口部11cの外側から内側に向けて徐々に小さくなっている。具体的には、環状カバー部50は、断面三角形状に成形されているものである。このため、乗員にとっては、環状カバー部50においては灰色の濃度が中央開口部11cの外側から内側にかけて徐々に薄くなるグラデ−ションが視認されることになる。
【0023】
なお、図3は、環状カバー部50の断面の拡大図である。また、環状カバー部50は、化粧板11の中央開口端部1dに対して両面テープ等の接着部材により固定されている。
【0024】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。すなわち、本実施形態のコンビネーションメータ100は、中央開口部11cを有する化粧板11と、この化粧板11の裏面側で、かつ中央開口部11cを通して表示エリア41aを化粧板11の表面側に向けて配置されて、各種の車両情報を表示するための液晶表示パネル40と、中央開口部11cの内側に配置されて化粧板11の開口端部11dに沿うように環状に成形される環状カバー部50と、を備えており、環状カバー部50は、透光性を有する着色樹脂材料により成形されたものであって、中央開口部11cの外側から内側に向けて板厚方向寸法dが徐々に小さくなっているものであることを特徴とする。
【0025】
本実施形態によれば、環状カバー部50は、中央開口部11cの外側から内側に向けて板厚方向寸法dが徐々に小さくなっているので、環状カバー部40の灰色の濃度が中央開口部11cの外側から内側にかけて徐々に薄くなるグラデ−ションが視認されることになる。すなわち、環状カバー部40では中央開口部11cの外側から内側にかけて輝度が徐々に明るくなる。したがって、液晶表示パネル40を黒表示していて、液晶パネル40、文字板21、化粧板11の黒色が微妙に異なっていても化粧板11および液晶表示パネル40の境界線をぼやかすことができる。
【0026】
また、環状カバー部50により化粧板11および液晶表示パネル40により生じる段差を隠すことができる。以上により、コンビネーションメータ100の見映えを良好にすることができる。
【0027】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、液晶表示パネル部40に、車速計20、エンジン回転数計30等の他の計器を組み合わせて成るコンビネーションメータを車両用表示装置として採用した例について説明したが、これに限らず、他の計器を採用しないで液晶表示パネル部40だけを採用した表示装置を採用してもよい。
【0028】
上述の実施形態では、表示パネルとして液晶表示パネル40を採用した例について説明したが、これに限らず、ELパネル等の他の表示パネルを採用してもよい。
【0029】
上述の実施形態では、環状カバー部50としては、断面三角形状に成形されているものを採用した例について説明したが、これに限らず、中央開口部11cの外側から内側に向けて板厚方向寸法dが徐々に変化していれば、断面形状としては、如何なる形状でもよい。
【0030】
上述の実施形態では、環状カバー部50を採用している例について説明したが、これに限らず、必ずしも環状にする必要は無く、必要な部位のみに設けてその板厚方向寸法dを徐々に変化させたり、或いは、部分的に切り欠いたものを用いるようにしてもよい。
【0031】
上述の実施形態では、環状カバー部50の材質に灰色半透過材を用いている例について説明したが、これに限らず、透光性の材料であれば、灰色以外の他の色を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の車両表示装置が適用されたコンビネーションメータの正面図である。
【図2】図1のコンビネーションメータの断面図である。
【図3】図2の環状カバー部の断面の拡大図である。
【図4】コンビネーションメータの断面図である。
【図5】コンビネーションメータの断面図である。
【符号の説明】
【0033】
100…コンビネーションメータ、11…化粧板、11c…中央開口部、
40…液晶表示パネル、50…環状カバー部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部(11c)を有する化粧板(11)と、
前記化粧板の裏面側で、かつ前記開口部を通して表示部を前記化粧板の表面側に向けて配置されて、情報を表示するための表示パネル(40)と、
前記開口部の内側に配置されて前記化粧板の開口端部に沿うように環状に成形される環状カバー部(50)と、を備えており、
前記環状カバー部は、透光性を有する着色樹脂材料により成形されたものであって、前記開口部の外側から内側に向けて板厚方向寸法が徐々に変化しているものであることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記環状カバー部は、断面三角形状に成形されているものであることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−194829(P2006−194829A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9270(P2005−9270)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】