説明

車両用表示装置

【課題】 インストルメントパネルおよびフロントウインドシールドにそれぞれ別個の映像を表示する車両用表示装置の構造の簡素化を図る。
【解決手段】 インストルメントパネル13の内部に配置された単一の投影手段18から第1映像および第2映像を車体後方に向けて投影すると、インストルメントパネル13に設けられた透過型の第1スクリーン16に第1映像が車室側から視認できるように映し出され、かつ第1スクリーン16の下部に一体に設けられた反射型の第2スクリーン17に映し出された第2映像が反射手段19に反射されてフロントウインドシールド14に車室側から視認できる虚像として投影される。よって、単一の投影手段18を用いながら、インストルメントパネル13およびフロントウインドシールド14にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者に報知すべき情報をインストルメントパネルおよび映像表示部の両方に映像として表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インストルメントパネルの内部に第1の表示器21および第2の表示器22を配置し、第1の表示器21からの表示像を透光性を有する第1の反射板31を透過させた後に、凹面鏡よりなる第2の反射板41と、前記第1の反射板31とに反射させてインストルメントパネルの開口から運転者に視認させるとともに、第2の表示器22からの表示像を第3の反射板61、第4の反射板71およびフロントウインドウの内面に反射させて運転者に視認させるものが、下記特許文献1により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−72553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記従来のものは、インストルメントパネルの開口に臨む第1の反射板31に表示像を表示させる第1の表示器21と、フロントウインドウに表示像を表示させる第2の表示器22とが別個に設けられているため、重量、部品点数、設置スペース、コスト等が増加するという問題があった。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ別個の映像を表示する車両用表示装置の構造の簡素化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、インストルメントパネルの内部に配置されて第1映像および第2映像を生成可能な単一の映像生成手段を備え、前記第1映像は前記インストルメントパネルの開口を通して車室側から視認可能であり、前記第2映像は乗員の前方に配置された映像表示部に表示されて車室側から虚像として視認可能であることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0007】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体後方に向けて投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す透過型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンの下方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された映像を反射して前記映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影する反射手段とを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0008】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体前方に向けて投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す反射型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンの下方に設けられて前記第2映像を映し出す透過型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された映像を反射して前記映像表示部に虚像として投影する反射手段とを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0009】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体前方に向けて投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す反射型の第1スクリーンと、前記映像表示部に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーンとを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0010】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像を車室側から視認できるように映し出すとともに、前記第2映像を車室側から視認できないように映し出す単一のディスプレイからなり、前記ディスプレイに映し出された第2映像を反射して前記映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影する反射手段を備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0011】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体後方に向けて投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を映し出す反射型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンに映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段と、前記第1スクリーンの上方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部とを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0012】
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を上方に向けて投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を映し出す透過型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンに映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段と、前記第1スクリーンの前方に設けられて前記第2映像を映し出す透過型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部とを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0013】
また請求項8に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を後方に向けて投影する単一のレーザープロジェクタからなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を映し出す反射型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンに映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段と、前記インストルメントパネルに設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された映像を反射して前記映像表示部に虚像として投影する反射手段とを備え、前記レーザープロジェクタから前記第1スクリーンまでの距離と、前記レーザープロジェクタから前記第2スクリーンまでの距離とが異なることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0014】
また請求項9に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像に加えて第3映像を投影する単一の投影手段からなり、前記インストルメントパネルに設けられて前記第1映像を乗員に視認可能に映し出す透過型の第1スクリーンと、前記第1スクリーンの下方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーンと、前記第2スクリーンに映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部と、車室のルーフに設けられて前記第3映像を視認可能に映し出す第3スクリーンとを備えることを特徴とする車両用表示装置が提案される。
【0015】
尚、実施の形態のフロントウインドシールド13およびバイザー54は本発明の映像表示部に対応し、実施の形態の投影手段18は本発明の映像生成手段に対応し、実施の形態の凹面鏡19,42,43,53,63,83,84は本発明の反射手段に対応し、実施の形態の液晶ディスプレイ41および電子ペーパー44は本発明の映像生成手段あるいはディスプレイに対応する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の構成によれば、インストルメントパネルの内部に配置された単一の映像生成手段が第1映像および第2映像を生成すると、第1映像はインストルメントパネルの開口を通して車室側から視認され、第2映像は映像表示部に表示されて車室側から虚像として視認されるので、単一の映像生成手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0017】
請求項2の構成によれば、インストルメントパネルの内部に配置された単一の投影手段から第1映像および第2映像を車体後方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた透過型の第1スクリーンに第1映像が車室側から視認できるように映し出され、かつ第1スクリーンの下方に設けられた反射型の第2スクリーンに映し出された第2映像が反射手段に反射されて映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0018】
また請求項3の構成によれば、インストルメントパネルの内部に配置された単一の投影手段から第1映像および第2映像を車体前方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた反射型の第1スクリーンに第1映像が車室側から視認できるように映し出され、かつ第1スクリーンの下方に設けられた透過型の第2スクリーンに映し出された第2映像が反射手段に反射されて映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0019】
また請求項4の構成によれば、インストルメントパネルの内部に配置された単一の投影手段から第1映像および第2映像を車体前方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた反射型の第1スクリーンに第1映像が車室側から視認できるように映し出され、かつ映像表示部に設けられた反射型の第2スクリーンに第2映像が車室側から視認できるように映し出される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0020】
また請求項5の構成によれば、インストルメントパネルに設けられた単一のディスプレイに第1映像が車室側から視認できるように映し出され、かつ第2映像が車室側から視認できないように映し出され、前記第2映像が反射手段に反射されて映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影される。よって、単一のディプレイを用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0021】
また請求項6の構成によれば、インストルメントパネルに設けられた単一の投影手段から第1映像および第2映像を車体後方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた反射型の第1スクリーンに映し出された第1映像が反射手段に反射されて車室側から視認できるように映し出され、かつ第1スクリーンの上方に設けられた反射型の第2スクリーンに映し出された第2映像が映像表示部に反射されて車室側から視認できる虚像として表示される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0022】
また請求項7の構成によれば、インストルメントパネルに設けられた単一の投影手段から第1映像および前記第2映像を上方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた透過型の第1スクリーンに映し出された第1映像が反射手段に反射されて車室側から視認できるように映し出され、かつ第1スクリーンの前方に設けられた透過型の第2スクリーンに映し出された第2映像が映像表示部に反射されて車室側から視認できる虚像として表示される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。
【0023】
また請求項8の構成によれば、インストルメントパネルに設けられた単一のレーザープロジェクタから第1映像および第2映像を後方に向けて投影すると、インストルメントパネルに設けられた反射型の第1スクリーンに映し出された第1映像が反射手段に反射されて車室側から視認できるように映し出され、かつインストルメントパネルに設けられた反射型の第2スクリーンに映し出された第2映像が反射手段に反射されて映像表示部に車室側から視認できる虚像として投影される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2映像の連携が容易になる。しかもレーザープロジェクタを用いたことで第1、第2スクリーンを離して配置することができるので、インストルメントパネルの内部における光学系のレイアウトの自由度が向上する。
【0024】
また請求項9の構成によれば、インストルメントパネルに設けられた単一の投影手段から第1映像および第2映像に加えて第3映像を投影すると、インストルメントパネルに設けられた透過型の第1スクリーンに第1映像が乗員に視認可能に映し出され、第1スクリーンの下方に設けられた反射型の第2スクリーンに写し出された第2映像が反射手段で反射されて車室側から視認できる虚像として前記映像表示部に表示され、かつ車室のルーフに設けられた第3スクリーンに第3映像が視認可能に映し出される。よって、単一の投影手段を用いながら、インストルメントパネルおよび映像表示部にそれぞれ第1映像および第2映像を表示するとともに、車室のルーフの第3スクリーンに第3映像を表示することが可能となり、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になるだけでなく、第1、第2および第3映像の連携が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】自動車の前部の側面図。(第1の実施の形態)
【図2】図1の2方向矢視図。(第1の実施の形態)
【図3】図2の3−3線拡大断面図。(第1の実施の形態)
【図4】前記図3に対応する図。(第2の実施の形態)
【図5】前記図3に対応する図。(第3の実施の形態)
【図6】前記図3に対応する図。(第4の実施の形態)
【図7】前記図3に対応する図。(第5の実施の形態)
【図8】前記図3に対応する図。(第6の実施の形態)
【図9】前記図3に対応する図。(第7の実施の形態)
【図10】前記図3に対応する図。(第8の実施の形態)
【図11】前記図3に対応する図。(第9の実施の形態)
【図12】前記図3に対応する図。(第10の実施の形態)
【図13】図12の13方向矢視図。(第10の実施の形態)
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図3は請求項2に記載された発明に対応する本発明の第1の実施の形態示すもので、図1は自動車の前部の側面図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図2の3−3線拡大断面図である。
【0028】
図1および図2に示すように、自動車の運転席11に着座した乗員により操作されるステアリングホイール12の前方にインストルメントパネル13が配置され、インストルメントパネル13の前方にフロントウインドシールド14が配置される。ステアリングホイール12の前方のインストルメントパネル13に開口13aが形成されており、その奥部に各種メータ類が表示されるメータパネル15が設けられる。
【0029】
図3に示すように、インストルメントパネル13に開口13aの奥部に運転者から視認可能に設けられたメータパネル15は、透過型の第1スクリーン16で構成されており、この第1スクリーン16の下部に反射型の第2スクリーン17が一体に設けられる。第2スクリーン17はインストルメントパネル13の開口13aの下方に位置しており、インストルメントパネル13の内部に収納されて運転者からは視認不能である。
【0030】
インストルメントパネル13の内部に、プロジェクタよりなる単一の投影手段18が車体後向きに配置される。投影手段18は、その後方に位置する第1、第2スクリーン16,17にそれぞれ異なる第1映像および第2映像を投影するもので、第1スクリーン16に投影される映像はスピードメータやタコメータ等のメータパネル15の映像である(図2参照)。第1スクリーン16は透過型のものであるため、その裏面(前面)に投影された第1映像は、その正面(後面)側に透過して運転者から視認可能となる。
【0031】
一方、第2スクリーン17は高輝度の反射型のものであるため、その裏面(前面)に投影された第2映像は前方に反射された後、インストルメントパネル13の内部に配置された凹面鏡19により反射され、更にインストルメントパネル13の上面の開口13bを通過してフロントウインドシールド14の内面に反射されるため、運転者が第2映像をフロントウインドシールド14の前方に存在する虚像として視認することができる。第2映像は、例えば車速や各種の警報のような、運転者が確実に認識する必要がある情報を提供する(図2参照)。
【0032】
以上のように、本実施の形態によれば、単一の投影手段18が、その上半部から投影した第1映像を直接第1スクリーン16に表示し、その下半部から投影した第2映像を第2スクリーン17および凹面鏡19を介してフロントウインドシールド14に表示するので、第1、第2映像をそれぞれ対応する2個の投影手段で投影する場合に比べて、重量、部品点数、設置スペースおよびコストの削減が可能になる。しかも第1、第2映像の連携が容易なため、第1映像のスピードメータの表示が所定値を超えた場合や、第1映像のタコメータの表示が所定値を超えた場合に、第2映像によって警報を発することができる。
【0033】
次に、図4に基づいて請求項3に記載された発明に対応する本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0034】
第1の実施の形態では投影手段18が車体後向きに配置されていたが、第2の実施の形態では投影手段18が車体前向きに配置されており、その前方に一体に形成された上側の第1スクリーン21と下側の第2スクリーン22とが配置される。第1スクリーン21はインストルメントパネル13の開口13aから視認可能な位置に配置された高輝度の反射型のもので、その正面(後面)に投影された第1映像は運転者から直接視認可能となる。
【0035】
一方、第2スクリーン21はインストルメントパネル13の開口13aの下方に隠れて運転者から視認不能な位置に配置される。第2スクリーン21は透過型のものであり、その背面(後面)に投影手段18から投影された第2映像は、その正面(前面)側に透過する。そして第2スクリーン21の正面(前面)の映像はインストルメントパネル13の内部に配置された凹面鏡19により反射され、更にインストルメントパネル13の上面の開口13bを通過してフロントウインドシールド14の内面に反射されるため、運転者が第2映像をフロントウインドシールド14の前方に存在する虚像として視認することができる。
【0036】
この第2の実施の形態によっても、単一の投影手段18で第1映像および第2映像を投影することで、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0037】
次に、図5に基づいて請求項4に記載された発明に対応する本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0038】
第3の実施の形態も、第2の実施の形態と同様に投影手段18が車体前向きに配置されているが、インストルメントパネル13の内部には第1スクリーン31だけが配置される。第1スクリーン31はインストルメントパネル13の開口13aから視認可能な位置に配置された高輝度の反射型のもので、その正面(後面)に投影された第1映像は運転者から直接視認可能となる。
【0039】
一方、第2スクリーン32はフロントウインドシールド14の一部に埋め込まれた偏光散乱シートで構成されており、投影手段18から投影された第2映像が、インストルメントパネル13の前記開口13aを通してフロントウインドシールド14の第2スクリーン32に実像として直接表示され、運転者により視認される。
【0040】
この第3の実施の形態によっても、単一の投影手段18で第1映像および第2映像を投影することで、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0041】
次に、図6に基づいて請求項5に記載された発明に対応する本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0042】
第4の実施の形態は、第1〜第3の実施の形態の投影手段18に代えて、インストルメントパネル13の内部に単一の液晶ディプレイ41を備える。映像表示面が後向きになるように配置された液晶ディプレイ41は、上側の第1映像表示部分41aと下側の第2映像表示部分41bとを一体に備えており、第1映像表示部分41aはインストルメントパネル13の開口13aを通して運転者から直接視認可能である。
【0043】
また運転者から視認不能な第2映像表示部分41bの後方および前方に、それぞれ第1、第2凹面鏡42,43が配置されており、第2映像表示部分41bに表示された第2映像は第1凹面鏡42および第2凹面鏡43により反射され、更にインストルメントパネル13の上面の開口13bを通過してフロントウインドシールド14の内面に反射されるため、運転者が第2映像をフロントウインドシールド14の前方に存在する虚像として視認することができる。
【0044】
この第4の実施の形態によっても、単一の液晶ディプレイ41で第1映像をインストルメントパネル13の内部に表示し、第2映像をフロントウインドシールド14に表示することで、第1の実施の形態と同様の作用効果を達成することができる。
【0045】
次に、図7に基づいて請求項5に記載された発明に対応する本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0046】
第5の実施の形態は第4の実施の形態の変形であって、第4の実施の形態の液晶ディスプレイ41に代えて電子ペーパー44を用いたものである。電子ペーパー44とは、紙のような屈曲可能な薄い素材に、帯電した白い粒子を入れた微小なカプセルと、帯電した黒い粒子を入れた微小なカプセルとを多数含ませ、電圧を印加することで白いカプセルおよび黒いカプセルを移動させて画像を表示するものである。
【0047】
本実施の形態では1枚の電子ペーパー44をJ字状に湾曲させ、その屈曲部を挟む一端側を運転者が直接視認可能な第1映像表示部分44aとし、その屈曲部を挟む他端側を凹面鏡43に対向する第2映像表示部分44bとしている。可撓性を有する電子ペーパー44は液晶ディプレイ41に比べて形状の自由度が高いため、第4の実施の形態では2個必要であった凹面鏡42,43を、第5の実施の形態では1個の凹面43で済ますことができ、部品点数の削減およびコストの削減が可能になる。
【0048】
次に、図8に基づいて請求項6に記載された発明に対応する本発明の第6の実施の形態を説明する。
【0049】
第6の実施の形態は第1の実施の形態の変形であって、第1の実施の形態では第1スクリーン16が透過型であり、第2スクリーン17が反射型であるが、第6の実施の形態では第1スクリーン51および第2スクリーン52が共に高輝度の反射型であり、かつ第1、第2スクリーン51,52の上下方向の位置関係が第1の実施の形態と入れ代わっている。
【0050】
また第1の実施の形態では透過型の第1スクリーン16の第1映像を運転者が直接視認するようになっているが、第6の実施の形態では反射型の第1スクリーン51の第1映像を凹面鏡53で反射させたものを運転者が目視するようになっている。更に、第1の実施の形態では反射型の第2スクリーン17の第2映像を凹面鏡19で反射させてフロントウインドシールド14に投影しているが、第6の実施の形態では反射型の第2スクリーン52の第2映像をバイザー(半透明板)54で反射させることで、そのバイザー54の前方に存在する虚像として視認可能にしている。バイザー54はホログラムやハーフミラーで構成されるもので、第1の実施の形態のフロントウインドシールド14の代わりに本発明の映像表示部を構成する。
【0051】
このように本実施の形態によれば、映像表示部としてフロントウインドシールド14の代わりにバイザー54を用いるので、既存のフロントウインドシールド14を変更することなく、バイザー54を付加するだけで対応が可能となるだけでなく、第2映像をバイザー54の前方に存在する虚像として表示するので、運転中の焦点調節負担を軽減することができる。また反射型の第1スクリーン51の第1映像も凹面鏡53の前方に存在する虚像として表示されるので、運転中の焦点調節負担を軽減することができる。
【0052】
次に、図9に基づいて請求項7に記載された発明に対応する本発明の第7の実施の形態を説明する。
【0053】
第7の実施の形態は第6の実施の形態の変形であって、第6の実施の形態では投影手段18が映像を後向きに投影しているが、第7の実施の形態では投影手段18が映像を上向きに投影している。また第6の実施の形態では第1、第2スクリーン51,52が共に反射型であるのに対し、第7の実施の形態では第1、第2スクリーン61,62が共に透過型とされ、それに応じて凹面鏡63の位置が変化している。そして第1スクリーン61を透過した光がバイザー54に当たらないように遮光板64が設けられる。第7の実施の形態の他の構成は第6の実施の形態と同じであり、第6の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0054】
次に、図10に基づいて本発明の第8の実施の形態を説明する。
【0055】
第8の実施の形態は第7の実施の形態の変形であって、第7の実施の形態では投影手段18が映像を上向きに投影しているが、第7の実施の形態では投影手段18が映像を後向きに投影している。第7の実施の形態では第1スクリーン61を透過した第1映像を1個の凹面鏡63で反射させて運転者から目視可能にしているが、第8の実施の形態では第1スクリーン71を透過した第1映像を2個の第1、第2凹面鏡73,74で反射させて運転者から目視可能にしている。また第7の実施の形態では第2スクリーン62を透過した第2映像をバイザー54で反射させているが、第8の実施の形態では第2スクリーン72を透過した第2映像を凹面鏡75で反射させた後にバイザー54で反射させている。第1、第2スクリーン71,72の間には、第1スクリーン71を透過した第1映像の光がバイザー54に当たらないように遮光板76が設けられる。
【0056】
第8の実施の形態の他の構成は第7の実施の形態と同じであり、第7の実施の形態と同じ作用効果を奏することができる。
【0057】
次に、図11に基づいて請求項8に記載された発明に対応する第9の実施の形態を説明する。
【0058】
第9の実施の形態は第6の実施の形態の変形であって、第6の実施の形態では反射型の第1、第2スクリーン51,52が同一平面上に配置されているが、第9の実施の形態では反射型の第1スクリーン81が投影手段18から遠い位置に、反射型の第2スクリーン82が投影手段18に近い位置に配置されている。この場合、投影手段18にレーザープロジェクタを採用することで、第1、第2スクリーン81,82の両方にピントを合わせて映像を結像することができる。第1スクリーン81で反射された第1映像は凹面鏡83で反射されて運転者に視認され、第2スクリーン82で反射された第2映像は凹面鏡84で反射されてフロントウインドシールド14に照射される。
【0059】
本実施の形態によれば、第1、第2スクリーン81,82を離して配置することができるので、インストルメントパネル13の内部における光学系のレイアウトの自由度が向上する。
【0060】
次に、図12および図13に基づいて請求項9に記載された発明に対応する第10の実施の形態を説明する。
【0061】
第10の実施の形態は第1の実施の形態の変形であって、第1の実施の形態では反射型の第2スクリーン17に反射された映像が凹面鏡19で反射されてフロントウインドシールド14に投影されるが、第9の実施の形態では反射型の第2スクリーン91に反射された映像が直接フロントウインドシールド14に投影される。投影手段18は、第1、第2スクリーン91,92に投影する第1、第2映像の他に第3映像を投影し、その第3映像は3個のミラー93,94,95で反射されて車室のルーフに設けた第3スクリーン96に投影され、その映像は後席の乗員によって視認可能になる。ルーフの内装材が白色に近い場合には内装材を第3スクリーン96として利用できるが、暗色の場合は専用の第3スクリーン96を設ける必要がある。
【0062】
本実施の形態によれば、共通の投影手段18を用いて運転者および後席の乗員の両方に情報を提示することが可能となる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0064】
例えば、実施の形態では運転席の乗員である運転者に対して映像を提示しているが、助手席等の運転席以外の席の乗員に対して映像を提示しても良い。
【0065】
また本発明の反射手段は実施の形態の凹面鏡19,42,43,53,63,83,84に限定されず、平面鏡や自由曲面鏡であっても良く、また複数の鏡やレンズを組み合わせてたものであっても良い。
【0066】
また実施の形態の液晶ディプレイ41や電子ペーパー44に代えて、LED等を用いたディスプレイを採用することができる。
【符号の説明】
【0067】
13 インストルメントパネル
13a 開口
14 フロントウインドシールド(映像表示部)
16 第1スクリーン
17 第2スクリーン
18 投影手段(映像生成手段、レーザープロジェクタ)
19 凹面鏡(反射手段)
21 第1スクリーン
22 第2スクリーン
31 第1スクリーン
32 第2スクリーン
41 液晶ディスプレイ(映像生成手段、ディスプレイ)
42 第1凹面鏡(反射手段)
43 第2凹面鏡(反射手段)
44 電子ペーパー(映像生成手段、ディスプレイ)
51 第1スクリーン
52 第2スクリーン
53 凹面鏡(反射手段)
54 バイザー(映像表示部)
61 第1スクリーン
62 第2スクリーン
63 凹面鏡(反射手段)
81 第1スクリーン
82 第2スクリーン
83 第1凹面鏡(反射手段)
84 第2凹面鏡(反射手段)
91 第1スクリーン
92 第2スクリーン
96 第3スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネル(13)の内部に配置されて第1映像および第2映像を生成可能な単一の映像生成手段(18,41,44)を備え、前記第1映像は前記インストルメントパネル(13)の開口(13a)を通して車室側から視認可能であり、前記第2映像は乗員の前方に配置された映像表示部(14,54)に表示されて車室側から虚像として視認可能であることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体後方に向けて投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す透過型の第1スクリーン(16)と、
前記第1スクリーン(16)の下方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーン(17)と、
前記第2スクリーン(17)に映し出された映像を反射して前記映像表示部(14)に車室側から視認できる虚像として投影する反射手段(19)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体前方に向けて投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す反射型の第1スクリーン(21)と、
前記第1スクリーン(21)の下方に設けられて前記第2映像を映し出す透過型の第2スクリーン(22)と、
前記第2スクリーン(22)に映し出された映像を反射して前記映像表示部(14)に虚像として投影する反射手段(19)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体前方に向けて投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を車室側から視認できるように映し出す反射型の第1スクリーン(31)と、
前記映像表示部(14)に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーン(32)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記映像生成手段は、前記第1映像を車室側から視認できるように映し出すとともに、前記第2映像を車室側から視認できないように映し出す単一のディスプレイ(41,44)からなり、
前記ディスプレイ(41,44)に映し出された第2映像を反射して前記映像表示部(14)に車室側から視認できる虚像として投影する反射手段(42,43)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を車体後方に向けて投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を映し出す反射型の第1スクリーン(51)と、
前記第1スクリーン(51)に映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段(53)と、
前記第1スクリーン(51)の上方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーン(52)と、
前記第2スクリーン(52)に映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部(54)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を上方に向けて投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を映し出す透過型の第1スクリーン(61)と、
前記第1スクリーン(61)に映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段(63)と、
前記第1スクリーン(61)の前方に設けられて前記第2映像を映し出す透過型の第2スクリーン(62)と、
前記第2スクリーン(62)に映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部(54)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像を後方に向けて投影する単一のレーザープロジェクタ(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を映し出す反射型の第1スクリーン(81)と、
前記第1スクリーン(81)に映し出された前記第1映像を車室側から視認できるように反射する反射手段(83)と、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーン(82)と、
前記第2スクリーン(82)に映し出された映像を反射して前記映像表示部(14)に虚像として投影する反射手段(84)と、
を備え、前記レーザープロジェクタ(18)から前記第1スクリーン(81)までの距離と、前記レーザープロジェクタ(18)から前記第2スクリーン(82)までの距離とが異なることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記映像生成手段は、前記第1映像および前記第2映像に加えて第3映像を投影する単一の投影手段(18)からなり、
前記インストルメントパネル(13)に設けられて前記第1映像を乗員に視認可能に映し出す透過型の第1スクリーン(91)と、
前記第1スクリーン(91)の下方に設けられて前記第2映像を映し出す反射型の第2スクリーン(92)と、
前記第2スクリーン(92)に映し出された前記第2映像を反射して車室側から視認できる虚像として表示する前記映像表示部(14)と、
車室のルーフに設けられて前記第3映像を視認可能に映し出す第3スクリーン(96)と、
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−164941(P2010−164941A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195068(P2009−195068)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】