説明

車両用表示装置

【課題】視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる車両用表示装置の提供。
【解決手段】車両の前方領域90を撮影する近赤外線カメラ10によって生成される前方画像50を、表示画面40aに表示する車両用表示装置100である。車両用表示装置100は、前方画像50を取得する画像取得部31と、予め設定された検出対象物としての歩行者の画像53を検出する歩行者検出部35と、歩行者画像53を含む切出画像60を、前方画像50から切り出す切出部33と、切出画像60に含まれる歩行者画像53の画素数が、前方画像50に含まれる歩行者画像53の画素数よりも多くなるように、前方画像50及び切出画像60のうち少なくとも一方の画像の画素数を調整する画像縮小部37と、切出画像60を前方画像50に重畳して表示画面40aに表示する合成処理部39及び液晶ディスプレイ40と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
車両の周辺領域を撮影する撮像手段によって生成される周辺画像を表示する車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の周辺領域に存在する検出対象物を視認者に分り易く示すために、当該周辺領域を撮影した周辺画像に種々の加工を施して、表示画面に表示する装置が知られている。このような装置の一種として、例えば特許文献1に記載の車両の表示装置では、表示制御装置が、赤外線カメラ等の撮像手段から周辺領域の撮影画像を取得し、当該撮影画像から予め設定された障害物の画像を検出する。そして、表示制御装置は、障害物の画像と障害物の周囲の画像と間のコントラスト、表示色、輝度等を調整することにより、ディスプレイの表示画面に障害物の画像を強調表示させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−76298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1に記載のような、車両の周辺領域を撮影した撮影画像を表示画面に表示する車両用表示装置は、近年、広く普及しつつある。このような装置の普及に伴って、従来よりも小さい表示画面に撮像画像を表示する車両用表示装置に対して、強い要望が生じてきている。
【0005】
しかし、表示画面が小さくされてしまうと、表示される撮影画像も小さくなる。故に、表示画面に表示される撮影画像は、障害物の画像を映し出すことにより、周辺領域における実際の障害物の位置を示すことができるものの、当該障害物の小さな画像では、この障害物の形状を分かり易く示すことができなくなる場合がある。この場合、車両用表示装置は、障害物の形状を示すことができないことにより、視認者をかえって混乱させてしまい、視認者による障害物の知覚を的確に支援できなくなってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、車両の周辺領域を撮影する撮像手段によって生成される周辺画像を、表示画面に表示する車両用表示装置であって、撮像手段から周辺画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段によって取得された周辺画像から、予め設定された検出対象物の画像を検出する検出手段と、検出手段によって検出される検出対象物の画像を含む切出画像を、周辺画像から切り出す切出手段と、切出手段によって切り出された切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数が、周辺画像に含まれる検出対象物の画像の画素数よりも多くなるように、周辺画像及び切出画像のうち少なくとも一方の画像の画素数を調整する画像調整手段と、切出画像を周辺画像に重畳して、表示画面に表示する表示手段と、を備える車両用表示装置とする。
【0008】
この発明によれば、車両の周辺領域を撮影する撮像手段によって生成される周辺画像から、切出手段によって切り出された切出画像は、周辺画像に重畳される。そして、切出画像の重畳された周辺画像は、表示手段によって表示画面に表示される。周辺領域に検出対象物が存在するとき、表示画面に表示される周辺画像は、検出対象物の画像を映し出すことにより、周辺領域における実際の検出対象物の位置を示し得る。加えて、周辺画像に重畳される切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数が、周辺画像に含まれる検出対象物の画像の画素数よりも多くなるように、切出画像及び周辺画像のうち少なくとも一方の画像は、画像調整手段によって画素数を調整される。すると、検出対象物の画像は、表示画面において、周辺画像に重畳される切出画像に拡大して表示される。故に、表示画面の表示において、周辺画像に含まれる検出対象物の画像が当該検出対象物の形状を分かり易く示すことができなくても、周辺画像に重畳された切出画像に含まれる検出対象物の画像は、検出対象物の形状を分り易く示し得る。以上により、車両用表示装置は、検出対象物の位置及び形状を示すことができるので、視認者を混乱させてしまうこと無く、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる。
【0009】
ここで、上述したように、検出対象物の画像を表示画面に拡大して表示する形態において、画像調整手段が切出画像の画素数を増加させる調整を行った場合に、表示画面に拡大表示される検出対象物の画像は、不鮮明になり易い。故に、切出画像は、切り出された際の画素数を維持したまま又は縮小されて、表示画面に表示されることが望ましい。
【0010】
そこで、請求項2に記載の発明では、画像取得手段は、表示画面の表示画素数よりも画素数の多い周辺画像を撮像手段から取得し、画像調整手段は、切出画像よりも周辺画像を高い縮小率にて縮小することにより、当該周辺画像の画素数を表示画面の表示画素数に対応させると共に、切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数を、周辺画像に含まれる検出対象物の画像の画素数よりも多くすることを特徴とする。
【0011】
この発明では、画像取得手段によって取得される周辺画像の画素数が、表示画面の表示画像数よりも多い。すると、周辺画像の画素数を表示画面の表示画素数に対応させるため、周辺画像は、画像調整手段によって画素数を減らす調整を受けて、縮小される。周辺画像の縮小率を切出画像の縮小率よりも高くすることにより、切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数は、周辺画像に含まれる検出対象物の画像の画素数よりも相対的に多くなる。故に、検出対象物の画像は、周辺画像に重畳される切出画像に、拡大されたように表示される。この切出画像は、切り出された際の画素数を維持したまま又は画素数を縮小されて、表示画面に表示され得る。故に、切出画像に含まれる検出対象物の画像は、鮮明さを維持できる。したがって、車両用表示装置は、検出対象物の形状を鮮明に示すことにより、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、表示手段は、表示画面における切出画像と周辺画像との境界に、当該切出画像の外縁に沿う枠画像を表示することを特徴とする。
【0013】
この発明のように、切出画像を周辺画像に重畳して表示する形態では、重畳された切出画像が、周辺画像の一部として視認者に誤認されてしまうおそれがある。そこで、切出画像と周辺画像との境界に、切出画像の外縁に沿う枠画像が表示される。切出画像と周辺画像との境界に、切出画像の外縁に沿う枠画像が表示されることにより、表示画面の表示において切出画像を表示している範囲と周辺画像を表示している範囲とは、視認者によって明確に区別され得る。以上により、車両用表示装置は、視認者の誤認を抑制しつつ、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる。
【0014】
ここで、表示画面に表示された周辺画像に映し出される検出対象物の画像の大きさは、実際の検出対象物の車両への接近により、大きくなる。故に、車両近傍に実際の検出対象物が接近した場合には、表示画面に表示された切出画像に映し出される検出対象物の画像の大きさと、周辺画像に映し出される検出対象物の画像の大きさとの差異が、ごく僅かになってしまう。このように、互いに大きさの類似する複数の検出対象物の画像が同一の検出対象物を示すことは、視認者を混乱させる要因となり得る。
【0015】
そこで、請求項4に記載の発明では、表示手段は、切出手段によって切り出された切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数が、予め設定された閾値よりも小さい場合に、当該切出画像を周辺画像に重畳して、表示画面に表示することを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、実際の検出対象物の車両への接近により、切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数は、予め設定された閾値よりも大きくなり得る。表示手段は、切出画像に含まれる検出対象物の画像の画素数が閾値よりも小さい場合に、切出画像を周辺画像に重畳する。故に、車両の近傍に実際の検出対象物が接近した場合には、切出画像の周辺画像への重畳は、中止される。このとき、表示画面に表示される周辺画像に映し出される検出対象物の画像は、当該検出対象物の形状を示し得る程度の大きさを獲得している。故に、車両用表示装置は、互いに大きさの類似する複数の検出対象物の画像によって同一の検出対象物を示すことが無くなるので、視認者を混乱させる事態を確実に回避したうえで、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる。
【0017】
尚、閾値は、周辺画像から切り出された際の切出画像に対して設定されていてもよく、又は、画像調整手段によって画素数を調整された切出画像に対して設定されていてもよい。
【0018】
請求項5に記載の発明では、画像調整手段は、切出手段によって複数の切出画像が切り出された場合に、当該複数の切出画像のうち、それぞれに含まれる各検出対象物の画像の画素数が最も大きい切出画像について、当該切出画像に含まれる検出対象物の画素数が、周辺画像に含まれる検出対象物の画像の画素数よりも多くなるように、周辺画像及び切出画像のうち少なくとも一方の画像の画素数を調整し、表示手段は、画素数が最も大きい検出対象物の画像を含む切出画像を周辺画像に重畳して、表示画面に表示することを特徴とする。
【0019】
この発明によれば、複数の切出画像のうち、それぞれに含まれる各検出対象物の画像の画素数が最も大きい切出画像には、周辺領域に存在する複数の検出対象物のうちで車両に特に近接しているものの画像が含まれている。故に、画素数が最も大きい検出対象物の画像を含む切出画像を周辺画像に重畳することにより、表示画面には、車両への接触するおそれが高い検出対象物の画像が拡大表示される。以上により、車両用表示装置は、車両への接触のおそれが高い検出対象物を優先して表示することにより、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、表示手段は、表示画面の水平方向において、切出画像を周辺画像に重畳する位置を、車両の幅方向において、運転席の設けられる位置に対応させることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、車両の幅方向において、運転席が進行方向に対して右側に設けられる場合、運転席に着座する視認者は、当該視認者の正面から外れる周辺領域の左側の部分を視認し難くなる。そこで、表示手段は、切出画像を周辺画像に重畳する位置を、運転席の設けられる幅方向の位置に対応させ、表示画面の水平方向の右側の範囲とする。すると、表示画面の水平方向の左側の範囲は、周辺画像に重畳される切出画像に妨げられることなく、視認者にとって見難い周辺領域の左側の部分を映し出すことができる。
【0022】
同様に、運転席が進行方向に対して左側に設けられる場合、運転席に着座する視認者は、当該視認者の正面から外れる周辺領域の右側の部分を視認し難くなる。そこで、表示手段は、切出画像を周辺画像に重畳する位置を、運転席の設けられる幅方向の位置に対応させ、表示画面の水平方向の左側の範囲とする。すると、表示画面の水平方向の右側の範囲は、周辺画像に重畳される切出画像に妨げられることなく、視認者にとって見難い周辺領域の右側の部分を映し出すことができる。
【0023】
以上のように、切出画像を周辺画像に重畳する位置を運転席の位置に対応させることにより、車両用表示装置は、視認者によって視認し難い周辺領域の部分を、表示画面に表示される周辺画像に確実に映し出すことができる。したがって、車両用表示装置は、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0024】
請求項7に記載の発明では、表示手段は、周辺画像において切出画像の重畳される重畳範囲を、当該切出画像を透かすことにより表示することを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、周辺画像において切出画像の重畳される重畳範囲は、切出画像を透かすことにより、表示画面に表示される。故に、周辺画像に切出画像を重畳して表示する車両用表示装置であっても、重畳範囲に映る実際の周辺領域の様子は、視認者に示される。以上により、重畳範囲に映し出される検出対象物の画像が視認者に見逃される事態は、回避され得る。したがって、車両用表示装置は、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0026】
請求項8に記載の発明では、表示手段は、切出画像を周辺画像に断続的に重畳することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、切出画像は、周辺画像に断続的に重畳されることにより、表示画面に点滅して表示される。故に、周辺画像に切出画像を重畳して表示する車両用表示装置であっても、周辺画像において切出画像が重畳される範囲に映る実際の周辺領域の様子は、切出画像の重畳が一時的に中断されている際に、視認者に示される。以上により、周辺画像において切出画像が重畳される範囲に映し出される検出対象物の画像が視認者に見逃される事態は、回避され得る。したがって、車両用表示装置は、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0028】
請求項9に記載の発明では、車両用表示装置は、表示手段が切出画像を周辺画像に重畳することにより、予め設定された音声を車両の車室内に出力する音声出力手段、をさらに備える。
【0029】
この発明によれば、表示手段が切出画像を周辺画像に重畳することにより、音声出力手段は、予め設定された音声を車両の室内に出力する。故に、車両用表示装置は、表示画面に現在表示されている周辺画像に切出画像が重畳されていることを、音声によって視認者に報知することができる。以上により、重畳された切出画像が周辺画像の一部であると視認者に誤認されてしまう事態は、回避され得る。したがって、車両用表示装置は、視認者の混乱を確実に避けつつ、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる。
【0030】
請求項10に記載の発明では、表示手段は、表示画面において、周辺画像に重畳される切出画像と、当該切出画像が切り出された周辺画像の切出範囲との間に、これら切出画像及び切出範囲を繋ぐ線状の線画像を表示することを特徴とする。
【0031】
この発明によれば、表示画面において、周辺画像に重畳される切出画像と、周辺画像の切出画像が切り出された切出範囲との間に表示される線状の線画像は、切出画像及び切出範囲を視覚的に繋ぐ。故に、現在周辺画像に重畳されている切出画像が周辺画像のどの範囲を拡大したものであるかを、線画像は、視認者に示すことができる。以上により、表示画面に表示される周辺画像及び切出画像は、周辺領域における実際の検出対象物の位置及び形状をさらに分かり易く示し得る。したがって、車両用表示装置は、視認者による検出対象物の知覚をさらに的確に支援できる。
【0032】
請求項11に記載の発明では、表示手段は、周辺画像に含まれる検出対象物の画像を、当該周辺画像に重畳される切出画像に拡大して、表示画面に表示することを特徴とする。
【0033】
この発明によれば、検出対象物の画像は、表示画面において、周辺画像に重畳される切出画像に拡大して表示される。故に、表示画面の表示において、周辺画像に重畳された切出画像に含まれる検出対象物の画像は、検出対象物の形状を分り易く示し得る。以上により、車両用表示装置は、視認者を混乱させてしまうこと無く、視認者による検出対象物の知覚を的確に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第一実施形態によるナイトビュー装置の構成が概略的に示される構成図である。
【図2】歩行者画像を含む前方画像の図である。
【図3】拡大画像が重畳された表示用前方画像を説明するための図である。
【図4】前方画像に拡大画像を重畳して表示するための処理が示されるフローチャートである。
【図5】本発明の第二実施形態によるナイトビュー装置の構成が概略的に示される構成図である。
【図6】図4の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0036】
(第一実施形態)
図1には、本発明の第一実施形態によるナイトビュー装置100の構成が示されている。ナイトビュー装置100は、図2及び図3に示されるような車両の前方領域90を撮影した前方画像50から、当該前方領域90に存在する歩行者等の検出対象物の画像(以下、歩行者画像)53を検出する。そして、ナイトビュー装置100は、車両の室内において運転席に向けて設置され、例えば320画素×240画素の表示画素数を有する表示画面40aに、前方画像50を表示する。以下、図1〜図3に基づいて、ナイトビュー装置100の構成及びナイトビュー装置100によって表示される画像について説明する。
【0037】
ナイトビュー装置100は、近赤外線カメラ10と接続されている。ナイトビュー装置100は、近赤外線カメラ10から前方画像50を取得する画像処理回路20、表示画面40aを有する液晶ディスプレイ40、及びスピーカ43を備えている。
【0038】
近赤外線カメラ10は、撮像素子により近赤外線光の強度を電気信号に変換して出力するイメージセンサである。近赤外線カメラ10は、車両の進行方向を向けて設置されており、車両の周辺領域のうち、特に車両の前方領域90を撮影する。近赤外線カメラ10は、波長が0.7〜2.5マイクロメートル程度の近赤外線を検知することにより、可視光の少ない環境下においても前方領域90の様子を撮影することができる。近赤外線カメラ10の搭載された車両には、例えばヘッドライトモジュールと一体的に構成され、前方領域90に向けて近赤外線を投光する近赤外線投光器11が設置されている。近赤外線カメラ10は、近赤外線投光器11と接続されており、前方領域90の撮影を開始すると共に、近赤外線投光器11に投光を開始させる。近赤外線カメラ10は、前方領域90の物体により反射された近赤外線を検知することにより、周辺画像としての前方画像50を生成する。近赤外線カメラ10は、撮影した前方画像50の電気信号を、画像処理に適したデジタルデータに変換する。近赤外線カメラ10によって生成される前方画像50は、例えば、640画素×480画素である所謂VGAサイズの画像である。近赤外線カメラ10は、前方画像50を、画像処理回路20に向けて逐次出力する。
【0039】
画像処理回路20は、近赤外線カメラ10、液晶ディスプレイ40、及びスピーカ43と接続されている。画像処理回路20は、制御及び描画のための各種の演算処理を行う複数のプロセッサ、当該演算処理に用いられるプログラム及び音声データ等が格納されたフラッシュメモリ、及び演算処理の作業領域として機能するRAM等によって構成されている。加えて画像処理回路20は、接続された種々の車載装置との間で情報をやりとりするためのインターフェースを備えている。
【0040】
以上の構成による画像処理回路20は、所定のプログラムをプロセッサに実行させることにより、機能ブロックとして画像取得部31、切出部33、歩行者検出部35、画像縮小部37、合成処理部39、及び音声出力部21を有する。画像取得部31は、近赤外線カメラ10から前方画像50の画像データを取得し、切出部33及び画像縮小部37に出力する。画像取得部31によって取得される前方画像50の画素数は、表示画面40aの表示画素数よりも多い。
【0041】
切出部33は、矩形形状の探索ウィンドウ55を用いて、予め設定された大きさの切出画像60を前方画像50から順に切り出す。そして、切出部33は、切り出した切出画像60を、当該切出画像60の前方画像50における位置を示す座標データと共に、歩行者検出部35に逐次出力する。切出部33は、探索ウィンドウ55を前方画像50の水平方向及び鉛直方向に徐々に移動させつつ(図2 破線の矢印を参照)、当該探索ウィンドウ55によって囲まれた範囲の画像を切出画像60として切り出していく。探索ウィンドウ55が右下まで到達した場合、切出部33は、探索ウィンドウ55の大きさを変更し、再び前方画像50からの切出画像60の切り出しを行う。尚、前方画像50において主に空が撮影される領域は、探索ウィンドウ55の移動範囲から除かれている。
【0042】
歩行者検出部35は、歩行者画像53の形状的特徴と統計的手法とを組み合わせて用いることにより、予め設定されている歩行者画像53を前方画像50から検出する。歩行者検出部35は、歩行者画像53を識別するための識別器を備えている。識別器は、学習用に用意された多数のサンプル画像を用いて予め構築されている。識別器は、歩行者画像53に共通する例えばHistograms of Oriented Gradients(HOG)特徴量をAdaBoost等の学習アルゴリズムによって学習することにより、構築されている。
【0043】
歩行者検出部35は、切出部33によって切り出された切出画像60を順に取得し、各切出画像60のHOG特徴量を抽出する。そして、歩行者検出部35は、各切出画像60から抽出したHOG特徴量を識別器に入力することにより、各切出画像60に歩行者画像53が含まれているか否かを判定する。以上のように、切出部33及び歩行者検出部35が、前方画像50から複数の切出画像60を切り出し、当該複数の切出画像60のうち、歩行者画像53を含むと判定した切出画像60を選別する処理を、以下検出処理という。この検出処理によって選別された切出画像60は、当該切出画像60の前方画像50における位置を示す座標データと共に、歩行者検出部35から画像縮小部37に出力される。
【0044】
画像縮小部37は、切出部33及び歩行者検出部35による検出処理によって選別された切出画像60をさらに選別する。具体的に、画像縮小部37は、歩行者検出部35から取得した切出画像60に含まれる歩行者画像53の高さ方向の画素数が、予め設定された閾値、例えば30画素よりも小さい切出画像60を選別する。
【0045】
この閾値は、予め規定される規定距離だけ車両から離れて位置する歩行者が前方画像50に映し出された場合の、当該歩行者画像の高さ方向の画素数を基準として設定されている。例えば、規定距離は、100メートル程度に規定されている。また、歩行者の身長は、160〜170センチメートル程度に想定されている。規定距離よりも車両に近接して歩行者が位置している場合、視認者は、表示画面40aに表示される歩行者画像53よりも、実際の歩行者の視認を優先する。故に、規定距離よりも車両に近接している歩行者よりも、規定距離よりも車両から離間している歩行者の報知を優先するように、ナイトビュー装置100は設定されている。
【0046】
画像縮小部37は、閾値に基づいて選別された複数の切出画像60が複数ある場合に、当該複数の切出画像60のうち、それぞれに含まれる歩行者画像53の高さ方向の画素数が最も大きい切出画像60を選択する。そして画像縮小部37は、選別された一つの切出画像60及び画像取得部31から取得した前方画像50の少なくとも一方の画像の画素数を調整する。
【0047】
具体的に、第一実施形態の前方画像50の画素数は、表示画面40aの表示画素数よりも多い。故に、前方画像50は、画像縮小部37によって画素数を減らす調整を受けて、縮小される。画像縮小部37は、切出画像60よりも高い縮小率で前方画像50を縮小させ、VGAサイズであった前方画像50の画素数を、表示画面40aに対応する画素数に調整する。また、画像縮小部37は、切出画像60を前方画像50よりも低い縮小率で縮小することにより、切出画像60に含まれる歩行者画像53の画素数が、前方画像50に含まれる歩行者画像53の画素数よりも多くなるようにする。ここで、画像縮小部37によって縮小された前方画像50を表示用前方画像50aとする。また、表示用前方画像50aに対して相対的に拡大された切出画像60を、拡大画像60aとする。拡大画像60aには、表示用前方画像50aに含まれる歩行者画像53の画像に対して相対的に拡大された拡大歩行者画像63が含まれている。画像縮小部37は、表示用前方画像50a及び拡大画像60aの画像データ、並びに拡大画像60aの基となる切出画像60の切り出された位置を示す座標データを、合成処理部39に出力する。加えて画像縮小部37は、拡大画像60aを合成処理部39に出力している旨を示す画像出力信号を、音声出力部21に出力する。また一方で、画像縮小部37は、歩行者検出部35から切出画像60を取得していない場合、又は閾値に基づく選別に適合する切出画像60がない場合、表示用前方画像50aを合成処理部39に出力する。
【0048】
合成処理部39は、最も大きい歩行者画像53を含む切出画像60の画素数を調整してなる拡大画像60aを、表示用前方画像50aに重畳する。拡大画像60aが重畳された表示用前方画像50aを生成する画像処理のために、合成処理部39は、複数のレイヤを有している。合成処理部39は、複数のレイヤのうちの一つ(以下、レイヤ1)に、表示用前方画像50aを描画する。
【0049】
また、合成処理部39は、複数のレイヤのうちの別の一つ(以下、レイヤ2)に、拡大画像60aを描画する。表示画面40aの水平方向において、拡大画像60aを表示用前方画像50aに重畳する位置は、車両の幅方向において、運転席の設けられる位置に対応している。詳しく説明すると、第一実施形態において想定されている車両は、運転席が進行方向に対して右側に設けられる所謂右ハンドルの車両である。故に、拡大画像60aは、表示用前方画像50aの水平方向において、左側の縁部よりも右側の縁部に近接するように、レイヤ2に描画される。また、表示用前方画像50aにおいて、拡大画像60aの重畳される範囲を重畳範囲54とすると、合成処理部39は、拡大画像60aを透かすことにより、重畳範囲54を表示画面40aに表示する。そのために、合成処理部39は、加算合成又はアルファ合成等によって、レイヤ2が半透明の状態となるようにして、レイヤ1に重ねる。
【0050】
さらに、合成処理部39は、複数のレイヤのうちさらに別の一つ(以下、レイヤ3)に、枠画像57、枠画像67、及び線画像56を描画する。枠画像57、枠画像67、及び線画像56は、視認者に視認され易いよう、明度及び彩度の高い例えば赤色又は橙色にて描画される。合成処理部39は、各画像57,67,56を描画したレイヤ3を、レイヤ2に重ねる。
【0051】
枠画像57は、矩形形状の画像である。枠画像57は、前方画像50における切出範囲51を示す。切出範囲51は、前方画像50において、拡大画像60aとして表示される切出画像60の切り出された範囲である。枠画像57は、画像縮小部37から取得する拡大画像60aの座標データに基づき、表示画面40aにおいて切出範囲51を囲むように、レイヤ3に描画される。枠画像67は、矩形形状の画像であって、枠画像57と相似形である。枠画像67は、表示画面40aにおいて、拡大画像60aと表示用前方画像50aとの境界を示す。枠画像67は、レイヤ2に描画される拡大画像60aの外縁に沿うように、レイヤ3に描画される。線画像56は、表示画面40aにおいて、枠画像57と枠画像67とを視覚的に繋ぐ線状の画像である。線画像56は、拡大画像60aと、表示用前方画像50aの切出範囲51との間に位置するように、レイヤ3に描画される。
【0052】
合成処理部39は、拡大画像60a、枠画像67、及び線画像56を表示画面40aに点滅して表示させるために、レイヤ2への拡大画像60aの描画と、レイヤ3への枠画像67及び線画像56の描画とを断続的に実施する。合成処理部39は、歩行者検出部35から拡大画像60aを取得している場合には、拡大画像60a及び各画像57,67,56の重畳された表示用前方画像50aを、液晶ディスプレイ40に向けて逐次出力する。一方で、歩行者検出部35から拡大画像60aを取得していない場合には、合成処理部39は、表示用前方画像50aを液晶ディスプレイ40に向けて逐次出力する。
【0053】
音声出力部21には、スピーカ43によって出力されるべき音声の音声データが記憶されている。音声出力部21は、画像縮小部37から取得する画像出力信号に基づいて、スピーカ43に音声を出力させるための電圧を印加する。
【0054】
液晶ディスプレイ40は、表示画面40aに配列された複数の画素を制御することにより、カラー表示が可能なドットマトリクス方式の表示装置である。液晶ディスプレイ40は、表示画面40aに種々の画像を表示することにより、運転者に種々の情報を提供する。表示画面40aの表示画素数は、上述したように320画素×240画素であって、所謂QVGAサイズである。表示画面40aの表示画素数は、画像取得部31によって取得される前方画像50の画素数よりも少ない。液晶ディスプレイ40は、コンビネーションメータ内に設けられている。液晶ディスプレイ40は、正面側を運転席側に向けた状態で、コンビネーションメータの一部として、インスツルメントパネルの内部に配置されている。合成処理部39は、拡大画像60aを重畳した表示用前方画像50aを、表示画面40aに表示する。この表示画面40aの表示において、拡大画像60aの重畳される重畳範囲54は、当該拡大画像60aを透かすことにより表示されている。また、拡大画像60aと切出範囲51との間に、これらを繋ぐ線画像56が表示されている。さらに、拡大画像60a、並びに枠画像67及び線画像56は、点滅して表示される。液晶ディスプレイ40は、画像処理回路20の合成処理部39から逐次取得した表示用前方画像50aを連続的に表示することにより、前方領域90の様子を動画により視認者に提供することができる。
【0055】
スピーカ43は、車両の室内に設置されている。スピーカ43は、画像処理回路20による電圧の印加によって、予め設定された音声を車両の車室内に出力する。スピーカ43によって出力される音声は、表示画面40aに表示されている表示用前方画像50aに拡大画像60aが重畳されていることを、視認者に報知するためのものである。
【0056】
ここまで説明したナイトビュー装置100が、拡大画像60aの重畳された表示用前方画像50aを液晶ディスプレイ40に表示する処理を、図4に基づいて詳しく説明する。以下説明する処理は、ナイトビュー装置100の作動を開始及び停止させるためのスイッチがユーザによって操作されることにより、ナイトビュー装置100の作動の開始と共に、画像処理回路20によって実施される。画像処理回路20による処理は、ユーザの操作に基づいてナイトビュー装置100の作動が停止されるまで、繰り返される。
【0057】
S101では、近赤外線カメラ10から前方画像50を取得し、S102に進む。S102では、S101にて取得した前方画像50から歩行者画像53を検出する検出処理を実施し、S103に進む。S103では、S102にて実施した検出処理により、前方画像50から歩行者画像53を含む切出画像60が切り出されたか否かを判定する。S103おいて、歩行者画像53を含む切出画像60が切り出されたと判定した場合、S104に進む。一方で、S103において、歩行者画像53を含む切出画像60が切り出されていないと判定した場合、S105に進む。
【0058】
S104では、S103にて歩行者画像53を含むと判定された全ての切出画像60について、当該切出画像60に含まれる歩行者画像53の高さ方向の画素数と閾値とを比較する。そして、歩行者画像53の高さ方向の画素数が閾値以下である切出画像60があるか否かを判定する。S104において、閾値以下の画素数である歩行者画像53を含む切出画像60が有ると判定した場合、S107に進む。一方で、S104において、閾値以下の画素数である歩行者画像53を含む切出画像60が無いと判定した場合、S105に進む。
【0059】
S105では、表示画面40aの表示画素数に対応するように、S101にて取得した前方画像50の画素数を調整する。具体的には、前方画像50の画像サイズを縮小することにより、表示用前方画像50aを生成し、S106に進む。S106では、S105にて生成した表示用前方画像50aをレイヤ1に描画し、S113に進む。
【0060】
S107では、歩行者画像53の高さ方向の画素数が最も多い切出画像60を選択し、S108に進む。尚、S103及びS104の選別に共に適合する切出画像60が一つしかない場合、この切出画像60を選択する。
【0061】
S108では、上述したS105と同様の処理が実施される。S108では、S101にて取得した前方画像50を縮小することにより、表示用前方画像50aを生成し、S109に進む。S109では、表示用前方画像50aにおける重畳範囲54の画素数に対応するように、S107にて選択された切出画像60の画素数を調整する。具体的には、切出画像60の画像サイズを僅かに縮小することにより、拡大画像60aを生成し、S110に進む。
【0062】
S110では、S108にて生成した表示用前方画像50aをレイヤ1に描画する。加えて、S109にて生成した拡大画像60aをレイヤ2に描画する。さらに、拡大画像60aに対応する枠画像57、枠画像67、及び線画像56をレイヤ3に描画し、S111に進む。S111では、S110にて各画像を描画したレイヤ1〜3を合成することにより、拡大画像60a等が重畳された表示用前方画像50aを生成し、S112に進む。ここで、拡大画像60a、枠画像67、及び線画像56の描画は、断続的に実施される。
【0063】
S112では、音声データに基づく電圧をスピーカ43に出力し、S113に進む。これにより、スピーカ43は、予め設定された音声を車室内に出力する。S113では、S106にて描画された表示用前方画像50a、又はS111にて生成された拡大画像60aの重畳された表示用前方画像50aを、液晶ディスプレイ40に出力し、再びS101に戻る。S101〜S113の処理が繰り返されることにより、液晶ディスプレイ40には表示用前方画像50aが連続的に出力される。これにより液晶ディスプレイ40には、前方領域90の様子が動画として映し出される。
【0064】
ここまで説明した第一実施形態によれば、前方領域90に歩行者が存在するとき、表示画面40aに表示される表示用前方画像50aは、歩行者画像53を映し出すことにより、前方領域90における実際の歩行者の位置を示し得る。加えて、切出画像60に含まれる歩行者画像53の画素数が、前方画像50に含まれる歩行者画像53の画素数よりも多くなるように、切出画像60及び前方画像50は、画素数を調整されて拡大画像60a及び表示用前方画像50aとなる。すると、歩行者画像53は、拡大画像60aに拡大歩行者画像63として拡大表示される。故に、表示画面40aの表示において、表示用前方画像50aに含まれる歩行者画像53が当該歩行者の形状を分かり易く示すことができなくても、拡大画像60aに含まれる拡大歩行者画像63は、歩行者の形状を分り易く示し得る。以上により、ナイトビュー装置100は、歩行者の位置及び形状を示すことができるので、視認者を混乱させてしまうこと無く、視認者による歩行者等の知覚を的確に支援できる。
【0065】
加えて第一実施形態によれば、前方画像50の縮小率を切出画像60の縮小率よりも高くすることにより、拡大画像60aの歩行者画像53の画素数は、表示用前方画像50aの歩行者画像53の画素数よりも相対的に多くされる。故に、拡大歩行者画像63は、拡大画像60aに拡大されたように表示される。この拡大画像60aは、前方画像50から切り出された際の切出画像60の画素数から縮小されて、表示画面40aに表示される。故に、拡大画像60aに含まれる拡大歩行者画像63は、鮮明さを維持できる。したがって、ナイトビュー装置100は、歩行者の形状を鮮明に示すことにより、視認者による歩行者の知覚をさらに的確に支援できる。
【0066】
また第一実施形態によれば、歩行者の車両への接近により、拡大画像60aに含まれる拡大歩行者画像63の画素数は、予め設定された閾値よりも大きくなる。故に、車両の近傍に実際の歩行者が接近した場合には、拡大画像60aの表示用前方画像50aへの重畳は、中止される。このとき、表示画面40aに表示される表示用前方画像50aに映し出される歩行者画像53は、歩行者画像53に対応する実際の歩行者の形状を示し得る程度の大きさを獲得している。故に、ナイトビュー装置100は、互いに大きさの類似する歩行者画像53及び拡大歩行者画像63によって同一の検出対象物を示すことが無くなる。したがって、ナイトビュー装置100は、視認者を混乱させる事態を確実に回避したうえで、視認者による歩行者の知覚を的確に支援できる。
【0067】
さらに第一実施形態において、歩行者画像53を含むと判定された複数の切出画像60のうち、当該各歩行者画像53の画素数が最も大きい切出画像60には、前方領域90に存在する複数の歩行者のうちで特に車両に近接している歩行者の画像が含まれている。故に、拡大画像60aは、歩行者画像53の画素数が閾値よりも小さい複数の切出画像60の中から、当該画素数が最も大きい歩行者画像53を含む切出画像60を基にして生成される。この拡大画像60aを表示用前方画像50aに重畳することにより、表示画面40aには、車両への接触するおそれが高い歩行者が拡大表示される。したがって、ナイトビュー装置100は、車両への接触のおそれが高い歩行者を優先して表示することにより、視認者による歩行者の知覚をさらに的確に支援できる。
【0068】
また加えて第一実施形態のように、拡大画像60aを表示用前方画像50aに重畳して表示する形態では、重畳された拡大画像60aが、表示用前方画像50aの一部として視認者に誤認されてしまうおそれがある。そこで、拡大画像60aと表示用前方画像50aとの境界に、枠画像67が表示される。これにより、表示画面40aの表示において拡大画像60aを表示している範囲と表示用前方画像50aを表示している範囲とは、視認者によって明確に区別され得る。
【0069】
加えて、拡大画像60aが表示用前方画像50aに重畳されているとき、スピーカ43は、予め設定された音声を車両の室内に出力される。故に、ナイトビュー装置100は、表示画面40aに現在表示されている表示用前方画像50aに拡大画像60aが重畳されていることを、音声によって視認者に報知することができる。
【0070】
これらにより、重畳された拡大画像60aが表示用前方画像50aの一部であると視認者に誤認されてしまう事態は、回避され得る。したがって、ナイトビュー装置100は、視認者の混乱を確実に避けつつ、視認者による歩行者の知覚を的確に支援できる。
【0071】
さらに加えて第一実施形態のように、右ハンドルの車両では、運転席に着座する視認者は、当該視認者の正面から外れる前方領域90の左側の部分を視認し難くなる。そこで、拡大画像60aを表示用前方画像50aに重畳する位置は、運転席の設けられる幅方向の位置に対応させ、表示画面40aの水平方向の右側の範囲50rとされる。故に、表示画面40aの水平方向の左側の範囲50lは、拡大画像60aに妨げられることなく、視認者にとって見難い前方領域90の左側の部分を映し出すことができる。したがって、ナイトビュー装置100は、視認者による歩行者の知覚をさらに的確に支援できる。
【0072】
またさらに第一実施形態によれば、拡大画像60aを透かすことにより、重畳範囲54は、表示画面40aに表示される。故に、表示用前方画像50aに拡大画像60aを重畳して表示するナイトビュー装置100であっても、重畳範囲54に映る実際の前方領域90の様子は、視認者に示される。さらに、表示画面40aに点滅して表示される拡大画像60aによれば、重畳範囲54に映る実際の前方領域90の様子は、拡大画像60aの重畳が一時的に中断されている際に、視認者に示される。以上により、重畳範囲54に映し出される歩行者画像53が視認者に見逃される事態は、回避され得る。したがって、ナイトビュー装置100は、視認者による歩行者の知覚をさらに的確に支援できる。加えて、点滅する拡大画像60aの表示は、視認者の注意を惹きつけることができる。故に、ナイトビュー装置100は、拡大画像60aを点滅させることにより、歩行者が前方領域90に存在することを、確実に視認者に報知できる。
【0073】
さらにまた第一実施形態によれば、線画像56は、現在表示用前方画像50aに重畳されている拡大画像60aが表示用前方画像50aのどの範囲を拡大したものであるかを、視認者に示すことができる。故に、表示画面40aに表示される表示用前方画像50a及び切出画像60は、前方領域90における実際の歩行者の位置及び形状をさらに分かり易く示し得る。したがって、ナイトビュー装置100は、視認者による歩行者の知覚をさらに的確に支援できる。
【0074】
尚、第一実施形態において、近赤外線カメラ10が特許請求の範囲に記載の「撮像手段」に相当し、音声出力部21及びスピーカ43が特許請求の範囲に記載の「音声出力手段」に相当し、画像取得部31が特許請求の範囲に記載の「画像取得手段」に相当し、歩行者検出部35が特許請求の範囲に記載の「検出手段」に相当し、切出部33及び歩行者検出部35が特許請求の範囲に記載の「切出手段」に相当し、画像縮小部37が特許請求の範囲に記載の「画像調整手段」に相当し、合成処理部39及び液晶ディスプレイ40が特許請求の範囲に記載の「表示手段」に相当し、前方画像50及び表示用前方画像50aが特許請求の範囲に記載の「周辺画像」に相当し、歩行者画像53及び拡大歩行者画像63が特許請求の範囲に記載の「検出対象物の画像」に相当し、切出画像60及び拡大画像60aが特許請求の範囲に記載の「切出画像」に相当し、枠画像67が特許請求の範囲に記載の「枠画像」に相当し、前方領域90が特許請求の範囲に記載の「周辺領域」に相当し、ナイトビュー装置100が特許請求の範囲に記載の「車両用表示装置」に相当する。
【0075】
(第二実施形態)
図5及び図6に示される本発明の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態によるナイトビュー装置200の画像処理回路220は、第一実施形態の近赤外線カメラ10(図1参照)に相当する撮像手段として、遠赤外線カメラ210と接続されている。加えてナイトビュー装置200は、第一実施形態の液晶ディスプレイ40(図1参照)に相当する表示手段として、ヘッドアップディスプレイ240を備えている。またナイトビュー装置200からは、第一実施形態の音声出力部21(図1参照)及びスピーカ43(図1参照)に相当する音声出力手段が、省略されている。以下、図5及び図6、並びに図2及び図3に基づいて、第二実施形態によるナイトビュー装置200について詳細に説明する。
【0076】
示されるように、遠赤外線カメラ210は、波長が20〜100マイクロメートル程度の遠赤外線を検知することにより、可視光の少ない環境下においても前方領域90の様子を撮影することができる。一般に遠赤外線カメラ210は、検出対象物である歩行者等から放射される赤外線のエネルギーを検知して前方画像250を生成する。故に、撮影のための赤外線を投光する近赤外線投光器11(図1参照)に相当する構成は、車両から省略され得る。遠赤外線カメラ210は、撮影した前方画像250の電気信号を、画像処理に適したデジタルデータに変換する。遠赤外線カメラ210によって生成される前方画像250は、例えば、320画素×240画素のQVGAサイズである。遠赤外線カメラ210は、前方画像250を、画像処理回路220に向けて逐次出力する。
【0077】
画像処理回路220は、画像縮小部37によって、画素数を減らす調整を前方画像250に対して実施する。画像縮小部37は、切出画像260よりも高い縮小率で前方画像250を縮小させ、QVGAサイズであった前方画像250の画素数を、ヘッドアップディスプレイ240の後述する表示画面240aに対応する画素数に調整する。また、画像縮小部37は、切出画像260の画素数を維持することにより、前方画像250よりも縮小率の低い拡大画像260aを生成する。以上の処理により、画像縮小部37は、切出画像260に含まれる歩行者画像53の画素数が、前方画像250に含まれる歩行者画像53の画素数よりも多くなるようにする。ここで、第一実施形態と同様に、画像縮小部37によって縮小された前方画像250を表示用前方画像250aとする。また、表示用前方画像250aに対して相対的に拡大された切出画像260を、拡大画像260aとする。拡大画像260aには、表示用前方画像250aに含まれる歩行者画像53の画像に対して相対的に拡大された拡大歩行者画像263が含まれている。画像縮小部37は、表示用前方画像250a及び拡大画像260aの画像データ、並びに拡大画像260aの基となる切出画像260の切り出された位置を示す座標データを、合成処理部39に出力する。
【0078】
ヘッドアップディスプレイ240は、カラー表示が可能なドットマトリクス方式の表示画面240aを有している。表示画面240aの表示画素数は、例えば160画素×120画素である。表示画面240aの表示画素数は、画像取得部31によって取得される前方画像250の画素数よりも少ない。ヘッドアップディスプレイ240は、表示画面240aに配列された複数の画素を制御することにより、当該表示画面240aに種々の画像を形成する。ヘッドアップディスプレイ240は、表示画面240aに形成させた表示用前方画像250aに光を透過させる。ヘッドアップディスプレイ240は、表示用前方画像250aを透過した光を、車両のウィンドスクリーンに予め規定された投影範囲に投影することにより、当該表示用前方画像250aの虚像をウィンドスクリーン前方の空間中に結像させる。ヘッドアップディスプレイ240は、画像処理回路220の合成処理部39から逐次取得した表示用前方画像250aを連続的に投影することにより、前方領域90の様子を動画により視認者に提供することができる。
【0079】
以上のような表示を実現するため、第二実施形態による画像処理回路220は、図6に示されるような処理を行う。ナイトビュー装置200では、第一実施形態のS109及びS112に相当する処置が省略されている。
【0080】
S201では、遠赤外線カメラ210から前方画像250を取得し、S202に進む。S202〜S208は、第一実施形態におけるS102〜S108と実質的に同一である。S208では、QVGAサイズであった前方画像250の画素数を、表示画面240aに対応するように、160画素×120画素に調整する。また、S209及びS210は、第一実施形態におけるS110〜S111と実質的に同一である。S211では、S206にて描画された表示用前方画像250a、又はS210にて生成された拡大画像260aの重畳された表示用前方画像250aを、ヘッドアップディスプレイ240に出力し、再びS201に戻る。S201〜S211の処理が繰り返されることにより、ヘッドアップディスプレイ240には表示用前方画像250aが連続的に出力される。これにより、ウィンドスクリーンには、ヘッドアップディスプレイ240によって前方領域90の様子が動画として投影される。
【0081】
ここまで説明した第二実施形態でも、前方領域90に歩行者が存在するとき、ウィンドスクリーンに投影される表示用前方画像250aは、歩行者画像53を映し出すことにより、前方領域90における実際の歩行者の位置を示し得る。加えて、歩行者画像53は、拡大画像260aに拡大歩行者画像263として拡大表示される。故に、ウィンドスクリーンに投影された表示において、表示用前方画像250aに含まれる歩行者画像53が当該歩行者の形状を分かり易く示すことができなくても、拡大画像260aに含まれる拡大歩行者画像263は、歩行者の形状を分り易く示し得る。以上により、ナイトビュー装置200は、歩行者の位置及び形状を示すことができるので、視認者を混乱させてしまうこと無く、視認者による歩行者等の知覚を的確に支援できる。
【0082】
尚、第二実施形態において、遠赤外線カメラ210が特許請求の範囲に記載の「撮像手段」に相当し、合成処理部39及びヘッドアップディスプレイ240が特許請求の範囲に記載の「表示手段」に相当し、前方画像250及び表示用前方画像250aが特許請求の範囲に記載の「周辺画像」に相当し、歩行者画像53及び拡大歩行者画像263が特許請求の範囲に記載の「検出対象物の画像」に相当し、切出画像260及び拡大画像260aが特許請求の範囲に記載の「切出画像」に相当し、ナイトビュー装置200が特許請求の範囲に記載の「車両用表示装置」に相当する。
【0083】
(他の実施形態)
以上、本発明による複数の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0084】
上記実施形態において、近赤外線カメラ10及び遠赤外線カメラ210等の「撮像手段」によって生成される前方画像の画素数は、液晶ディスプレイ40及びヘッドアップディスプレイ240の「表示画面」の表示画素数よりも多かった。しかし、「撮像手段」によって生成される前方画像の画素数は、「表示画面」の表示画素数と同一であってもよく、又は表示画素数よりも少なくてもよい。
【0085】
上記実施形態において、ナイトビュー装置は、「撮像手段」としての近赤外線カメラ10及び遠赤外線カメラ210のいずれか一方と接続されていた。しかし、「撮像手段」は、周辺領域の画像を撮像できれば、上記実施形態のものに限定されない。例えば、「撮像手段」は、可視光線を検知することにより、周辺画像を撮影する可視光カメラであってもよい。
【0086】
上記実施形態において、ナイトビュー装置は、「表示手段」の一部として、液晶ディスプレイ又はヘッドアップディスプレイを備えていた。しかし、ナイトビュー装置の「表示手段」は、例えばナビゲーションシステムに設けられた液晶ディスプレイ等の外部の表示装置に向けて、前方画像を出力する出力部であってもよい。
【0087】
上記実施形態のように歩行者画像を表示画面に拡大して表示する形態において、仮に切出画像の画素数を増加させる調整が行われた場合に、表示画面に拡大表示される歩行者画像は、輪郭にジャギーが生じる等によって不鮮明になり易い。故に、上記実施形態では、切出画像は、切り出された際の画素数を維持したまま又は縮小されて、拡大画像として表示用前方画像に重畳されていた。しかし、切出画像は、不鮮明さが許容され得る範囲内であれば、前方画像から切り出された際よりも画素数を多くされて、拡大画像として表示されてもよい。又は、切出画像は、表示用前方画像の重畳範囲に適合する画像サイズとなるように、前方画像から切り出された際の画素数に応じて、拡大、縮小、及び画素数の維持のうちのいずれかの調整をされてもよい。
【0088】
上記実施形態において、液晶ディスプレイ40又はヘッドアップディスプレイ240による表示には、線画像56及び枠画像57,67が描画されていた。しかし、表示用前方画像に拡大画像が重畳されていれば、これらの線画像及び枠画像等は、表示用前方画像に重畳されなくてもよい。また、表示用前方画像に重畳される拡大画像は、半透明な状態にされなくてもよく、さらには点滅しなくてもよい。
【0089】
上記実施形態において、拡大画像60a,260aは、切出画像60,260に含まれる歩行者画像53の高さ方向の画素数が閾値よりも小さい場合に、表示用前方画像50a,250aに重畳されていた。これにより、互いに大きさの類似する複数の歩行者画像53が表示画面40aに表示され、視認者を混乱させる要因とならないようにされていた。この表示用前方画像に重畳される拡大画像の拡大画像は、予め規定された規定距離よりも車両から離れて位置する歩行者を表していた。この閾値は、「撮像手段」によって生成される周辺画像の画素数、「撮像手段」の有するレンズの画角、及び予め規定される規定距離等によって適宜変更されてよい。また、ナイトビュー装置には、閾値が設定されなくてもよい。即ち、ナイトビュー装置は、車両の近傍に位置する歩行者を拡大画像によって視認者に報知してもよい。加えて、閾値は、前方画像から切り出された際の切出画像に含まれる歩行者画像の高さ方向の画素数に対して設定されていてもよく、又は、画像縮小部によって画素数を調整された拡大画像に含まれる歩行者画像の高さ方向の画素数に対して設定されていてもよい。
【0090】
上記実施形態において、ナイトビュー装置は、歩行者画像53の高さ方向の画素数が閾値よりも小さい切出画像60が複数ある場合、歩行者画像53の高さ方向の画素数が最も多い一つを表示用前方画像50aに重畳して、表示画面40aに表示していた。しかし、表示画面に表示される表示用前方画像には、複数の拡大画像が重畳されていてもよい。
【0091】
上記実施形態において、ナイトビュー装置は、右ハンドルの車両に搭載されることを想定され、表示用前方画像50aの右側の範囲50rに、拡大画像60aを重畳させていた。一方で、運転席が進行方向に対して左側に設けられる場合には、運転席に着座する視認者は、当該視認者の正面から外れる周辺領域の右側の部分を視認し難くなる。そこで、切出画像を前方画像に重畳する位置は、運転席の設けられる幅方向の位置に対応させ、表示画面の水平方向の左側の範囲50lとされる。すると、表示画面の水平方向の右側の範囲50rは、周辺画像に重畳される切出画像に妨げられることなく、視認者にとって見難い周辺領域の右側の部分を映し出すことができる。
【0092】
上記実施形態において、歩行者検出部35は、HOG特徴量を用いたAdaBoostによって構築される識別器に基づいて、前方画像50から歩行者画像53を検出していた。しかし、ナイトビュー装置が歩行者等の検出対象物の画像を検出するための識別器は、上記実施形態によるものに限定されない。例えば、歩行者検出部は、JOINT HOG特徴量を用いた二段階AdaBoostによって構築される識別器に基づいて、前方画像から歩行者の画像を検出してもよい。又は、HOG特徴量のような輝度勾配ではなく、平均輝度に基づくHaar‐Like特徴量を用いて歩行者の画像の特徴的な形状を学習させる、Viola&Jones法によって、歩行者画像を検出するための識別器が構築されていてもよい。
【0093】
上記実施形態において、画像処理回路20は、表示用前方画像、拡大画像、並びに線画像及び枠画像を、一旦異なるレイヤに描画したうえで、これらのレイヤを重ねる処理を行うことにより、各画像を前方画像に重畳していた。しかし、画像処理回路は、前方画像において、各画像の重畳範囲にあたる画素の階調データを直接的に更新することにより、拡大画像を前方画像に重畳する形態であってもよい。
【0094】
上記実施形態では、画像処理回路20によってプログラムが実行されることにより、機能ブロックとしての歩行者検出部35及び画像縮小部37等が構成される形態であった。しかし、これら歩行者検出部及び画像縮小部等の機能は、それぞれ別の回路によって果たされてもよい。これら歩行者検出部及び画像縮小部等として機能する回路は、画像処理回路20のようにプログラムをプロセッサによって実行することにより所定の機能を果たす回路であってもよく、又はプログラムの実行によらないアナログ回路であってもよい。
【0095】
上記実施形態において、ナイトビュー装置は、前方領域90を撮影する撮像手段から前方画像を取得していた。しかし、ナイトビュー装置は、車両の周辺領域であれば、車両の後方領域又は側方領域の画像から、歩行者等の検出対象物の画像を検出してもよい。また、上記実施形態では、ナイトビュー装置は、検知対象物として歩行者を検知していた。しかし、ナイトビュー装置によって検知される検知対象物は、歩行者に限定されない。例えば、車両、自転車又は二輪車に搭乗する人間、及び鹿や猪等の動物等が検知対象物として予め設定されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
10 近赤外線カメラ(撮像手段)、210 遠赤外線カメラ(撮像手段)、11 近赤外線投光器、20,220 画像処理回路、21 音声出力部(音声出力手段)、31 画像取得部(画像取得手段、33 切出部(切出手段)、35 歩行者検出部(検出手段,切出手段)、37 画像縮小部(画像調整部)、39 合成処理部(表示手段)、40 液晶ディスプレイ(表示手段)、240 ヘッドアップディスプレイ(表示手段)、40a,240 表示画面、43 スピーカ(音声出力手段)、50,250 前方画像(周辺画像)、50a,250a 表示用前方画像(周辺画像)、50l 左側の範囲、50r 右側の範囲、51 切出範囲、53 歩行者画像(検出対象物の画像)、54 重畳範囲、55 探索ウィンドウ、56 線画像、57,67 枠画像、60,260 切出画像、60a,260a 拡大画像(切出画像)、63,263 拡大歩行者画像(検出対象物の画像)、90 前方領域(周辺領域)、100,200 ナイトビュー装置(車両用表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺領域を撮影する撮像手段によって生成される周辺画像を、表示画面に表示する車両用表示装置であって、
前記撮像手段から前記周辺画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段によって取得された前記周辺画像から、予め設定された検出対象物の画像を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出される前記検出対象物の画像を含む切出画像を、前記周辺画像から切り出す切出手段と、
前記切出手段によって切り出された前記切出画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数が、前記周辺画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数よりも多くなるように、前記周辺画像及び前記切出画像のうち少なくとも一方の画像の画素数を調整する画像調整手段と、
前記切出画像を前記周辺画像に重畳して、前記表示画面に表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記画像取得手段は、前記表示画面の表示画素数よりも画素数の多い前記周辺画像を前記撮像手段から取得し、
前記画像調整手段は、前記切出画像よりも前記周辺画像を高い縮小率にて縮小することにより、当該周辺画像の画素数を前記表示画面の表示画素数に対応させると共に、前記切出画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数を、前記周辺画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数よりも多くすることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記表示画面における前記切出画像と前記周辺画像との境界に、当該切出画像の外縁に沿う枠画像を表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記切出手段によって切り出された前記切出画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数が、予め設定された閾値よりも小さい場合に、当該切出画像を前記周辺画像に重畳して、前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記画像調整手段は、前記切出手段によって複数の前記切出画像が切り出された場合に、当該複数の切出画像のうち、それぞれに含まれる各前記検出対象物の画像の画素数が最も大きい前記切出画像について、当該切出画像に含まれる前記検出対象物の画素数が、前記周辺画像に含まれる前記検出対象物の画像の画素数よりも多くなるように、前記周辺画像及び前記切出画像のうち少なくとも一方の画像の画素数を調整し、
前記表示手段は、画素数が最も大きい前記検出対象物の画像を含む前記切出画像を前記周辺画像に重畳して、前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、前記表示画面の水平方向において、前記切出画像を前記周辺画像に重畳する位置を、前記車両の幅方向において、運転席の設けられる位置に対応させることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示手段は、前記周辺画像において前記切出画像の重畳される重畳範囲を、当該切出画像を透かすことにより表示することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
前記表示手段は、前記切出画像を前記周辺画像に断続的に重畳することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項9】
前記表示手段が前記切出画像を前記周辺画像に重畳することにより、予め設定された音声を前記車両の車室内に出力する音声出力手段、をさらに備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項10】
前記表示手段は、前記表示画面において、前記周辺画像に重畳される前記切出画像と、当該切出画像が切り出された前記周辺画像の切出範囲との間に、これら切出画像及び切出範囲を繋ぐ線状の線画像を表示することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の車両用表示装置。
【請求項11】
表示手段は、前記周辺画像に含まれる前記検出対象物の画像を、当該周辺画像に重畳される前記切出画像に拡大して、前記表示画面に表示することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−171387(P2012−171387A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32443(P2011−32443)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】