説明

車両用計器

【課題】液晶パネルの各表示物の照明色を変えつつ自由なデザインで各表示物を表示する。
【解決手段】プリント基板6の表面側にプリント基板6と間隔があくように液晶パネル10をパネル状取付部材8で取り付ける。照明空間層Saをプリント基板6、液晶パネル10及び取付部材8の間に形成する。照明空間層Saを2つの第1及び第2照明領域Sa1,Sa2に仕切る角筒部83をプリント基板6に立設し、第1及び第2照明領域Sa1,Sa2を液晶パネル10側で連通させる。第1照明領域Sa1に対応する白LED9aが点灯し、第2照明領域Sa2に対応する青LED9bが消灯した状態で、白LED9aから照射される光の一部を角筒部83を越えて第2照明領域Sa2を通過させて液晶パネル10を透過させることにより、液晶パネル10に角筒部83を跨ぐ文字を白色で表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態が表示される液晶パネルを備えた車両用計器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の運転席前方に設けられた車両用計器には、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態を表示する液晶パネルが設けられている。該液晶パネルは、自発光式ではなく、背面側に配置された光源を透過させたり、又は、太陽光の光を透過・反射させることによって文字等の表示物を表示させるようになっている。
【0003】
ところで、近年では、車両用計器の意匠性を高めるために、上記液晶パネルに表示される表示物の照明色をそれぞれ変えるようにしている。例えば、特許文献1に開示されている車両用計器は、液晶パネル背面側に形成された照明空間層を2つの第1及び第2照明領域に仕切る仕切板を備え、上記第1及び第2照明領域には、それぞれ上記液晶パネルに照明色の異なる光を照射する光源が設けられている。そして、上記液晶パネルにおける第1照明領域に対応する部分に表示される表示物と、第2照明領域に対応する部分に表示される表示物とで照明色を変えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−151251号公報(段落0017〜0022欄、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の液晶パネルは、表示物を様々な大きさやレイアウトで表示できるようになっている。
【0006】
しかし、特許文献1の車両用計器では、仕切板が拡散板の裏面側に隙間無く接触しているので、第1照明領域の光源から照射される光が第2照明領域に到達しない。したがって、液晶パネルに表示物を表示する際に、上記仕切板を跨いで表示物を表示しようとすると当該表示物が仕切板と拡散板との接触部分に表示されなくなるので、上記仕切板を跨がないように表示物を表示しなければならず、表示物のデザインの自由度が制限されてしまう。
【0007】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、液晶パネルの各表示物の照明色を変えつつ自由なデザインで各表示物を表示できる車両用計器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、液晶パネルの背面側に形成された照明空間層を仕切板で2つの照明領域に仕切り、仕切られた両照明領域の液晶パネル側を連通させたことを特徴とする。
【0009】
すなわち、第1の発明では、液晶パネルと、電子部品が実装されたプリント基板と、該プリント基板の正面側に当該プリント基板と間隔をあけて上記液晶パネルを取り付けるパネル状取付手段と、上記プリント基板、上記液晶パネル及び上記取付手段の間に形成された照明空間層と、上記プリント基板に高さが上記照明空間層の層厚よりも短くなるように立設され、上記照明空間層を2つの第1及び第2照明領域に仕切ってこれら第1及び第2照明領域を上記液晶パネル側で連通させる仕切板と、上記各照明領域に対応するように上記プリント基板に取り付けられ、上記液晶パネルに照明色の異なる光を照射する光源とを備え、上記第1照明領域の光源が点灯し、且つ、上記第2照明領域の光源が消灯した状態で、上記第1照明領域の光源から照射される光の一部が上記仕切板を越えて上記第2照明領域を通過して、上記液晶パネルを透過することにより、当該液晶パネルに上記仕切板を跨ぐ表示物が上記第1照明領域の光源の照明色で表示されるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明では、第1の発明において、上記仕切板は、環状をなし、当該環状の仕切板の外方を上記第1照明領域に、内方を上記第2照明領域にし、該第1照明領域には、同種の照明色の光を照射する光源が上記仕切板の両側に一対設けられ、上記仕切板は、上記第1照明領域の各光源が点灯し、且つ、上記第2照明領域の光源が消灯した状態で、上記第1照明領域の各光源から照射されて上記仕切板を越えて上記第1照明領域に到達した光が上記液晶パネル側で互いに交差するような突出寸法に設定されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明では、第2の発明において、上記第2照明領域には、上記第1照明領域の光源と同種の照明色を照射する光源が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明では、液晶パネルにおける第2照明領域に対応する位置に仕切板を跨いで表示される表示物が、両照明領域にそれぞれ対応するように配置された照明色の異なる光源のうちの第2照明領域に対応する光源から照射される光の照明色だけではなく第1照明領域に対応する光源から照射される光の照明色でも表示されるようになる。したがって、液晶パネルにおける第2照明領域に対応する位置に表示される各表示物の照明色をそれぞれ変えることができ、しかも、仕切板の位置に左右されることなく表示物の表示する位置を決めることができるので、表示物のデザインの自由度が増す。
【0013】
第2の発明では、第1照明領域の同種の2つの光源から照射される光で第2照明領域がバランス良く照明されるようになる。したがって、第2照明領域に対応する液晶パネルの表示領域で表示される表示物を第1照明領域の2つの光源から照射される光の照明色で鮮明に表示させることができる。
【0014】
第3の発明では、第2照明領域に対応する液晶パネルの表示領域に表示される表示物を第1照明領域の光源から照射される光で表示する場合、第2照明領域に対応する液晶パネルの表示領域に、第1照明領域に位置する同種の2つの光源から照射される光に加えて第2照明領域に位置する追加した光源から照射される光が透過するようになり、上述の第2の発明よりもさらに表示物を鮮明に表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用計器の正面図である。
【図2】実施形態に係る車両用計器の分解斜視図である。
【図3】取付部材の斜視図である。
【図4】プリント基板に取り付けられた液晶パネルの正面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図4のB−B線断面図である。
【図7】液晶パネルに表示物が表示された状態の正面図であり、(a)は、車両走行前後の表示を、(b)は、車両走行中の表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用計器1を示す。該車両用計器1は、エンジンと共にモータを利用して走行する、所謂ハイブリッドカーと呼ばれる自動車用のものであり、運転席前方に位置するインストルメントパネル(図示せず)内に収められている。上記車両用計器1の中央には、車両の速度を表示する速度メーター1aが位置し、該速度メーター1aを挟んで車幅方向左側には、エンジンの回転数を表示するタコメーター1bが位置し、そして、車幅方向右側には、車両の速度及びエンジンの回転数以外の車両の各種状態を表示する略矩形状の液晶パネル10(図4参照)が位置している。
【0018】
上記車両用計器1は、図2に示すように、車幅方向に延びる略矩形パネル状の樹脂製計器本体2を備え、該計器本体2の上端縁は、車幅方向中央部分が上方に位置するように緩やかに湾曲しており、車幅方向右側部分には、略矩形状の貫通窓2aが形成されている。
【0019】
上記計器本体2の表面側には、目盛や文字を表示するための樹脂製文字盤3が上記計器本体2の表面側全域を覆うように配設され、該文字盤3の車幅方向右側部分には、略矩形状の貫通窓3aが形成されている。
【0020】
また、上記文字盤3の表面側には、上記計器本体2の前面側を覆うフロントカバー4と、該フロントカバー4の前面側全域を覆う透明樹脂製の保護ガラス5とが設けられ、該保護ガラス5は、上記フロントカバー4の表面側に組み付けられ、当該フロントカバー4は、上記計器本体2に前面側から外嵌合するようになっている。
【0021】
一方、上記計器本体2の裏面側には、電子部品等が実装された略矩形板状のプリント基板6と、該プリント基板6の裏面側全域を覆うリアケース7とが配設され、上記プリント基板6は、上記フロントカバー4を上記リアケース7に前面側から組み付ける際、上記リアケース7と上記計器本体2との間で挟まれて固定されるようになっている。
【0022】
また、上記プリント基板6の車幅方向右寄り表面側には、当該プリント基板6と間隔をあけて上記液晶パネル10を上記プリント基板6に取り付けるパネル状取付部材(取付手段)8が設けられている。
【0023】
該取付部材8は、図3に示すように、正面視で略矩形状のパネル面部8aと、該パネル面部8aの外周縁からプリント基板6側に延出する外側壁部8bとを備え、該外側壁部8bの上辺部及び下辺部には、上記取付部材8をプリント基板6へ取り付けるための係合片8cが複数設けられている。
【0024】
上記パネル面部8aの上部から中央下寄りまでの位置には、上記プリント基板6側に凹陥する上側照明部81が形成され、上記パネル面部8aの下部には、上記プリント基板6側に凹陥する下側照明部84が上記上側照明部81に隣接して形成されている。
【0025】
上記上側照明部81は、図5及び図6に示すように、緩やかに内方に傾斜しながら上記プリント基板6側に延びる略矩形枠状の上側内側壁部81aと、該上側内側壁部81aの延出端に連続する略矩形板状の上側底壁部81bとで構成され、上記上側内側壁部81aの上辺部は、車幅方向中央部分が上方に位置するように緩やかに湾曲する一方、下辺部は、車幅方向に沿って真っ直ぐに延びている。
【0026】
上記上側底壁部81bには、図3、図4及び図7に示すように、上下方向に延びる6つの長孔82が貫通形成されている。該各長孔82のうちの4つ(以下、長孔82aと呼ぶ)はそれぞれ当該上側底壁部81bの四隅に、各長孔82のうちの1つ(以下、長孔82bと呼ぶ)は車幅方向中央下寄りに、各長孔82のうちの1つ(以下、長孔82cと呼ぶ)は車幅方向中央上部に形成され、該長孔82cは、上記長孔82a、82bより上下の寸法が長くなるように形成されている。
【0027】
上記取付部材8の前面には、図5及び図6に示すように、略矩形板状の樹脂製拡散板20が配設され、該拡散板20は、透過する光を拡散させて照明ムラを抑えるようになっている。
【0028】
そして、上記プリント基板6、上記拡散板20(液晶パネル10)及び上記上側照明部81(取付部材8)の間に照明空間層Sa(図5及び図6参照)が形成されている。
【0029】
上記長孔82cの開口周縁には、環状をなす角筒部(仕切板)83が液晶パネル10側に突設され、上記角筒部83は、上記照明空間層Saを当該角筒部83の外方の第1照明領域Sa1と内方の第2照明領域Sa2とに仕切っている。
【0030】
上記角筒部83は、図5及び図6に示すように、上下に位置する上壁部83a及び下壁部83bと、車幅方向両側に位置して上記上壁部83a及び下壁部83bの各側端縁に連続する側壁部83c,83dとからなり、上記下壁部83bは、先端側に向かうにつれて緩やかに上傾している。
【0031】
上記上壁部83a及び上記側壁部83c,83dの上側は、上記下壁部83b及び上記側壁部83c,83dの下側よりも突出寸法が短く設定されている。
【0032】
そして、上記角筒部83は、上記車両用計器1を組み立てた状態で、当該プリント基板6に高さが上記照明空間層Saの層厚より短くなるように立設され、上記第1及び第2照明領域Sa1,Sa2を上記液晶パネル10側で連通させるようになっている。
【0033】
一方、上記下側照明部84は、図3に示すように、緩やかに内方に傾斜しながらプリント基板6側に延びる略矩形枠状の下側内側壁部84aと、該下側内側壁部84aの延出端に連続する略矩形板状の下側底壁部84bとで構成され、上記下側内側壁部84aの下辺部は、車幅方向中央部分が下方に位置するように緩やかに湾曲する一方、上辺部は、車幅方向に沿って真っ直ぐに延び、液晶パネル10側で上記上側内側壁部81aの下辺部と繋がっている。
【0034】
上記下側底壁部84bには、図3に示すように、上下方向に延びる2つの長孔85a,85bが車幅方向に所定の間隔をあけて貫通形成されている。
【0035】
そして、上記プリント基板6、上記拡散板20及び上記下側照明部84の間に照明空間層Sb(図5及び図6参照)が形成されている。
【0036】
上記液晶パネル10は、光が透過することにより文字等が表示されるモノクロタイプのTFT液晶又はSTN液晶であり、図1に示すように、上記貫通窓3aから車両内部に臨んでいる。
【0037】
上記液晶パネル10の上記照明空間Sbに対応する領域は、図7(a)、(b)に示すように、燃料残量表示10aを表示するようになっていて、該燃料残量表示10aには、車幅方向に延びる燃料残量バー11が表示され、該燃料残量バー11は、車幅方向右側が表示されるほど車両の燃料タンク内に燃料が満たされている状態を示すようになっている。
【0038】
上記液晶パネル10の上記照明空間Saに対応する領域は、主に車両走行の前後に表示する表示パターンAと、車両走行時に表示する表示パターンBとに切り替えが可能となっていて、表示パターンAは、図7(a)に示すように、燃費情報表示10bを表示し、表示パターンBは、図7(b)に示すように、エネルギ状態表示10cを表示するようになっている。
【0039】
上記表示パターンAの燃費情報表示10bでは、上方の領域に”瞬間燃費”という文字16aと瞬間燃費の計算値16bとが上下2段で表示されるとともに、下方の領域に”平均燃費”という文字17aと平均燃費の計算値17bとが上下2段で表示され、上記文字16aは、上記角筒部83を跨いで表示されるようになっている。
【0040】
上記表示パターンBのエネルギ状態表示10cでは、各々が略円弧状をなす7つの表示バー12が表示され、該各表示バー12は、車幅方向中央が上方に位置する円弧状に等間隔に並んで表示されるようになっている。
【0041】
上記7つの表示バー12のうちの1つ(以下、表示バー12Aと呼ぶ)は、車幅方向中央上部に位置している。該表示バー12Aは、他の6つの表示バー12より上下に幅広で、図7(b)に示すように、上記角筒部83を跨いで表示されている。
【0042】
また、上記表示バー12Aの車幅方向右側下部には、上記7つの表示バー12のうちの3つ(以下、表示バー12Bと呼ぶ)が位置し、その下方には、”POWER”という文字14が表示されるようになっている。
【0043】
一方、上記表示バー12Aの車幅方向左側下部には、上記7つの表示バー12のうちの3つ(以下、表示バー12Cと呼ぶ)が位置し、その最下部に位置する表示バー12Cは下方に向く矢印形状をなしている。そして、当該矢印形状の表示バー12Cの下方には、”CHARGE”という文字15が表示されるようになっている。
【0044】
また、上記液晶パネル10の略中央部分には、”エネルギー状態”という文字13が表示され、該文字13の外側には、上記7つの表示バー12の内側に沿って延びる円弧線13aが表示されている。
【0045】
上記プリント基板6の車幅方向右側上部には、図7に示すように、上記各長孔82a及び長孔82bに対応する位置にそれぞれ白色の光を照射する白LED(光源)9aが配設され、上記長孔82cに対応する位置に上記各長孔82a、82bに対応する白LED9aと同種の照明色を照射する白LED9aと青色の光を照射する青LED(光源)9bと黄色の光を照射する黄LED9cとが下から上に向かって順に並設されている。
【0046】
上記プリント基板6に上記取付部材8を取り付けた状態で、上記各長孔82a及び長孔82bにそれぞれ位置する白LED9aは、上記第1照明領域Sa1に対応し、上記長孔82cに位置する白LED9a、青LED9b及び黄LED9cは、上記第2照明領域Sa2に対応していて、上方に位置する2つの長孔82aに位置する白LED9aは、上記角筒部83の両側に位置している。
【0047】
また、上記プリント基板6の車幅方向右側下部には、上記長孔85a,85bにそれぞれ対応する位置に上記長孔82cに対応する黄LED9cと同種の照明色を照射する黄LED9cと上記第2照明領域Sa2に対応する各白LED9aと同種の照明色を照射する白LED9aとが下から上に向かって順に並設され、上記プリント基板6に上記取付部材8を取り付けた状態で、上記長孔85a,85bに位置する黄LED9c及び白LED9aは上記照明空間Sbに対応するようになっている。
【0048】
そして、上記長孔85a,85bに対応する各白LED9aが点灯した状態で、且つ、上記長孔85a,85bに対応する各黄LED9cが消灯した状態で、上記白LED9aから照射される光(図3の光L1参照)が上記照明空間Sbを通過して上記液晶パネル10を透過することにより、燃料残量バー11が白色の照明色で表示され、燃料タンク内に燃料が十分に満たされていることを目視確認できるようになっている。
【0049】
また、上記長孔85a,85bに対応する各白LED9aが消灯した状態で、且つ、上記長孔85a,85bに対応する各黄LED9cが点灯した状態で、上記黄LED9cから照射される光(図3の光L2参照)が上記照明空間Sbを通過して上記液晶パネル10を透過することにより、燃料残量バー11が黄色の照明色で表示され、燃料タンク内の燃料が残り少なくなっていることを目視確認できるようになっている。
【0050】
一方、主に車両走行前、又は車両走行後の液晶パネル10上部は表示パターンAとなり、上記角筒部83は、上側に位置する各長孔82aに対応する各白LED9aが点灯し、且つ、上記長孔82cに対応する青LED9b及び黄LED9cが消灯した状態で、上側に位置する各長孔82aに対応する各白LED9aから照射されて上記角筒部83を越えて上記第2照明領域Sa2に到達した光(図5の光L3参照)が上記液晶パネル10側で互いに交差するような突出寸法に設定され、上側に位置する各長孔82aに対応する各白LED9aから照射される光(図5の光L3,L4参照)が上記第1及び第2照明領域Sa1,Sa2を通過して、上記液晶パネル10を透過することにより、上記液晶パネル10に文字16aが白色の照明色で表示されるようになっている。
【0051】
したがって、第1照明領域Sa1の上側に位置する各長孔82aに対応する2つの同種の白LED9aから照射される光で上記第2照明領域Sa2がバランス良く照明されるようになるので、第2照明領域Sa2に対応する液晶パネル10の表示領域で表示される文字16aを第1照明領域Sa1の2つの白LED9aから照射される白色の光で鮮明に表示させることができる。
【0052】
さらに、上記長孔82cに対応する白LED9aから照射される光(図3の光L5参照)が上記第2照明領域Sa2を通過して、上記液晶パネル10を透過するようになっている。したがって、上記第2照明領域Sa2に対応する液晶パネル10の表示領域に表示される文字16aを第1照明領域Sa1の2つの白LED9aから照射される光で表示する場合、第2照明領域Sa2に対応する液晶パネル10の表示領域に、第1照明領域Sa1に位置する同種の2つの白LED9aから照射される光に加えて第2照明領域Sa2に位置する追加した白LED9aから照射される光が透過するようになり、さらに文字16aを鮮明に表示させることができる。
【0053】
また、第1照明領域Sa1の下側に位置する各長孔82a及び長孔82bに対応する白LED9aが点灯し、各白LED9aから照射される光(図3の光L6,L10参照)が上記第1照明領域Sa1を通過して、上記液晶パネル10を透過することにより、上記液晶パネル10に計算値16b及び文字17a,17bが白色の照明色で表示されるようになっている。
【0054】
一方、車両走行時には、液晶パネル10上部は表示パターンBで表示されるようになっている。
【0055】
車両走行時の駆動にモータの出力を利用する際の表示パターンBは、上記表示バー12A、車幅方向右側の各表示バー12B及び文字14を表示し、車幅方向左側の各表示バー12C及び文字15を表示しないようになっている。
【0056】
上記車幅方向右側の各表示バー12B及び文字14は、各長孔82a及び長孔82bに対応する各白LED9aが点灯し、該各白LED9aから照射される光(図3の光L4,L6参照)が上記第1照明領域Sa1を通過して、上記液晶パネル10を透過することにより、白色の照明色で表示されるようになっている。そして、上記各表示バー12Bは、モータの出力に応じて表示される数が変更されるようになっていて、モータの出力が小さいと上部に位置する表示バー12Bのみが表示され、モータの出力が大きくなるにつれ、中央と下部とに位置する表示バー12Bが順次表示されるようになっている。
【0057】
また、上記表示バー12Aは、上記長孔82cに対応する黄LED9cが点灯し、且つ、上記長孔82cに対応する白LED9a及び青LED9bが消灯した状態で、上記長孔82cに対応する黄LED9cから照射される光(図3の光L9参照)が第2照明領域Sa2を通過して上記液晶パネル10を透過するとともに、上記黄LED9cから照射される光の一部が上記角筒部83を越えて上記第1照明領域Sa1を通過して上記液晶パネル10を透過することにより、黄色の照明色で表示されるようになっている。
【0058】
一方、車両走行時に自動車のブレーキ動作等により発生する回生エネルギをバッテリに充電する際の表示パターンBは、上記表示バー12A、車幅方向左側の各表示バー12C及び文字15を表示し、車幅方向右側の各表示バー12B及び文字14を表示しないようになっている。
【0059】
上記車幅方向左側の各表示バー12C及び文字15は、各長孔82a及び長孔82bに対応する各白LED9aが点灯し、該各白LED9aから照射される光(図3の光L4,L6参照)が上記第1照明領域Sa1を通過して、上記液晶パネル10を透過することにより、白色の照明色で表示されるようになっている。そして、上記各表示バー12Cは、バッテリの充電量に応じて表示される数が変更されるようになっていて、充電量が少ないと上部に位置する表示バー12Cのみが表示され、充電量が多くなるにつれ、中央と下部とに位置する表示バー12Cが順次表示されるようになっている。
【0060】
また、上記表示バー12Aは、上記長孔82cに対応する青LED9bが点灯し、且つ、上記長孔82cに対応する白LED9a及び黄LED9cが消灯した状態で、上記長孔82cに対応する青LED9bから照射される光(図5の光L7参照)が第2照明領域Sa2を通過して上記液晶パネル10を透過するとともに、上記青LED9bから照射される光の一部(図5の光L8参照)が上記角筒部83を越えて上記第1照明領域Sa1を通過して上記液晶パネル10を透過することにより、青色の照明色で表示されるように構成されている。
【0061】
したがって、本発明の実施形態によれば、上記液晶パネル10における第2照明領域Sa2に対応する位置に角筒部83を跨いで表示される文字16a,表示バー12Aが、両照明領域Sa1,Sa2にそれぞれ対応するように配置された照明色の異なる白LED9a,青LED9b及び黄LED9cのうちの第2照明領域Sa2に対応する青LED9b及び黄LED9cから照射される光の照明色だけではなく第1照明領域Sa1に対応する白LED9aから照射される光の照明色でも表示されるようになる。したがって、液晶パネル10における第2照明領域Sa2に対応する位置に表示される各表示物(表示バー12A及び文字16a)の照明色をそれぞれ変えることができ、しかも、角筒部83の位置に左右されることなく文字16a及び表示バー12Aの表示する位置を決めることができ、文字16a及び表示バー12Aのデザイン自由度が増す。
【0062】
また、車両走行時の駆動にモータの出力を利用する状態と車両走行時に自動車のブレーキ動作等により発生する回生エネルギをバッテリに充電する状態とで、液晶パネル10に表示される表示バー12Aの照明色を黄色と青色とに変えているので、上記各状態を表示バー12B及び12Cの表示・非表示のみで表現する場合に比べて運転者は上記各状態の違いをさらに直感的に理解し易くなる。
【0063】
尚、本発明の実施形態では、光源にLEDを用いているが、これに限らず、他の種類の光源を用いてもよい。
【0064】
また、本発明の実施形態では、計器本体2と取付部材8とが別体であるが、一体に形成してもよい。
【0065】
また、本発明の実施形態では、環状の角筒部83が照明空間層Saを2つに仕切る仕切板として機能しているが、環状の仕切板に限らず、板状の仕切板であってもよい。
【0066】
さらに、本実施形態では、液晶パネル10の表示を所謂ハイブリッドカーに対応する表示としているが、特にハイブリッドカーに対応する表示に限らず、本発明の構造は様々な車種の表示に対応できる。
【0067】
それに加えて、本実施形態では、自動車に用いられる車両用計器1についての適用について説明したが、例えば、自動二輪車に適用してもよいし、他の車両に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、走行距離や燃料残量等の車両の各種状態が表示される液晶パネルを備えた車両用計器に適している。
【符号の説明】
【0069】
1 車両用計器
6 プリント基板
8 取付部材(取付手段)
9a 白LED(光源)
9b 青LED(光源)
9c 黄LED(光源)
10 液晶パネル
12A 表示バー(表示物)
13 文字(表示物)
83 角筒部(仕切板)
Sa 照明空間層
Sa1 第1照明領域
Sa2 第2照明領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
電子部品が実装されたプリント基板と、
該プリント基板の正面側に当該プリント基板と間隔をあけて上記液晶パネルを取り付けるパネル状取付手段と、
上記プリント基板、上記液晶パネル及び上記取付手段の間に形成された照明空間層と、
上記プリント基板に高さが上記照明空間層の層厚よりも短くなるように立設され、上記照明空間層を2つの第1及び第2照明領域に仕切ってこれら第1及び第2照明領域を上記液晶パネル側で連通させる仕切板と、
上記各照明領域に対応するように上記プリント基板に取り付けられ、上記液晶パネルに照明色の異なる光を照射する光源とを備え、
上記第1照明領域の光源が点灯し、且つ、上記第2照明領域の光源が消灯した状態で、上記第1照明領域の光源から照射される光の一部が上記仕切板を越えて上記第2照明領域を通過して、上記液晶パネルを透過することにより、当該液晶パネルに上記仕切板を跨ぐ表示物が上記第1照明領域の光源の照明色で表示されるように構成されていることを特徴とする車両用計器。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用計器において、
上記仕切板は、環状をなし、当該環状の仕切板の外方を上記第1照明領域に、内方を上記第2照明領域にし、
該第1照明領域には、同種の照明色の光を照射する光源が上記仕切板の両側に一対設けられ、
上記仕切板は、上記第1照明領域の各光源が点灯し、且つ、上記第2照明領域の光源が消灯した状態で、上記第1照明領域の各光源から照射されて上記仕切板を越えて上記第1照明領域に到達した光が上記液晶パネル側で互いに交差するような突出寸法に設定されていることを特徴とする車両用計器。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用計器において、
上記第2照明領域には、上記第1照明領域の光源と同種の照明色を照射する光源が設けられていることを特徴とする車両用計器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−92462(P2013−92462A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235165(P2011−235165)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(591182112)NSウエスト株式会社 (10)
【Fターム(参考)】