説明

車両番号監視用撮像装置

【課題】感度に優れたCCDカメラを用い、簡単な構成でありながら車両番号の認識に必要な最適画像をタイミング良く、しかも短時間のうちに確実に撮像することのできる車両番号監視用撮像装置を提供すること。
【解決手段】車両検知モード露光パルス発生回路109と、車両番号認識モード露光パルス発生回路110と、露光パルス切替回路108と、CCD電荷転送回路111と、CCD電荷掃き捨て用高速転送回路112と、CCD電荷転送切替回路102と、CCD駆動回路101と、CCD100と、映像信号処理回路103と、出力画像信号から車両を検知する車両検知処理手段104,105と、車両検知モードと車両番号認識モードに応じて露光パルス切替回路108とCCD電荷転送切替回路102を切替制御するモード切替制御回路113とを具え、車両検知モード時は半画面の撮像画像を、車両番号認識モード時は全画面の撮像画像を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像した画像から車両を検知した時に、車両番号の認識に必要な最適画像を撮像するための車両番号監視用撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両番号の監視システムとして、走行中の車両を前または後ろから撮像してナンバープレートを含む画像を撮像し、その得られた画像から車両番号を認識するシステムが知られている。また、通過ゲートを用いて車両の検知を行い、ゲート位置で車両を検知した後、車両番号の認識を行うシステムも知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、1台のテレビジョンカメラを用い、まず低解像度で撮像しながら車両検知を行い、車両が検知された時点で高解像度に切り替えて再び撮像し、この高解像度画像を用いて車両番号を認識するようにした車番認識システムが開示されている。
【0004】
車両番号の認識に使用する画像は1画面(1フレームまたは1フィールド)で十分であるが、このような瞬時の画像をとらえるための装置として、特許文献2に記載のCCDカメラ装置がある。この特許文献2に記載の装置は、本出願人の提案に係るものであって、連続撮影と高解像度のランダムシャッタを用いて走行車両を撮像するようにしたもので、静止画となるランダムシャッタ使用時にもオートアイリス機構を使用可能としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−94412号公報(全頁、全図)
【特許文献2】特許第3898468号公報(全頁、全図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
走行中の車両から車両番号(ナンバープレート)を含む画像を撮像するにあたり、1台のテレビジョンカメラで行うとすれば、車両番号の認識には車両番号の書かれたナンバープレートが撮像画像の真ん中にくるように撮像することが望ましい。これを実現するには、走行する車両について車両検知を行い、この車両検知結果に基づいて適切なタイミングで走行する車両を撮像する必要がある。画像処理によって車両検知を行う場合、車両検知のための画像処理に時間がかかると、撮像するタイミングを外してしまい、車両番号の書かれたナンバープレートが撮像画像の中心位置から外れたり、最悪の場合には車両が通過して車両番号を含む画像の撮像を取り逃がしてしまう可能性がある。
【0007】
また、前記特許文献1のシステムのように低解像度で撮像するにしても、全画面撮影した後に画像処理するため、通過する車両の画像を取り逃がす危険性もある。さらに、一般的に前記特許文献1のシステムで使用しているCMOSカメラは、CCD(Charge Coupled Device)カメラに比べて感度が悪いため、撮像後に画像処理して使用する場合には不向きな面もある。
【0008】
本発明は、このような問題を鑑みて、感度に優れたCCDカメラを用い、簡単な構成でありながら車両番号の認識に必要な最適画像をタイミング良く、しかも短時間のうちに確実に撮像することのできる車両番号監視用撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、進行してくる車両を2つの露光時間に応じて切替撮像する車両番号監視用撮像装置であって、車両検知用画像を撮像するときの車両検知モードと、車両番号認識用画像を撮像するときの車両番号認識モードを有し、前記車両検知モードの露光時間に対応する時間の露光パルスを発生する車両検知モード露光パルス発生手段と、前記車両番号認識モードの露光時間に対応する時間の露光パルスを発生する車両番号認識モード露光パルス発生手段と、前記車両検知モード露光パルス発生手段と前記車両番号認識モード露光パルス発生手段のいずれかを切り替える露光パルス切替手段と、CCDの垂直電荷転送を通常の走査速度で行うCCD電荷転送手段と、前記CCDの不要電荷を高速に掃き捨てるCCD電荷掃き捨て用高速転送手段と、前記CCD電荷転送手段と前記CCD電荷掃き捨て用高速転送手段の出力を切り替えるCCD電荷転送切替手段と、前記露光パルス切替手段の出力および前記CCD電荷転送切替手段の出力に応じて動作するCCD駆動手段と、該CCD駆動手段により動作する固体撮像素子たるCCDと、該CCDの出力から画像信号を生成して出力する映像信号処理手段と、該映像信号処理手段の出力する画像信号から車両の有無を検知する車両検知処理手段と、該車両検知処理手段が車両を検知したときに前記車両検知モードと前記車両番号認識モードとを切り替える信号を発生し、前記露光パルス切替手段とCCD電荷転送切替手段を切替制御するモード切替制御手段とを具えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項2の発明は、上記請求項1の発明において、前記車両検知処理手段が、前フレームまたは前フィールドの前半画面の画像データ、あるいは基準画面となる画像の前半画面の画像データを記憶する手段と、該記憶手段に記憶されている半画面画像データと現入力半画面画像データとの差分を算出する減算手段と、該減算手段の差分出力を積算する積算手段と、該積算手段の積算出力を基準値と比較して車両の有無を検知する比較手段とからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、車両検知モードと車両番号認識モードで露光時間を別々に設定できるので、それぞれのモードでの最適な画像を得ることが可能となる。また、固体撮像素子にCCDを用いたので、CMOSカメラを用いた装置に比べて感度のよい車両番号監視用撮像装置を得ることができる。
【0012】
また、請求項2の発明によれば、1画面の半分以下の容量の記憶手段(メモリ)と、積算手段および比較手段を用いて車両検知を行っているため、データ数が少なくて済み、演算時間も短くすることができる。このため、車両番号認識に先立つ車両検知処理に多くの時間を費やすことがなくなり、車両番号を含んだ最適画像の取り逃がしがなくなるという効果を有する。さらに、小規模の回路構成で実現できるので、小電力で済み、コスト的にも安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る車両番号監視用撮像装置の一実施の形態を示すブロック回路図である。
【図2】図1中の車両検知処理回路の具体的な構成例を示すブロック回路図である。
【図3】図1中の車両検知処理回路の他の構成例を示すブロック回路図である。
【図4】図1の実施の形態のタイムチャートである。
【図5】本発明の原理を説明するフローチャートである。
【図6】車両検知モード時の出力画像を示す図である。
【図7】車両番号認識モード時の出力画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
先ず、本発明の原理について図5,図6および図7を用いて説明する。
図5は本発明の原理をフローチャートとして表したものである。図6は車両検知モード時の出力画像信号を示す図、図7は車両番号認識モード時の出力画像を示す図である。
【0015】
図5において、ステップS401〜ステップS404は、車両検出モード時の処理動作、ステップS405は車両番号認識モード時の処理動作である。
【0016】
ステップS401は、車両検知エリアを撮像する。テレビジョンカメラは車両の正面から撮像するように取り付ける。撮像当初は、図6中の上側の図のように、走行車両はテレビジョンカメラの撮像範囲3内に存在しないが、車両が撮像範囲3にいない場合でも撮像を続ける。なお、車両検知エリアとは、図6中の符号1に相当する部分である。
【0017】
ステップS402は、電荷掃き捨てエリアを高速転送する。電荷掃き捨てエリアとは、図6中の符号2に相当する部分で、CCDの電荷を高速に掃き捨てる。電荷を掃き捨てるため、この部分は画像とはならない。その後少し経つと、図6中の下側の図のように、進行してきた車両の車輪が車両検知エリア1内に入った画像が得られる。
【0018】
ステップS403は、ステップS401およびステップS402で撮像した画像信号に対して車両検知を行う。車両検知は、後述する図2あるいは図3のような構成からなる車両検知処理回路で検知する。
【0019】
図2の回路で簡単に説明すると、前記車両検知エリア1について、減算器202において1つ前の画像(前フィールドまたは前フレーム)と現在の画像との差分演算を行い、この差分を半画面積算器203で積算し、その積算値を比較器204において基準値205と比較することにより、車両の有無を検知する。電荷掃き捨て部分2はいつでもデータがないので、車両検知エリア1の部分のみについて差分演算を行えば十分である。車両検知エリア1について1つ前の画像と差分しながら現在の画像を新たに半画面メモリ201に保存し、次の車両検知時に使用する。
【0020】
図3の回路の場合は、基準半画面として図6中の上側の図にあるような何も映っていない車両検知エリア1の画像を前もって用意して基準半画面メモリ301に記憶しておき、減算器302においてこの基準画像と現在の画像との差分演算を行い、この差分を半画面積算器303で積算し、その積算値を比較器304において基準値305と比較することにより、車両の有無を検知する。基準画面は、何も映っていない車両検知エリア1の画像をその都度更新するように構成してもよい。
【0021】
図2および図3のいずれも、積算値が基準値以上のとき車両有りと判定する。車両有りならば、ステップS405へ行き、車両無しならばステップS401へ戻る。
【0022】
ステップS405は、車両番号認識モード時の処理動作である。
ステップS405では、図7に示すように、車両が全部映った撮像範囲3全体の画像を撮像する。通常、車両番号の書かれたナンバープレートは車の正面下部寄りの位置に付いているので、図7のように撮像範囲3の全体を撮像すると、車両番号は画像のほぼ真ん中あたりとなる。この図7の画像を出力後、全ての処理を終了する。
【0023】
そして、車両番号認識装置はこの図7の画像を用いて画像処理することにより画面中に存在する車両の車両番号を認識する。この車両番号認識に用いる画像は1フレームでもよいし、高速撮影が可能ならば、フレーム数を増やしてもよい。
【0024】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る車両番号監視用撮像装置の一実施の形態を示すものである。この実施の形態は、固体撮像素子たるCCD100、CCD100を駆動するCCD駆動回路101、CCD駆動回路101に垂直方向の電荷を制御する信号を送るCCD電荷転送切替回路102、CCD100の出力を処理して画像信号に変換する映像信号処理回路103、映像信号処理回路103の出力する画像信号を用いて車両検知エリア1中の車両の有無を検出する車両検知処理回路104、車両検知処理回路104が車両有りを検知した場合にトリガ信号を発生するトリガ発生回路105、CCD100の電子シャッタを制御する電子シャッタ回路(PDリセット)106、CCD100のフォトダイオードの電荷を制御するPD電荷転送信号発生回路107、露光パルスを切り替える露光パルス切替回路108、車両検知モード時の露光パルスを発生する車両検知モード露光パルス発生回路109、車両番号認識モード時の露光パルスを発生する車両番号認識モード露光パルス発生回路110、通常撮影時CCD100の垂直方向の電荷を制御するCCD電荷転送回路111、車両検知モード時の垂直方向の電荷掃き捨てを制御するCCD電荷掃き捨て用高速転送回路112、車両検知モードと車両番号認識モードを切り替えるモード切替回路113、出力画像信号を出力する出力画像信号出力端子114、車両検知モード時の露光時間を設定する車両検知モード露光時間設定端子115および車両番号認識モード時の露光時間を設定する車両番号認識モード露光時間設定端子116から構成されている。
【0025】
次に、上記構成になる車両番号監視用撮像装置の動作について説明する。
【0026】
まず、車両検知モードについて説明する。
車両検知モード露光時間設定端子115から車両検知モード時の露光パルス時間を設定する。これは制御部(図示せず)を通じて行うが、通常、テレビジョンカメラの初期設定時に行う。
【0027】
車両検知モード露光パルス発生回路109は、露光パルス設定時間に応じた時間のパルス信号を発生する。露光パルス切替回路108は、モード切替制御回路113により露光パルスを切り替える。モード切替制御回路113は、トリガ発生回路105からトリガが発生したときモードを車両検知モードから車両番号認識モードに切り替える。また、所定時間後に、車両番号認識モードから車両検知モードへ切り替える。
【0028】
露光パルス切替回路108は、車両検知モードのとき、車両検知モード露光パルス発生回路109で発生した露光パルスを電子シャッタ回路(PDリセット)106とPD電荷転送信号発生回路107に供給する。電子シャッタ回路(PDリセット)106とPD電荷転送信号発生回路107は、CCD駆動回路101に制御信号を供給する。電子シャッタ回路(PDリセット)106でCCD100のフォトダイオードをリセットして露光パルスに応じた時間電荷の蓄積を行い、その後PD電荷転送信号発生回路107によりフォトダイオードの電荷を垂直レジスタへ転送するように制御する。
【0029】
CCD電荷転送回路111は、通常走査時の垂直方向の電荷転送信号を発生し、水平転送レジスタへ転送させる。CCD電荷掃き捨て用高速転送回路112は、垂直方向の電荷を高速に掃き捨てる制御信号を出力する。これらの信号は、CCD電荷転送切替回路102で先ほどの露光パルス切替回路108と同様にモード切替制御回路113で切り替えられる。
【0030】
車両検知モードでは、CCD電荷転送回路111とCCD電荷掃き捨て用高速転送回路112の信号を所定タイミングで切り替えて出力する。1画面の途中、すなわち図6中の車両検知エリア1に相当する部分までCCD電荷転送回路111の信号を出力し、途中の電荷掃き捨て部分2に相当する位置からCCD電荷掃き捨て用高速転送回路112の信号を出力する。
【0031】
CCD駆動回路101は、電子シャッタ回路(PDリセット)106、PD電荷転送信号発生回路107およびCCD電荷転送切替回路102からの信号に応じてCCD100の駆動信号を発生し、CCD100に供給する。
【0032】
CCD100は、CCD駆動回路101からの駆動信号に応じて信号を出力する。すなわち、車両検知モードでは、画面途中(車両検知エリア1)まで通常走査時の画像信号を出力し、途中(電荷掃き捨て部分2)からは何も写っていない信号を出力する。映像信号処理回路103は、CCD100からの出力を処理して画像信号に変換し、車両検知処理回路104と出力画像信号出力端子114に出力する。
【0033】
車両検知処理回路104は、車両検知エリア1内に車両を検知した場合、トリガ発生回路105に対してトリガを発生するように制御する。なお、車両検知処理回路104の具体例とその動作については後述する。
【0034】
次に、車両番号認識モードについて説明する。
トリガ発生回路105からトリガを発生すると、モード切替制御回路113は車両番号認識モードへと切り替わる。車両番号認識モード露光時間設定端子116から車両番号認識モード時の露光パルス時間を設定する。設定については、車両検知モード露光時間設定と同じである。
【0035】
車両番号認識モード露光パルス発生回路110は、露光パルス設定時間に応じた時間のパルス信号を発生する。露光パルス切替回路108は、モード切替制御回路113により露光パルスに切り替える。
【0036】
露光パルス切替回路108は、車両番号認識モードのとき、車両番号認識モード露光パルス発生回路110で発生した露光パルスを電子シャッタ回路(PDリセット)106とPD電荷転送信号発生回路107に供給する。
【0037】
電子シャッタ回路(PDリセット)106とPD電荷転送信号発生回路107は、CCD駆動回路101に制御信号を供給する。この電子シャッタ回路(PDリセット)106とPD電荷転送信号発生回路107の動作については、前述した車両検知モード時と同じである。
【0038】
CCD電荷転送切替回路102は、CCD電荷転送回路111からの信号のみを出力する。車両番号認識モードでは図7に示すように1画面全体を撮像するので、CCD電荷転送回路111のみを選択する。
【0039】
CCD駆動回路101は、電子シャッタ回路(PDリセット)106、PD電荷転送信号発生回路107およびCCD電荷転送切替回路102に応じてCCD100の駆動信号を発生し、CCD100に供給する。
【0040】
CCD100は、CCD駆動回路101からの駆動信号に応じて信号を出力する。すなわち、車両番号認識モードでは、前述の車両検知モード時とは異なり、CCD100は図7のように1画面分の信号を出力する。映像信号処理回路103は、CCD100からの1画面分の出力信号を処理して画像信号に変換し、車両検知処理回路104と出力画像信号出力端子114に出力する。そして、図示しない車両番号認識装置において、この出力画像信号を基に車両のナンバープレートを抽出し、当該車両の車両番号を認識する。
【0041】
図2は、図1中の車両検知処理回路104の具体例を示すブロック回路図である。この図2の車両検知処理回路は、入力端子200、半画面メモリ201、減算器202、半画面積算器203、比較器204、基準値205および出力端子206から構成されている。
【0042】
入力端子200に映像信号処理回路103(図1参照)から出力画像信号が入力すると、入力された出力画像信号は半画面メモリ201と減算器202に供給される。減算器202は、入力された出力画像信号(検知エリア1の画像)と半画面メモリ201に記憶されている1画面前の半画面画像(1画面前の検知エリア1の画像)との間で減算する。また、減算処理終了後、半画面メモリ201には入力した出力画像信号を記憶する。半画面積算器203は、半画面分の差分量を積算して比較器204に供給する。比較器204は、積算値を基準値205と比較し、積算値が基準値以上のときに車両有りとして車両検知信号を出力する。
【0043】
なお、図2の例では、半画面メモリとしたが、車両検知を1/3画面で行う場合には3分の1のメモリ容量で十分である。したがって、本発明で言う「半画面」とは、1/2画面という意味ではなく、いわゆる図6の車両検知エリア1に相当する画面の広さを言うものである。
【0044】
図3は、図1中の車両検知処理回路104の他の具体例を示すブロック回路図である。この図3の車両検知処理回路は、入力端子300、基準半画面メモリ301、減算器302、半画面積算器303、比較器304、基準値305および出力端子306から構成されている。
【0045】
動作については、図2の車両検知処理回路104とほぼ同じであるが、相違する点は、減算器302における半画面差分演算を、1つ前の入力画像の半画面ではなく、基準半画面メモリ301に記憶されている基準半画面との間で行うように構成した点である。基準となる半画面は、背景画面を用いる。例えば、図6の上部側の車両検知エリア1のように何も映っていない画像とする。この基準画像は、初期設定時に設定してもよいし、その都度何も映っていない車両検知エリア1の画像を更新して記憶させるようにしてもよい。
【0046】
図4は、図1の実施の形態のタイムチャートである。
(a)は、処理モードの切り替え状態を示すもので、トリガ発生回路105の出力するトリガ信号を基にモード切替制御回路113により車両検知モード(連続撮像)と車両番号認識モードのいずれかに切り替えられる。
【0047】
(b)は、トリガ発生回路105から出力されるトリガ信号である。このトリガ信号により車両番号認識モードとなる。そして、1フレームまたは数フレーム撮像後、再び車両検知モードとなる。
【0048】
(c)は、電子シャッタ回路(PDリセット)106から出力されるPD(フォトダイオード)電荷リセットパルスである。このリセットパルスにより、CCD100のPD(フォトダイオード)の電荷がリセットされる。
【0049】
(d)は、PD電荷転送信号発生回路107から出力されるPD(フォトダイオード)電荷転送パルスである。このパルスにより、CCD100のPD(フォトダイオード)の電荷が垂直転送レジスタに転送される。
【0050】
(e)は、PD(フォトダイオード)の電荷蓄積状態を示すもので、(c)のPD電荷リセットパルスの後、露光時間に応じて電荷を蓄積し、(d)のPD電荷転送パルスで蓄積された電荷を転送する。
【0051】
(f)は、垂直転送パルスを示すもので、このパルスによりCCD100のPD(フォトダイオード)の電荷を垂直転送レジスタから水平転送レジスタに転送して出力する。図中のクロスハッチング部分は電荷を高速に掃き捨てる部分であり、この部分では画像は出力しない。この高速掃き捨て部分は図6中の符号2の画像部分に相当する。垂直転送パルスがある部分は転送されるので、画像信号として出力される。図6中の符号1の部分(車両検知エリア)が画像として出力される部分である。
【0052】
(g)は、映像信号処理回路103から出力される出力画像信号を示すもので、車両検知モード時は半画面(図6中の符号1の部分)の画像信号を出力し、車両番号認識モード時には1画面(図7中の符号4の全画面)の画像信号を出力する。車両検知モード時と車両番号認識モード時の露光時間は、車両検知モード露光パルス発生回路109と車両番号認識モード露光パルス発生回路110によってそれぞれ別々に設定される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、1台のテレビジョンカメラで車両番号の認識を行う交通システムに用いて有用である。
【符号の説明】
【0054】
100 CCD
101 CCD駆動回路
102 CCD電荷転送切替回路
103 映像信号処理回路
104 車両検知処理回路
105 トリガ発生回路
106 電子シャッタ回路(PDリセット)
107 PD電荷転送信号発生回路
108 露光パルス切替回路
109 車両検知モード露光パルス発生回路
110 車両番号認識モード露光パルス発生回路
111 CCD電荷転送回路
112 CCD電荷掃き捨て用高速転送回路
113 モード切替制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行してくる車両を2つの露光時間に応じて切替撮像する車両番号監視用撮像装置であって、車両検知用画像を撮像するときの車両検知モードと、車両番号認識用画像を撮像するときの車両番号認識モードを有し、
前記車両検知モードの露光時間に対応する時間の露光パルスを発生する車両検知モード露光パルス発生手段と、
前記車両番号認識モードの露光時間に対応する時間の露光パルスを発生する車両番号認識モード露光パルス発生手段と、
前記車両検知モード露光パルス発生手段と前記車両番号認識モード露光パルス発生手段のいずれかを切り替える露光パルス切替手段と、
CCDの垂直電荷転送を通常の走査速度で行うCCD電荷転送手段と、
前記CCDの不要電荷を高速に掃き捨てるCCD電荷掃き捨て用高速転送手段と、
前記CCD電荷転送手段と前記CCD電荷掃き捨て用高速転送手段の出力を切り替えるCCD電荷転送切替手段と、
前記露光パルス切替手段の出力および前記CCD電荷転送切替手段の出力に応じて動作するCCD駆動手段と、
該CCD駆動手段により動作する固体撮像素子たるCCDと、
該CCDの出力から画像信号を生成して出力する映像信号処理手段と、
該映像信号処理手段の出力する画像信号から車両の有無を検知する車両検知処理手段と、
該車両検知処理手段が車両を検知したときに前記車両検知モードと前記車両番号認識モードとを切り替える信号を発生し、前記露光パルス切替手段とCCD電荷転送切替手段を切替制御するモード切替制御手段とを具えたことを特徴とする車両番号監視用撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両番号監視用撮像装置において、
前記車両検知処理手段が、前フレームまたは前フィールドの前半画面の画像データ、あるいは基準画面となる画像の前半画面の画像データを記憶する手段と、
該記憶手段に記憶されている半画面画像データと現入力半画面画像データとの差分を算出する減算手段と、
該減算手段の差分出力を積算する積算手段と、
該積算手段の積算出力を基準値と比較して車両の有無を検知する比較手段とからなることを特徴とする車両番号監視用撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−206592(P2010−206592A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50451(P2009−50451)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000209751)池上通信機株式会社 (123)
【Fターム(参考)】