説明

車両進入可否判定システム、装置、プログラム、及びその方法

【課題】 車両が道路に進入可能であるかどうかを適切に判断して、運転者に伝えることで、交通違反や、渋滞、事故等の発生を防止する。
【解決手段】 道路標識側に設置された発信器と、車両に搭載されたカーナビゲーション装置50を有する車両進入可否判定システムであって、発信器が、当該道路標識に対応する規制情報を発信するものであり、カーナビゲーション装置50が、発信器から発信された規制情報を受信する受信手段51と、車両の車両情報を記憶する記憶手段52と、規制情報、又は、規制情報と車両情報にもとづいて、車両が道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段54と、判断の結果を出力する出力手段53とを備えた車両進入可否判定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が道路に進入可能であるかどうかを判断する車両進入可否判定システム、車両進入可否判定装置、車両進入可否判定プログラム、及び車両進入可否判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車を運転して、初めて訪れる場所等に行く場合、道がよく分からないことがあった。特に、市街地の狭い道などには一方通行が多く、標識をつい見落としてしまうことがあった。また、道路に車の車高や車幅制限などがある場合には、運転している車の高さ等の判断を誤って、進入してしまうこともあった。
しかしながら、このようにして進入してはならない道に入ってしまうと、道路交通法を犯すことになり、また渋滞や事故の原因になってしまうという問題があった。
【0003】
一方、近年においては、カーナビゲーション装置が広く普及した結果、以前と比べて、運転者は、道路標識を比較的認識しやすくなってきている。すなわち、カーナビゲーション装置によれば、内蔵されている道路標識の情報を運転者に伝えることができるため、運転者は不慣れな場所でも標識の情報を容易に受け取ることが可能となっている。
しかし、従来のカーナビゲーション装置によっても、その内蔵情報が古い場合や、カーナビゲーション装置が認識した現在位置に誤差があった場合には、運転者に道路規制の情報を正確に伝えることができないという問題があった。
【0004】
ここで、運転者による道路規制の把握を支援する先行技術としては、特許文献1〜3に記載の交通信号及び交通標識検出装置等を挙げることができる。
特許文献1に記載の交通信号及び交通標識検出装置によれば、交通信号及び交通標識から発信された信号を受信して識別し、運転席上にて警報表示をすることで、視覚的注意が不安定な状況でも聴覚的に刺激をし、かつ車輌に搭載した警報表示装置に標識内容を表示することができ、交通信号及び交通標識の見落としをより少なくすることを可能としている。
【0005】
また、特許文献2に記載の自動車運行規制用電波交通標識によれば、当該交通標識の発信機が、車輌の規制に必要な電波をアンテナから発信し、車輌側が規制内容と現行車輌状況との比較の結果、速度差などがあった場合には、減速・停止・燃料カットなどの規制指令を制御系または駆動系に伝えることで、車輌の運行に対する強制的な運行規制を可能としている。
さらに、特許文献3に記載の交通規制違反警報装置によれば、受信した道路標識信号と検出した車両走行状態とから車両が交通規制に違反しているか等を判別して、違反している場合などに警告を発することを可能としている。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−012000号公報
【特許文献2】実開平06−030898号公報
【特許文献3】特開昭61−195499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の交通信号及び交通標識検出装置によれば、運転者は、標識を認識しやすくなるものの、その標識にもとづく判断は運転者自身が行う必要があり、慣れない運転者にとっては必ずしも利便性の高いものであるとは言えなかった。すなわち、この装置は、車両情報と規制情報の比較を行うものではないため、判断に要する運転者の負荷は軽減されない。また、通行可能な場合にも警報が鳴ることから、かえって運転の妨げになる場合があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の自動車運行規制用電波交通標識によれば、速度違反や停止位置などについて、強制的に車輌の運行状態を合法的な状態に制御することができるが、その他の種々の道路標識について、その道路に不慣れな運転者を支援できるものではなかった。すなわち、運転者に対して、道路標識についての適切な判断結果を提供し、運転上の適切な判断を可能とするものではなかった。
【0009】
さらに、特許文献3に記載の交通規制違反警報装置によれば、車両の走行状況と道路標識との関係にもとづいて、交通規制に違反しているかどうか等を判断して警告を発することができるが、その道路に不慣れな運転者に対して、その車両情報との関係等にもとづく道路標識についての判断結果を提供可能とするものではなかった。例えば、この従来の装置を用いたとしても、道路に不慣れな運転者が、車高等の規制がある道路に進入して、立ち往生してしまうことなどを防止することができないという問題があった。
【0010】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、車両が道路に進入可能であるかどうかを適切に判断して、運転者に伝えることが可能な車両進入可否判定システム、車両進入可否判定装置、車両進入可否判定プログラム、及び車両進入可否判定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の車両進入可否判定システムは、道路標識側に設置された発信器と、車両に搭載されたカーナビゲーション装置を有する車両進入可否判定システムであって、発信器が、道路標識に対応する規制情報を発信するものであり、カーナビゲーション装置が、発信器から発信された規制情報を受信する受信手段と、車両の車両情報を記憶する記憶手段と、規制情報、又は、規制情報と車両情報にもとづいて、車両が道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段と、判断の結果を出力する出力手段とを備えた構成としてある。
【0012】
車両進入可否判定システムをこのような構成にすれば、運転者は、はじめての道など、不慣れな道路を運転する場合であっても、進入できない道を適切に把握することができる。
すなわち、運転者は、カーナビゲーション装置から道路標識等にもとづいた進入可否の判断結果を音声などで受け取ることができ、特にその車両固有の情報(車両情報)にもとづいた判断結果も受け取ることができる。
このため、運転者は、道路に不慣れな故に交通法規を犯したり、渋滞や事故を招く危険を回避することが可能となる。
なお、「車両情報」とは、上述のように車両固有の情報を示すものであり、例えば、車両の重量、車高、車幅などの車両の形態情報等とすることができる。
【0013】
また、本発明の車両進入可否判定システムは、カーナビゲーション装置が、処理手段による判断の結果が進入不可である場合に、道路標識の設置された道路の迂回経路を出力する経路出力手段を備えた構成としてある。
【0014】
車両進入可否判定システムをこのような構成にすれば、当該システムにおけるカーナビゲーション装置は、このような進入不可の判断結果にもとづいて、内蔵する道路情報を検索し、迂回経路を表示することができる。
このため、その周辺の道路に不慣れな運転者は、容易に代替経路をたどることが可能となる。
【0015】
また、本発明の車両進入可否判定システムは、規制情報が、当該規制情報に対応する道路標識の設置された道路について、少なくとも、進入禁止の道路であることを示す情報、又は、重量制限がある道路であることを示す情報とその制限重量情報、又は、車高制限がある道路であることを示す情報とその制限車高情報、又は、車幅制限がある道路であることを示す情報とその制限車幅情報のいずれかである構成としてある。
【0016】
車両進入可否判定システムをこのような構成にすれば、運転者は進入禁止の道路について、カーナビゲーション装置から進入してはならないとのメッセージを受け取ることができるのみならず、規制情報と車両情報の比較結果にもとづいて、運転している車が、重量制限などの上記各条件を満たしているかどうかの正確な判断結果を得ることができる。
このため、運転者は、慣れない場所であっても、これらの規制を犯すことなく運転でき、立ち往生して渋滞等を引き起こす危険を回避することが可能となる。
【0017】
また、本発明の車両進入可否判定装置は、車両に搭載され、道路標識側に設置された発信器から当該道路標識に対応する規制情報を受信する車両進入可否判定装置であって、発信器から発信された規制情報を受信する受信手段と、車両の車両情報を記憶する記憶手段と、規制情報、又は、規制情報と車両情報にもとづいて、車両が道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段と、判断の結果を出力する出力手段とを備えた構成としてある。
また、本発明の車両進入可否判定装置は、処理手段による判断の結果が進入不可である場合に、迂回経路を出力する経路出力手段を備えた構成としてある。
【0018】
車両進入可否判定装置をこのような構成にすれば、この車両進入可否判定装置は、その搭載されている車両が進入できない道を、道路標識側に設置された発信器から発信された規制情報や、予め記憶している当該車両の車両情報にもとづき認識することができる。
このため、その車両の道路への進入不可に関する正確な判断結果を運転者に伝えることができるとともに、その迂回経路を提示することも可能となる。
【0019】
また、本発明の車両進入可否判定プログラムは、車両に搭載され,道路標識側に設置された発信器から当該道路標識に対応する規制情報を受信する車両進入可否判定装置に、道路標識が設置された道路に当該車両が進入可能であるかどうかを判断させる車両進入可否判定プログラムであって、車両進入可否判定装置を、発信器から発信された規制情報を受信する受信手段、車両の車両情報を記憶する記憶手段、規制情報、又は、規制情報と車両情報にもとづいて、車両が道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段、判断の結果を出力する出力手段として機能させる構成としてある。
【0020】
車両進入可否判定プログラムをこのような構成にすれば、従来のカーナビゲーション装置に、車両進入可否判定機能を付加することが可能となる。
すなわち、運転者は、このプログラムを備えたカーナビゲーション装置を用いて運転することにより、不慣れな場所でも、その車両が進入できない道に入ってしまうことを回避することが可能となる。
【0021】
また、本発明の車両進入可否判定方法は、道路標識側に設置された発信器、及び車両に搭載され、当該車両の車両情報を記憶する記憶手段を備えるカーナビゲーション装置を用いた車両進入可否判定方法であって、発信器が、道路標識に対応する規制情報を発信し、カーナビゲーション装置が、規制情報を受信すると、規制情報、又は、規制情報と記憶手段に記憶された車両情報にもとづいて、車両が道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行って、当該判断の結果を出力する方法としてある。
【0022】
車両進入可否判定方法をこのような方法にすれば、運転者は、慣れない場所においても、一方通行により、あるいは車高等の規制条件によって、その車両が進入できない道路に、誤って入ってしまうことを回避することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、運転者は、はじめての道など、不慣れな道路を運転する場合であっても、道路標識側に設置された発信器から発信された規制情報にもとづいて、進入できない道であるかどうかの判断結果を音声などにより受け取ることができる。また、規制情報と車両情報にもとづいて、その車両については進入できない道であるかどうかの判定結果を音声などにより受け取ることもできる。
さらに、車両が道路に進入できないと判定した場合には、その道路を迂回する経路を表示することもできる。
このため、運転者は、道路に不慣れな故に交通法規を犯したり、渋滞や事故を招く危険を回避でき、適切な経路を運転することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る車両進入可否判定システムの好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の実施形態に示す本発明の車両進入可否判定システムは、車両進入可否判定プログラムに制御されたナビゲーション装置におけるコンピュータにより動作するようになっている。コンピュータのCPUは、車両進入可否判定プログラムにもとづいてコンピュータの各構成要素に指令を送り、ナビゲーション装置の動作に必要となる所定の処理、例えば、規制情報の受信処理、進入可否判定処理等を行わせる。このように、本発明の車両進入可否判定システムにおける各処理,動作は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段により実現できるものである。
【0025】
プログラムは予めROM,RAM等の記録媒体に格納され、コンピュータに実装された記録媒体から当該コンピュータにプログラムを読み込ませて実行されるが、例えば通信回線を介してコンピュータに読み込ませることもできる。
また、プログラムを格納する記録媒体は、例えば半導体メモリ,磁気ディスク,光ディスク、その他任意のコンピュータで読取り可能な任意の記録手段により構成できる。
【0026】
まず、本発明の一実施形態の構成について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態の車両進入可否判定システムの構成を示すブロック図である。図2は、同システムにおけるカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の車両進入可否判定システムは、進入禁止発信器10,重量制限発信器20,高さ制限発信器30,最大幅発信器40,カーナビゲーション装置50を有している。
【0027】
進入禁止発信器10は、既設の車両進入禁止標識10aに対応付けて設置される発信器であり、この車両進入禁止標識10aが備えられた道路が、進入禁止であることを示す規制情報を電波により発信する。
これによって、進入禁止発信器10は、近づいてくる車両に搭載されたカーナビゲーション装置50に、当該標識が備えられた道路が、進入禁止であることを伝えることが可能となっている。
【0028】
重量制限発信器20は、既設の重量制限標識20aに対応付けて設置される発信器であり、この重量制限標識20aが備えられた道路が、重量制限がある道路であること、及びその制限重量を示す規制情報を電波により発信する。
これによって、重量制限発信器20は、近づいてくる車両に搭載されたカーナビゲーション装置50に、当該標識が備えられた道路が、重量制限がある道路であること等を伝えることが可能となっている。
【0029】
高さ制限発信器30は、既設の高さ制限発信器30aに対応付けて設置される発信器であり、この高さ制限発信器30aが備えられた道路が、高さ制限がある道路であること、及びその制限高さを示す規制情報を電波により発信する。
これによって、高さ制限発信器30は、近づいてくる車両に搭載されたカーナビゲーション装置50に、当該標識が備えられた道路が、高さ制限がある道路であること等を伝えることが可能となっている。
【0030】
最大幅発信器40は、既設の最大幅標識40aに対応付けて設置される発信器であり、この高さ最大幅標識40aが備えられた道路が、車幅制限がある道路であること、及びその制限車幅を示す規制情報を電波により発信する。
これによって、最大幅発信器40は、近づいてくる車両に搭載されたカーナビゲーション装置50に、当該標識が備えられた道路が、車幅制限がある道路であること等を伝えることが可能となっている。
なお、進入禁止発信器10,重量制限発信器20,高さ制限発信器30,最大幅発信器40は、微弱な電波を使用することにより、他の発信器と混信しないようになっている。
【0031】
カーナビゲーション装置50は、車に搭載され、それぞれの発信機から電波を受信した場合、この電波に含まれる規制情報と、当該カーナビゲーション装置50に登録されているその車の車両情報(車重・車高・車幅等)にもとづいて、その車が進入可能であるかどうかを判断し、進入不可であれば運転者に音声で警告するとともに、迂回経路を表示する。
このカーナビゲーション装置50は、図2に示すように、受信部51,車両情報記憶部52,音声発声部53,判断処理部54,経路出力部55,道路情報記憶部56を備えている。
【0032】
受信部51は、それぞれの発信器からの電波を受信する。
車両情報記憶部52は、車両情報を記憶する記憶装置であり、本実施形態においては、図2に示すように、カーナビゲーション装置50が搭載されている車両の重量52a,車高52b,車幅52cを記憶している。
音声発声部53は、運転者に警告を与えるための音声を記憶する記憶装置と、この音声を出力するスピーカを備えており、判断処理部54からの指示に応じた音声を出力する。この音声発声部53は、本実施形態においては、図2に示すように、進入禁止音声発声部53a,重量オーバ音声発声部53b,高さオーバ音声発声部53c,車幅オーバ音声発声部53dを備えている。
【0033】
判断処理部54は、受信した規制情報にもとづいて、それぞれに応じた判断処理を実行する。
すなわち、判断処理部54は、進入禁止発信器10から規制情報を受信した場合には、この進入禁止発信器10に対応する車両進入禁止標識10aが備えられた道路に、車両が進入することができないと判断する。そして、音声発声部53における進入禁止音声発声部53aに対して、音声出力を指示する。
【0034】
また、判断処理部54は、重量制限発信器20から規制情報を受信した場合には、車両情報記憶部52から車の重量52aを取得し、規制情報に含まれる制限重量と比較する。
車の重量52aが制限重量よりも大きい場合は、判断処理部54は、この重量制限発信器20に対応する重量制限標識20aが備えられた道路に、車両が進入することができないと判断する。そして、音声発声部53における重量オーバ音声発声部53bに対して、音声出力を指示する。
車の重量52aが制限重量以下の場合は、判断処理部54は、当該道路に、車両が進入できると判断して、音声発声部53に対する音声の出力指示は行わない。
【0035】
同様にして、判断処理部54は、高さ制限発信器30から規制情報を受信した場合には、車両情報記憶部52から車の車高52bを取得し、規制情報に含まれる制限高さ(制限車高)と比較する。
車の車高52bが制限高さよりも大きい場合は、判断処理部54は、この高さ制限発信器30に対応する高さ制限標識30aが備えられた道路に、車両が進入することができないと判断する。そして、音声発声部53における高さオーバ音声発声部53cに対して、音声出力を指示する。
車の車高52bが制限高さ以下の場合は、判断処理部54は、当該道路に、車両が進入できると判断して、音声発声部53に対する音声の出力指示は行わない。
【0036】
また、判断処理部54は、最大幅発信器40から規制情報を受信した場合には、車両情報記憶部52から車の車幅52cを取得し、規制情報に含まれる最大幅(制限車幅)と比較する。
車の車幅52cが最大幅よりも大きい場合は、判断処理部54は、この最大幅発信器40に対応する最大幅標識40aが備えられた道路に、車両が進入することができないと判断する。そして、音声発声部53における車幅オーバ音声発声部53dに対して、音声出力を指示する。
車の車幅52cが最大幅以下の場合は、判断処理部54は、当該道路に、車両が進入できると判断して、音声発声部53に対する音声の出力指示は行わない。
【0037】
経路出力部55及び道路情報記憶部56は、経路出力部55が進入不可の判断結果にもとづいて経路検索を行う点を除き、それぞれ従来からカーナビゲーション装置に備えられているものである。すなわち、経路出力部55は、入力された目的地等にもとづいて、道路情報記憶部56に記憶されている道路情報を検索し、最適経路を出力する。
本実施形態においては、判断処理部54は、進入不可の判断を行うと、進入不可の道路を迂回すべき経路として、経路出力部55に出力する。
経路出力部55は、この迂回すべき経路を入力すると、従来公知の迂回ルート探索機能により、道路情報記憶部56を検索して、進入不可と判断された道路の迂回経路を取得して表示する。
【0038】
次に、本実施形態の車両進入可否判定システムにおけるカーナビゲーション装置の処理手順について、図3を参照して説明する。図3は、同システムにおけるカーナビゲーション装置の処理手順を示すフローチャートである。
まず、カーナビゲーション装置50は、各道路標識に設置された各発信器からの電波を受信できる状態で待機する。
カーナビゲーション装置50の受信部51が進入禁止発信機10から規制情報を受信した場合(ステップ10のYes)は、判断処理部54により進入不可と判断されて、進入禁止音声発声部53aから「進入禁止です。迂回して下さい。」等の音声を出力して運転者に警告する。また、経路出力部55により道路情報記憶部56から迂回経路を検索して、これをカーナビゲーション装置50のディスプレイ画面に表示する(ステップ11)。
【0039】
カーナビゲーション装置50の受信部51が重量制限発信機20から規制情報を受信した場合(ステップ12のYes)は、この規制情報における制限重量と、車両情報記憶部52に記憶されている車の重量52aを判断処理部54で比較する。そして、車の重量52aが制限重量以下であれば(ステップ13のNo)、カーナビゲーション装置50は、各発信機からの電波を受信できる待機状態に戻る。
車の重量52aが制限重量より重い場合は(ステップ13のYes)、重量オーバ音声発声部53bから「重量オーバです。迂回して下さい。」等の音声を出力して運転者に警告する。そして、ステップ11と同様に迂回経路を表示する(ステップ14)。
【0040】
カーナビゲーション装置50の受信部51が高さ制限発信器30から規制情報を受信した場合(ステップ15のYes)は、この規制情報における制限高さと、車両情報記憶部52に記憶されている車の車高52bを判断処理部54で比較する。そして、車の車高52bが制限高さ以下であれば(ステップ16のNo)、カーナビゲーション装置50は、各発信機からの電波を受信できる待機状態に戻る。
車の車高52bが制限高さより高い場合は(ステップ16のYes)、高さオーバ音声発声部53cから「高さオーバです。迂回して下さい。」等の音声を出力して運転者に警告する。そして、ステップ11と同様に迂回経路を表示する(ステップ17)。
【0041】
カーナビゲーション装置50の受信部51が最大幅発信器40から規制情報を受信した場合(ステップ18のYes)は、この規制情報における最大幅と、車両情報記憶部52に記憶されている車の車幅52cを判断処理部54で比較する。そして、車の車幅52cが最大幅以下であれば(ステップ19のNo)、カーナビゲーション装置50は、各発信機からの電波を受信できる待機状態に戻る。
車の車幅52cが最大幅より広い場合は(ステップ19のYes)、車幅オーバ音声発声部53dから「車幅オーバです。迂回して下さい。」等の音声を出力して運転者に警告する。そして、ステップ11と同様に迂回経路を表示する(ステップ20)。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の車両進入可否判定システムによれば、道路標識に設置された発信器から発信された規制情報と、車両情報にもとづいて、車両が、その道路標識が設置された道路に進入することができるかどうかを判断することができる。そして、進入できない場合には、運転者に音声で警告するとともに、迂回経路を表示することができる。
このため、運転者は、はじめての道など、不慣れな道路を運転する場合であっても、交通法規を犯したり、渋滞や事故を招く危険を回避でき、適切な経路を運転することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、図3の処理手順において、ステップ10及び11,ステップ12〜14,ステップ15〜17,ステップ18〜20のそれぞれの処理の実行順序を入れ替えることも勿論可能である。
また、発信器は、道路標識に直接設置するのみならず、車に電波を発信しやすい適切な位置に設置することもできる。
【0044】
さらに、本実施形態では、進入不可の場合にのみ判定結果を出力しているが、進入可能である場合に、例えば「進入できます。」などの判定結果を出力することもできる。
また、本実施形態のカーナビゲーション装置における構成を例えば携帯電話機などに保有させ、これを既存のカーナビゲーション装置に接続して、本実施形態の車両進入可否判定システムを構成するなど適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、カーナビゲーション装置などに好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の一実施形態の車両進入可否判定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の車両進入可否判定システムにおけるカーナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態の車両進入可否判定システムにおけるカーナビゲーション装置の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0047】
10 進入禁止発信器
10a 車両進入禁止標識
20 重量制限発信器
20a 重量制限標識
30 高さ制限発信器
30a 高さ制限標識
40 最大幅発信器
40a 最大幅標識
50 カーナビゲーション装置
51 受信部
52 車両情報記憶部
52a 重量
52b 車高
52c 車幅
53 音声発声部
53a 進入禁止音声発声部
53b 重量オーバ音声発声部
53c 高さオーバ音声発声部
53d 車幅オーバ音声発声部
54 判断処理部
55 経路出力部
56 道路情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路標識側に設置された発信器と、車両に搭載されたカーナビゲーション装置を有する車両進入可否判定システムであって、
前記発信器が、前記道路標識に対応する規制情報を発信するものであり、
前記カーナビゲーション装置が、
前記発信器から発信された規制情報を受信する受信手段と、
前記車両の車両情報を記憶する記憶手段と、
前記規制情報、又は、前記規制情報と前記車両情報にもとづいて、前記車両が前記道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段と、
前記判断の結果を出力する出力手段と、を備えた
ことを特徴とする車両進入可否判定システム。
【請求項2】
前記カーナビゲーション装置が、
前記処理手段による判断の結果が進入不可である場合に、前記道路標識の設置された道路の迂回経路を出力する経路出力手段を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の車両進入可否判定システム。
【請求項3】
前記規制情報が、当該規制情報に対応する道路標識の設置された道路について、少なくとも、
進入禁止の道路であることを示す情報、又は、
重量制限がある道路であることを示す情報とその制限重量情報、又は、
車高制限がある道路であることを示す情報とその制限車高情報、又は、
車幅制限がある道路であることを示す情報とその制限車幅情報のいずれかである
ことを特徴とする請求項1又は2記載の車両進入可否判定システム。
【請求項4】
車両に搭載され、道路標識側に設置された発信器から当該道路標識に対応する規制情報を受信する車両進入可否判定装置であって、
前記発信器から発信された規制情報を受信する受信手段と、
前記車両の車両情報を記憶する記憶手段と、
前記規制情報、又は、前記規制情報と前記車両情報にもとづいて、前記車両が前記道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段と、
前記判断の結果を出力する出力手段と、を備えた
ことを特徴とする車両進入可否判定装置。
【請求項5】
請求項4記載の車両進入可否判定装置が、
前記処理手段による判断の結果が進入不可である場合に、迂回経路を出力する経路出力手段を備えた
ことを特徴とする車両進入可否判定装置。
【請求項6】
車両に搭載され,道路標識側に設置された発信器から当該道路標識に対応する規制情報を受信する車両進入可否判定装置に、前記道路標識が設置された道路に当該車両が進入可能であるかどうかを判断させる車両進入可否判定プログラムであって、
前記車両進入可否判定装置を、
前記発信器から発信された規制情報を受信する受信手段、
前記車両の車両情報を記憶する記憶手段、
前記規制情報、又は、前記規制情報と前記車両情報にもとづいて、前記車両が前記道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行う処理手段、
前記判断の結果を出力する出力手段
として機能させるための車両進入可否判定プログラム。
【請求項7】
道路標識側に設置された発信器、及び車両に搭載され、当該車両の車両情報を記憶する記憶手段を備えるカーナビゲーション装置を用いた車両進入可否判定方法であって、
前記発信器が、前記道路標識に対応する規制情報を発信し、
前記カーナビゲーション装置が、前記規制情報を受信すると、前記規制情報、又は、前記規制情報と前記記憶手段に記憶された前記車両情報にもとづいて、前記車両が前記道路標識の設置された道路に進入可能であるかどうかの判断を行って、当該判断の結果を出力する
ことを特徴とする車両進入可否判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−39928(P2006−39928A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−218734(P2004−218734)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】