説明

車両骨格構造及びその製造方法

【課題】車重の増加を抑制しつつ、車両骨格部材のねじり剛性を向上させて、該車両骨格部材に対してねじりが加わった際の断面変形を抑制することを目的とする。
【解決手段】多角形の閉断面を有するロッカ10(車両骨格部材)と、該ロッカ10の閉断面14内において、少なくとも2組の互いに対向する角部10A,10B及び角部10C,10D方向に向かって延び、その端部12A,12B,12C,12Dに設けられた発泡部材32(結合手段)により角部10A,10B,10C,10Dに夫々結合される補強部材12と、を有している。ロッカ10の多角形の閉断面14内において、少なくとも2組の互いに対向する角部10A,角部10B、及び角部10C,10Dを、補強部材12により夫々結合することで、ロッカ10のねじり剛性を向上させている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両骨格構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
サイドシル(ロッカ)内に、補強部材としてバルクヘッドを設けた構造が開示されている(特許文献1及び特許文献2参照)。また矩形断面のセンターピラーや角形閉断面形のサイドシル内において、その対角方向に補強部材を設けた構造が開示されている(特許文献3及び特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2006−205797号公報
【特許文献2】特開2001−71949号公報
【特許文献3】特開2007−112203号公報
【特許文献4】特開2007−62409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年車両の軽量化が進められる中、車両骨格部材の材料として高張力鋼板等の高強度材が活用され、該車両骨格部材の軽量化が進められている。これに加えて、衝突等により車両に大荷重が入力された際における車両骨格部材の断面変形を抑制するために、該車両骨格部材に対して、上記した従来例のような各種補強が行われている。
【0004】
しかしながら、車両骨格部材のねじり変形を考慮すると、該車両骨格部材の補強について未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、車重の増加を抑制しつつ、車両骨格部材のねじり剛性を向上させて、該車両骨格部材に対してねじりが加わった際の断面変形を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、多角形の閉断面を有する車両骨格部材と、該車両骨格部材の前記閉断面内において、少なくとも2組の互いに対向する角部方向に向かって延び、その端部に設けられた結合手段により前記角部に夫々結合される樹脂製の補強部材と、を有することを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の車両骨格構造では、車両骨格部材の多角形の閉断面内において、少なくとも2組の互いに対向する角部を樹脂製の補強部材により結合しているので、車両骨格部材のねじり剛性が向上している。このため、車重の増加を抑制しつつ、車両骨格部材にねじりが加わった際の断面変形を抑制することができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両骨格構造において、前記補強部材は、放射状に形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の車両骨格構造では、補強部材が放射状に形成されているので、該補強部材により結合される角部以外の部分では隙間が確保される。このため、車両骨格部材の塗装工程において、塗料の付き回りが良好となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両骨格構造において、前記結合手段は、加熱されることで発泡した後固化する発泡部材であることを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の車両骨格構造では、結合手段が、加熱されることで発泡した後固化する発泡部材であるので、車両骨格部材の閉断面内の所定位置に補強部材を仮止めすると共に、該補強部材の端部に発泡部材を配置しておけば、塗装工程等のように該車両骨格部材が加熱される工程で発泡部材が発泡し、車両骨格部材と補強部材とが結合される。このため、結合のための工程を別途設けなくても、補強部材を車両骨格部材に結合することができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載の車両骨格構造において、前記補強部材の前記端部に、該端部に対応する前記角部方向に前記発泡部材が発泡するように、該発泡部材の発泡方向を規制する発泡規制手段が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の車両骨格構造では、発泡部材が発泡する際に、発泡規制手段により、補強部材の端部から該端部に対応する車両骨格部材の角部方向に、その発泡方向が規制されるので、互いに対応する補強部材の端部と車両骨格部材の角部とを効率的に結合することができる。このため、発泡部材による車両骨格部材と補強部材との結合性を高めることができる。
【0014】
請求項5の発明は、多角形の閉断面が構成されるように車両骨格部材を製造する際に、前記閉断面の少なくとも2組の互いに対向する方向に向かって延びる補強部材を、その端部に発泡部材を配置した状態で前記閉断面内に仮止めしておき、前記車両骨格部材への加熱を伴う工程において、その熱を利用して前記発泡部材を発泡させて、前記補強部材の前記端部と前記閉断面の前記角部とを結合することを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の車両骨格構造の製造方法では、車両骨格部材への加熱を伴う工程において、その熱を利用して発泡部材を発泡させて、補強部材の端部と車両骨格部材における閉断面の角部とを結合するので、補強部材を車両骨格部材に結合するための工程を別途設ける必要がない。このため、車両骨格構造の製造に要する工数を削減することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両骨格構造によれば、車重の増加を抑制しつつ、車両骨格部材のねじり剛性を向上させて、該車両骨格部材に対してねじりが加わった際の断面変形を抑制することができる、という優れた効果が得られる。
【0017】
請求項2に記載の車両骨格構造によれば、車両骨格部材の塗装工程において、塗料の付き回りが良好となる、という優れた効果が得られる。
【0018】
請求項3に記載の車両骨格構造によれば、結合のための工程を別途設けなくても、補強部材を車両骨格部材に結合することができる、という優れた効果が得られる。
【0019】
請求項4に記載の車両骨格構造によれば、発泡部材による車両骨格部材と補強部材との結合性を高めることができる、という優れた効果が得られる。
【0020】
請求項5に記載の車両骨格構造の製造方法によれば、車両骨格構造の製造に要する工数を削減することができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る車両骨格構造Sは、車両骨格部材の一例たるロッカ10と、補強部材12とを有している。
【0022】
図2,図3において、ロッカ10は、多角形の一例たる略矩形の閉断面14を有し、ロッカインナパネル16とロッカアウタパネル18とを接合して構成されている。図1に示されるように、このロッカ10は、車両下部における左右の側部において車両前後方向に延設されている。
【0023】
図3に示されるように、ロッカインナパネル16は、車幅方向内側へ凸となる略断面ハット形に形成されている。一方、ロッカアウタパネル18は、車幅方向外側へ凸となる略断面ハット形に形成されている。ロッカインナパネル16とロッカアウタパネル18とは、上下のフランジ10Fにおいて例えばスポット溶接により接合されている。これにより、ロッカ10が略矩形の閉断面14を有する構造とされている。
【0024】
ロッカ10の車幅方向外側には、サイドメンバアウタパネル20が設けられている。このサイドメンバアウタパネル20は、ロッカアウタパネル18と同様に、車幅方向外側へ凸となる略断面ハット形に形成されており、ロッカ10における上下のフランジ10Fと重ねて接合されている。
【0025】
図1に示されるように、ロッカ10の前端にはAピラー22の下部が接合され、ロッカ10の車両前後方向中央部にはBピラー24の下部が接合されている。また左右のロッカ10間(車両右側のロッカについて図示せず)には、フロアパネル26が設けられ、該フロアパネル26の車幅方向中央部には、車両前後方向に延びるトンネル部26Aが車両上方に凸に形成されている。
【0026】
Bピラー24の下部位置におけるロッカ10とトンネル部26Aとの間には、フロアクロスメンバ28が車幅方向に配設されている。またAピラー22とBピラー24との間におけるロッカ10とトンネル部26Aとの間にも、フロアクロスメンバ30が車幅方向に配設されている。このフロアクロスメンバ30は、例えば車両用シート(図示せず)の固定部となる部位である。なお、フロアクロスメンバ28,30の配設位置は、これらの位置には限られない。
【0027】
図2において、補強部材12は、ロッカ10の閉断面14内において、少なくとも2組の互いに対向する角部、例えば角部10A,10B及び角部10C,10Dの方向に向かって夫々延びる、例えば硬質樹脂製の成形品である。この補強部材12は、車両正面視で放射状の一例たる略X字形に形成されており、4箇所の端部12A,12B,12C,12Dを有している。該端部12A,12B,12C,12Dは、ロッカ10における閉断面14の4箇所の角部10A,10B,10C,10Dに夫々対応している。図4に示されるように、補強部材12の一般部は、例えば、互いに平行な一対の側壁部12Sと、該側壁部12Sの例えば高さ方向(車両前後方向)の中央部同士を連結する連結部12Hとにより、断面H形に形成されている。
【0028】
補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dには、結合手段の一例たる発泡部材32が設けられている。図3に示されるように、この発泡部材32は、加熱されることで発泡した後、冷却により比較的高剛性な状態に固化する例えば発泡ウレタンであり、該発泡部材32により、補強部材12の12A,12B,12C,12Dが、ロッカ10における閉断面14の4箇所の角部10A,10B,10C,10Dに夫々結合されている。
【0029】
角部10Aは、ロッカインナパネル16の車両下側の稜線の内側に相当し、角部10Bは角部10Aの対角方向に位置するロッカアウタパネル18の車両上側の稜線の内側に相当する。また角部10Cは、ロッカインナパネル16の車両上側の稜線の内側に相当し、角部10Dは角部10Cの対角方向に位置するロッカアウタパネル18の車両下側の稜線の内側に相当する。
【0030】
ここで、補強部材12の端部の構成について、端部12Aを例に挙げて説明する。図2に示されるように、端部12Aの端面12Eは、ロッカ10における閉断面14の角部10Aに沿うように、車両正面視で例えば略山形に形成されている。図5に示されるように、端部12Aには、一般部における連結部12Hよりも側壁部12Sの高さ方向(車両前後方向)の一方に落ち込んで形成された段差部12Gが設けられている。この段差部12Gには、側壁部12Sの高さ方向(車両前後方向)において該段差部12Gと例えば線対称となる形状のカバー12Jが、別部品として固着されている。なお、このカバー12Jに相当する部位を、補強部材12に一体成形するようにしてもよい。
【0031】
端部12Aには、該端部12Aに対応する角部10Aの方向に発泡部材32が発泡するように、該発泡部材32の発泡方向を規制する発泡規制手段36が設けられている。具体的には、未発泡(加熱前)の発泡部材32は、端部12Aにおいて、段差部12G、カバー12J及び一対の側壁部12Sにより構成される保持部34に設けられている。この保持部34は、ロッカ10における閉断面14の角部10A(図2)の方向のみに開口しており、発泡部材32が発泡する際、その発泡方向が該角部10Aの方向に規制されるようになっている。即ち、端部12Aにおける段差部12G、カバー12J及び一対の側壁部12Sが、発泡規制手段36となっている。補足すると、このうち段差部12G及びカバー12Jにより、角部10A(図2)と逆方向及び車両前後方向への発泡部材32の発泡が規制されるようになっている。また、一対の側壁部12Sにより、該側壁部12Sの面方向と直交する外側方向への発泡部材32の発泡が規制されるようになっている。
【0032】
なお、図5において、未発泡(加熱前)の発泡部材32における角部10A(図2)側の端面33が、補強部材12の端部12Aにおける端面形状に対応した形状となっているが、補強部材12をロッカ10の閉断面14内に仮止めする際の妨げとならない形状であれば、他の形状であってもよい。例えば、発泡部材32を、端部12Aの保持部34内に収まる大きさの直方体形状に形成するようにしてもよい。
【0033】
補強部材12における他の端部12B,12C,12Dについても、端部12Aと同様である。なお、図2において、補強部材12をロッカ10の閉断面14内に仮止めする際には、端部12A,12Dが車両下側を向いた状態となるため、発泡部材32は、補強部材12における各端部の保持部34内に安定的に保持されていることが望ましい。そのため、発泡部材32は、各保持部34に例えば圧入される。
【0034】
補強部材12の一般部の断面形状は、H形には限られず、例えば図6に示される各種の断面形状とすることが可能である。図6(A)に示される例では、一対の側壁部12Sの間に、該側壁部12Sと同様の中壁部12Mが追加形成されている。
【0035】
図6(B)に示される例では、補強部材12の一般部が、平板状の第1部材41と、断面略逆U字形の第2部材42とが接合されることで、矩形の閉断面とされている。この第1部材41は、連結部12Hをも兼ねている。
【0036】
図6(C)に示される例では、図6(B)の例における矩形の閉断面の中央部に、側壁部12Sと平行な中壁部12Mが追加形成されている。この例では、平板状の第1部材41と、断面略逆W字形の第2部材42とが接合されている。この第1部材41は、連結部12Hをも兼ねている。
【0037】
図6(D)に示される例では、補強部材12の一般部が、断面略U字形の第1部材41と、断面略逆U字形の第2部材42とが突合せ接合されて、図6(B)と同様の矩形の閉断面とされている。第1部材41及び第2部材42は、側壁部12Sに相当する部位と、連結部12Hに相当する部位とを夫々有している。
【0038】
そして図6(E)に示される例では、補強部材12の一般部が、断面略W字形の第1部材41と、断面略逆W字形の第2部材42とが突合せ接合され、図6(C)と同様の閉断面形状とされている。第1部材41及び第2部材42は、側壁部12Sに相当する部位と、連結部12Hに相当する部位と、中壁部12Mに相当する部位とを夫々有している。なお、図6(B)〜(E)においては、第1部材41と第2部材42とを接合する構成としたが、これに限られず、初めから一体成形するようにしてもよい。
【0039】
図2,図3において、本実施形態に係る車両骨格構造Sの製造方法では、多角形の閉断面14が構成されるようにロッカ10を製造する際に、閉断面14の少なくとも2組の互いに対向する角部10A,10B及び角部10C,10D方向に向かって夫々延びる補強部材12を、その端部12A,12B,12C,12Dに発泡部材32を夫々配置した状態で閉断面14内に仮止めしておき、ロッカ10への加熱を伴う工程において、その熱を利用して発泡部材32を発泡させて、補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dと、閉断面14の角部10A,10B,10C,10Dとを夫々結合する。
【0040】
補強部材12を閉断面14内に仮止めできるようにするために、該閉断面14内における角部10Bの車両下方側には、台座38が取り付けられている。この台座38は、補強部材12の端部12Bを支持できるように、例えば車両前後方向に延びる三角柱形状に形成されており、例えばクリップ40を用いてロッカアウタパネル18に取り付けられている。
【0041】
図1に示されるように、補強部材12は、車幅方向において、例えばフロアクロスメンバ28,30や、Bピラー24の下部と重なる位置に夫々配設されている。補強部材12の配設位置はこれに限られるものではなく、車両前後方向における閉断面14内の任意の位置に補強部材12を配設することが可能である。
【0042】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1,図3において、本実施形態に係る車両骨格構造Sでは、ロッカ10の多角形の閉断面14内において、例えば2組の互いに対向する角部10A,10B、及び角部10C,10Dを、夫々補強部材12により結合しているので、ロッカ10のねじり剛性が向上している。このため、例えばBピラー24に対する側面衝突によりロッカ10にねじりが加わった際に、該ロッカ10の断面変形を抑制することができる。補強部材12は、硬質樹脂製であるので、車重の増加を抑制することができる。
【0043】
次に、車両骨格構造Sの製造について説明する。図2に示されるように、ロッカ10の製造に先立って、ロッカインナパネル16には、補強部材12の配設位置に対応して、補強部材12を仮止めするための台座38をクリップ40により取り付けておく。また補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dにおける保持部34には、発泡部材32を夫々保持しておく。
【0044】
ロッカ10の製造時には、ロッカインナパネル16とロッカアウタパネル18とを接合して、例えば略矩形の閉断面14が構成されるようにする。この際、補強部材12を該閉断面14内に仮止めしておく。具体的には、補強部材12の端部12Bを台座38で支持するようにして、補強部材12を閉断面14内に仮止めする。このとき発泡部材32は未発泡の状態であるが、補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dは、ロッカ10の角部10A,10B,10C,10Dに夫々近接対向又は当接した状態となる。
【0045】
そして、図3に示されるように、塗装工程等のようにロッカ10が加熱される工程において、発泡部材32が加熱されて発泡し、冷却により比較的高剛性な状態に固化することで、ロッカ10と補強部材12とが結合される。具体的には、発泡部材32は、発泡することでその体積が増加して、補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dにおける各々の保持部34から膨出し、各端部とロッカ10の角部10A,10B,10C,10Dとの間に充填されて行く。これにより、ロッカ10と補強部材12とが結合される。
【0046】
このとき、補強部材12の端部12A,12B,12C,12Dに夫々設けられた発泡規制手段36により、発泡部材32の発泡方向が、各端部から該端部に対応するロッカ10の角部10A,10B,10C,10Dの方向に夫々規制されるので、互いに対応する端部12Aと角部10A、端部12Bと角部10B、端部12Cと10C、及び端部12Dと角部10Dとを、夫々効率的に結合することができる。このため、発泡部材32によるロッカ10と補強部材12との結合性を高めることができる。他の端部12B,12C,12Dについても、同様にして角部10B,10C,10Dと夫々結合される。
【0047】
ここで、図5において、例えば端部12Aに設けられた発泡規制手段36とは、段差部12G、カバー12J及び一対の側壁部12Sである。このうち段差部12G及びカバー12Jにより、角部10A(図2)と逆方向及び車両前後方向への発泡部材32の発泡が規制される。また、一対の側壁部12Sにより、該側壁部12Sの面方向と直交する外側方向への発泡部材32の発泡が規制される。
【0048】
従来の車両骨格構造では、車両骨格部材の製造の際に、バルクヘッド等の各種補強部材を車両骨格部材に対して溶接等により接合する工程が必要になると考えられるが、本実施形態に係る車両骨格構造Sでは、ロッカ10と補強部材12との結合のために工程を別途設けなくても、ロッカ10が加熱される塗装工程等の工程において、その熱を利用して補強部材12をロッカ10に結合することができる。このため、車両骨格構造Sの製造に要する工数を削減することが可能となる。
【0049】
また車両骨格構造Sでは、補強部材12が放射状に形成されているので、該補強部材12により結合される角部10A,10B,10C,10D以外の部分では隙間が確保される。このため、ロッカ10の塗装工程において、塗料の付き回りが良好となる。
【0050】
なお、本実施形態では、車両骨格部材の一例としてロッカ10を挙げて説明したが、車両骨格部材はロッカ10に限られるものではなく、Bピラー24等の他の骨格部位も含まれる。従って、Bピラー24等を補強部材12により補強することも可能である。
【0051】
またロッカ10における多角形の閉断面の一例として略矩形の閉断面14を挙げて説明したが、他の多角形、例えば6角形や8角形の閉断面であってもよい。この場合、補強部材12は、3組や4組の互いに対向する角部方向に向かって延びるように構成され、各端部において発泡部材32等の結合手段により各角部と結合される。
【0052】
更に、本実施形態では、結合手段として、発泡部材32を挙げて説明したが、結合手段はこれに限られない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】車両骨格構造を示す部分破断斜視図である。
【図2】補強部材がロッカの閉断面内において仮止めされた状態を示す拡大断面図である。
【図3】車両骨格構造において、発泡した発泡部材によりロッカと補強部材とが結合された状態を示す、図1における3−3矢視拡大断面図である。
【図4】補強部材における一般部を示す、図3における4−4矢視拡大断面図である。
【図5】補強部材の端部及び該端部に保持される発泡部材の拡大分解斜視図である。
【図6】補強部材における一般部の各種変形例を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0054】
10 ロッカ(車両骨格部材)
10A 角部
10B 角部
10C 角部
10D 角部
12 補強部材
12A 端部
12B 端部
12C 端部
12D 端部
14 閉断面
32 発泡部材(結合手段)
36 発泡規制手段
S 車両骨格構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多角形の閉断面を有する車両骨格部材と、
該車両骨格部材の前記閉断面内において、少なくとも2組の互いに対向する角部方向に向かって延び、その端部に設けられた結合手段により前記角部に夫々結合される樹脂製の補強部材と、
を有することを特徴とする車両骨格構造。
【請求項2】
前記補強部材は、放射状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両骨格構造。
【請求項3】
前記結合手段は、加熱されることで発泡した後固化する発泡部材であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両骨格構造。
【請求項4】
前記補強部材の前記端部に、該端部に対応する前記角部方向に前記発泡部材が発泡するように、該発泡部材の発泡方向を規制する発泡規制手段が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両骨格構造。
【請求項5】
多角形の閉断面が構成されるように車両骨格部材を製造する際に、前記閉断面の少なくとも2組の互いに対向する方向に向かって延びる補強部材を、その端部に発泡部材を配置した状態で前記閉断面内に仮止めしておき、
前記車両骨格部材への加熱を伴う工程において、その熱を利用して前記発泡部材を発泡させて、前記補強部材の前記端部と前記閉断面の前記角部とを結合することを特徴とする車両骨格構造の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−173109(P2009−173109A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−12475(P2008−12475)
【出願日】平成20年1月23日(2008.1.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】