車両
【課題】前輪と後輪に付与する駆動力を調整することで車高を変更することができるようにした車両を提供する。
【解決手段】車体12と、車体12の進行方向前側に設けられる前輪14と、車体12の進行方向後側に設けられる後輪16と、前輪14に駆動力を付与する前輪電動モータ18と、後輪16に駆動力を付与する後輪電動モータ20と、前輪14と車体12とを接続する前輪サスペンション22と、後輪16と車体12とを接続する後輪サスペンション24と、前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に重力方向における所定の荷重が生じるように、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力の大きさおよび後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力の大きさを調整する調整手段26とを有するように構成する。
【解決手段】車体12と、車体12の進行方向前側に設けられる前輪14と、車体12の進行方向後側に設けられる後輪16と、前輪14に駆動力を付与する前輪電動モータ18と、後輪16に駆動力を付与する後輪電動モータ20と、前輪14と車体12とを接続する前輪サスペンション22と、後輪16と車体12とを接続する後輪サスペンション24と、前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に重力方向における所定の荷重が生じるように、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力の大きさおよび後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力の大きさを調整する調整手段26とを有するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記非特許文献1に記載されるように、加速度センサおよび車高センサなどからの出力信号に応じて、車体と車輪とを接続するサスペンションを作動させるアクチュエータの動作を制御することにより、車体の重力方向における位置(車高)を変更し、乗員の乗り心地を向上させたり、悪路走破性を向上させたりするようにしたアクティブ・サスペンション装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献1には、サスペンションに組み込まれるモータのモータ反力によって重力方向における上下方向の荷重を車体に作用させ、車高を変更するようにしたモータ組み込みサスペンション装置について記載されている。このモータ組み込みサスペンション装置によれば、アクティブ・サスペンション装置で必要とされたアクチュエータを搭載する必要がないため、車両を簡素に構成できると共にエネルギー効率に優れた車高の変更が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130986
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「自動車のサスペンション」:カヤバ工業株式会社著(山海堂)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のモータ組み込みサスペンション装置にあっては、モータによって車輪に駆動力を付与すると車高が上がり、モータによって車輪に制動力を付与すると車高が下がる構成であるため、例えば高速走行時など空気抵抗を下げたい場合など車高を自在に下げることができないものであった。また、加速時や減速時など大きなモータ反力が得られる場合にしか車高調整することができないものであった。
【0007】
そこで、本発明は、前輪と後輪に付与する駆動力を調整することで車高を変更することができるようにした車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の車両は、車体と、前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する正方向の駆動力の大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する正方向の駆動力の大きさを調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の車両は、車体と、前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向と大きさを調整する調整手段と、を有し、前記調整手段は、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重を生じさせるに際し、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の車両は、請求項1または請求項2に記載の車両において、前記前輪車体接続手段は、前記前輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションである一方、前記後輪車体接続手段は、前記後輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の車両によれば、前輪と後輪に付与する駆動力を調整することで車高を変更することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の車両によれば、前輪車体接続手段を通じて車体に生じる重力方向の荷重と後輪車体接続手段を通じて車体に生じる重力方向の荷重とが同一方向となるため、前輪駆動力付与手段が前輪に付与する駆動力の方向と後輪駆動力付与手段が後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとしない場合に比べて、車高を大きく変更することができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の車両によれば、公知のサスペンション形式を採用しながら、請求項1または請求項2について述べた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施形態の車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に付与する正方向の駆動力と後輪に付与する正方向の駆動力とが等しい場合の車高について説明する説明図である。
【図3】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に付与する正方向の駆動力が後輪に付与する正方向の駆動力よりも大きい場合の車高について説明する説明図である。
【図4】本発明に係る実施形態の車両において、前輪にのみ正方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図5】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に正方向の駆動力を付与する一方、後輪に負方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図6】本発明に係る実施形態の車両において、後輪に付与する正方向の駆動力が前輪に付与する正方向の駆動力よりも大きい場合の車高について説明する説明図である。
【図7】本発明に係る実施形態の車両において、後輪にのみ正方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図8】本発明に係る実施形態の車両において、後輪に正方向の駆動力を付与する一方、前輪に負方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図9】本発明に係る実施形態の車両において前輪と後輪の駆動力配分を変化させた場合の車高変化量を示すグラフである。
【図10】本発明に係る実施形態の車両において前輪サスペンションの車体との接続箇所および後輪サスペンションの車体との接続箇所を低位置、中位置、高位置と変化させた場合の車体に作用する荷重について説明する説明図である。
【図11】本発明に係る実施形態の車両において前輪と後輪の駆動力配分を変化させた場合の車高変化量であって、前輪サスペンションの車体との接続箇所および後輪サスペンションの車体との接続箇所を低位置、中位置、高位置と変化させたそれぞれの場合の車高変化量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車両の実施形態の一例を添付の図面に基づき説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る車両10は、車体12と、該車体12の進行方向前側に設けられる前輪14と、該車体12の進行方向後側に設けられる後輪16と、前輪14に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段の一例としての前輪電動モータ18と、後輪16に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段の一例としての後輪電動モータ20と、前輪14と車体12とを接続する前輪車体接続手段の一例としての前輪サスペンション22と、後輪16と車体12とを接続する後輪車体接続手段の一例としての後輪サスペンション24と、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力および後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力を調整する調整手段26とを有している。
【0017】
車両10は4輪車であり、車体12には前輪14として車幅方向(図1において紙面垂直方向)において左前輪および右前輪が設けられると共に、後輪16として車幅方向において左後輪および右後輪が設けられている。
【0018】
前輪電動モータ18は左前輪および右前輪にそれぞれ設けられると共に、後輪電動モータ20は左後輪および右後輪にそれぞれ設けられている。尚、左前輪および右前輪を共通に駆動するものとして前輪電動モータ18を1個、左後輪および右後輪を共通に駆動するものとして後輪電動モータ20を1個設けるようにしてもよい。
【0019】
車両10は、このようなインホイール型モータによって各輪が駆動されることで前進または後進可能とされる。尚、本発明の性質上、左右輪を区別して説明する必要がないので、以降、左前輪および右前輪を総称して前輪14といい、左後輪および右後輪を総称して後輪16という。
【0020】
前輪電動モータ18は、車体12を前進させる正方向の駆動力とそれとは反対方向の負方向の駆動力(車体12を後進させる駆動力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)とを選択的に前輪14に付与可能とされている。後輪電動モータ20も、前輪電動モータ18と同様、車体12を前進させる正方向の駆動力とそれとは反対方向の負方向の駆動力(車体12を後進させる駆動力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)とを選択的に後輪16に付与可能とされている。
【0021】
前輪サスペンション22の一端側は前輪14、具体的には前輪14の回転軸を回転自在に支持する支持部材(図示省略)に接続されており、他端側は車体12の所定箇所に接続されている。前輪サスペンション22は、前輪14との接続箇所28が車体12との接続箇所30に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションから構成されている。前輪サスペンション22は、接続箇所28と接続箇所30とにおいて揺動可能とされている。
【0022】
後輪サスペンション24の一端側は後輪16、具体的には後輪16の回転軸を回転自在に支持する支持部材(図示省略)に接続されており、他端側は車体12の所定箇所に接続されている。後輪サスペンション24は、後輪16との接続箇所32が車体12との接続箇所34に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションから構成されている。後輪サスペンション24は、接続箇所32と接続箇所34とにおいて揺動可能とされている。
【0023】
前輪サスペンション22はリーディングアーム式であるため、前輪14に正方向の駆動力(矢印Aで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力(矢印Bで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重、即ち車体12を押し下げる力(矢印Cで示す)が作用する。一方、前輪14に負方向の駆動力(矢印Dで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力とは反対方向の力(車体12を後進させる力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)(矢印Eで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重、即ち車体12を持ち上げる力(矢印Fで示す)が作用する。
【0024】
後輪サスペンション24はトレーリングアーム式であるため、後輪16に正方向の駆動力(矢印Gで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力(矢印Hで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重、即ち車体12を持ち上げる力(矢印Iで示す)が作用する。一方、後輪16に負方向の駆動力(矢印Jで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力とは反対方向の力(車体12を後進させる力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)(矢印Kで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力(制動力)の大きさに応じた重力方向下向きの荷重、即ち車体12を押し下げる力(矢印Lで示す)が作用する。
【0025】
調整手段26は、CPU、RAMおよびROMなどからなる制御装置であり、前輪電動モータ18および後輪電動モータ20に信号線を通じて電気的に接続されている。そして、調整手段26は、前輪電動モータ18に対して前輪14に付与する駆動力の方向と大きさに関する制御信号を送信すると共に、後輪電動モータ20に対して後輪16に付与する駆動力の方向と大きさに関する制御信号を送信する。
【0026】
車体12と前輪14との間には前輪コイルバネ36が設けられると共に、車体12と後輪16との間には後輪コイルバネ38が設けられている。車体12はこれら前輪コイルバネ36および後輪コイルバネ38によって前輪14および後輪16に対して弾性支持されている。
【0027】
車体12の重力方向における位置(車高)は、これら前輪コイルバネ36および後輪コイルバネ38の弾性力と、車体12にかかる重力と、前輪14および後輪16に正方向または負方向の駆動力を付与することで前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する荷重との釣り合いによって定まる。
【0028】
別言すると、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力の方向と大きさおよび後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力の方向と大きさを調整手段26によって調整することで、車体12に重力方向における所望の方向および大きさの荷重を作用させることができる。それにより、車体12の重力方向における位置(車高)を変更することができる。以下、具体的に説明する。
【0029】
図2に示すように、前輪14と後輪16とに正方向の駆動力(矢印A、矢印Gで示す)が等分に付与されている場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「30」の駆動力、後輪16に「30」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)と後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)とは相殺されるものとする。そして、このように車体12に作用する重力方向における荷重が零の場合の車高を基準車高Xとする。
【0030】
図3に示すように、前輪14に付与する正方向の駆動力(矢印Aで示す)が後輪16に付与する正方向の駆動力(矢印Gで示す)よりも大きい場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「40」の駆動力、後輪16に「20」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図2の場合に比べて大きくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図2の場合に比べて小さくなる。即ち、車体12には合計として重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図3に示す車高は、図2に示す基準車高Xよりも低くなる。
【0031】
図4に示すように、前輪14にのみ正方向の駆動力(矢印Aで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「60」の駆動力、後輪16に「0」の駆動力を配分する場合、即ち前輪駆動の場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は、図3の場合に比べて大きくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向の荷重は零になる。即ち、車体12には、合計として図3の場合よりも大きな重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図4に示す車高は、図3に示す車高よりも低くなる。
【0032】
図5に示すように、前輪14に正方向の駆動力(矢印Aで示す)を付与する一方、後輪16に負方向の駆動力(制動力)(矢印Jで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「80」の駆動力、後輪16に「−20」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図4の場合に比べて大きくなる。さらに、車体12には、後輪サスペンション24を通じて重力方向下向きの荷重(矢印Lで示す)が作用する。即ち、車体12には、合計として図4の場合よりも大きな重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図5に示す車高は、図4に示す車高よりも低くなる。
【0033】
図6に示すように、前輪14に付与する正方向の駆動力(矢印Aで示す)が後輪16に付与する正方向の駆動力(矢印Gで示す)よりも小さい場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「20」の駆動力、後輪16に「40」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図2の場合に比べて小さくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図2の場合に比べて大きくなる。即ち、車体12には合計として重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図6に示す車高は、図2に示す基準車高Xよりも高くなる。
【0034】
図7に示すように、後輪16にのみ正方向の駆動力(矢印Gで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「0」の駆動力、後輪16に「60」の駆動力を配分する場合、即ち後輪駆動の場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向の荷重は零になる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は、図6の場合に比べて大きくなる。即ち、車体12には、合計として図6の場合よりも大きな重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図7に示す車高は、図6に示す車高よりも高くなる。
【0035】
図8に示すように、前輪14に負方向の駆動力(制動力)(矢印Dで示す)を付与する一方、後輪16に正方向の駆動力(矢印Gで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「−20」の駆動力、後輪16に「80」の駆動力を配分する場合)、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図7の場合に比べて大きくなる。さらに、車体12には、前輪サスペンション22を通じて重力方向上向きの荷重(矢印Fで示す)が作用する。即ち、車体12には、合計として図7の場合よりも大きな重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図8に示す車高は、図7に示す車高よりも高くなる。
【0036】
図9は、車両10において前輪14と後輪16の駆動力配分を調整手段26によって変化させた場合(ケースa、b、c、・・・k)の車高変化量を示すシミュレーション結果である。尚、車両10の等速状態を維持するように、いずれのケースでも前輪14と後輪16に付与する合計駆動力の大きさを「60」としている。また、車体12の重量を1000kg、ホイールベースを2000mm、前輪コイルバネ36と後輪コイルバネ38をそれぞれ30N/mm、前輪14と後輪16のタイヤサイズをそれぞれ195/65R15としている。
【0037】
ケースfの前輪14と後輪16に付与する駆動力を等配分とした場合の車高(基準車高X)に対し、ケースg,h,iのように前輪14の駆動力配分が高くなるほど車高が下がる。さらには、ケースj、kのように、前輪14に対して後輪16を逆駆動し、逆駆動力配分を高くするほど車高がより一層下がる。一方、ケースe,d,cのように後輪16の駆動力配分が高くなるほど車高が上がる。さらには、ケースb,aのように、後輪16に対して前輪14を逆駆動し、逆駆動力配分を高くするほど車高がより一層上がる。
【0038】
このように、車両10において前輪14と後輪16の駆動力配分を調整手段26によって調整することで、車両10の等速状態を維持しつつ車高を自在に調整することができる。別言すると、前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に重力方向における所定の方向および大きさの荷重が生じるように、調整手段26によって前輪14と後輪16に付与する駆動力配分を調整することで車高を自在に調整することができる。さらに、前輪14および後輪16の内の一方に対して前輪14および後輪16の内の他方を逆駆動することで、車高の変化量を増加させることができる。
【0039】
尚、前輪14および後輪16の内の一方に対して前輪14および後輪16の内の他方を逆駆動する、即ち制動する場合、その制動エネルギーを前輪電動モータ18または後輪電動モータ20をジェネレータとして用いて回生し、蓄電装置(図示省略)に蓄えることでエネルギー損失を抑制することができる。
【0040】
また、図10に示すように、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を低位置、中位置、高位置と変化させた場合、図11に示すように、前輪14と後輪16の駆動力配分の変化に対する車高変化量は、低位置、中位置、高位置の順に大きくなる。
【0041】
これは、図10に示すように、前輪14の接地点40および前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30を結ぶ線と走行面とがなす角度(θ1、θ2、θ3で示す)が大きくなるほど、前輪14に付与する駆動力(Ffで示す)に対して車体12に作用する重力方向の荷重(Ff・tanθ1、Ff・tanθ2、Ff・tanθ3で示す)が大きくなると共に、後輪16の接地点42および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を結ぶ線と走行面とがなす角度(θ4、θ5、θ6で示す)が大きくなるほど、後輪16に付与する駆動力(Frで示す)に対して車体12に作用する重力方向の荷重(Fr・tanθ4、Fr・tanθ5、Fr・tanθ6で示す)が大きくなるからである。
【0042】
即ち、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を配置制約上できるだけ高位置とすることで、車高変化量を大きくすることができる。また、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を変化可能とする可変機構(図示省略)を別途設けることで、前輪14と後輪16の駆動力配分に対する車高変化量の感度を適宜に変更することができる。
【0043】
尚、本実施例の車両10では、前輪駆動力付与手段および後輪駆動力付与手段として、インホイール型の前輪電動モータ18および後輪電動モータ20を用いたが、前輪14および後輪16に正方向の駆動力および負方向の駆動力を付与することができるものであればよく、駆動源としてエンジンや空気モータを採用してもよい。空気モータの場合、負方向の駆動力を付与するに際して空気を圧縮させることでエネルギー回生を行うことができる。また、負方向の駆動力、即ち制動力を与えるに際し、摩擦ブレーキを用いてもよい。この場合、前輪駆動力付与手段および後輪駆動力付与手段は摩擦ブレーキを含む構成とされる。
【符号の説明】
【0044】
10 車両
12 車体
14 前輪
16 後輪
18 前輪電動モータ(前輪駆動力付与手段の一例)
20 後輪電動モータ(後輪駆動力付与手段の一例)
22 前輪サスペンション(前輪車体接続手段の一例)
24 後輪サスペンション(後輪車体接続手段の一例)
26 調整手段
36 前輪コイルバネ
38 後輪コイルバネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記非特許文献1に記載されるように、加速度センサおよび車高センサなどからの出力信号に応じて、車体と車輪とを接続するサスペンションを作動させるアクチュエータの動作を制御することにより、車体の重力方向における位置(車高)を変更し、乗員の乗り心地を向上させたり、悪路走破性を向上させたりするようにしたアクティブ・サスペンション装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献1には、サスペンションに組み込まれるモータのモータ反力によって重力方向における上下方向の荷重を車体に作用させ、車高を変更するようにしたモータ組み込みサスペンション装置について記載されている。このモータ組み込みサスペンション装置によれば、アクティブ・サスペンション装置で必要とされたアクチュエータを搭載する必要がないため、車両を簡素に構成できると共にエネルギー効率に優れた車高の変更が実現可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−130986
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「自動車のサスペンション」:カヤバ工業株式会社著(山海堂)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のモータ組み込みサスペンション装置にあっては、モータによって車輪に駆動力を付与すると車高が上がり、モータによって車輪に制動力を付与すると車高が下がる構成であるため、例えば高速走行時など空気抵抗を下げたい場合など車高を自在に下げることができないものであった。また、加速時や減速時など大きなモータ反力が得られる場合にしか車高調整することができないものであった。
【0007】
そこで、本発明は、前輪と後輪に付与する駆動力を調整することで車高を変更することができるようにした車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の車両は、車体と、前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する正方向の駆動力の大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する正方向の駆動力の大きさを調整する調整手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の車両は、車体と、前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向と大きさを調整する調整手段と、を有し、前記調整手段は、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重を生じさせるに際し、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとすることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の車両は、請求項1または請求項2に記載の車両において、前記前輪車体接続手段は、前記前輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションである一方、前記後輪車体接続手段は、前記後輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の車両によれば、前輪と後輪に付与する駆動力を調整することで車高を変更することができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載の車両によれば、前輪車体接続手段を通じて車体に生じる重力方向の荷重と後輪車体接続手段を通じて車体に生じる重力方向の荷重とが同一方向となるため、前輪駆動力付与手段が前輪に付与する駆動力の方向と後輪駆動力付与手段が後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとしない場合に比べて、車高を大きく変更することができる。
【0013】
本発明の請求項3に記載の車両によれば、公知のサスペンション形式を採用しながら、請求項1または請求項2について述べた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る実施形態の車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に付与する正方向の駆動力と後輪に付与する正方向の駆動力とが等しい場合の車高について説明する説明図である。
【図3】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に付与する正方向の駆動力が後輪に付与する正方向の駆動力よりも大きい場合の車高について説明する説明図である。
【図4】本発明に係る実施形態の車両において、前輪にのみ正方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図5】本発明に係る実施形態の車両において、前輪に正方向の駆動力を付与する一方、後輪に負方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図6】本発明に係る実施形態の車両において、後輪に付与する正方向の駆動力が前輪に付与する正方向の駆動力よりも大きい場合の車高について説明する説明図である。
【図7】本発明に係る実施形態の車両において、後輪にのみ正方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図8】本発明に係る実施形態の車両において、後輪に正方向の駆動力を付与する一方、前輪に負方向の駆動力を付与する場合の車高について説明する説明図である。
【図9】本発明に係る実施形態の車両において前輪と後輪の駆動力配分を変化させた場合の車高変化量を示すグラフである。
【図10】本発明に係る実施形態の車両において前輪サスペンションの車体との接続箇所および後輪サスペンションの車体との接続箇所を低位置、中位置、高位置と変化させた場合の車体に作用する荷重について説明する説明図である。
【図11】本発明に係る実施形態の車両において前輪と後輪の駆動力配分を変化させた場合の車高変化量であって、前輪サスペンションの車体との接続箇所および後輪サスペンションの車体との接続箇所を低位置、中位置、高位置と変化させたそれぞれの場合の車高変化量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る車両の実施形態の一例を添付の図面に基づき説明する。
【0016】
図1に示すように、本発明に係る車両10は、車体12と、該車体12の進行方向前側に設けられる前輪14と、該車体12の進行方向後側に設けられる後輪16と、前輪14に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段の一例としての前輪電動モータ18と、後輪16に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段の一例としての後輪電動モータ20と、前輪14と車体12とを接続する前輪車体接続手段の一例としての前輪サスペンション22と、後輪16と車体12とを接続する後輪車体接続手段の一例としての後輪サスペンション24と、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力および後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力を調整する調整手段26とを有している。
【0017】
車両10は4輪車であり、車体12には前輪14として車幅方向(図1において紙面垂直方向)において左前輪および右前輪が設けられると共に、後輪16として車幅方向において左後輪および右後輪が設けられている。
【0018】
前輪電動モータ18は左前輪および右前輪にそれぞれ設けられると共に、後輪電動モータ20は左後輪および右後輪にそれぞれ設けられている。尚、左前輪および右前輪を共通に駆動するものとして前輪電動モータ18を1個、左後輪および右後輪を共通に駆動するものとして後輪電動モータ20を1個設けるようにしてもよい。
【0019】
車両10は、このようなインホイール型モータによって各輪が駆動されることで前進または後進可能とされる。尚、本発明の性質上、左右輪を区別して説明する必要がないので、以降、左前輪および右前輪を総称して前輪14といい、左後輪および右後輪を総称して後輪16という。
【0020】
前輪電動モータ18は、車体12を前進させる正方向の駆動力とそれとは反対方向の負方向の駆動力(車体12を後進させる駆動力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)とを選択的に前輪14に付与可能とされている。後輪電動モータ20も、前輪電動モータ18と同様、車体12を前進させる正方向の駆動力とそれとは反対方向の負方向の駆動力(車体12を後進させる駆動力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)とを選択的に後輪16に付与可能とされている。
【0021】
前輪サスペンション22の一端側は前輪14、具体的には前輪14の回転軸を回転自在に支持する支持部材(図示省略)に接続されており、他端側は車体12の所定箇所に接続されている。前輪サスペンション22は、前輪14との接続箇所28が車体12との接続箇所30に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションから構成されている。前輪サスペンション22は、接続箇所28と接続箇所30とにおいて揺動可能とされている。
【0022】
後輪サスペンション24の一端側は後輪16、具体的には後輪16の回転軸を回転自在に支持する支持部材(図示省略)に接続されており、他端側は車体12の所定箇所に接続されている。後輪サスペンション24は、後輪16との接続箇所32が車体12との接続箇所34に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションから構成されている。後輪サスペンション24は、接続箇所32と接続箇所34とにおいて揺動可能とされている。
【0023】
前輪サスペンション22はリーディングアーム式であるため、前輪14に正方向の駆動力(矢印Aで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力(矢印Bで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重、即ち車体12を押し下げる力(矢印Cで示す)が作用する。一方、前輪14に負方向の駆動力(矢印Dで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力とは反対方向の力(車体12を後進させる力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)(矢印Eで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重、即ち車体12を持ち上げる力(矢印Fで示す)が作用する。
【0024】
後輪サスペンション24はトレーリングアーム式であるため、後輪16に正方向の駆動力(矢印Gで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力(矢印Hで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重、即ち車体12を持ち上げる力(矢印Iで示す)が作用する。一方、後輪16に負方向の駆動力(矢印Jで示す)が付与されているとき、車体12には車体12を前進させる力とは反対方向の力(車体12を後進させる力、あるいは、車体12が前進駆動されている場合、車体12を制動する制動力)(矢印Kで示す)が作用すると共に、付与されている駆動力(制動力)の大きさに応じた重力方向下向きの荷重、即ち車体12を押し下げる力(矢印Lで示す)が作用する。
【0025】
調整手段26は、CPU、RAMおよびROMなどからなる制御装置であり、前輪電動モータ18および後輪電動モータ20に信号線を通じて電気的に接続されている。そして、調整手段26は、前輪電動モータ18に対して前輪14に付与する駆動力の方向と大きさに関する制御信号を送信すると共に、後輪電動モータ20に対して後輪16に付与する駆動力の方向と大きさに関する制御信号を送信する。
【0026】
車体12と前輪14との間には前輪コイルバネ36が設けられると共に、車体12と後輪16との間には後輪コイルバネ38が設けられている。車体12はこれら前輪コイルバネ36および後輪コイルバネ38によって前輪14および後輪16に対して弾性支持されている。
【0027】
車体12の重力方向における位置(車高)は、これら前輪コイルバネ36および後輪コイルバネ38の弾性力と、車体12にかかる重力と、前輪14および後輪16に正方向または負方向の駆動力を付与することで前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する荷重との釣り合いによって定まる。
【0028】
別言すると、前輪電動モータ18が前輪14に付与する駆動力の方向と大きさおよび後輪電動モータ20が後輪16に付与する駆動力の方向と大きさを調整手段26によって調整することで、車体12に重力方向における所望の方向および大きさの荷重を作用させることができる。それにより、車体12の重力方向における位置(車高)を変更することができる。以下、具体的に説明する。
【0029】
図2に示すように、前輪14と後輪16とに正方向の駆動力(矢印A、矢印Gで示す)が等分に付与されている場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「30」の駆動力、後輪16に「30」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)と後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)とは相殺されるものとする。そして、このように車体12に作用する重力方向における荷重が零の場合の車高を基準車高Xとする。
【0030】
図3に示すように、前輪14に付与する正方向の駆動力(矢印Aで示す)が後輪16に付与する正方向の駆動力(矢印Gで示す)よりも大きい場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「40」の駆動力、後輪16に「20」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図2の場合に比べて大きくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図2の場合に比べて小さくなる。即ち、車体12には合計として重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図3に示す車高は、図2に示す基準車高Xよりも低くなる。
【0031】
図4に示すように、前輪14にのみ正方向の駆動力(矢印Aで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「60」の駆動力、後輪16に「0」の駆動力を配分する場合、即ち前輪駆動の場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は、図3の場合に比べて大きくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向の荷重は零になる。即ち、車体12には、合計として図3の場合よりも大きな重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図4に示す車高は、図3に示す車高よりも低くなる。
【0032】
図5に示すように、前輪14に正方向の駆動力(矢印Aで示す)を付与する一方、後輪16に負方向の駆動力(制動力)(矢印Jで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「80」の駆動力、後輪16に「−20」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図4の場合に比べて大きくなる。さらに、車体12には、後輪サスペンション24を通じて重力方向下向きの荷重(矢印Lで示す)が作用する。即ち、車体12には、合計として図4の場合よりも大きな重力方向下向きの荷重が作用する。その結果、図5に示す車高は、図4に示す車高よりも低くなる。
【0033】
図6に示すように、前輪14に付与する正方向の駆動力(矢印Aで示す)が後輪16に付与する正方向の駆動力(矢印Gで示す)よりも小さい場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「20」の駆動力、後輪16に「40」の駆動力を配分する場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向下向きの荷重(矢印Cで示す)は図2の場合に比べて小さくなる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図2の場合に比べて大きくなる。即ち、車体12には合計として重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図6に示す車高は、図2に示す基準車高Xよりも高くなる。
【0034】
図7に示すように、後輪16にのみ正方向の駆動力(矢印Gで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「0」の駆動力、後輪16に「60」の駆動力を配分する場合、即ち後輪駆動の場合)、前輪サスペンション22を通じて車体12に作用する重力方向の荷重は零になる。一方、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は、図6の場合に比べて大きくなる。即ち、車体12には、合計として図6の場合よりも大きな重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図7に示す車高は、図6に示す車高よりも高くなる。
【0035】
図8に示すように、前輪14に負方向の駆動力(制動力)(矢印Dで示す)を付与する一方、後輪16に正方向の駆動力(矢印Gで示す)を付与する場合(例えば、合計「60」の正方向の駆動力の内、前輪14に「−20」の駆動力、後輪16に「80」の駆動力を配分する場合)、後輪サスペンション24を通じて車体12に作用する重力方向上向きの荷重(矢印Iで示す)は図7の場合に比べて大きくなる。さらに、車体12には、前輪サスペンション22を通じて重力方向上向きの荷重(矢印Fで示す)が作用する。即ち、車体12には、合計として図7の場合よりも大きな重力方向上向きの荷重が作用する。その結果、図8に示す車高は、図7に示す車高よりも高くなる。
【0036】
図9は、車両10において前輪14と後輪16の駆動力配分を調整手段26によって変化させた場合(ケースa、b、c、・・・k)の車高変化量を示すシミュレーション結果である。尚、車両10の等速状態を維持するように、いずれのケースでも前輪14と後輪16に付与する合計駆動力の大きさを「60」としている。また、車体12の重量を1000kg、ホイールベースを2000mm、前輪コイルバネ36と後輪コイルバネ38をそれぞれ30N/mm、前輪14と後輪16のタイヤサイズをそれぞれ195/65R15としている。
【0037】
ケースfの前輪14と後輪16に付与する駆動力を等配分とした場合の車高(基準車高X)に対し、ケースg,h,iのように前輪14の駆動力配分が高くなるほど車高が下がる。さらには、ケースj、kのように、前輪14に対して後輪16を逆駆動し、逆駆動力配分を高くするほど車高がより一層下がる。一方、ケースe,d,cのように後輪16の駆動力配分が高くなるほど車高が上がる。さらには、ケースb,aのように、後輪16に対して前輪14を逆駆動し、逆駆動力配分を高くするほど車高がより一層上がる。
【0038】
このように、車両10において前輪14と後輪16の駆動力配分を調整手段26によって調整することで、車両10の等速状態を維持しつつ車高を自在に調整することができる。別言すると、前輪サスペンション22および後輪サスペンション24を通じて車体12に重力方向における所定の方向および大きさの荷重が生じるように、調整手段26によって前輪14と後輪16に付与する駆動力配分を調整することで車高を自在に調整することができる。さらに、前輪14および後輪16の内の一方に対して前輪14および後輪16の内の他方を逆駆動することで、車高の変化量を増加させることができる。
【0039】
尚、前輪14および後輪16の内の一方に対して前輪14および後輪16の内の他方を逆駆動する、即ち制動する場合、その制動エネルギーを前輪電動モータ18または後輪電動モータ20をジェネレータとして用いて回生し、蓄電装置(図示省略)に蓄えることでエネルギー損失を抑制することができる。
【0040】
また、図10に示すように、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を低位置、中位置、高位置と変化させた場合、図11に示すように、前輪14と後輪16の駆動力配分の変化に対する車高変化量は、低位置、中位置、高位置の順に大きくなる。
【0041】
これは、図10に示すように、前輪14の接地点40および前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30を結ぶ線と走行面とがなす角度(θ1、θ2、θ3で示す)が大きくなるほど、前輪14に付与する駆動力(Ffで示す)に対して車体12に作用する重力方向の荷重(Ff・tanθ1、Ff・tanθ2、Ff・tanθ3で示す)が大きくなると共に、後輪16の接地点42および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を結ぶ線と走行面とがなす角度(θ4、θ5、θ6で示す)が大きくなるほど、後輪16に付与する駆動力(Frで示す)に対して車体12に作用する重力方向の荷重(Fr・tanθ4、Fr・tanθ5、Fr・tanθ6で示す)が大きくなるからである。
【0042】
即ち、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を配置制約上できるだけ高位置とすることで、車高変化量を大きくすることができる。また、前輪サスペンション22の車体12との接続箇所30および後輪サスペンション24の車体12との接続箇所34を変化可能とする可変機構(図示省略)を別途設けることで、前輪14と後輪16の駆動力配分に対する車高変化量の感度を適宜に変更することができる。
【0043】
尚、本実施例の車両10では、前輪駆動力付与手段および後輪駆動力付与手段として、インホイール型の前輪電動モータ18および後輪電動モータ20を用いたが、前輪14および後輪16に正方向の駆動力および負方向の駆動力を付与することができるものであればよく、駆動源としてエンジンや空気モータを採用してもよい。空気モータの場合、負方向の駆動力を付与するに際して空気を圧縮させることでエネルギー回生を行うことができる。また、負方向の駆動力、即ち制動力を与えるに際し、摩擦ブレーキを用いてもよい。この場合、前輪駆動力付与手段および後輪駆動力付与手段は摩擦ブレーキを含む構成とされる。
【符号の説明】
【0044】
10 車両
12 車体
14 前輪
16 後輪
18 前輪電動モータ(前輪駆動力付与手段の一例)
20 後輪電動モータ(後輪駆動力付与手段の一例)
22 前輪サスペンション(前輪車体接続手段の一例)
24 後輪サスペンション(後輪車体接続手段の一例)
26 調整手段
36 前輪コイルバネ
38 後輪コイルバネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、
前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、
前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、
前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、
前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、
前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、
前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する正方向の駆動力の大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する正方向の駆動力の大きさを調整する調整手段と、
を有する車両。
【請求項2】
車体と、
前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、
前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、
前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、
前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、
前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、
前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、
前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向と大きさを調整する調整手段と、
を有し、
前記調整手段は、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重を生じさせるに際し、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとする車両。
【請求項3】
前記前輪車体接続手段は、前記前輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションである一方、前記後輪車体接続手段は、前記後輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションである請求項1または請求項2に記載の車両。
【請求項1】
車体と、
前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、
前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、
前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、
前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、
前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、
前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、
前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する正方向の駆動力の大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する正方向の駆動力の大きさを調整する調整手段と、
を有する車両。
【請求項2】
車体と、
前記車体の進行方向前側に設けられる前輪と、
前記車体の進行方向後側に設けられる後輪と、
前記前輪に駆動力を付与する前輪駆動力付与手段と、
前記後輪に駆動力を付与する後輪駆動力付与手段と、
前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記前輪駆動力付与手段によって前記前輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じるように、前記前輪と前記車体とを接続する前輪車体接続手段と、
前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記車体を前進させる正方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向上向きの荷重が前記車体に生じる一方、前記後輪駆動力付与手段によって前記後輪に前記正方向とは反対方向の負方向の駆動力が付与されているときに付与されている駆動力の大きさに応じた重力方向下向きの荷重が前記車体に生じるように、前記後輪と前記車体とを接続する後輪車体接続手段と、
前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重が生じるように、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と大きさおよび前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向と大きさを調整する調整手段と、
を有し、
前記調整手段は、前記前輪車体接続手段および前記後輪車体接続手段を通じて前記車体に重力方向における所定の荷重を生じさせるに際し、前記前輪駆動力付与手段が前記前輪に付与する駆動力の方向と前記後輪駆動力付与手段が前記後輪に付与する駆動力の方向とを逆向きとする車両。
【請求項3】
前記前輪車体接続手段は、前記前輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向前側とされるリーディングアーム式サスペンションである一方、前記後輪車体接続手段は、前記後輪との接続箇所が前記車体との接続箇所に対して進行方向後側とされるトレーリングアーム式サスペンションである請求項1または請求項2に記載の車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−240444(P2012−240444A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109369(P2011−109369)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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