説明

車体メンバ構造

【課題】圧壊強度や強度バランスを精度良く調整して、潰れモードの安定性を向上することにより、衝突エネルギーの吸収効率を高めるようにした車体メンバ構造を提供する。
【解決手段】フロントサイドメンバ1に設けたビード2の前方端部2fの底面21を第1の曲率αの曲面に形成し、後方端部2rの底面21を第2の曲率βの曲面に形成して、ビード2の前後の強度バランスの調整が可能とする。また、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差させることにより、ビード2の前方部を積極的に潰れモードとして衝突エネルギーを効率良く吸収し、ビード2の後方部を積極的に突っ張りモードとして高い反力を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両前後方向に延在して閉断面に形成された車体メンバ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、自動車の前部には、車幅方向両側に車両前後方向に延在する閉断面構造のフロントサイドメンバを備えている。フロントサイドメンバは、前面衝突時に軸方向に潰れ変形して衝撃を吸収する機能を有しており、このため、フロントサイドメンバの座屈強度や強度バランスを確保するために、そのフロントサイドメンバの側面にビードを形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−108863号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる従来の車体メンバ構造では、フロントサイドメンバの側面に形成したビードは、そのフロントサイドメンバの長手方向に延在しており、そのビードの数や深さ(高さ)を適宜変更することにより座屈強度を調節することを狙いとしている。
【0004】
ところが、前記ビードは、それの深さ(高さ)がビードの全長に亘って単に一定に形成されたものである。このため、フロントサイドメンバの圧壊強度や強度バランスを精度良く調整することが困難となり、従って、フロントサイドメンバの潰れモードが理想的なものでなく、衝突エネルギーの吸収効率が低下されてしまうおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、圧壊強度や強度バランスを精度良く調整して、潰れモードの安定性を向上することにより、衝突エネルギーの吸収効率を高めるようにした車体メンバ構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両前後方向に延在して閉断面を成す車体メンバを構成する少なくても1つの面に、前記車体メンバの長手方向に所定長さをもって延在するビードを設け、該ビードの前方端部の底面を第1の曲率をもって形成するとともに、後方端部の底面を第2の曲率をもって形成し、これら前方端部と後方端部との間の底面形状を滑らかに連続させ、第1の曲率の底面の頂部と第2の曲率の底面の頂部とを結ぶ第1の直線と、第1の曲率の中心と第2の曲率の中心とを結ぶ第2の直線と、を前方で交差させたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両前後方向に延在して閉断面を成す車体メンバの少なくても1つの面にビードを設けるようになっており、そのビードの底面の曲率を前方端部と後方端部とで異ならせたことにより、ビードの前後の強度バランスの調整が可能となる。そして、前方端部の第1の曲率の底面の頂部と後方端部の第2の曲率の底面の頂部とを結ぶ第1の直線と、第1の曲率の中心と第2の曲率の中心とを結ぶ第2の直線と、を前方端部よりも前側で交差させたことにより、ビードの前方部を積極的に潰れモードとして衝突エネルギーを効率良く吸収するとともに、ビードの後方部を積極的に突っ張りモードとして高い反力を発生させることができる。これにより、圧壊強度や強度バランスを精度良く調整して潰れモードの安定性を向上し、衝突エネルギーの吸収効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0009】
[第1実施形態]
図1〜図3は本発明にかかる車体メンバ構造の第1実施形態を示し、図1はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図2(a)(b)は図1中のA−A線に沿った前方端部とB−B線に沿った後方端部の断面とを示す断面図であり、図2(c)はビードの長手方向の断面を示す模式図、図3はフロントサイドメンバの反力特性を従来と比較して示す説明図である。
【0010】
本実施形態の車体メンバ構造は、フロントサイドメンバに適用した場合を例にとって示し、フロントサイドメンバは一般に知られるように、車体前部に構成されるエンジンルームなどのフロントコンパートメントの車幅方向両側に車両前後方向に延在しており、そのフロントサイドメンバは車体前部の前後方向の骨格として用いられる。
【0011】
図1に示すように、車体メンバとしてのフロントサイドメンバ1は、断面矩形状の閉断面構造として形成してある。閉断面構造のフロントサイドメンバ1は、例えば、チャンネル状のアウタパネルと平板状のインナパネルとを接合することにより形成することができる。
【0012】
ここで、本実施形態では、上記フロントサイドメンバ1の車内側側面1aに、そのフロントサイドメンバ1の長手方向(車両前後方向)に所定長さをもって延在するビード2を設ける。このとき、図2中左側に示すように、そのビード2の前方端部2f(図1中A−A線断面)の底面21を第1の曲率αを有する曲面に形成するとともに、図1中B−B線断面の図2(b)に示すように、後方端部2rの底面21を第2の曲率βを有する曲面に形成してある。そして、図1に示すように、前方端部2fと後方端部2rとの間の底面21の形状を滑らかに連続して形成してある。
【0013】
そして、図2(c)に示すように、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方端部2fよりも前側で交差させてあり、その交点はCである。
【0014】
つまり、第1の直線L1は、ビード2の前方端部2fの深さD1と後方端部2rの深さD2との差によって、ビード2の形成面(車内側側面1a)に対する傾きが決定される。また、第2の直線L2は、第1の曲率αの曲率半径R1と第2の曲率βの曲率半径R2との差によって、第1の直線L1に対する傾きが決定される。
【0015】
従って、第1の直線L1と第2の直線L2とを前方端部よりも前側で交差させるためには、前方端部2fの深さD1よりも後方端部2rの深さD2を深く(D1<D2)形成し、および/もしくは、第1の曲率αの中心O1よりも第2の曲率βの中心O2をよりフロントサイドメンバ1の断面外方に配置する必要がある。
【0016】
以上の構成により第1実施形態の車体メンバ構造によれば、前面衝突時の衝突荷重が図示省略したフロントバンパを介して、車両前後方向に延在したフロントサイドメンバ1の前端から入力する。
【0017】
このとき、閉断面に形成したフロントサイドメンバ1の車内側側面1aに設けたビード2は、前方端部2fの底面21を第1の曲率αをもって形成するとともに、後方端部2rの底面21を第2の曲率βをもって形成することにより、底面21の曲率を前方端部2fと後方端部2rとで異ならせてある。これにより、ビード2の前後の強度バランスの調整が可能となる。
【0018】
そして、前方端部2fの第1の曲率αの底面21の頂部T1と後方端部2rの第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を交点Cをもって前方で交差させてある。
【0019】
従って、衝突荷重の入力に対してビード2の前方部を積極的に潰れモードとして衝突エネルギーを効率良く吸収するとともに、図3に示すように、ビード2の後方部を積極的に突っ張りモードとして高い反力を発生させることができる。
【0020】
なお、図3中、実線で示す反力特性(イ)は本実施形態の場合であり、破線で示す反力特性(ロ)は従来の場合であり、ストローク途中の一部で従来の場合の反力が勝るも、全般的に概ね本実施形態の場合の平均反力が大きな値を示し、特にフロントサイドメンバ1の潰れ開始初期領域Yで本実施形態の場合の反力が大きく勝ることにより、突っ張りモードの効果を高めることができる。
【0021】
これにより、座屈強度や強度バランスを精度良く調整して潰れモードの安定性を向上し、衝突エネルギーの吸収効率を高めることができる。
【0022】
[第2実施形態]
図4、図5は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図4はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図5は図4中C−C線に沿った拡大断面図である。
【0023】
本実施形態の車体メンバ構造は、基本的に第1実施形態と同様であるが、特に第1実施形態と主に異なる点は、図4、図5に示すように、ビード2をフロントサイドメンバ1の対向した2つの側面1a、1bにそれぞれ設けたことにある。
【0024】
即ち、第1実施形態では、矩形状の閉断面に形成したフロントサイドメンバ1の車内側側面1aにビード2を設けてあるが、本実施形態ではその車内側側面1aとともに、その車内側側面1aに対向した車外側側面1bにもビード2を設けてある。
【0025】
この場合にあっても、車外側側面1bに形成したビード2は、車内側側面1aに設けた第1実施形態のビード2と同様に、前方端部2fと後方端部2rの曲率を異ならせるとともに、それら異なる曲率の底面の頂部を結ぶ直線と、それぞれの曲率の中心を結ぶ直線とを前方で交差させるようになっている。
【0026】
従って、第2実施形態の車体メンバ構造によれば、フロントサイドメンバ1の対向面1a、1bにそれぞれビード2を設けたことにより、それぞれの対向面1a、1bでビード2による効果を享有できるため、潰れモードの安定性を更に向上できるとともに、衝突エネルギーの吸収効率をより高めることができる。
【0027】
[第3実施形態]
図6、図7は本発明の第3実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図6(a)(b)はビードの前方端部と後方端部の断面とを示す断面図であり、図6(c)はビードの長手方向に沿った断面を示す模式図、図7はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【0028】
本実施形態の車体メンバ構造は、図6(c)に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0029】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面である車内側側面1aに対してフロントサイドメンバ1の断面外方に配置したことにある。
【0030】
この場合にあっても、第1実施形態と同様にビード2の前方端部2fの深さD1と後方端部2rの深さD2との差と、第1の曲率αの半径R1と第2の曲率βの半径R2との差と、を調整することにより、交点Cが車内側側面1aよりも車内側に配置されるようにしてある。
【0031】
即ち、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面に対してフロントサイドメンバ1の断面外方に配置するためには、第1の曲率αの中心O1よりも第2の曲率βの中心O2をよりフロントサイドメンバ1の断面内方側に配置するとともに、前方端部2fの深さD1よりも後方端部2rの深さD2をより深く形成する必要がある。
【0032】
本実施形態では、第1の曲率αの中心O1をビード2の外方に配置するとともに、第2の曲率βの中心O2をビード2の内方に配置してある。
【0033】
なお、第2実施形態に示したように、ビード2を車外側側面1bに設けた場合は、交点Cが車外側側面1bよりも車外側に配置されることになる。
【0034】
従って、第3実施形態の車体メンバ構造によれば、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面に対してフロントサイドメンバ1の断面外方に配置するためには、図7にも示すように、ビード2の深さが前方端部2fよりも後方端部2rでより深く形成されることになり、ビード2の後方部をより積極的に突っ張りモードとして反力を更に増大させることができる。
【0035】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも適用することができ、この場合は、第1の直線L1と第2の直線L2との交点Cを、ビード2の形成面である車外側側面1bに対してフロントサイドメンバ1の断面外方に配置することになる。
【0036】
[第4実施形態]
図8〜図10は本発明の第4実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図8(a)(b)はビードの前方端部と後方端部の断面とを示す断面図であり、図8(c)はビードの長手方向の断面を示す模式図、図9はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図、図10はフロントサイドメンバのフロントビューを示す正面図である。
【0037】
本実施形態の車体メンバ構造は、図8(c)に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0038】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面である車内側側面1aに対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置したことにある。
【0039】
この場合にあっても、第1実施形態と同様にビード2の前方端部2fの深さD1と後方端部2rの深さD2との差と、第1の曲率αの半径R1と第2の曲率βの半径R2との差と、を調整することにより、交点Cが車内側側面1aよりも車内側に配置されるようにしてある。
【0040】
即ち、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面に対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置するためには、第1の曲率αの中心O1よりも第2の曲率βの中心O2をよりフロントサイドメンバ1の断面外方側に配置する必要がある。
【0041】
このとき、本実施形態では第1の曲率αの中心O1および第2の曲率βの中心O2を共にビード2の内方に配置してある。
【0042】
なお、第2実施形態に示したように、ビード2を車外側側面1bに設けた場合は、交点Cが車外側側面1bよりも車内側に配置されることになる。
【0043】
従って、第4実施形態の車体メンバ構造によれば、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面に対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置したことにより、例えば、図9、図10に示すように、前方端部2fと後方端部2rのビード2の深さの差がより小さくなるため、衝突荷重入力時の潰れモードと突っ張りモードとの切り換えをスムーズに行うことができる。なお、図10中、前方端部2fのビード2の形状を実線で示し、後方端部2rのビード2の形状を破線で示してある。
【0044】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも適用することができ、この場合は、第1の直線L1と第2の直線L2との交点Cを、ビード2の形成面である車外側側面1bに対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置することになる。
【0045】
図11〜図13は第4実施形態の変形例を示し、前記第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図11(a)(b)はビードの前方端部と後方端部の断面とを示す断面図であり、図11(c)はビードの長手方向の断面を示す模式図、図12はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図、図13はフロントサイドメンバのフロントビューを示す正面図である。
【0046】
本変形例は、図11(c)に示すように基本的に第4実施形態と同様に、第1の直線L1と第2の直線L2とが前方で交差する交点Cを、ビード2の形成面である車内側側面1aに対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置してある。
【0047】
特に、本変形例が第4実施形態と異なる点は、第1の曲率αの中心O1および第2の曲率βの中心O2を共にビード2の外方に配置したものである。
【0048】
従って、本変形例にあっても第4実施形態と同様に、第1の直線L1と第2の直線L2との交点Cを、ビード2の形成面に対してフロントサイドメンバ1の断面内方に配置してある。
【0049】
これにより、第4実施形態の作用効果と同様に、例えば、図12、図13に示すように、前方端部2fと後方端部2rのビード2の深さの差がより小さくなるため、衝突荷重入力時の潰れモードと突っ張りモードとの切り換えをスムーズに行うことができる。なお、図13中、前方端部2fのビード2の形状を実線で示し、後方端部2rのビード2の形状を破線で示してある。
【0050】
もちろん、本変形例にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも、そのビード2に適用することができる。
【0051】
[第5実施形態]
図14、図15は本発明の第5実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図14はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図15(a)(b)は図14中のD−D線に沿った前方端部とE−E線に沿った後方端部の断面とを示す断面図であり、図15(c)はビードの長手方向断面を示す模式図である。
【0052】
本実施形態の車体メンバ構造は、図15(c)に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0053】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、図14、図15(c)に示すように、ビード2の後方端部2rから第1の直線L1と第2の直線L2との交点Cに至る距離S1を、ビード2の前方端部2fと後方端部2rとの間の長さWの2倍以上(S1>2W)としたことにある。
【0054】
従って、第5実施形態の車体メンバ構造によれば、ビード2の前後の支持バランスを適正化し、ピーク反力の持続時間を増やすことで平均反力を向上できる。
【0055】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも、そのビード2に適用することができる。
【0056】
[第6実施形態]
図16、図17は本発明の第6実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図16はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図17(a)(b)はビードの形状を図16中のF−F線に沿った前方端部とG−G線に沿った後方端部の断面とを並設した状態で示す模式図である。
【0057】
本実施形態の車体メンバ構造は、図17に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0058】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、図16、図17に示すように、ビード2の後方端部2rの底面21を成す第2の曲率βの曲率半径R2を、ビード2の幅Hの半分以上としたことにある。
【0059】
従って、第6実施形態の車体メンバ構造によれば、ビード2の後方端部2rの底面21を半円以上の曲面として構成できる。これにより、フロントサイドメンバ1のビード2の形成部分外の一般断面部に効率良く荷重伝達(応力分散)することができるようになり、二次ピーク後の反力低下を緩やかにできる。
【0060】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも、そのビード2に適用することができる。
【0061】
[第7実施形態]
図18、図19は本発明の第7実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図18はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図19はビードの形状を図18中のH−H線に沿った断面の模式図である。
【0062】
本実施形態の車体メンバ構造は、基本的に第1実施形態と同様の構成を成し、図18に示すように、ビード2の前方端部2fの底面21を第1の曲率α(曲率半径R1)をもって形成するとともに、後方端部2rの底面21を第2の曲率β(曲率半径R2)をもって形成してある。そして、図19に示すように、前方端部2fと後方端部2rとの間の底面21の形状を滑らかに連続させてある。
【0063】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、図18、図19に示すように、ビード2の前方端部2fと後方端部2rとの間に、そのビード2の長さの1/3以下の区間S2で、第2の曲率βの半径R2と第1の曲率αの半径R1との差の半分以上となる底面21の傾斜部分22を設けたことにある。即ち、傾斜部分22における傾斜度は、車両前後方向長さS2に対して(R2−R1)/2以上となる大きさに設定している。
【0064】
従って、第7実施形態の車体メンバ構造によれば、ビード2の前方端部2fと後方端部2rとの間に傾斜部分22を設けたことにより、衝突荷重が入力された際の折れ点を設置できるため、フロントサイドメンバ1の軸方向の潰れモードをコントロールすることができ、衝突エネルギーの吸収効果をより高めることができる。
【0065】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも、そのビード2に適用することができる。
【0066】
[第8実施形態]
図20、図21は本発明の第8実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図20はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図21(a)(b)は図20中のI−I線に沿った前方端部とJ−J線に沿った後方端部の断面とを示す断面図であり、図21(c)はビードの長手方向断面を示す模式図である。
【0067】
本実施形態の車体メンバ構造は、図21(c)に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0068】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、ビード2の底面21の頂部Tの曲率中心Oをビード2の幅Hの中心に一致させたことにある。
【0069】
即ち、ビード2の底面21は、第1実施形態に述べたように、前方端部2fと後方端部2rとの間の形状を滑らかに連続してあるため、底面21は前方端部2fと後方端部2rとの間が連続した曲面となり、その連続した曲面の稜線となる連続した頂部Tの曲率中心Oが、ビード2の幅Hの中心と一致することになる。
【0070】
このとき、ビード2の幅Hはビード2の長手方向に一定とは限らず、前後方向に異ならせてもよい。例えば、図21に示すように、前方端部2fでは幅H1となり、後方端部2rでは幅H2となっている。従って、前方端部2fの第1の曲率αの中心O1はビード2の幅方向に対してH1/2の位置に設定され、後方端部2rの第2の曲率βの中心O2はビード2の幅方向に対してH2/2の位置に設定される。
【0071】
従って、第8実施形態の車体メンバ構造によれば、ビード2の底面21の頂部Tの曲率中心Oをビード2の幅Hの中心と一致することにより、ビード2の上下方向に作用する応力を均等に分散させることができ、フロントサイドメンバ1の上下方向の変形を統一することができる。
【0072】
もちろん、本実施形態にあっても、ビード2を車外側側面1bに形成した場合にも、そのビード2に適用することができる。
【0073】
[第9実施形態]
図22、図23は本発明の第9実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図22はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図23(a)(b)は図22中のK−K線に沿った前方端部とL−L線に沿った後方端部の断面とを示す断面図であり、図23(c)はビードの長手方向に沿った断面を示す模式図である。
【0074】
本実施形態の車体メンバ構造は、図23に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0075】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、車両上下方向で見た交点Cの第1の直線L1と第2の直線L2とがなす角度を45度以下としたことにある。
【0076】
従って、第9実施形態の車体メンバ構造によれば、第1の曲率αの半径R1と第2の曲率βの半径R2との差を、ビード2の前方端部2fと後方端部2rとの間の長さW以下にとどめることができ、これにより、ビード2の断面の縦横比をコントロールできるようになる。
【0077】
[第10実施形態]
図24、図25は本発明の第10実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図24はフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図、図25(a)(b)は図24中のM−M線に沿った前方端部とN−N線に沿った後方端部の断面とを示す断面図であり、図25(c)はビードの長手方向に沿った断面を示す模式図である。
【0078】
本実施形態の車体メンバ構造は、図25(c)に示すように基本的に第1実施形態と同様に、第1の曲率αの底面21の頂部T1と第2の曲率βの底面21の頂部T2とを結ぶ第1の直線L1と、第1の曲率αの中心O1と第2の曲率βの中心O2とを結ぶ第2の直線L2と、を前方で交差(交点C)させてある。
【0079】
そして、本実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、前方端部2fの第1の曲率αの半径R1をビード2の幅Hの半分以下(R1≦H/2)にしたことにある。
【0080】
従って、第10実施形態の車体メンバ構造によれば、ビード2の前方端部2fの底面21に半円以下の鋭角な面を形成して、ビード2の先端部の部材を一箇所に集中できるようになる。これにより、ビード2の断面先端の崩壊に対する受け面を増加して初期反力を向上することができる。
【0081】
[第11実施形態]
図26は本発明の第11実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図26はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【0082】
本実施形態の車体メンバ構造が第1実施形態と主に異なる点は、図26に示すようにフロントサイドメンバ1の上側面1cにビード2を設けたことにある。この場合のビード2は、第1〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0083】
このように、第11実施形態の車体ビード構造によれば、フロントサイドメンバ1の上側面1cにビード2を設けた場合にも、第1〜第10実施形態でそれぞれ奏する作用効果を享有することができる。
【0084】
なお、このことは、ビード2をフロントサイドメンバ1の下側面1dに設けた場合、または、上側面1cと下側面1dの両方に設けた場合にあっても同様の作用効果を奏することができる。
【0085】
[第12実施形態]
図27は本発明の第12実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図27はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【0086】
本実施形態の車体メンバ構造が第1実施形態と主に異なる点は、図27に示すようにフロントサイドメンバ1を断面五角形以上の多角形断面の閉断面に形成したことにある。そして、その多角形断面形状のフロントサイドメンバ1の少なくとも1つの側面にビード2を設けるようになっており、この場合のビード2は、第1〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0087】
このように、第12実施形態の車体ビード構造によれば、フロントサイドメンバ1を断面五角形以上の多角形断面の閉断面に形成した場合にも、第1〜第10実施形態でそれぞれ奏する作用効果を享有することができる。
【0088】
[第13実施形態]
図28、図29は本発明の第13実施形態を示し、記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図28はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図、図29は図28中P−P線に沿って断面した模式図である。
【0089】
本実施形態の車体メンバ構造が第1実施形態と主に異なる点は、図28に示すようにフロントサイドメンバ1の全側面1a、1b、1c、1dにそれぞれビード2を設けたことにある。
【0090】
本実施形態では、図29に示すように、対向面に設けたビード2は、一方のビード2の前方端部2fは曲率半径R1、後方端部2rは曲率半径R2となり、他方のビード2の前方端部2fは曲率半径R3、後方端部2rは曲率半径R4となっている。そして、それぞれのビード2の底面21には、第7実施形態と同様の傾斜部分22を設けてある。
【0091】
従って、第13実施形態の車体メンバ構造によれば、フロントサイドメンバ1の全側面1a、1b、1c、1dにそれぞれビード2を設けた場合にも、ビード2の底面21に傾斜部分22を設けたことにより、第7実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0092】
なお、本実施形態のビード2の形状は第7実施形態に限ることなく、第1〜第6実施形態および第8〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0093】
[第14実施形態]
図30は本発明の第14実施形態を示し、記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図30はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【0094】
本実施形態の車体メンバ構造が第1実施形態と主に異なる点は、図30に示すようにフロントサイドメンバ1を断面略円形状の閉断面として形成したことにある。
【0095】
そして、断面略円形状のフロントサイドメンバ1の周方向側面の一部に長手方向に沿ってビード2を形成してあり、この場合のビード2は、第1〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0096】
このように、第14実施形態の車体ビード構造によれば、フロントサイドメンバ1を断面略円形状の閉断面に形成した場合にも、第1〜第10実施形態でそれぞれ奏する作用効果を享有することができる。
【0097】
図31は第14実施形態の変形例を示し、前記第4実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図31はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【0098】
本変形例は、図31に示すように基本的に第4実施形態と同様に、フロントサイドメンバ1を断面略円形状の閉断面として形成してあり、特に、本変形例が第14実施形態と異なる点は、フロントサイドメンバ1の周方向側面の一部に長手方向に沿って形成したビード2に対向する側面に更にビード2を形成したことにある。そして、この場合の各ビード2にあっても、第1〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0099】
従って、本変形例にあっても第14実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0100】
[第15実施形態]
図32、図33は本発明の第15実施形態を示し、記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べるものとし、図32はフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図、図33(a)(b)(c)は図32中Q−Q線に沿って断面した模式図である。図33(a)は車外側側面1bの断面を示し、図33(b)は仕切壁1eの断面を示し、図33(c)は車内側側面1aの断面を示す。
【0101】
本実施形態の車体メンバ構造が第1実施形態と主に異なる点は、図32に示すようにフロントサイドメンバ1を、それの上側面1cと下側面1dの車幅方向中央部間に仕切壁1eを設けて断面日の字状の閉断面に形成したことにある。従って、本実施形態のフロントサイドメンバ1は、閉断面構造部分1A、1Bが横並びで2つ並設された構造になっている。
【0102】
そして、フロントサイドメンバ1の2つの閉断面構造部分1A、1Bの全側面にそれぞれビード2を設けてある。即ち、ビード2は、フロントサイドメンバ1の車内側側面1a、車外側側面1b、上側面1c、下側面1dおよび仕切壁1eにそれぞれ設けてあり、そのとき、上側面1c、下側面1dには各閉断面構造部分1A、1Bに対応して2つを設けてある。
【0103】
本実施形態では、図33(a)〜(c)に示すように、車内側側面1aに設けたビード2の前方端部2fは曲率半径R1、後方端部2rは曲率半径R2となり、車外側側面1bに設けたビード2の前方端部2fは曲率半径R5、後方端部2rは曲率半径R6となり、仕切壁1eに設けたビード2の前方端部2fは曲率半径R3、後方端部2rは曲率半径R4となっている。このとき、仕切壁1eのビード2は車外側側面1bに対向する方向に凹設してある。そして、それぞれのビード2の底面21には、第7実施形態と同様の傾斜部分22を設けてある。
【0104】
従って、第15実施形態の車体メンバ構造によれば、フロントサイドメンバ1を、閉断面構造部分1A、1Bが2つ並設された構造とした場合にも、ビード2の底面21に傾斜部分22を設けたことにより、第7実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0105】
なお、本実施形態のビード2の形状は第7実施形態に限ることなく、第1〜第6実施形態および第8〜第10実施形態のいずれかと同様の構成とすることができる。
【0106】
ところで、本発明の車体メンバ構造は前記各実施形態に例をとって説明したが、これら実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。例えば、車体メンバはフロントサイドメンバに限ることなく、車両前後方向に閉断面構造をもって延在し、衝突荷重が入力されるメンバ部材であれば本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態にかかるフロントサイドメンバの反力特性を従来と比較して示す説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図5】図4中C−C線に沿った拡大断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図8】本発明の第4実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図10】本発明の第4実施形態にかかるフロントサイドメンバのフロントビューを示す正面図である。
【図11】第4実施形態の変形例にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図12】第4実施形態の変形例にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図13】第4実施形態の変形例にかかるフロントサイドメンバのフロントビューを示す正面図である。
【図14】本発明の第5実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図15】本発明の第5実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図16】本発明の第6実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図17】本発明の第6実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図18】本発明の第7実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図19】図18中のH−H線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第8実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図21】本発明の第8実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図22】本発明の第9実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図23】本発明の第9実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図24】本発明の第10実施形態にかかるフロントサイドメンバの前部を示す要部斜視図である。
【図25】本発明の第10実施形態にかかるビードの形状を示す断面図である。
【図26】本発明の第11実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図27】本発明の第12実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図28】本発明の第13実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図29】図28中P−P線に沿った断面図である。
【図30】本発明の第14実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図31】第14実施形態の変形例にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図32】本発明の第15実施形態にかかるフロントサイドメンバのビード形成部分の要部斜視図である。
【図33】図32中Q−Q線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0108】
1 フロントサイドメンバ(車体メンバ)
1a、1b フロントサイドメンバの側面
2 ビード
2f ビードの前方端部
2r ビードの後方端部
21 底面
α 第1の曲率
β 第2の曲率
C 交点
O 曲率中心
T1、T2 頂部
L1 頂部を結ぶ直線
L2 曲率の中心を結ぶ直線
W ビードの前方端部と後方端部との間の長さ
S1 ビードの後方端部から交点に至る距離
H ビードの幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延在し、複数の面によって閉断面を形成する車体メンバ構造において、
前記車体メンバの少なくても1つの面に、車体メンバの長手方向に所定長さをもって延在するビードを設け、該ビードの前方端部の底面を第1の曲率を有する曲面に形成するとともに、後方端部の底面を第2の曲率を有する曲面に形成し、これら前方端部と後方端部との間のビードの底面形状を滑らかに連続させ、
前方端部の底面の頂部と後方端部の底面の頂部とを結ぶ第1の直線と、第1の曲率の中心と第2の曲率の中心とを結ぶ第2の直線と、を前方端部よりも前側で交差させたことを特徴とする車体メンバ構造。
【請求項2】
前記ビードは、前記車体メンバの対向した2つの側面にそれぞれ設けたことを特徴とする請求項1に記載の車体メンバ構造。
【請求項3】
前記第1の直線と前記第2の直線とが交差する交点を、ビード形成面に対して車体メンバの断面外方に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体メンバ構造。
【請求項4】
前記第1の直線と前記第2の直線とが交差する交点を、ビード形成面に対して車体メンバの断面内方に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の車体メンバ構造。
【請求項5】
前記ビードの後方端部から前記第1の直線と前記第2の直線との交点に至る距離を、前記ビードの長さの2倍以上としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車体メンバ構造。
【請求項6】
前記後方端部の底面を成す前記第2の曲率の半径を、ビード幅の半分以上としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車体メンバ構造。
【請求項7】
前記ビードの前方端部と後方端部との間に、このビードの全長の1/3以下の区間で、前記第2の曲率の半径と前記第1の曲率の半径との差の半分以上となる底面の傾斜部分を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車体メンバ構造。
【請求項8】
前記ビードの底面の頂部の曲率中心をビード幅の中心に一致させたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車体メンバ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−89576(P2010−89576A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259680(P2008−259680)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】