説明

車体上部構造

【課題】車体上部にて車体側面よりも車両幅方向内側にハイルーフ用のルーフパネルの端部が接合される構造においても、ボデー剛性や強度を向上することができる車体上部構造を得る。
【解決手段】バックドア開口部の上部側の両サイドには、バックドアフレームアッパ32の長手方向の端部と、バックドアフレームロア34の長手方向の端部と、ヒンジ取付台座36と、を含んでサイド構造部42が構成されている。このサイド構造部42における略車両上下方向を含む面及びサイド構造部42における下部の略水平面にはルーフパネルサイドリインフォース48が接合されており、このルーフパネルサイドリインフォース48によってサイド構造部42が補強されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックドア開口部の上部側に設けられたバックドアフレームアッパ及びバックドアフレームロアを有する車体上部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイルーフの車両においては、ベース車にハイルーフ用のルーフパネルを取り付けてハイルーフ仕様にしている場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような車両において、例えば、車体側部における上部のルーフドリップチャンネルではなく、これよりも車両幅方向内側(所謂モヒカンルーフ車のモヒカン溝部)に、ルーフパネルの端部が接合される車両では、ルーフパネルの両サイド及びバックドア開口上部側のバックドアフレームの両サイドがクランク状になって急傾斜で立ち上がる構造になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−295186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、バックドア開口上部側のバックドアフレームにおけるクランク状の部分に応力が集中してしまうので、ボデー剛性や強度を向上させるのが好ましい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、車体上部にて車体側面よりも車両幅方向内側にハイルーフ用のルーフパネルの端部が接合される構造においても、ボデー剛性や強度を向上することができる車体上部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載する本発明の車体上部構造は、バックドア開口部の上部側に車両幅方向を長手方向として配設されるバックドアフレームアッパと、前記バックドアフレームアッパの車両下方側に車両平面視で車両幅方向を長手方向として配設され、長手方向の中間部が前記バックドアフレームアッパの長手方向の中間部に接合されると共に、長手方向の中間部の高さ位置が長手方向の両端部の高さ位置よりも車両上方側に設定されたバックドアフレームロアと、前記バックドア開口部の上部側の両サイドに配設され、前記バックドアフレームアッパの長手方向の端部及び前記バックドアフレームロアの長手方向の端部に固定され、バックドアヒンジが取り付けられるヒンジ取付台座と、前記バックドア開口部の上部側の両サイドに配設され、前記バックドアフレームアッパの長手方向の端部と、前記バックドアフレームロアの長手方向の端部と、前記ヒンジ取付台座と、を含んで構成されたサイド構造部における略車両上下方向を含む面及び前記サイド構造部における下部の略水平面に接合され、前記サイド構造部を補強するルーフパネルサイドリインフォースと、を有する。
【0007】
請求項1に記載する本発明の車体上部構造によれば、バックドアフレームロアは、長手方向の中間部がバックドアフレームアッパの長手方向の中間部に接合されると共に、長手方向の中間部の高さ位置が長手方向の両端部の高さ位置よりも車両上方側に設定されているので、例えば、バックドアフレームロアの長手方向の中間部の高さ位置がハイルーフの高さに応じて設定されることで、バックドア開口部の高さが確保される。また、バックドア開口部の上部側の両サイドにはヒンジ取付台座が配設されてバックドアフレームアッパの長手方向の端部及びバックドアフレームロアの長手方向の端部に固定されている。
【0008】
ここで、バックドア開口部の上部側の両サイドには、バックドアフレームアッパの長手方向の端部と、バックドアフレームロアの長手方向の端部と、ヒンジ取付台座と、を含んで構成されたサイド構造部における略車両上下方向を含む面及びサイド構造部における下部の略水平面にルーフパネルサイドリインフォースが接合されており、このルーフパネルサイドリインフォースによってサイド構造部が補強されている。このため、バックドアフレームロアにおける長手方向の両サイド側から長手方向の中間部側への立ち上がり部分に応力が集中しても、サイド構造部の水平方向や車両上下方向への変位が抑えられ、バックドアフレームロアを含むバックドア開口部の上部側の変形が防止又は抑制される。
【0009】
請求項2に記載する本発明の車体上部構造は、請求項1記載の構成において、前記ルーフパネルサイドリインフォースは、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成されると共に、車両幅方向内側の端部がそれぞれ前記サイド構造部と接合されることによって前記サイド構造部とで閉断面部を構成する。
【0010】
請求項2に記載する本発明の車体上部構造によれば、ルーフパネルサイドリインフォースは、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成されると共に、車両幅方向内側の端部がそれぞれサイド構造部と接合されることによってサイド構造部とで閉断面部を構成するので、ルーフパネルサイドリインフォースがサイド構造部とで閉断面部を構成しない構造に比べて、サイド構造部の車両幅方向外側への荷重に対して支持剛性が高い。このため、サイド構造部の車両幅方向外側への変位が効果的に抑制される。
【0011】
請求項3に記載する本発明の車体上部構造は、請求項2記載の構成において、前記ルーフパネルサイドリインフォースは、前記サイド構造部における車両幅方向外側の側面に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合された接合フランジ部を車両幅方向内側の端部として備えている。
【0012】
請求項3に記載する本発明の車体上部構造によれば、ルーフパネルサイドリインフォースは、車両幅方向内側の端部として接合フランジ部を備えており、この接合フランジ部は、サイド構造部における車両幅方向外側の側面に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合されているので、サイド構造部の車両幅方向外側への荷重がルーフパネルサイドリインフォースによって一層安定的に支持される。このため、サイド構造部の車両幅方向外側への変位が一層効果的に抑制される。
【0013】
請求項4に記載する本発明の車体上部構造は、請求項2又は請求項3に記載の構成において、前記ルーフパネルサイドリインフォースは、前記サイド構造部における略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面に重ね合わせられた状態で接合された接合端部を車両幅方向内側の端部として備えている。
【0014】
請求項4に記載する本発明の車体上部構造によれば、ルーフパネルサイドリインフォースは、車両幅方向内側の端部として接合端部を備えており、この接合端部は、サイド構造部における略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面に重ね合わせられた状態で接合されているので、サイド構造部の車両前後方向への荷重がルーフパネルサイドリインフォースによって安定的に支持される。このため、サイド構造部の車両前後方向への変位が効果的に抑制される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車体上部構造によれば、車体上部にて車体側面よりも車両幅方向内側にハイルーフ用のルーフパネルの端部が接合される構造においても、ボデー剛性や強度を向上することができるという優れた効果を有する。
【0016】
請求項2に記載の車体上部構造によれば、バックドア開口部の上部側の両サイドにてサイド構造部の車両幅方向外側への変位を効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
【0017】
請求項3に記載の車体上部構造によれば、バックドア開口部の上部側の両サイドにてサイド構造部の車両幅方向外側への変位を一層効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
【0018】
請求項4に記載の車体上部構造によれば、バックドア開口部の上部側の両サイドにてサイド構造部の車両前後方向への変位を効果的に抑制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る車体上部構造が適用された車両を車両斜め後方側から見た状態で示す斜視図である。
【図2】図1の2−2線(図3の2L−2L線)に沿った拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車体上部構造が適用された車両の一部を車室内側から見た状態で示す模式的な側面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車体上部構造を構成するリヤヘッダサブアッシーを車両斜め前方側から見た状態で示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車体上部構造を構成するリヤヘッダサブアッシーを示す分解斜視図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車体上部構造を構成するリヤヘッダサブアッシーからルーフパネルサイドリインフォースが取り外された構成を車両斜め後方側から見た状態で示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車体上部構造を構成するリヤヘッダサブアッシーの車両幅方向外側の端部を示す縦断面図(図4の7−7線に沿った拡大断面図に相当する図)である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車体上部構造を構成するリヤヘッダサブアッシーの車両幅方向外側の端部を一部透視した状態で示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態の構成)
本発明の一実施形態に係る車体上部構造について図1〜図8を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印INは車両幅方向内側を示している。
【0021】
図1には、車体上部構造が適用された車両10が車両斜め後方側から見た状態の斜視図にて示されている。この車両10は、ハッチバックタイプの乗用車で車体上部に後述する所謂モヒカン溝部24が形成された所謂モヒカンルーフ車であり、共通のベース車10Aの上部にノーマルルーフ用のルーフパネル20又はハイルーフ用のルーフパネル22が取り付けられた構成となっている。なお、図1では、ノーマルルーフ用のルーフパネル20が取り付けられた状態を二点鎖線で示し、ハイルーフ用のルーフパネル22が取り付けられた状態を実線で示している。
【0022】
図1に示される車両10には、車体上部における両サイドにルーフサイドレール12が車体前後方向に沿って配設されている。図1の2−2線に沿った拡大断面図である図2に示されるように、ルーフサイドレール12は、車室外側に配置されるルーフサイドレールアウタパネル14と、車室内側に配置されるルーフサイドレールインナパネル16と、によって構成された構造部材である。
【0023】
ルーフサイドレール12は、ルーフサイドレールアウタパネル14の上部から略車両幅方向内側へ延出する上端フランジ部14Aとルーフサイドレールインナパネル16の上部から略車両幅方向内側へ延出する上端フランジ部16Aとが合わせられて接合されると共に、ルーフサイドレールアウタパネル14の下部から略車両下方側へ延出する下端フランジ部14Bとルーフサイドレールインナパネル16の下部から略車両下方側へ延出する下端フランジ部16Bとが合わせられて接合されることで、閉断面を構成している。
【0024】
ルーフサイドレールアウタパネル14の車室外側には、サイメンアウタパネル18(「サイドアウタパネル」ともいう。)が配置されている。サイメンアウタパネル18の上部は、車両幅方向外側斜め上方側に膨出するように形成されている。このサイメンアウタパネル18においてルーフサイドレール12の下部に対して車両幅方向外側の部位18Bは、ルーフサイドレールアウタパネル14の下端フランジ部14Bに重ね合わせられて接合されている。また、サイメンアウタパネル18の上端部18Aは、車両幅方向内側の端部が車両下方側に下がる段差状に形成されており、ルーフサイドレールアウタパネル14の上端フランジ部14Aに重ね合わせられて接合されている。
【0025】
このサイメンアウタパネル18の上端部18A上には、ルーフパネル20、22の車両幅方向外側の端部20A、22Aが重ね合わせられて溶接により接合されている。このような構造では、例えば、車体側部にて車両幅方向外側に張り出したルーフドリップチャンネルにルーフパネル(20、22)の車両幅方向外側の端部(20A、22A)が溶接により接合されるような対比構造に比べて、ルーフパネル20、22の車両幅方向外側の端部20A、22Aの溶接位置が車両幅方向内側になる。
【0026】
図中において、ルーフパネル20は、ノーマルルーフ用のルーフパネルであり、ルーフパネル22は、両サイドがクランク状になって急傾斜で立ち上がるハイルーフ用のルーフパネルであり、これらの端部20A、22Aがサイメンアウタパネル18の上端部18A上に接合可能な構成となっている。これにより、標準車の仕様にもハイルーフ車の仕様にも共通のサイメンアウタパネル18が用いられるようになっている(サイメンアウタパネルの共通化)。図2及び図3に示されるように、ハイルーフ用のルーフパネル22が適用されてハイルーフ構造とされた場合は、ノーマルルーフ用のルーフパネル20が適用されてノーマルルーフ構造とされた場合に比べて車室内における乗員の頭上空間(ヘッドクリアランス)が大きく確保される。なお、図3に示されるように、ルーフパネル22の車室内側には補強用のルーフリインフォースメント23が間隔をおいて配設されている。
【0027】
図2に示されるように、ルーフパネル20、22の端部20A、22Aは、車両下方側に段差状に下げられており、サイメンアウタパネル18の上端部18Aと接合されることで、連結溝部である所謂モヒカン溝部24を形成している。また、モヒカン溝部24には、溝シール部材26(ルーフモール)が配設されている。
【0028】
図1に示されるように、バックドア開口部28の上部側には、リヤヘッダサブアッシー30が配設されている。リヤヘッダサブアッシー30における車両幅方向の両端部は、ブラケット(図示省略)を介してルーフサイドレール12に固定されている。
【0029】
図4には、リヤヘッダサブアッシー30が車両斜め前方側から見た状態の斜視図にて示されており、図5には、リヤヘッダサブアッシー30が分解斜視図にて示されている。また、図6には、リヤヘッダサブアッシー30から一部材(後述するルーフパネルサイドリインフォース48)が取り外された状態が車両斜め後方側から見た斜視図にて示されている。さらに、図7には、リヤヘッダサブアッシー30の車両幅方向外側の端部が縦断面図(図4の7−7線に沿った拡大断面図に相当する図)にて示され、図8には、リヤヘッダサブアッシー30の車両幅方向外側の端部が一部透視された状態の平面図にて示されている。
【0030】
これらの図に示されるように、リヤヘッダサブアッシー30は、バックドアフレームアッパ32を備えている。バックドアフレームアッパ32は、バックドア開口部28(図1参照)の上部側に車両幅方向を長手方向として配設されている。
【0031】
図4及び図5に示されるように、このバックドアフレームアッパ32は、その上部を構成して長手方向に沿って略平板状の上壁部32Cを備えている。上壁部32Cは、一般面が略水平面(略車両前後方向及び略車両幅方向を含む面)を面方向として配置されている。
【0032】
この上壁部32Cの前端部からは車両下方側に垂下された前壁部32Bが形成されている。前壁部32Bは、一般面が略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面を面方向として配置されている。また、前壁部32Bは、長手方向の中間部が車両正面視で車両下方側へ向けて幅広となる台形状に切り欠かれており、切り欠かれた部分の下端部からは車両前方側へ向けて前端フランジ32Aが延設されている。
【0033】
また、図6に示されるように、上壁部32Cの後端部からは車両下方側に垂下された後壁部32Dが形成されている。後壁部32Dは、前壁部32B(図5参照)の長手方向中央部と同程度の幅狭に(車両上下方向の寸法が狭く)設定されている。この後壁部32Dにおける長手方向の中間部(長手方向の両端部を除く部位)の下端部からは車両後方側へ向けて後端フランジ32Eが延設されている。これにより、バックドアフレームアッパ32は、長手方向の中間部における側断面視の形状が車両下方側に開放されたハット形状とされている。
【0034】
図4及び図5に示されるように、このバックドアフレームアッパ32の車両下方側には、バックドアフレームロア34が車両平面視で車両幅方向を長手方向として配設されている。このバックドアフレームロア34は、車両正面視で両サイド側からクランク状に立ち上がった略ハット形状に形成されて長手方向の中間部の高さ位置が長手方向の両端部の高さ位置よりも車両上方側に設定されると共に、側断面視の形状が概ね車両上方側に開放された略ハット形状とされている。
【0035】
図5及び図6に示されるように、バックドアフレームロア34は、バックドアフレームアッパ32の上壁部32C及び後端フランジ32E(図6参照)の概ね車両下方側に配設される底壁部34Cを備えている。底壁部34Cの長手方向の中間部には、長手方向に直交する方向(換言すれば車両前後方向)の中間部に凸部134Cが突出形成されている。凸部134Cは、バックドアフレームロア34の長手方向に沿って設けられており、図6に示されるように、バックドアフレームアッパ32の後端フランジ32Eの長手方向中間部と重ね合わせられて溶接(スポット溶接)により接合されている。また、底壁部34Cは、バックドアフレームアッパ32よりも車両後方側に長く設定されている。
【0036】
図5に示されるように、底壁部34Cの前端部からは車両上方側へ前壁部34Bが立設されており、この前壁部34Bの上端部からは車両前方側へ向けて前端フランジ34Aが延設されている。バックドアフレームロア34は、その長手方向の中間部における前端フランジ34Aがバックドアフレームアッパ32の長手方向の中間部における前端フランジ32Aに重ね合わせられて溶接(スポット溶接)により接合されている。
【0037】
すなわち、前述したバックドアフレームアッパ32の後端フランジ32E(図6参照)とバックドアフレームロア34の凸部134Cとが接合されると共に、バックドアフレームアッパ32の前端フランジ32Aとバックドアフレームロア34の前端フランジ34Aとが接合されることで、バックドアフレームアッパ32の長手方向中間部とバックドアフレームロア34の長手方向中間部とは、(所謂、最中構造の)閉断面構造を形成している。ここで、バックドアフレームアッパ32の長手方向中間部とバックドアフレームロア34の長手方向中間部とが形成する閉断面は、所定のヘッドクリアランスを確保できる範囲で最大に設定されている。
【0038】
また、底壁部34Cの後端部からは車両上方側へ後壁部34Dが立設されている。この後壁部34Dの上端部からは略車両後方側へ向けて後端フランジ34Eが延設されている。
【0039】
一方、リヤヘッダサブアッシー30の両サイド、換言すれば、バックドア開口部28(図1参照)の上部側の両サイドには、ヒンジ取付台座36が配設されている。図6に示されるように、ヒンジ取付台座36(ヒンジ取付部品)は、バックドアフレームアッパ32の長手方向の端部及びバックドアフレームロア34の長手方向の端部に固定され、バックドアヒンジ44(図7参照)が取り付けられる台座(マウント)とされている。ヒンジ取付台座36は、図5に示されるヒンジフレーム38及びルーフリインフォースブラケット40の二部材が溶接により接合されることで、概ね車両下方側が開口した深底の略箱形状に形成されている。なお、ヒンジ取付台座36は、一部材で形成してもよいが、深さ寸法が大きいと深絞り加工が難しいので、本実施形態では、二部材を接合させる構成とした。
【0040】
ヒンジ取付台座36の一部を構成するヒンジフレーム38は、車両後方側が開放された開断面形状に形成され、概ね縦長の(車両上下方向に長い)長方形状に形成された前壁部38Aを備えている。この前壁部38Aは、一般面が略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面を面方向として配置されており、バックドアフレームアッパ32の前壁部32Bにおける車両幅方向外側の部位に重ね合わせられて溶接により接合されている(図7参照)。なお、図7に示されるように、前壁部38Aの上部は、その前面側にルーフリインフォースブラケット40の一部(後述する前端フランジ40B)を接合してもヒンジ取付台座36の前面側が揃うように前壁部38Aの一般面に対して車両後方側へ一段下がった段差状になっている。
【0041】
図5に示されるように、前壁部38Aの下端部からは車両前方側へ向けて前端フランジ38Bが延設されている。この前端フランジ38Bは、一般面が略水平面(略車両前後方向及び略車両幅方向を含む面)を面方向として配置され、バックドアフレームロア34の前端フランジ34Aの車両幅方向外側の端部に重ね合わせられて溶接により接合されている(図7参照)。
【0042】
また、ヒンジフレーム38には、前壁部38Aの車両幅方向内側の端部から略車両後方側へ屈曲されて内側壁部38Cが形成されており、内側壁部38Cの下端部からは車両幅方向内側へ向けて内側フランジ38Dが延設されている。さらに、ヒンジフレーム38には、前壁部38Aの車両幅方向外側の端部から略車両後方側へ屈曲されて外側壁部38Eが形成されている。外側壁部38Eは、一般面が略車両上下方向を含む面を面方向として配置されており、内側壁部38Cよりも車両下方側へ長く設定されている。外側壁部38Eの下端部からは車両幅方向外側へ向けて外側フランジ38Fが延設されている。外側フランジ38Fは、一般面が略水平面(略車両前後方向及び略車両幅方向を含む面)を面方向として配置されており、バックドアフレームロア34の底壁部34Cに重ね合わせられて溶接されている(図6参照)。
【0043】
ヒンジフレーム38の前壁部38A、内側壁部38C、及び外側壁部38Eの各上端部は、車両上下方向に段差なく連続しており、これらの上端部の上に載せられるようにルーフリインフォースブラケット40の上壁部40Aが配置されている。この上壁部40Aは、車両後方側がやや幅広に設定された略台形状に形成されており、図6及び図7に示されるように、車両後方側の部位がバックドアフレームアッパ32よりも車両後方側へ突き出した状態で配置されている。この上壁部40A上には、バックドアフレームアッパ32の後端フランジ32Eが重ね合わせられて溶接により接合されている。また、上壁部40Aの車両後方側の部位の上面側には、補強プレート46を介してバックドアヒンジ44(図7参照)が取り付けられている。
【0044】
図7に示されるように、この上壁部40Aの前端部からは車両下方側へ向けて前端フランジ40Bが延設されている。この前端フランジ40Bは、略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面を面方向として配置されており、ヒンジフレーム38の前壁部38Aの上部に重ね合わせられて溶接により接合されると共に、前面側がバックドアフレームアッパ32の前壁部32Bにおける車両幅方向外側の部位に重ね合わせられて溶接により接合されている。
【0045】
また、図5に示されるように、上壁部40Aの車両幅方向内側の端部からは車両下方側へ向けて内側フランジ40Cが延設されており、この内側フランジ40Cは、ヒンジフレーム38の内側壁部38Cの上部に重ね合わせられて溶接により接合されている(図6参照)。さらに、上壁部40Aの車両幅方向外側の端部からは車両下方側へ向けて外側フランジ40Dが延設されており、この外側フランジ40Dは、ヒンジフレーム38の外側壁部38Eの上部に重ね合わせられて溶接により接合されている(図6参照)。
【0046】
また、図5に示されるルーフリインフォースブラケット40には、上壁部40Aの後端部から車両下方側へ略直角に曲げられた後壁部40Eが形成されている。図7に示されるように、この後壁部40Eは、ヒンジフレーム38の前壁部38Aに対向配置されている。図5及び図6に示されるように、この後壁部40Eの車両幅方向内側の端部からは車両前方側へ向けて内側フランジ40Fが延設されており、この内側フランジ40Fは、ヒンジフレーム38の内側壁部38Cの後端部に重ね合わせられて溶接により接合されている。また、後壁部40Eの車両幅方向外側の端部からは車両前方側へ向けて外側フランジ40Gが延設されており、この外側フランジ40Gは、ヒンジフレーム38の外側壁部38Eの後端部に重ね合わせられて溶接により接合されている。
【0047】
このように、図5に示されるルーフリインフォースブラケット40における前端フランジ40B、内側フランジ40C、40F、外側フランジ40D、40Gがヒンジフレーム38の所定部位に重ね合わせられて溶接により接合されることで、図6に示されるヒンジ取付台座36が形成されている。ここで、ヒンジ取付台座36の車両上下方向の高さHの設定を変えることにより、図1に示されるサイメンアウタパネル18が共通化されてその高さ寸法が変えられない構造でも、バックドアヒンジ44(図7参照)の取付位置を様々な高さ位置(ノーマルルーフ用の高さ位置を含む)に設定することができる構造になっている。
【0048】
なお、本実施形態では、図6及び図7等に示されるように、ルーフリインフォースブラケット40における前端フランジ40B、内側フランジ40C、40F、外側フランジ40D、40Gは、ヒンジフレーム38の外周面(前壁部38Aの前面、内側壁部38Cの車両幅方向内側面、及び外側壁部38Eの車両幅方向外側面)における所定部位に重ね合わせられて溶接により接合されているが、これらのフランジがヒンジフレーム38の内周面(前壁部38Aの後面、内側壁部38Cの車両幅方向外側面、及び外側壁部38Eの車両幅方向内側面)における所定部位に重ね合わせられて溶接により接合されるような構成でもよい。
【0049】
また、図6に示されるように、ルーフリインフォースブラケット40における後壁部40Eの下端部からは略車両後方側へ向けて後端フランジ40Hが延設されており、この後端フランジ40Hは、バックドアフレームロア34の後端フランジ34Eにおける車両幅方向外側の端部に重ね合わせられて溶接により接合されている。
【0050】
以上説明したバックドアフレームアッパ32の長手方向の端部と、バックドアフレームロア34の長手方向の端部と、ヒンジ取付台座36と、を含んでサイド構造部42が構成されている。バックドアフレームアッパ32の両サイド、換言すれば、バックドア開口部28(図1参照)の上部側の両サイドには、図5に示されるブラケット状のルーフパネルサイドリインフォース48が配設されており、ルーフパネルサイドリインフォース48は、サイド構造部42に溶接(スポット溶接)により接合されている。
【0051】
図8には、リヤヘッダサブアッシー30における車両幅方向外側の端部がバックドアフレームアッパ32(二点鎖線)を透視した状態の平面図で示されている。図5及び図8に示されるように、ルーフパネルサイドリインフォース48は、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成され、サイド構造部42におけるヒンジ取付台座36の車両幅方向外側に配置される傾斜壁部48Aを備えている。傾斜壁部48Aは、車体上方へ向けて車両幅方向内側に傾斜しており、凹凸状の補強部が形成されている。傾斜壁部48Aの上端部からは車両幅方向内側へ向けて内側フランジ48Bが延設されている。図4及び図8に示されるように、この内側フランジ48Bは、バックドアフレームアッパ32の上壁部32Cにおける車両幅方向外側の上壁端部132Cの上面に重ね合わせられて溶接により接合されている。なお、上壁端部132Cの上面は、略水平面(略車両前後方向及び略車両幅方向を含む面)とされている。
【0052】
また、ルーフパネルサイドリインフォース48には、傾斜壁部48Aの前端部(車両前方側)から屈曲されて車両幅方向内側へ向けて延在した前壁部48Cが形成されている。この前壁部48Cの車両幅方向内側の端部は、接合端部48Hとされ、この接合端部48Hは、バックドアフレームアッパ32の前壁部32Bの前面における車両幅方向外側の端部に重ね合わせられた状態で溶接(スポット溶接)により接合されている。
【0053】
前壁部48Cの下端部からは車両前方側へ向けて前端フランジ48Dが延設されており、この前端フランジ48Dにおける車両幅方向内側の端部は、略水平に配設されると共に、ヒンジフレーム38の前端フランジ38B及びバックドアフレームロア34の前端フランジ34Aの重合部に重ね合わせられて溶接(スポット溶接)により接合されている。前端フランジ48Dの他部位は、車体側に接合されている。
【0054】
また、ルーフパネルサイドリインフォース48には、傾斜壁部48Aの後端部(車両後方側)から屈曲されて車両幅方向内側へ向けて延在した後壁部48Eが形成されている。図8に示されるように、この後壁部48Eの下端部からは車両後方側へ向けて後端フランジ48Fが延設されている。後端フランジ48Fの車両幅方向内側の端部は、略水平に配設されると共に、ヒンジフレーム38の外側フランジ38Fに重ね合わせられて溶接(スポット溶接)により接合されている。後端フランジ48Fの他部位は、車体側に接合されている。
【0055】
また、図5に示されるように、ルーフパネルサイドリインフォース48における後壁部48Eの車両幅方向内側の端部からは車両後方側へ向けて接合フランジ部としての内側フランジ48Gが延設されている。内側フランジ48Gは、その上部の車両幅方向内側面が一般面に対して若干車両幅方向外側へ下がった段差状になっている。この内側フランジ48Gは、ヒンジフレーム38の外側壁部38E及びルーフリインフォースブラケット40の外側フランジ40Dのそれぞれ車両前後方向の中間部に重ね合わせられて溶接(スポット溶接)により接合されている。すなわち、図8に示されるように、ルーフパネルサイドリインフォース48は、サイド構造部42における車両幅方向外側の側面に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合された内側フランジ48Gを車両幅方向内側の端部として備えている。
【0056】
このように、ルーフパネルサイドリインフォース48は、車両幅方向内側の端部、すなわち、接合端部48H及び内側フランジ48Gがそれぞれサイド構造部42と接合されることによってサイド構造部42とで閉断面部50を構成している。
【0057】
以上により、ルーフパネルサイドリインフォース48は、サイド構造部42における略車両上下方向を含む面(バックドアフレームアッパ32の前壁部32Bの前面、ルーフリインフォースブラケット40の外側フランジ40Dの車両幅方向外側の面及びヒンジフレーム38の外側壁部38Eの車両幅方向外側の面)及びサイド構造部42における下部の略水平面(ヒンジフレーム38の前端フランジ38Bの上面及びヒンジフレーム38の外側フランジ38Fの上面)に溶接(スポット溶接)により接合され、サイド構造部42を補強することによってサイド構造部42における車両前後方向、車両幅方向、及び車両上下方向の変位を抑えるようになっている(リヤヘッダサイド部の部材形状の最適化)。このため、ルーフパネルサイドリインフォース48は、車両前後方向、車両幅方向、及び車両上下方向へ移動しようとするバックドアヒンジ44(図7参照)の変位量(ヒンジ取付台座36及びバックドアヒンジ44を含むヒンジ部の変形量)を制限する構造になっている。
【0058】
(実施形態の作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果について説明する。
【0059】
図1に示されるように、バックドア開口部28の上部側において、バックドアフレームロア34は、長手方向の中間部がバックドアフレームアッパ32の長手方向の中間部に接合されると共に、長手方向の中間部の高さ位置が長手方向の両端部の高さ位置よりも車両上方側に設定されており、バックドアフレームロア34の長手方向の中間部の高さ位置がハイルーフ用のルーフパネル22の高さに応じて設定されているので、バックドア開口部28の高さが確保される。また、バックドア開口部28の上部側の両サイドにはヒンジ取付台座36が配設されてバックドアフレームアッパ32の長手方向の端部及びバックドアフレームロア34の長手方向の端部に固定されている。
【0060】
ここで、バックドア開口部28の上部側の両サイドには、図4に示されるように、バックドアフレームアッパ32の長手方向の端部と、バックドアフレームロア34の長手方向の端部と、ヒンジ取付台座36と、を含んで構成されたサイド構造部42における略車両上下方向を含む面及びサイド構造部42における下部の略水平面にルーフパネルサイドリインフォース48が接合されており、このルーフパネルサイドリインフォース48によってサイド構造部42が補強されている。
【0061】
すなわち、ルーフパネルサイドリインフォース48の前壁部48Cの接合端部48Hがバックドアフレームアッパ32の前壁部32Bの前面に接合されることで、サイド構造部42の前部が補強され、サイド構造部42の前部において、ルーフパネルサイドリインフォース48の前壁部48Cに接合されたヒンジ取付台座36の車両前後方向への変位が抑えられる。また、図8に示されるルーフパネルサイドリインフォース48の内側フランジ48Gがルーフリインフォースブラケット40の外側フランジ40D及びヒンジフレーム38の外側壁部38Eのそれぞれの車両幅方向外側の面に接合されることで、サイド構造部42の車両幅方向外側が補強され、ヒンジ取付台座36の車両幅方向への変位が抑えられる。さらに、ルーフパネルサイドリインフォース48の前端フランジ48Dがバックドアフレームロア34の前端フランジ34A及びヒンジフレーム38の前端フランジ38Bの重合部の上面に接合されると共に、ルーフパネルサイドリインフォース48の後端フランジ48Fがヒンジフレーム38の外側フランジ38Fの上面に接合されることで、サイド構造部42の下部、換言すれば、ヒンジ取付台座36のバックドアフレームロア34への取付基部側が補強され、ヒンジ取付台座36の車両上下方向への変位が抑えられる。
【0062】
このため、バックドアフレームロア34における長手方向の両サイド側から長手方向の中間部側への立ち上がり部分に応力が集中しても、サイド構造部42の水平方向(車両前後方向及び車両幅方向)や車両上下方向への変位が抑えられ、バックドアフレームロア34を含むバックドア開口部28(図1参照)の上部側の変形が防止又は抑制される。
【0063】
また、本実施形態に係る車体上部構造では、ルーフパネルサイドリインフォース48は、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成されると共に車両幅方向内側の端部がそれぞれサイド構造部42と接合されることによってサイド構造部42とで閉断面部50を構成するので、例えば、ルーフパネルサイドリインフォース(48)がサイド構造部(42)とで閉断面部を構成しない構造に比べて、サイド構造部42の車両幅方向外側への荷重に対して支持剛性が高い。また、ルーフパネルサイドリインフォース48は、その後壁部48E側において車両幅方向内側の端部として内側フランジ48Gを備えており、この内側フランジ48Gは、サイド構造部42における車両幅方向外側の側面(ルーフリインフォースブラケット40の外側フランジ40D及びヒンジフレーム38の外側壁部38Eのそれぞれの車両幅方向外側の面)に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合されているので、サイド構造部42の車両幅方向外側への荷重がルーフパネルサイドリインフォース48によって一層安定的に支持される。これらによって、サイド構造部42の車両幅方向外側への変位が効果的に抑制される。
【0064】
また、ルーフパネルサイドリインフォース48は、その前壁部48Cにおいて車両幅方向内側の端部として接合端部48Hを備えており、この接合端部48Hは、サイド構造部42における略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面(バックドアフレームアッパ32の前壁部32Bの前面)に重ね合わせられた状態で接合されているので、サイド構造部42の車両前後方向への荷重がルーフパネルサイドリインフォース48によって安定的に支持される。このため、サイド構造部42の車両前後方向への変位が効果的に抑制される。
【0065】
ここで、対比構造と比較しながら補足説明すると、例えば、車体側部にて車両幅方向外側に張り出したルーフドリップチャンネルにルーフパネルの車両幅方向外側の端部が溶接により接合されるような対比構造では、ルーフパネルの幅方向寸法が本実施形態の場合に比べて長く設定される。このため、このような対比構造にてハイルーフ仕様にする場合、ルーフパネル及びリヤヘッダ部の形状は、その両サイドの立ち上がり部分に応力が集中しにくいアーチ形状にすることができる。よって、この対比構造にてノーマルルーフ仕様のベース車を利用してハイルーフ仕様にするためには、基本的には、ルーフパネルをハイルーフの所定形状に設定する共に、その形状に合わせてリヤヘッダ部の形状を設定するのみで対応することができる。
【0066】
しかしながら、本実施形態のように、図1に示されるルーフパネル20、22の車両幅方向外側の端部20A、22Aが対比構造よりも車両幅方向内側に接合される構造において、ノーマルルーフ仕様のベース車を利用してハイルーフ仕様にした場合、ルーフパネル22の両サイド及びバックドア開口部28の上部側の両サイドがクランク状になって急傾斜で立ち上がる構造になるので、バックドア開口部28の上部側におけるクランク状の部分に応力が集中してしまう。このため、ノーマルルーフ仕様をハイルーフ仕様にするためには、リヤヘッダ部の形状を単にルーフパネル22の形状に合わせて設定するだけでなく、ボデー剛性や強度をより向上させるのが好ましい。この点について、本実施形態に係る車体上部構造では、ルーフパネルサイドリインフォース48がサイド構造部42を繋ぎ合わせることにより、リヤヘッダ部に荷重が作用した場合に、リヤヘッダサブアッシー30が高剛性体(剛体に近い構造体)として機能し、その変形が防止又は抑制される。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る車体上部構造によれば、車体上部にて車体側面よりも車両幅方向内側にハイルーフ用のルーフパネル22の端部が接合される構造においても、ボデー剛性や強度を向上することができる。その結果、車両走行時の捩れ変形量や衝突時(側突時)の変形量が効果的に抑えられ、バックドアの建付け品質も確保される。
【0068】
また、本実施形態に係る車体上部構造では、ボデー剛性や強度を向上させながら、ハイルーフ用の専用部品数を抑えることができるので、低コスト化が可能となるうえ、この構造を適用することによって種々のベース車(車両)にハイルーフ仕様の設定が可能になる。
【0069】
(実施形態の補足説明)
なお、上記実施形態では、ルーフパネルサイドリインフォース48は、接合端部48H及び内側フランジ48Gがそれぞれサイド構造部42と接合されることによってサイド構造部42とで閉断面部50を構成しているが、ルーフパネルサイドリインフォースは、例えば、単独で車両上下方向に延在する閉断面構造を備えると共に、この閉断面構造の一部を構成する縦壁部がヒンジ取付台座の車両幅方向外側の面に接合されていてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ルーフパネルサイドリインフォース48は、サイド構造部42の前面に接合端部48Hが接合されると共に、サイド構造部42の車両幅方向外側へ向いた面に内側フランジ48Gが接合されており、サイド構造部42の車両幅方向への変位及び車両前後方向への変位を抑制する観点からは、このような構成が好ましいが、サイド構造部における略車両上下方向を含む面へのルーフパネルサイドリインフォースの接合はこれに限定されない。すなわち、ルーフパネルサイドリインフォースは、例えば、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成されると共に、車両幅方向内側の端部がいずれも接合フランジ部とされてサイド構造部における車両幅方向外側の側面に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合されてもよいし、車両幅方向内側の端部がいずれも接合端部とされてサイド構造部における略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面に重ね合わせられた状態で接合される等のような他の構成でサイド構造部における略車両上下方向を含む面へ接合されるルーフパネルサイドリインフォースであってもよい。
【0071】
なお、請求項1の「サイド構造部における略車両上下方向を含む面」の概念には、「サイド構造部における車両上下方向を含む面」が含まれる他、ルーフパネルサイドリインフォースをサイド構造部における車両上下方向を含む面に接合した場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的にサイド構造部における車両上下方向を含む面と把握される面も含まれる。
【0072】
また、請求項1の「サイド構造部における下部の略水平面」の概念には、「サイド構造部における下部の水平面」が含まれる他、ルーフパネルサイドリインフォースをサイド構造部における下部の水平面に接合した場合と実質的に同様の作用及び効果が得られて実質的にサイド構造部における下部の水平面と把握される面も含まれる。
【符号の説明】
【0073】
28 バックドア開口部
32 バックドアフレームアッパ
34 バックドアフレームロア
36 ヒンジ取付台座
42 サイド構造部
44 バックドアヒンジ
48 ルーフパネルサイドリインフォース
48G 内側フランジ(接合フランジ部)
48H 接合端部
50 閉断面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックドア開口部の上部側に車両幅方向を長手方向として配設されるバックドアフレームアッパと、
前記バックドアフレームアッパの車両下方側に車両平面視で車両幅方向を長手方向として配設され、長手方向の中間部が前記バックドアフレームアッパの長手方向の中間部に接合されると共に、長手方向の中間部の高さ位置が長手方向の両端部の高さ位置よりも車両上方側に設定されたバックドアフレームロアと、
前記バックドア開口部の上部側の両サイドに配設され、前記バックドアフレームアッパの長手方向の端部及び前記バックドアフレームロアの長手方向の端部に固定され、バックドアヒンジが取り付けられるヒンジ取付台座と、
前記バックドア開口部の上部側の両サイドに配設され、前記バックドアフレームアッパの長手方向の端部と、前記バックドアフレームロアの長手方向の端部と、前記ヒンジ取付台座と、を含んで構成されたサイド構造部における略車両上下方向を含む面及び前記サイド構造部における下部の略水平面に接合され、前記サイド構造部を補強するルーフパネルサイドリインフォースと、
を有する車体上部構造。
【請求項2】
前記ルーフパネルサイドリインフォースは、車両幅方向内側が開放された開断面形状に形成されると共に、車両幅方向内側の端部がそれぞれ前記サイド構造部と接合されることによって前記サイド構造部とで閉断面部を構成する請求項1記載の車体上部構造。
【請求項3】
前記ルーフパネルサイドリインフォースは、前記サイド構造部における車両幅方向外側の側面に突き当てられた端部で屈曲されて当該側面に重ね合わせられた状態で接合された接合フランジ部を車両幅方向内側の端部として備えている請求項2記載の車体上部構造。
【請求項4】
前記ルーフパネルサイドリインフォースは、前記サイド構造部における略車両上下方向及び略車両幅方向を含む面に重ね合わせられた状態で接合された接合端部を車両幅方向内側の端部として備えている請求項2又は請求項3に記載の車体上部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−247731(P2010−247731A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100660(P2009−100660)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】