説明

車体下部構造

【課題】フロアフレームの幅寸法を小さく抑えることができる車体下部構造を提供する。
【解決手段】車体下部構造10は、フロアパネル11の車室18側に車体前後方向に向けて延出された左右のフロアフレーム14,15が設けられ、左右のフロアフレームが上向きに隆起した状態に形成され、左右のフロアフレームの後接合部57が左右の隆起部22,23に接合されている。左右の隆起部は、車体後方に向けて上り勾配で張り出された傾斜壁25と、傾斜壁から車体後方に向けて略水平に張り出された水平部26とを有している。そして、左右のフロアフレームの後接合部が少なくとも水平部に接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネルの車室側にフロアフレームが設けられ、フロアフレームが上向きに隆起した状態で車体前後方向に向けて延出された車体下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体下部構造のなかには、フロアパネルに車体前後方向に延びるトンネル部(以下、「フロアフレーム」という)が設けられ、フロアフレームの後端部にフロアパネルの接合部が重ね合わされた状態に接合されたものがある。
フロアパネルの接合部は、フロアフレームの後端部に重ね合わせるように上向き湾曲状に隆起されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4194142号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、フロアパネルの接合部は、フロアフレームの後端部に重ね合わせた状態に接合可能に上向きの湾曲状にプレス成形する必要がある。
しかし、フロアパネルの接合部を上向き湾曲状にプレス成形する場合、接合部の幅寸法を小さく抑えることは設備上難しいとされている。
【0005】
このため、フロアフレームの幅寸法を小さく設定したい場合でも、フロアパネルの接合部の幅寸法に合わせてフロアフレームの幅寸法を比較的大きく確保する必要があり、この観点から改良の余地が残されていた。
【0006】
本発明は、フロアフレームの幅寸法を小さく抑えることができる車体下部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、フロアパネルの車室側に車体前後方向に向けて延出されたフロアフレームが設けられ、前記フロアフレームが上向きに隆起した状態に形成され、前記フロアフレームの後接合部が前記フロアパネルの隆起部に接合された車体下部構造であって、前記隆起部は、車体後方に向けて上り勾配で張り出された傾斜壁と、前記傾斜壁から車体後方に向けて略水平に張り出された水平部と、を有し、前記フロアフレームの後接合部が少なくとも前記水平部に接合されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2は、前記フロアフレームに部品取付部が設けられ、前記部品取付部に、車体下部に設けるための下部部品が取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明では、フロアパネルに傾斜壁および水平部を有し、傾斜壁を車体後方に向けて上り勾配で張り出し、水平部を略水平に形成した。
そして、フロアパネルの水平部にフロアフレームの後接合部を接合させた。
【0010】
このように、フロアパネルの水平部にフロアフレームの後接合部を接合させることで、従来技術のように、フロアフレームの上向き湾曲状に合わせてフロアパネルを上向湾曲状に隆起させる必要がない。
これにより、上向湾曲状に隆起させる部位の幅寸法に、フロアフレームの幅寸法が影響されることなく、フロアフレームの幅寸法を小さく抑えることができる。
【0011】
さらに、フロアパネルの水平部にフロアフレームの後接合部を接合させることで、従来技術のように、フロアフレームの上向湾曲形状に合わせて、フロアパネルを上向湾曲状に隆起させる必要がない。
これにより、フロアパネルを容易に形成することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0012】
加えて、フロアパネルに傾斜壁を設け、傾斜壁を車体後方に向けて上り勾配で張り出した。
これにより、フロアパネルの車幅方向に作用する荷重に対してフロアパネルの剛性を傾斜壁で高めることができる。
【0013】
請求項2に係る発明では、フロアフレームに部品取付部を設け、車体下部に設けるための下部部品を部品取付部に取り付けるようにした。
これにより、フロアパネルに凹凸の制約が多い場合でも、部品取付部を用いることで、車体下部に設けるための下部部品を、好適な位置(所望位置)に設けることができるので、設計の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る車体下部構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車体下部構造を示す底面図である。
【図3】図1の車体下部構造を示す分解斜視図である。
【図4】本発明に係る車体下部構造の左フロアフレームを示す斜視図である。
【図5】図1の5−5線断面図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】本発明に係る車体下部構造の左サイドシルに作用した荷重を支える例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」は運転者から見た方向にしたがい、前側をFr、後側をRr、左側をL、右側をRとして示す。
【実施例】
【0016】
実施例に係る車体下部構造10について説明する。
図1、図2に示すように、車体下部構造10は、フロアパネル11に設けられた前クロスメンバー12と、前クロスメンバー12の車体後方に設けられた後クロスメンバー13と、前クロスメンバー12および後クロスメンバー(ミドルクロスメンバー)13間に設けられた左右のフロアフレーム(フロアフレーム)14,15と、フロアパネル11の後方に設けられた左右のリヤフレーム27,28と、左右のリヤフレーム27,28間に設けられた下部補強ユニット(下部部品)16とを備えている。
【0017】
フロアパネル11は、車幅方向中央にフロアトンネル21が設けられ、フロアトンネル21の左側に左隆起部(隆起部)22が設けられ、フロアトンネル21の右側に右隆起部(隆起部)23が設けられている。
フロアトンネル21は、上方に向けて隆起した状態で車体前後方向に延出する部位である。
【0018】
図3に示すように、左隆起部22は、フロアパネル11のうちフロアトンネル21の車体左側に設けられている。
この左隆起部22は、フロアパネル11の底部11aから車体後方に向けて上り勾配θ1(図6参照)で張り出された傾斜壁25と、傾斜壁25から車体後方に向けて略水平に張り出された水平部26とを有している。
【0019】
図2に示すように、右隆起部23は、フロアパネル11のうちフロアトンネル21の車体右側に設けられている。
この右隆起部23は、左隆起部22と左右対称に設けられた部位であり、各構成部材に左隆起部22と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0020】
図2に示すように、前クロスメンバー12は、左サイドシル31およびフロアトンネル21に渡って車幅方向に延出された左前クロスメンバー部34と、右サイドシル32およびフロアトンネル21に渡って車幅方向に延出された右前クロスメンバー部35とを備えている。
左前クロスメンバー部34および右前クロスメンバー部35は車幅方向に向けて直線状に配置されている。
【0021】
図1に示すように、左前クロスメンバー部34は、フロアパネル11から上方に所定間隔をおいて設けられた頂部37と、頂部37の前辺から下方に折り曲げられた前折曲壁38と、頂部37の後辺から下方に折り曲げられた後折曲壁39(図6参照)と、前折曲壁38から車体前方に向けて折り曲げられた前フランジ41と、後折曲壁39から車体後方に向けて折り曲げられた後フランジ42(図6参照)とを有している。
【0022】
すなわち、左前クロスメンバー部34は、図6に示すように、頂部37、前折曲壁38、後折曲壁39、前フランジ41および後フランジ42で、いわゆる略断面ハット状に形成されている。
この左前クロスメンバー部34は、前フランジ41および後フランジ42がフロアパネル11に接合(スポット溶接)されている。
【0023】
右前クロスメンバー部35は、左前クロスメンバー部34と左右対称に設けられた部位であり、各構成部材に左前クロスメンバー部34と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0024】
図3に示すように、後クロスメンバー13は、前クロスメンバー12の車体後方に位置し、左サイドシル31およびフロアトンネル21に渡って車幅方向に延出された左後クロスメンバー部44と、右サイドシル32およびフロアトンネル21に渡って車幅方向に延出された右後クロスメンバー部(図示せず)とを備えている。
左後クロスメンバー部44および右後クロスメンバー部は車幅方向に向けて直線状に配置されている。
【0025】
左後クロスメンバー部44は、フロアパネル11から上方に所定間隔をおいて設けられた頂部47と、頂部47の前辺から下方に折り曲げられた前折曲壁48と、頂部47の後辺から下方に折り曲げられた後折曲壁(図示せず)と、前折曲壁48から車体前方に向けて折り曲げられた前フランジ(フランジ)51と、後折曲壁から車体後方に向けて折り曲げられた後フランジ52とを有している。
【0026】
すなわち、左後クロスメンバー部44は、頂部47、前折曲壁48、後折曲壁、前フランジ51および後フランジ52で、いわゆる略断面ハット状に形成されている。
この左後クロスメンバー部44は、前フランジ51および後フランジ52がフロアパネル11に接合(スポット溶接)されている。
【0027】
右後クロスメンバー部は、左後クロスメンバー部44と左右対称に設けられた部位であり、各構成部材に左後クロスメンバー部44と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0028】
図1、図4に示すように、左フロアフレーム14は、フロアパネル11の車室18側で、かつ、フロアトンネル21の左側に設けられ、車体前後方向に向けて延出されている。
この左フロアフレーム14は、車体前後方向に向けて延出されたフレーム本体55と、フレーム本体55の前端部55bに設けられた前接合部56と、フレーム本体55の後端部55aに設けられた後接合部(フロアフレームの後端部)57とを有する。
【0029】
図5に示すように、フレーム本体55は、フロアパネル11に対して所定間隔をおいて配置された頂部61と、頂部61の内辺から下方に折り曲げられた内壁62と、頂部61の外辺から下方に折り曲げられた外壁63と、内壁62の下辺から車幅方向中心に向けて折り曲げられた内フランジ64と、外壁63の下辺から車幅方向外側に向けて折り曲げられた外フランジ65とを備えている。
【0030】
図4に示すように、頂部61は、後端部61aにナット67が溶接され、ナット67の前後側に前後の取付孔68,69が形成されている。
【0031】
外壁63は、後端部63aの外後下辺63bが車体後方に向けて上り勾配で傾斜されている。
外フランジ65の後端部65a(以下、「外後フランジ部」という)は、外後下辺63bと同様に、車体後方に向けて上り勾配θ1で傾斜されている。
【0032】
図1に示すように、外後フランジ部65aは、フロアパネル11の傾斜壁25に接合(スポット溶接)されている。
また、外フランジ65は、外後フランジ部65aを除いた部位65b(図5参照)がフロアパネル11に接合(スポット溶接)されている。
【0033】
内壁62は、外壁63と同様に、後端部の内後下辺(図示せず)が車体後方に向けて上り勾配で傾斜されている。
内フランジ64の後端部64a(以下、「内後フランジ部」という)は、外壁63の外後下辺と同様に、車体後方に向けて上り勾配θ1で傾斜されている。
【0034】
図1に示すように、内後フランジ部64aは、外後フランジ部65aと同様に、フロアパネル11の傾斜壁25に接合(スポット溶接)されている。
内フランジ64は、内後フランジ部64aを除いた部位64bがフロアパネル11に接合(スポット溶接)されている。
【0035】
図5に示すように、フレーム本体55は、頂部61、内壁62および外壁63で断面略コ字状(すなわち、上向きに隆起した形状)に形成され、頂部61、内壁62、外壁63、内フランジ64および外フランジ65で、いわゆる断面略ハット状に形成されている。
【0036】
図4、図6に示すように、後接合部57は、フレーム本体55の後端部55aに、頂部61と略面一になるように設けられている。
具体的には、後接合部57は、略矩形状に形成され、頂部61の後縁61b、内後フランジ部64aの後縁64cおよび外後フランジ部65aの後縁65cから車体後方に張り出された張出片である。
この後接合部57が、水平部26に接合(スポット溶接)されている。
【0037】
このように、フロアパネル11の左隆起部22(すなわち、傾斜壁25および水平部26)に左フロアフレーム14の内後フランジ部64a、外後フランジ部65aおよび後接合部57を接合した。
よって、従来技術のように、フロアパネル11のうち左フロアフレーム14に接合する部位を、左フロアフレーム14の断面略コ字状に合わせて上向湾曲状に隆起させる必要がない。
【0038】
よって、上向湾曲状に隆起状する部位の幅寸法に、左フロアフレーム14の幅寸法W(図5参照)は影響されない。
これにより、断面略コ字状の左フロアフレーム14の幅寸法Wを小さく抑え、幅狭の左フロアフレーム14を設けることができる。
【0039】
さらに、従来技術のように、フロアパネル11のうち左フロアフレーム14に接合する部位を、左フロアフレーム14の断面略コ字状に合わせて上向湾曲状に隆起させる必要がない。
これにより、フロアパネル11を容易に形成することができ、生産性の向上を図ることができる。
【0040】
加えて、後接合部57および水平部26に前フランジ51を接合することで、左フロアフレーム14の後端部14aを左後クロスメンバー部44で強固に支えることができる。
【0041】
前接合部56は、頂部61の前辺61cから車体前方に向けて張り出された前水平接合部71と、内壁62の前辺から左前クロスメンバー部34の後折曲壁39に沿って車幅方向中心側に向けて折り曲げられた前内接合部72と、外壁63の前辺から左前クロスメンバー部34の後折曲壁39に沿って車幅方向外側に向けて折り曲げられた前外接合部73とを有する。
【0042】
前水平接合部71は、頂部61と面一に設けられ、前クロスメンバー12の頂部37にボルト76で取り付けられている。
前内接合部72は、左前クロスメンバー部34の後折曲壁39に接合(スポット溶接)されている。
前外接合部73は、左前クロスメンバー部34の後折曲壁39に接合(スポット溶接)されている。
【0043】
フレーム本体55の後端部55aに取付ブラケット78が収納された状態で設けられている。
取付ブラケット78は、フロアパネル11に接合(スポット溶接)されたブラケット本体81と、ブラケット本体81に設けられたカラー82とからなる。
ブラケット本体81は、前後の上折曲片81a,81bが頂部61にボルト84,84で取り付けられ、前後の内側折曲片(図示せず)が内壁62に接合(スポット溶接)され、前後の外側折曲片81c,81dが外壁63に接合(スポット溶接)されている。
【0044】
すなわち、取付ブラケット78は、左フロアフレーム14の後端部14aに設けられるとともに、フロアパネル11に設けられている。
左フロアフレーム14の後端部14aおよび取付ブラケット78で左部品取付部(部品取付部)86が形成されている。
すなわち、左部品取付部86は左フロアフレーム14に設けられている。
【0045】
図2に示す右フロアフレーム15は、左フロアフレーム14と左右対称に設けられた部位であり、各構成部材に左フロアフレーム14と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
この右フロアフレーム15の後端部15aおよび取付ブラケットで右部品取付部(部品取付部)87(図2参照)が形成されている。
すなわち、右部品取付部87は右フロアフレーム15に設けられている。
【0046】
右部品取付部87は、左部品取付部86と左右対称に設けられた部位であり、各構成部材に左部品取付部86と同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0047】
図2に示すように、左右の部品取付部86,87に下部補強ユニット16が設けられている。
下部補強ユニット16は、左右のリヤフレーム27,28間の車体下部に設けられている。
【0048】
この下部補強ユニット16は、後クロスメンバー13に設けられた左右の補強フレーム91,92と、左右の補強フレーム91,92の前端部を連結するクロスバー94と、左右の補強フレーム91,92を補強する左右のステイユニット96,97とを備えている。
【0049】
左補強フレーム91は、左サイドシル31の車幅方向内側で、かつ、左ステイユニット96の車幅方向内側に配置されている。
右補強フレーム92は、左補強フレーム91と同様に、右サイドシル32の車幅方向内側で、かつ、右ステイユニット97の車幅方向内側に配置されている。
左右の補強フレーム91,92は車体後方に向けて、それぞれの間隔が漸次狭まるように略ハ字状に設けられている。
【0050】
左右の補強フレーム91,92の前端部91a,92aは、クロスバー94で連結されている。
クロスバー94は、左端部に設けられた左突出部101と、右端部に設けられた右突出部102とを有する。
【0051】
左突出部101は、後端部が左補強フレーム91の後端部91aにボルト104で取り付けられ、前端部が左部品取付部86にボルト105(図5、図6参照)で取り付けられている。
右突出部102は、後端部が右補強フレーム92の後端部92aにボルト106で取り付けられ、前端部が右部品取付部87にボルト107で取り付けられている。
【0052】
左ステイユニット96は、左補強フレーム91などを補強する補強用のユニットである。
この左ステイユニット96は、左サイドシル31および左補強フレーム91に架け渡された前左連結ステイ111と、サブフレーム113および左サイドシル31に取り付けられた左倒れ防止ステイ114と、左倒れ防止ステイ114および左補強フレーム91の中央部91aに架け渡された後左連結ステイ115とを備えている。
【0053】
右ステイユニット97は、左ステイユニット96と左右対称の部材であり、各構成部材に左ステイユニット96と同じ符号を付して説明を省略する。
【0054】
すなわち、左フロアフレーム14の後端部14aおよび取付ブラケット78で左部品取付部86が形成されている。
さらに、右フロアフレーム15の後端部15aおよび取付ブラケットで右部品取付部87が形成されている。
【0055】
そして、左右の部品取付部86,87を利用して下部補強ユニット16を取り付けるようにした。
これにより、フロアパネル11に凹凸の制約が多い場合でも、左右の部品取付部86,87を利用することで、下部補強ユニット16の取付部(すなわち、左突出部101および右突出部102)を好適な位置(所望の位置)に設けることができ、設計の自由度を高めることができる。
【0056】
加えて、図6に示すように、後接合部57および水平部26に前フランジ51を接合することで、左フロアフレーム14の後端部14a(左部品取付部86)が左後クロスメンバー部44で強固に支えられている。
これにより、クロスバー94の左突出部101を左部品取付部86で強固に支えることができる。
【0057】
つぎに、車体下部構造10の左サイドシル31に作用した荷重を支える例を図7に基づいて説明する。
図7に示すように、フロアパネル11に左隆起部22の傾斜壁25を設け、傾斜壁25を車体後方に向けて上り勾配θ(図6参照)で張り出した。
傾斜壁25を設けることで、フロアパネル11の車幅方向に対する剛性を高めることができる。
【0058】
これにより、左サイドシル31に荷重F1が車幅方向に矢印の如く作用した場合、左サイドシル31を経てフロアパネル11に伝わった荷重F2を左隆起部22(具体的には、傾斜壁25)で良好に支えることができる。
【0059】
なお、本発明に係る車体下部構造10は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例では、下部部品として下部補強ユニット16を例示したが、これに限らないで、例えば、下部カバー部品などの他の下部部品に適用することも可能である。
【0060】
また、前記実施例で示したフロアパネル11、左右のフロアフレーム14,15、後接合部57、左右の左隆起部22,23、傾斜壁25、水平部26、左右の部品取付部86,87および下部補強ユニット16などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、フロアパネルにフロアフレームが設けられ、フロアフレームが上向きに隆起した状態で車体前後方向に向けて延出された車体下部構造を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0062】
10…車体下部構造、11…フロアパネル、18…車室、14,15…左右のフロアフレーム(フロアフレーム)、57…後接合部、22,23…左右の左隆起部(隆起部)、25…傾斜壁、26…水平部、86,87…左右の部品取付部(部品取付部)、16…下部補強ユニット(下部部品)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの車室側に車体前後方向に向けて延出されたフロアフレームが設けられ、前記フロアフレームが上向きに隆起した状態に形成され、前記フロアフレームの後接合部が前記フロアパネルの隆起部に接合された車体下部構造であって、
前記隆起部は、
車体後方に向けて上り勾配で張り出された傾斜壁と、
前記傾斜壁から車体後方に向けて略水平に張り出された水平部と、を有し、
前記フロアフレームの後接合部が少なくとも前記水平部に接合されたことを特徴とする車体下部構造。
【請求項2】
前記フロアフレームに部品取付部が設けられ、
前記部品取付部に、車体下部に設けるための下部部品が取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の車体下部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−234899(P2010−234899A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83360(P2009−83360)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】