説明

車体後部構造

【課題】燃費や製造コストを同程度に維持しつつ低速走行時のこもり音を低減できる車体後部構造を提供する。
【解決手段】車体後部開口を開閉するためのバックドア(2)を備え、前記バックドアは、車幅方向に離間して配設された2つのヒンジ(3,3)を介して車体後部開口上部に枢結されるとともに、前記バックドアの下端部に、車体後部開口下部に固定されたストライカ(5)に係脱可能なラッチ(4)を備えた車体後部構造において、前記ラッチ(4)および前記ストライカ(5)が、車幅方向の中心から側方にオフセットされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体後部開口を開閉するためのバックドア、特に、ハッチバック形式のバックドアを備えた車両の車体後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハッチバック形式のバックドアは、車体後部を広く開放できかつ開放したバックドアを跳ね上げておくことができ、車室兼荷室空間へのアクセスが容易であるため、バンやワゴン車は勿論、小型乗用車に広く採用されている(特許文献1参照)。このようなバックドアを備えた車両では、低速走行時にこもり音が発生することが知られている。すなわち、バックドアの共振周波数に近い低回転のエンジン振動が車体後部に伝達されると、バックドアが前後方向に振動し、車室内に周期的な容積変化を生じてこもり音が発生する。
【0003】
上記のようなバックドアの振動は、ウェザーストリップやストッパの弾性変形によるバックドアのヒンジを中心とした振動の他に、バックドア自体の撓み振動が想定され、こもり音の低減にはバックドアの取付け剛性の向上とともにバックドア自体の剛性向上が有効である。しかし、これらは車体の軽量化とは相反する要請であり、燃費や製造コストに重点が置かれる小型車では、総合的な性能評価における許容範囲内で、こもり音の低減に顕著な効果を得ることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−193827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、燃費や製造コストを同程度に維持しつつ低速走行時のこもり音を低減できる車体後部構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来技術の有する課題を解決するため、本発明は、車体後部開口を開閉するためのバックドアを備え、前記バックドアは、車幅方向に離間して配設された2つのヒンジを介して車体後部開口上部に枢結されるとともに、前記バックドアの下端部に、車体後部開口下部に固定されたストライカに係脱可能なラッチを備えた車体後部構造において、前記ラッチおよび前記ストライカが、車幅方向の中心から側方にオフセットされていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車体後部構造は、上記のように、ラッチ/ストライカが、車幅方向の中心から側方にオフセットされているので、ラッチ/ストライカを中心としたバックドアの各側の慣性重量や固有振動数が非対称になり、バックドアには、ラッチ/ストライカを中心とした左右非対称な捻れ振動が誘発され、特定周波数での共振が抑制されるとともに、バックドアに伝達される振動エネルギーが構造的に拡散され減衰されるので、こもり音を効果的に低減できる。しかも、上記構成は、既存の構成に対して僅かな設計変更のみで導入できるので、車体重量の増加や製造コストの増加を伴うこともない。
【0008】
上記のような効果を得るために、前記ラッチおよび前記ストライカのオフセット量が、前記2つのヒンジ間の距離の5%以上かつ40%以下であることが好ましい。オフセット量が5%に満たない場合は、捻れ振動が誘発され難くなり、充分なこもり音低減効果が得られない。一方、オフセット量が大き過ぎると、バックドアのオフセット方向と反対側の部分で発生する最大振幅が大きくなり、振動の減衰効果が失われ、こもり音低減効果が小さくなるうえ、バックドア開閉操作の衝撃荷重によるヒンジへの構造的負担が大きくなる問題が生じる。
【0009】
本発明の好適な態様では、前記バックドアは、アウターパネルとインナーパネルとが周縁部で接合されることによって構成され、前記インナーパネルは、前記周縁部に沿いかつ前記周縁部に対して前記アウターパネルから離れる方向に膨出した基本骨格部と、該基本骨格部で囲まれた中間部に複数の軽減孔開口部を画成する補助骨格部とを含む立体形状に成形され、前記ラッチが、基本骨格部の前記補助骨格部との会合部に配設されている。上述したようにラッチ/ストライカがオフセットされると、ラッチ周辺には前後あるいは上下方向だけでなく捻れ方向の力が作用することになるが、この態様では、オフセットされたラッチが、軽量化されたインナーパネルにおいて比較的剛性の高い骨格構造の会合部に配設されたことで、ラッチの閉止力をバックドアの広範囲に作用させることができ、有利である。
【0010】
本発明のさらに好適な態様では、前記バックドアは、前記ラッチのオフセット方向と反対側に位置した周縁部に隣接して、前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間に介在する弾性材料からなる制振構造をさらに備えている。上述したラッチ/ストライカのオフセットに伴い、オフセット方向と反対側の部分における最大振幅の増加が見込まれるが、この態様では、当該部分に制振構造を備えたことで、最大振幅や捻れ振動を抑制または減衰させる上で有利である。
【0011】
本発明のさらに好適な態様では、前記バックドアは、前記2つのヒンジの取付け部からバックウインドウ開口部の側部にかけてのインナーパネル上隅部をそれぞれ補強する補強部材をさらに備え、前記各補強部材のうち、前記ラッチのオフセット方向と反対側に位置した一方の補強部材が、他方の補強部材よりも車幅方向中央側に拡張されている。上述したラッチ/ストライカのオフセットに伴い、オフセット方向と反対側のヒンジ付近の構造的負担が増加するが、この態様では、当該部分の必要最小限の補強によって左右の強度バランスを均衡させるとともに、オフセットに伴う最大振幅や捻れ振動を抑制する上で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車体後部構造が実施される車両を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車体後部構造を実施した車両のバックドアを開いた状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る車体後部構造を実施した車両のバックドアを閉じた状態を示す背面図である。
【図4】本発明実施形態のバックドアを示すアウターパネルおよびバックウインドウを除去した正面図である。
【図5】本発明実施例および比較例におけるバックドアの振動モードを強調倍率2000倍で可視化した図3のA−A断面図である。
【図6】ラッチ/ストライカのオフセット量と低周波振動レベルとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜図3において、車両1は、ハッチバック形式のバックドア2を備え、荷室と乗員室が一連となったいわゆる2ボックスタイプの自動車であり、車体後部には、バックドア開口部10が設けられている。バックドア2の説明に先立ち、バックドア開口部10周辺の車体構造について述べる。なお、以下の説明において、各部材の「接合」は基本的にスポット溶接などの溶接接合によるが、他の接合を排除するものではない。
【0014】
図2において、バックドア開口部10の下方にはリアパネル18とその上部後側に接合されたテールエンドパネル19が配設され、それらの間に、バックドア開口部10の下部に沿って車幅方向に延在する閉断面が画成されている。図示例では、バックドア開口部10の下辺は、車体フロア18の後端部よりも高位置にあるが、バンなどの車両として実施される場合には車体フロア18まで開口される。
【0015】
リアパネル18およびテールエンドパネル19の車幅方向両側には、リアコンビネーションランプ7の取付け部となるリアランプハウスアウターエクステンション17が接合され、その上端にはサイドボディーアウターエクステンション14が接合されており、これらリアランプハウスアウターエクステンション17およびサイドボディーアウターエクステンション14の車幅方向外側の縁部は、サイドボディーアウターパネル11に接合されている。
【0016】
一方、リアランプハウスアウターエクステンション17の車両室内側の面には、バックドア開口部10の両側下部を画成するインナーエクステンション16が接合され、その上端はサイドボディーアウターエクステンション14の車両室内側の面と、サイドボディーアウターパネル11の車両室内側に配設されたクォーターインナーアッパーパネル15とに接合されており、これらにより、バックドア開口部10の側部に沿って上下に延在する閉断面が画成されている。クォーターインナーアッパーパネル15の下側にはクォーターインナーロアパネル15bが接合され、それらは、リアドア12の開口部に沿ってサイドボディーアウターパネル11に接合されている。
【0017】
さらに、サイドボディーアウターエクステンション14,14の上端部は、ルーフパネル13の後端部13aと、その下面側に配設される補強部材(リインフォースメント)とに接合されている。この補強部材は、後述するバックドア2のヒンジ3,3の車体側取付け部を補強するものであり、左右両側に部分的に配設されており、それらは、ルーフパネル後端部13aの下面側に、バックドア開口部10の上部に沿って車幅方向に延在する閉断面を画成するルーフバックインナーメンバー(不図示)の両端部に接合されている。
【0018】
以上述べた構成により、バックドア開口部10の上部(13a)、両側部(11,14,15,16,17)、および下部(18,19)の各閉断面は相互に連通され、バックドア開口部10の周囲に環状に連続する閉断面構造が形成されており、バックドア開口部10の周囲に所期の剛性が確保されている。また、バックドア開口部10に沿って配設された前記各内外パネルの接合部(オープニングフランジ)には、バックドア2との間にシールを形成するウェザーストリップと一体のオープニングトリム(10)が嵌着されている。
【0019】
次に、バックドア2について図面と共に説明する。
バックドア2は、図1〜図4に示すように、車幅方向に離間して配設された2つのヒンジ3,3を介して、バックドア開口部10の上部に位置したルーフパネル後端部13a(補強部材)に回動可能に連結され、これらヒンジ3,3の軸を中心として、図1および図2に示すように上下方向に揺動開閉可能である。
【0020】
バックドア2の下端部には、バックドア開口部10の下部(リアパネル18の上面)に固定されたストライカ5に係脱可能なラッチ4が取付けられており、このラッチ4がストライカ5に係合することで、バックドア2は閉止状態にロックされる。さらに、このロック状態から、バックドア2の外面に設けたドアハンドル6を操作して、ラッチ4/ストライカ5のロックを解除することにより、バックドア2は開放可能となる。図2に示されるように、バックドア2の両側部には、バックドア2を開位置に保持しかつその開操作をアシストするバランサー9,9が設置されている。
【0021】
図4は、バックドア2のアウターパネル21およびバックウインドウ20を除去した状態で外面側となる車両後方から見た図である。バックドア2は、アウターパネル21とインナーパネル22とが周縁部2aで接合されることによって構成され、上部中央にはウインドウ開口部220が画成されている。なお、図3に示されるように、バックウインドウ20によって、アウターパネル21の窓枠部に相当する表面部分も覆われる。
【0022】
インナーパネル22には、アウターパネル21に接合される周縁部およびウインドウ開口部220に隣接して断面ハット状または段差形状の補強構造をなす基本骨格部221,222,223が形成され、さらに、インナーパネル22の下部における段差形状の基本骨格部222の内側に沿って、アウターパネル21から離れる方向に膨出した断面ハット状の基本骨格部224が形成されている。これらの基本骨格部221〜224のうち、外側の周縁部に沿った基本骨格部221および222は、先述したバックドア開口部10に沿ったウェザーストリップ(オープニングトリム)の受け面となる。
【0023】
さらに、インナーパネル22の下部における基本骨格部224で囲まれた中間部には、複数の軽減孔開口部226を画成すべく基本骨格部223との間に斜格子状に渡設された断面ハット状の補助骨格部225が形成されている。また、各軽減孔開口部226の縁部からアウターパネル21の裏面に向けて立ち上がるように複数の支持部227が折曲形成されており、各支持部227の頂部は、接着性を有する弾性シール部材を介してアウターパネル21の裏面に接合される。
【0024】
インナーパネル22の左右の上隅部には、各ヒンジ3,3の取付け部からバックウインドウ開口部220の側部にかけての部分を補強する補強部材23a,23b(リインフォースメント)が接合されている。また、リアコンビネーションランプ7に対応した切欠部により幅狭になっているバックウインドウ開口部220の左右の下隅部にも補強部材25a,25b(リインフォースメント)が接合されている。さらに、上記切欠部に隣接した補強部材25a,25bの側部と、バックドア2の最下部の角部の車両室内側の面には、バックドア2を閉操作した際の衝撃を緩和するストッパーゴム228が取付けられる。
【0025】
上記のように構成されたバックドア2の下端部には、車幅方向の中心から図中左側にオフセットしてラッチ4が取付けられている。ラッチ4は、インナーパネル22の断面ハット状の基本骨格部224の段差面をなす下面部に取付けられ、該取付け部におけるインナーパネル22の裏面には補強部材24(リインフォースメント)が接合されている。
【0026】
また、図示例におけるラッチ4の取付け位置は、基本骨格部224と2つの補助骨格部225とが会合する会合部に隣接している。このような会合部は、構造上、剛性が高い部位である。上記ラッチ4の配置に対応してストライカ5も同様にオフセットして配設されているが、図4に取付け孔60のみ概略的に示されているように、ドアハンドル6は、車幅方向中央に配設されている。ラッチ4の機構部は、図示しないボーデンケーブルまたはロッドを介してドアハンドル6の機構部に連結される。
【0027】
次に、上記実施形態に基づく作用について説明する。
バックドア2は、閉止状態において、車幅方向の中心(c)から両側に等しい距離L/2で離間して配置された2つのヒンジ3,3と、車幅方向の中心(c)から側方に距離Sオフセットして配置されたラッチ4/ストライカ5の3点で支持される。したがって、バックドア2自体が実質的に左右対称形状に形成され、かつ、2つのヒンジ3,3が左右対称に配置されていても、ラッチ4/ストライカ5を中心としたバックドア2の左右各側の慣性重量は非対称になる。そのため、低速走行時などにおいて、バックドア2に車両前後あるいは上下方向の振動が伝達されると、バックドア2には、ラッチ4/ストライカ5を中心とした左右非対称な捻れ振動が誘発されることになる。
【0028】
上記振動に伴うバックドア2の振幅(撓み変形)は上下の支持点(3,4)間の中間部で最大になるが、実際には極めて小さい。そこで、このようなバックドア2の捻れ振動を検証するために、3D−CGモデルを用いてバックドア2の振動モードの解析を行なった。なお、解析に用いた車両は、全長3395mm、全幅1475mmの軽乗用車であり、バックドアは、ヒンジ間距離L=650mm、オフセット量S=100mmとし、加振源の振動方向は車両前後方向に設定した。
【0029】
図5は、解析結果を示す平断面図であり、図中、バックドア2の最大振幅を強調倍率2000倍に拡大して可視化している。図5において、符号2Aは、本発明実施形態によるバックドア2の最大振幅を示し、符号2Bは、比較例として、ラッチ/ストライカを車幅方向の中央に配置した同形状のバックドアの最大振幅を示している。
【0030】
図5に示されるように、本発明実施形態のバックドア(2A)は、ラッチ4/ストライカ5が図中左側にオフセットされたことに伴い、図中右側部分の最大振幅は、比較例(2B)より大きくなっているが、全体としての振動量は減少している。それは、2つの軌跡2A,2Bの交点の左右各側における2つの軌跡2A,2Bで挟まれたくさび状部分の面積は、交点の右側部分より左側部分が大きいことからも明らかである。変形前後の面積で比較すると約5%減少している。これは、バックドア2の振動によってもたらされる車両室内の容積変化に対応しており、こもり音の音圧レベルの減少を示している。
【0031】
次に、図6は、上記振動モード解析において、ラッチ4/ストライカ5のオフセット量Sを変化させた場合のこもり音の音圧レベル(N)との関係を示している。図6によれば、オフセット量Sが比較的小さい領域では、オフセット量Sの増加に伴いこもり音の音圧レベル(N)は減少するが、その後、増加に転じる傾向が示されている。
【0032】
これは、オフセット量Sが大き過ぎると、バックドアのオフセット方向と反対側の部分で発生する最大振幅が大きくなり、振動の減衰効果が失われることを示している。このような傾向から、ラッチ4/ストライカ5のオフセット量Sは、図中Seで示される範囲(33mm〜260mm)に相当するヒンジ間距離Lの5(%)〜40(%)が好ましい。因みに、上記実施形態(ヒンジ間距離L=650mm、オフセット量S=100mm)では、オフセット量Sは、ヒンジ間距離Lの15.4(%)である。
【0033】
なお、ラッチ4/ストライカ5がオフセットされたことに伴い、バックドア開閉時における左右のヒンジ3,3への構造的負担が増加することは否めない。上述した実施形態では、バックドア2における各ヒンジ3,3の取付け部に補強部材23a,23bが配設されており、強度的な問題が生じることはないが、図4に示すように、ラッチ4のオフセットと反対側に位置した補強部材23bに、車幅方向中央側に拡張した拡張部231を設け、ヒンジ取付け部(23b)の負担増加分を剛性の向上によって補填しても良い。
【0034】
また、図4に示すように、ラッチ4のオフセット方向と反対側(捻れ振動モードにおける最大振幅が大きくなる側)に位置したバックドア2の基本骨格部221〜222に、アウターパネル21とインナーパネル22との間に介在する弾性材料26を設け、制振構造を構成しても良い。弾性材料26としては、ゴムやエラストマーなどの各種弾性材料を使用可能であるが、中空のゴム材の内部に、発泡ウレタンもしくは発泡ゴムなどの発泡材料を充填して弾性率を向上させた複合弾性材料が特に好適である。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について述べたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいてさらに各種の変形および変更が可能であることを付言する。
【符号の説明】
【0036】
1 車両
2 バックドア
3 ヒンジ
4 ラッチ
5 ストライカ
6 ドアハンドル
10 バックドア開口部(オープニングトリム)
13 ルーフパネル
14 サイドボディーアウターエクステンション
15 クォーターインナーアッパーパネル
16 インナーエクステンション
17 リアランプハウスアウターエクステンション
18 リアパネル
19 テールエンドパネル
20 バックウインドウ
21 アウターパネル
22 インナーパネル
23a,23b,24,25a,25b 補強部材
26 弾性材料
220 バックウインドウ開口部
221,222,223,224 基本骨格部
225 補助骨格部
226 軽減孔開口部
228 ストッパーゴム
231 拡張部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部開口を開閉するためのバックドアを備え、前記バックドアは、車幅方向に離間して配設された2つのヒンジを介して車体後部開口上部に枢結されるとともに、前記バックドアの下端部に、車体後部開口下部に固定されたストライカに係脱可能なラッチを備えた車体後部構造において、前記ラッチおよび前記ストライカが、車幅方向の中心から側方にオフセットされていることを特徴とする車体後部構造。
【請求項2】
前記ラッチおよび前記ストライカのオフセット量が、前記2つのヒンジ間の距離の5%以上かつ40%以下であることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
【請求項3】
前記バックドアは、アウターパネルとインナーパネルとが周縁部で接合されることによって構成され、前記インナーパネルは、前記周縁部に沿いかつ前記周縁部に対して前記アウターパネルから離れる方向に膨出した基本骨格部と、該基本骨格部で囲まれた中間部に複数の軽減孔開口部を画成する補助骨格部とを含む立体形状に成形され、前記ラッチが、基本骨格部の前記補助骨格部との会合部に配設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車体後部構造。
【請求項4】
前記バックドアは、前記ラッチのオフセット方向と反対側に位置した周縁部に隣接して、前記アウターパネルと前記インナーパネルとの間に介在する弾性材料からなる制振構造をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車体後部構造。
【請求項5】
前記バックドアは、前記2つのヒンジの取付け部からバックウインドウ開口部の側部にかけてのインナーパネル上隅部をそれぞれ補強する補強部材をさらに備え、前記各補強部材のうち、前記ラッチのオフセット方向と反対側に位置した一方の補強部材が、他方の補強部材よりも車幅方向中央側に拡張されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車体後部構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−131784(P2011−131784A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294244(P2009−294244)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】