車体補強構造
【課題】ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることができる車体補強構造を提供する。
【解決手段】本発明の車体補強構造200は、車両300のルーフパネル60に開口された開口部50と、前記開口部50において、当該開口部50の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネル60を補強する補強部材16とを備え、前記補強部材16は、前記開口部50において、前記車両300の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする。
【解決手段】本発明の車体補強構造200は、車両300のルーフパネル60に開口された開口部50と、前記開口部50において、当該開口部50の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネル60を補強する補強部材16とを備え、前記補強部材16は、前記開口部50において、前記車両300の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ用の開口部を備えた車体を補強するための車体補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の上部車体構造として、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の上部車体構造では、ルーフパネルの中央に形成した車体前後方向に長い開口の周縁にガラスサンルーフを固定して、解放感を高めている。そして、ルーフの剛性を高めるために、開口を跨いで車体左右方向に中間ガイドフレームが設けられている。
【特許文献1】特開2006−151084公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1に開示された構造では、ルーフパネルを開口することにより解放感を高めようとしているものの、中間ガイドフレームが同位置に存在するため、車室内における乗員の位置によって解放感が規制される。
【0004】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることができる車体補強構造を提供することである。また、そのような補強構造に付随して、サンルーフの開口部の大きさを制約することがなく、特に大型の開口部が形成されたルーフの剛性低下を抑制することが可能な車体補強構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
第1発明は、車両のルーフパネルに開口された開口部と、前記開口部において、当該開口部の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネルを補強する補強部材とを備え、前記補強部材は、前記開口部において、前記車両の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0006】
第1発明によれば、ルーフの開口部における補強部材の前後方向位置を適宜選択できるため、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることが可能となる。
【0007】
第2発明は、上記第1発明の車体補強構造であって、前記スライド可能な補強部材を、前記開口部の所定位置で固定する位置固定手段を備えることを特徴とする、車体補強構造である。
【0008】
第2発明によれば、補強部材を所定位置に固定することができるため、車両の進行時等に当該補強部材が不必要にスライドしてしまうことを防止することが可能となる。
【0009】
第3発明は、上記第1発明又は第2発明の車体補強構造であって、前記補強部材には、前記開口部を覆う遮光シートと、前記遮光シートを巻き取ることのできる巻取装置とを備えるサンシェード装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0010】
第3発明によれば、遮光部材がシートで構成されており、巻取装置によって遮光シートを巻き取ることが可能である。したがって、遮光部材を格納するためのスペースが巻取装置の装着位置のみいわゆる補強部材の範囲内に収まり、必要最低限とすることができ、遮光部材を格納するためのスペースによってサンルーフの開口部の大きさが制約されることがなくなる。
【0011】
第4発明は、上記第3発明の車体補強構造であって、前記巻取装置は、第1及び第2の巻取ロールを備えており、前記第1の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両前方側に引き出すことが可能であり、前記第2の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両後方側に引き出すことが可能であることを特徴とする、車体補強構造である。
【0012】
第4発明によれば、巻取装置を車両の前後方向のどの位置に移動させた場合であっても、サンルーフの開口部の全領域を遮光シートによって覆うことが可能である。
【0013】
第5発明は、上記第3発明又は第4発明の車体補強構造であって、前記補強部材を複数備えており、前記複数の補強部材のそれぞれに前記巻取装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0014】
第5発明によれば、複数の補強部材(つまり巻取装置)をそれぞれ独立に移動させることが可能であり、サンシェード装置の自由な使い方が可能になる。例えば、車室内が3列シートで構成されている場合に、1列目シート及び3列目シートの上方を遮光シートによって覆うのと同時に、2列目シートの上方を遮光シートによって覆わない状態にしておく、といった自由な使い方が可能である。これにより、1列目シート、2列目シート、及び3列目シートの上方に、それぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができる。
【0015】
第6発明は、上記第3発明ないし第5発明のいずれかの車体補強構造であって、前記巻取装置は、前記補強部材に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0016】
第6発明によれば、巻取装置が補強部材に対して回転可能に取り付けられているために、車両ルーフの開口部の左右方向において遮光でき、使用性が向上することとなる。
【0017】
第7発明は、上記第1発明ないし第6発明のいずれかの車体補強構造であって、前記補強部材のスライド方向に沿って延設され、当該補強部材の両端を車両ルーフサイドメンバに支持させるための補強ブラケットを有することを特徴とする、車体補強構造である。
【0018】
第7発明によれば、補強部材が車両ルーフサイドメンバ側に突き抜ける等の不具合発生を防止することが可能となる。つまり、補強部材は開口部の車両幅方向に延設されてなるものの、例えば車両左方向からの衝撃が加わると、右側の車両ルーフサイドにおいて補強部材からの衝撃を分散・吸収する必要がある。そこで、上述のように補強ブラケットを補強部材のスライド方向に沿って延設させることで、当該衝撃を吸収させることができ、ひいては車両ルーフの剛性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることができる車体補強構造を提供することが可能となる。また、そのような補強構造に付随して、サンルーフの開口部の大きさを制約することがなく、特に大型の開口部が形成されたルーフの剛性低下を抑制することが可能な車体補強構造を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る車体補強構造200を備えた車体上部構造(車両の一部)300の斜視図である。図2は、図1に示す車体補強構造200のA−A線断面図である。図3は、図1に示す車体補強構造200のB−B線断面図である。図4は、図1に示す車体補強構造200の分解斜視図である。以下では、図1の左上側を車両前方側とし、図1の右下側を車両後方側として説明する。また、図3の左側を車両前方側とし、図3の右側を車両後方側として説明する。
【0021】
図1〜図3に示すように、車両のルーフパネル60には開口部50が設けられており、この開口部50の内側にガラス52がはめ込まれている。これにより、車室天井部から日光を取り入れたり、車室内から上空の景色を眺めたりすることのできるサンルーフが構成されている。本実施形態に係る車体補強構造200は、このようなサンルーフを構成する開口部50が形成されたルーフパネル60の強度(剛性)を確保するものであり、開口部50が形成された影響により、ルーフパネル60の強度(剛性)が低下することを防止ないし抑制するために設置されるものである。
【0022】
車体補強構造200は、開口部50の車両幅方向(車両左右方向)に延設された補強部材16を備えている。補強部材16は、金属製の板が複数回折り曲げられて形成された部材であり(図4参照)、当該補強部材16により開口部50を備えたルーフパネル60が車両幅方向(車両左右方向)に補強されている。なお、図4に示すように、この補強部材16の左右の両端部には、合成樹脂製のキャップ28が取り付けられている。また、補強部材16は、開口部50に対してスライド可能に取り付けられ、具体的には、開口部50の側部に形成されたガイドレール66a,66bに沿ってスライドする。スライド機構については後述する。
【0023】
また、車体補強構造200を構成する補強部材16には、サンシェード装置10が具備されている。サンシェード装置10は、サンルーフの開口部50の下側を覆うための遮光シート12と、この遮光シート12を巻き取ることのできる巻取装置14とを備えている。本実施形態では、巻取装置14が、車両の前後方向に移動可能な補強部材16の下面側に取り付けられており、これにより、補強部材16のスライドに伴って巻取装置14は車両の前後方向に移動させることが可能となっている。
【0024】
遮光シート12は、可撓性を有するシート状の部材で構成されている。このシート状の部材としては、例えば、合成樹脂材料からなるシート材(例えばポリ塩化ビニルシートやポリプロピレンシート)、メッシュシート、織布、不織布等を用いることができる。
【0025】
巻取装置14は、第1及び第2の巻取ロール22a、22bを備えている。また、巻取装置14は補強部材16に対して回転可能に取り付けられており(図19参照)、図1の状態、つまり巻取ロール22a,22bが前後方向に展開可能な状態では、車両前方側に配置された第1の巻取ロール22aは、遮光シート12を車両前方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両後方側に配置された第2の巻取ロール22bは、遮光シート12を車両後方側に引き出すことが可能に構成されている。
【0026】
一方、図19において下方向を車両前方側として見た状態、つまり巻取ロール22a,22bが左右方向に展開可能な状態では、車両右方側に配置された第1の巻取ロール22aは、遮光シート12を車両右方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両左方側に配置された第2の巻取ロール22bは、遮光シート12を車両左方側に引き出すことが可能に構成されている。
【0027】
これら第1及び第2の巻取ロール22a、22bは、合成樹脂製のハウジング26の内部に格納されている。また、第1及び第2の巻取ロール22a、22bの端部には、当該第1及び第2の巻取ロール22a、22bを回転させることで遮光シート12を自動的に巻き取るための巻取バネ24がそれぞれ装着されている。第1及び第2の巻取ロール22a、22bの端部に巻取バネ24を装着するためには、例えば特開昭61−155020号公報に開示されているような公知の巻取装置と同様の構造を用いることができる。
【0028】
また、図1、図3に示すように、遮光シート12の引き出し側の端部には、合成樹脂製のフック18が設けられている。車両のルーフパネル60の下面側には、このフック18を係合させることのできるブラケット20或いは、後述する回転機構40により回転された際に係合させることができるブラケット21が取り付けられている。フック18をブラケット20或いはブラケット21に係合させることによって、遮光シート12を巻取装置14から引き出した状態で保持することができる。一方、フック18をブラケット20或いはブラケット21から取り外すことによって、遮光シート12を巻取装置14によって自動的に巻き取らせることができる。
【0029】
一方、図2、図3に示すように、車両のルーフパネル60の下面側にはルーフライニング61が装着されている。このルーフライニング61には、フック18をブラケット20或いはブラケット21に係合させるときに当該フック18を貫通させることのできる貫通孔63、69が設けられている。
【0030】
また、図2、図3に示すように、車両のルーフパネル60の下面部には、断面略コの字型の補強パネル62が設けられている。この補強パネル62の下面部には、断面略L字型の鋼製部材からなる取付部材64が接合されている。この取付部材64によって、補強部材16を車両の前後方向にガイドするための2本のガイドレール66a、66bが取り付けられている。
【0031】
さらに、補強部材16のスライド方向に沿って補強ブラケット80が延設されている。補強ブラケット80は、補強部材16の両端を車両ルーフサイドメンバ81に支持させるための機能を備え、つまり補強部材16の両端にガイドレール66a,66b、取付部材64を介して接合され、補強パネル62からルーフサイドメンバ81へ跨って接合するように取り付けられている。
【0032】
図1〜図3に示すように、2本のガイドレール66a、66bは、その長手方向が車両の前後方向にほぼ平行となるように配置された断面略コの字型の鋼製部材でそれぞれ構成されている。2本のガイドレール66a、66bの下面部には、車両の前後方向に沿ってほぼ等間隔に複数のロック孔68が設けられている。2本のガイドレール66a、66b、及び、これらを車幅方向に連結する2本の連結フレーム70a、70bによって、サンルーフの開口部50とほぼ同じ大きさを有する矩形状の枠体71が構成されている。
【0033】
図1〜図3に示すように、補強部材16の左右の両端部は、2本のガイドレール66a、66bの内側にそれぞれ嵌め込まれている。これにより、補強部材16は、サンルーフの開口部50を車幅方向に架橋するようにしてほぼ水平に支持されるとともに、2本のガイドレール66a、66bの内側に沿って車両の前後方向に移動可能な状態で支持されている。なお、補強部材16の両端部に取り付けられた合成樹脂製のキャップ28は、補強部材16の両端部と2本のガイドレール66a、66bの内側との摩擦を低減させるために、その表面が平滑でかつガイドレール66a、66bの内側に対する接触部位がゆるやかな弧をなすように形成されている(図3参照)。
【0034】
図2〜図4に示すように、補強部材16の下面側には、巻取装置14が取り付けられている。
補強部材16と巻取装置14との間には、補強部材16の車両の前後方向への移動をロックする(規制する)ロック機構(位置固定手段)30が設けられている。
また、補強部材16と巻取装置14との間には、巻取装置14を車室内の天井面において回転させるための回転機構40が設けられている。
【0035】
図5は、ロック機構30の構成を示す断面図であり、ロック機構30によって補強部材16がロックされている状態(ロック状態)を示している。図6は、ロック機構30の構成を示す断面図であり、ロック機構30によって補強部材16がロックされていない状態(ロック解除状態)を示している。
【0036】
図5、図6に示すように、ロック機構30は、棒状部材からなる2本のロックバー31a、31bを備えている。この2本のロックバー31a、31bは、補強部材16に対して水平方向に固定されたピン39によって上下方向に回転可能な状態で軸支されている。
ピン39の軸周りには第1のスプリング34が設けられている。この第1のスプリング34の両端部34a、34bは、2本のロックバー31a、31bにそれぞれ設けられた突設ピン36a、36bに掛けられている。これにより、2本のロックバー31a、31bは、第1のスプリング34のバネ力によって、ピン39を中心として下方側に回動する方向に付勢された状態となっている。
【0037】
図5、図6に示すように、ハウジング26の底面には凹部26aが形成されており、この凹部26a内にロック解除ボタン35及び第2のスプリング37が下方側から挿入されている。ロック解除ボタン35及び第2のスプリング37は、さらに下方側から装着されたロックパネル38によって凹部26a内から脱落しないように押さえつけられている。また、ロック解除ボタン35は、第2のスプリング37によって下方側に向けて付勢された状態となっている。そして、ロック解除ボタン35の先端部と、ロックバー31a、31b間に略T字型のロックアーム33が設けられており、ロックアーム33の左右両端部33a,33bが接続されている。
【0038】
上述のように構成されたロック機構30において、ロック解除ボタン35が上方に向けて押圧されると、ロックアーム33が上方に押し上げられる。そして、このロックアーム33の左右の両端部33a、33bが力点となって、2本のロックバー31a、31bの先端部32a、32bが上方に向けて押し上げられるようになっている(図6参照)。
【0039】
図7は、ロックバー31bの先端部32bの拡大斜視図であり、補強部材16の前後方向への移動がロックされている状態(ロック状態)を示している。図8は、ロックバー31bの先端部32bの拡大斜視図であり、補強部材16の前後方向への移動がロックされていない状態(ロック解除状態)を示している。
【0040】
図7、図8に示すように、ロックバー31bの先端部32bは、下方に向けて略直角に折れ曲がっている。
ロック解除ボタン35が下方から押圧されていないときには、ロックバー31bの先端部32bはガイドレール66bの下面部に設けられたロック孔68に挿入された状態となる(図5、図7参照)。これにより、補強部材16の前後方向への移動がロックされる(ロック状態)。
ロック解除ボタン35が下方から押圧されているときには、ロックバー31bの先端部32bはガイドレール66bの下面部に設けられたロック孔68から抜け出た状態となる(図6、図8参照)。これにより、補強部材16の前後方向への移動が自由となる(ロック解除状態)。
なお、右側のロックバー31bを例にとってロック機構30によるロック動作について説明したが、左側のロックバー31aについてもこれと同様である。
【0041】
図2〜図4、および図15〜図18に示すように、回転機構40は、合成樹脂により形成された上下2つの回転プレート41a、41bにより構成されている。上側の回転プレート41aは、補強部材16の下面部に対してビス止めにより取り付けられている。下側の回転プレート41bは、巻取装置14の上面部(ハウジング26の上面部)に対してビス止めにより取り付けられている。この回転機構40によって、補強部材16の下面側に巻取装置14が回転可能な状態で取り付けられている。
【0042】
具体的には、下側の回転プレート41bは、図15に示すように、上側の回転プレート41aと対向する面(上面)92に、それぞれ180°異なる位置に形成された2つの爪部90,90と、それぞれ90°異なる位置に形成された4つの板バネ(弾性突起片)91とを有している。また、上側の回転プレート41aは、図16に示すように、下側の回転プレート41bと対向する面(下面)99に、下側の回転プレート41bの爪部90を嵌入可能な構成であって、回転方向に沿ってレール状に形成された2つの回転誘導溝部96と、下側の回転プレート41bの板バネ91を嵌入可能な構成であって、それぞれ90°異なる位置に形成された回転規制溝部97とを有している。
【0043】
なお、上側の回転プレート41aは円筒状に構成され、下面99の内側に空洞が形成された構成となっている。また、回転誘導溝部96の端部には爪部90を空洞内に嵌め込むための嵌込開口部95が形成されており、当該嵌込開口部95から嵌入した爪部90は空洞内に入り込むとともに、回転誘導溝96に沿って回転方向に移動可能な構成となっている。
【0044】
そして、図17に示すように、上側の回転プレート41aの回転規制溝部97に板バネ91が嵌入した状態では、回転機構40がロックされ、補強部材16に対する巻取装置14の回転が規制される。
一方、図17の状態から回転力が掛かり(回転方向に力が掛かり)、図18に示すように、上側の回転プレート41aの回転規制溝部97から板バネ91が解放された状態では、回転機構40のロックが解除され、補強部材16に対して巻取装置14を回転することが可能となる。なお、この状態(回転可能状態)では、板バネ91は弾性変形により縮んだ状態で、上側の回転プレート41aの下面99上(図16参照)を摺動することとなる。
【0045】
次に、上述のように構成された車体補強構造200の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る車体補強構造200は、開口部50の左右方向に架橋された補強部材16を備え、当該補強部材16が前後方向にスライド自在に構成されているため、開口部50における補強部材16の前後方向位置を適宜選択できるようになり、ルーフパネル60の剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることが可能とされている。
【0046】
また、補強部材16は、ロック機構30によって開口部50の所定位置で固定することができるため、車両の進行時等に当該補強部材16が不必要にスライドしてしまうことを防止することが可能とされている。
【0047】
また、本実施形態に係る車体補強構造200においては、補強部材16にサンシェード装置10の巻取装置14が取り付けられ、当該巻取装置14が補強部材16に対して回転可能に取り付けられている。したがって、開口部50の左右方向において遮光することもでき、使用性が向上することとなる。つまり、図9及び図10に示すように前後方向に遮光シート12を展開して使用する態様のほか(図9はシート展開前、図10はシート展開後)、図19及び図20に示すように巻取装置14を90°回転させ、左右方向に遮光シート12を展開して使用する態様(図19はシート展開前、図20はシート展開後))をとることが可能とされている。
【0048】
また、本実施形態に係る車体補強構造200においては、図14に示すように、補強部材16の両端には補強ブラケット80が付設されているため、補強部材16が車両ルーフサイドメンバ81側に突き抜ける等の不具合発生を防止することが可能とされている。つまり、補強部材16は開口部50の車両幅方向に延設されてなるものの、例えば車両右方向からの衝撃(図示矢印方向への衝撃)が加わると、左側の車両ルーフサイドにおいて補強部材16からの衝撃を分散・吸収する必要がある。そこで、本実施形態のように補強ブラケット80を補強部材16のスライド方向に沿って延設させることで、当該衝撃を吸収させることができ、ひいては車両ルーフ60の剛性を高めることが可能となる。
【0049】
さらに、補強部材16に取り付けられたサンシェード装置10は、図9に示すように、遮光部材が可撓性のある遮光シート12で構成されており、巻取装置14によって遮光シート12を巻き取ることが可能である。したがって、遮光部材を格納するためのスペースが巻取装置の装着位置のみいわゆる補強部材の範囲内に収まり、必要最低限とすることができ、遮光部材を格納するためのスペースによってサンルーフの開口部50の大きさが制約されることがなくなる。この結果、サンルーフの開口部50をさらに大型化することが可能である。
【0050】
また、図9及び図19に示すように、本実施形態に係るサンシェード装置10は、巻取装置14を車両前後方向あるいは車両左右方向に自由に移動させることが可能である。したがって、サンルーフの開口部50からの視界が巻取装置14によって常に遮られることがなくなる。
【0051】
また、図10に示すように、サンシェード装置10は、第1の巻取ロール22aから遮光シート12を車両前方側へ引き出すことが可能であるとともに、第2の巻取ロール22bから遮光シート12を車両後方側へ引き出すことが可能である。したがって、巻取装置14を車両の前後方向のどの位置に移動させた場合であっても、サンルーフの開口部50の全体を遮光シート12によって覆うことが可能である。
【0052】
一方、図20に示すように、サンシェード装置10は、第1の巻取ロール22aから遮光シート12を車両左側へ引き出すことが可能であるとともに、第2の巻取ロール22bから遮光シート12を車両右側へ引き出すことが可能である。したがって、巻取装置14を補強部材16に対して回転させた後、サンルーフの開口部50の左右のいずれか若しくは双方を選択的に遮光シート12によって覆うことが可能である。
このように、本実施形態に係る車体補強構造200を構成する補強部材16に取り付けられたサンシェード装置10による遮光態様は、多様なバリエーションを含んでなるものである。
【0053】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る車体補強構造201について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図11、図12は、第2実施形態に係る車体補強構造201を車室内から見た図であり、図11は、遮光シート104を引き出す前の状態を示しており、図12は、遮光シート104を引き出した後の状態を示している。また、図13は、車体補強構造201が備えるサンシェード装置100の縦断面図である。さらに、図21は、サンシェード装置100の異なる遮光態様を示す説明図である。
【0054】
図11〜図13に示すように、第2実施形態に係る車体補強構造201は、2つの異なる補強部材102a,102bを備え、各補強部材102a,102bが車両の前後方向にスライド可能に構成されている。この2つの補強部材102a、102bの下面側には、遮光シート104を巻き取ることのできる巻取装置106a、106bが、それぞれ補強部材102a,102bに対して回転可能に取り付けられている(図12、図21参照)。
【0055】
巻取装置106a、106bは、第1及び第2の巻取ロール108a、108bをそれぞれ備えている。図11の状態で、車両前方側に配置された第1の巻取ロール108aは、遮光シート104を車両前方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両後方側に配置された第2の巻取ロール108bは、遮光シート104を車両後方側に引き出すことが可能に構成されている。これら第1及び第2の巻取ロール108a、108bは、合成樹脂製のハウジング110の内部に格納されている。
【0056】
車両前方側の巻取装置106aから車両前方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112aが設けられている。また、車両後方側の巻取装置106bから車両後方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112bが設けられている。そして、図11、図12に示すように、車両のルーフパネル120の下面側には、フック112a、112bを係合させることのできるブラケット114a、114bが取り付けられている。
【0057】
車両前方側の巻取装置106aから車両後方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112cが設けられている。また、車両後方側の巻取装置106bから車両前方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112dが設けられている。そして、図13に示すように、車両前方側の巻取装置106aには、フック112dを係合させることのできるブラケット114cが取り付けられている。車両後方側の巻取装置106bには、フック112cを係合させることのできるブラケット114dが取り付けられている。
【0058】
フック112a〜112dをそれぞれに対応するブラケット114a〜114dに係合させることによって、遮光シート104を巻取装置106a、106bから引き出した状態で保持することができる。一方、フック112a〜112dをそれぞれに対応するブラケット114a〜114dから取り外すことによって、遮光シート104を巻取装置106a、106bによって自動的に巻き取らせることができる。
【0059】
一方、巻取装置106a,106bを補強部材102a,102bに対して回転させた状態(つまり図21の状態)では、各巻取装置106a,106bから遮光シート104を車両の左右方向に展開させることが可能である。そして、図21に示すように車両の左右ルーフパネル120の下面側には、フック112a〜112dを係合させることのできるブラケット210がそれぞれ取り付けられている。
【0060】
第2実施形態に係るサンシェード装置100によれば、2つの巻取装置106a、106bをそれぞれ独立に車両の前後方向に移動させることが可能である。また、2つの巻取装置106a、106bのそれぞれから、遮光シート104を車両の前後方向若しくは左右方向に引き出すことが可能である。したがって、サンシェード装置100の自由な使い方が可能になる。
【0061】
例えば、車室内が3列シートで構成されている場合に、1列目シート及び3列目シートの上方を遮光シート104によって覆うのと同時に、2列目シートの上方を遮光シート104によって覆わない状態にしておく、といった自由な使い方が可能である(つまり、2つの巻取装置106a、106bの間の領域を、遮光シート104によって覆わないで開放しておくことが可能である)。これにより、1列目シート、2列目シート、及び3列目シートの上方に、それぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができる。
【0062】
さらに図21に示すように、補強部材102a,102bに対して巻取装置106a,106bを回転させて、遮光シート104を車両の左右方向に展開できる構成とすることもできる。この場合、シートの前後左右にそれぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができ、各遮光シート104により、車室内を4分割した構成で、該分割された車室内を別個に遮光することが可能となる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、車体補強構造を構成する補強部材が1つあるいは2つである例を示したが、補強部材が3つ以上であってもよい。
(2)上記実施形態では、車体補強構造に取り付けられた巻取装置が1つあるいは2つである例を示したが、巻取装置が3つ以上であってもよい。
(3)上記実施形態では、1つの巻取装置に対して巻取ロールが2つ設けられている例を示したが、1つの巻取装置に対して巻取ロールが1つあるいは巻取装置の車幅方向中央を基準として左右に分割するなどして3つ以上設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態に係る車体補強構造の斜視図である。
【図2】図1に示す車体補強構造のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す車体補強構造のB−B線断面図である。
【図4】図1に示す車体補強構造の分解斜視図である。
【図5】ロック機構の断面図であり、ロック機構によって補強部材がロックされている状態を示している。
【図6】ロック機構の断面図であり、ロック機構によって補強部材がロックされていない状態を示している。
【図7】ロックバーの先端部の拡大斜視図であり、補強部材の前後方向への移動がロックされている状態を示している。
【図8】ロックバーの先端部の拡大斜視図であり、補強部材の前後方向への移動がロックされていない状態を示している。
【図9】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出す前の状態を示している。
【図10】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図11】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出す前の状態を示している。
【図12】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図13】第2実施形態に係る車体補強構造の縦断面図である。
【図14】車体補強構造の作用効果を示す説明図であり、車体補強構造を車室内から見た図を示している。
【図15】回転機構を構成する下側の回転プレートの構成を示す斜視図である。
【図16】回転機構を構成する上側の回転プレートの構成を示す斜視図である。
【図17】回転ロック状態の回転機構を示す断面図。
【図18】回転ロック解除状態の回転機構を示す断面図。
【図19】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態を示している。
【図20】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態で且つ遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図21】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態で且つ遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【符号の説明】
【0065】
200…車体補強構造
300…車両
10、100…サンシェード装置
12、104…遮光シート
14、106a、106b…巻取装置
16、102a、102b…補強部材
22a、108a…第1の巻取ロール
22b、108b…第2の巻取ロール
30…ロック機構(位置固定手段)
40…回転機構
50…開口部
60…ルーフパネル
80…補強ブラケット
81…ルーフサイドメンバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンルーフ用の開口部を備えた車体を補強するための車体補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の上部車体構造として、特許文献1に記載のものが知られている。
特許文献1に記載の上部車体構造では、ルーフパネルの中央に形成した車体前後方向に長い開口の周縁にガラスサンルーフを固定して、解放感を高めている。そして、ルーフの剛性を高めるために、開口を跨いで車体左右方向に中間ガイドフレームが設けられている。
【特許文献1】特開2006−151084公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1に開示された構造では、ルーフパネルを開口することにより解放感を高めようとしているものの、中間ガイドフレームが同位置に存在するため、車室内における乗員の位置によって解放感が規制される。
【0004】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることができる車体補強構造を提供することである。また、そのような補強構造に付随して、サンルーフの開口部の大きさを制約することがなく、特に大型の開口部が形成されたルーフの剛性低下を抑制することが可能な車体補強構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
第1発明は、車両のルーフパネルに開口された開口部と、前記開口部において、当該開口部の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネルを補強する補強部材とを備え、前記補強部材は、前記開口部において、前記車両の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0006】
第1発明によれば、ルーフの開口部における補強部材の前後方向位置を適宜選択できるため、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることが可能となる。
【0007】
第2発明は、上記第1発明の車体補強構造であって、前記スライド可能な補強部材を、前記開口部の所定位置で固定する位置固定手段を備えることを特徴とする、車体補強構造である。
【0008】
第2発明によれば、補強部材を所定位置に固定することができるため、車両の進行時等に当該補強部材が不必要にスライドしてしまうことを防止することが可能となる。
【0009】
第3発明は、上記第1発明又は第2発明の車体補強構造であって、前記補強部材には、前記開口部を覆う遮光シートと、前記遮光シートを巻き取ることのできる巻取装置とを備えるサンシェード装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0010】
第3発明によれば、遮光部材がシートで構成されており、巻取装置によって遮光シートを巻き取ることが可能である。したがって、遮光部材を格納するためのスペースが巻取装置の装着位置のみいわゆる補強部材の範囲内に収まり、必要最低限とすることができ、遮光部材を格納するためのスペースによってサンルーフの開口部の大きさが制約されることがなくなる。
【0011】
第4発明は、上記第3発明の車体補強構造であって、前記巻取装置は、第1及び第2の巻取ロールを備えており、前記第1の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両前方側に引き出すことが可能であり、前記第2の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両後方側に引き出すことが可能であることを特徴とする、車体補強構造である。
【0012】
第4発明によれば、巻取装置を車両の前後方向のどの位置に移動させた場合であっても、サンルーフの開口部の全領域を遮光シートによって覆うことが可能である。
【0013】
第5発明は、上記第3発明又は第4発明の車体補強構造であって、前記補強部材を複数備えており、前記複数の補強部材のそれぞれに前記巻取装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0014】
第5発明によれば、複数の補強部材(つまり巻取装置)をそれぞれ独立に移動させることが可能であり、サンシェード装置の自由な使い方が可能になる。例えば、車室内が3列シートで構成されている場合に、1列目シート及び3列目シートの上方を遮光シートによって覆うのと同時に、2列目シートの上方を遮光シートによって覆わない状態にしておく、といった自由な使い方が可能である。これにより、1列目シート、2列目シート、及び3列目シートの上方に、それぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができる。
【0015】
第6発明は、上記第3発明ないし第5発明のいずれかの車体補強構造であって、前記巻取装置は、前記補強部材に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造である。
【0016】
第6発明によれば、巻取装置が補強部材に対して回転可能に取り付けられているために、車両ルーフの開口部の左右方向において遮光でき、使用性が向上することとなる。
【0017】
第7発明は、上記第1発明ないし第6発明のいずれかの車体補強構造であって、前記補強部材のスライド方向に沿って延設され、当該補強部材の両端を車両ルーフサイドメンバに支持させるための補強ブラケットを有することを特徴とする、車体補強構造である。
【0018】
第7発明によれば、補強部材が車両ルーフサイドメンバ側に突き抜ける等の不具合発生を防止することが可能となる。つまり、補強部材は開口部の車両幅方向に延設されてなるものの、例えば車両左方向からの衝撃が加わると、右側の車両ルーフサイドにおいて補強部材からの衝撃を分散・吸収する必要がある。そこで、上述のように補強ブラケットを補強部材のスライド方向に沿って延設させることで、当該衝撃を吸収させることができ、ひいては車両ルーフの剛性を高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ルーフの剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることができる車体補強構造を提供することが可能となる。また、そのような補強構造に付随して、サンルーフの開口部の大きさを制約することがなく、特に大型の開口部が形成されたルーフの剛性低下を抑制することが可能な車体補強構造を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1実施形態に係る車体補強構造200を備えた車体上部構造(車両の一部)300の斜視図である。図2は、図1に示す車体補強構造200のA−A線断面図である。図3は、図1に示す車体補強構造200のB−B線断面図である。図4は、図1に示す車体補強構造200の分解斜視図である。以下では、図1の左上側を車両前方側とし、図1の右下側を車両後方側として説明する。また、図3の左側を車両前方側とし、図3の右側を車両後方側として説明する。
【0021】
図1〜図3に示すように、車両のルーフパネル60には開口部50が設けられており、この開口部50の内側にガラス52がはめ込まれている。これにより、車室天井部から日光を取り入れたり、車室内から上空の景色を眺めたりすることのできるサンルーフが構成されている。本実施形態に係る車体補強構造200は、このようなサンルーフを構成する開口部50が形成されたルーフパネル60の強度(剛性)を確保するものであり、開口部50が形成された影響により、ルーフパネル60の強度(剛性)が低下することを防止ないし抑制するために設置されるものである。
【0022】
車体補強構造200は、開口部50の車両幅方向(車両左右方向)に延設された補強部材16を備えている。補強部材16は、金属製の板が複数回折り曲げられて形成された部材であり(図4参照)、当該補強部材16により開口部50を備えたルーフパネル60が車両幅方向(車両左右方向)に補強されている。なお、図4に示すように、この補強部材16の左右の両端部には、合成樹脂製のキャップ28が取り付けられている。また、補強部材16は、開口部50に対してスライド可能に取り付けられ、具体的には、開口部50の側部に形成されたガイドレール66a,66bに沿ってスライドする。スライド機構については後述する。
【0023】
また、車体補強構造200を構成する補強部材16には、サンシェード装置10が具備されている。サンシェード装置10は、サンルーフの開口部50の下側を覆うための遮光シート12と、この遮光シート12を巻き取ることのできる巻取装置14とを備えている。本実施形態では、巻取装置14が、車両の前後方向に移動可能な補強部材16の下面側に取り付けられており、これにより、補強部材16のスライドに伴って巻取装置14は車両の前後方向に移動させることが可能となっている。
【0024】
遮光シート12は、可撓性を有するシート状の部材で構成されている。このシート状の部材としては、例えば、合成樹脂材料からなるシート材(例えばポリ塩化ビニルシートやポリプロピレンシート)、メッシュシート、織布、不織布等を用いることができる。
【0025】
巻取装置14は、第1及び第2の巻取ロール22a、22bを備えている。また、巻取装置14は補強部材16に対して回転可能に取り付けられており(図19参照)、図1の状態、つまり巻取ロール22a,22bが前後方向に展開可能な状態では、車両前方側に配置された第1の巻取ロール22aは、遮光シート12を車両前方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両後方側に配置された第2の巻取ロール22bは、遮光シート12を車両後方側に引き出すことが可能に構成されている。
【0026】
一方、図19において下方向を車両前方側として見た状態、つまり巻取ロール22a,22bが左右方向に展開可能な状態では、車両右方側に配置された第1の巻取ロール22aは、遮光シート12を車両右方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両左方側に配置された第2の巻取ロール22bは、遮光シート12を車両左方側に引き出すことが可能に構成されている。
【0027】
これら第1及び第2の巻取ロール22a、22bは、合成樹脂製のハウジング26の内部に格納されている。また、第1及び第2の巻取ロール22a、22bの端部には、当該第1及び第2の巻取ロール22a、22bを回転させることで遮光シート12を自動的に巻き取るための巻取バネ24がそれぞれ装着されている。第1及び第2の巻取ロール22a、22bの端部に巻取バネ24を装着するためには、例えば特開昭61−155020号公報に開示されているような公知の巻取装置と同様の構造を用いることができる。
【0028】
また、図1、図3に示すように、遮光シート12の引き出し側の端部には、合成樹脂製のフック18が設けられている。車両のルーフパネル60の下面側には、このフック18を係合させることのできるブラケット20或いは、後述する回転機構40により回転された際に係合させることができるブラケット21が取り付けられている。フック18をブラケット20或いはブラケット21に係合させることによって、遮光シート12を巻取装置14から引き出した状態で保持することができる。一方、フック18をブラケット20或いはブラケット21から取り外すことによって、遮光シート12を巻取装置14によって自動的に巻き取らせることができる。
【0029】
一方、図2、図3に示すように、車両のルーフパネル60の下面側にはルーフライニング61が装着されている。このルーフライニング61には、フック18をブラケット20或いはブラケット21に係合させるときに当該フック18を貫通させることのできる貫通孔63、69が設けられている。
【0030】
また、図2、図3に示すように、車両のルーフパネル60の下面部には、断面略コの字型の補強パネル62が設けられている。この補強パネル62の下面部には、断面略L字型の鋼製部材からなる取付部材64が接合されている。この取付部材64によって、補強部材16を車両の前後方向にガイドするための2本のガイドレール66a、66bが取り付けられている。
【0031】
さらに、補強部材16のスライド方向に沿って補強ブラケット80が延設されている。補強ブラケット80は、補強部材16の両端を車両ルーフサイドメンバ81に支持させるための機能を備え、つまり補強部材16の両端にガイドレール66a,66b、取付部材64を介して接合され、補強パネル62からルーフサイドメンバ81へ跨って接合するように取り付けられている。
【0032】
図1〜図3に示すように、2本のガイドレール66a、66bは、その長手方向が車両の前後方向にほぼ平行となるように配置された断面略コの字型の鋼製部材でそれぞれ構成されている。2本のガイドレール66a、66bの下面部には、車両の前後方向に沿ってほぼ等間隔に複数のロック孔68が設けられている。2本のガイドレール66a、66b、及び、これらを車幅方向に連結する2本の連結フレーム70a、70bによって、サンルーフの開口部50とほぼ同じ大きさを有する矩形状の枠体71が構成されている。
【0033】
図1〜図3に示すように、補強部材16の左右の両端部は、2本のガイドレール66a、66bの内側にそれぞれ嵌め込まれている。これにより、補強部材16は、サンルーフの開口部50を車幅方向に架橋するようにしてほぼ水平に支持されるとともに、2本のガイドレール66a、66bの内側に沿って車両の前後方向に移動可能な状態で支持されている。なお、補強部材16の両端部に取り付けられた合成樹脂製のキャップ28は、補強部材16の両端部と2本のガイドレール66a、66bの内側との摩擦を低減させるために、その表面が平滑でかつガイドレール66a、66bの内側に対する接触部位がゆるやかな弧をなすように形成されている(図3参照)。
【0034】
図2〜図4に示すように、補強部材16の下面側には、巻取装置14が取り付けられている。
補強部材16と巻取装置14との間には、補強部材16の車両の前後方向への移動をロックする(規制する)ロック機構(位置固定手段)30が設けられている。
また、補強部材16と巻取装置14との間には、巻取装置14を車室内の天井面において回転させるための回転機構40が設けられている。
【0035】
図5は、ロック機構30の構成を示す断面図であり、ロック機構30によって補強部材16がロックされている状態(ロック状態)を示している。図6は、ロック機構30の構成を示す断面図であり、ロック機構30によって補強部材16がロックされていない状態(ロック解除状態)を示している。
【0036】
図5、図6に示すように、ロック機構30は、棒状部材からなる2本のロックバー31a、31bを備えている。この2本のロックバー31a、31bは、補強部材16に対して水平方向に固定されたピン39によって上下方向に回転可能な状態で軸支されている。
ピン39の軸周りには第1のスプリング34が設けられている。この第1のスプリング34の両端部34a、34bは、2本のロックバー31a、31bにそれぞれ設けられた突設ピン36a、36bに掛けられている。これにより、2本のロックバー31a、31bは、第1のスプリング34のバネ力によって、ピン39を中心として下方側に回動する方向に付勢された状態となっている。
【0037】
図5、図6に示すように、ハウジング26の底面には凹部26aが形成されており、この凹部26a内にロック解除ボタン35及び第2のスプリング37が下方側から挿入されている。ロック解除ボタン35及び第2のスプリング37は、さらに下方側から装着されたロックパネル38によって凹部26a内から脱落しないように押さえつけられている。また、ロック解除ボタン35は、第2のスプリング37によって下方側に向けて付勢された状態となっている。そして、ロック解除ボタン35の先端部と、ロックバー31a、31b間に略T字型のロックアーム33が設けられており、ロックアーム33の左右両端部33a,33bが接続されている。
【0038】
上述のように構成されたロック機構30において、ロック解除ボタン35が上方に向けて押圧されると、ロックアーム33が上方に押し上げられる。そして、このロックアーム33の左右の両端部33a、33bが力点となって、2本のロックバー31a、31bの先端部32a、32bが上方に向けて押し上げられるようになっている(図6参照)。
【0039】
図7は、ロックバー31bの先端部32bの拡大斜視図であり、補強部材16の前後方向への移動がロックされている状態(ロック状態)を示している。図8は、ロックバー31bの先端部32bの拡大斜視図であり、補強部材16の前後方向への移動がロックされていない状態(ロック解除状態)を示している。
【0040】
図7、図8に示すように、ロックバー31bの先端部32bは、下方に向けて略直角に折れ曲がっている。
ロック解除ボタン35が下方から押圧されていないときには、ロックバー31bの先端部32bはガイドレール66bの下面部に設けられたロック孔68に挿入された状態となる(図5、図7参照)。これにより、補強部材16の前後方向への移動がロックされる(ロック状態)。
ロック解除ボタン35が下方から押圧されているときには、ロックバー31bの先端部32bはガイドレール66bの下面部に設けられたロック孔68から抜け出た状態となる(図6、図8参照)。これにより、補強部材16の前後方向への移動が自由となる(ロック解除状態)。
なお、右側のロックバー31bを例にとってロック機構30によるロック動作について説明したが、左側のロックバー31aについてもこれと同様である。
【0041】
図2〜図4、および図15〜図18に示すように、回転機構40は、合成樹脂により形成された上下2つの回転プレート41a、41bにより構成されている。上側の回転プレート41aは、補強部材16の下面部に対してビス止めにより取り付けられている。下側の回転プレート41bは、巻取装置14の上面部(ハウジング26の上面部)に対してビス止めにより取り付けられている。この回転機構40によって、補強部材16の下面側に巻取装置14が回転可能な状態で取り付けられている。
【0042】
具体的には、下側の回転プレート41bは、図15に示すように、上側の回転プレート41aと対向する面(上面)92に、それぞれ180°異なる位置に形成された2つの爪部90,90と、それぞれ90°異なる位置に形成された4つの板バネ(弾性突起片)91とを有している。また、上側の回転プレート41aは、図16に示すように、下側の回転プレート41bと対向する面(下面)99に、下側の回転プレート41bの爪部90を嵌入可能な構成であって、回転方向に沿ってレール状に形成された2つの回転誘導溝部96と、下側の回転プレート41bの板バネ91を嵌入可能な構成であって、それぞれ90°異なる位置に形成された回転規制溝部97とを有している。
【0043】
なお、上側の回転プレート41aは円筒状に構成され、下面99の内側に空洞が形成された構成となっている。また、回転誘導溝部96の端部には爪部90を空洞内に嵌め込むための嵌込開口部95が形成されており、当該嵌込開口部95から嵌入した爪部90は空洞内に入り込むとともに、回転誘導溝96に沿って回転方向に移動可能な構成となっている。
【0044】
そして、図17に示すように、上側の回転プレート41aの回転規制溝部97に板バネ91が嵌入した状態では、回転機構40がロックされ、補強部材16に対する巻取装置14の回転が規制される。
一方、図17の状態から回転力が掛かり(回転方向に力が掛かり)、図18に示すように、上側の回転プレート41aの回転規制溝部97から板バネ91が解放された状態では、回転機構40のロックが解除され、補強部材16に対して巻取装置14を回転することが可能となる。なお、この状態(回転可能状態)では、板バネ91は弾性変形により縮んだ状態で、上側の回転プレート41aの下面99上(図16参照)を摺動することとなる。
【0045】
次に、上述のように構成された車体補強構造200の作用・効果について説明する。
本実施形態に係る車体補強構造200は、開口部50の左右方向に架橋された補強部材16を備え、当該補強部材16が前後方向にスライド自在に構成されているため、開口部50における補強部材16の前後方向位置を適宜選択できるようになり、ルーフパネル60の剛性を確保しつつ、車室内の乗員に対して解放感を与えることが可能とされている。
【0046】
また、補強部材16は、ロック機構30によって開口部50の所定位置で固定することができるため、車両の進行時等に当該補強部材16が不必要にスライドしてしまうことを防止することが可能とされている。
【0047】
また、本実施形態に係る車体補強構造200においては、補強部材16にサンシェード装置10の巻取装置14が取り付けられ、当該巻取装置14が補強部材16に対して回転可能に取り付けられている。したがって、開口部50の左右方向において遮光することもでき、使用性が向上することとなる。つまり、図9及び図10に示すように前後方向に遮光シート12を展開して使用する態様のほか(図9はシート展開前、図10はシート展開後)、図19及び図20に示すように巻取装置14を90°回転させ、左右方向に遮光シート12を展開して使用する態様(図19はシート展開前、図20はシート展開後))をとることが可能とされている。
【0048】
また、本実施形態に係る車体補強構造200においては、図14に示すように、補強部材16の両端には補強ブラケット80が付設されているため、補強部材16が車両ルーフサイドメンバ81側に突き抜ける等の不具合発生を防止することが可能とされている。つまり、補強部材16は開口部50の車両幅方向に延設されてなるものの、例えば車両右方向からの衝撃(図示矢印方向への衝撃)が加わると、左側の車両ルーフサイドにおいて補強部材16からの衝撃を分散・吸収する必要がある。そこで、本実施形態のように補強ブラケット80を補強部材16のスライド方向に沿って延設させることで、当該衝撃を吸収させることができ、ひいては車両ルーフ60の剛性を高めることが可能となる。
【0049】
さらに、補強部材16に取り付けられたサンシェード装置10は、図9に示すように、遮光部材が可撓性のある遮光シート12で構成されており、巻取装置14によって遮光シート12を巻き取ることが可能である。したがって、遮光部材を格納するためのスペースが巻取装置の装着位置のみいわゆる補強部材の範囲内に収まり、必要最低限とすることができ、遮光部材を格納するためのスペースによってサンルーフの開口部50の大きさが制約されることがなくなる。この結果、サンルーフの開口部50をさらに大型化することが可能である。
【0050】
また、図9及び図19に示すように、本実施形態に係るサンシェード装置10は、巻取装置14を車両前後方向あるいは車両左右方向に自由に移動させることが可能である。したがって、サンルーフの開口部50からの視界が巻取装置14によって常に遮られることがなくなる。
【0051】
また、図10に示すように、サンシェード装置10は、第1の巻取ロール22aから遮光シート12を車両前方側へ引き出すことが可能であるとともに、第2の巻取ロール22bから遮光シート12を車両後方側へ引き出すことが可能である。したがって、巻取装置14を車両の前後方向のどの位置に移動させた場合であっても、サンルーフの開口部50の全体を遮光シート12によって覆うことが可能である。
【0052】
一方、図20に示すように、サンシェード装置10は、第1の巻取ロール22aから遮光シート12を車両左側へ引き出すことが可能であるとともに、第2の巻取ロール22bから遮光シート12を車両右側へ引き出すことが可能である。したがって、巻取装置14を補強部材16に対して回転させた後、サンルーフの開口部50の左右のいずれか若しくは双方を選択的に遮光シート12によって覆うことが可能である。
このように、本実施形態に係る車体補強構造200を構成する補強部材16に取り付けられたサンシェード装置10による遮光態様は、多様なバリエーションを含んでなるものである。
【0053】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る車体補強構造201について説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については説明を省略する。
図11、図12は、第2実施形態に係る車体補強構造201を車室内から見た図であり、図11は、遮光シート104を引き出す前の状態を示しており、図12は、遮光シート104を引き出した後の状態を示している。また、図13は、車体補強構造201が備えるサンシェード装置100の縦断面図である。さらに、図21は、サンシェード装置100の異なる遮光態様を示す説明図である。
【0054】
図11〜図13に示すように、第2実施形態に係る車体補強構造201は、2つの異なる補強部材102a,102bを備え、各補強部材102a,102bが車両の前後方向にスライド可能に構成されている。この2つの補強部材102a、102bの下面側には、遮光シート104を巻き取ることのできる巻取装置106a、106bが、それぞれ補強部材102a,102bに対して回転可能に取り付けられている(図12、図21参照)。
【0055】
巻取装置106a、106bは、第1及び第2の巻取ロール108a、108bをそれぞれ備えている。図11の状態で、車両前方側に配置された第1の巻取ロール108aは、遮光シート104を車両前方側に引き出すことが可能に構成されている。一方、車両後方側に配置された第2の巻取ロール108bは、遮光シート104を車両後方側に引き出すことが可能に構成されている。これら第1及び第2の巻取ロール108a、108bは、合成樹脂製のハウジング110の内部に格納されている。
【0056】
車両前方側の巻取装置106aから車両前方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112aが設けられている。また、車両後方側の巻取装置106bから車両後方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112bが設けられている。そして、図11、図12に示すように、車両のルーフパネル120の下面側には、フック112a、112bを係合させることのできるブラケット114a、114bが取り付けられている。
【0057】
車両前方側の巻取装置106aから車両後方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112cが設けられている。また、車両後方側の巻取装置106bから車両前方側に引き出される遮光シート104の端部には、合成樹脂製のフック112dが設けられている。そして、図13に示すように、車両前方側の巻取装置106aには、フック112dを係合させることのできるブラケット114cが取り付けられている。車両後方側の巻取装置106bには、フック112cを係合させることのできるブラケット114dが取り付けられている。
【0058】
フック112a〜112dをそれぞれに対応するブラケット114a〜114dに係合させることによって、遮光シート104を巻取装置106a、106bから引き出した状態で保持することができる。一方、フック112a〜112dをそれぞれに対応するブラケット114a〜114dから取り外すことによって、遮光シート104を巻取装置106a、106bによって自動的に巻き取らせることができる。
【0059】
一方、巻取装置106a,106bを補強部材102a,102bに対して回転させた状態(つまり図21の状態)では、各巻取装置106a,106bから遮光シート104を車両の左右方向に展開させることが可能である。そして、図21に示すように車両の左右ルーフパネル120の下面側には、フック112a〜112dを係合させることのできるブラケット210がそれぞれ取り付けられている。
【0060】
第2実施形態に係るサンシェード装置100によれば、2つの巻取装置106a、106bをそれぞれ独立に車両の前後方向に移動させることが可能である。また、2つの巻取装置106a、106bのそれぞれから、遮光シート104を車両の前後方向若しくは左右方向に引き出すことが可能である。したがって、サンシェード装置100の自由な使い方が可能になる。
【0061】
例えば、車室内が3列シートで構成されている場合に、1列目シート及び3列目シートの上方を遮光シート104によって覆うのと同時に、2列目シートの上方を遮光シート104によって覆わない状態にしておく、といった自由な使い方が可能である(つまり、2つの巻取装置106a、106bの間の領域を、遮光シート104によって覆わないで開放しておくことが可能である)。これにより、1列目シート、2列目シート、及び3列目シートの上方に、それぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができる。
【0062】
さらに図21に示すように、補強部材102a,102bに対して巻取装置106a,106bを回転させて、遮光シート104を車両の左右方向に展開できる構成とすることもできる。この場合、シートの前後左右にそれぞれ専用のサンシェード装置を設置したのと同様の効果を得ることができ、各遮光シート104により、車室内を4分割した構成で、該分割された車室内を別個に遮光することが可能となる。
【0063】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、車体補強構造を構成する補強部材が1つあるいは2つである例を示したが、補強部材が3つ以上であってもよい。
(2)上記実施形態では、車体補強構造に取り付けられた巻取装置が1つあるいは2つである例を示したが、巻取装置が3つ以上であってもよい。
(3)上記実施形態では、1つの巻取装置に対して巻取ロールが2つ設けられている例を示したが、1つの巻取装置に対して巻取ロールが1つあるいは巻取装置の車幅方向中央を基準として左右に分割するなどして3つ以上設けられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1実施形態に係る車体補強構造の斜視図である。
【図2】図1に示す車体補強構造のA−A線断面図である。
【図3】図1に示す車体補強構造のB−B線断面図である。
【図4】図1に示す車体補強構造の分解斜視図である。
【図5】ロック機構の断面図であり、ロック機構によって補強部材がロックされている状態を示している。
【図6】ロック機構の断面図であり、ロック機構によって補強部材がロックされていない状態を示している。
【図7】ロックバーの先端部の拡大斜視図であり、補強部材の前後方向への移動がロックされている状態を示している。
【図8】ロックバーの先端部の拡大斜視図であり、補強部材の前後方向への移動がロックされていない状態を示している。
【図9】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出す前の状態を示している。
【図10】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図11】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出す前の状態を示している。
【図12】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図13】第2実施形態に係る車体補強構造の縦断面図である。
【図14】車体補強構造の作用効果を示す説明図であり、車体補強構造を車室内から見た図を示している。
【図15】回転機構を構成する下側の回転プレートの構成を示す斜視図である。
【図16】回転機構を構成する上側の回転プレートの構成を示す斜視図である。
【図17】回転ロック状態の回転機構を示す断面図。
【図18】回転ロック解除状態の回転機構を示す断面図。
【図19】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態を示している。
【図20】第1実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態で且つ遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【図21】第2実施形態に係る車体補強構造を車室内から見た図であり、巻取装置を補強部材に対して回転させた状態で且つ遮光シートを引き出した後の状態を示している。
【符号の説明】
【0065】
200…車体補強構造
300…車両
10、100…サンシェード装置
12、104…遮光シート
14、106a、106b…巻取装置
16、102a、102b…補強部材
22a、108a…第1の巻取ロール
22b、108b…第2の巻取ロール
30…ロック機構(位置固定手段)
40…回転機構
50…開口部
60…ルーフパネル
80…補強ブラケット
81…ルーフサイドメンバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のルーフパネルに開口された開口部と、
前記開口部において、当該開口部の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネルを補強する補強部材とを備え、
前記補強部材は、前記開口部において、前記車両の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体補強構造であって、
前記スライド可能な補強部材を、前記開口部の所定位置で固定する位置固定手段を備えることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材には、前記開口部を覆う遮光シートと、前記遮光シートを巻き取ることのできる巻取装置とを備えるサンシェード装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車体補強構造であって、
前記巻取装置は、第1及び第2の巻取ロールを備えており、
前記第1の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両前方側に引き出すことが可能であり、
前記第2の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両後方側に引き出すことが可能であることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材を複数備えており、
前記複数の補強部材のそれぞれに前記巻取装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の車体補強構造であって、
前記巻取装置は、前記補強部材に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材のスライド方向に沿って延設され、当該補強部材の両端を車両ルーフサイドメンバに支持させるための補強ブラケットを有することを特徴とする、車体補強構造。
【請求項1】
車両のルーフパネルに開口された開口部と、
前記開口部において、当該開口部の車両幅方向に延設され、前記ルーフパネルを補強する補強部材とを備え、
前記補強部材は、前記開口部において、前記車両の前後方向にスライド可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項2】
請求項1に記載の車体補強構造であって、
前記スライド可能な補強部材を、前記開口部の所定位置で固定する位置固定手段を備えることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材には、前記開口部を覆う遮光シートと、前記遮光シートを巻き取ることのできる巻取装置とを備えるサンシェード装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項4】
請求項3に記載の車体補強構造であって、
前記巻取装置は、第1及び第2の巻取ロールを備えており、
前記第1の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両前方側に引き出すことが可能であり、
前記第2の巻取ロールからは、前記遮光シートを車両後方側に引き出すことが可能であることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材を複数備えており、
前記複数の補強部材のそれぞれに前記巻取装置が取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか1項に記載の車体補強構造であって、
前記巻取装置は、前記補強部材に対して回転可能に取り付けられていることを特徴とする、車体補強構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車体補強構造であって、
前記補強部材のスライド方向に沿って延設され、当該補強部材の両端を車両ルーフサイドメンバに支持させるための補強ブラケットを有することを特徴とする、車体補強構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2008−279801(P2008−279801A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−123516(P2007−123516)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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