車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置
【課題】複数の車両環境に基づいて運転手の気分を反映した選曲を行なえるようにする「車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置」を提供する。
【解決手段】車両の複数の環境状態のそれぞれにおいて運転手の気分を示す形容詞の度合を第1登録データとして形容詞毎に登録し、又、各形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録する。車両の実際の環境を識別し、各形容詞について該実際の環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値の合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とする。また、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とする。ついで、楽曲ジャンル毎に値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する。
【解決手段】車両の複数の環境状態のそれぞれにおいて運転手の気分を示す形容詞の度合を第1登録データとして形容詞毎に登録し、又、各形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録する。車両の実際の環境を識別し、各形容詞について該実際の環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値の合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とする。また、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とする。ついで、楽曲ジャンル毎に値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置に係り、特に、車両周囲の実際の環境、例えば走行環境に応じてユーザが聞きたいであろう楽曲のジャンルを推定し、該ジャンルより選曲して再生する車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車載機はナビゲーション機能を備え、目的地までの経路を探索し、該経路を車両周辺の地図上に表示してユーザを目的地まで誘導する。又、車載機はオーディオ機能を備え、AM/FMラジオ放送を受信し、あるいはCDを再生し,あるいは、ハードディスク等の記録媒体に記録された曲を再生するようになっている。ハードディスク等に記録されている所望の曲を再生するには、該楽曲を選択する操作が必要になる。しかし、ハードディスク等の記録媒体には大量の楽曲を記録することができるため、選曲操作が煩雑になる。
このため、走行環境(渋滞路、高速道路、特定地やエリア、天候など)に応じて自動的にユーザが聞きたい曲を推定して再生する方法が提案されている(特許文献1)。例えば、高速道路ではアップテンポの曲、渋滞路では落ち着くクラシック、海が見える場所では特定の歌手の曲等といった楽曲の選択を車両環境に応じて自動的に行なう。
又、2次元座標値である印象値(X,Y)と楽曲との対応づけをしておき、車両位置(高速道路、サービスエリア、インタチェンジ、普通道路、公園、海辺、飛行場など)に応じた印象値を求め、該印象値に近い楽曲を選択して再生する方法が提案されている(特許文献2)。
これら従来の選曲方法は車両の走行環境あるいは車両位置に基づいて再生曲を決定するものであるが、ユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なっていない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−150176号公報
【特許文献2】特開2004−86189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上から、本発明の目的は、複数の車両環境に基づいて自動的に運転手の気分を推定し、該運転手の気分を反映した選曲を行なえるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置である。
・選曲方法
本発明の車載オーディオ装置における選曲方法は、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を第1登録データとして登録し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録するステップ、センサー信号、地図情報等を用いて車両の実際の前記複数の環境を判別するステップ、所定の形容詞について、前記第1登録データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とするステップ、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求めるステップ、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲するステップ、を有している。
前記複数の車両環境状態は、カーブの有無、勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、遮蔽物の有無である。
【0006】
・選曲装置
本発明の車載オーディオ装置における選曲装置は、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を記憶する第1記憶部、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを記憶する第2記憶部、車両前方の風景を撮影するカメラ、車両の走行状態を検出するセンサー、前記カメラの撮影画像、地図情報およびセンサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境状態を判別する環境判別部、所定の形容詞について、前記第1記憶部の記憶データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する選曲部、を有している。
前記選曲方法及び選曲装置において、前記合計値を合計する際、各楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なして合計値を計算することができる。また、ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転手の気分を表現する複数の形容詞を用意し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを登録し、複数の車両環境を考慮して所定の形容詞の気分の度合を算出し、該度合を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、形容詞毎に該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値が最大のジャンルより再生する曲を選曲するようにしたから、自動的にユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なうことができる。
又、本発明によれば、複数の車両環境のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を登録し、センサー信号や地図情報等を用いて実際の前記複数の車両環境を判別し、所定の形容詞について、前記登録データを用いて実際の各環境に応じた前記値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分の度合としたから、正確に各形容詞の気分の度合を決定でき、ユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の車載オーディオ装置の構成図である。
【図2】車両環境別/形容詞得点対応テーブルの説明図である。
【図3】形容詞−音楽ジャンル対応テーブルの説明図である。
【図4】ハードディスクの楽曲記録例である。
【図5】本発明の選曲処理フローである。
【図6】車両の実際の環境状態における各形容詞の気分の度合説明図である。
【図7】現在の車両環境における各形容詞の気分に応じて聴きたいジャンルの得点説明図である。
【図8】各形容詞の気分及び該各形容詞と反対の意味を有する形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点説明図である。
【図9】各ジャンルの聴きたい度合の得点説明図である。
【図10】正規化説明図である。
【図11】実施例2の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【図12】実施例3の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【図13】実施例4の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の車載オーディオ装置の構成図であり、ハードディスクその他の記録媒体に記録されている楽曲を選曲して再生する場合であり、AM/FMチューナ、CDプレーヤなどのオーディオソースの図示は省略している。
選曲部11は、選曲処理部21と、車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを記憶する第1の記憶部22と、形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを記憶する第2の記憶部23を備えている。選曲処理部21は、後で詳細に説明するように、複数の現車両環境を考慮して運転手の気分を表現する複数の形容詞のそれぞれの度合を計算し、各形容詞の気分の度合に基づいて、再生する曲のジャンルを決定し、該ジャンルの曲を再生するように制御する。
車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCは、図2に示すように、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、複数の車両環境状態のそれぞれにおける各形容詞の気分の度合を示すスコア(得点)を、統計的手法により取得して登録するものである。この車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCは、統計的手法である多変量解析手法を用いて作成されており、ユーザ共通に使用される。なお、多変量解析手法としては、例えば数量化理論I類(菅民郎著「らくらく図解、アンケート分析教室」ページ116−128参照)がある。
【0010】
本実施例ではユーザの運転時の気分を表現する形容詞として以下の8個の形容詞対が用意されているが本発明はかかる形容詞対に限定されるものではなく、他の形容詞対を適宜採用することができる。8個の形容詞対1〜8において、
形容詞対1は「リラックスできる−できない」、
形容詞対2は「閉鎖的な−開放的な」、
形容詞対3は「ゆううつな−爽快な」、
形容詞対4は「現実的な−幻想的な」、
形容詞対5は「退屈な−わくわくする」、
形容詞対6は「危険な−安全な」、
形容詞対7は「寂しい−にぎやかな」、
形容詞対8は「騒々しい−穏やかな」、
である。又、本実施例では車両環境状態として以下の5つの環境を考慮しているが、本発明はかかる環境に限定されるものではなく、他の環境を適宜採用することができる。5個の環境は、それぞれ
1.走行道路のカーブの有無、
2.走行中道路の勾配の有無、
3.水辺の広狭、
4.建造物と植物の割合、
5.高い遮蔽物の有無
である。
【0011】
車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCにおける各得点は形容詞(リラックスできる、開放的な、爽快な、幻想的な、わくわくする、安全な、にぎやかな、穏やかな)の気分の度合を示している。例えば、形容詞対6の「危険な−安全な」に着目すると、
1)「カーブ有り」のときに安全な気分になる度合は−0.071、「カーブ無し」のときに安全な気分になる度合は0.073である。安全な気分になる度合が−0.071ということは、危険な気分になる度合が0.071であることと同等である。また
2)「勾配有り」のときに安全な気分になる度合は−0.061、「勾配無し」のときに安全な気分になる度合は0.054である。安全な気分になる度合が−0.061ということは、危険な気分になる度合が0.061であることと同等である。また
3)「水辺が広い道路」を走行中に安全な気分になる度合は0.059、「水辺が狭い道路」を走行中に安全な気分になる度合は−0.056、「水辺が無い道路」を走行中に安全な気分になる度合は−0.011である。安全な気分になる度合が−0.056、−0.011ということは、危険な気分になる度合が0.056、0.011であることと同等である。これは海や湖が広々と見える道路を走行しているときに誰もが安全な気分になることを意味している。
4)建造物と植物の割合が「10:0」、「7:3」、「5:5」、「3:7」、「0:10」であるときに安全な気分になる度合はそれぞれ、−0.489、−0.278、0.088、0.108、0.384である。これは植物が多い場所を走行しているほど安全な気分になることを意味している。
5) 高い遮蔽物が「両側に存在」、「片側に存在」、「存在せず」の場合に安全な気分になる度合はそれぞれ、−0.462、0.023、0.417である。これは高い遮蔽物が存在しないほど安全な気分になることを意味している。
【0012】
形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCは図3に示すように、上記の8個の形容詞対毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを、ユーザが予め登録するものである。図3の例では、
1)形容詞対1における「リラックスできる気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「フージョン」であり、「リラックスできない気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、
2)形容詞対2における「閉鎖的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「開放的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、
3)形容詞対3における「ゆううつな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「爽快な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「演歌」であり、
4)形容詞対4における「現実的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、「幻想的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」であり、
5)形容詞対5における「退屈な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、わくわくする気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「フージョン」であり、
6)形容詞対6における「危険な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、「安全な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」であり、
7)形容詞対7における「寂しい気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「にぎやかな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ポップス」であり、
8)形容詞対8における「騒々しい気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ポップス」であり、「穏やかな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」である。
【0013】
図1に戻って、音楽ソース部12は例えばハードディスクであり、多数の楽曲を圧縮して記録保存しており、選曲部11から要求された曲の圧縮データを読み出して該選曲部を介してオーディオ再生部13に入力する。図4はハードディスク12の楽曲記録例であり、(A)はアルバム名に対応させてアーチスト名、ジャンル、該アルバムの楽曲名と音楽データ(音楽データ保存先のアドレス)を記憶する例であり、(B)はジャンル別に、アルバム名、アーチスト名、該アルバムの楽曲名と音楽データ(音楽データ保存先アドレス)を記憶する例である。なお、図4の記憶例は一例であり、種々の記憶方法が考えられる。
オーディオ再生部13は入力された楽曲の圧縮データを伸長すると共に、得られたPCMオーディオデータをアナログ信号に変換し、所定の音質制御を施してスピーカより音を出力する。操作部14は各種キーを備え、該キーを操作してデータやコマンドを選曲部11に入力し、表示部15は再生曲の曲名や演奏時間等を表示すると共に、選曲部11が入力する所定ジャンルの複数の楽曲名を表示し、これにより操作部14あるいはタッチパネル(図示せず)を用いてユーザが所望の曲を選曲できるようになっている。なお、表示部15は、実際には、ナビゲーション地図も表示できるようになっている。
【0014】
ナビゲーション装置16は、周知のナビゲーション制御を行うもので、センサーとして車両の方向を検出するジャイロスコープ31、車両が所定距離走行する毎にパルスを発生する車速パルスセンサー32、車両の角速度を検出する角速度センサー33、GPS(図示せず)を備えている。ナビゲーション制御部30、これらセンサーからの出力信号を用いて車両の位置や車両の傾斜角度、進行方向を検出し、地図データベース(図示せず)より車両周辺の地図を読み出して表示部15に表示すると共に、目的地までの誘導経路を探索して表示する。また、ナビゲーション制御部30は、地図データより現在走行道路周辺の海、湖の広狭の状況を識別し、水辺の広狭を示す水辺データWFRや、現在走行中道路のカーブの有無を示すデータCUV、現在走行中道路の勾配の有無を示すデータSLPを選曲部11に入力する。
車載カメラ17は例えば車両前方の風景を撮影し、画像処理部18はカメラの撮影画像を画像処理し、緑以外の部分たとえば建造物と緑の部分、すなわち植物の割合(建造物:植物比)CPRを算出して選曲部11に入力すると共に、車両の両側あるいは片側に高い遮蔽部が存在するか否かを検出して該データSBHを選曲部11に入力する。なお、水辺の広狭は、画像処理部18が撮影画像を処理して青いエリアの大小を計算して識別することもできる。
【0015】
図5は本発明の選曲処理フローである。なお、記憶部22には車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCが記憶されており、又、記憶部23には、ユーザが既に形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを登録してあるものとする。
選曲処理部21はナビゲーション装置16および画像処理部18から入力されるセンサー信号及び地図情報に基づいて車両の複数の環境状態(走行道路のカーブの有無、走行中道路の勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、高い遮蔽物の有無)を識別する(ステップ101)。なお、識別された車両の実際の環境状態は図6に示すように、
「カーブ有り、勾配無し、水辺は広い、建造物:植物比=10:0、高い遮蔽物が両側に存在する」、
であるとする。
【0016】
車両の複数の実際の環境が識別できると、選曲処理部21は、8個の形容詞のうち第1の形容詞について、車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計する(ステップ102)。例えば、「リラックスできる」については、カーブ有りのときの得点が0.038、勾配無しのときの得点が−0.071、水辺は広いときの得点が0.063、建造物:植物比=10:0のときの得点が−0.616、高い遮蔽物が両側に存在するときの得点が−0.456であるから、合計すると合計値は−1.042となる。この合計値が、現在の車両環境における形容詞「リラックスできる」の気分の度合である。同様に他の全ての形容詞について、現在の車両環境における該形容詞の気分の度合を計算する。これにより、
形容詞「リラックスできる」の気分の度合=−1.042
形容詞「開放的な」の気分の度合 =−0.680
形容詞「爽快な」の気分の度合 =−0.560
形容詞「幻想的な」の気分の度合 =−0.999
形容詞「わくわくする」の気分の度合 = 0.070
形容詞「安全な」の気分の度合 =−0.909
形容詞「にぎやかな」の気分の度合 = 0.861
形容詞「穏やかな」の気分の度合 =−1.180
となる。
【0017】
ついで、選曲処理部21は各形容詞の得点を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの得点とする(ステップ103)。例えば、「リラックスできる」の気分のときに聴きたい楽曲ジャンルはフュージョンであるから、フュージョンの楽曲を聴きたい度合(得点)は−1.042となる。この結果、図7に示すように、現在の車両環境における各形容詞の気分に応じて聴きたいジャンル得点を得ることができる。
ところで、「リラックスできる」の気分のときに聴きたい楽曲ジャンル(フュージョン)が−1.042ということは、リラックスできないため、フュージョンの曲を聴きたくない度合が1.042ということである。換言すれば、「リラックスできない」の気分のときに聴きたいジャンル(ジャズ)の度合が+1.042であることを意味している。このことは他の形容詞についても同様である。
そこで、選曲処理部21は、各形容詞の得点の符号を反転した得点を、該形容詞と反対の意味を有する形容詞の得点とし、該得点を該意味が反対の形容詞に応じた聞きたいジャンルの得点とする(ステップ104)。この結果、図8に示すように各形容詞の気分及び該各形容詞と反対の意味を有する形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点を得ることができる。
【0018】
ついで、選曲処理部21は、図8において、ジャンル毎に該ジャンルの値を合計する(ステップ105)。例えば、フージョンについては、「リラックできる」時の−1.042と「わくわくする」時の−0.070を合計すると、合計値は−1.112になる。同様に、楽曲ジャンルであるロック、ジャズ、演歌、クラシック、ポップスについて合計値を計算すれば図9に示すようになる。
ついで、各ジャンルの合計値を正規化する(ステップ106)。正規化の方法としては、負の値を0%として正の値のみで正規化する方法(図10のA参照)、最小値を0%として正規化する方法(図10のB参照)がある。
ついで、正規化した値の中で最大%のジャンルが、現在の車両環境においてユーザが最も聴きたいジャンルであると見なし、該ジャンルより再生する曲を音楽ソース部12より選択して再生する(ステップ107)。この場合、音楽ソース部12が、以前に再生したか否かのデータあるいは再生回数を楽曲に対応させて記憶していれば、選曲処理部21は再生したことのある、あるいは再生回数が多い曲を優先的に選択することができる。
また、最も聴きたいジャンルの楽曲名を音楽ソース部12に問い合わせ、そのリストを表示部15に表示し、該リストよりユーザに選択させ、該選択された曲を再生するように構成することもできる。
【0019】
なお、以上では正規化したが、正規化処理は必ずしも必要ではなく、正規化することなくステップ105における合計値が最大のジャンルを、現在の車両環境においてユーザが最も聴きたいジャンルであると見なして該ジャンルより再生する曲を選曲することができる。
【実施例2】
【0020】
実施例1では、図8における負の形容詞の得点をも考慮してジャンルの選択確率を計算したが、負の得点は0とみなして、ジャンルの選択確率を計算することができる。
図11(A)は、負の得点を0としたときの各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図11(B)は図11(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。実施例2でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定される。
【実施例3】
【0021】
実施例1では、図8における各形容詞の得点、すなわち該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点をそのまま用いたが、実施例3ではガウス関数に基づいて、道路景観からの心理的影響を強調できるように形容詞得点を再計算する。そして、再計算された形容詞得点に基づいて、ジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化する。
ガウス関数pは、一例として、次式
【数1】
を用いる。ガウス関数pにおいて、eは元の形容詞得点(図8の得点)であり、このガウス関数で形容詞得点を再計算することにより道路景観からの心理的影響を強調することができる。
図12(A)はガウス関数を用いて再計算した各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図12(B)は図12(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。なお、負の値を0%として正の値のみで正規化した場合と、最小値を0%として正規化した場合の両方を示している。
実施例3でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定されているが、その度合は実施例1に比べて大きくなっている。
【実施例4】
【0022】
実施例3では、図12における負の形容詞の得点をも考慮したが、負の得点は0とみなして、正の形容詞点のみをガウス関数により再計算し、再計算した各形容詞の得点を用いてジャンルの選択確率を計算することができる。
図13(A)は、負の得点は0とみなして、正の形容詞点のみをガウス関数により再計算した各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図13(B)は図13(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。実施例4でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定されている
以上の実施例では、ハードディスクその他の大容量記録媒体に記録されている楽曲を選曲して再生する場合について説明したが、本発明はかかる場合に限らず、移動通信網、無線LAN、インターネット等の通信手段を介して外部サーバに選曲した楽曲のダウンロードを要求し、ダウンロードされた該曲を再生する場合等においても適用できるものである。
【符号の説明】
【0023】
11 選曲部
12 音楽ソース部
13 オーディオ再生部
14 操作部
15 表示部
16 ナビゲーション装置
17 車載カメラ
18 画像処理部
21 選曲処理部
22 車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを記憶する第1の記憶部
23 形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを記憶する第2の記憶部
31 ジャイロスコープ
32 車速パルスセンサー
33 角速度センサー
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置に係り、特に、車両周囲の実際の環境、例えば走行環境に応じてユーザが聞きたいであろう楽曲のジャンルを推定し、該ジャンルより選曲して再生する車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の車載機はナビゲーション機能を備え、目的地までの経路を探索し、該経路を車両周辺の地図上に表示してユーザを目的地まで誘導する。又、車載機はオーディオ機能を備え、AM/FMラジオ放送を受信し、あるいはCDを再生し,あるいは、ハードディスク等の記録媒体に記録された曲を再生するようになっている。ハードディスク等に記録されている所望の曲を再生するには、該楽曲を選択する操作が必要になる。しかし、ハードディスク等の記録媒体には大量の楽曲を記録することができるため、選曲操作が煩雑になる。
このため、走行環境(渋滞路、高速道路、特定地やエリア、天候など)に応じて自動的にユーザが聞きたい曲を推定して再生する方法が提案されている(特許文献1)。例えば、高速道路ではアップテンポの曲、渋滞路では落ち着くクラシック、海が見える場所では特定の歌手の曲等といった楽曲の選択を車両環境に応じて自動的に行なう。
又、2次元座標値である印象値(X,Y)と楽曲との対応づけをしておき、車両位置(高速道路、サービスエリア、インタチェンジ、普通道路、公園、海辺、飛行場など)に応じた印象値を求め、該印象値に近い楽曲を選択して再生する方法が提案されている(特許文献2)。
これら従来の選曲方法は車両の走行環境あるいは車両位置に基づいて再生曲を決定するものであるが、ユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なっていない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−150176号公報
【特許文献2】特開2004−86189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上から、本発明の目的は、複数の車両環境に基づいて自動的に運転手の気分を推定し、該運転手の気分を反映した選曲を行なえるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、車載オーディオ装置における選曲方法及び選曲装置である。
・選曲方法
本発明の車載オーディオ装置における選曲方法は、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を第1登録データとして登録し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録するステップ、センサー信号、地図情報等を用いて車両の実際の前記複数の環境を判別するステップ、所定の形容詞について、前記第1登録データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とするステップ、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求めるステップ、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲するステップ、を有している。
前記複数の車両環境状態は、カーブの有無、勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、遮蔽物の有無である。
【0006】
・選曲装置
本発明の車載オーディオ装置における選曲装置は、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を記憶する第1記憶部、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを記憶する第2記憶部、車両前方の風景を撮影するカメラ、車両の走行状態を検出するセンサー、前記カメラの撮影画像、地図情報およびセンサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境状態を判別する環境判別部、所定の形容詞について、前記第1記憶部の記憶データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する選曲部、を有している。
前記選曲方法及び選曲装置において、前記合計値を合計する際、各楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なして合計値を計算することができる。また、ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転手の気分を表現する複数の形容詞を用意し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを登録し、複数の車両環境を考慮して所定の形容詞の気分の度合を算出し、該度合を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、形容詞毎に該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値が最大のジャンルより再生する曲を選曲するようにしたから、自動的にユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なうことができる。
又、本発明によれば、複数の車両環境のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を登録し、センサー信号や地図情報等を用いて実際の前記複数の車両環境を判別し、所定の形容詞について、前記登録データを用いて実際の各環境に応じた前記値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分の度合としたから、正確に各形容詞の気分の度合を決定でき、ユーザの運転時における実際の気分を反映した選曲を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の車載オーディオ装置の構成図である。
【図2】車両環境別/形容詞得点対応テーブルの説明図である。
【図3】形容詞−音楽ジャンル対応テーブルの説明図である。
【図4】ハードディスクの楽曲記録例である。
【図5】本発明の選曲処理フローである。
【図6】車両の実際の環境状態における各形容詞の気分の度合説明図である。
【図7】現在の車両環境における各形容詞の気分に応じて聴きたいジャンルの得点説明図である。
【図8】各形容詞の気分及び該各形容詞と反対の意味を有する形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点説明図である。
【図9】各ジャンルの聴きたい度合の得点説明図である。
【図10】正規化説明図である。
【図11】実施例2の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【図12】実施例3の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【図13】実施例4の各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図及び正規化したジャンルの選択確率である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0009】
図1は本発明の車載オーディオ装置の構成図であり、ハードディスクその他の記録媒体に記録されている楽曲を選曲して再生する場合であり、AM/FMチューナ、CDプレーヤなどのオーディオソースの図示は省略している。
選曲部11は、選曲処理部21と、車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを記憶する第1の記憶部22と、形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを記憶する第2の記憶部23を備えている。選曲処理部21は、後で詳細に説明するように、複数の現車両環境を考慮して運転手の気分を表現する複数の形容詞のそれぞれの度合を計算し、各形容詞の気分の度合に基づいて、再生する曲のジャンルを決定し、該ジャンルの曲を再生するように制御する。
車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCは、図2に示すように、ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、複数の車両環境状態のそれぞれにおける各形容詞の気分の度合を示すスコア(得点)を、統計的手法により取得して登録するものである。この車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCは、統計的手法である多変量解析手法を用いて作成されており、ユーザ共通に使用される。なお、多変量解析手法としては、例えば数量化理論I類(菅民郎著「らくらく図解、アンケート分析教室」ページ116−128参照)がある。
【0010】
本実施例ではユーザの運転時の気分を表現する形容詞として以下の8個の形容詞対が用意されているが本発明はかかる形容詞対に限定されるものではなく、他の形容詞対を適宜採用することができる。8個の形容詞対1〜8において、
形容詞対1は「リラックスできる−できない」、
形容詞対2は「閉鎖的な−開放的な」、
形容詞対3は「ゆううつな−爽快な」、
形容詞対4は「現実的な−幻想的な」、
形容詞対5は「退屈な−わくわくする」、
形容詞対6は「危険な−安全な」、
形容詞対7は「寂しい−にぎやかな」、
形容詞対8は「騒々しい−穏やかな」、
である。又、本実施例では車両環境状態として以下の5つの環境を考慮しているが、本発明はかかる環境に限定されるものではなく、他の環境を適宜採用することができる。5個の環境は、それぞれ
1.走行道路のカーブの有無、
2.走行中道路の勾配の有無、
3.水辺の広狭、
4.建造物と植物の割合、
5.高い遮蔽物の有無
である。
【0011】
車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCにおける各得点は形容詞(リラックスできる、開放的な、爽快な、幻想的な、わくわくする、安全な、にぎやかな、穏やかな)の気分の度合を示している。例えば、形容詞対6の「危険な−安全な」に着目すると、
1)「カーブ有り」のときに安全な気分になる度合は−0.071、「カーブ無し」のときに安全な気分になる度合は0.073である。安全な気分になる度合が−0.071ということは、危険な気分になる度合が0.071であることと同等である。また
2)「勾配有り」のときに安全な気分になる度合は−0.061、「勾配無し」のときに安全な気分になる度合は0.054である。安全な気分になる度合が−0.061ということは、危険な気分になる度合が0.061であることと同等である。また
3)「水辺が広い道路」を走行中に安全な気分になる度合は0.059、「水辺が狭い道路」を走行中に安全な気分になる度合は−0.056、「水辺が無い道路」を走行中に安全な気分になる度合は−0.011である。安全な気分になる度合が−0.056、−0.011ということは、危険な気分になる度合が0.056、0.011であることと同等である。これは海や湖が広々と見える道路を走行しているときに誰もが安全な気分になることを意味している。
4)建造物と植物の割合が「10:0」、「7:3」、「5:5」、「3:7」、「0:10」であるときに安全な気分になる度合はそれぞれ、−0.489、−0.278、0.088、0.108、0.384である。これは植物が多い場所を走行しているほど安全な気分になることを意味している。
5) 高い遮蔽物が「両側に存在」、「片側に存在」、「存在せず」の場合に安全な気分になる度合はそれぞれ、−0.462、0.023、0.417である。これは高い遮蔽物が存在しないほど安全な気分になることを意味している。
【0012】
形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCは図3に示すように、上記の8個の形容詞対毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを、ユーザが予め登録するものである。図3の例では、
1)形容詞対1における「リラックスできる気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「フージョン」であり、「リラックスできない気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、
2)形容詞対2における「閉鎖的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「開放的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、
3)形容詞対3における「ゆううつな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「爽快な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「演歌」であり、
4)形容詞対4における「現実的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、「幻想的な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」であり、
5)形容詞対5における「退屈な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、わくわくする気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「フージョン」であり、
6)形容詞対6における「危険な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ロック」であり、「安全な気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」であり、
7)形容詞対7における「寂しい気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ジャズ」であり、「にぎやかな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ポップス」であり、
8)形容詞対8における「騒々しい気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「ポップス」であり、「穏やかな気分」のときにユーザが聞きたいジャンルは「クラシック」である。
【0013】
図1に戻って、音楽ソース部12は例えばハードディスクであり、多数の楽曲を圧縮して記録保存しており、選曲部11から要求された曲の圧縮データを読み出して該選曲部を介してオーディオ再生部13に入力する。図4はハードディスク12の楽曲記録例であり、(A)はアルバム名に対応させてアーチスト名、ジャンル、該アルバムの楽曲名と音楽データ(音楽データ保存先のアドレス)を記憶する例であり、(B)はジャンル別に、アルバム名、アーチスト名、該アルバムの楽曲名と音楽データ(音楽データ保存先アドレス)を記憶する例である。なお、図4の記憶例は一例であり、種々の記憶方法が考えられる。
オーディオ再生部13は入力された楽曲の圧縮データを伸長すると共に、得られたPCMオーディオデータをアナログ信号に変換し、所定の音質制御を施してスピーカより音を出力する。操作部14は各種キーを備え、該キーを操作してデータやコマンドを選曲部11に入力し、表示部15は再生曲の曲名や演奏時間等を表示すると共に、選曲部11が入力する所定ジャンルの複数の楽曲名を表示し、これにより操作部14あるいはタッチパネル(図示せず)を用いてユーザが所望の曲を選曲できるようになっている。なお、表示部15は、実際には、ナビゲーション地図も表示できるようになっている。
【0014】
ナビゲーション装置16は、周知のナビゲーション制御を行うもので、センサーとして車両の方向を検出するジャイロスコープ31、車両が所定距離走行する毎にパルスを発生する車速パルスセンサー32、車両の角速度を検出する角速度センサー33、GPS(図示せず)を備えている。ナビゲーション制御部30、これらセンサーからの出力信号を用いて車両の位置や車両の傾斜角度、進行方向を検出し、地図データベース(図示せず)より車両周辺の地図を読み出して表示部15に表示すると共に、目的地までの誘導経路を探索して表示する。また、ナビゲーション制御部30は、地図データより現在走行道路周辺の海、湖の広狭の状況を識別し、水辺の広狭を示す水辺データWFRや、現在走行中道路のカーブの有無を示すデータCUV、現在走行中道路の勾配の有無を示すデータSLPを選曲部11に入力する。
車載カメラ17は例えば車両前方の風景を撮影し、画像処理部18はカメラの撮影画像を画像処理し、緑以外の部分たとえば建造物と緑の部分、すなわち植物の割合(建造物:植物比)CPRを算出して選曲部11に入力すると共に、車両の両側あるいは片側に高い遮蔽部が存在するか否かを検出して該データSBHを選曲部11に入力する。なお、水辺の広狭は、画像処理部18が撮影画像を処理して青いエリアの大小を計算して識別することもできる。
【0015】
図5は本発明の選曲処理フローである。なお、記憶部22には車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCが記憶されており、又、記憶部23には、ユーザが既に形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを登録してあるものとする。
選曲処理部21はナビゲーション装置16および画像処理部18から入力されるセンサー信号及び地図情報に基づいて車両の複数の環境状態(走行道路のカーブの有無、走行中道路の勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、高い遮蔽物の有無)を識別する(ステップ101)。なお、識別された車両の実際の環境状態は図6に示すように、
「カーブ有り、勾配無し、水辺は広い、建造物:植物比=10:0、高い遮蔽物が両側に存在する」、
であるとする。
【0016】
車両の複数の実際の環境が識別できると、選曲処理部21は、8個の形容詞のうち第1の形容詞について、車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計する(ステップ102)。例えば、「リラックスできる」については、カーブ有りのときの得点が0.038、勾配無しのときの得点が−0.071、水辺は広いときの得点が0.063、建造物:植物比=10:0のときの得点が−0.616、高い遮蔽物が両側に存在するときの得点が−0.456であるから、合計すると合計値は−1.042となる。この合計値が、現在の車両環境における形容詞「リラックスできる」の気分の度合である。同様に他の全ての形容詞について、現在の車両環境における該形容詞の気分の度合を計算する。これにより、
形容詞「リラックスできる」の気分の度合=−1.042
形容詞「開放的な」の気分の度合 =−0.680
形容詞「爽快な」の気分の度合 =−0.560
形容詞「幻想的な」の気分の度合 =−0.999
形容詞「わくわくする」の気分の度合 = 0.070
形容詞「安全な」の気分の度合 =−0.909
形容詞「にぎやかな」の気分の度合 = 0.861
形容詞「穏やかな」の気分の度合 =−1.180
となる。
【0017】
ついで、選曲処理部21は各形容詞の得点を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの得点とする(ステップ103)。例えば、「リラックスできる」の気分のときに聴きたい楽曲ジャンルはフュージョンであるから、フュージョンの楽曲を聴きたい度合(得点)は−1.042となる。この結果、図7に示すように、現在の車両環境における各形容詞の気分に応じて聴きたいジャンル得点を得ることができる。
ところで、「リラックスできる」の気分のときに聴きたい楽曲ジャンル(フュージョン)が−1.042ということは、リラックスできないため、フュージョンの曲を聴きたくない度合が1.042ということである。換言すれば、「リラックスできない」の気分のときに聴きたいジャンル(ジャズ)の度合が+1.042であることを意味している。このことは他の形容詞についても同様である。
そこで、選曲処理部21は、各形容詞の得点の符号を反転した得点を、該形容詞と反対の意味を有する形容詞の得点とし、該得点を該意味が反対の形容詞に応じた聞きたいジャンルの得点とする(ステップ104)。この結果、図8に示すように各形容詞の気分及び該各形容詞と反対の意味を有する形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点を得ることができる。
【0018】
ついで、選曲処理部21は、図8において、ジャンル毎に該ジャンルの値を合計する(ステップ105)。例えば、フージョンについては、「リラックできる」時の−1.042と「わくわくする」時の−0.070を合計すると、合計値は−1.112になる。同様に、楽曲ジャンルであるロック、ジャズ、演歌、クラシック、ポップスについて合計値を計算すれば図9に示すようになる。
ついで、各ジャンルの合計値を正規化する(ステップ106)。正規化の方法としては、負の値を0%として正の値のみで正規化する方法(図10のA参照)、最小値を0%として正規化する方法(図10のB参照)がある。
ついで、正規化した値の中で最大%のジャンルが、現在の車両環境においてユーザが最も聴きたいジャンルであると見なし、該ジャンルより再生する曲を音楽ソース部12より選択して再生する(ステップ107)。この場合、音楽ソース部12が、以前に再生したか否かのデータあるいは再生回数を楽曲に対応させて記憶していれば、選曲処理部21は再生したことのある、あるいは再生回数が多い曲を優先的に選択することができる。
また、最も聴きたいジャンルの楽曲名を音楽ソース部12に問い合わせ、そのリストを表示部15に表示し、該リストよりユーザに選択させ、該選択された曲を再生するように構成することもできる。
【0019】
なお、以上では正規化したが、正規化処理は必ずしも必要ではなく、正規化することなくステップ105における合計値が最大のジャンルを、現在の車両環境においてユーザが最も聴きたいジャンルであると見なして該ジャンルより再生する曲を選曲することができる。
【実施例2】
【0020】
実施例1では、図8における負の形容詞の得点をも考慮してジャンルの選択確率を計算したが、負の得点は0とみなして、ジャンルの選択確率を計算することができる。
図11(A)は、負の得点を0としたときの各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図11(B)は図11(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。実施例2でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定される。
【実施例3】
【0021】
実施例1では、図8における各形容詞の得点、すなわち該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点をそのまま用いたが、実施例3ではガウス関数に基づいて、道路景観からの心理的影響を強調できるように形容詞得点を再計算する。そして、再計算された形容詞得点に基づいて、ジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化する。
ガウス関数pは、一例として、次式
【数1】
を用いる。ガウス関数pにおいて、eは元の形容詞得点(図8の得点)であり、このガウス関数で形容詞得点を再計算することにより道路景観からの心理的影響を強調することができる。
図12(A)はガウス関数を用いて再計算した各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図12(B)は図12(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。なお、負の値を0%として正の値のみで正規化した場合と、最小値を0%として正規化した場合の両方を示している。
実施例3でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定されているが、その度合は実施例1に比べて大きくなっている。
【実施例4】
【0022】
実施例3では、図12における負の形容詞の得点をも考慮したが、負の得点は0とみなして、正の形容詞点のみをガウス関数により再計算し、再計算した各形容詞の得点を用いてジャンルの選択確率を計算することができる。
図13(A)は、負の得点は0とみなして、正の形容詞点のみをガウス関数により再計算した各形容詞の得点(該形容詞の気分のときに聴きたいジャンルの得点)説明図であり、図13(B)は図13(A)に基づいてジャンル毎に該ジャンルの値を合計し、各ジャンルの合計値を正規化した例である。実施例4でも、実施例1と同様にクラシックが最も聴きたいジャンルであるとして決定されている
以上の実施例では、ハードディスクその他の大容量記録媒体に記録されている楽曲を選曲して再生する場合について説明したが、本発明はかかる場合に限らず、移動通信網、無線LAN、インターネット等の通信手段を介して外部サーバに選曲した楽曲のダウンロードを要求し、ダウンロードされた該曲を再生する場合等においても適用できるものである。
【符号の説明】
【0023】
11 選曲部
12 音楽ソース部
13 オーディオ再生部
14 操作部
15 表示部
16 ナビゲーション装置
17 車載カメラ
18 画像処理部
21 選曲処理部
22 車両環境別/形容詞得点対応テーブルEVSCを記憶する第1の記憶部
23 形容詞−音楽ジャンル対応テーブルAJMCを記憶する第2の記憶部
31 ジャイロスコープ
32 車速パルスセンサー
33 角速度センサー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載オーディオ装置における選曲方法において、
ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を第1登録データとして登録し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録し、
センサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境を判別し、
所定の形容詞について、前記第1登録データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、
ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する、
ことを特徴とする車載オーディオ装置における選曲方法。
【請求項2】
前記複数の車両の環境状態は、カーブの有無、勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、遮蔽物の有無である、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法
【請求項3】
前記楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なし、各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法。
【請求項4】
ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法。
【請求項5】
車載オーディオ装置における選曲装置において、
ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を記憶する第1記憶部、
形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを記憶する第2記憶部、
車両前方の風景を撮影するカメラ、
車両の走行状態を検出するセンサー、
前記カメラの撮影画像およびセンサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境状態を判別する環境判別部、
所定の形容詞について、前記第1記憶部の記憶データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する選曲部、
を有することを特徴とする選曲装置。
【請求項6】
前記選曲部は、前記楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なし、各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項5記載の選曲方法。
【請求項7】
前記選曲部は、ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項5記載の選曲方法。
【請求項1】
車載オーディオ装置における選曲方法において、
ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を第1登録データとして登録し、形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを第2登録データとして登録し、
センサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境を判別し、
所定の形容詞について、前記第1登録データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、
ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する、
ことを特徴とする車載オーディオ装置における選曲方法。
【請求項2】
前記複数の車両の環境状態は、カーブの有無、勾配の有無、水辺の広狭、建造物と植物の割合、遮蔽物の有無である、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法
【請求項3】
前記楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なし、各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法。
【請求項4】
ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項1記載の選曲方法。
【請求項5】
車載オーディオ装置における選曲装置において、
ユーザの気分を表現する複数の形容詞を用意し、車両の複数の環境状態のそれぞれにおける前記各形容詞の気分の度合を示す値を記憶する第1記憶部、
形容詞毎に、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルと該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲のジャンルを記憶する第2記憶部、
車両前方の風景を撮影するカメラ、
車両の走行状態を検出するセンサー、
前記カメラの撮影画像およびセンサー信号を用いて車両の実際の前記複数の環境状態を判別する環境判別部、
所定の形容詞について、前記第1記憶部の記憶データを用いて実際の各環境に応じた値を取得し、該取得した各環境に応じた値を合計し、該合計値を該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、該合計値の符号を反転した値を、該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値とし、同様に、前記各形容詞について、該形容詞の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値と該形容詞と反対の気分のときに聞きたい楽曲ジャンルの値を求め、ジャンル毎に該ジャンルの前記値を合計し、合計値の大きさの比率をジャンルの選択確率としてジャンルを選択し、選択されたジャンルより再生する曲を選曲する選曲部、
を有することを特徴とする選曲装置。
【請求項6】
前記選曲部は、前記楽曲ジャンルの値のうち負の値は0と見なし、各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項5記載の選曲方法。
【請求項7】
前記選曲部は、ガウス関数を用いて前記楽曲ジャンルの値を再計算し、再計算された値を用いて各楽曲ジャンルの前記合計値を計算する、
ことを特徴とする請求項5記載の選曲方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−34366(P2011−34366A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180273(P2009−180273)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(509218548)
【出願人】(509218559)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(509218548)
【出願人】(509218559)
【Fターム(参考)】
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