説明

車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダ

【課題】商用交流電源の周波数で点灯、消灯している交通信号機等の発光機器からの光を、確実に撮像し、記録することのできる車載カメラ及びドライブレコーダを提供する。
【解決手段】レンズ11と電子シャッタと撮像素子12を有する撮像部1と、電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部2とを備え、信号処理部2で隣り合うフレーム毎に異なる位置で電子シャッタを駆動制御する車載カメラと、車載カメラによって撮影された撮像画像を記録する記録部3とを備えた構成を有すことにより、隣り合うフレーム毎に電子シャッタの駆動位相を変えることによりシャッタの開期間と商用交流電源で点灯、消灯するLEDの消灯期間とが連続して合致することがなくなるため、確実にLEDの光を撮像素子12に導き、記録部3に記録することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通信号機のLEDの撮影画像を確実に記録することが出来るようにした車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用交流電源を用いて発光する発光機器の多くは、蛍光灯のように点灯と消灯を周期的に繰り返す発光方式が用いられている。このことは、LEDを用いた交通信号機においても同様であり、日本では50Hz地帯では毎秒100回、60Hz地帯では毎秒120回で点滅を繰り返している。
【0003】
一方、CCD(Charge Coupled Devices)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を用いたカメラでは、電荷蓄積期間を59.97Hzという商用交流電源の周波数に近い周波数で繰り返している。
【0004】
すなわち、撮像素子に光が当たると電荷がたまり、全ての撮像素子に電荷がたまると全体が白くなってしまうため、光量調節のためにある程度の電荷がたまったところで電子シャッタを動作させている。
【0005】
このことは、交通信号機のLEDが商用交流電源の周波数で点滅しているのに対して、撮像素子は商用交流電源の周波数に近い周波数で電子シャッタが作動していることになり、交通信号機のLEDが点灯している期間と電子シャッタが開いている期間が合致した場合はLEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダへ記録された画像をみて交通信号機の表示色は判別できるが、交通信号機のLEDが消灯している期間と電子シャッタが開いている期間が合致した場合は撮像素子に光は届かず、ドライブレコーダへ記録された画像をみて交通信号機の表示色は判別できないことになる。
【0006】
以下に、交通信号機のLEDの点灯、消灯期間と車載カメラ(以下、カメラと呼ぶ)の電子シャッタの開閉期間とドライブレコーダへの記録状態の関係を説明する。
【0007】
図5は、交通信号機のLEDの点灯、消灯期間とカメラの電子シャッタの開閉期間を示したタイミングチャートである。
【0008】
図5(a)は、商用交流電源の電圧波形を示している(例として、60Hzの場合を示す)。
【0009】
図5(b)は、商用交流電源の電圧波形を検波したときの波形を示している。
【0010】
図5(c)は、交通信号機のLEDの点灯期間と消灯期間の繰り返し状態を示している。
【0011】
ここでは、説明を簡単にするため、図5(b)の商用交流電源の電圧が所定の閾値(V)を越えたときにLEDが点灯し、所定の閾値(V)以下に低下したときにLEDが消灯するとし、点灯時間を1/240秒、消灯時間を1/240秒とする。
【0012】
図5(d)は、カメラの電子シャッタの開タイミングがLEDの点灯タイミングと合致し、且つ電子シャッタが開いている時間(t)がLEDの点灯時間(1/240秒)より短い場合を示している。
【0013】
この場合は、LEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録され、記録した画像において交通信号機の表示色は判別できる。
【0014】
図5(e)は、カメラの電子シャッタの開タイミングがLEDの点灯タイミングと合致し、且つ電子シャッタが開いている時間(t)がLEDの点灯時間(1/240秒)より長くLEDの点灯点滅周期(1/120秒)より短い場合を示している。
【0015】
この場合は、LEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録され、記録した画像において交通信号機の表示色は判別できる。
【0016】
然し、走行している車両に搭載されたカメラは交通信号機のLED以外に車両周辺を撮影するため、日中などの明るい時、電子シャッタが開いている時間が長いと入射光量が多すぎて被写体が白くつぶれて正しい画像再現が出来なくなることより電子シャッタの開いている時間を長くしてLEDの光を撮像することは好ましくない。
【0017】
図5(f)は、カメラの電子シャッタの開タイミングがLEDの消灯タイミングと合致し、且つ電子シャッタが開いている時間(t)がLEDの消灯時間(1/240秒)より短い場合を示している。
【0018】
この場合は、LEDは消灯しているため撮像素子へLEDとしての光は無く、ドライブレコーダにLEDの光は記録されず、記録した画像において交通信号機の表示色は判別できない。
【0019】
図5(g)は、カメラの電子シャッタの開タイミングがLEDの消灯タイミングと合致し、且つ電子シャッタが開いている時間(t)がLEDの消灯時間(1/240秒)より長くLEDの点灯点滅周期(1/120秒)より短い場合を示している。
【0020】
この場合は、LEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録され、記録した画像において交通信号機の表示色は判別できる。
【0021】
以上のことより、交通信号機のLEDが点灯している期間とカメラの電子シャッタが開いている期間が合致していればLEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録されるが、LEDが消灯している期間と撮像素子の電子シャッタが開いている期間が合致したときには、LEDは消灯しているため撮像素子にLEDの光が届かず、ドライブレコーダの記録を見ても交通信号機が消灯していたと誤判断したり、何色で点灯していたかが判別できないという課題を有している。
【0022】
この課題を解決するための従来の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダは、図6に示すようにシャッタ機能によって電荷蓄積時間を調整可能な撮像素子を有する撮像部61と、LCDなどの表示部64と、撮像された画像を記録するメモリ65と、CPUとが接続された信号処理部(DSP)63とを備え、撮像部61で撮影した撮像範囲内に含まれる信号機の消灯期間を求め、撮像素子の電荷蓄積期間が信号機の消灯期間よりも長くなるようにシャッタ62を制御するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2007−161189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、従来の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダにおいては、下記の(1)から(6)の手順を行なうことが求められる。
(1)撮像した画像内に交通信号機が含まれているかどうかを検索する。
(2)撮影した画像内に交通信号機があれば、必要に応じて、カメラを交通信号機に向ける。
(3)カメラで捕らえた交通信号機の消灯期間を計算する。
(4)交通信号機の消灯期間をもとに、カメラの電子シャッタを開けておくべき時間を計算する。
(5)求めた時間だけカメラの電子シャッタを開き、電荷を蓄積する。
(6)撮影している画像内に交通信号機が映っていれば、(5)を周期的に繰り返す。
【0024】
上記手順(1)で、ドライブレコーダのカメラに交通信号機が映った都度、上記手順(2)から(6)を繰り返すことは、ドライブレコーダの制御装置に大きな負荷がかかる。
【0025】
また、交通信号機のある道路での自動車の走行速度は一般的に40Km/hから60Km/h程度で走っているため、撮影した画像内に交通信号機があることが判別できなかったり、検索した交通信号機の消灯期間の計算及び電子シャッタの開けておくべき時間の計算などの一連の計算や制御が間に合わなかったりすることが起こり得るという課題を有していた。
【0026】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、撮影した画像内の交通信号機の有無を検出したり、検索した交通信号機の消灯時間を計算したりすることが不要なためドライブレコーダの制御装置への負荷を軽減でき、しかも商用交流電源の周波数で点滅している交通信号機のLEDからの光を、安定的にかつ確実に撮像素子で受光することができる車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明の車載カメラは、電子シャッタと撮像素子を有する撮像部と、電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部とを備え、信号処理部は隣り合うフレーム毎に異なる位置で電子シャッタを駆動制御する構成を有している。
【0028】
この構成により、隣り合うフレーム毎に異なる位置で電子シャッタを駆動制御することができ、交通信号機のLEDの点灯、消灯に関係なく所定フレーム数の撮像間にLEDの光は撮像素子に届き、LEDの発光色を撮像できることとなる。
【0029】
また、本発明の車載カメラは、電子シャッタと撮像素子を有する撮像部と、電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部とを備え、信号処理部はフレーム毎にランダムな位置で電子シャッタを駆動制御する構成を有している。
【0030】
この構成により、フレーム毎にランダムな位置で電子シャッタを駆動制御することができ、交通信号機のLEDの点灯、消灯に関係なく所定フレーム数の撮像間にLEDの光は撮像素子に届き、LEDの発光色を撮像できることとなる。
【0031】
また、本発明のドライブレコーダは、車載カメラと、車載カメラによって撮影された撮像画像を記録する記録部とを備える構成を有している。
【0032】
この構成により、車載カメラによって撮影された撮像画像はドライブレコーダに記録されることとなる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダは、電子シャッタと撮像素子を有する撮像部と、電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部とを備え、信号処理部で隣り合うフレーム毎に異なる位置で電子シャッタを駆動制御される車載カメラと、車載カメラによって撮影された撮像画像を記録する記録部とを備えた構成を有すことにより、交通信号機のLEDの消灯期間と電子シャッタが開いている期間が合致するフレームがあっても次のフレームではLEDの点灯期間と電子シャッタが開いている期間が合致するため、LEDの光は撮像素子に届き、ドライブレコーダにLEDの光は記録され、記録された画像において交通信号機の表示色を判別できるという効果を有する車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダを提供することができるものである。
【0034】
また、従来の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダのように、撮像した画像内に交通信号機が含まれているかどうかを検索したり、検索した交通信号機のLEDの消灯期間を計算したりすることが不要なためドライブレコーダの制御装置への負荷を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダについて、図面を用いて説明する。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダの要部構成図である。
【0037】
図1において、本実施の形態1の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダは、撮像部1と、信号処理部2と、記録部3と、制御部4とで構成されている。
【0038】
撮像部1は、レンズ11とCCDやCMOSなどの撮像素子12と図示していない電子シャッタを内蔵したデジタルカメラで所定のフレームレートで交通信号機や車両周辺を撮像する。撮像側からレンズ11を透過した入射光を撮像素子12で受けて電荷を蓄積し、蓄積した電荷を信号として信号処理部2のAFE21に送る。
【0039】
信号処理部2は、AFE21と、YC/ENC22と、マイコン23と、TG24とで構成されている。
【0040】
AFE21は、映像信号増幅部である。
【0041】
YC/ENC22は、映像信号処理部で、NTSC(Natinal Television System Committee)規格の映像信号を記録部3に出力する。
【0042】
制御部4は、被写体照度に合わせてフィードバック量を制御し、制御信号をマイコン23に送出する。
【0043】
マイコン23は、制御部からの信号に応じTGを制御して電子シャッタや蓄積時間を調整する。
【0044】
TG24は撮像部の駆動パルス部で、撮像部1に内蔵されている撮像素子周辺回路を制御して撮像素子への光量調整する電子シャッタパルス(ESR)と垂直読み出しパルス(VD)を生成する。
【0045】
電子シャッタパルス(ESR)は、シャター時間を決めるパルスで、垂直読み出しパルス(VD)は、信号を取り出すタイミングを決めるパルスである。
【0046】
記録部3は、YC/ENC22より出力された映像信号を半導体メモリなどの記憶媒体に記録する。
【0047】
以上のように構成された車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダについて、図2のタイミングチャートを用いてその動作を説明する。
【0048】
図2は、交通信号機のLEDの点灯、消灯期間と電子シャッタの開閉期間との関係を示したタイミングチャートである。なお、図2のタイミングチャートにおいては理解を深めるために、図2(c)から図2(f)は従来のシャッタ駆動方式にけるタイミングチャートと、図2(g)から図2(j)は本実施の形態のシャッタ駆動方式におけるタイミングチャートとを併記している。
【0049】
図2(a)と図2(b)は、前述の図5(b)と図5(c)と同様であるため説明を省略する。
【0050】
図2(c)は、撮像部で画像を取得する周期を示し、フレームレートは60fpsとしている。
【0051】
図2(d)は、撮像部に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する垂直読み出しパルス(VD)の波形を示す。
【0052】
垂直読み出しパルス(VD)は、毎フレーム開始から同一時間後に所定時間発生する。
【0053】
図2(e)は、撮像部に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する電子シャッタパルス(ESR)の波形を示す。
【0054】
電子シャッタパルス(ESR)は毎フレーム開始から同一時間後に所定時間発生する。
【0055】
図2(f)は、撮像部に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を示す。
【0056】
図2(f)において、電子シャッタの開閉期間は、図2(e)に示した電子シャッタパルス(ESR)のONタイミングに同期した電子シャッタの開タイミングと図2(d)に示した垂直読み出しパルス(VD)のOFFタイミングに同期した電子シャッタの閉タイミングとで決定される。従って、図中の蓄積時間は電子シャッタの開期間を示し、この期間は撮像側からレンズを透過した光は撮像素子12に届き、撮像素子12に電荷を蓄積することになる。
【0057】
従来のシャッタ駆動方式の本図の例においては、図2(b)のLEDの消灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため、撮像側からレンズを透過するLEDの光はなく撮像素子に電荷は蓄積されない。以降のフレームにおいても同様でLEDは消灯しているため撮像素子へLEDとしての光は無く、撮像素子に電荷は蓄積されない。従ってドライブレコーダの記録部に記録された撮像画像にLEDを用いた交通信号機が含まれていた場合、交通信号機は消灯状態で記録され何色で点灯していたかを判別できない。
【0058】
これに対し、本実施の形態のシャッタ駆動方式での動作は次のようになる。
【0059】
図2(g)は、撮像部1で画像を取得する周期を示し、フレームレートは120fpsとし、説明の関係上、倍速Aフレームと倍速Bフレームに区分した状態を示している。
【0060】
図2(h)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する垂直読み出しパルス(VD)の波形を示す。
【0061】
垂直読み出しパルス(VD)は、倍速Aフレーム開始から一定時間後に所定時間発生し、倍速Bフレーム開始からは倍速Aフレーム開始からの一定時間と異なる一定時間後に所定時間発生する。
【0062】
図2(i)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する電子シャッタパルス(ESR)の波形を示す。
【0063】
電子シャッタパルス(ESR)は、倍速Aフレーム開始から一定時間後に所定時間発生し、倍速Bフレーム開始からは倍速Aフレーム開始からの一定時間と異なる一定時間後に所定時間発生する。
【0064】
図2(j)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を示している。
【0065】
図2(j)において、電子シャッタの開閉期間は、図2(i)に示した電子シャッタパルス(ESR)のONタイミングに同期した電子シャッタの開タイミングと図2(h)に示した垂直読み出しパルス(VD)のOFFタイミングに同期した電子シャッタの閉タイミングとで決定される。従って、図中の蓄積時間は電子シャッタの開期間を示し、この期間は撮像側からレンズ11を透過したLEDの光は撮像素子12に届き、撮像素子12に電荷を蓄積することになる。
【0066】
本実施の形態のシャッタ駆動方式の本図の例においては、倍速AフレームではLEDの消灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため撮像側からレンズ11を透過するLEDの光はなく撮像素子12に電荷は蓄積されないが、次の倍速BフレームではLEDの点灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため撮像側からレンズ11を透過するLEDの光は撮像素子12に届き、撮像素子12に電荷は蓄積される。従ってドライブレコーダの記録部に記録された撮像画像にLEDを用いた交通信号機が含まれていた場合、交通信号機は何色で点灯していたかを判別することができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダによれば、フレームレートを倍速にし、隣り合うフレーム毎に電子シャッタの駆動位相を変えることによりシャッタの開期間と商用交流電源で点灯、消灯するLEDの消灯期間とが連続して合致することがなくなるため、確実にLEDの光を撮像素子に導きドライブレコーダに記録することができる。
【0068】
また、撮像した画像内に交通信号機が含まれているかどうかを検索したり、検索した交通信号機のLEDの消灯期間を計算したりすることが不要なためドライブレコーダの制御装置への負荷を軽減することができる。
【0069】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダの要部構成図である。
【0070】
図3において、図1に示す実施の形態1と同様の構成には同一番号を付して説明を省略する。
【0071】
図3において、信号処理部5は、AFE21と、YC/ENC22と、マイコン23と、乱数発生部55と、TG56とで構成されている。
【0072】
乱数発生部55は、一定周期で乱数を発生させ、乱数に対応した時間に基づいた制御信号をTG56に送出する。
【0073】
TG56は、撮像部の駆動パルス部で、撮像部1に内蔵されている電子シャッタを構成する液晶素子の分子配向を制御する電子シャッタパルス(ESR)と乱数発生部55よりの制御信号に基づいた垂直読み出しパルス(VD)を生成する。
【0074】
以上のように構成された車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダについて、図4のタイミングチャートを用いてその動作を説明する。
【0075】
図4は、交通信号機のLEDの点灯、消灯の期間と電子シャッタの開閉期間との関係を示したタイミングチャートである。なお、図4のタイミングチャートにおいては理解を深めるために、図4(c)から図4(f)は従来のシャッタ駆動方式にけるタイミングチャートと、図4(g)から図4(j)は本実施の形態のシャッタ駆動方式におけるタイミングチャートとを併記している。
【0076】
図4(a)から図4(f)は、前述の図2(a)から図2(f)と同様であるため説明を省略する。
【0077】
従来のシャッタ駆動方式の本図の例においては、図4(b)のLEDの消灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため、撮像側からレンズを透過するLEDの光はなく電荷は蓄積されない。以降のフレームにおいても同様でLEDは消灯しているため撮像素子へLEDとしての光は無く、電荷は蓄積されない。従ってドライブレコーダの記録部に記録された撮像画像にLEDを用いた交通信号機が含まれていた場合、交通信号機は消灯状態で記録され何色で点灯していたかを判別できない。
【0078】
これに対し、本実施の形態のシャッタ駆動方式での動作は次のようになる。
【0079】
図4(g)は、撮像部1で画像を取得する周期を示し、フレームレートは60fpsとしている。
【0080】
図4(h)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する垂直読み出しパルス(VD)の波形を示す。
【0081】
垂直読み出しパルス(VD)は、フレーム開始からランダム時間後に所定時間発生する。
【0082】
図4(i)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を制御する電子シャッタパルス(ESR)の波形を示す。
【0083】
電子シャッタパルス(ESR)は、フレーム開始からランダム時間後に所定時間発生する。
【0084】
図4(j)は、撮像部1に内蔵されている電子シャッタの開閉期間を示している。
【0085】
電子シャッタの開閉期間は、図4(i)に示した電子シャッタパルス(ESR)のONタイミングに同期した電子シャッタの開タイミングと図4(h)に示した垂直読み出しパルス(VD)のOFFタイミングに同期した電子シャッタの閉タイミングとで決定される。従って、図中の蓄積時間は電子シャッタの開期間を示し、この期間は撮像側からレンズ11を透過したLEDの光は撮像素子12に届き、撮像素子12に電荷を蓄積することになる。
【0086】
本実施の形態のシャッタ駆動方式の本図の例においては、最初のフレームではLEDの消灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため撮像側からレンズ11を透過するLEDの光はなく撮像素子12に電荷は蓄積されないが、次のフレームではLEDの点灯期間と電子シャッタの開期間が合致しているため撮像側からレンズ11を透過するLEDの光は撮像素子12に届き、撮像素子12に電荷は蓄積される。従ってドライブレコーダの記録部3に記録された撮像画像にLEDを用いた交通信号機が含まれていた場合、交通信号機は何色で点灯していたかを判別することができる。
【0087】
以上のように、本実施の形態の車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダによれば、フレーム毎に電子シャッタの駆動位相をランダムに変えることによりシャッタの開期間と商用交流電源で点灯、消灯するLEDの消灯期間とが連続して合致することがなくなるため、確実にLEDの光を撮像素子に導きドライブレコーダに記録することができる。
【0088】
また、撮像した画像内に交通信号機が含まれているかどうかを検索したり、検索した交通信号機のLEDの消灯期間を計算したりすることが不要なためドライブレコーダの制御装置への負荷を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上のように、本発明にかかる車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダは、商用交流電源で点灯、消灯するLEDを複数フレーム間で確実に撮影できるという効果を有し、LEDを用いた各種の発光機器を撮影するデジタルカメラやデジタルビデオカメラ及びそれを用いた記録装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の実施の形態1における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダの要部構成図
【図2】本発明の実施の形態1における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダを説明するための交通信号機のLEDの点灯、消灯期間と電子シャッタの開閉期間の関係を示すタイミングチャート
【図3】本発明の実施の形態2における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダの要部構成図
【図4】本発明の実施の形態2における車載カメラ及びそれを用いたドライブレコーダを説明するための交通信号機のLEDの点灯、消灯期間と電子シャッタの開閉期間の関係を示すタイミングチャート
【図5】一般的な交通信号機のLEDの点灯、消灯期間と電子シャッタの開閉期間の関係を説明するタイミングチャート
【図6】従来の車載カメラ及びドライブレコーダの構成を示すブロック図
【符号の説明】
【0091】
1 車載カメラ
2,5 信号処理部
3 記録部
4 制御部
21 AFE
22 YC/ENC
23 マイコン
24,56 TG
55 乱数発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子シャッタと撮像素子を有する撮像部と、
前記電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部とを備え、
前記信号処理部は、隣り合うフレーム毎に異なる位置で前記電子シャッタを駆動制御することを特徴とする車載カメラ。
【請求項2】
電子シャッタと撮像素子を有する撮像部と、
前記電子シャッタの駆動制御と撮像画像を映像信号に変換する信号処理部とを備え、
前記信号処理部は、フレーム毎にランダムな位置で前記電子シャッタを駆動制御することを特徴とする車載カメラ。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のいずれかに記載の車載カメラと、前記車載カメラによって撮影された撮像画像を記録する記録部とを備えることを特徴とするドライブレコーダ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−154433(P2010−154433A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−332574(P2008−332574)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】