説明

車載ナビゲーション装置

【課題】車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置において、より精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにする。
【解決手段】車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、当該走行軌跡を示す走行軌跡データを蓄積しておき、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定し(S204)、車両の走行パターンに異常があると判定された場合、警告信号を出力する(S212)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ナビゲーション装置において、日常のユーザ操作入力を学習し、その学習結果と異なるユーザ操作入力があった場合には車両が盗難された可能性があると判断し、各種警告、通報を行うようにした車両盗難防止機能を有するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−21604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ナビゲーション装置には多数の機能が備えられているものの、日常的に使用される機能は限定され、ナビゲーション装置に対して行われるユーザ操作はそれほど多岐にわたらない。このため、上記特許文献1に記載されたような装置では、車両盗難の判断を精度よく行うことができない。また、ナビゲーション装置に対するユーザ操作が実施されない場合には、車両が盗難されたことを判断することができない。
【0005】
このように、ユーザ操作入力に基づいて車両盗難の判断を行うような構成では、車両盗難の判断を精度良く行うことができないので、精度良く車両盗難防止のための警告を行うことができないといった問題がある。
【0006】
そこで、車両内の乗員の撮影画像に画像認識を施して車両盗難の判断を行うような構成や、指紋認証により車両盗難の判断を行うような構成とすることで、車両盗難の判断を精度よく行うことは可能であるが、これらの構成は、画像認識装置、指紋センサ等、ユーザ識別を行うための新たなハードウェアを備える必要が生じるため、構成が複雑で高価になってしまうといった問題がある。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みたもので、車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置において、より精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、当該走行軌跡を示す走行軌跡データを蓄積する走行軌跡データ蓄積手段と、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定する走行パターン判定手段と、走行パターン判定手段により車両の走行パターンに異常があると判定された場合、警告信号を出力する出力手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、当該走行軌跡を示す走行軌跡データを蓄積し、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定し、車両の走行パターンに異常があると判定された場合、警告信号が出力されるので、車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置において、より精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、走行パターン判定手段により車両の走行パターンに異常があると判定された場合、ユーザ認証を実施する認証手段を備え、出力手段は、ユーザ認証が異常終了した場合に、警告信号を出力することを特徴としている。
【0011】
このような構成によれば、車両の走行パターンに異常があると判定された場合、ユーザ認証が実施され、ユーザ認証が異常終了した場合に警告信号が出力される。すなわち、正規のユーザによるユーザ認証が正常終了すれば、警告信号は出力されない。例えば、正規のユーザがいつもの行動パターンと異なる時間に車両を走行させて、車両の走行パターンに異常があると判定された場合でも、ユーザ認証が正常終了すれば、警告信号は出力されることなく、車両盗難防止のための警告を行わないようにすることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、走行パターン判定手段は、走行軌跡データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴としている。
【0013】
このような構成によれば、走行軌跡データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定されるので、例えば、火曜日以外には通勤で車両を利用し、火曜日には通勤で車両を利用しないユーザのように、曜日毎に行動パターンが異なるユーザの場合に、特に精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、走行軌跡データには、車両の走行方向を特定するための情報が含まれており、走行パターン判定手段は、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれる場合であっても、車両の現在の走行方向が車両の走行方向を特定するための情報に基づいて特定される車両の走行方向と異なることを判定した場合には、車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴としている。
【0015】
このような構成によれば、走行軌跡データには、車両の走行方向を特定するための情報が含まれており、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれる場合であっても、車両の現在の走行方向が車両の走行方向を特定するための情報に基づいて特定される車両の走行方向と異なると判定された場合には、車両の走行パターンに異常があると判定される。すなわち、車両が盗難されたにもかかわらず一定領域内に位置するような場合であっても、車両の走行方向が、車両の走行方向を特定するための情報に基づいて特定される車両の走行方向と異なる場合には、車両の走行パターンに異常があると判定されるので、より精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることができる。
【0016】
また、走行パターン判定手段は、請求項5に記載の発明のように、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に車両が位置した各地点を中心とした一定半径の各円形領域に含まれる領域を、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域として領域データを生成することができる。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、ユーザ操作に応じて領域データにより示される一定領域の範囲を変更する範囲変更手段を備えたことを特徴としている。
【0018】
このような構成によれば、ユーザ操作に応じて領域データにより示される一定領域の範囲が変更可能となる。この一定領域の値を小さくすることにより、車両盗難の警告の頻度を高くし、一定領域の値を大きくすることにより、車両盗難の警告の頻度を低くすることができる。すなわち、ユーザ操作に応じて車両盗難の判定精度を調整することが可能である。
【0019】
また、請求項7に記載の発明では、走行軌跡データ蓄積手段は、車両が立ち寄った場所と日時を走行軌跡データに含むように蓄積し、走行パターン判定手段は、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両が立ち寄った場所と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴としている。
【0020】
このような構成によれば、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両が立ち寄った場所と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かの判定が実施されるので、より精度良く車両の走行パターンの異常判定を行うことができる。
【0021】
また、請求項8に記載の発明では、走行軌跡データ蓄積手段は、更に、車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時を走行軌跡データに含むように蓄積し、走行パターン判定手段は、更に、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴としている。
【0022】
このような構成によれば、車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時を走行軌跡データに含むように蓄積し、走行パターン判定手段は、更に、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するので、より精度良く車両の走行パターンの異常判定を行うことができる。
【0023】
また、請求項9に記載の発明では、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報を収集して蓄積するようになっており、走行パターン判定手段は、現在の車両の運転者の運転操作の特性と、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報により特定される車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴としている。
【0024】
このような構成によれば、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報を収集して蓄積するようになっており、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報により特定される車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するので、車両が走行したことのない場所を走行するような状況でも、車両の走行パターンの異常判定を行うことができる。
【0025】
なお、請求項10に記載の発明のように、車両の運転者の運転操作の特性は、車両の走行速度の平均値、発進時の加速度、停車時の減速度の少なくとも1つとすることができる。
【0026】
また、請求項11に記載の発明では、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報に、車両の駐車時における車両の駐車方向を含むようにし、走行パターン判定手段は、現在の車両の駐車時における車両の駐車方向と、車両の駐車時における車両の駐車方向を特定するための情報により特定される車両の駐車時における車両の駐車方向に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴としている。
【0027】
このように、現在の車両の駐車時における車両の駐車方向と、車両の駐車時における車両の駐車方向を特定するための情報により特定される車両の駐車時における車両の駐車方向に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することもできる。
【0028】
ところで、社用車のように複数のユーザにより運転操作が行われるような状況では、複数のユーザによる運転操作による走行軌跡データが蓄積されてしまうことになる。
【0029】
しかし、請求項12に記載の発明では、走行パターン判定手段は、走行軌跡データに含まれる車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報より車両の運転者の運転操作の特性を複数のグループに分類し、当該分類した各車両の運転者の運転操作の特性と、現在の車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを個別に判定するので、社用車のように複数のユーザにより運転操作が行われるような状況でも、比較的精度良く車両の走行パターンの異常判定を行うことができる。
【0030】
また、請求項13に記載の発明では、携帯端末と接続する通信インタフェースを介して携帯端末の識別情報を取得し、予め登録された携帯端末の識別情報が取得されたか否かを判定する携帯端末判定手段と、を備え、走行パターン判定手段は、携帯端末判定手段により予め登録された携帯端末の識別情報が取得されないと判定された場合には、車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴としている。
【0031】
このように、携帯端末と接続する通信インタフェースを介して携帯端末の識別情報を取得し、予め登録された携帯端末の識別情報が取得されないと判定された場合には、車両の走行パターンに異常があると判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載ナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】学習処理のフローチャートである。
【図3】走行データの学習について説明するための図である。
【図4】警告処理のフローチャートである。
【図5】車両の走行パターンの異常判定について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の一実施形態に係る車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置の構成を図1に示す。本車載ナビゲーション装置1は、位置検出器10、地図データ入力器11、入力装置12、記憶装置13、通信装置14、表示装置15および制御部16を備えている。
【0034】
位置検出器10は、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサおよびGPS受信機(何れも図示せず)を有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた車両の現在位置や向きを特定するための情報を制御部16に出力する。
【0035】
地図データ入力器11は、位置検出精度を向上するためのいわゆるマップマッチングデータ、道路の接続を表した道路データ、地図表示のための背景データ、各種施設に関する施設データ等を含む地図データを記憶媒体から読み出して入力するための装置である。なお、地図データを記憶する記憶媒体としては、CD−ROM、DVDまたはハードディスクドライブなどが用いられる。
【0036】
道路データのフォーマットには、リンク情報とノード情報、及びリンク間接続情報などがある。リンク情報としては、リンクを特定するための固有の番号であるリンクIDや、例えば、高速道路、有料道路、一般道あるいは取付道などを示す道路種別(リンククラス)や、道路の幅員、車線数あるいは中央分離帯の有無などを示す道路幅員情報、リンクの始点座標および終点座標や、リンクの長さを示す道路長(リンク長)、などのリンク自体に関する情報がある。一方、ノード情報としては、リンクを結ぶノード固有の番号であるノードIDや、交差点での右左折禁止や、信号機有無などの情報がある。また、リンク間接続情報には、例えば、一方通行などの理由で通行が可か不可かを示すデータなどが設定されている。
【0037】
入力装置12は、表示装置15の表示画面の周囲に設けられた複数のメカニカルスイッチ、当該表示画面に重ねて設けられたタッチパネル等の操作装置からなり、ユーザによるメカニカルスイッチへの操作、タッチパネルへのタッチ操作に応じた信号を制御部16に出力する。
【0038】
記憶装置13は、制御部16の内部とは別に設けられる記憶部で、不揮発性の記憶媒体によって構成され、各種のデータやプログラムなどが記憶される。
【0039】
通信装置14は、無線通信網を介して、携帯電話、PHS端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ等の外部機器と通信するための装置である。
【0040】
表示装置15は、液晶ディスプレイ等の表示画面を有し、制御部16から入力される映像信号に応じた映像を表示画面に表示させる。本表示装置15は、スピーカを有し、制御部16から入力される音声信号に応じた音声をスピーカより出力させることも可能となっている。
【0041】
制御部16は、CPU、ROM、RAM、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0042】
制御部16の処理には、自車位置特定処理、目的地検索処理、経路設定処理、経路案内処理等がある。自車位置特定処理は、位置検出器10から入力される現在位置を特定するための情報に基づいて周期的に車両の現在位置や向きを特定する処理である。目的地検索処理は、ユーザの操作によって入力された条件に従って、50音検索、電話番号検索、ジャンル検索などによる目的地検索を実施する処理である。経路探索処理は、ノード間を接続するリンク毎の評価値を算出し、出発地から目的地に至るまでの総評価値が小さくなる経路を探索する処理である。経路案内処理は、経路探索処理によって探索された案内経路に従って走行案内を行う処理である。
【0043】
また、制御部16は、実時間を計測するタイマーを用いて年、月、日、曜日、現在時刻を管理するカレンダー機能を備えている。
【0044】
本車載ナビゲーション装置は、車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、車両の走行軌跡についての情報を学習して記憶装置13に記憶させる学習処理と、車両の現在位置と記憶装置13に記憶された車両の走行軌跡についての情報に基づいて車両の走行パターンに異常があることを判定した場合に、警告信号を出力する警告処理を実施する。
【0045】
まず、図2に従って、学習処理について説明する。本車載ナビゲーション装置1は、運転者の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態になると動作状態となり、制御部16は、図2に示す処理を開始する。
【0046】
まず、走行データ取得間隔を設定する(S100)。具体的には、予め記憶装置13に記憶されている走行データ取得間隔の設定値(例えば、10分)を読み出して、走行データ取得間隔を設定する。なお、走行データ取得間隔の設定値は、ユーザ操作により変更することが可能となっている。
【0047】
次に、走行データ取得間隔が経過したか否かを判定する(S102)。ここで、走行データ取得間隔が経過していない場合は、S102の判定はNOとなり、S102の判定を繰り返す。そして、走行データ取得間隔が経過すると、S102の判定はYESとなり、次に、走行データを取得する(S104)。具体的には、位置検出器10より現在位置を特定するための情報を取得して車両の現在位置を示す座標(緯度、経度)を特定するとともに、前回取得した車両の現在位置を示す座標と今回取得した車両の現在位置を示す座標から車両の走行方向を特定する。そして、車両の現在位置、走行方向を含む走行データを、曜日および時刻とともにRAMに記憶させる。なお、本実施形態では、車両の走行方向を、走行中の道路を示すリンクと関連付けて記憶させる。このように、車両の走行方向を、走行中の道路を示すリンクと関連付けることにより、車両が走行中の道路をどちらの方向に走行しているか識別可能となっている。
【0048】
次に、走行データの取得回数が予め定められた基準回数を超えたか否かを判定する(S106)。具体的には、S104にて実施した走行データの取得回数を計数し、計数した走行データの取得回数が基準回数(例えば、6回)を超えたか否かを判定する。
【0049】
ここで、計数した走行データの取得回数が基準回数を超えてない場合、S102へ戻り、走行データの取得を繰り返し実施する。また、計数した走行データの取得回数が基準回数を超えると、S106の判定はYESとなり、次に、走行データを集計する(S108)。具体的には、S102〜S106の処理で取得した複数の走行データをまとめてRAMに記憶させる。
【0050】
例えば、あるユーザが通勤のために自宅から会社まで走行して、図3に示すように、地点A01、A02、A03、・・A06で走行データが取得された場合、地点A01〜A06までの走行データをまとめてRAMに記憶させる。なお、この図3では、曜日および車両の走行方向が省略されている。すなわち、このような走行時には、曜日とともに、7時30分〜8時30分の間に、座標(X01、Y01)から座標(X06、Y06)へ移動したことがRAMに記憶される。
【0051】
次に、同一曜日、同一時間帯における学習結果の読み出しを行う(S110)。具体的には、過去の走行で学習した走行データが曜日毎、時間帯毎に分類して記憶装置13に記憶されるようになっており、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯の走行データを記憶装置13から読み出す。本実施形態では、最近1ヶ月分の走行データが記憶装置13に記憶されるようになっており、この最近1ヶ月の走行データを記憶装置13から読み出す。
【0052】
次に、S108にてRAMに記憶させた走行データとS110にて記憶装置13から読み出した走行データを比較して、走行パターンが共通するか否かに基づいて学習結果に反映させるか否かを判定する(S112)。本実施形態では、S108にてRAMに記憶させた走行データの走行開始地点と走行終了地点と、S110にて記憶装置13読み出した各走行データの走行開始地点と走行終了地点とを比較して、走行開始地点と走行終了地点のいずれかが、それぞれ予め定められた距離(例えば、1キロメートル)以内となっている場合に走行パターンが共通するとして、学習結果に反映させると判定する。反対に、走行開始地点と走行終了地点のいずれも、予め定められた距離以内となっていない場合に走行パターンが共通しないとして、学習結果に反映させないと判定する。
【0053】
ここで、例えば、いつもどおりに自宅から会社へ出勤するような場合、S112の判定はYESとなり、S104にてRAMに記憶させた走行データを記憶装置13に追加記憶させ、収集した走行データを学習結果に反映させる(S114)。このとき、最近1ヶ月を超えた走行データは記憶装置13から消去するようになっている。
【0054】
また、例えば、初めて訪れた旅行先から別の旅行先へ走行するような場合、S112の判定はNOとなり、収集した走行データを学習結果に反映させることなく、S102へ戻る。
【0055】
このようにして、車両の走行軌跡についての走行軌跡データが記憶装置13に蓄積記憶される。
【0056】
図4に、警告処理のフローチャートを示す。次に、この警告処理について説明する。運転者の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオン状態になると、制御部16は、図2に示した学習処理と並行して、図4に示す警告処理を実施する。
【0057】
まず、走行データの集計結果を記憶装置13から読み出し(S200)、次に、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯の走行データを抽出する(S202)。
【0058】
次に、車両の現在位置およびS202にて抽出した走行データに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定する(S204)。具体的には、車両の現在位置およびS202にて抽出した走行データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定する。
【0059】
ここで、図5を参照して、この判定について説明する。ここでは、S202にて、図3に示したような地点A01、A02、・・、A06で走行データが抽出されているものとする。この場合、図5に示すように、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に車両が位置した各地点を中心とした一定半径rの各円形領域に含まれる領域を、上記一定領域として領域データを生成し、車両の現在位置が、この領域データにより示される一定領域に含まれない場合、車両の走行パターンに異常があると判定する。反対に、車両の現在位置が、この領域データにより示される一定領域に含まれる場合、車両の走行パターンに異常がないと判定する。なお、上記したように、車両が位置した各地点を中心とした一定半径rの各円形領域に含まれる領域を一定領域とする領域データを生成し、車両の現在位置が、この領域データにより示される一定領域に含まれるか否かを判定するようにすることで、位置検出誤差を吸収するようにしている。
【0060】
ここで、例えば、平日の夜間で、通常、車両が自宅の駐車場に止められている時間帯に盗難に遭い、車両の現在位置が、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に車両が位置した各地点を中心とした一定半径rの各円形領域に含まれない場合、S204の判定はYESとなり、次に、ユーザ認証のタイミングか否かを判定する(S206)。本実施形態では、車両のエンジンの動作が停止した後、再開したタイミングをユーザ認証のタイミングとする。
【0061】
ここで、車両のエンジンの動作が停止した後、再開したタイミングになるまで、S206の判定はNOとなり、S206の判定を繰り返す。また、車両のエンジンの動作が停止した後、エンジンの動作が再開すると、S206の判定はYESとなり、ユーザ認証を実施する(S208)。本実施形態では、暗証番号の入力を促す画面を表示装置15のディスプレイに表示させ、ユーザ操作に応じて入力装置12より入力される暗証番号と、予め登録されている暗証番号の一致照会を行うことでユーザ認証を行う。
【0062】
次に、ユーザ認証が成立したか否かの可否判定を実施する(S210)。ここで、例えば、正規でないユーザにより誤った暗証番号が入力されたり、一定時間以上が経過しても暗証番号の入力がない場合、ユーザ認証が異常終了し、S210の判定はNOとなり、車両盗難の警告および通報を実施する(S212)。具体的には、通信装置14を介して車両盗難の警告を行うための信号および車両盗難を通報するための信号を出力する。本実施形態では、車両盗難の警告を行うための信号として、クラクションを鳴動させるための信号を出力するとともに、車両盗難を通報するための信号として、例えば、ユーザが所有する携帯電話機のメールアドレス等、予め登録された通知先に、車両盗難を通知するためのメッセージをメール送信するための信号を送出する。
【0063】
また、ユーザ認証が正常終了し、ユーザ認証が成立した場合には、S210の判定はYESとなり、車両盗難の警告および通報を実施することなく、ユーザに車両が位置した各地点を中心とした一定半径rを変更するか否かを確認する(S214)。具体的には、上記一定半径rを変更するか否かを確認する画面を表示装置15のディスプレイに表示させることにより上記一定半径rを変更するか否かを確認する。
【0064】
なお、この一定半径rの値を小さくすることにより、車両盗難の警告の頻度を高くし、一定半径rの値を大きくすることにより、車両盗難の警告の頻度を低くすることができる。すなわち、この一定半径rの値を変更することにより、車両盗難の判定精度を調整することが可能となる。
【0065】
ここで、ユーザ操作に応じて入力装置12より一定半径rを変更する旨の信号が入力されると、ユーザ操作により指定された値に一定半径rを変更し(S216)、S200へ戻る。
【0066】
また、入力装置12より上記一定半径rを変更する旨の信号が入力されない場合、一定半径rの変更を行うことなくS200へ戻る。
【0067】
上記した構成によれば、車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、当該走行軌跡を示す走行軌跡データを蓄積し、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定し、車両の走行パターンに異常があると判定された場合、警告信号が出力されるので、車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置において、より精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることができる。
【0068】
また、車両の走行パターンに異常があると判定された場合、ユーザ認証が実施され、ユーザ認証が異常終了した場合に警告信号が出力される。すなわち、正規のユーザによるユーザ認証が正常終了すれば、警告信号は出力されない。例えば、正規のユーザがいつもの行動パターンと異なる時間に車両を走行させて、車両の走行パターンに異常があると判定された場合でも、ユーザ認証が正常終了すれば、警告信号は出力されることなく、車両盗難防止のための警告を行わないようにすることができる。
【0069】
また、走行軌跡データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定されるので、例えば、火曜日以外には通勤で車両を利用し、火曜日には通勤で車両を利用しないユーザのように、曜日毎に行動パターンが異なるユーザの場合に、特に精度良く車両盗難防止のための警告を行うようにすることができる。
【0070】
具体的には、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に車両が位置した各地点を中心とした一定半径の各円形領域に含まれる領域を、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域として領域データを生成することができる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、車両の走行したリンクに車両の走行方向を関連づけした走行軌跡データを収集し、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンの異常判定を実施したが、例えば、車両が立ち寄った場所と日時を走行軌跡データに含むように蓄積し、S204にて、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両が立ち寄った場所と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。この場合、車両が立ち寄った場所の種別(例えば、スーパー、コンビニエンスストア、ファーストフード、ガソリンスタンド、特定の商店等)および頻度を、曜日別、時間帯別に分類して収集し、車両の走行軌跡についての情報を学習するようにすることで、車両の走行パターンの異常判定の精度を上げることができる。また、車両が立ち寄った場所の頻度が、予め定められた基準値以上であるか否かに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。ここで、ユーザ操作に応じて基準値を変更するようにしてもよく、最初は大きな値にして学習時間が延びるにつれて、徐々に小さくなるように変更するようにしてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、車両の走行したリンクに車両の走行方向を関連づけした走行軌跡データを収集し、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンの異常判定を実施したが、更に、車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時を走行軌跡データに含むように蓄積し、S204にて、更に、車両の現在位置および走行軌跡データに含まれる車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。例えば、楽曲再生の場合、アーティストやジャンルについても学習し、この学習した情報を用いて車両の走行パターンの異常判定を行うことで、車両の走行パターンの異常判定の精度を上げることができる。
【0074】
また、上記実施形態では、車両の走行したリンクに車両の走行方向を関連づけした走行軌跡データを収集し、車両の現在位置および走行軌跡データに基づいて車両の走行パターンの異常判定を実施したが、例えば、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報を収集して蓄積するようにし、S204にて、現在の車両の運転者の運転操作の特性と、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報により特定される車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。このような構成により、車両が走行したことのない場所を走行するような状況でも、車両の走行パターンの異常判定を行うことができる。ここで、車両の運転者の運転操作の特性は、車両の走行速度の平均値、発進時の加速度、停車時の減速度、最高車速、左右旋回時の車速、左右旋回時のステアリング角の変化速度の少なくとも1つとすることができる。また、道路の制限速度と車両の制限速度の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。なお、ステアリング角は、ステアリングセンサより入力される信号に基づいて特定することができる。
【0075】
また、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報に、車両の駐車時における車両の駐車方向を含むようにし、S204にて、現在の車両の駐車時における車両の駐車方向と、車両の駐車時における車両の駐車方向を特定するための情報により特定される車両の駐車時における車両の駐車方向に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。また、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報に、車両の駐車時におけるステアリング角の変化を含むようにし、現在の車両の駐車時におけるステアリング角の変化と、車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報に含まれる車両の駐車時におけるステアリング角の変化に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。また、車両の駐車時における車両の駐車方向とステアリング角の変化の両方に基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを判定するようにしてもよい。なお、車両の駐車方向は、車速センサより入力される車速信号およびシフトレバーの位置を示す信号(リバース信号、パーキング信号、ドライブ信号等)に基づいて特定することができる。
【0076】
ところで、社用車のように複数のユーザにより運転操作が行われるような状況では、複数のユーザによる運転操作による走行軌跡データが蓄積されてしまうことになる。そこで、S204にて、走行軌跡データに基づいて車両の運転者の運転操作を複数のグループに分類し、当該分類した各車両の運転者の運転操作と、現在の車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを個別に判定するようにしてもよい。複数の運転者が運転するような状況では、このように、走行軌跡データに基づいて車両の運転者の運転操作を複数のグループに分類し、当該分類した各車両の運転者の運転操作と、現在の車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて車両の走行パターンに異常があるか否かを個別に判定することにより車両の走行パターンの異常判定の精度を上げることができる。これは、それぞれのユーザが異なる道路を走行する場合(例えば、ユーザAは走行軌跡AA、ユーザBは走行軌跡BBといったようにそれぞれ別の道路を走行する場合)に特に有効である。つまり、走行軌跡がユーザの固有情報の役割を果たしているともいえるからである。より詳しい動作としては、現在の運転者の走行軌跡を監視し、当該走行軌跡が過去に分類した特定のグループに該当するかを判断する。そして、該当する場合にはそのグループに紐付く運転特性情報と、現在の運転者の運転特性情報を比較することになる。
【0077】
しかし、走行軌跡が複数ユーザで同一になる場合も考えられる。このような場合には、以下の様にしてもよい。すなわち、あるユーザが車両を利用する際に、まず、S206の認証とは別の認証を事前に行うようにしておく。これはユーザを特定するためのもので、たとえば本ナビゲーション装置を起動した際にパスワードなどによる認証行為を行う。そして、ユーザが走行予定経路を設定した場合、過去の走行軌跡のデータを参照し、そのユーザが同一の経路を過去に走行したかどうかを検索する。データが存在した場合、そのデータに紐づく運転特性情報と、現在のユーザの運転特性情報を比較することで、車両の走行パターンに異常があるかを判定する。このような構成により、単一車両を複数ユーザが使用する際においても、走行パターンの異常を精度よく異常を判定できるようになる。
【0078】
また、携帯端末と接続する通信インタフェースを介して携帯端末の識別情報を取得し、予め登録された携帯端末の識別情報が取得されたか否かを判定するようにし、携帯端末判定手段により予め登録された携帯端末の識別情報が取得されないと判定された場合には、S204にて、車両の走行パターンに異常があると判定するようにしてもよい。このように、携帯端末と接続する通信インタフェースを介して携帯端末の識別情報を取得し、予め登録された携帯端末の識別情報が取得されないと判定された場合には、車両の走行パターンに異常があると判定することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、暗証番号の一致照会を行うことでユーザ認証を行う構成を示したが、例えば、携帯電話との接続用インタフェース(例えば、ブルートゥース接続用インタフェース)等を介して携帯電話の識別情報を取得してユーザ認証を実施する等、暗証番号の一致照会以外の手法を用いてユーザ認証を行うようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、走行軌跡データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定したが、例えば、走行軌跡データに基づいて、休日または平日の区分が現在と同一区分で、かつ、現在と同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定してもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、最近1ヶ月分の走行データが学習して記憶装置13に記憶される構成を示したが、ユーザ操作によって走行データを学習する期間を変更できるように構成してもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、車両盗難の警告を行うための信号として、クラクションを鳴動させるための信号を出力し、車両盗難を通報するための信号として、ユーザが所有する携帯電話機またはパーソナルコンピュータに車両盗難を通知するためのメッセージをメール送信するための信号を送出したが、例えば、車両盗難の警告を行うための信号として、ヘッドライトを点滅させるための信号、ウィンカを点滅させるための信号等を出力するように構成してもよい。また、車両盗難を通報するための信号として、情報センタに設置された電話機やユーザが所有する電話機等に車両盗難を警告するための音声信号を送出するようにしてもよい。また、車両盗難を通報するための信号に、車両の位置情報を含むようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、車両の走行方向を含むようにして走行データを収集し、警告処理において、収集した走行データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があるか否かを判定したが、例えば、車両の移動方角を含むようにして走行データを収集するようにしておき、警告処理において、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれる場合であっても、車両の現在の走行方向が車両の走行方向を特定するための情報に基づいて特定される車両の走行方向と異なることを判定した場合には、車両の走行パターンに異常があると判定するようにしてもよい。この場合、車両の走行方角と過去の車両の走行方角の一致精度をユーザ操作に応じて変更できるように構成してもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、車両のエンジンの動作が停止した後、再開したタイミングでユーザ認証を実施したが、このようなタイミングに限定されるものではなく、例えば、車両の動力源(エンジン、モータ)の動作が停止した場合など、運転操作への影響の少ないタイミングでユーザ認証を実施するようにしてもよい。また、1時間毎、1日毎といったように、一定時間毎に、ユーザ認証を実施するようにしてもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、常時、学習処理、警告処理を実施する構成を示したが、例えば、長期休暇や長期連休等により、車両の走行パターンが過去の走行パターンと異なることが事前に把握されているような場合を想定し、ユーザ操作に応じて一定期間、学習処理および警告処理を無効にする機能を有してもよい。この一定期間、学習処理および警告処理を無効にする手法としては、表示装置15にメニュー画面を表示させてユーザに入力を促すようにしてもよく、また、ユーザが所有する携帯端末、情報センタ等からスケジュール情報を取得するようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、走行データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定したが、例えば、走行データに基づいて、休日または平日の区分が現在と同一区分で、かつ、現在と同一時間帯に、車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、車両の現在位置が、領域データにより示される一定領域に含まれない場合に、車両の走行パターンに異常があると判定してもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、車両が過去の走行で位置した各地点を中心とした一定半径の各円形領域に含まれる領域を一定領域として領域データを生成したが、一定領域は、このような一定半径の各円形領域に含まれる領域に限定されるものではなく、例えば、矩形領域、多角形、楕円形領域、都道府県や市町村等の行政区域等で区切られた領域としてもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ユーザ操作に応じて車両が過去の走行で位置した各地点を中心とした一定半径rを変更する構成を示したが、ユーザ操作に応じて領域データにより示される一定領域の範囲を変更するように構成してもよい。
【0089】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100〜S114が走行軌跡データ蓄積手段に相当し、S204が走行パターン判定手段に相当し、S212が出力手段に相当し、S208が認証手段に相当し、S216が範囲変更手段に相当する。
【符号の説明】
【0090】
1 車載ナビゲーション装置
10 位置検出器
11 地図データ入力器
12 入力装置
13 記憶装置
14 通信装置
15 表示装置
16 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両盗難防止機能を有する車載ナビゲーション装置であって、
前記車両の走行に伴って走行軌跡を収集し、当該走行軌跡を示す走行軌跡データを蓄積する走行軌跡データ蓄積手段と、
前記車両の現在位置および前記走行軌跡データに基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを判定する走行パターン判定手段と、
前記走行パターン判定手段により前記車両の走行パターンに異常があると判定された場合、警告信号を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする車載ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記走行パターン判定手段により前記車両の走行パターンに異常があると判定された場合、ユーザ認証を実施する認証手段を備え、
前記出力手段は、前記ユーザ認証が異常終了した場合に、前記警告信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記走行パターン判定手段は、前記走行軌跡データに基づいて、現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、前記車両が位置した地点を含む一定領域を示す領域データを生成し、前記車両の現在位置が、前記領域データにより示される前記一定領域に含まれない場合に、前記車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項4】
前記走行軌跡データには、前記車両の走行方向を特定するための情報が含まれており、
前記走行パターン判定手段は、前記車両の現在位置が、前記領域データにより示される前記一定領域に含まれる場合であっても、前記車両の現在の走行方向が前記車両の走行方向を特定するための情報に基づいて特定される前記車両の走行方向と異なることを判定した場合には、前記車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴とする請求項3に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項5】
前記走行パターン判定手段は、前記現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に前記車両が位置した各地点を中心とした一定半径の各円形領域に含まれる領域を、前記現在と同一曜日で、かつ、同一時間帯に、前記車両が位置した地点を含む一定領域として前記領域データを生成することを特徴とする請求項3に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項6】
ユーザ操作に応じて前記領域データにより示される前記一定領域の範囲を変更する範囲変更手段を備えたことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1つに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項7】
前記走行軌跡データ蓄積手段は、前記車両が立ち寄った場所と日時を前記走行軌跡データに含むように蓄積し、
前記走行パターン判定手段は、前記車両の現在位置および前記走行軌跡データに含まれる前記車両が立ち寄った場所と日時に基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項8】
前記走行軌跡データ蓄積手段は、更に、前記車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時を前記走行軌跡データに含むように蓄積し、
前記走行パターン判定手段は、更に、車両の現在位置および前記走行軌跡データに含まれる前記車両に搭載されたオーディオ機器および放送受信機器の少なくとも1つに対する操作と日時に基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項9】
前記車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報を収集して蓄積するようになっており、
前記走行パターン判定手段は、前記現在の前記車両の運転者の運転操作の特性と、前記車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報により特定される前記車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項10】
前記車両の運転者の運転操作の特性は、前記車両の走行速度の平均値、発進時の加速度、停車時の減速度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項11】
前記車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報に、前記車両の駐車時における車両の駐車方向を含むようにし、
前記走行パターン判定手段は、現在の前記車両の駐車時における前記車両の駐車方向と、前記車両の駐車時における車両の駐車方向を特定するための情報により特定される前記車両の駐車時における車両の駐車方向に基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを判定することを特徴とする請求項9に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項12】
前記走行パターン判定手段は、前記走行軌跡データに含まれる前記車両の運転者の運転操作の特性を特定するための情報より前記車両の運転者の運転操作の特性を複数のグループに分類し、当該分類した各車両の運転者の運転操作の特性と、現在の前記車両の運転者の運転操作の特性の乖離の度合いに基づいて前記車両の走行パターンに異常があるか否かを個別に判定することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1つに記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項13】
携帯端末と接続する通信インタフェースを介して前記携帯端末の識別情報を取得し、予め登録された携帯端末の識別情報が取得されたか否かを判定する携帯端末判定手段と、を備え、
前記走行パターン判定手段は、前記携帯端末判定手段により予め登録された携帯端末の識別情報が取得されないと判定された場合には、前記車両の走行パターンに異常があると判定することを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つに記載の車載ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−103115(P2011−103115A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155064(P2010−155064)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】