説明

車載マルチメディア制御システム

【課題】 1つのマルチメディア機器に複数の利用者からアクセスがなされても適切に対応できる車載マルチメディア制御システムを提供する。
【解決手段】 マルチメディア機器5〜8と複数の操作装置2〜4とがネットワーク1で接続された車載マルチメディア制御システムであって、複数の操作装置の各々は、操作先のマルチメディア機器に対するコマンドを入力する操作手段2c、3c、4cと、操作手段から入力されたコマンドに応答して操作先のマルチメディア機器の操作権を取得し、該操作権を取得したマルチメディア機器に対してコマンドを送る制御手段2a、3a、4aとを備え、マルチメディア機器は、操作権を有する操作装置から送られてきたコマンドに従って動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載されて車内ネットワークで接続された複数のマルチメディア機器を制御する車載マルチメディア制御システムに関し、特に1つのマルチメディア機器に対するアクセスの競合を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、DVDプレイヤ、CDプレイヤ、テレビチューナといった複数のマルチメディア機器を車両に搭載することが行われている。このような複数のマルチメディア機器の操作は、各マルチメディア機器に設けられた操作部またはリモートコントローラ(以下、「リモコン」と略する)によって行われる。
【0003】
近年は、車両に搭載された複数のマルチメディア機器をネットワークで接続した車載マルチメディアシステムが考えられている。この場合、複数のマルチメディア機器からの情報を1台のモニタに表示し、また、各マルチメディア機器の操作は1台のリモコンで行われている。
【0004】
関連する技術として、ネットワークで接続された機器のリモコンでの制御を簡単且つ円滑に行うことができるネットワーク接続機器の制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、デジタルインタフェースを備えた複数の機器とそれらの機器間を、デジタルバスを介して相互に接続したネットワーク接続装置において、ネットワーク上の各機器を制御するためのリモコン信号を専用に受光する受光ユニットとリモコン信号のコマンドを解析してネットワーク上の各機器に制御情報を送るための制御機器を設け、該制御機器によりネットワーク内機器の制御を統括的に管理し、被制御機器をノード指定し、ネット経由で制御データを転送して制御する。
【0005】
また、他の関連する技術として、電装機器毎に選択スイッチを設けることなく、ネットワークの拡張性に対応可能で、選択された電装機器の操作性を向上させることができる車両用機器操作装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この車両用機器操作装置は、バスに接続された複数の機器の機器名をモニタの画面上に表示し、モード選択スイッチが、モニタの画面上に表示された複数の電装機器の機器名の内のいずれか1つの機器名を選択すると、制御部はモード選択スイッチにより選択された画面上の機器名を識別表示させ、方向キーは、モード選択スイッチにより選択された画面上の機器名に対応する機器を操作する。
【0006】
【特許文献1】特開2003−87883号公報
【特許文献2】特開2000−94987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来の車載マルチメディアシステムは、1台のモニタしか備えておらず、また、車内ネットワークに接続された複数のマルチメディア機器の操作は、1台のリモコンを用いて行われている。従って、後部座席の人はマルチメディア機器によるマルチメディアリソースを楽しむことができない。
【0008】
そこで、最近は、各座席に車内ネットワークに接続されたモニタやヘッドフォンを配置し、各座席で複数のマルチメディアリソースを楽しむことができるシステムが望まれている。このようなシステムでは、利用者が、各座席に設置されたモニタやヘッドフォンで所望のマルチメディアリソースを再生しようとした場合、1つのマルチメディア機器にアクセスが集中する場合が発生する。このような場合は、複数の利用者からアクセスされたマルチメディア機器は、全てのアクセスに対応するように動作するので操作の混乱が生じる。
【0009】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、1つのマルチメディア機器に複数の利用者からアクセスがなされても適切に対応できる車載マルチメディア制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る車載マルチメディア制御システムは、操作先のマルチメディア機器に対するコマンドを入力する操作手段および該操作手段から入力されたコマンドに応答して前記操作先のマルチメディア機器の操作権を取得し、該操作権を取得したマルチメディア機器に対して前記コマンドを送る制御手段とを有する操作装置と、操作権を有する操作装置から送られてきたコマンドに従って動作するマルチメディア機器とを備え、ネットワークはマルチメディア機器と複数の操作装置とを接続したものである。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、この発明によれば、各操作装置にマルチメディア機器の操作権を付与し、操作権が付与された操作装置のみがマルチメディア機器を操作できるように構成したので、1つのマルチメディア機器に複数の利用者からアクセスがなされても操作の混乱を生じることなく適切な対応が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムの構成を示す図である。この車載マルチメディア制御システムは、車内ネットワーク1に接続されたフロント操作装置2、リア左操作装置3、リア右操作装置4、ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7およびCDプレイヤ8から構成されている。
【0013】
この発明の複数の操作装置には、フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4が含まれる。また、この発明のマルチメディア機器には、ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7およびCDプレイヤ8が含まれる。
【0014】
車内ネットワーク1は、例えば車内に配置されたLAN(Local Area Network)から構成されている。LANは、有線または無線を用いて構成することができる。
【0015】
フロント操作装置2は、例えば車両の運転席または助手席の前に配置される。このフロント操作装置2は、モニタを備えたモニタ付操作部2a、フロントリモコン受光部2bおよびフロントリモコン2cから構成されている。フロントリモコン2cは、この発明の操作手段に対応する。フロントリモコン受光部2bは、フロントリモコン2cから送られてくる赤外線を受光し、リモコン信号としてモニタ付操作部2aに送る。フロントリモコン2cは、複数のマルチメディア機器、つまりナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7およびCDプレイヤ8を共通に操作するために使用される。
【0016】
リア左操作装置3は、例えば車両の後部の左側の座席の前に配置される。このリア左操作装置3は、モニタを備えたモニタ付操作部3a、リア左リモコン受光部3bおよびリア左リモコン3cから構成されている。リア左リモコン3cは、この発明の操作手段に対応する。リア左リモコン受光部3bは、リア左リモコン3cから送られてくる赤外線を受光し、リモコン信号としてモニタ付操作部3aに送る。リア左リモコン3cは、複数のマルチメディア機器を共通に操作するために使用される。
【0017】
リア右操作装置4は、例えば車両の後部の右側の座席の前に配置される。このリア右操作装置4は、モニタを備えたモニタ付操作部4a、リア右リモコン受光部4bおよびリア右リモコン4cから構成されている。リア右リモコン4cは、この発明の操作手段に対応する。リア右リモコン受光部4bは、リア右リモコン4cから送られてくる赤外線を受光し、リモコン信号としてモニタ付操作部4aに送る。リア右リモコン4cは、複数のマルチメディア機器を共通に操作するために使用される。
【0018】
ナビゲーション装置5は、そのモニタ(図示しない)に地図、自車位置マークおよび目的地までの経路を表示するとともに、音声で案内メッセージを発生し、運転者を目的地まで案内する。テレビチューナ6は、テレビジョン放送を受信して映像信号および音声信号を発生する。DVDプレイヤ7は、装着されたDVDを再生して映像信号および音声信号を発生する。
【0019】
CDプレイヤ8は、装着されたCDを再生して音声信号を発生する。ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7およびCDプレイヤ8で発生された映像信号および/または音声信号は、車内ネットワーク1を介してフロント操作装置2、リア左操作装置3またはリア右操作装置4に送られる。
【0020】
図2は、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aの詳細な構成を示すブロック図である。なお、リア左操作装置3のモニタ付操作部3aおよびリア右操作装置4のモニタ付操作部4aの構成は、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aの構成と同じあるので、以下では、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aについてのみ説明する。
【0021】
フロント操作装置2のモニタ付操作部2aは、この発明の制御手段に対応し、表示部21、リモコン処理部22、表示制御部23、車内ネットワーク制御部24および全体制御処理部25から構成されている。
【0022】
表示部21は、例えば液晶ディスプレイから構成されており、モニタとして使用される。この表示部21は、表示制御部23から送られてくる表示データに従って、種々の映像やメッセージを表示する。
【0023】
リモコン処理部22は、フロントリモコン受光部2bから送られてくるリモコン信号を受信して信号解析を行う。このリモコン処理部22における信号解析の結果は、全体制御処理部25に送られる。
【0024】
表示制御部23は、全体制御処理部25から送られてくるデータまたは車内ネットワーク処理部24から送られてくるデータに従って表示データを生成し、表示部21に送る。これにより、映像やメッセージが表示部21に表示される。
【0025】
車内ネットワーク処理部24は、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aと車内ネットワーク1との間の通信を制御するための通信処理を行う。即ち、車内ネットワーク処理部24は、全体制御処理部25から送られてくるデータを車内ネットワーク1に送出するとともに、車内ネットワーク1から送られてくるデータを受信して全体制御処理部25または表示制御部23に送る。
【0026】
全体制御処理部25は、フロント操作装置2の全体を制御する。図3は、全体制御処理部25の詳細な構成を示すブロック図である。全体制御処理部25は、マルチメディア機器状態管理部31、内部状態管理部32、リモコン信号受信部33、操作権判定部34、コマンド生成部35、コマンド送受信部36および操作状況通知部37から構成されている。
【0027】
マルチメディア機器状態管理部31は、車内ネットワーク1に接続されているマルチメディア機器の状態を管理する。具体的には、ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7およびCDプレイヤ8の各々が、フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の何れによって操作されているかを示すデータを記憶している。このマルチメディア機器状態管理部31の内容は、車内ネットワーク処理部24からコマンド送受信部36を介して送られてくるデータに従って更新される。また、このマルチメディア機器状態管理部31の内容は、操作権判定部34によって参照される。
【0028】
内部状態管理部32は、当該フロント操作装置2がマルチメディア機器の各々に対する操作権を有するかどうかを示すデータを記憶している。この内部状態管理部32の内容は、操作権判定部34によって参照され、また、更新される。リモコン信号受信部33は、リモコン処理部22から送られてくるリモコン信号の解析結果を受信し、操作権判定部34に送る。
【0029】
操作権判定部34は、リモコン信号受信部33から送られてくるリモコン信号の解析結果、マルチメディア機器状態管理部31に記憶されているマルチメディア機器の状態および内部状態管理部32に記憶されている自己の状態に従って、マルチメディア機器の操作権の有無を判定する。この操作権判定部34での判定結果は、コマンド生成部35に送られるとともに、操作状況通知部37に送られる。コマンド生成部35は、操作権判定部34から送られてくる判定結果に基づきコマンドを生成し、コマンド送受信部36に送る。
【0030】
コマンド送受信部36は、コマンド生成部35から送られてくるコマンドを車内ネットワーク処理部24に送る。また、コマンド送受信部36は、車内ネットワーク処理部24から送られてくるマルチメディア機器の状態を表すデータを受信し、マルチメディア機器状態管理部31に送る。操作状況通知部37は、操作権判定部34から送られてくる操作権の判定結果に基づくメッセージを生成し、表示制御部23に送る。
【0031】
図4は、マルチメディア機器の1つであるDVDプレイヤ7の詳細な構成を示すブロック図である。なお、他のマルチメディア機器、即ちナビゲーション装置5、テレビチューナ6およびCDプレイヤ8は、この発明の特徴である車内ネットワーク1を介してフロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4との間で通信を行う機能に関してはDVDプレイヤ7と同じであるので、以下では、DVDプレイヤ7についてのみ説明する。
【0032】
このDVDプレイヤ7は、DVD機構部71、車内ネットワーク処理部72、DVD機構制御部73および全体制御処理部74から構成されている。
【0033】
DVD機構部71は、装着されたDVDを再生するための機構、例えばDVDを回転駆動する回転機構やヘッドを移動させる機構などから構成されている。このDVD機構部71の各機構は、DVD機構制御部73からの制御信号により制御される。
【0034】
車内ネットワーク処理部72は、DVDプレイヤ7と車内ネットワーク1との間の通信を制御するための通信処理を行う。即ち、車内ネットワーク処理部72は、全体制御処理部25から送られてくるデータまたはDVD機構部71によってDVDから読み出されたデータを車内ネットワーク1に送出するとともに、車内ネットワーク1から送られてくるデータを受信して全体制御処理部25に送る。
【0035】
DVD機構制御部73は、全体制御処理部74からの指示に応答して、DVD機構部71を制御するための制御信号を生成し、該DVD機構部71に送る。
【0036】
全体制御処理部74は、DVDプレイヤ7の全体を制御する。図5は、全体制御処理部74の詳細な構成を示すブロック図である。この全体制御処理部74は、内部状態管理部41、DVD機構通信部42、操作権判定部43、コマンド生成部44およびコマンド送受信部45から構成されている。
【0037】
内部状態管理部41は、フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の何れがDVDプレイヤ7の操作権を有するかを表すデータを記憶している。この内部状態管理部41の内容は、操作権判定部43からの指示により更新され、また、操作権判定部43によって参照される。DVD機構通信部42は、DVD機構制御部73と操作権判定部43との間で行われる制御信号などの送受を制御する。
【0038】
操作権判定部43は、コマンド送受信部45からコマンドが送られてきた場合に、内部状態管理部32に記憶されている自己の状態およびDVD機構通信部42から得られるDVDの状態に従って、コマンドの送信者の妥当性を判断し、妥当である場合にコマンドを受け付けて動作する。また、操作権判定部43は、DVDプレイヤ7の操作権者を全てのマルチメディア機器に通知すべき旨をコマンド生成部44に指示する。
【0039】
コマンド生成部44は、操作権判定部43からの指示に応答して、DVDプレイヤ7の操作権者を全てのマルチメディア機器に通知するためのコマンドを生成し、コマンド送受信部45に送る。コマンド送受信部45は、コマンド生成部44から送られてくるコマンドを車内ネットワーク処理部72に送る。また、コマンド送受信部45は、車内ネットワーク処理部72から送られてくるコマンドを受信し、操作権判定部43に送る。
【0040】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムの動作を、図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0041】
以下では、フロント操作装置2のフロントリモコン2cからDVDプレイヤ7の再生を要求する場合を例に挙げながら説明する。
【0042】
まず、フロント操作装置2の動作を、図6(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。フロント操作装置2では、フロントリモコン2cから再生の要求を受信すると、まず、操作先機器が動作中であるかどうかが調べられる(ステップST10)。具体的には、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aに含まれるリモコン処理部22は、フロントリモコン2cからの赤外線を受光したフロントリモコン受光部2bから送られてくるリモコン信号を解析する。この解析の結果、例えばDVDプレイヤ7の再生要求であることが判断されると、その旨が全体制御処理部25に送られる。全体制御処理部25では、リモコン信号受信部33は、リモコン処理部22から送られてくるDVDプレイヤ7の再生要求を受信して操作権判定部34に送る。操作権判定部34は、マルチメディア機器状態管理部31に記憶されているDVDプレイヤ7の状態を参照することにより、該DVDプレイヤ7が動作中であるかどうかを調べる。
【0043】
上記ステップST10で、操作先機器、つまりDVDプレイヤ7が動作中でないことが判断されると、フロント操作装置2は、操作権を取得する(ステップST13)。具体的には、操作権判定部34は、自己(フロント操作装置2)がDVDプレイヤ7の操作権を有する旨を内部状態管理部32に記憶する。これにより、この車載マルチメディア制御システムでは、動作していないマルチメディア機器に最初にアクセスしたフロント操作装置2、リア左操作装置3またはリア右操作装置4が、そのマルチメディア機器の操作権者になる機能が実現されている。
【0044】
次いで、操作先、つまりDVDプレイヤ7に再生コマンドが送信される(ステップST14)。より詳しくは、操作権判定部34は、再生コマンドの生成をコマンド生成部35に指示する。コマンド生成部35は、この指示に応答して再生コマンドを生成し、コマンド送受信部36に送る。コマンド送受信部36は、コマンド生成部35から受け取った再生コマンドを車内ネットワーク処理部24に送る。これにより、再生コマンドは、車内ネットワーク1を介してDVDプレイヤ7に送られる。
【0045】
上記ステップST10で、操作先機器、つまりDVDプレイヤ7が動作中であることが判断されると、次いで、自己(フロント操作装置2)が操作権を有するかどうかが調べられる(ステップST11)。即ち、操作権判定部34は、内部状態管理部32の内容を参照し、DVDプレイヤ7の操作権を有するかどうかを調べる。
【0046】
このステップST11で操作権を有することが判断されると、シーケンスはステップST13に進み、上述した処理が実行される。一方、ステップST11で操作権を有しないことが判断されると、モニタに操作不可の旨が表示される(ステップST12)。具体的には、操作権判定部34は、操作権を有しない旨を表すメッセージを操作状況通知部37に送る。操作状況通知部37は、例えば「操作不可」というメッセージを生成し、表示制御部23に送る。表示制御部23は、操作状況通知部37から受け取ったメッセージに基づき表示データを生成して表示部21に送る。これにより、表示部21に、「操作不可」というメッセージが表示される。
【0047】
次に、DVDプレイヤ7の動作を、図6(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。DVDプレイヤ7では、マルチメディア機器から車内ネットワーク1を介してコマンドを受信すると、まず、自己が動作中であるかどうかが調べられる(ステップST20)。具体的には、DVDプレイヤ7の車内ネットワーク処理部72は、車内ネットワーク1からコマンドを受信して全体制御処理部74に送る。全体制御処理部74の操作権判定部43は、車内ネットワーク処理部72からコマンド送受信部45を介してコマンドを受け取ると、内部状態管理部41を参照し、フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の何れかがDVDプレイヤ7の操作権を有するかどうかを調べる。ここで、何れかが操作権を有する場合に動作中であると判断され、何れも操作権を有しない場合に動作中でないと判断される。
【0048】
ステップST20において動作中でないことが判断されると、コマンドの送信者が操作権者とされる(ステップST22)。具体的には、操作権判定部43は、コマンドを送信したフロント操作装置2を操作権者として内部状態管理部41に記憶する。
【0049】
次いで、当該マルチメディア機器の操作権者が全員に通知される(ステップST23)。即ち、操作権判定部43は、DVDプレイヤ7が再生中である旨を表すメッセージを作成し、コマンド生成部44に送る。コマンド生成部44は、DVDプレイヤ7が再生中である旨を表すメッセージをブロードキャストするブロードキャストコマンドを生成し、コマンド送受信部45に送る。コマンド送受信部45は、コマンド生成部44から受け取ったブロードキャストコマンドを車内ネットワーク処理部72に送る。これにより、DVDプレイヤ7が再生中である旨を表すメッセージは、車内ネットワーク1を介してフロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4に送られる。フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の各々は、図6(a)では省略されているが、このブロードキャストコマンドを受信し、マルチメディア機器状態管理部31の内容を更新する。
【0050】
次いで、再生コマンドが受け付けられる(ステップST24)。即ち、操作権判定部43は、再生コマンドを受け付けて、DVD機構通信部42を介してDVD機構制御部73に再生指令を送る。これにより、DVD機構制御部73はDVD機構部71を制御してDVDからデータを読み出し、車内ネットワーク処理部72を介して車内ネットワーク1に送出する。フロント操作装置2の車内ネットワーク処理部24は、車内ネットワーク1から受信したデータを、表示制御部23を介して表示部21に送る。これにより、フロント操作装置2の表示部21に、DVDプレイヤ7に装着されたDVDの内容が表示される。
【0051】
次いで、ステータスが送信される(ステップST25)。即ち、操作権判定部43は、DVDプレイヤ7のステータスを表すメッセージを作成し、コマンド生成部44に送る。コマンド生成部44は、DVDプレイヤ7のステータスを表すメッセージをブロードキャストするブロードキャストコマンドを生成し、コマンド送受信部45に送る。コマンド送受信部45は、コマンド生成部44から受け取ったブロードキャストコマンドを車内ネットワーク処理部72に送る。これにより、DVDプレイヤ7が再生中である旨を表すメッセージは、車内ネットワーク1を介してフロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4に送られる。フロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の各々は、図6(a)では省略されているが、このブロードキャストコマンドを受信し、DVDプレイヤ7の状態を認識する。
【0052】
上記ステップST20で動作中であることが判断されると、次いで、送信者(フロント操作装置2、リア左操作装置3またはリア右操作装置4)が操作権者であるかどうかが調べられる(ステップST21)。即ち、操作権判定部43は、内部状態管理部41を参照することにより、コマンドの送信者が操作権を有するかどうかを調べる。このステップST21で、送信者が操作権者であることが判断されると、上述したステップST23〜ST25の処理が実行される。一方、送信者が操作権者でないことが判断されると、ステップST23〜ST25の処理はスキップされる。
【0053】
今、リア左操作装置3のリア左リモコン3cからDVDプレイヤ7の停止を要求する場合を考える。この場合、ステップST10で操作先のマルチメディア機器(DVDプレイヤ7)は動作中と判断されるので、シーケンスはステップST11に進む。ステップST11では、リア左操作装置3は操作権を有しないことが判断され、シーケンスはステップST12に進む。そして、このステップST12において、リア左操作装置3はDVDプレイヤ7を操作できない旨がモニタに表示される。
【0054】
以上説明したように、この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムによれば、車内ネットワーク1に接続された操作装置であるフロント操作装置2、リア左操作装置3またはリア右操作装置4に、マルチメディア機器であるナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7またはCDプレイヤ8の操作権を付与し、操作権が付与された操作装置のみがマルチメディア機器を操作できるように構成したので、1つのマルチメディア機器に複数の操作装置からアクセスがなされても操作の混乱を生じることなく適切な対応が可能になる。また、1つの操作装置が1つのマルチメディア機器を使用して例えば映画などを視聴中に、他の操作装置が割り込んでそのマルチメディア機器の操作をすることはできないので、邪魔をされないで映画などを視聴できる。
【0055】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムは、操作装置の間でマルチメディア機器の操作権を譲渡できるようにしたものである。
【0056】
実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの構成は、操作装置の全体制御処理部25の構成を除き、実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムの構成と同じである。
【0057】
図7は、実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムのフロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の各々に含まれる全体制御処理部25の構成を示すブロック図である。この全体制御処理部25は、実施の形態1のそれにタイマ判定部38が追加されるとともに、コマンド送受信部36で受信されたデータがマルチメディア機器状態管理部31の他に、操作権判定部34にも送られるように変更されている。
【0058】
タイマ判定部38は、所定時間(この実施の形態2では、10秒間)が経過したかどうかを計測する。このタイマ判定部38は、操作権判定部34により参照される。
【0059】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの動作を、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、DVDプレイヤ7がフロント操作装置2の要求により再生中である状態において、リア左操作装置3からフロント操作装置2に対し操作権の譲渡を要求する場合を例に挙げながら説明する。
【0060】
まず、リア左操作装置3の動作を、図8(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。リア左操作装置3では、リア左リモコン3cから操作権譲渡要求を受信すると、操作権者に対し、操作権譲渡要求コマンドが送信される(ステップST30)。具体的には、リア左操作装置3のモニタ付操作部3aに含まれるリモコン処理部22は、リア左リモコン3cからの赤外線を受光したリア左リモコン受光部3bから送られてくるリモコン信号を解析する。この解析の結果、DVDプレイヤ7の操作権譲渡要求であることが判断されると、その旨が全体制御処理部25に送られる。全体制御処理部25では、リモコン信号受信部33は、リモコン処理部22から送られてくるDVDプレイヤ7の操作権譲渡要求を受信して操作権判定部34に送る。操作権判定部34は、操作権譲渡要求コマンドの生成をコマンド生成部35に指示する。コマンド生成部35は、この指示に応答して操作権譲渡要求コマンドを生成し、コマンド送受信部36に送る。コマンド送受信部36は、コマンド生成部35から受け取った再生コマンドを車内ネットワーク処理部24に送る。これにより、操作権譲渡要求コマンドは、車内ネットワーク1を介してフロント操作装置2に送られる。その後、リア左操作装置3は、応答コマンドの受信待ちの状態になる。
【0061】
この応答コマンドの受信待ちの状態で、フロント操作装置2から操作権譲渡要求コマンドに対して応答コマンドが送られてくると、その応答コマンドは譲渡可を示しているかどうかが調べられる(ステップST31)。即ち、操作権判定部34は、フロント操作装置2から車内ネットワーク1、車内ネットワーク処理部24およびコマンド送受信部36を介して受け取った応答コマンドが譲渡可を示しているかどうかを調べる。
【0062】
このステップST31で、応答コマンドは譲渡可を示していないことが判断されると、モニタに操作不可の旨がメッセージやアイコンで表示される(ステップST32)。このステップST32の処理は、図6のステップST12における処理と同じであり、以下において行われるモニタへの表示も同様である。
【0063】
一方、ステップST31で、応答コマンドは譲渡可を示していることが判断されると、モニタに操作権取得の旨がメッセージやアイコンで表示される(ステップST33)。次いで、操作権が取得される(ステップST34)。具体的には、操作権判定部34は、自己(リア左操作装置3)がDVDプレイヤ7の操作権を有する旨を内部状態管理部32に記憶する。
【0064】
次いで、操作対象機器の操作権取得が全員に通知される(ステップST35)。即ち、操作権判定部34は、DVDプレイヤ7の操作権を取得した旨を表すメッセージを作成し、コマンド生成部35に送る。コマンド生成部35は、そのメッセージをブロードキャストするブロードキャストコマンドを生成し、コマンド送受信部45に送る。コマンド送受信部45は、コマンド生成部44から受け取ったブロードキャストコマンドを車内ネットワーク処理部72に送る。これにより、リア左操作装置3がDVDプレイヤ7の操作権を有する旨を表すメッセージは、車内ネットワーク1を介して全ての操作装置およびマルチメディア機器に送られる。フロント操作装置2およびリア右操作装置4の各々は、図8(a)では省略されているが、このブロードキャストコマンドを受信し、マルチメディア機器状態管理部31の内容を更新する。また、DVDプレイヤ7は、このブロードキャストコマンドを受信し、内部状態管理部41の内容を更新する。
【0065】
次に、フロント操作装置2の動作を、図8(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、全体制御処理部25における信号やデータの流れは既に説明した通りであるので、以下では、各ステップにおける全体制御処理部25の詳細な動作の説明は省略する。
【0066】
フロント操作装置2では、リア左操作装置3から車内ネットワーク1を介して操作権譲渡要求コマンドが受信されると、その旨がモニタに表示される(ステップST40)。操作権譲渡要求コマンドが受信された旨の表示は、例えば「操作要求有り」というメッセージや特別なアイコンなどを表示部21に表示することにより行うことができる。この際、タイマ判定部38が起動される。フロント操作装置2の利用者は、DVDプレイヤ7を操作する必要がなければ、フロントリモコン2cを操作し、DVDプレイヤ7の操作権をリア左操作装置3に譲渡するコマンドを発行するボタンを押下する。
【0067】
次いで、フロントリモコン3cから入力があったかどうかが調べられる(ステップST41)。ここで、入力があったことが判断されると、その入力は譲渡可を指示する入力であるかどうかが調べられる(ステップST42)。そして、譲渡可を指示する入力であることが判断されると、譲渡可を示す応答コマンドが生成されてリア左操作装置3に送信される(ステップST45)。一方、譲渡不可を指示する入力であることが判断されると、譲渡不可を示す応答コマンドが生成されてリア左操作装置3に送信される(ステップST44)。
【0068】
上記ステップST41で、フロントリモコン3cから入力がないことが判断されると、10秒が経過したかどうかが調べられる(ステップST43)。これは、タイマ判定部38により10秒が計時されたかどうかを調べることにより行われる。ここで、10秒が経過していないことが判断されると、シーケンスはステップST41に戻り、以下、ステップST41およびST43が繰り返し実行される。
【0069】
これらステップST41およびST43の繰り返し実行の途中で、ステップST43において10秒が経過したことが判断されると、フロント操作装置2の利用者が何らかの理由により操作権譲渡要求に応答しないことが認識され、シーケンスはステップST45に進む。
【0070】
以上説明したように、この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムによれば、車内ネットワーク1に接続された1つの操作装置(フロント操作装置2、リア左操作装置3またはリア右操作装置4)が他の操作装置にマルチメディア機器(ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7またはCDプレイヤ8)の操作権譲渡を要求し、この要求に応じて他の操作装置は操作権を譲渡できるように構成したので、一人の利用者のみが、あるマルチメディア機器の操作を占有することを回避できる。
【0071】
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムは、実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムにおいて、操作権に関するメッセージを、操作装置のモニタに表示するのではなく、リモコンに出力するようにしたものである。
【0072】
図9は、この実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムの構成を示す図である。この車載マルチメディア制御システムは、実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムのフロント操作装置2のモニタ付操作部2a、リア左操作装置3のモニタ付操作部3aおよびリア右操作装置4のモニタ付操作部4aに、赤外線を発生するフロント発光部2d、リア左発光部3dおよびリア右発光部4dがそれぞれ追加されて構成されている。
【0073】
図10は、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aの詳細な構成を示すブロック図である。なお、リア左操作装置3のモニタ付操作部3aおよびリア右操作装置4のモニタ付操作部4aの構成は、フロント操作装置2のモニタ付操作部2aの構成と同じある。
【0074】
このフロント操作装置2のモニタ付操作部2aは、リモコン処理部22がフロントリモコン受光部2bから送られてくるリモコン信号を受信して信号解析を行うことに加え、全体制御処理部25から送られてくる信号をフロント発光部2dに送る点が、実施の形態2のそれと異なる。
【0075】
図11は、この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムで使用されるフロントリモコン2cの構成を示す図である。なお、リア左リモコン3cおよびリア右リモコン4cの構成は、フロントリモコン2cの構成と同じあるので、以下では、フロントリモコン2cについてのみ説明する。
【0076】
フロントリモコン2cは、受光部50、表示部51、カーソル操作部52、キー操作部53およびバイブレーション動作部54から構成されている。表示部51およびバイブレーション動作部54は、この発明の報知手段に対応する。
【0077】
受光部50は、フロント操作装置2のフロント発光部2dから送られてくる赤外線を受光する。表示部51は、LEDや液晶ディスプレイなどから構成されており、簡単な情報を表示する。カーソル操作部52は、表示部51に表示されるカーソルを移動させるために使用される。キー操作部53は、各種コマンドを入力するために使用される。バイブレーション動作部54は、バイブレーションで利用者に事象の発生を通知するために使用される。
【0078】
図12は、実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムのフロント操作装置2、リア左操作装置3およびリア右操作装置4の各々に含まれる全体制御処理部25の構成を示すブロック図である。この全体制御処理部25は、実施の形態2のそれ(図7参照)からに操作状況通知部37を除去し、リモコン信号受信部33がリモコン信号送受信部39に変更されて構成されている。
【0079】
リモコン信号送受信部39は、リモコン処理部22からの信号を受信して操作権判定部34に送るとともに、操作権判定部34で生成されたメッセージをリモコン処理部22へ送る。リモコン処理部22は、リモコン信号送受信部39から送られてきたメッセージを、フロント発光部2d、リア左発光部3dおよびリア右発光部4dを介してフロントリモコン2c、リア左リモコン3cおよびリア右リモコン4cにそれぞれに送る。
【0080】
上記のように構成される実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムの動作は、操作権判定部34がメッセージを、リモコン信号送受信部39、リモコン処理部22および発光部(フロント発光部2d、リア左発光部3dまたはリア右発光部4d)を介してリモコン(フロントリモコン2c、リア左リモコン3cまたはリア右リモコン4c)に送ることを除けば、実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの動作と同じである。
【0081】
メッセージを受信したフロントリモコン2c、リア左リモコン3cまたはリア右リモコン4cは、メッセージの内容を表示部51に簡易化して表示し、且つバイブレーション動作部54を振動させる。これにより、当該操作装置の利用者は、他の操作装置からメッセージが受信されたことを知ることができる。なお、バイブレーション動作部54を振動させる代わりに、またはバイブレーション動作部54を振動させると同時に表示画面をフラッシュさせるように構成することもできる。
【0082】
以上説明したように、この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムによれば、操作装置のモニタ付操作部の表示部21にメッセージが表示されることがないので、例えばDVDを視聴中の利用者に不快感を与えることがない。
【0083】
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車載マルチメディア制御システムは、他の操作装置からの操作権譲渡要求を一定期間だけ遮断できるようにしたものである。
【0084】
実施の形態4に係る車載マルチメディア制御システムの構成は、操作装置の全体制御処理部25の構成を除き、実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの構成と同じである。
【0085】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの動作を、図13および図14に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、以下では、DVDプレイヤ7がフロント操作装置2の要求により再生中である状態において、リア左操作装置3からフロント操作装置2に対してなされた操作権の譲渡要求を排除する場合を例に挙げて説明する。
【0086】
まず、操作権譲渡要求の遮断を設定する動作を、図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。DVDプレイヤ7の操作権を持つフロント操作装置2の利用者は、フロントリモコン2cを操作して、遮断時間の設定を行う(ステップST50)。この設定は、例えば、モニタに予め設定された値をカーソル操作で選択して決定するか、遮断時間を表す数字を直接入力することにより行うことができる。
【0087】
次いで、当該フロント操作装置2は、操作権譲渡要求の遮断中である旨が設定される(ステップST51)。これにより、以降は、当該フロント操作装置2に対する操作権譲渡要求があっても、上記ステップST50で設定された時間が経過するまで操作権譲渡要求の受付は遮断される。
【0088】
次に、操作権譲渡要求を受信したフロント操作装置2の動作を、図14(a)に示すフローチャートを参照しながら説明する。図14(a)のフローチャートに示す処理は、この発明の遮断手段に対応する。
【0089】
フロント操作装置2では、リア左操作装置3から車内ネットワーク1を介して操作権譲渡要求コマンドが受信されると、操作権譲渡要求の遮断中であるかどうかが調べられる(ステップST60)。ここで、操作権譲渡要求の遮断中であることが判断されると、操作権譲渡要求の受信処理が実行される(ステップST61)。このステップST61における受信処理は、図8(b)のフローチャートに示した処理と同じである。
【0090】
一方、ステップST60で、操作権譲渡要求の遮断中でないことが判断されると、遮断中である旨の通知が行われる(ステップST62)。即ち、フロント操作装置2は、操作権譲渡要求を送信したリア左操作装置3に対して、遮断中である旨を表す応答メッセージを送信する。この応答メッセージは、例えば、「あと、何分間で終わります」などとすることができる。
【0091】
次に、操作権譲渡要求に対する応答メッセージを受信したリア左操作装置3の動作を、図14(b)に示すフローチャートを参照しながら説明する。応答メッセージを受信したリア左操作装置3は、モニタ付操作部3aの表示部21に、操作権譲渡要求の遮断中での旨を表示する(ステップST70)。
【0092】
以上説明したように、この発明の実施の形態4に係る車載マルチメディア制御システムによれば、操作権譲渡要求を遮断する時間を設定しておくことにより、操作権譲渡要求がある毎にリモコンを操作して応答する必要がないので、利用者の煩わしさを解消できる。
【0093】
実施の形態1〜4では、ナビゲーション装置5、テレビチューナ6、DVDプレイヤ7及びCDプレイヤ8等を各々独立した機器として説明したが、これら機能を組合せて1つの装置とした構成であっても良いことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムを構成するフロント操作装置のモニタ付操作部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示すフロント操作装置のモニタ付操作部に含まれる全体制御処理部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムを構成するDVDプレイヤの詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】図2に示すDVDプレイヤに含まれる全体制御処理部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る車載マルチメディア制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムを構成するフロント操作装置のモニタ付操作部に含まれる全体制御処理部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る車載マルチメディア制御システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムの構成を示す図である。
【図10】この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムを構成するフロント操作装置のモニタ付操作部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態3に係る車載マルチメディア制御システムを構成するフロント操作装置のフロントリモコンの構成を示す図である。
【図12】図10に示すフロント操作装置のモニタ付操作部に含まれる全体制御処理部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態4に係る車載マルチメディア制御システムにおいて操作権譲渡要求の遮断を設定する動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】この発明の実施の形態4に係る車載マルチメディア制御システムにおいて操作権譲渡要求を遮断する動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0095】
1 車内ネットワーク、2 フロント操作装置、2a フロント操作装置のモニタ付操作部、2b フロントリモコン受光部、2c フロントリモコン、2d フロントリ発光部、3 リア左操作装置、3a リア左操作装置のモニタ付操作部、3b リア左リモコン受光部、3c リア左リモコン、3d リア左発光部、4 リア右操作装置、4a リア右操作装置のモニタ付操作部、4b リア右リモコン受光部、4c リア右リモコン、4d リア右発光部、5 ナビゲーション装置、6 テレビチューナ、7 DVDプレイヤ、8 CDプレイヤ、21 表示部、22 リモコン処理部、23 表示制御部、24 車内ネットワーク処理部、25 全体制御処理部、31 マルチメディア機器状態管理部、32 内部状態管理部、33 リモコン信号受信部、34 操作権判定部、35 コマンド生成部、36 コマンド送受信部、37 操作状況通知部、38 タイマ判定部、50 受光部、51 表示部、52 カーソル操作部、53 キー操作部、54 バイブレーション動作部、71 DVD機構部、72 車内ネットワーク処理部、73 DVD機構制御部、74 全体制御処理部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作先のマルチメディア機器に対するコマンドを入力する操作手段および該操作手段から入力されたコマンドに応答して前記操作先のマルチメディア機器の操作権を取得し、該操作権を取得したマルチメディア機器に対して前記コマンドを送る制御手段とを有する操作装置と、
操作権を有する操作装置から送られてきたコマンドに従って動作するマルチメディア機器と、
前記マルチメディア機器と複数の操作装置とを接続するネットワークとを備えた車載マルチメディア制御システム。
【請求項2】
制御手段は、
マルチメディア機器の状態を記憶するマルチメディア機器状態管理部と、
自操作装置の状態を記憶する内部状態管理部と、
操作手段から入力されたコマンドによって指定された操作先のマルチメディア機器が前記マルチメディア機器状態管理部により動作中でないことが示されている場合、または動作中であることが示されており且つ前記内部状態管理部により自操作装置が前記操作先のマルチメディア機器の操作権を有することが示されている場合に、該操作先のマルチメディア機器に前記操作手段から入力されたコマンドを送信する操作権判定部
とを備えたことを特徴とする請求項1記載の車載マルチメディア制御システム。
【請求項3】
制御手段は、
操作権判定部からのメッセージに基づき操作状況を外部に通知する操作状況通知部を備え、
操作権判定部は、
操作手段から入力されたコマンドによって指定された操作先のマルチメディア機器が動作中であることが示されており且つ前記内部状態管理部により自操作装置が前記操作先のマルチメディア機器の操作権を有しないことが示されている場合に、操作不可である旨のメッセージを前記操作状況通知部に送ることを特徴とする請求項2記載の車載マルチメディア制御システム。
【請求項4】
マルチメディア機器は、
自己が動作中でない時に操作装置からコマンドが送られてきた場合、または自己が動作中であって且つ操作権を有する操作装置からコマンドが送られてきた場合に、該コマンドを受け付けて動作することを特徴とする請求項1記載の車載マルチメディア制御システム。
【請求項5】
複数の操作装置の各々の操作手段は、
他の操作装置に対するマルチメディア機器の操作権譲渡要求を入力し、
制御手段は、
前記操作手段から入力された操作権譲渡要求に応答して前記他の操作装置から送られてくる応答に従って前記マルチメディア機器の操作権を取得することを特徴とする請求項1記載の車載マルチメディア制御システム。
【請求項6】
複数の操作装置の各々の操作手段は、操作権譲渡要求を受信した旨を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項5記載の車載マルチメディア制御システム。
【請求項7】
複数の操作装置の各々は、他の操作装置からの操作権譲渡要求を遮断する遮断手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の車載マルチメディア制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−33375(P2006−33375A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−208821(P2004−208821)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】