説明

車載ランプ駆動装置

【課題】車載ランプの昼間の消費電力を削減して省電力化が図れる車載ランプ駆動装置を提供する。
【解決手段】開口部がカバーで覆われたランプハウジング820に収容された方向指示灯82が消灯しているときに、前記カバーを通じてランプハウジング820内に透過する外光から、照度センサ63によって周囲の明るさを検出する。検出された明るさが所定レベル以上である場合、車載バッテリ4からFET61を介して後退灯91,92に与えられる電力が、基準照度に対する周囲の明るさの対数値に反比例するように、制御部62のCPU621がPWM制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された車載ランプを車載電源から供給された電力によって点灯させる車載ランプ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のオルタネータが発電及び整流した電圧は定電圧制御及び昇降圧制御されてバッテリに与えられ、このバッテリの電圧が、車両の前部、後部及び側部に搭載された各車載ランプに供給される。このため、通常の傾向として、発電される電力量が増した場合及びバッテリの全負荷が軽い場合、車載ランプに与えられる電圧が上昇して輝度が上がり、バッテリの残容量(SOC;State of Charge)が減少した場合、車載ランプに与えられる電圧が低下して輝度が下がる。
【0003】
また、バッテリの残容量が減少した状態で車載ランプ等への負荷へ電圧を与え続けた場合、バッテリが過放電して損傷を受ける虞がある。このため、バッテリの残容量に関わらず、上記負荷へ供給する電力を制限することが好ましいが、むやみに車載ランプへ供給する電力を制限して車載ランプの輝度を下げた場合、安全上の問題が生じることが多い。但し、一部の車載ランプについては、例えば昼間に輝度を下げて点灯させることにより、安全性を損なうことなく消費電力が削減可能である。
【0004】
これに対し、特許文献1では、バッテリ、キャパシタ、燃料電池等の車載電源の残容量と車外の明るさとを考慮して、車載電源からヘッドライトを初めとする照明装置(車載ランプ)へ供給する電力量を自動調整し、場合によっては電力の供給を自動停止させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−188122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、車載電源の残容量が低下した場合に車載ランプの省電力化を図るものであり、車載電源の残容量が減少していない場合にも車載ランプへ供給する電力を削減できるものではなかった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車載ランプの昼間の消費電力を削減して省電力化が図れる車載ランプ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、外部に光を発すべく車両に搭載された車載ランプを車載電源から供給された電力によって点灯させる車載ランプ駆動装置において、前記車載電源から負荷へ供給すべき電力をパルス状に給電する給電回路と、光を通過させる開口部にカバーを有するランプハウジングに収容された第2の車載ランプと、前記ランプハウジング内に配されており、前記第2の車載ランプが消灯しているときに周囲の明るさを検出する検出器と、該検出器が検出した明るさが所定レベル以上であるか否かを判定する手段とを備え、該手段が所定レベル以上であると判定した場合、前記車載ランプを前記給電回路から供給された電力によって点灯させるようにしてあることを特徴とする。
【0009】
本発明にあっては、光が通過する開口部がカバーで覆われたランプハウジングに収容された第2の車載ランプが消灯しているときに、前記カバーを通じてランプハウジング内に透過する外光から周囲の明るさを検出する。そして、検出された明るさが所定レベル以上である場合、車載電源からパルス状に電力を給電する給電回路から供給された電力によって車載ランプを点灯させる。
これにより、外部の気候変動から守られた既存の車両空間内から周囲の明るさを検出し、周囲が所定レベル以上に明るい場合は、車載ランプに対して間欠的に給電することによって供給する電力を削減させる。
【0010】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、前記第2の車載ランプは、方向指示灯又は非常停止灯であることを特徴とする。
【0011】
本発明にあっては、第2の車載ランプが、毎分60から120回点滅する方向指示灯(ウィンカー)又は非常停止灯(ハザードランプ)であるため、最大でも1秒以内に周囲の照度が検出される。
【0012】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、外部に光を発すべく車両に搭載されており、光を通過させる開口部にカバーを有するランプハウジングに収容された車載ランプを車載電源から供給された電力によって点灯及び消灯させる車載ランプ駆動装置において、前記車載電源から負荷へ供給すべき電力をパルス状に給電する給電回路と、前記ランプハウジング内に配されており、前記車載ランプが消灯しているときに周囲の明るさを検出する検出器と、前記車載ランプを点灯させる場合、前記検出器が検出した明るさが所定レベル以上であるか否かを判定する手段とを備え、該手段が所定レベル以上であると判定した場合、前記車載ランプを前記給電回路から供給された電力によって点灯させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明にあっては、光が通過する開口部がカバーで覆われたランプハウジングに収容された車載ランプが消灯しているときに、前記カバーを通じてランプハウジング内に透過する外光から周囲の明るさを検出する。そして、車載ランプを点灯させる場合、検出された明るさが所定レベル以上であるときは、車載電源からパルス状に電力を給電する給電回路から供給された電力によって車載ランプを点灯させる。
これにより、外部の気候変動から守られた既存の車両空間内から周囲の明るさを検出し、周囲が所定レベル以上に明るい場合は、車載ランプに対して間欠的に給電することによって供給する電力を削減させる。
尚、車載ランプを間欠的に点灯させる場合、保安基準等による規制を満たして連続点灯と視認されるように点灯させるものとする。
【0014】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、前記車載ランプは後退灯であることを特徴とする。
【0015】
本発明にあっては、車載ランプが後退灯(バックランプ)であり、周囲の明るさが所定レベル未満である場合、車載電源から後退灯に直接的に電力が供給され、後方が明るく照明される。また周囲の明るさが所定レベル以上の場合、後退灯に供給する電力を削減したとしても、運転席から視認される視界の照度に不足は生じないため、安全性が損なわれることがない。
【0016】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、前記給電回路は、前記負荷へ供給すべき電力をPWM制御するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、給電回路が負荷に供給すべき電力をPWM制御するため、周囲の明るさの変化に応じて車載ランプの輝度を容易に変化させることができる。
【0018】
本発明に係る車載ランプ駆動装置は、前記検出器が検出した明るさの強弱に応じて、前記給電回路が供給する電力を小大に変化させるようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、周囲の明るさの強弱に応じて、車載ランプに供給される電力を小大に変化させる。
これにより、周囲の明るさが強まるのに応じて、車載ランプの輝度を徐々に低下させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ランプハウジングのカバーを通じて内部に透過する外光から周囲の明るさを検出し、検出された明るさが所定レベル以上である場合、車載電源からパルス状に電力を給電して車載ランプを点灯させる。
これにより、外部の気候変動から守られた既存の車両空間内に配設された照度センサによって周囲の明るさを検出し、周囲が所定レベル以上に明るい場合は、車載ランプに対して間欠的に給電することによって供給する電力を削減させる。
従って、車載ランプの昼間の消費電力を削減して省電力化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態1に係る車両が備える各車載ランプの点灯経路を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る車載ランプ駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】後退灯に与えられる電力がPWM制御される様子を説明するための説明図である。
【図4】検出した周囲の明るさに応じて後退灯に与える電力をPWM制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態2に係る車載ランプ駆動装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】検出した周囲の明るさに応じて後退灯に与える電力をPWM制御するCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る車載ランプ駆動装置を車両に適用した実施の形態について詳述する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る車両が備える各車載ランプの点灯経路を模式的に示す説明図である。図中100は車両であり、車両100は、図示しないエンジンに連動して発電するオルタネータ1(車載発電機、交流発電機。図2参照)が発電した電力によって充電される車載バッテリ4をエンジンルームに備え、車載バッテリ4の電圧が、ダッシュボード内に配設された電気接続箱7に与えられる。
【0023】
電気接続箱7に与えられた車載バッテリ4の電圧は、トランクルームの前方に配設された点灯制御回路6に与えられると共に、電気接続箱7によって接断されて、車両100の前側に配された前照灯(ヘッドランプ)11,12、及び後側の両側部に配された方向指示灯(リアウィンカー)81,82に与えられる。方向指示灯81,82は、後方側の開口がカバーで覆われたランプハウジング810,820に夫々収納されている。右側部のランプハウジング820の内部には、車両100の周囲の明るさを検出するための照度センサ(検出器)63が配されており、該照度センサ63の検出信号は点灯制御回路6に与えられる。
【0024】
点灯制御回路6に与えられた車載バッテリ4の電圧は、PWM制御されて車両100の後側の中央部付近に配された後退灯(バックランプ)91,92に与えられる。後退灯91,92は、後方側の開口がカバーで覆われたランプハウジング910,920に夫々収納されている。
尚、図1では、車両100の前側の方向指示灯(フロントウィンカー)、車幅灯(スモールランプ)、及び制動灯(ストップランプ)を省略してある。また、方向指示灯81,82は、非常停止灯(ハザードランプ)としても機能する。
【0025】
図2は、本発明の実施の形態1に係る車載ランプ駆動装置の概略構成を示すブロック図である。図中1はオルタネータであり、オルタネータ1には、オルタネータ1の界磁電流を調整して、オルタネータ1が発電及び整流した電圧を定電圧制御及び昇降圧制御するレギュレータ2が付設されている。オルタネータ1が発電した電力は、複数のヒューズ、リレー及びスイッチを有する電気接続箱7のヒューズF0を通じて、入出力電流値が電流検出器3によって検出される車載バッテリ4に与えられる。電流検出器3の出力は、車載バッテリ4の電圧値を検出する電圧検出器51を有する充電制御ECU5に接続されている。
【0026】
電気接続箱7において、車載バッテリ4の電圧は、ヒューズF1を通じてフラッシャリレー71及びハザードリレー72に印加される。フラッシャリレー71に印加された車載バッテリ4の電圧は、方向指示灯81,82の点滅周期でハザードスイッチSW1のb接点に接断され、前記b接点及びウィンカースイッチSW2のc接点を介して方向指示灯81又は82に与えられる。また、ハザードリレー72に印加された車載バッテリ4の電圧は、非常停止灯の点滅周期でハザードスイッチSW1の2つのa接点に接断され、前記2つのa接点を介して方向指示灯81及び82に夫々与えられる。
【0027】
車載ランプ駆動装置は、点灯制御回路6を備え、点灯制御回路6は、ヒューズF2を通じて車載バッテリ4の電圧を後退灯91,92に印加するためのFET(電界効果トランジスタ)61と、該FET61のオン/オフを制御する制御部62とを有する。FET61のドレイン及びソースは、夫々ヒューズF2及び後退灯91,92と接続されている。
【0028】
制御部62の中枢はCPU621であり、CPU621は、プログラム等の情報を記憶するROM622、一時的に発生した情報を記憶するRAM623、時間を計時するためのタイマ624、FET61のゲートを駆動するゲート駆動回路625、及び各信号を入力する入力回路626と互いにバス接続されている。タイマ624は、後述するPWM制御の際に、FET61のオン時間及びオフ時間を計時するためのものである。
【0029】
入力回路626の入力端子は、FET61のドレイン、変速機10のギアの状態を示す信号線、方向指示灯82のランプハウジング820内に配された照度センサ63、及び方向指示灯82と接続されている。これにより、FET61のドレインの電圧値(即ち、車載バッテリ4の電圧値)、変速機10がバックギアに入っているか否かの状態、照度センサ63の検出信号、及び方向指示灯82が点灯しているか否かの状態が、入力回路626を介してCPU621に取り込まれる。
【0030】
充電制御ECU5は、与えられた車両の速度値に基づいて、アイドリング、加速走行、定常走行、及び減速走行の各車両状態を判定し、判定した車両状態に応じた発電モードで発電が行われるように、オルタネータ1及びレギュレータ2を制御する充電制御を行う。
【0031】
制御部62のCPU621は、ROM622に予め格納されている制御プログラムに従って、入出力、演算等の処理を実行する。より具体的には、CPU621は、変速機10がバックギアに入っていることを検出した場合、方向指示灯82が点灯していないことを検出しているときに、照度センサ63の検出信号を取り込んで周囲の明るさを検出する。そして、検出した明るさが所定レベル以上であると判定した場合、検出したFET61のドレインの電圧値に基づいて、FET61が後退灯91,92に与える電圧をPWM制御する。
【0032】
図3は、後退灯91,92に与えられる電力がPWM制御される様子を説明するための説明図である。図3(a)及び図3(b)の横軸は時間(t)を表し、縦軸は電圧(V)を表す。
図3(a)では、オルタネータ1が発電し、レギュレータ2が定電圧制御及び昇降圧制御して車載バッテリ4に与える電圧を実線で示す。そして、後退灯91,92の定格電圧である12Vを一点鎖線で示す。例えば、車載バッテリ4の負荷が時間の経過と共に変動した場合、車載バッテリ4の電圧をそのまま後退灯91,92に与えたときは、負荷の変動に応じて後退灯91,92に印加される電圧が変化する。
【0033】
図3(b)では、車載バッテリ4の電圧が点灯制御回路6によってPWM制御された場合に、後退灯91,92に与えられる瞬時電圧を実線で示す。このようなPWM制御により、後退灯91,92に与える実効電圧が、図に一点鎖線で示す定格電圧と一致するように制御することができる。例えば、PWM制御する前の実効電圧が13.5Vであり、PWM制御によって実効電圧を12にする場合、節電率は、以下の式(1)により0.21となる。
【0034】
1−(12/13.5)2 ≒0.21・・・・・(1)
【0035】
尚、後退灯91,92に与える実効電圧が任意の電圧となるように、PWM制御することができる。本実施の形態1では、周囲の明るさに応じて後退灯91,92の輝度を徐々に低下させる。
【0036】
以下、本発明の実施の形態1に係る車載ランプ駆動装置が行う動作をフローチャートを用いて説明する。
図4は、検出した周囲の明るさに応じて後退灯91,92に与える電力をPWM制御するCPU621の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部62のROM622に予め格納された制御プログラムに従って、CPU621により実行される。CPU621は、初期化処理を終えた場合、及び点灯させた後退灯91,92を消灯させた場合、以下の処理をスタートさせる。
尚、本実施の形態1では、PWM制御のデューティ比をRAM623の所定アドレスに書き込んで指定することにより、ゲート駆動回路625が、指定されたデューティ比でFET61をオン/オフさせるようにしてある。
【0037】
図4の処理をスタートさせた場合、CPU621は、PWMのデューティ比を0%に指定する(S11)。これにより、後退灯91,92を消灯させる。そして、CPU621は、入力回路626を介して変速機10の状態を取り込み、変速機10がバックギアに入っているか否かを判定する(S12)。バックギアに入っていないと判定した場合(S12:NO)、CPU621は、変速機10がバックギアに入るまで待機する。バックギアに入っていると判定した場合(S12:YES)、CPU621は、PWMのデューティ比を100%に指定する(S13)。これにより、周囲の明るさが検出されるまで、後退灯91,92に車載バッテリ4の電圧をそのまま与える。
【0038】
その後、CPU621は、入力回路626を介して方向指示灯82の点灯状態を取り込み、方向指示灯82が点灯しているか否かを判定する(S14)。点灯していると判定した場合(S14:YES)、CPU621は、変速機10がバックギアに入っているか否かを判定する(S15)。バックギアに入っていると判定した場合(S15:YES)、CPU621は、処理をステップS14に戻す。これにより、方向指示灯82が消灯するまで待機する。変速機10がバックギアに入っていないと判定した場合(S15:NO)、CPU621は、PWMのデューティ比を0%に指定して(S16)後退灯91,92を消灯させ、処理を終了する。
【0039】
ステップS14で方向指示灯82が点灯していないと判定した場合(S14:NO)、CPU621は、入力回路626を介して照度センサ63の検出信号を取り込み、周囲の照度を検出する(S17)。そして、CPU621は、検出した照度が所定の照度(例えば、1000lx)以上であるか否かを判定する(S18)。所定の照度未満であると判定した場合(S18:NO)、CPU621は、処理をステップS13に戻す。これにより、後退灯91,92に車載バッテリ4の電圧を与え続ける。
【0040】
検出した周囲の照度が所定の照度以上であると判定した場合(S18:YES)、CPU621は、検出した照度を基準となる照度(例えば上記所定の照度と同じ1000lx)で割った値の対数をとって「係数」とする(S19)。その後、CPU621は、入力回路626を介して車載バッテリ4の電圧値を取り込み(S20)、後退灯91,92に与える電圧が定格の12VとなるようなPWMのデューティ比「D」を算出する(S21)。そして、CPU621は、「D/係数」を「D」に代入し(S22)、PWMのデューティ比を「D」と指定して(S23)処理をステップS14に戻す。
【0041】
このように、周囲の照度が所定の照度未満である場合、CPU621は、変速機10がバックギアに入っていないことを検出するまで、後退灯91,92に与える電圧のPWM制御を継続する。また、車載バッテリ4の電圧値に基づいて算出したデューティ比である「D」を「係数」で割り算することにより、周囲の明るさが増すに従ってPWMのデューティ比が下がるように制御する。
【0042】
以上にように本実施の形態1によれば、開口部がカバーで覆われたランプハウジングに収容された方向指示灯が消灯しているときに、前記カバーを通じてランプハウジング内に透過する外光から周囲の明るさを検出する。そして、検出された明るさが所定レベル以上である場合、車載バッテリからパルス状に電力を給電する点灯制御回路から供給された電力によって後退灯を点灯させる。
これにより、ランプハウジングという外部の気候変動から守られた既存の車両空間内から周囲の明るさを検出し、周囲が所定レベル以上に明るい場合は、後退灯に対して間欠的に給電することによって供給する電力を削減させる。
従って、後退灯の昼間の消費電力を削減して省電力化を図ることが可能となる。
【0043】
また、方向指示灯が毎分60から120回点滅するため、最大でも1秒以内に方向指示灯が消灯するタイミングが現れて周囲の照度を検出することが可能となる。
【0044】
更にまた、周囲の明るさが所定レベル未満である場合、車載電源から後退灯に直接的に電力が供給され、後方が明るく照明される。また周囲の明るさが所定レベル以上の場合、後退灯に供給する電力を削減したとしても、運転席から視認される視界の照度に不足は生じないため、安全性を損なわずに省電力化することが可能となる。
【0045】
更にまた、点灯制御回路が負荷に供給すべき電力をPWM制御するため、周囲の明るさの変化に応じて後退灯の輝度を容易に変化させることが可能となる。
【0046】
更にまた、車載ランプに供給される電力が、基準照度に対する周囲の明るさの対数値に反比例するように変化させる。
これにより、周囲の明るさが強まるのに応じて、車載ランプの輝度を徐々に低下させることが可能となる。
【0047】
尚、本実施の形態1にあっては、後退灯91,92に車載バッテリ4の電圧をそのまま与える場合及び後退灯91,92を消灯させる場合、PWM制御のデューティ比を夫々100%及び0%としているが、これに限定されるものではなく、例えばリレー接点を用いて車載バッテリ4と後退灯91,92とを接断するようにしてもよい。
【0048】
また、検出した照度を基準照度で割った値の対数をとって「係数」とし、PWM制御のデューティ比である「D」を「係数」で割り算しているが、これに限定されるものではない。例えば、「係数」を算出するときの対数の底を10以外の値にしてもよいし、対数以外の関数によって係数を算出してもよい。
【0049】
更にまた、周囲の明るさが所定レベル以上の場合、周囲の明るさが強まるのに応じて、後退灯91,92の輝度を徐々に低下させているが、これに限定されるものではなく、例えば、周囲の明るさが、前記所定のレベルより大きい第2のレベル以上となったときに、後退灯91,92の輝度を増大させるようにしてもよい。
これにより、点灯している後退灯91,92が外部から視認され易くなる。
【0050】
更にまた、後退灯91,92に供給すべき電力をPWM制御しているが、これに限定されるものではなく、例えば、PAM制御によって電力を制御するようにしてもよい。
【0051】
(実施の形態2)
実施の形態1は、方向指示灯82が消灯しているときに、ランプハウジング820の内部に配された照度センサ63によって外部の明るさを検出する形態であるのに対し、実施の形態2は、後退灯92が消灯しているときに、ランプハウジング920の内部に配された照度センサ63によって外部の明るさを検出する形態である。
【0052】
図5は、本発明の実施の形態2に係る車載ランプ駆動装置の概略構成を示すブロック図である。実施の形態1の図2に対し、図5は、入力回路626に接続された照度センサ63が、後退灯92のランプハウジング920内に配されている点と、方向指示灯82が入力回路626に接続されていない点とが異なる。その他は図2と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0053】
図6は、検出した周囲の明るさに応じて後退灯91,92に与える電力をPWM制御するCPU621の処理手順を示すフローチャートである。以下の処理は、制御部62のROM622に予め格納された制御プログラムに従って、CPU621により実行される。CPU621は、初期化処理を終えた場合、及び点灯させた後退灯91,92を消灯させた場合、以下の処理をスタートさせる。
【0054】
図6の処理をスタートさせた場合、CPU621は、PWMのデューティ比を0%に指定する(S31)。これにより、後退灯91,92を消灯させる。そして、CPU621は、入力回路626を介して照度センサ63の検出信号を取り込み、周囲の照度を検出する(S32)。その後、CPU621は、入力回路626を介して変速機10の状態を取り込み、変速機10がバックギアに入っているか否かを判定する(S33)。バックギアに入っていないと判定した場合(S33:NO)、CPU621は、処理をステップS32に戻す。このようにして、後退灯91,92が消灯しているときに、周囲の照度を検出し続ける。
【0055】
変速機10がバックギアに入っていると判定した場合(S33:YES)、CPU621は、検出した照度が所定の照度(例えば、1000lx)以上であるか否かを判定する(S34)。所定の照度以上であると判定した場合(S34:YES)、CPU621は、ステップS35からS39までの処理を実行してPWM制御のデューティ比を算出する。尚、ステップS35からS39までの処理は、図4のステップS19からS23までの処理と同一であるため、説明を省略する。
【0056】
ステップS34で、検出した照度が所定の照度未満であると判定した場合(S34:NO)、CPU621は、PWM制御のデューティ比を100%に指定する(S40)。これにより、後退灯91,92に車載バッテリ4の電圧をそのまま与える。
【0057】
ステップS39又はS40の処理を終えた場合、CPU621は、変速機10がバックギアに入っているか否かを判定する(S41)。バックギアに入っていると判定した場合(S41:YES)、CPU621は、変速機10がバックギアに入っていないと判定されるまで待機する。バックギアに入っていないと判定した場合(S41:NO)、CPU621は、PWMのデューティ比を0%に指定して(S42)後退灯91,92を消灯させ、処理を終了する。
【0058】
その他、実施の形態1に対応する箇所には同様の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0059】
以上にように本実施の形態2によれば、開口部がカバーで覆われたランプハウジングに収容された後退灯が消灯しているときに、前記カバーを通じてランプハウジング内に透過する外光から周囲の明るさを検出する。そして、検出された明るさが所定レベル以上である場合、車載バッテリからパルス状に電力を給電する点灯制御回路から供給された電力によって後退灯を点灯させる。
これにより、ランプハウジングという外部の気候変動から守られた既存の車両空間内から周囲の明るさを検出し、周囲が所定レベル以上に明るい場合は、後退灯に対して間欠的に給電することによって供給する電力を削減させる。
従って、後退灯の昼間の消費電力を削減して省電力化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0060】
4 車載バッテリ(車載電源)
5 充電制御ECU
6 点灯制御回路(給電回路)
61 FET
62 制御部
621 CPU(判定する手段)
622 ROM
623 RAM
625 ゲート駆動回路
626 入力回路
63 照度センサ(検出器)
7 電気接続箱
81、82 方向指示灯(第2の車載ランプ)
810、820 ランプハウジング
91、92 後退灯(車載ランプ)
910、920 ランプハウジング
10 変速機
100 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部に光を発すべく車両に搭載された車載ランプを車載電源から供給された電力によって点灯させる車載ランプ駆動装置において、
前記車載電源から負荷へ供給すべき電力をパルス状に給電する給電回路と、
光を通過させる開口部にカバーを有するランプハウジングに収容された第2の車載ランプと、
前記ランプハウジング内に配されており、前記第2の車載ランプが消灯しているときに周囲の明るさを検出する検出器と、
該検出器が検出した明るさが所定レベル以上であるか否かを判定する手段とを備え、
該手段が所定レベル以上であると判定した場合、前記車載ランプを前記給電回路から供給された電力によって点灯させるようにしてあること
を特徴とする車載ランプ駆動装置。
【請求項2】
前記第2の車載ランプは、方向指示灯又は非常停止灯であることを特徴とする請求項1に記載の車載ランプ駆動装置。
【請求項3】
外部に光を発すべく車両に搭載されており、光を通過させる開口部にカバーを有するランプハウジングに収容された車載ランプを車載電源から供給された電力によって点灯及び消灯させる車載ランプ駆動装置において、
前記車載電源から負荷へ供給すべき電力をパルス状に給電する給電回路と、
前記ランプハウジング内に配されており、前記車載ランプが消灯しているときに周囲の明るさを検出する検出器と、
前記車載ランプを点灯させる場合、前記検出器が検出した明るさが所定レベル以上であるか否かを判定する手段とを備え、
該手段が所定レベル以上であると判定した場合、前記車載ランプを前記給電回路から供給された電力によって点灯させるようにしてあること
を特徴とする車載ランプ駆動装置。
【請求項4】
前記車載ランプは後退灯であることを特徴とする請求項1から3までの何れか1項に記載の車載ランプ駆動装置。
【請求項5】
前記給電回路は、前記負荷へ供給すべき電力をPWM制御するようにしてあることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項に記載の車載ランプ駆動装置。
【請求項6】
前記検出器が検出した明るさの強弱に応じて、前記給電回路が供給する電力を小大に変化させるようにしてあることを特徴とする請求項5に記載の車載ランプ駆動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−57100(P2011−57100A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209695(P2009−209695)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】