説明

車載レーダシステム

【課題】複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる車載レーダシステムの提供。
【解決手段】第1および第2レーダ装置と、路側物の捕捉点の軌跡ベクトルを算出する軌跡ベクトル算出手段と、自車が直進中であることを検知する走行状態検知手段と、自車が直進中であることが検知された場合、第1レーダ装置における所定の検知方向と路側物の捕捉点の軌跡ベクトルとがなす対路側角度を検知する第1の角度検知手段と、自車が直進中であることが検知された場合、第2レーダ装置における所定の検知方向と路側物の捕捉点の軌跡ベクトルとがなす対路側角度を検知する第2の角度検知手段と、第1の角度検知手段で検知された対路側角度と第2の角度検知手段で検知された対路側角度の差分値を算出する差分角度算出手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車載レーダシステムに関し、より詳しくは、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる車載レーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ACCシステム(アダプティブ・クルーズ・コントロール・システム)等に使用される車載レーダ装置において、その物標検知軸を、予め設定した方向(例えば車両を前後方向に貫く車両中心線方向)に一致させる作業が工場等で行われている(特許文献1参照)。物標検知軸を予め設定した方向に一致させる作業(軸調整作業)は、車両製造時の他、ユーザが車両検査をディーラーに依頼したときにも行われる。物標検知軸の方向は、車両が接触事故を起こした時などに変化する。
【0003】
また、近年は、物標の検知エリアを大きくするために、複数のレーダ装置を搭載する車両が開発されている。例えば、図8に示される車両は、前部中央に前方監視用レーダ装置20、前部左側に左前方監視用レーダ装置21、前部右側に右前方監視用レーダ装置22が配置されている。なお、図8は、前方監視用レーダ装置、左前方監視用レーダ装置、および右前方監視用レーダ装置を搭載する車両を示す上面図である。各レーダ装置は、例えばミリ波レーダ装置であり、物標の位置を距離と方位で特定することができる。前方監視用レーダ装置20、左前方監視用レーダ装置21、および右前方監視用レーダ装置22は、それぞれ、検知エリア23,24,25を有している。なお、ハッチングで示している部分は、検知エリアが重なり合っている部分である。
【0004】
車両に複数のレーダ装置が搭載されている場合、従来は、各レーダ装置の軸調整作業を工場等で個々に独立して行っていた。独立の軸調整作業を行った場合、各軸調整作業で発生した誤差が積み重なるという問題があった。誤差が積み重なると、複数のレーダ装置が同じ物標を検知しても、検知した物標の位置がレーダ装置間で大きくずれてしまう。この場合、複数のレーダ装置が同じ物標を違う物標として認識する可能性があり、物標の検知精度が低下するという問題があった。また、独立の軸調整作業を行うと、レーダ装置の数に比例して軸調整の手間と時間が増大し、効率的に軸調整作業を行うことができないという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる車載レーダシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、
車両に搭載される車載レーダシステムであって、
路側物を含む物標の位置を検知し、互いの検知エリアが一部で重なり合う第1および第2レーダ装置と、
上記第1または上記第2レーダ装置の検知結果に基づき、上記路側物の捕捉点の軌跡ベクトルを算出する軌跡ベクトル算出手段と、
自車が直進中であることを検知する走行状態検知手段と、
上記走行状態検知手段で自車が直進中であることが検知された場合、上記軌跡ベクトルと上記第1レーダ装置の所定の検知方向とがなす対路側角度を検知する第1の角度検知手段と、
上記走行状態検知手段で自車が直進中であることが検知された場合、上記軌跡ベクトルと上記第2レーダ装置の所定の検知方向とがなす対路側角度を検知する第2の角度検知手段と、
上記第1の角度検知手段で検知された上記対路側角度と上記第2の角度検知手段で検知された上記対路側角度の差分値を算出する差分角度算出手段とを備えた、車載レーダシステムである。
【0008】
第1の発明によれば、第1の角度検知手段で検知された対路側角度と第2の角度検知手段で検知された対路側角度の差分値が算出される。この差分値は、第1レーダ装置の所定の検知方向(以下、第1の検知方向と称する)と、第2レーダ装置の所定の検知方向(以下、第2の検知方向と称する)とがなす角度に相当する。第1の検知方向が第1レーダ装置における検知エリアの中心軸方向(以下、物標検知軸方向と称する)、第2の検知方向が第2レーダ装置における検知エリアの中心軸方向(以下、物標検知軸方向と称する)である場合には、上記差分値は、第1レーダ装置の物標検知軸方向と第2レーダ装置の物標検知軸方向とがなす角度に相当する。第1レーダ装置の物標検知軸方向と第2レーダ装置の物標検知軸方向とがなす角度は、車両製造時にあらかじめ設定されているが、接触事故などにより変化する。そこで、車両修理時あるいは車両走行中に第1の物標検知軸を軸調整し、その後、上記差分値が車両製造時の設定値に等しくなるように第2レーダ装置の物標検知軸を軸調整するとよい。これにより、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
上記第1の角度検知手段で検知された対路側角度に基づき、上記第1レーダ装置における物標検知軸の方向を調整する第1の軸調整手段と、
上記差分値に基づいて、上記第2レーダ装置における物標検知軸の方向を調整する第2の軸調整手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
第2の発明によれば、車両修理時あるいは車両走行中に第1の物標検知軸を軸調整し、その後、上記差分値が車両製造時の設定値となるように第2レーダ装置の物標検知軸を軸調整することができる。これにより、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる。
【0011】
第3の発明は、第1の発明において、
上記第1レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報と、上記第2レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報と、上記差分値とに基づき、上記第1レーダ装置が検知した物標と上記第2レーダ装置が検知した物標が同一の物標であるか否かを判定する同一物標判定手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
第3の発明によれば、第1レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報と第2レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報に基づいて、第1レーダ装置が検知した物標と第2レーダ装置が検知した物標が同一の物標であるか否かを判定することができる。これにより、物標の検知精度を高めることができる。また、上記差分値に基づき、同一物標か否かの判定精度を求めることができる。
【0013】
第4の発明は、第1の発明において、
上記角度検知手段は、路側に設置されたガードレールまたは側壁の捕捉点の軌跡ベクトルと、上記所定の検知方向とがなす角度を上記対路側角度として検知することを特徴とする。
【0014】
第4の発明によれば、路側に設置されたガードレールまたは側壁の捕捉点の軌跡ベクトルと、所定の検知方向とがなす角度が対路側角度として検知される。ガードレールおよび側壁は道路に沿って配置されているので、軌跡ベクトルと車両の進行方向との一致性が高くなり、その結果、対路側角度の信頼性が高くなる。よって、物標の検知精度を高めることができる。
【0015】
第5の発明は、第1の発明において、
上記所定の検知方向は、上記検知エリアの中心軸方向である物標検知軸方向であることを特徴とする。
【0016】
第5の発明によれば、所定の検知方向が物標検知軸方向であるので、上記差分値は、第1レーダ装置の物標検知軸方向と第2レーダ装置の物標検知軸方向とがなす角度に相当する。物標検知軸方向に出力されるレーダ波の強度は他の方向に出力されるレーダ波よりも一般的に大きい。よって、対路側角度を正確に検知することができ、物標の検知精度をより一層高めることができる。
【0017】
第6の発明は、第1の発明において、
上記走行状態検知手段は、自車に搭載されたヨーレートセンサの検知結果に基づき、自車が直進中であることを検知することを特徴とする。
【0018】
第6の発明によれば、ヨーレートセンサの検知結果に基づいて、自車が直進中であることを正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置の各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置の軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる車載レーダシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る車載レーダシステムを示すブロック図
【図2】本発明に係る車載レーダシステムを搭載した車両が、直線道路を直進しながら物標の検知動作を行っている様子を示す図
【図3】本発明に係る車載レーダシステムを搭載した車両の物標検知軸と路側物の軌跡ベクトルとがなす角度(対路側角度)を示す図
【図4】本発明に係る車載レーダシステムの差分値算出および軸調整動作を説明するフローチャート
【図5】本発明に係る車載レーダシステムの同一物標判定動作を示すフローチャート
【図6】第1のレーダ装置が検知した車両と第2のレーダ装置が検知した車両が同一物標であるか否かを判定する原理を説明する図
【図7】対路端角度θAと対路端角度θB1の差分値の絶対値がθAB1に等しくなることを説明するための図
【図8】複数のレーダ装置を搭載した車両を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施形態)
本発明に係る車載レーダシステムについて、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係る車載レーダシステムを示すブロック図である。図2は、本発明に係る車載レーダシステムを搭載した車両が、直線道路を直進しながら物標の検知動作を行っている様子を示す図である。
【0022】
本発明に係る車載レーダシステム1は、車両に搭載される。
図1に示されるように、車載レーダシステム1は、第1レーダ装置2と、第2レーダ装置3(3A,3B)と、軌跡ベクトル算出手段18と、走行状態検知手段7と、第1の角度検知手段8と、第2の角度検知手段9と、差分角度算出手段10と、記憶手段11と、第1の軸調整手段14と、第2の軸調整手段15と、同一物標判定手段16とを備えている。これらの手段は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)が有するCPU、RAM、ROM、インタフェース、などにより実現することができる。
【0023】
第1レーダ装置2は、車両の前端部中央に配置され、例えばフロントグリル内に配置される。第1レーダ装置2は、車両前方を検知エリアとする。第2レーダ装置3A,3Bは、車両の前端部左側および右側にそれぞれ配置され、例えばフロントバンパ左側および右側にそれぞれ配置される。左側のレーダ装置を第2レーダ装置3A、右側のレーダ装置を第2レーダ装置3Bと称することにする。第2レーダ装置3Aは、車両左前方を検知エリアとする。第2レーダ装置3Bは、車両右前方を検知エリアとする。
【0024】
第1レーダ装置2および第2レーダ装置3A,3Bは、路側物4(図2参照)を含む物標の位置を検知する。第1レーダ装置2と第2レーダ装置3A,3Bは、互いの検知エリア5,6A,6Bが一部で重なり合う。図2では、検知エリアが重なり合っている部分がハッチングで示されている。
【0025】
第1レーダ装置2の検知エリア5は、車両前方を向く扇形をなしている。車両製造時には、検知エリア5の中心軸(すなわち物標検知軸12)の方向が、車両を前後方向に貫く車両中心軸方向に一致している。
【0026】
第2レーダ装置3Aの検知エリア6Aは、車両左前方を向く扇形をなしている。車両製造時には、検知エリア6Aの中心軸(すなわち物標検知軸13A)の方向が車両中心軸方向に対して左側に角度θ1だけ回転した位置にある。第2レーダ装置3Bの検知エリア6Bは、車両右前方を向く扇形をなしている。車両製造時には、検知エリア6Bの中心軸(すなわち物標検知軸13B)の方向が車両中心軸方向に対して右側に角度θ2だけ回転した位置にある。
【0027】
路側物4は、例えば道路の路端付近に配置された物体である。そのような物体としては、例えば、ガードレール、側壁を挙げることができる。路側物4は、路端に沿って配置され、レーダ波を反射することができる。路側物4は、道路が直線道路である場合には道路に沿った直線形状であり、道路がカーブ路である場合には道路に沿ったカーブ形状である。
【0028】
軌跡ベクトル算出手段18は、第1レーダ装置2または第2レーダ装置3A,3Bの検知結果に基づき、路側物4の捕捉点の軌跡ベクトルPK、QKを算出する。具体的には、軌跡ベクトル算出手段18は、自車の走行中に、第1レーダ装置2または第2レーダ装置3A,3Bの検知結果に基づき、路側物4(例えばガードレール)のレーダでの捕捉点の軌跡ベクトルPK、QKを算出する。図3に、自車が直進している時の、左側路側物4の捕捉点Pの軌跡ベクトルPKと、右側路側物4の捕捉点Qの軌跡ベクトルQKを示す。なお、図3におけるP1、P2、・・・、P6は、第1レーダ装置2または第2レーダ装置3Aから見た一定時間毎の捕捉点Pの位置変化を示している。図3におけるQ1、Q2、Q3、Q4は、第2レーダ装置3Bから見た一定時間毎の捕捉点Qの位置変化を示している。
【0029】
走行状態検知手段7は、自車が直進中であることを検知する。走行状態検知手段7は、例えば、自車に搭載されたヨーレートセンサの検知結果に基づき、自車が直進中であることを検知する。なお、走行状態検知手段7は、ヨーレート以外の情報に基づいて、自車が直進していることを検知してもよく、例えば、GPS(Global Positioning System)情報、ステアリング角度情報等に基づいて検知してもよい。
【0030】
第1の角度検知手段8は、走行状態検知手段7で自車が直進中であることが検知された場合、図3に示されるように、第1のレーダ装置2における所定の検知方向12と路側物4のレーダ捕捉点の軌跡ベクトルPK或いはQKとがなす対路側角度θAを検知する。図3に示される例では、物標検知軸12が左側に傾いているため、対路側角度θAは軌跡ベクトルPKを基準に形成されているが、物標検知軸12が右側に傾いている場合には、対路側角度θAは軌跡ベクトルQKを基準に形成される。対路側角度θAを検知するに際し、軌跡ベクトルPK、QKは、例えば、対路側角度θAが形成される位置の近傍のベクトルを対象とすることができる。例えば、軌跡ベクトルPKは、図3におけるP1からP2へ向かうベクトル、またはP1からP3へ向かうベクトル、軌跡ベクトルQKは、Q1からQ2へ向かうベクトル、またはQ1からQ3へ向かうベクトルを対象とすることができる。「所定の検知方向」は、特に限定されるものではないが、例えば、検知エリア5の中心軸方向(すなわち物標検知軸方向)である。図3では、車載レーダシステム1を搭載した車両の物標検知軸12と路側物4のレーダ捕捉点の軌跡ベクトルPKとがなす角度が対路側角度θAとなっている。図3では、衝突事故等に起因して第1レーダ装置2の検知エリア5が左方向に回転した結果、検知エリア5の物標検知軸12が左側に向いてしまっている。
【0031】
第2の角度検知手段9は、走行状態検知手段7で自車が直進中であることが検知された場合、第2レーダ装置3Aにおける所定の検知方向13Aと路側物4のレーダ捕捉点の軌跡ベクトルPKとがなす対路側角度θB1を検知する。具体的には、第2の角度検知手段9は、検知エリア6Aの中心軸方向(すなわち物標検知軸13Aの方向)と路側物4のレーダ捕捉点の軌跡ベクトルPKとがなす対路側角度θB1を検知する。対路側角度θB1を検知するに際し、軌跡ベクトルPKは、例えば、対路側角度θB1が形成される位置の近傍のベクトルを対象とすることができる。例えば、軌跡ベクトルPKは、図3におけるP1からP2へ向かうベクトル、またはP1からP3へ向かうベクトルを対象とすることができる。なお、図3の例においては、θAを検知する基準となる軌跡ベクトルPKと、θB1を検知する基準となる軌跡ベクトルPKは、同じベクトルに設定される。「路側物4」は、道路の左端にある路側物であり、例えば道路の左端にあるガードレールまたは側壁である。図3では、衝突事故等に起因して第2レーダ装置3Aの検知エリア6Aが左方向に回転した結果、検知エリア6Aの物標検知軸13Aが車両製造時よりも左側に向いてしまっている。
【0032】
また、第2の角度検知手段9は、走行状態検知手段7で自車が直進中であることが検知された場合、第2レーダ装置3Bにおける所定の検知方向13Bと路側物4の軌跡ベクトルQKとがなす対路側角度θB2を検知する。具体的には、検知エリア6Bの中心軸方向(すなわち物標検知軸13Bの方向)と路側物4の軌跡ベクトルQKとがなす対路側角度θB2を検知する。対路側角度θB2を検知するに際し、軌跡ベクトルQKは、例えば、対路側角度θB2が形成される位置の近傍のベクトルを対象とすることができる。例えば、軌跡ベクトルQKは、図3におけるQ1からQ2へ向かうベクトル、またはQ1からQ3へ向かうベクトルを対象とすることができる。なお、物標検知軸12が右側に傾いている場合には(図示せず)、θAを検知する基準となる軌跡ベクトルQKと、θB2を検知する基準となる軌跡ベクトルQKは、同じベクトルに設定される。「路側物4」は、道路の右端にある路側物であり、例えば道路の右端にあるガードレールまたは側壁である。図3では、衝突事故等に起因して第2のレーダ装置3Bの検知エリア6Bが右方向に回転した結果、検知エリア5の物標検知軸12が車両製造時よりも右側に向いてしまっている。
【0033】
差分角度算出手段10は、第1の角度検知手段8で検知された対路側角度θAと、第2の角度検知手段9で検知された対路側角度θB1の差分値を算出する。また、差分角度算出手段10は、第1の角度検知手段8で検知された対路側角度θAと、第2の角度検知手段9で検知された対路側角度θB2の差分値を算出する。また、差分角度算出手段10は、第2の角度検知手段9で検知された対路側角度θB1と、第2の角度検知手段9で検知された対路側角度θB2の差分値を算出する。
具体的には、差分角度算出手段10は、対路側角度θAと対路側角度θB1の差分値θA−θB1の絶対値、対路側角度θAと対路側角度θB2の差分値θA−θB2の絶対値、および対路側角度θB1と対路側角度θB2の差分値θB1−θB2の絶対値を算出する。
【0034】
記憶手段11は、差分角度算出手段10で算出された差分値を記憶する。具体的には、記憶手段11は、差分角度算出手段10で算出された差分値の絶対値を記憶する。
【0035】
第1の軸調整手段14は、第1の角度検知手段8で検知された対路側角度θAに基づき、第1レーダ装置2における物標検知軸12の方向を調整する。具体的には、第1の軸調整手段14は、対路側角度θAがゼロになるように物標検知軸12の方向を調整する。第1の軸調整手段14は、車両の走行中、停車中、或いは車両修理時に、ソフトウェア的に軸調整を行う。なお、第1の軸調整手段14に代えて、第1レーダ装置2の向きを物理的に変更することで軸調整を行う軸調整手段を設けてもよい。
【0036】
第2の軸調整手段15は、差分値θA−θB1の絶対値に基づいて、第2レーダ装置3Aにおける物標検知軸13Aの方向を調整する。具体的には、第1の軸調整手段14によって物標検知軸12の方向が調整された後、第2の軸調整手段15は、差分値θA−θB1が車両製造時の設定値に等しくなるように物標検知軸13Aの方向を調整する。第2の軸調整手段15は、車両の走行中、停車中、或いは車両修理時に、ソフトウェア的に軸調整を行う。なお、第2の軸調整手段15に代えて、第2レーダ装置3Aの向きを物理的に変更することで軸調整を行う軸調整手段を設けてもよい。
【0037】
また、第2の軸調整手段15は、差分値θA−θB2の絶対値に基づいて、第2レーダ装置3Bにおける物標検知軸13Bの方向を調整する。具体的には、第1の軸調整手段14によって物標検知軸12の方向が調整された後、第2の軸調整手段15は、差分値θA−θB2が車両製造時の設定値となるように物標検知軸13Bの方向を調整する。第2の軸調整手段15は、車両の走行中、停車中、或いは車両修理時に、ソフトウェア的に軸調整を行う。なお、第2の軸調整手段15に代えて、第2レーダ装置3Bの向きを物理的に変更することで軸調整を行う軸調整手段を設けてもよい。
【0038】
なお、第2の軸調整手段15は、差分値θB1−θB2の絶対値に基づいて、第2のレーダ装置3Bにおける物標検知軸13Bの方向を調整してもよい。この場合、具体的には、第1の軸調整手段14によって物標検知軸12の方向が調整され、第2の軸調整手段15によって物標検知軸13Aの方向が調整された後、第2の軸調整手段15は、差分値θB1−θB2が車両製造時の設定値となるように物標検知軸13Bの方向を調整する。第2の軸調整手段15は、車両の走行中、停車中、或いは車両修理時に、ソフトウェア的に軸調整を行う。
【0039】
同一物標判定手段16は、第1レーダ装置2が検知した物標の位置に関する情報と、第2レーダ装置3Aが検知した物標の位置に関する情報と、差分値θA−θB1の絶対値とに基づき、第1レーダ装置2が検知した物標と第2レーダ装置3Aが検知した物標が同一の物標であるか否かを判定する。また、同一物標判定手段16は、第1レーダ装置2が検知した物標の位置に関する情報と、第2レーダ装置3Bが検知した物標の位置に関する情報と、差分値θA−θB2とに基づき、第1レーダ装置2が検知した物標と第2レーダ装置3Bが検知した物標が同一の物標であるか否かを判定する。同一物標判定手段16の詳細な動作は後述する。
【0040】
次に、車載レーダシステム1の差分値算出および軸調整動作について、図4のフローチャートを参照しつつ説明する。図4は、車載レーダシステム1の差分値算出および軸調整動作を示すフローチャートである。
【0041】
以下の説明では、車載レーダシステム1を搭載した車両が、左右の路側に路側物4としてガードレールが設置されている道路を走行している場面を想定する。ここで想定する車両は、図3に示されるように、衝突事故やECUの誤学習等に起因して第1レーダ装置2の検知エリア5が左方向に回転し、その結果、検知エリア5の物標検知軸12が左側に傾いているとする。また、衝突事故やECUの誤学習等に起因して第2レーダ装置3Aの検知エリア6Aが左方向に回転し、その結果、検知エリア6Aの物標検知軸13Aが車両製造時よりも左側に傾いているとする。また、衝突事故やECUの誤学習等に起因して第2レーダ装置3Bの検知エリア6Bが右方向に回転し、その結果、検知エリア5の物標検知軸12が車両製造時よりも右側に傾いているとする。
【0042】
まず、各レーダ装置2,3A,3Bが物標の検知動作を行う(ステップS1)。このときに左右のガードレール4が検知される。次いで、左側ガードレール4の捕捉点の軌跡ベクトルPKと、右側ガードレール4の捕捉点の軌跡ベクトルQKとが算出される(ステップS2)。次いで、車両のヨーレートが検知され(ステップS3)、ステップS4に移行する。
【0043】
ステップS4において、検知されたヨーレートに基づき、車両が直進しているか否かが判断される。車両が直進していると判断された場合、車両は直線道路を直進していると判断される。この場合、車両が直線道路と平行に走行していると判断され、ステップS5に移行する。一方、車両が直進していないと判断された場合、ステップS1に戻る。
【0044】
ステップS5において、図3に示されるように、第1レーダ装置2の物標検知軸12とガードレール4の或る捕捉点の軌跡ベクトルPKとがなす対路側角度θAが検知される。また、第2レーダ装置3Aの物標検知軸13Aとガードレール4の或る捕捉点の軌跡ベクトルPKとがなす対路側角度θB1が検知される。また、第2レーダ装置3Bの物標検知軸13Bとガードレール4の或る捕捉点の軌跡ベクトルQKとがなす対路側角度θB2が検知される。
【0045】
次いで、差分値θA−θB1の絶対値と、差分値θA−θB2の絶対値と、差分値θB1−θB2の絶対値が算出される(ステップS6)。各差分値の絶対値は記憶手段11に記憶される(ステップS7)。
【0046】
次いで、対路側角度θAに基づき、第1レーダ装置2における物標検知軸12の方向が調整される(ステップS8)。具体的には、対路側角度θAがゼロになるように、物標検知軸12の方向が例えばソフトウェア的に自動調整される。例えば、現在の対路側角度θAが10度である場合には、対路側角度θAが0度となるように、物標検知軸12の方向が調整される。対路側角度θAが0度となるように軸調整することで、物標検知軸12の方向は車両の中心軸方向と一致する。
【0047】
次いで、差分値θA−θB1の絶対値に基づいて、第2レーダ装置3Aにおける物標検知軸13Aの方向が調整される(ステップS9)。具体的には、現在の差分値θA−θB1の絶対値が、車両製造時に設定された差分値θA−θB1の絶対値と一致するように、物標検知軸13Aの方向が例えばソフトウェア的に自動調整される。例えば、現在の差分値θA−θB1の絶対値が20度であり、車両製造時に設定された差分値θA−θB1の絶対値が30度であるならば、差分値θA−θB1の絶対値が30度となるように、物標検知軸13Aの方向が調整される。
【0048】
次いで、差分値θA−θB2の絶対値に基づいて、第2レーダ装置3Bにおける物標検知軸13Bの方向が調整される(ステップS10)。具体的には、現在の差分値θA−θB2の絶対値が、車両製造時に設定された差分値θA−θB2の絶対値と一致するように、物標検知軸13Bの方向が例えばソフトウェア的に自動調整される。例えば、現在の差分値θA−θB2の絶対値が40度であり、車両製造時に設定された差分値θA−θB2の絶対値が50度であるならば、物標検知軸12の方向が調整された後、差分値θA−θB2の絶対値が50度となるように、物標検知軸13Bの方向が調整される。
【0049】
なお、ステップS10では、差分値θB1−θB2の絶対値に基づいて、第2レーダ装置3Bにおける物標検知軸13Bの方向が調整されてもよい。具体的には、現在の差分値θB1−θB2の絶対値が、車両製造時に設定された差分値θB1−θB2の絶対値と一致するように、物標検知軸13Bの方向が調整される。例えば、現在の差分値θA−θB2の絶対値が30度であり、車両製造時に設定された差分値θB1−θB2の絶対値が40度であるならば、物標検知軸12の方向が調整され、物標検知軸13Aの方向が調整された後、差分値θB1−θB2の絶対値が40度となるように、物標検知軸13Bの方向が調整される。
【0050】
なお、物標検知軸12が左側のガードレール4についての軌跡ベクトルPKとなす角度θAを正の値とし、物標検知軸12が右側のガードレール4についての軌跡ベクトルQKとなす角度θAを負の値とすることができる。また、θB1は正の値とし、θB2は負の値とすることができる。このように角度に正、負の値を設定することで、各物標検知軸が左右いずれの向きに傾いているのかを考慮することができる。
以上が、車載レーダシステム1における差分値算出および軸調整動作である。
【0051】
次に、上記軸調整が行われない場合、或いは上記軸調整が行われる前における、車載レーダシステム1の同一物標判定動作について、図5〜7を参照しつつ説明する。上記軸調整が行われた場合については、同一物標判定の精度は高いと考えられるので、その説明を省略する。
【0052】
図5は、車載レーダシステム1の同一物標判定動作を示すフローチャートである。図6は、第1レーダ装置が検知した車両と第2レーダ装置が検知した車両が同一物標であるか否かを判定する原理を説明する図である。
【0053】
第1レーダ装置2の検知エリア5と第2レーダ装置3Aの検知エリア6Aが一部で重なり合っており、その重なり合った検知エリアに他車両αが存在する場合を想定する。
【0054】
まず、第1レーダ装置2が他車両αの位置(図6参照)を検知する(ステップS1)。具体的には第1レーダ装置2は、物標αの位置から物標検知軸12に下ろした垂線の長さrA、当該垂線と物標検知軸12の交点aから第1レーダ装置2までの距離yAを算出する。
【0055】
また、第2レーダ装置3Aが他車両αの位置を検知する(ステップS2)。具体的には第2レーダ装置3Aは、物標αの位置から物標検知軸13Aに下ろした垂線の長さxB1、当該垂線と物標検知軸13Aの交点bから第2レーダ装置3Aまので距離yB1を算出する。
【0056】
次いで、同一物標判定手段16は、rB=xB1/cosθAB1を算出する(ステップS3)。rB1は、点aおよび物標αを通る直線と第2レーダ装置3Aの物標検知軸13Aとの交点cから物標αまでの距離である。θAB1は、差分値θA−θB1の絶対値に等しい。図7は、θAとθB1の差分値の絶対値がθAB1に等しくなることを説明するための図である。図7に示されるように、物標検知軸12とガードレール4の或る捕捉点の軌跡ベクトルPKとの交点をS、物標検知軸13Aとガードレール4の或る捕捉点の軌跡ベクトルPKとの交点をT、物標検知軸12を後方に伸ばした線と物標検知軸13Aを後方へ伸ばした線の交点をUとする。三角形STUにおいて、θAB1=|π−(θA+(π−θB1)|=|θA−θB1|が成り立つ。よって、θAB1は、差分値θA−θB1の絶対値に等しいことがわかる。差分値θA−θB1の絶対値は、差分角度算出手段10によって求められる。
【0057】
次いで、同一物標判定手段16は、rAB1=tanθAB1×(yA+yAB1+(xAB1/tanθAB1))を算出する(ステップS4)。rAB1は、点aと点c間の距離である。なお、xAB1は、第2レーダ装置3Aから物標検知軸13Aに下ろした垂線の長さである。yAB1は、当該垂線と物標検知軸13Aを後方に伸ばした線との交点dから第1レーダ装置2までの距離である。xAB1およびyAB1は、既知の設計値である。
【0058】
次いで、同一物標判定手段16は、rS=rAB1−rB1を算出する(ステップS5)。次いで、同一物標判定手段16は、rSとrAを比較する(ステップS6)。具体的には、差分値rS−rAを算出し、差分値rS−rAの値が小さい程、第1レーダ装置2で認識した物標αと第2レーダ装置3Aで認識した物標αが同一物標である可能性が高いと判断する。次いで、差分値rS−rAの値が所定の閾値以下である場合には、同一物標判定手段16は、第1レーダ装置2で認識した物標αと第2レーダ装置3Aで認識した物標αが同一物標であると判定する(ステップS7)。一方、差分値rS−rAの値が所定の閾値を超える場合には、同一物標判定手段16は、第1レーダ装置2で認識した物標αと第2レーダ装置3Aで認識した物標αが同一物標ではないと判定する(ステップS8)。以上が、車載レーダシステム1の同一物標判定動作である。
【0059】
以上説明したように、車載レーダシステム1によれば、第1の角度検知手段8で検知された対路側角度θAと第2の角度検知手段9で検知された対路側角度θB1,θB2の差分値θA−θB1,θA−θB2の絶対値が算出される。この絶対値は、第1レーダ装置2における所定の検知方向(以下、第1の検知方向と称する)と、第2レーダ装置3A,3Bにおける所定の検知方向(以下、第2の検知方向と称する)とがなす角度θAB1,θAB2に相当する。第1の検知方向が第1レーダ装置2における検知エリア5の中心軸(物標検知軸12)の方向、第2の検知方向が第2レーダ装置3A,3Bにおける検知エリア6A,6Bの中心軸(物標検知軸13A,13B)の方向である場合には、差分値θA−θB1,θA−θB2の絶対値は、第1レーダ装置2の物標検知軸12と第2レーダ装置3A,3Bの物標検知軸13A,13Bとがなす角度に相当する。第1レーダ装置2の物標検知軸12と第2レーダ装置3A,3Bの物標検知軸13A,13Bとがなす角度は、車両製造時にあらかじめ設定されているが、接触事故やECUの誤学習などにより変化する。そこで、車両走行中、車両停車中、或いは車両修理時に物標検知軸12を自動的または手動で軸調整し、その後、差分値θA−θB1,θA−θB2の絶対値が車両製造時の設定値に等しくなるように第2レーダ装置3A,3Bの物標検知軸13A,13Bを軸調整するとよい。これにより、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置2,3A,3Bの各物標検知軸12,13A,13Bを軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置2,3A,3Bの軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる。
【0060】
また、車載レーダシステム1によれば、車両走行中、車両停車中、或いは車両修理時に第1レーダ装置2の物標検知軸を自動的または手動で軸調整し、その後、差分値θA−θB1の絶対値が車両製造時の設定値に等しくなるように第2レーダ装置3Aの物標検知軸13Aを自動的または手動で軸調整し、差分値θA−θB2の絶対値が車両製造時の設定値に等しくなるように第2レーダ装置3Bの物標検知軸13Bを軸調整することができる。これにより、1台の車両に搭載された複数のレーダ装置2,3A,3Bの各物標検知軸を軸調整する際、各軸調整における誤差が積み重なって物標の検知精度が低下するということがなく、各レーダ装置2,3A,3Bの軸調整を容易かつ速やかに行うことができ、各軸調整によって物標の検知精度を高めることができる。
【0061】
また、車載レーダシステム1によれば、第1レーダ装置2が検知した物標の位置に関する情報と第2レーダ装置3Bが検知した物標の位置に関する情報と、差分値とに基づき、第1レーダ装置2が検知した物標と第2レーダ装置3Aが検知した物標が同一の物標であるか否かを判定することができる。これにより、物標の検知精度を高めることができる。また、上記差分値に基づき、同一物標か否かの判定精度を求めることができる。
【0062】
同様に、車載レーダシステム1によれば、第1レーダ装置2が検知した物標の位置に関する情報と第2レーダ装置3Bが検知した物標の位置に関する情報と、差分値とに基づいて、第1レーダ装置2が検知した物標と第2レーダ装置3Bが検知した物標が同一の物標であるか否かを判定することができる。これにより、物標の検知精度を高めることができる。また、上記差分値に基づき、同一物標か否かの判定精度を求めることができる。
【0063】
また、車載レーダシステム1によれば、路側に設置されたガードレールまたは側壁の捕捉点の軌跡ベクトルと、所定の検知方向とがなす角度が対路側角度として検知される。ガードレールおよび側壁は道路に沿って配置されているので、軌跡ベクトルと車両の進行方向との一致性が高くなり、その結果、対路側角度の信頼性が高くなる。よって、物標の検知精度をより一層高めることができる。
【0064】
また、車載レーダシステム1によれば、所定の検知方向を物標検知軸方向とした場合、差分値θA−θB1は、第1レーダ装置2の物標検知軸12と第2レーダ装置3Aの物標検知軸13Aとがなす角度θA−θB1に相当する。同様に、差分値θA−θB2は、第1レーダ装置2の物標検知軸12と第2レーダ装置3Bの物標検知軸13Bとがなす角度θA−θB2に相当する。一般的に、物標検知軸の方向に出力されるレーダ波の強度は他の方向に出力されるレーダ波よりも大きい。よって、対路側角度を正確に検知することができ、物標の検知精度をより一層高めることができる。
【0065】
なお、上記の説明では、2つのレーダ装置が検知エリアの重なり合った部分で1つの物標を検知する場合を示したが、車載レーダシステム1は、検知エリアが重なり合っていない部分では各レーダ装置が単独で物標を検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、一部で検知エリアが重なり合う複数のレーダ装置を有し、重なり合う検知エリアで各レーダ装置が物標を検知した場合に、検知した物標が同一物標であるか否かの判断を高精度で行うことができる車載レーダシステム等に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 車載レーダシステム
2 第1レーダ装置
3(3A,3B) 第2レーダ装置
4 路側物
5 第1レーダ装置の検知エリア
6(6A,6B) 第2レーダ装置の検知エリア
7 走行状態検知手段
8 第1の角度検知手段
9 第2の角度検知手段
10 差分角度算出手段
11 記憶手段
12 第1レーダ装置の物標検知軸
13(13A,13B) 第2レーダ装置の物標検知軸
14 第1の軸調整手段
15 第2の軸調整手段
16 同一物標判定手段
17 直線走行検知手段
18 軌跡ベクトル算出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車載レーダシステムであって、
路側物を含む物標の位置を検知し、互いの検知エリアが一部で重なり合う第1および第2レーダ装置と、
前記第1または前記第2レーダ装置の検知結果に基づき、前記路側物の捕捉点の軌跡ベクトルを算出する軌跡ベクトル算出手段と、
自車が直進中であることを検知する走行状態検知手段と、
前記走行状態検知手段で自車が直進中であることが検知された場合、前記路側物の捕捉点の軌跡ベクトルと前記第1レーダ装置の所定の検知方向とがなす対路側角度を検知する第1の角度検知手段と、
前記走行状態検知手段で自車が直進中であることが検知された場合、前記路側物の捕捉点の軌跡ベクトルと前記第2レーダ装置の所定の検知方向とがなす対路側角度を検知する第2の角度検知手段と、
前記第1の角度検知手段で検知された前記対路側角度と前記第2の角度検知手段で検知された前記対路側角度の差分値を算出する差分角度算出手段とを備えた、車載レーダシステム。
【請求項2】
前記第1の角度検知手段で検知された対路側角度に基づき、前記第1レーダ装置における物標検知軸の方向を調整する第1の軸調整手段と、
前記差分値に基づいて、前記第2レーダ装置における物標検知軸の方向を調整する第2の軸調整手段と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車載レーダシステム。
【請求項3】
前記第1レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報と、前記第2レーダ装置が検知した物標の位置に関する情報と、前記差分値とに基づき、前記第1レーダ装置が検知した物標と前記第2レーダ装置が検知した物標が同一の物標であるか否かを判定する同一物標判定手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載の車載レーダシステム。
【請求項4】
前記角度検知手段は、路端に設置されたガードレールまたは側壁の捕捉点の軌跡ベクトルと、前記所定の検知方向とがなす角度を前記対路側角度として検知することを特徴とする請求項1に記載の車載レーダシステム。
【請求項5】
前記所定の検知方向は、前記検知エリアの中心軸方向である物標検知軸方向であることを特徴とする請求項1に記載の車載レーダシステム。
【請求項6】
前記走行状態検知手段は、自車に搭載されたヨーレートセンサの検知結果に基づき、自車が直進中であることを検知することを特徴とする請求項1に記載の車載レーダシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−43387(P2011−43387A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−191086(P2009−191086)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】