説明

車載機のインターフェース管理システム及びインターフェース管理プログラム

【課題】複数のユーザ間で利用される複数の車両におけるそれぞれの車載機において、ユーザが使い慣れたインターフェースを提供する。
【解決手段】インターフェースを提供するインターフェースプログラム1cを車載機1に設け、インターフェースプログラム1cの種類に対応するインターフェースの種類情報及びユーザ情報を関連づけて履歴記憶手段34に記憶させる。
また、履歴記憶手段34に記憶された情報に基づき、ユーザが搭乗した車両に搭載された車載機のインターフェースをユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに変更する変更手段23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザ間で利用される複数の車両に搭載される車載機のインターフェース管理システム及びインターフェース管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、首都圏をはじめとする全国各地の都市部では、自動車製造販売会社やレンタカー会社,駐車場管理会社等によって運営されるカーシェアリングサービス(車両共用サービス)が展開されている。カーシェアリングとは、不特定多数の会員間で車両を共同使用する仕組みのことであり、従前のレンタカーシステムにおける有人営業所の代わりにネットワークを介した個人認証技術を用いることで、短時間単位での気軽な車両の利用を可能としたシステムである。
【0003】
例えば、特許文献1には、ネットワークを介して共有車両の使用状況を各ユーザに提供するカーシェアリング管理システムが記載されている。このシステムでは、車両の予約情報をネットワーク上のサーバ内においてデータベースとして管理するとともに、各ユーザの携帯端末からのサーバへのアクセスに応じて車両の予約情報を登録又は表示している。このような構成により、各ユーザが車両の使用状況を迅速に把握することができる。
【0004】
ところで、このようなカーシェアリングは、駐車場の確保が困難である都市部の人々やいわゆるサンデードライバーがマイカーを購入する代わりに使用するという利用形態だけでなく、セカンドカーを購入する代わりの利用形態として、あるいは新車種への試乗の場として、今後さらに普及することが期待されている。つまり、複数のユーザが少数の車両を共同利用するのみならず、各ユーザが多種多様な車両を利用するシステムとしての活用が望まれている。
【0005】
一方、車両に搭載されるカーナビゲーション装置やオーディオ装置等の車載機は、搭載される車両の種類に応じて異なる種類,異なる機能である場合が多い。そのため、複数の車両を利用したいユーザは、各車両に搭載される車載機の機能や操作方法を覚える必要があり、操作が煩雑であるという課題がある。
このような課題に対し、特許文献2に記載の技術では、ユーザの搭乗する車両が日頃乗り慣れたメイン車両であるか、それとも乗り慣れていないサブ車両であるかを認識し、メイン車両及びサブ車両間の機能差分をユーザに報知する車両用ユーザ支援装置が記載されている。この技術では、ユーザが所持する携帯機に車両の機能リスト情報を記憶させて、それぞれの車両の機能を照合している。このような構成により、一方の車両にはない新機能の積極的な使用をユーザに促すことができ、かつ、不足機能を予めユーザに認識させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3610025号公報
【特許文献2】特開2008−1350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の特許文献2に記載の技術においても、ユーザが使い慣れた操作方法でサブ車両の車載機を操作することができるわけではなく、操作に係る違和感を払拭することはできない。特に、マイカーを所有するユーザはマイカーに搭載された車載機とは異なる車載機を使用することにとまどいや不快感を持ちやすい傾向があり、車載機の操作性や操作の快適性を向上させることが難しいという課題がある。
【0008】
なお、車載機のメーカーや製品グレード,製品の種類が異なれば内部のハードウェア構成が異なり、これを制御するソフトウェア構成も異なる。車載機の操作方法や操作画面に係るデータは、それぞれの車載機に搭載されるソフトウェアに依存する形式で格納されている。そのため、従来の車載機ではユーザの操作環境、すなわちヒューマンマシンインターフェース(HMI)を自在に変更することが難しいという実情もある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み発明されたもので、複数のユーザ間で利用される複数の車両におけるそれぞれの車載機において、ユーザが使い慣れたインターフェースを提供できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するために、本発明の車載機のインターフェース管理システムは、車載機で実行される情報処理のインターフェースを提供するインターフェースプログラム(すなわち、インターフェース提供手段)を備える。該インターフェースプログラムは、複数のユーザ間で利用される複数の車両のそれぞれに装備される。該インターフェースプログラムには、視覚データ及び聴覚データのうちの少なくとも何れか一方を具備させる。
【0011】
また、該インターフェースプログラムで提供される該インターフェースの種類情報(例えば、インターフェースID)と、車両に搭乗したユーザの情報(例えば、ユーザID)とを関連づけて記憶する履歴記憶手段を備える。
さらに、該履歴記憶手段に記憶された情報に基づき、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェースを、該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに変更する変更手段を備える。
なお、該変更手段によってインターフェースが変更されたとしても、該車載機の機能やハードウェア自体は変更されない。
【0012】
(2)また、本発明のインターフェース管理プログラムは、複数のユーザ間で利用される複数の車両のそれぞれの車載機におけるインターフェースを管理する機能をコンピュータに実行させるためのインターフェース管理プログラムである。すなわち、該コンピュータを、インターフェース提供手段,履歴記憶手段及び変更手段として機能させるためのプログラムである。
【0013】
該インターフェース提供手段は、視覚データ及び聴覚データのうちの少なくとも何れか一方を具備し、該車載機における該インターフェースを提供する。
該履歴記憶手段は、該インターフェース提供手段で提供される該インターフェースの種類情報(例えば、インターフェースID)と、該車両に搭乗したユーザの情報(例えば、ユーザID)とを関連づけて記憶する。また、該変更手段は、該履歴記憶手段に記憶された情報に基づき、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェースを、該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに変更する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数のユーザのそれぞれに対して、各ユーザが使い慣れた車載機の操作環境を提供することができる。また、初めて搭乗する車両においても、あたかも乗り慣れた車両であるかのような感覚を各ユーザに与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るインターフェース管理システムの概要を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインターフェース管理システムのブロック構成図である。
【図3】本システムの車載機の内部に記憶されたソフトウェアの構成を示す模式図である。
【図4】本システムにおけるHMI表示プログラム及びHMIデータのイメージを示す説明図である。
【図5】本システムにおける履歴データベースのイメージを示す説明図である。
【図6】車載機の起動時における制御内容を示すタイムチャートである。
【図7】車載機での設定変更時における制御内容を示すタイムチャートである。
【図8】車載機の動作終了時における制御内容を示すタイムチャートである。
【図9】本発明の変形例(パターンA)に係るインターフェース管理システムのブロック構成図である。
【図10】図9に示すシステムの車載機の起動時における制御内容を示すタイムチャートである。
【図11】本発明の変形例(パターンB)に係るインターフェース管理システムのブロック構成図である。
【図12】図11に示すシステムの車載機の起動時における制御内容を示すタイムチャートである。
【図13】本発明の変形例(パターンC)に係るインターフェース管理システムのブロック構成図である。
【図14】図13に示すシステムの車載機の起動時における制御内容を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係るインターフェース管理システム及び車載車載機を説明する。
[1.システムの概要]
[1−1.システム構成]
本インターフェース管理システムは、複数のユーザ間で複数の車両7が利用される車両共用サービスにおいて、各車両7に装備された車載機2のヒューマンマシンインターフェース(ユーザインターフェース)を管理するものである。ここでいう車両共用サービスでは、各ユーザが多種多様な車両7の中から任意の車両7を使用するような利用形態を想定している。また、それぞれの車両7に搭載されている車載機2の種類は多種多様である。
【0017】
図1に示すように、各車載機2は無線ネットワーク8を介してサーバ3と通信可能に接続されている。無線ネットワーク8は、携帯電話機用の無線通信網及びインターネットを利用して形成されたネットワークである。また、サーバ3は無線ネットワーク8上に設けられたパーソナルコンピュータ又はワークステーション等のコンピュータであり、例えば車両共用サービスを運営,管理する管理会社の元に設置されている。
【0018】
本インターフェース管理システムを利用する各ユーザには、正規ユーザであることを証明するための認証情報が与えられている。すなわち、本システムでは各ユーザに固有のユーザIDの情報が記録された携帯端末4,ICカード5,個人認証キー6等を利用して各ユーザの個人認証が行われ、各車両7の貸し出し手続がなされる。ユーザIDとは、各正規ユーザに固有の情報として、全ての正規ユーザに予め付与されているID(Identification)情報である。なお、個人認証の手法はこれに限定されず、各ユーザの生体属性(指紋,声紋,虹彩,静脈形状等)を利用したものとしてもよいし、あるいは知識情報(固定パスワード,ワンタイムパスワード等)を利用したものとしてもよい。
【0019】
図2に、任意のユーザが携帯端末4を用いて任意の車両7を利用する場合のシステム構成を例示する。ここで車両7に搭載された車載機2は、既存のGPSを利用して車両7の現在位置をタッチパネルディスプレイ14に表示し、目的地までの走行経路案内を行うカーナビゲーション装置として機能する車載機制御部1を備えたものである。この車載機制御部1には、図示しないGPS装置,TVチューナ装置,オーディオ装置,DVD再生装置等が内蔵されている。これらの各装置に係る機能は、タッチパネルディスプレイ14に表示されるメニュー画面から随時選択可能に構成されている。
【0020】
車載機制御部1には、タッチパネルディスプレイ14やスピーカ15によるHMIを変更するための構成が内蔵されている。ここでいうHMIとは、ヒューマンマシンインターフェース(Human Machine Interface)の略称である。HMIには、上述のメニュー画面の画面構成をはじめ、カーナビゲーション装置,TVチューナ装置,オーディオ再生装置,DVD再生装置等として機能する際のそれぞれの表示画面構成が含まれ、また、タッチパネルディスプレイ14上に表示されるボタン,背景画像,アイコンや、操作時にスピーカ15から出力される効果音,音声案内等が含まれる。
【0021】
[1−2.ソフトウェア構成]
図3に示すように、本インターフェース管理システムでは、全ての車載機2に内蔵されるソフトウェア構成が階層状に形成されている。ここでは、ソフトウェアがプラットフォーム1a,機能アプリケーション1b及びHMIアプリケーション1cの三種類に分類される。これらのソフトウェアは、車載機制御部1で実行される情報処理のインターフェースプログラムとして機能する。
【0022】
プラットフォーム1aは、アプリケーションソフトを動作させる際の基盤となる基本的なソフトウェア〔OS(Operating System,オペレーティングシステム)やファームウェア等〕であり、アプリケーションソフトとハードウェアとを仲介する機能を有するものである。
機能アプリケーション1bは、プラットフォーム1a上で動作するアプリケーションであり、車載機2の各種機能を提供するソフトウェアである。機能アプリケーション1bには、例えばカーナビゲーション機能を提供するカーナビゲーションアプリやTVチューナ機能を提供するTVチューナーアプリ,オーディオ再生アプリ,DVD再生アプリ等のアプリケーションが含まれる。なお、機能アプリケーション1bの数と車載機2の機能の種類数との間には相関があり、車載機2で実施される機能が多様であるほどそれらの機能に応じた数の機能アプリケーション1bが設けられる。
【0023】
HMIアプリケーション1cは、機能アプリケーション1bによって提供される機能と連携して、HMIに係る出力及び入力操作を管理するソフトウェアであり、機能アプリケーション1b上で動作するアプリケーションである。HMIアプリケーション1cは、例えば車載機2のメニュー画面,各種表示画面の描画やタッチパネルディスプレイ14への入力操作の解釈を担当し、ユーザからの入力操作に応じた制御を機能アプリケーション1bに要求して実行させる。つまり、車載機2ではその機能(例えば、ナビゲーション機能)を実施するためのプログラムと、HMI(例えば、ナビゲーション画面や音声)を提供するためのプログラムとが分離している。
【0024】
図4中にHMIアプリケーション1cのプログラムイメージを示す。HMIアプリケーション1cのプログラムには、表示又は出力制御の内容とそれらの制御の実施条件とが羅列されており、HMIに係る視覚データ及び聴覚データ自体は記述されない。また、このプログラムでは、制御内容や実施条件の中に具体的なファイル名(すなわち、HMIに係る視覚データ及び聴覚データのファイル名)が使用される代わりに、例えば「画面1」,「音声データ1」といった抽象的な名称が使用されている。これらの抽象的な名称と実際のHMIファイル名との対応付けは、HMIアプリケーション1cとは別個に用意されるHMI定義ファイルによって定義される。
【0025】
したがって、HMI定義ファイル及びHMIファイルを差し替えれば、HMIアプリケーション1cのプログラムや機能アプリケーション1b,プラットフォーム1aに変更を加えることなくHMIのみが変更される。このように、HMIアプリケーション1cの内部に差し替え可能に構成されたデータ群のことをHMIデータと呼ぶ。
【0026】
[1−3.HMIデータ構成]
HMIデータは、HMI定義ファイル及び複数のHMIファイルから構成されている。HMIデータは、インターフェースプログラムによって参照されるデータであり、各インターフェースプログラムによって提供される個々のユーザインターフェースを形成する。なお、それぞれのHMIデータは所定の種類の車載機2に専用のものとしてもよいし、複数種類の車載機2に対応する汎用のものとしてもよい。
【0027】
HMIファイルとは、HMIに係る視覚データ及び聴覚データを格納したファイルである。HMIに係る視覚データとは、インターフェースの意匠(デザイン)や外観(アピアランス)を形成するデータであり、例えば画像データやアイコンデータ,色彩データ,フォントデータ等が含まれる。また、HMIに係る聴覚データには、車載機2から出力される効果音データ,音楽データ,音声データ等が含まれる。
【0028】
したがって、複数のHMIファイルには、例えば、背景画像,操作ボタン等の画像ファイル,アイコンファイル,音声ファイル,フォントファイル等が含まれる。例えば、図4中には画像ファイル(拡張子.bmp)及び音声ファイル(拡張子.wav)が例示されている。
HMI定義ファイルとは、HMIアプリケーション1c中で使用されている抽象的な名称と実際のHMIファイル名との対応関係を定義するファイルである。HMIアプリケーション1cは、HMI定義ファイルに定義された対応関係を参照して制御の実施内容を解釈する。図4では、抽象的な名称として「画面1」,「画面1_ボタン1」,「音声データ1」等がHMIアプリケーション1c中で用いられている。HMI定義ファイルには、これらに対応する実際のHMIファイルとして、インターフェースIDがA001であるものでは「****A1.bmp」,「++++A1.bmp」,「####A1.wav」等がそれぞれ定義されている。また、インターフェースIDがB001であるものでは、「****B1.bmp」,「++++B1.bmp」,「####B1.wav」等がそれぞれ定義されている。なお、ここでいうインターフェースIDとは、インターフェースの種類に相当する情報であり、詳細は後述する。
【0029】
[2.装置構成]
[2−1.車載機]
図2に示すように、車載機制御部1及び車載機制御部1での制御に係るHMIを変更するための構成を包含する装置全体を指して車載機2と呼ぶ。ここでは便宜上、HMIを変更するための構成を車載機制御部1の外側に記載しているが、車載機制御部1の内部に設けてもよい。
【0030】
車載機制御部1は、制御部10及び第一記憶部16を備えて構成される。制御部10は複数の電子回路素子からなるマイクロプロセッサであり、その内部にCPU(Central Processing Unit,中央処理装置)11,RAM(ランダムアクセスメモリ)12,ROM(リードオンリーメモリ)13等を備えている。
RAM12は、CPU11が直接アクセスするワーキングメモリとして機能する一次記憶装置である。また、ROM13は不揮発性を有する読み取り専用の記憶媒体であり、ここにはBIOS(Basic Input Output System)やファームウェア,OS(Operating System,オペレーティングシステム)といった各種基本プログラムが格納されている。
【0031】
第一記憶部16は、種々のデータやプログラムを記憶する記憶装置である。ここには、上述のHMIに係る視覚データ及び聴覚データ等が記憶されている。以下、第一記憶部16に記憶されているHMIデータに符号16aを付して説明する。HMIデータ16aは、後述するHMIデータベース36aに記憶されたデータの一部と同一のデータであり、インターフェースの種類に応じた内容のものである。
【0032】
また、ROM13内には、前述のプラットフォーム1a,機能アプリケーション1b及びHMIアプリケーション1cがそれぞれ分離したアプリケーションとして記憶されている。
図3に示すように、標準状態のHMIアプリケーション1cは、HMIに係る視覚データ及び聴覚データとして、第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aを用いる。したがって、標準状態の車載器2では、第一記憶部16に予め設定されたHMIが提供される。
【0033】
一方、本インターフェース管理システムでは、車両7に搭乗したユーザのユーザIDに基づき、ユーザが使い慣れたHMIに係る視覚データ及び聴覚データをHMIデータベース36aから選択し、これを上記のHMIデータ16aの代わりに使用したHMIを提供する制御が実施される。したがって、第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aは、いわゆるデフォルトの状態に使用されるHMIであり、このHMIがユーザにとって使い慣れたものでない場合には他のHMIが使用されることになる。
【0034】
車載機2は、上述の車載機制御部1,タッチパネルディスプレイ14,スピーカ15,第二記憶部20及び通信部26を備えて構成される。
第二記憶部20は、種々のデータやプログラムを記憶する記憶装置である。ここには、車載機2で用いられるHMIデータ16aを変更するためのソフトウェア構成として、ID記憶部21,ユーザID検出部22,HMIデータ変更部23,時間帯検出部24及び場所検出部25が記憶されている。第二記憶部20に記憶された各プログラムは、車載機制御部1の制御部10において適宜読み込まれて実行される。
【0035】
ID記憶部21(ID記憶手段)は、インターフェースの種類に固有の情報をインターフェースIDとして記憶するものである。ここでいうインターフェースの種類は、例えばインターフェースプログラムやHMIデータのバージョン,リビジョンによって区別される。車載機2のハードウェア構成に適合するようにインターフェースプログラム,HMIデータが改変された場合、改変後のインターフェースプログラム,HMIデータは改変前のインターフェースプログラム,HMIデータとは異なるインターフェースIDを持つ。なお、ハードウェア構成が異なる場合であっても、インターフェースプログラムやHMIデータが同一であれば、インターフェースIDは同一である。
【0036】
ユーザID検出部22(ユーザID検出手段)は、後述する携帯端末4から送信されるユーザIDを検出するプログラムが記載されたものである。ここで検出されたユーザIDは、車載器2の電源がオンである間は第二記憶部20内に保持される。
HMIデータ変更部23(変更手段)は、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータ16aを、後述するサーバ3から送信される高頻度HMIデータに変更するプログラムが記載されたものである。HMIデータ変更部23によるHMIデータ16aの変更は、車載器2の電源がオンであるときにのみ維持される。つまり、車載器2の電源がオフになると、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータは標準状態のもの(すなわち、予め第一記憶部16に記憶されているHMIデータ16a)に差し戻される。
【0037】
時間帯検出部24(時間帯検出手段)は、ユーザが車両7を運転している時間帯を検出するプログラムが記載されたものである。ここでは、ユーザID検出部22でユーザIDが検出された曜日及び時刻が検出され、車載器2の電源がオンである間、これらの情報が第二記憶部20内に保持される。本実施形態では、時間帯検出部24で検出された曜日及び時刻の情報が以下の四通りの時間帯に分類される。
(1)平日(月〜金曜日)かつ仕事(9:00〜17:00)の時間帯
(2)平日(月〜金曜日)かつ私用,プライベート(17:00〜9:00)の時間帯
(3)休日(土,日曜日)かつ日中(9:00〜17:00)の時間帯
(4)休日(土,日曜日)かつ夜間(17:00〜9:00)の時間帯
【0038】
場所検出部25(場所検出手段)は、ユーザが車両7を運転している場所を検出するプログラムが記載されたものである。ここでは、ユーザID検出部22でユーザIDが検出された時点での車両7の場所が検出され、車載器2の電源がオンである間、この場所の情報が第二記憶部20内に保持される。本実施形態では、予め設定された各ユーザの現住所の情報及びGPSによる車両7の現在所在地の情報に基づき、場所検出部25で検出された場所の情報が以下の二通りの区域に分類される。
(5)生活圏(ユーザの住所と車両の現在所在地との距離が所定距離未満)
(6)旅先(ユーザの住所と車両の現在所在地との距離が所定距離以上)
【0039】
タッチパネルディスプレイ14は、液晶ディスプレイの表面に透明タッチセンサ層を有する車載器2の入出力装置である。液晶ディスプレイは、タッチセンサ層を透過して車両7の現在位置の地図情報や操作画面等の各種視覚情報を表示する。タッチセンサ層は、液晶ディスプレイの表面への接触操作,押圧操作を検出する透明電極センサが内蔵された電極層であり、ユーザからの選択,入力操作を受け付ける入力デバイスとして機能する。また、スピーカ15は、ユーザに音,音声で情報を伝達するための出力デバイスであり、例えば地図情報の音声案内やBGM,効果音等を出力する。
【0040】
通信部26は、制御部10からの制御指令に基づいて、サーバ3及び携帯端末4と無線通信を行うものである。通信部26は、サーバ3との間では無線ネットワーク8を介した通信を行う。一方、携帯端末4との間では無線ネットワーク8を介した通信を行ってもよいし、あるいは赤外線短距離通信やデジタル近距離無線通信等を利用した通信としてもよい。
【0041】
本実施形態では、ユーザID検出部22でユーザIDが検出されると、通信部26がユーザID,インターフェースID,時間帯の情報及び場所の情報をサーバ3へ送信する。また、ユーザにより車載機2の設定値HMIデータを変更する操作がなされた場合や車載器2の動作終了時にも、通信部26がユーザID,インターフェースID及び設定値HMIデータをサーバ3へ送信する。なお、設定値HMIデータについては後述する。
【0042】
[2−2.携帯端末]
携帯端末4は、ユーザ認証に係るユーザIDを記憶し保持するものであり、端末制御部40,端末記憶部44及び端末通信部46を備えて構成される。本実施形態では、各ユーザが所持する携帯電話機にユーザID及び管理アプリケーション45を記憶させることによって携帯端末4としての機能を実現している。
【0043】
端末制御部40は、複数の電子回路素子からなるマイクロプロセッサであり、その内部にCPU41,RAM42,ROM43等を備えて構成される。携帯端末4では、これらの端末制御部40のハードウェア資源が利用されて、各種制御が実施される。
端末記憶部44は、ユーザID及び管理アプリケーション45を記憶する記憶装置である。管理アプリケーション45とは、携帯端末4と車載機2との通信制御を実施するプログラムであり、端末制御部40上で実行されるいわゆる携帯アプリである。ここでは、携帯端末4に所定の操作がなされた場合に、端末記憶部44に記憶されたユーザIDを車載機2へ送信する命令が出力される。
【0044】
端末通信部46は、端末制御部40からの制御指令に基づいて、車載機2と無線通信を行うものである。管理アプリケーション45によってユーザIDを車載機2へ送信する命令が出力されると、端末通信部46はユーザIDを車載機2へと無線送信する。
【0045】
[2−3.サーバ]
サーバ3(履歴管理装置,サーバ装置)は、本車両共用サービスにおける正規ユーザの認証及び各車両7の車載機2のインターフェースを管理するものであり、サーバ制御部30,サーバ第一記憶部34,サーバ第二記憶部36及びサーバ通信部38を備えて構成される。
【0046】
サーバ制御部30は、複数の電子回路素子からなるマイクロプロセッサであり、その内部にCPU31,RAM32,ROM33等を備えて構成される。サーバ3では、これらのサーバ制御部30のハードウェア資源が利用されて、各種制御が実施される。
サーバ第一記憶部34(履歴記憶手段)は、履歴データベース34a及び選択アプリケーション35(選択手段)を記憶する記憶装置である。履歴データベース34aとは、インターフェースIDとユーザIDとを関連づけて作成されたデータベースである。本実施形態の履歴データベース34aに記録されるデータフィールドの種類は、図5に示すように、ユーザID,インターフェースID,ユーザが当該車両に搭乗した時間帯,ユーザが当該車両に搭乗した場所,設定値HMIデータ等である。したがって、履歴データベース34aは時間帯別データベース及び場所別データベースとしての機能を併せ持つデータベースである。
【0047】
設定値HMIデータ(設定値データ)とは、HMIデータのうち、ユーザの嗜好に応じて任意に選択されるデータであり、例えばタッチパネルディスプレイ14に表示される文字や画像の大きさ,明度,配色,コントラスト,表示言語の種類、あるいはスピーカ15から出力される音のボリューム(音圧の大きさ),音色,音声言語の種類などを規定するデータである。
【0048】
一般に、HMIデータはインターフェースプログラムの種類に固有のデータであり、車載機2のスペック等に応じて複数種類のものが用意される。これらのHMIデータの中には、ユーザが選択可能なデータと選択不能なデータとが混在しており、選択可能なデータの中に上記の設定値HMIデータが含まれる。
履歴データベース34aのレコードは、各ユーザが車両7を利用するたびに(すなわち、一回の利用につき)一つ追加され、利用回数が増加するほどレコード数が増加する。また、各ユーザが車載機2を直接操作して設定値HMIデータを変更したとき、あるいは、車両7を降りたときにレコードの内容が更新される。したがって、履歴データベース34aのレコードをユーザID毎に分類すると、各ユーザがどの種類のインターフェースを何回使用したかが把握される。
【0049】
なお、ユーザID及びインターフェースIDが同一であるレコードの数は、そのユーザIDに対応するユーザがそのインターフェースIDに対応する種類のインターフェースを使用した回数に一致する。また、履歴データベース34aへのレコードの書き込み制御は、ROM33又はサーバ第一記憶部34内に記録された図示しない履歴書き込みプログラム(履歴記憶制御手段)によって制御されている。
【0050】
選択アプリケーション35は、履歴データベース34aに基づき、各ユーザの利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを高頻度IDとして選択する制御を実施するプログラムである。すなわちここでは、ユーザが使い慣れているインターフェースの種類が把握される。
サーバ第二記憶部36(記憶手段)は、HMIデータベース36a及び第二選択アプリケーション37を記憶する記憶装置である。HMIデータベース36aとは、複数種類のインターフェースに対応するHMIデータを記憶するデータベースであり、インターフェースIDと複数のファイルとを関連づけて作成されたものである。
【0051】
図3に示すように、HMIデータベース36aでは、一つのインターフェースIDに対してHMI定義ファイル及び複数のHMIファイルが対応付けられている。このHMIデータベース36aには、例えば、本車両共用サービスで共有される車両に搭載される全ての種類の車載機2に対応するHMIデータが保存されている。また、発売前の車載機2に搭載される予定のプロトタイプのインターフェースに対応するHMIデータも併せて保存しておいてもよい。なお、HMIデータベース36aのレコードは、ROM33又はサーバ第二記憶部36内に記録された図示しないHMIデータ記憶プログラム(HMIデータ記憶制御手段)によって管理されている。
【0052】
第二選択アプリケーション37は、HMIデータベース36aに基づき、高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータを高頻度HMIデータ(高頻度データ)として選択する制御を実施するプログラムである。なお、本実施形態の第二選択アプリケーション37は、HMIデータベース36aの中から高頻度HMIデータを選別する選択手段として機能する。
【0053】
サーバ通信部38は、サーバ制御部30からの制御指令に基づいて、車載機2との間で無線通信を行うものである。第二選択アプリケーション37により高頻度HMIデータを選択する制御が実施されると、サーバ通信部38は高頻度HMIデータを車載機2へと無線送信する。ここで送信された高頻度HMIデータは、車載機制御部1の第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aの代わりにHMIアプリケーション1cで用いられる。
【0054】
[3.制御手順]
図6〜図8のタイムチャートを用いて本インターフェース管理システムでの制御手順を説明する。
[3−1.起動時]
図6に示すように、車両7のアクセサリ電源がオンに操作されると(ステップA1)、車載機2が起動し、制御部10内においてROM13内に記憶された各種ソフトウェアが実行される。また、第二記憶部20のID記憶部21に記憶されたインターフェースIDがRAM12内に読み込まれる(ステップA2)。さらに制御部10では、第二記憶部20のユーザID検出部22に記憶されたプログラムが実行され、携帯端末4から送信されるユーザIDの検出が開始される。
【0055】
続いて、ユーザによって携帯端末4に所定の操作がなされると(ステップA3)、携帯端末4の端末制御部40内において端末記憶部44に記憶された管理アプリケーション45が実行され、端末記憶部44に記憶されたユーザIDが端末通信部46から送信される(ステップA4)。
一方、そのユーザIDが車載機2の通信部26で受信されると(ステップA5)、第二記憶部20のユーザID検出部22に記憶される(ステップA6)。また、ID記憶部21に記憶されたインターフェースID及びユーザID検出部22で検出されたユーザIDは、時間帯の情報及び場所の情報とともに、通信部26を介してサーバ3へ送信される(ステップA7)。なお、車載機2はこれらのデータを「高頻度HMIデータの要求」とともにサーバ3へ送信する。
【0056】
サーバ3では、車載機2から送信されたユーザIDに基づき、そのユーザが正規ユーザであるか否かが確認される(ステップA8)。なお、正規ユーザでない場合にはその旨の通知がサーバ3から車載機2へ返送されて、制御が中止される。一方、正規ユーザである場合には、ユーザID,インターフェースID,時間帯の情報及び場所の情報がサーバ第一記憶部34の新たなレコードとして追加され、履歴データベース34aが更新される(ステップA9)。
【0057】
さらに、サーバ制御部30では、サーバ第一記憶部34に記憶された選択アプリケーション35が実行される。ここでは、履歴データベース34aの中から、ステップA8で認証されたユーザIDによる利用頻度が最も高いインターフェースIDが高頻度IDとして選択される(ステップA10)。つまり、選択アプリケーション35では、ユーザが頻繁に使用している機種(好きな車載機の種類)が判断される。図5に示す例では、ユーザIDが0012であるユーザの場合、高頻度IDとして選択されるインターフェースIDはA001である。
【0058】
また、サーバ制御部30では、サーバ第二記憶部36に記憶された第二選択アプリケーション37が実行される。ここでは、HMIデータベース36aの中からステップA10で選択された高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータが高頻度HMIデータとして選択される(ステップA11)。ここで選択された高頻度HMIデータは、サーバ通信部38を介して車載機2へ送信される(ステップA12)。例えば、高頻度IDがA001である場合には、図3中に記載されたように、インターフェースID:A001用のHMIデータが高頻度HMIデータとして車載機2へ送信される。
【0059】
なお、このとき送信されるインターフェースIDに対応する設定値HMIデータについても、車載機2へ送信される。ここで送信される設定値HMIデータは、履歴データベース34aに基づいて選択アプリケーション35で選択される。一つのインターフェースIDに対応する設定値HMIデータが複数存在する場合には、レコード数の多いものを選択してもよいし、あるいは更新時間が新しいものを選択してもよい。
【0060】
車載機2の通信部26で高頻度HMIデータが受信されると(ステップA13)、HMIデータ変更部23により、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータ16aが高頻度HMIデータに変更される(ステップA14)。これにより、タッチパネルディスプレイ14に表示されるメニュー画面や表示画面,スピーカ15から出力される効果音や音声が高頻度HMIデータに基づくものとなる。また、高頻度HMIデータには設定値HMIデータも含まれているため、例えば言語設定や文字の大きさといった各種設定値も各ユーザの嗜好に合致したものに変更される。このとき、車載機2の機能やハードウェア自体は変更されないため、機能アプリケーション1b及びプラットフォーム1aには何ら変更を要さない。
【0061】
なお、車載機2が起動直後にユーザに対して、HMIデータ16aを高頻度HMIデータに変更するか否かを問い合わせるようにしてもよい。さらにこの場合、ユーザが高頻度HMIデータに変更することを選択したときには、HMIデータ16aのうちの視覚データを使用頻度の高い順にいわゆるサムネイル画像として表示してもよい。
これにより、ユーザは複数のHMIデータ16aを視覚的に比較してインターフェースを選択することができる。また、HMIデータ16aのうちの聴覚データについても同様であり、使用頻度の高い順に複数の音色,音声サンプル等を提示したうえで、ユーザに任意に選択させる構成としてもよい。
【0062】
[3−2.設定変更時]
図7に示すように、ユーザにより車載機2の設定値HMIデータを変更する操作がなされると(ステップB1)、変更された設定値HMIデータ,インターフェースID及び第二記憶部20内に記憶されたユーザIDが通信部26を介してサーバ3へ送信される(ステップB2)。なお、車載機2はこれらのデータを「履歴データベース更新の要求」とともにサーバ3へ送信する。
【0063】
これを受けてサーバ3では、車載機2から送信されたユーザIDに基づき、そのユーザが正規ユーザであるか否かが確認される(ステップB3)。なお、正規ユーザでない場合にはその旨の通知がサーバ3から車載機2へ返送されて、制御が中止される。
一方、正規ユーザである場合には、送信されたユーザID及びインターフェースIDを含むレコードが抽出され、そのレコードにおける設定値HMIデータのフィールドに変更された設定値HMIデータが上書き保存される。なお、送信されたユーザID及びインターフェースIDを含むレコードが複数存在する場合には、更新時間が最も新しいものを選択すればよい。このように、ユーザが車載機2の設定値HMIデータを変更するたびに、履歴データベース34aが更新される(ステップB4)。
【0064】
[3−3.動作終了時]
図8に示すように、ユーザの降車時に車両7のアクセサリ電源がオフに操作されると(ステップC1)、車載機2のシステム終了処理の一つとして、その時点での設定値HMIデータ,インターフェースID及び第二記憶部20内に記憶されたユーザIDが通信部26を介してサーバ3へ送信される(ステップC2)。なお、車載機2はこれらのデータを「履歴データベース更新の要求」とともにサーバ3へ送信する。
【0065】
また、第二記憶部20のユーザID検出部22に記憶されたユーザIDと、HMIデータ変更部23に記憶された高頻度HMIデータがともに消去され、ユーザが使用したHMIの痕跡が抹消される(ステップC3)。つまり、次回の車載機2の起動時には、第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aがデフォルトのデータとしてHMIアプリケーション1cに使用されることになる。
【0066】
一方、サーバ3ではステップC2で車載機2から送信されたユーザIDに基づき、そのユーザが正規ユーザであるか否かが確認される(ステップC4)。ここで、正規ユーザでない場合にはその旨の通知がサーバ3から車載機2へ返送され、制御が中止される。一方、正規ユーザである場合には、送信されたユーザID及びインターフェースIDを含むレコードのうちの設定値HMIデータのフィールドが、送信された設定値HMIデータで上書き保存される。このように、ユーザが降車する際にも履歴データベース34aが更新される(ステップC5)。
【0067】
[4.効果]
上述の通り、本インターフェース管理システムによれば、各ユーザの利用頻度が最も高い種類のインターフェースの高頻度HMIデータが車両7への搭乗時にサーバ3から送信され、また、HMIアプリケーション1cが第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aの代わりに高頻度HMIデータを用いてHMIを提供するため、各ユーザが使い慣れた車載機2の操作環境(使い慣れたインターフェース)を提供することができる。すなわち、各ユーザが初めて搭乗する車両7においても、あたかも乗り慣れた車両であるかのような感覚をユーザに与えることができ、操作性や操作の快適性を向上させることができる。
【0068】
一方、ユーザの降車時には高頻度HMIデータが車載機2から消去されてデフォルトの状態に差し戻されるため、例えばユーザがどのようなHMIを嗜好するのかといった個人情報を秘匿することができ、各ユーザのプライバシーを適切に保護することができる。
また、車載機2とは別個に設けられたサーバ3内に履歴データベース34aが記憶されているため、各ユーザの利用履歴の保存や利用履歴に基づく情報の選択機能を各車両7から分離することができ、履歴情報の一元管理が容易となるメリットがある。同様に、車両7側に搭載される車載機2とは別個に設けられたサーバ3内にHMIデータベース36aが記憶されているため、HMIデータの一元管理が容易であり、例えば新機種の車載機への対応が容易であるというメリットがある。
【0069】
なお、本システムでは、HMIデータがHMIアプリケーション1cの内部に差し替え可能に構成されているため、任意のHMIデータを適用することができ、例えば実在しない車載機のHMIデータ(プロトタイプのHMIデータ等)を使用することも可能である。したがって、ユーザに対して多種多様なHMIを提供することができる。
また、本システムではインターフェースが車載機2から分離して管理されるため、試験的なインターフェースの提供が可能となる。例えば、車載機2の機能やハードウェア条件による制限のない汎用インターフェースのベータテスト等に活用することができ、インターフェースの設計,開発においても有用である。
【0070】
また、本実施形態では、HMIデータ中に設定値HMIデータが含まれているため、各ユーザの好みに合わせて言語設定や文字の大きさといった各種設定値を自動的に変更することができ、車載機2の操作性をさらに向上させることができる。また、車両7のアクセサリ電源をオンにした後に携帯端末で所定の操作を行うだけで、タッチパネルディスプレイ14上に使い慣れた設定が施されたメニュー画面等が表示されるため、ユーザは設定値HMIデータを変更することなく直ちに車載機2を使用することができる。
【0071】
また、本システムでは、インターフェースの種類に固有の情報をインターフェースIDとしてID記憶部21に記憶させているため、インターフェースの管理が容易であるという利点がある。また、このインターフェースIDをユーザIDに関連づけて履歴データベース34aに記憶させることで、インターフェースの利用履歴の管理を簡素化することができる。例えば、データベース構造が簡素となり、データの更新や追加が容易となる。
【0072】
また、本システムでは選択アプリケーション35によって、利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを高頻度IDとして選択する制御が実施される。つまり、ID情報に基づく制御がなされ、データの変更対象(差し替えられるデータ)がインターフェースIDによって指定されることになる。したがって、インターフェースの変更に係るデータの差し替えが容易であり、制御を簡素化することができる。
【0073】
[5.変形例]
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
[5−1.時間条件の付加]
上述の実施形態では、利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するHMIがユーザの意思に関わらず自動的に提供される。つまり、ユーザが複数種類のインターフェースに慣れているような場合(社用車及び自家用車の双方を運転する機会が多いユーザの場合等)であっても、単一のインターフェースが提供されてしまう。そこで、インターフェースを変更するための条件を付加して、より柔軟な制御を可能とすることが考えられる。
【0074】
例えば、ユーザが車両7を運転する時間を考慮して高頻度HMIデータを選択する構成とすることが考えられる。すなわち、サーバ第一記憶部34に記憶された選択アプリケーション35が、単に各ユーザの利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを選択するのではなく、ユーザID及び時間帯が同一であるレコードの中で利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを選択する構成とする。このような構成により、平日の日中に運転する場合には社用車に搭載された車載機2と同じインターフェースを利用し、あるいは休日には自家用車に搭載された別の車載機2と同じインターフェースを利用するといった柔軟なHMI管理が可能となり、ユーザが車両7を運転する時間帯に応じたHMI環境を提供することができる。
なお、ユーザの立場で捉えると、平日,日中などの仕事中の時間帯には自動的にHMIデータが変更されるため安定した操作感を保つことができ、休日や夜間などのプライベートの時間帯には使い慣れていないHMIデータを試用することができる。
【0075】
[5−2.場所条件の付加]
また、上記の時間条件の代わりに場所の条件を付加することで、より柔軟な制御を実現することも考えられる。例えば、ユーザが車両7を運転する場所を考慮して高頻度HMIデータを選択する構成とする。この場合、サーバ第一記憶部34に記憶された選択アプリケーション35が、ユーザID及び場所が同一であるレコードの中で利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを選択する構成とする。このような構成により、カーナビゲーション機能があまり必要とされない生活圏内の運転時には機能が最小限に抑えられた簡素なインターフェースを提供し、カーナビゲーション機能の利用価値の高い旅先での運転時には車載機2の機能をフルに活用することのできるインターフェースを提供するといった柔軟なHMI管理が可能となり、ユーザが車両7を運転する場所に応じたHMI環境を提供することができる。
【0076】
[5−3.ユーザによる変更許可]
また、上述の実施形態では、常に使い慣れたインターフェースが提供されるため、ユーザが使い慣れていないインターフェースに興味を持った場合にはかえってこのような制御が煩雑に感じられるおそれがある。そこで、インターフェースを変更するための条件を変更して、より柔軟な制御を可能とすることが考えられる。
【0077】
例えば、HMIデータ変更部23が車載機2のHMIデータ16aを高頻度HMIデータへと変更する際に、ユーザに確認する構成とすることが考えられる。この場合、HMIデータ変更部23がタッチパネルディスプレイ14上に「使い慣れた車載機画面にしますか?」といった変更の許可を要求するダイアログを表示し、ユーザによる変更の許可がなされた場合にのみHMIデータ16aを変更する構成とする。これにより、ユーザが使ったことのないインターフェースを提供することも可能となり、より柔軟なHMI管理が可能となる。
【0078】
ユーザによるインターフェース変更の要否を確認する構成は、前述の時間条件や場所条件と組み合わせてもよい。例えば、平日の日中(仕事時間)である場合には自動的にHMIデータ16aを高頻度HMIデータへと変更し、平日の夜間や休日にはユーザに確認する構成とする。あるいは、生活圏の運転時には自動的にHMIデータ16aを高頻度HMIデータへと変更し、旅先での運転時にはユーザに確認する構成とする。これらのような構成により、ユーザの意向をより尊重したインターフェースの選択が可能となる。
【0079】
なお、インターフェースはユーザの好きなタイミングで変更可能であることが好ましい。例えば、車載機2のメニュー画面にHMIデータ16aを随時変更するための項目を用意しておき、この項目が選択された場合にユーザに手動でインターフェースを変更させる構成としてもよい。これにより、さらに柔軟な制御が可能となる。
[5−4.言語の自動選択機能の付加]
なお、上述の実施形態では、設定値HMIデータが履歴データベース34a内で管理されたものを例示したが、設定値HMIデータとユーザIDとを関連づけて作成されたデータベースを別途用意することも考えられる。すなわち、ユーザの嗜好に関するユーザ情報データベースを履歴データベース34aから分離して形成する。
【0080】
例えば、ユーザの母国語をユーザ情報データベース内に格納しておき、高頻度IDに関わらず、上記のステップA12において常にユーザの母国語に対応した設定値HMIデータを送信する構成とする。これにより、ユーザが使い慣れた言語でHMIを提供することができる。
この場合、ユーザ情報データベース内に格納する母国語の判別は、車両7の車室内に言語認識装置を設置する構成としてもよいし、携帯端末4内に言語解析ソフトウェアを内蔵させる構成としてもよい。これらを用いてユーザの発話からそのユーザの慣用言語を検出し、ユーザ情報データベース内に格納する。あるいは、ユーザが車載機2の言語設定画面から母国語を入力するものとしてもよい。
【0081】
[5−5.機能配置構成の変形例]
また、上述の実施形態では、履歴データベース34a及びHMIデータベース36aがともにサーバ3に設けられた構成となっているが、これらのデータベースの設置,配置構成はこれに限定されない。履歴データベース34aはサーバ3内に設けてもよいし、携帯端末4内に設けてもよい。前者の場合は全ユーザの履歴が一元管理され、後者の場合は各ユーザの履歴が個別管理される。また、HMIデータベース36aは車載機2内に設けてもよいし、あるいは携帯端末4内に設けてもよい。
【0082】
ここでは、履歴データベース34a及びHMIデータベース36aの管理パターンとして以下の三種類のパターンについて説明する。なお、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0083】
【表1】

【0084】
[5−6.パターンA]
図9に示すように、パターンAは、履歴データベース34aをサーバ3内で管理し、HMIデータベース27aを車載機2内で管理する構成としたものである。この場合、上述の実施形態におけるサーバ第二記憶部36に相当する第三記憶部27を車載機2内に設ける。この第三記憶部27は、HMIデータベース27a及び第二選択アプリケーション28を記憶する記憶装置である。
【0085】
サーバ3のサーバ通信部38は、サーバ制御部30からの制御指令に基づき、選択アプリケーション35で高頻度IDが選択されると、その高頻度IDを車載機2へ送信する。車載機2では、HMIデータ変更部23において、サーバ3側から受信した高頻度IDに基づいてHMIデータベース27aの中から高頻度HMIデータが選択される。ここで選択された高頻度HMIデータは、第一記憶部16に記憶されたHMIデータ16aの代わりにHMIアプリケーション1cで用いられる。
【0086】
パターンAのインターフェース管理システムでは、図10のタイムチャートに従って制御が実施される。なお、図6に示すものと同様のステップA1〜A10については同じステップ番号を付して説明を省略する。サーバ3はその内部にHMIデータベース36aを持たないため、高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータを選択することができない。そこで、ステップA10で選択された高頻度IDは、サーバ通信部38を介して車載機2へ送信される(ステップD1)。
【0087】
車載機2の通信部26で高頻度IDが受信されると(ステップD2)、第三記憶部27に記憶された第二選択アプリケーション28が実行され、HMIデータベース27aの中からステップA10で選択された高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータが高頻度HMIデータとして選択される(ステップD3)。さらに、HMIデータ変更部23により、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータ16aが高頻度HMIデータに変更される(ステップD4)。これにより、タッチパネルディスプレイ14に表示されるメニュー画面や表示画面,スピーカ15から出力される効果音や音声が高頻度HMIデータに基づくものとなる。
【0088】
このように、HMIデータベース27aを車載機2内に設けたシステムであっても、上述の実施形態と同様の効果を獲得することができる。なお、パターンAは上述の実施形態と比較してサーバ3の記憶容量を減少させることができ、通信負荷を低減させることができるという利点がある。
【0089】
[5−7.パターンB]
図11に示すように、パターンBは、履歴データベース47aを携帯端末4内で管理し、HMIデータベース36aをサーバ3内で管理する構成としたものである。この場合、上述の実施形態におけるサーバ第一記憶部34に相当する履歴記憶部47を携帯端末4内に設ける。この履歴記憶部47は、履歴データベース47a及び選択アプリケーション48を記憶する記憶装置である。選択アプリケーション48は、端末記憶部44の管理アプリケーション45と連動する携帯アプリである。
【0090】
管理アプリケーション45は、携帯端末4に所定の操作がなされると選択アプリケーション48を起動する。選択アプリケーション48は、携帯端末4内の履歴データベース47aに基づいて、ユーザの利用頻度が最も高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを高頻度IDとして選択する。一方、管理アプリケーション45は、選択アプリケーション48で高頻度IDが選択されると、端末記憶部44に記憶されたユーザIDと高頻度IDとを車載機2へ送信する。なお、履歴データベース47aには携帯端末4を所有するユーザに関するデータのみが記憶されるため、上述の実施形態の履歴データベース34aと比較するとデータレコード数が大幅に少ない。
【0091】
パターンBのインターフェース管理システムでは、図12のタイムチャートに従って制御が実施される。なお、図6に示すものと同様のステップA1〜A3については同じステップ番号を付して説明を省略する。
ステップE1では、選択アプリケーション48により、履歴データベース47aの中からユーザの利用頻度が最も高いインターフェースのインターフェースIDが高頻度IDとして選択される。また、続くステップE2では、管理アプリケーション45により、ユーザID及び高頻度IDが端末通信部46から送信される。
【0092】
ユーザID及び高頻度IDが車載機2の通信部26で受信されると(ステップE3)、ユーザIDは第二記憶部20のユーザID検出部22に記憶される(ステップE4)。また、そのユーザID及び高頻度IDは、通信部26を介してサーバ3へ送信される(ステップE5)。なお、車載機2はこれらのデータを「高頻度HMIデータの要求」とともにサーバ3へ送信する。さらに、ID記憶部21に記憶されたインターフェースIDが、時間帯の情報及び場所の情報とともに、通信部26を介して携帯端末4へ送信される(ステップE6)。これを受けて携帯端末4では、車載機2から送信されたインターフェースID,時間帯の情報及び場所の情報が新たなレコードとして追加され、履歴データベース47aが更新される(ステップE7)。
【0093】
一方、サーバ3では、車載機2から送信されたユーザIDに基づき、そのユーザが正規ユーザであるか否かが確認される(ステップE8)。なお、正規ユーザでない場合にはその旨の通知がサーバ3から車載機2へ返送されて、制御が中止される。一方、正規ユーザである場合には、サーバ第二記憶部36に記憶された第二選択アプリケーション37が実行される。ここでは、HMIデータベース36aの中から高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータが高頻度HMIデータとして選択される(ステップE9)。ここで選択された高頻度HMIデータは、サーバ通信部38を介して車載機2へ送信される(ステップE10)。
【0094】
そして車載機2の通信部26で高頻度HMIデータが受信されると(ステップE11)、HMIデータ変更部23により、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータ16aが高頻度HMIデータに変更される(ステップE12)。これにより、車載機2のインターフェースが高頻度HMIデータに基づくものとなり、ユーザに使い慣れた操作環境が提供される。
【0095】
このように、履歴データベース47aを携帯端末4内に設けたシステムにおいても、上述の実施形態と同様の効果を獲得することができる。なお、パターンBは履歴データベース47aのデータフィールドからユーザIDを排することができ、データベース容量を抑えることができる。また、履歴データベース47aという個人情報を各ユーザが管理することになるため、情報漏洩のリスクを減少させることができ、システム全体の情報管理に係る信頼性を高めることができる。なお、パターンAと同様に、サーバ3の記憶容量を減少させることができ、通信負荷を低減させることができるという利点もある。
【0096】
[5−8.パターンC]
図13に示すように、パターンCは、履歴データベース47aを携帯端末4内で管理し、HMIデータベース27aを車載機2内で管理する構成としたものである。この場合、上述の実施形態におけるサーバ第一記憶部34に相当する履歴記憶部47を携帯端末4内に設け、サーバ第二記憶部36に相当する第三記憶部27を車載機2内に設ける。つまり、HMIデータ管理に係るパターンAの構成と履歴管理に係るパターンBの構成とを混合させた構成とする。
【0097】
このインターフェース管理システムでは、図14のタイムチャートに示すように、上述の実施形態におけるステップA1〜A3と、パターンBにおけるステップE1〜E4及びE6〜E7と、パターンAにおけるステップD3〜D4とに記載された制御が実施される。
すなわち、携帯端末4では、所定の操作(ステップA3)をトリガーとして履歴データベース47aの中からユーザの利用頻度が最も高いインターフェースのインターフェースIDが高頻度IDとして選択され(ステップE1)、ユーザID及び高頻度IDが端末通信部46から車載機2へと送信される(ステップE2)。
【0098】
一方、車載機2の通信部26でユーザID及び高頻度IDが受信されると(ステップE3)、ユーザIDがユーザID検出部22に記憶され(ステップE4)、インターフェースIDが時間帯の情報及び場所の情報とともに携帯端末4へ送信される(ステップE6)。これにより、携帯端末4では履歴データベース47aが更新される(ステップE7)。
また、車載機2内にはHMIデータベース27aが設けられているため、上述の実施形態のようにサーバ3への問い合わせの必要がなく、HMIデータベース27aの中から高頻度IDに対応するインターフェースのHMIデータが高頻度HMIデータとして選択される(ステップD3)。これにより、HMIアプリケーション1cで用いられるHMIデータ16aが高頻度HMIデータに変更され(ステップD4)、高頻度HMIデータに基づくインターフェースがユーザに提供される。
【0099】
このように、HMIデータベース27aを車載機2内に設け、かつ、履歴データベース47aを携帯端末4内に設けたシステムであっても、上述の実施形態,パターンA及びパターンBと同様の効果を獲得することができる。
また、このシステムはインターフェースの変更に関してサーバ3を必要としないため、上述の車両共用サービスに限らず、個人所有の車両に搭載される車載機器への適用が容易であり、各種車両用電装品のユーザビリティの向上に大きく貢献する。また、無線ネットワーク8が必須の要素ではないため、システム全体のコストを大幅に削減することが可能である。
【0100】
[5−9.その他]
上述の実施形態及びパターンA〜パターンCでは、車載機2の外部に履歴データベース34a,47aを設けた構成を例示したが、これを車載機2の内部に設けることも考えられる。すなわち、車載演算処理手段として機能するROM13,ID記憶部21,ユーザID検出部22,HMIデータ変更部23,履歴記憶手段として機能する記憶部,選択手段として機能する選択アプリケーションを、車載機2の内部にすべて内蔵させた構成とすることも可能である。なお、履歴データベース34a,47aの内容を複数の車両間で共有可能とすることが好ましい。
【0101】
また、上述の実施形態では、概念的に車載機制御部1と車載機2とを分離して説明したが、実質的にこれらを一体の装置として構成してもよいし、あるいは物理的に分離して構成してもよい。前者の場合には、通信部26を車載機制御部1に内蔵させるとともに、第二記憶部20に記憶された各ソフトウェアを第一記憶部16やROM13に記憶させる等の手法が考えられる。一方、後者の場合には、第二記憶部20に記憶された各ソフトウェアを任意の記録媒体に記録した形態とすることが考えられる。
【0102】
また、上述の実施形態では、ユーザID検出部22が各ユーザのユーザIDを検出する構成を示したが、各ユーザが自らユーザIDやこれに代わる情報を車載機2に入力する構成とすることも考えられる。つまり、本インターフェース管理システムにおいてユーザIDを検出する手段は必須の要素ではなく、適宜省略することができる。
なお、上述の実施形態では、インターフェースID,ユーザIDといったID情報によるデータベース管理を例示したが、インターフェースの種類情報とユーザの情報とを関連づけたデータベースの管理方法はこれに制限されない。インターフェースIDの代わりに、HMIデータ自体をユーザIDに関連づけてもよいし、ユーザIDの代わりに複数のユーザからなるグループの種別を意味する情報(例えば、家族単位,地域単位,国単位等で与えられるID情報)を用いてもよい。少なくとも、履歴データベース34a上でインターフェースの種類情報とユーザの情報とが関連づけられていればよい。
【0103】
なお、上述の実施形態におけるID記憶部21(ID記憶手段),ユーザID検出部22(ユーザID検出手段),HMIデータ変更部23(HMIデータ変更手段),時間帯検出部24(時間帯検出手段),場所検出部25(場所検出手段),管理アプリケーション45,選択アプリケーション35(選択手段)及び第二選択アプリケーション37(HMIデータ変更手段)は、コンピュータが実行する所定のアプリケーションプログラム(インターフェース管理プログラム)として構成されている。
【0104】
これらのプログラムは、例えばフレキシブルディスク,CD,DVD,ブルーレイディスク,フラッシュメモリ,ハードディスク,フラッシュSSD(シリコンディスク)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体から各プログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送し格納して用いる。また、そのプログラムを、例えば磁気ディスク,光ディスク,光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0105】
ここで、コンピュータとは、ハードウェアとOS(オペレーティングシステム)とを含む概念であり、OSの制御の下で動作するハードウェアを意味している。また、OSが不要でアプリケーションプログラム単独でハードウェアを動作させるような場合には、そのハードウェア自体がコンピュータに相当する。ハードウェアは、少なくとも、CPU等のマイクロプロセッサと、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムを読み取るための手段とを備えている。上記インターフェース管理プログラムとしてのアプリケーションプログラムは、上述のようなコンピュータに、上述したID記憶部21,ユーザID検出部22,HMIデータ変更部23,選択アプリケーション35としての機能を実現させるプログラムコードを含み、車載機制御部1の制御部10におけるROM13内のプラットフォーム1a,機能アプリケーション1b,HMIアプリケーション1c,ROM33又はサーバ第一記憶部34内に記録された履歴書き込みプログラム,ROM33又はサーバ第二記憶部36内に記録されたHMIデータ記憶プログラムを含んでいる。また、その機能の一部は、アプリケーションプログラムではなくOSによって実現されてもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、車載機2の機能としてカーナビゲーション装置の機能を例示したが、本発明に係る車載機2は、オーディオ装置,DVD再生装置,デジタル放送受信装置,ラジオ装置,インターネット端末装置といった、少なくともディスプレイ又はスピーカを用いたHMIを介してユーザとの間で情報伝達を行う電子制御装置の機能を有するものであればよい。
【0107】
また、上述の実施形態では、インターフェースの変更が、視覚データ及び聴覚データの差し替えによって行われているが、具体的な変更手法はこれに限定されない。例えば、データを上書き又は改変することで変更するような手法としてもよい。なお、変更対象となるデータの種類は任意であり、少なくとも視覚データ及び聴覚データのうちの何れか一方が変更されればよい。
【符号の説明】
【0108】
1 車載機制御部
1a プラットフォーム
1b 機能アプリケーション
1c HMIアプリケーション(インターフェースプログラム,インターフェース提供手段)
2 車載機
3 サーバ(履歴管理装置,サーバ装置)
4 携帯端末(携帯電話機)
5 ICカード
6 個人認証キー
7 車両
8 無線ネットワーク
10 制御部
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 タッチパネルディスプレイ
15 スピーカ
16 第一記憶部
16a HMIデータ
20 第二記憶部
21 ID記憶部(ID記憶手段)
22 ユーザID検出部(ユーザID検出手段)
23 HMIデータ変更部(変更手段)
24 時間帯検出部(時間帯検出手段)
25 場所検出部(場所検出手段)
26 通信部
27 第三記憶部(記憶手段)
27a HMIデータベース
28 第二選択アプリケーション
30 サーバ制御部
31 CPU
32 RAM
33 ROM
34 サーバ第一記憶部(履歴記憶手段)
34a 履歴データベース(情報,時間帯別情報,場所別情報)
35 選択アプリケーション(選択手段)
36 サーバ第二記憶部(記憶手段)
36a HMIデータベース
37 第二選択アプリケーション
38 サーバ通信部
40 端末制御部
41 CPU
42 RAM
43 ROM
44 端末記憶部
45 管理アプリケーション
46 端末通信部
47 履歴記憶部(履歴記憶手段)
47a 履歴データベース
48 選択アプリケーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚データ及び聴覚データのうちの少なくとも何れか一方を具備し、複数のユーザ間で利用される複数の車両のそれぞれに装備された車載機で実行される情報処理のインターフェースを提供するインターフェースプログラムと、
該インターフェースプログラムで提供される該インターフェースの種類情報と、該車両に搭乗したユーザの情報とを関連づけて記憶する履歴記憶手段と、
該履歴記憶手段に記憶された情報に基づき、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェースを、該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに変更する変更手段と
を備えたことを特徴とする、車載機のインターフェース管理システム。
【請求項2】
該インターフェースの種類情報をインターフェースIDとして記憶するID記憶手段と、
該車両に搭乗したユーザの情報をユーザIDとして検出するユーザID検出手段とをさらに備え、
該履歴記憶手段が、該インターフェースIDと該ユーザIDとを関連づけて記憶する
ことを特徴とする、請求項1記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項3】
該履歴記憶手段に記憶された情報に基づき、該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを高頻度IDとして選択する選択手段をさらに備え、
該変更手段が、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェースを、該選択手段で選択された該高頻度IDに対応する種類のインターフェースに変更する
ことを特徴とする、請求項2記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項4】
該ユーザが該車両を運転している時間帯を検出する時間帯検出手段をさらに備え、
該履歴記憶手段が、該時間帯検出手段で検出された該時間帯に対応させて該インターフェースIDと該ユーザIDとを関連づけた時間帯別情報を記憶するとともに、
該選択手段が、該履歴記憶手段に記憶された該時間帯別情報に基づき、該高頻度IDを選択する
ことを特徴とする、請求項3記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項5】
該変更手段が、該時間帯検出手段で検出された該時間帯に応じて、変更の要否を該ユーザに確認する
ことを特徴とする、請求項4記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項6】
該ユーザが該車両を運転している場所を検出する場所検出手段をさらに備え、
該履歴記憶手段が、該場所検出手段で検出された該場所に対応させて該インターフェースIDと該ユーザIDとを関連づけた場所別情報を記憶するとともに、
該選択手段が、該履歴記憶手段に記憶された該場所別情報に基づき、該高頻度IDを選択する
ことを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項7】
該変更手段が、該場所検出手段で検出された該場所に応じて、変更の要否を該ユーザに確認する
ことを特徴とする、請求項6記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項8】
該変更手段が、該ユーザの降車時に、変更されたデータを変更前のデータに戻す
ことを特徴とする、請求項3〜7の何れか1項に記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項9】
該インターフェースが、該ユーザからの操作入力により任意に変更可能である設定値データを含み、
該履歴記憶手段が、該設定値データを該インターフェースID及び該ユーザIDに関連づけて記憶するとともに、
該変更手段が、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェース及び該設定値データを、該高頻度IDに対応する種類の車載機のインターフェース及び設定値データに変更する
ことを特徴とする、請求項3〜8の何れか1項に記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項10】
無線通信回線を介して該複数の車両のそれぞれに搭載される該車載機と通信可能に接続された履歴管理装置を備え、
該ID記憶手段,該ユーザID検出手段及び該変更手段が、該車載機に設けられるとともに、
該履歴記憶手段及び該選択手段が、該履歴管理装置に設けられる
ことを特徴とする、請求項3〜9の何れか1項に記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項11】
該履歴管理装置が、該ユーザに携行されるとともに該無線通信回線を介してそれぞれの該車載機と通信可能に設けられ、該ユーザによる当該車両の利用状態を管理する携帯電話機である
ことを特徴とする、請求項10記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項12】
該履歴管理装置が、ネットワークを介して該車載機と通信可能に設けられ、該複数のユーザのそれぞれについて該ユーザによる当該車両の利用状態を管理するサーバ装置である
ことを特徴とする、請求項10記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項13】
複数種類の該インターフェースを記憶する記憶手段をさらに備え、
該選択手段が、該記憶手段に記憶された該インターフェースの中から該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに対応するインターフェースIDを選択する
ことを特徴とする、請求項10〜12の何れか1項に記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項14】
該記憶手段が、該履歴管理装置に設けられる
ことを特徴とする、請求項13記載の車載機のインターフェース管理システム。
【請求項15】
複数のユーザ間で利用される複数の車両のそれぞれの車載機におけるインターフェースを管理する機能をコンピュータに実行させるためのインターフェース管理プログラムであって、
該コンピュータを、
視覚データ及び聴覚データのうちの少なくとも何れか一方を具備し、該車載機における該インターフェースを提供するインターフェース提供手段と、
該インターフェース提供手段で提供される該インターフェースの種類情報と、該車両に搭乗したユーザの情報とを関連づけて記憶する履歴記憶手段と、
該履歴記憶手段に記憶された情報に基づき、該ユーザが搭乗した該車両に搭載された該車載機のインターフェースを、該ユーザの利用頻度が高い種類のインターフェースに変更する変更手段として
機能させるためのインターフェース管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−195084(P2011−195084A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66163(P2010−66163)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】