説明

車載機器システム及びそれに用いられる車載機器及び携帯端末

【課題】アプリケーションを搭載する携帯端末を車両の状態との関係でより有効に利用することのできる「車載機器システム」を提供することである。
【解決手段】アプリケーションを備える携帯端末20と車載機器100とが通信可能に接続されてなる車載機器システムであって、車載機器100は、車両が所定の状態であるか否かを判定する判定手段(S21)と、前記判定手段によって車両が所定の状態であると判定されたときに、所定情報を前記携帯端末に送る所定情報送信手段(2)とを有し、前記携帯端末20は、前記所定情報を受けたときに、当該所定情報を受けたときに行うべき処理として予め定められたアプリケーションに係るアプリ関連処理を実行するアプリ関連処理実行手段(S33)を有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機器等の車載機器とスマートフォン等の携帯端末とが接続されてなる車載機器システムと、その車載機器システムを構成する当該車載機器及び携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される車両のメンテナンス情報を処理するシステムが知られている。このシステムは、車両のメンテナンスを実施する場所に設置された車両のメンテナンスに関する車両メンテナンス情報を管理する車両メンテナンス情報管理装置と、携帯端末と、車載装置(例えば、ナビゲーション装置)との間において車両メンテナンス情報の送受信ができるようになっている。例えば、車両のメンテナンスを実施する場所(ガソリンスタンド等)にてメンテナンス結果を車両メンテナンス情報管理装置に登録した後に、その車両メンテナンス情報管理装置に登録されているメンテナンス結果が携帯端末を介して車載装置に登録(転送)することができる。更に、車載装置は、メンテナンス結果を登録した後からの走行距離や経過時間が部品を交換するに適切な規定距離や規定時間に到達すると、車両をメンテナンスする必要がある旨を報知するようになっている。このようなシステムでは、車両のメンテナンス作業を行う作業者が車両メンテナンス情報管理装置にメンテナンス結果を入力すれば、携帯端末を介して車載装置にそのメンテナンス結果を取り込むことができるので、車両の運転者等の利用者自らが特に操作を行わなくても、そのメンテナンス結果を車載装置側にて利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−33622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、種々のアプリケーションの実行により多くの情報を得ることのできるスマートフォン等の携帯端末が利用されている。このような携帯端末を前述したようなシステムで利用することが考えられる。しかしながら、前述した従来のシステムでは、携帯端末は単に車両メンテナンス情報管理装置と車載装置との間でメンテナンス結果の送受の中継を行うものにすぎず、必ずしも種々のアプリケーションを搭載可能な携帯端末を有効に利用するものとはいえない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、アプリケーションを搭載する携帯端末を車両の状態との関係でより有効に利用することのできる車載機器システムを提供するものである。
【0006】
また、本発明は、上記車載機器システムを構成する車載機器及び携帯端末を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車載機器システムは、アプリケーションを備える携帯端末と車載機器とが通信可能に接続されてなる車載機器システムであって、前記車載機器は、車両が所定の状態であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によって車両が所定の状態であると判定されたときに、所定情報を前記携帯端末に送る所定情報送信手段とを有し、前記携帯端末は、前記所定情報を受けたときに、当該所定情報を受けたときに行うべき処理として予め定められたアプリケーションに係るアプリ関連処理を実行するアプリ関連処理実行手段を有する構成となる。
【0008】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに車載機器から携帯端末に所定情報が送られ、その所定情報を受けた携帯端末においてアプリケーションに係るアプリ関連処理が実行されるようになるので、前記アプリ関連処理の実行によって、車両が所定の状態であることに関連して情報を得ることのできるアプリケーションを携帯端末にて実行させ易くすることができるようになる。
【0009】
本発明に係る車載機器システムにおいて、前記アプリ関連処理実行手段は、前記所定情報を受けたときに、予め定められたアプリケーションを実行させる処理を前記アプリ関連処理として行う構成とすることができる。
【0010】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに、携帯端末において予め定められたアプリケーションが実行されるようになるので、車両が所定の状態であることに関連して情報を得ることのできるアプリケーションを携帯端末において自動的に実行させることができるようになる。
【0011】
また、本発明に係る車載機器システムにおいて、前記アプリ関連処理実行手段は、前記所定情報を受けたときに、実行可能なアプリケーションの識別情報の一覧表示画面において予め定められたアプリケーションの識別情報を予め定められた特別な表示態様で表示させる処理を前記アプリ関連処理として行う構成とすることができる。
【0012】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに、携帯端末の実行可能なアプリケーションの識別情報の一覧表示画面において予め定められたアプリケーションの識別情報が予め定められた特別な表示態様で表示されるので、携帯端末におけるアプリケーションの識別情報の一覧表示画面において、車両が所定の状態にあることに関連して情報を得ることのできるアプリケーションを実行すべきアプリケーションとして選択し易くなる。
【0013】
また、本発明に係る車載機器システムにおいて、前記アプリ関連処理実行手段は、前記携帯端末と前記車載機器との接続が切断されたときに、前記アプリ関連処理を実行する構成とすることができる。
【0014】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに、携帯端末を車載機器から切り離すと、当該携帯端末においてアプリ関連処理が実行されるので、車両が所定の状態であるときに、利用者は自分の携帯端末を車載機器から切り離して手元においてアプリ関連処理の実行に伴う情報の確認や操作を行うことができるようになる。
【0015】
更に、本発明に係る車載機器システムにおいて、前記判定手段は、車両が所定の施設にある状態であるか否かを判定する施設判定手段を有し、前記所定情報送信手段は、前記施設判定手段により前記車両が所定の施設にある状態であると判定されたときに、前記所定情報を前記携帯端末に送る構成とすることができる。
【0016】
このような構成により、車両が所定の施設に有る状態であるときに、車載機器から携帯端末に所定情報が送られ、その所定情報を受けた携帯端末においてアプリケーションに係るアプリ関連処理が実行されるようになるので、前記アプリ関連処理の実行によって、車両が所定の施設にあることに関連して情報を得ることのできるアプリケーションを携帯端末にて実行させ易くすることができる。
【0017】
また、本発明に係る車載機器システムにおいて、前記携帯端末は、前記アプリ関連処理に係る前記アプリケーションが実行された後に、該アプリケーションの実行により得られた情報をアプリ取得情報として前記車載機器に送るアプリ取得情報送信手段を有し、前記車載機器は、前記携帯端末から送られる前記アプリ取得情報を記憶する記憶手段を有する構成とすることができる。
【0018】
このような構成により、車両が所定の状態にあるときに携帯端末で実行されたアプリ関連処理に係るアプリケーションが実行された後に、そのアプリケーションの実行により得られた情報を車載機器において保存して、利用することができるようになる。
【0019】
本発明に係る車載機器は、アプリケーションを備える携帯端末が通信可能に接続される車載機器であって、車両が所定の状態であるか否かを判定する判定手段と、該判定手段によって前記車両が所定の状態であると判定されたときに、所定情報を前記携帯端末に送る所定情報送信手段とを有する構成となる。
【0020】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに所定情報を携帯端末に送るので、前記所定情報により携帯端末に車両が所定の状態であることを通知することができる。その結果、携帯端末において車両が所定の状態であるときに利用価値の高い情報を得ることのできるアプリケーションを実行させ易くすることができるようになる。
【0021】
本発明に係る車載機器において、前記所定情報を前記車載機器に送った後に、前記携帯端末での上記所定情報に起因したアプリケーションの実行により得られた情報を当該携帯端末から受けたときに、その受けた情報をアプリ取得情報として記憶する記憶手段を有する構成とすることができる。
【0022】
このような構成により、車両が所定の状態となるときに、携帯端末でのそのことに起因したアプリケーションの実行により得られた情報(アプリ取得情報)を車載機器において保存、利用することができるようになる。
【0023】
本発明に係る携帯端末は、アプリケーションを備え、車載機器に通信可能に接続される携帯端末であって、車載機器から所定情報を受けたときに、当該所定情報を受けたときに行うべき処理として予め定められたアプリケーションに係るアプリ関連処理を実行するアプリ関連処理実行手段を有する構成となる。
【0024】
このような構成により、車両が所定の状態であるときに所定情報が携帯端末に送られるように車載機器を構成すれば、車両が所定の状態であるときに車載機器から送られた所定情報によってアプリケーションに係るアプリ関連処理が実行されるようになる。
【0025】
本発明に係る携帯端末において、前記アプリ関連処理に係る前記アプリケーションが実行された後に、該アプリケーションの実行により得られた情報をアプリ取得情報として前記車載機器に送るアプリ取得情報送信手段を有する構成とすることができる。
【0026】
このような構成により、携帯端末でのアプリケーションの実行により得られた情報(アプリ取得情報)を車載機器において保存、利用することができるようになる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る車載機器システムによれば、車両が所定の状態であるときに、車載機器からの所定情報に起因した携帯端末でのアプリ関連処理の実行によって、車両が所定の状態であるときに利用価値の高い情報を得ることのできるアプリケーションを携帯端末にて実行させ易くすることができるようになるので、アプリケーションを搭載する携帯端末を車両の状態との関係でより有効に利用することができるようになる。
【0028】
また、本発明に係る車載機器及び携帯端末によれば、前記車載機器システムを構成することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る車載機器システム及びその車載機器システムを構成する車載機器及び携帯端末(スマートフォン)を示すブロック図である。
【図2】図1に示す車載機器システム及びスマートフォンでの処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【図3】スマートフォンにおいて実行可能なアプリケーションの一覧を表わすホーム画面の一例を示す図である。
【図4】スマートフォンにおいて実行可能なアプリケーションの一覧を表わすホーム画面の他の例を示す図である。
【図5】車両メンテナンスに係るアプリケーションの実行によりスマートフォンに表示される画面の一例を示す図である。
【図6】車両メンテナンスに係るアプリケーションの実行によりスマートフォンに表示される画面の他の一例を示す図である。
【図7】車両メンテナンスに係るアプリケーションの実行によりスマートフォンに表示される画面の更に他の一例を示す図である。
【図8】図1に示す車載機器システムでの処理手順の他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0031】
本発明の実施の形態に係る車載機器システムは、図1に示すように構成される。
【0032】
図1において、この車載機器システムは、車載機器100及び携帯端末20にて構成される。車載機器100は、外部機器接続用のコネクタ19を有し、コネクタ19にはケーブルによってスマートフォン20(携帯端末)が接続可能になっている。車載機器100は、コンピュータユニット(CPUを含む)にて構成される処理ユニット11を有している。この処理ユニット11には、CD・DVD等のディスク媒体から音楽及び映像の再生が可能なAVユニット17及び車両のナビゲーション処理を行うナビゲーションユニット18が接続されている。さらに、処理ユニット11には、AVユニット17及びナビゲーションユニット18等によって利用される各種情報(例えば、地図情報、施設情報及び、後に後述する処理情報等)が記憶される記憶部14(例えば、HDD)、車室内に設けられる映像等の表示が可能な表示部13、操作ボタンや表示部13内に構成されるタッチパネル等からなる操作部12、及び車室内に設けられたスピーカ16に音声信号を供給する出力回路15が接続されている。
【0033】
スマートフォン20がケーブルにて接続されるコネクタ19は、処理ユニット11に接続され、処理ユニット11は、ケーブル及びコネクタ19を介してスマートフォン20と通信可能となっている。スマートフォン20は、ナビゲーションアプリケーション、情報検索アプリケーション、ゲームアプリケーション、また、車両のメンテナンスに係るアプリケーション(燃費アプリケーション、ガレージアプリケーション)等の種々のアプリケーションを搭載している。そして、スマートフォン20では、搭載するアプリケーションの識別情報となるアイコンを一覧表示させるホーム画面が表示され、そのホーム画面上で選択されたアイコンに対応するアプリケーションが起動されるようになっている。
【0034】
この車載機器100とスマートフォン20とが通信可能に接続された車載機器システムでは、例えば、図2に示す手順に従って処理がなされる。
【0035】
図2において、車載機器100の処理ユニット11は、操作部12での操作に基づいてナビゲーションユニット18を起動させる(S11)。起動したナビゲーションユニット18は、処理ユニット11の制御のもと車両ナビゲーション処理を実行し、表示部13に道路地図とともにその道路地図上の車両の現在位置に対応した位置に車両マークが表示され、運転誘導のガイダンスがスピーカ16から出力される。このような車両ナビゲーション処理の過程で、処理ユニット11は、ナビゲーションユニット18から車両の状態を表す情報(例えば、車両の走行距離、車両の走行時間、車両の施設への立ち寄りに関する情報等)を含むナビ情報を取得している(1)。
【0036】
処理ユニット11は、ナビゲーションユニット18から取得する前記ナビ情報に含まれる車両の状態を表す情報に基づいて車両がガソリンスタンド等の車両メンテナンスの可能な施設にある状態(所定の状態)であるか否かを判定している(S21:判定手段・施設判定手段)。そして、処理ユニット11は、車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態であると判定すると、更に、スマートフォン20との接続を確認して(S22)、メンテナンス優先要求をスマートフォン20に送る(2:所定情報送信手段)。
【0037】
一方、スマートフォン20は、搭載しているアプリケーションの識別情報としてのアイコンを一覧表示させる、例えば、図3に示すようなホーム画面を表示している(S31)。このホーム画面上のアイコンの選択操作によってそのアイコンに対応するアプリケーションが起動される。このホーム画面には優先エリアMが形成されており、優先エリアMには使用頻度のより高いアプリケーションのアイコンが位置している。これにより、ホーム画面上の多くのアイコンの中から使用頻度の高いアプリケーションのアイコンを選択し易くなる。
【0038】
上述したようなホーム画面を表示するスマートフォン20が車載機器100(処理ユニット11)からのメンテナンス優先要求を受けると、スマートフォン20は、その要求確認応答を車載機器100に送る(3)。車載機器100の処理ユニット11は、メンテナンス優先要求をスマートフォン20に送った後にスマートフォン20から要求確認応答を受けると、スマートフォン20に対してメンテナンス優先要求を送ったことを表す情報(例えば、フラグ)を不揮発性の内部メモリに記憶させる。
【0039】
車両メンテナンスの可能な施設(ガソリンスタンド、車両メンテナンス工場を併設するカー用品店等)で車両の給油やメンテナンスがなされている間、車外でスマートフォン20を利用するために、利用者(運転者)が、スマートフォン20を車載機器100のコネクタ19から外すと、スマートフォン20は、車載機器100との接続が切断されたことを確認する(S32)。メンテナンス作業等を受けるために車両のイグニッションキーがオフされると車載機器100はオフ状態となる(S12)。このとき、スマートフォン20は、コネクタ19から外されていなくても車載機器100との接続が切断されたことを確認することができる。
【0040】
このように車載機器100との接続が切断されたことを確認したスマートフォン20は、前記メンテナンス優先要求を受けたときに行うべき処理として予め定められた車両メンテナンスに係るアプリケーションのアイコンを特別な表示態様で表示させるための処理(アプリ関連処理)、即ち、図3に示す通常のホーム画面を図4に示すメンテナンス優先のホーム画面に切換えるための処理を行う(S33:アプリ関連処理実行手段)。このメンテナンス優先のホーム画面では、優先エリアMの外にあった車両メンテナンスに係るアプリケーションのアイコン、例えば、燃費を管理するための燃費アプリケーションのアイコンNや車両の修理やメンテナンスを管理するためのガレージアプリケーションのアイコンGが優先エリアMに入れられる(特別な表示態様での表示)。
【0041】
車両が給油やメンテナンス作業を受けている間、車外でスマートフォン20を利用するユーザは、その給油や車両のメンテナンスに係る情報を取得するために、車両メンテナンスに係るアプリケーションを起動させることができる。このとき、スマートフォン20は図4に示すようなメンテナンス優先のホーム画面を表示しており、多くのアイコンの中から優先エリアMに表示された車両メンテナンスに係るアプリケーションである燃費アプリケーションのアイコンNやガレージアプリケーションのアイコンGの選択操作を容易に行うことができる。
【0042】
スマートフォン20のメンテナンス優先のホーム画面において、車両メンテナンスに係るアプリケーションに対応するアイコンの選択操作(アプリケーションの起動操作)がなされると(4)、その選択操作されたアイコンに対応した車両メンテナンスに係るアプリケーションが起動する(S41)。例えば、ガレージアプリケーションが起動されると、図5及び図6に示すような画面表示にて、また、燃費アプリケーションが起動されると、図7に示すような画面表示にて、給油やメンテナンス作業についての情報入力や処理結果情報の表示がなされる。
【0043】
車両の給油やメンテナンス作業が終了して、利用者がスマートフォン20において前記車両メンテナンスに係るアプリケーションの終了操作を行うと、スマートフォン20はその車両メンテナンスに係るアプリケーションを立ち下げる(S42)。その後、スマートフォン20では、前記車両メンテナンスに係るアプリケーションの実行により取得されたメンテナンス情報(入力情報、処理結果情報等)が不揮発性メモリ等の記憶部に保存される((5)、S34)。そして、スマートフォン20は、通常のホーム画面(図3参照)を表示する(S35)。給油やメンテナンス作業の完了した車両に乗り込んだ利用者はスマートフォン20を車載機器100のコネクタ19に接続することができる。
【0044】
一方、車両に乗り込んだ利用者がイグニッションスイッチのオン操作によって車両のエンジンを動作させると、車載機器100が起動される(S13)。起動された車載機器100の処理ユニット11は、スマートフォン20に対してメンテナンス優先要求を送ったことを表す情報が不揮発性の内部メモリに記憶されていることを確認すると、更に、スマートフォン20との接続を確認し(S23)、スマートフォン20にメンテナンス情報の要求を送る(6)。その要求を受けたスマートフォン20は、不揮発性メモリに保存した前記メンテナンス情報(アプリ取得情報)を車載機器100に送る(7:アプリ取得情報送信手段)。そして、スマートフォン20からメンテナンス情報を受けた車載機器100の処理ユニット11は、そのメンテナンス情報を記憶部14に記憶させる(S24)。これにより、車載機器100において、車両の給油やメンテナンス作業に係る情報(メンテナンス情報)を利用することができるようになる。
【0045】
前述したような車載機器システムでは、車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態であるときに、車載機器100(処理ユニット11)からスマートフォン20にメンテナンス優先要求が送られ、そのメンテナンス優先要求を受けたスマートフォン20において、通常のホーム画面(図3参照)から、車両メンテナンスに係るアプリケーションのアイコンが優先エリアMに表示されたメンテナンス優先のホーム画面(図4参照)に切換える処理(アプリ関連処理)がなされる。このため、そのホーム画面(図4参照)において、車両が車両メンテナンスの可能な施設に関連して情報を得ることのできる車両メンテナンスに係るアプリケーションの選択が容易になり、スマートフォン20にて当該アプリケーションを実行させ易くなる。従って、車両メンテナンスに係るアプリケーションを搭載するスマートフォン20を車両の状態(車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態)との関係でより有効に利用することができるようになる。
【0046】
また、スマートフォン20を車載機器100のコネクタ19から外すと、スマートフォン20において通常のホーム画面(図3参照)からメンテナンス優先のホーム画面(図4参照9に切換えられるので、車両がガソリンスタンド等でメンテナンス作業を受ける際に、利用者は、自分のスマートフォン20を車外でそのメンテナンス優先のホーム画面を確認しつつ、情報の確認や操作を行うことができるようになる。
【0047】
図1に示すように車載機器100とスマートフォン20とが通信可能に接続された車載機器システムでは、図2に示す手順に代えて図8に示す手順に従った処理を行うことができる。この場合の処理は、スマートフォン20が車載機器100のコネクタ19から外されなくてもアプリ関連処理を実行すること、また、そのアプリ関連処理が通常のホーム画面をメンテナンス優先のホーム画面に切換える処理ではなく、アプリケーションを直接起動させる処理であること、の点で図2に示す手順に従った処理と異なる。
【0048】
図8において、図2に示す手順の場合と同様に、車載機器100では、処理ユニット11が、ナビゲーションユニット18から車両の状態を表す情報を含むナビ情報を取得している(S11、(1))。そして、処理ユニット11が、その車両の状態を表す情報に基づいて、車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態であると判定すると(S21:判定手段・施設判定手段)、更に、スマートフォン20との接続を確認して(S22)、メンテナンスアプリ起動要求をスマートフォン20に送る(8:所定情報送信手段)。
【0049】
ホーム画面(図3参照)を表示するスマートフォン20は、車載機器100からの前記メンテナンスアプリ起動要求を受けると、前記メンテナンスアプリ起動要求を受けたときに行うべき処理として予め定められた車両メンテナンスに係るアプリケーション、例えば、前述した燃費アプリケーションやガレージアプリケーションを起動させる処理を行う(S41:アプリ関連処理実行手段)。そして、スマートフォン20は、起動応答を車載機器100に送る(9)。車載機器100の処理ユニット11は、メンテナンスアプリ起動要求をスマートフォン20に送った後にスマートフォン20から起動応答を受けると、スマートフォン20に対してメンテナンスアプリ起動要求を送ったことを表す情報(例えば、フラグ)を不揮発性の内部メモリに記憶させる。
【0050】
メンテナンス作業等を受けるために車両のイグニッションキーがオフされて車載機器100がオフ状態(S12)になっても、スマートフォン20では、車両メンテナンスに係るアプリケーションが起動された状態となっている。そして、利用者(運転者)は、スマートフォン20を車載機器100のコネクタ19を利用することができる。
【0051】
車両が給油やメンテナンス作業を受けている間、スマートフォン20において、起動された車両メンテナンスに係るアプリケーションの実行により、前述した例(図2参照)と同様に、図5、図6(ガレージアプリケーションの例)や、図7(燃費アプリケーションの例)に示すような画面表示にて給油やメンテナンス作業についての情報入力や処理結果情報の表示がなされる。
【0052】
その後、車両の給油やメンテナンス作業が終了して、利用者の終了操作によってスマートフォン20において車両メンテナンスに係るアプリケーションが立ち下げられると(S42)、前述した例と同様の手順に従って、当該アプリケーションの実行により得られたメンテナンス情報(入力情報、処理結果情報)がスマートフォン20に保存される((5)、S34、S35)。そして、車両のイグニッションキーのオン操作によって起動された車載機器100の処理ユニット11は、スマートフォン20に対して既にメンテナンスアプリ起動要求を送ったことを表す情報を確認すると、前記メンテナンス情報をスマートフォン20から取得して記憶部14に保存する((6)、(7)、S23)。
【0053】
図8に示す手順にて処理を実行する車載機器システムでは、車両が車両メンテナンスの可能な施設に有る状態であるときに、スマートフォン20において予め定められた車両メンテナンスに係るアプリケーションが実行されるようになるので、車両メンテナンスの可能な施設に関連して情報を得ることのできる車両メンテナンスに係るアプリケーションを自動的に実行させることができるようになる。従って、車両メンテナンスに係るアプリケーションを搭載するスマートフォン20を車両の状態(車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態)との関係でより有効に利用することができるようになる。
【0054】
なお、図2に示す手順での処理において、スマートフォン20では、車載機器100との接続の切断を確認することなく、通常のホーム画面(図3参照)をメンテナンス優先のホーム画面(図4参照)に切換える処理(アプリ関連処理)を実行するようにしてもよい。また、図8に示す手順での処理において、スマートフォン20では、車載機器100との接続の切断を確認した後に、車両メンテナンスに係るアプリケーションを起動させる処理(アプリ関連処理)を実行させるようにしてもよい。
【0055】
前述した各例(図2、図8参照)では、車両が車両メンテナンスの可能な施設にある状態になった際に、スマートフォン20においてその車両メンテナンスのアプリケーションに係る処理(ホーム画面の切換え処理、アプリケーションの起動処理)がなされたが、これに限られず、例えば、所定走行距離や所定走行時間毎(車両の走行距離や走行時間が所定値に達した状態になる毎)に、スマートフォン20において車両メンテナンスのアプリケーションに係る処理がなされるようにしても、また、車両がファミリーレストランにある状態になった際に、スマートフォン20においてカロリー計算のアプリケーションに係る処理がなされるようにしても、更に、車両が他の状態となる際に、スマートフォン20において予め定められたアプリケーションに係る処理(アプリ関連処理)がなされるようにしてもよい。
【0056】
なお、スマートフォン20が有線ではなく、無線にて車載機器100に接続される構成とすることもできる。
【0057】
また、載機器100に通信可能に接続される携帯端末は、スマートフォン20に限られず、情報処理機能を備えた携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、ハンディパソコン等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上、説明したように、本発明に係る車載機器システムは、アプリケーションを搭載する携帯端末を車両の状態との関係でより有効に利用することができるという効果を有し、ナビゲーション機器等の車載機器とスマートフォン等の携帯端末とが接続されてなる車載機器システムとして有用である。
【符号の説明】
【0059】
11 処理ユニット
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 出力回路
16 スピーカ
17 AVユニット
18 ナビゲーションユニット
19 コネクタ
20 スマートフォン(携帯端末)
100 車載機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションを備える携帯端末と車載機器とが通信可能に接続されてなる車載機器システムであって、
前記車載機器は、車両が所定の状態であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって車両が所定の状態であると判定されたときに、所定情報を前記携帯端末に送る所定情報送信手段とを有し、
前記携帯端末は、前記所定情報を受けたときに、当該所定情報を受けたときに行うべき処理として予め定められたアプリケーションに係るアプリ関連処理を実行するアプリ関連処理実行手段を有する車載機器システム。
【請求項2】
前記アプリ関連処理実行手段は、前記所定情報を受けたときに、予め定められたアプリケーションを実行させる処理を前記アプリ関連処理として行う請求項1記載の車載機器システム。
【請求項3】
前記アプリ関連処理実行手段は、前記所定情報を受けたときに、実行可能なアプリケーションの識別情報の一覧表示画面において予め定められたアプリケーションの識別情報を予め定められた特別な表示態様で表示させる処理を前記アプリ関連処理として行う請求項1記載の車載機器システム。
【請求項4】
前記アプリ関連処理実行手段は、前記携帯端末と前記車載機器との接続が切断されたときに、前記アプリ関連処理を実行する請求項2記載の車載機器システム。
【請求項5】
前記判定手段は、車両が所定の施設にある状態であるか否かを判定する施設判定手段を有し、
前記所定情報送信手段は、前記施設判定手段により前記車両が所定の施設にある状態であると判定されたときに、前記所定情報を前記携帯端末に送る請求項1乃至4のいずれかに記載の車載機器。
【請求項6】
前記携帯端末は、前記アプリ関連処理に係る前記アプリケーションが実行された後に、該アプリケーションの実行により得られた情報をアプリ取得情報として前記車載機器に送るアプリ取得情報送信手段を有し、
前記車載機器は、前記携帯端末から送られる前記アプリ取得情報を記憶する記憶手段を有する請求項1乃至5のいずれかに記載の車載機器システム。
【請求項7】
アプリケーションを備える携帯端末が通信可能に接続される車載機器であって、
車両が所定の状態であるか否かを判定する判定手段と、
該判定手段によって前記車両が所定の状態であると判定されたときに、所定情報を前記携帯端末に送る所定情報送信手段とを有する車載機器。
【請求項8】
前記所定情報を前記車載機器に送った後に、前記携帯端末での上記所定情報に起因したアプリケーションの実行により得られた情報を当該携帯端末から受けたときに、その受けた情報をアプリ取得情報として記憶する記憶手段を有する請求項7記載の車載機器。
【請求項9】
アプリケーションを備え、車載機器に通信可能に接続される携帯端末であって、
車載機器から所定情報を受けたときに、当該所定情報を受けたときに行うべき処理として予め定められたアプリケーションに係るアプリ関連処理を実行するアプリ関連処理実行手段を有する携帯端末。
【請求項10】
前記アプリ関連処理に係る前記アプリケーションが実行された後に、該アプリケーションの実行により得られた情報をアプリ取得情報として前記車載機器に送るアプリ取得情報送信手段を有する請求項9記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−162140(P2012−162140A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−22990(P2011−22990)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】