説明

車載熱交換器用補助装置

【課題】熱交換器の効率を改善することで、発電機負荷による燃料消費を良好に軽減し得る車載熱交換器用補助装置を提供する。
【解決手段】車載熱交換器用補助装置1は、雨水排水経路11の途上に設けられる切替弁12(切替手段)と、降雨を検知するワイパSW31、レインセンサ32(降雨検知手段)と、貯水タンク13に貯められた雨水をラジエータ2、インタークーラ3(熱交換器)に向けて噴霧するポンプ15(噴霧手段)と、マイコン25(車両状態情報取得手段、切替制御手段、噴霧制御手段)と、を備える。マイコン25は、ワイパSW31等により降雨が検知されたとき、切替弁12を排水用切替位置から給水用切替位置に切り替える。また、マイコン25は、取得した車両状態情報等に応じてポンプ15を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載熱交換器用補助装置に関し、特に雨水を利用して熱交換器の放熱(冷却)性能の向上を図る車載熱交換器用補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のラジエータやインタークーラなどの熱交換器では、走行風を利用して(空冷)、放熱性能を向上させるのが一般的である。そして、車両の停止時や車両の走行時であっても十分な放熱効果が得られない場合には、熱交換器用補助装置としての電動ファンを駆動する等して放熱性能を確保するようにしている。また、例えば下記特許文献1に記載されるように、雨水受部を備え、雨水受部が受けた雨水を熱交換器(水冷式)における冷却水の補給用として冷却水リザーブタンクへ導入するようにした雨水利用式の補助装置も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60−34074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の車両では、渋滞時等の長時間低速走行状態(あるいは停止状態)にあって、走行風による熱交換器の冷却が期待しずらい場合には、間欠的(あるいは連続的)に電動ファンによる強制送風を行うようにしているが、電動ファンを駆動すると消費電力が大きく、状況によってはエンジン回転数の増加制御(アイドルアップ)を行うこともあり、これによって熱交換器の放熱性能は向上するものの、発電機負荷の増加に伴い余分な燃料を消費してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、熱交換器の効率を改善することで、発電機負荷による燃料消費を良好に軽減し得る車載熱交換器用補助装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の車載熱交換器用補助装置は、車両に設けられた雨水排水経路と、雨水排水経路の途上に設けられ、雨水を車外へ排水する排水用切替位置と貯水タンクへ給水する給水用切替位置とのいずれかに切り替えられる切替手段と、貯水タンクに設けられ、水位を検知する水位検知手段と、降雨を検知する降雨検知手段と、降雨検知手段により降雨が検知されたとき、切替手段を排水用切替位置から給水用切替位置に切り替える切替制御手段と、貯水タンクに貯められた雨水を熱交換器に向けて噴霧する噴霧手段と、噴霧手段を駆動するために必要な車両状態情報を取得する車両状態情報取得手段と、取得した車両状態情報に応じて噴霧手段を制御する噴霧制御手段と、を備えたことを特徴とする。ここで、車両状態情報には、例えば、熱交換器がラジエータである場合の冷却水温度、電動ファンの動作状態信号、発電機負荷信号、エンジンに対する高出力要求信号などが含まれ、対応する制御ユニットから車内通信線を介して取得される。
【0007】
本発明によれば、降雨検知手段により降雨が検知されると、切替手段が排水用切替位置から給水用切替位置に切り替えられ、雨水が雨水排水経路を経て貯水タンクに貯められる。水位検知手段により設定値以上の水位が検知されると、切替手段が給水用切替位置から排水用切替位置に切り替えられ、貯水量が制限される。そして、車両状態情報取得手段により取得された車両状態情報に応じて噴霧手段が駆動され、貯水タンクの雨水が熱交換器に噴霧される。このように貯水タンクの雨水を熱交換器に噴霧し、雨水が熱交換器から気化熱を奪うことで熱交換器の冷却性能を向上させることができる。つまり、雨水を積極的に利用して熱交換器の冷却性能の改善を図ることで、バッテリ容量の低下、発電容量の増加を抑制することが可能となり、ひいては発電機負荷による燃料消費を軽減することが可能となる。
【0008】
この場合、熱交換器は、電動ファンの動作により放熱効率が高められるものであり、噴霧制御手段は、取得した車両状態情報に応じて噴霧手段を電動ファンの動作に優先して駆動するように構成することができる。これによれば、電動ファンの動作を最小限に制限し、その電気的負荷を軽減することで、発電機負荷による燃料消費を良好に軽減することができる。
【0009】
また、雨水排水経路は、降雨時にフロントワイパにより掻き集められた雨水を車外へ排水する排水部を利用して形成されている構成とすることができる。これによれば、雨水を効率良く貯水タンクに集めることができる。
【0010】
また、熱交換器は複数設けられ、各熱交換器に対応して貯水タンク及び噴霧手段が設けられており、噴霧制御手段は、取得した車両状態情報に応じて各噴霧手段を個別に駆動するように構成することができる。これによれば、熱交換器の種類に応じて雨水の噴霧量を変えることができ、各熱交換器を効率良く冷却することができる。
【0011】
また、切替制御手段は、車両が駐車中であるとき、切替手段を排水用切替位置から給水用切替位置に切り替え可能な構成とすることもできる。これによれば、車両の駐車中に自動的に貯水タンクへの給水が可能となるため、雨水を補充する等の定期的なメインテナンス負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る車載熱交換器用補助装置の一例を模式的に示すブロック図。
【図2】図1の雨水排水経路の概略図。
【図3】図1のマイクロコンピュータによって実行される弁制御プログラムを示すフローチャート。
【図4】図1のマイクロコンピュータによって実行されるポンプ制御プログラムを示すフローチャート。
【図5】貯水タンクが複数設けられる場合の一例(要部)を模式的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る車載熱交換器用補助装置1の一例を示すブロック図である。本実施例1の適用車両は、エンジン(図示省略)を水冷方式で冷却するものであり、冷却水の放熱を行うラジエータ2と、過給機(図示省略)による圧縮空気の放熱を行うインタークーラ3とを備えている。ラジエータ2及びインタークーラ3が本発明の熱交換器に相当している。そして、車載熱交換器用補助装置1は、降雨時に貯水した雨水を利用してラジエータ2及びインタークーラ3の放熱効率を改善するものであり、雨水を自動給水する給水ユニット10と、車両状態に応じて給水ユニット10を制御する制御ユニット20とを含んで構成されている。
【0015】
給水ユニット10は、雨水排水経路11、切替弁12、貯水タンク13、水位センサ14及びポンプ15を備えている。雨水排水経路11は、図2に示すように、降雨時にフロントワイパ4により掻き集められた雨水を車外へ排水するためにカウル部5に設けられた導水口5a及び導水路5b(排水部)を利用して形成されており、雨水を効率良く貯水タンク13に集めることができるように構成されている。なお、雨水排水経路11は、カウル部5以外にも、雨水が集められやすい例えば車両ドアのウェザーストリップ等を利用して構成してもよい。
【0016】
図1に戻って、切替弁12(切替手段)は、雨水排水経路11の途上に設けられ、制御ユニット20によるアクチュエータ12aの駆動によって、雨水を車外へ排水する排水用切替位置(図中実線で示す位置)と、貯水タンク13へ給水する給水用切替位置(図中破線で示す位置)とのいずれかに切り替えられる。
【0017】
切替弁12は、通常時は排水用切替位置に位置するように設定されており、雨水排水経路11を経由して流れ込む雨水が原則として車外へ排水されるように構成されている。切替弁12が通常時において給水用切替位置に位置するように設定すると、フロントウインドガラスに付着等していた塵等の異物が雨水と共に貯水タンク13に混入するおそれがあるからである。この場合、降雨の当初は、切替弁12を排水用切替位置に維持し、ある程度の時間が経過してから切替弁12を給水用切替位置に切り替えるように制御したり、雨水排水経路11の途上にフィルタを設けることで、貯水タンク13に貯められる雨水をきれいなものとすることができる。
【0018】
貯水タンク13は、切替弁12が給水用切替位置に切り替えられることで雨水排水経路11を経由して流れ込む雨水を貯水する。水位センサ14は、貯水タンク13に貯められる雨水の水位に対応する水位信号を制御ユニット20に出力する。
【0019】
ポンプ15は、雨水を汲み上げる電動モータ15aを備え、例えば電動モータ15aの正転駆動によりノズル15bを介して雨水をラジエータ2に向けて噴霧する一方、電動モータ15aの逆転駆動によりノズル15cを介して雨水をインタークーラ3に向けて噴霧するように構成されている。なお、ポンプ15の消費電力は、後述する電動ファン6の消費電力に比べて小さく設定されている。ポンプ15が本発明の噴霧手段に相当する。
【0020】
制御ユニット20は、通信回路21、駆動回路22〜24、及びこれらが接続されるマイクロコンピュータ25(以下、マイコン25という)を備えている。通信回路21(例えば、CANトランシーバ)は、多重通信線BUS(例えば、CAN、LINなどの車内通信線)に接続されている。駆動回路22は、切替弁12を動作させるアクチュエータ12a(例えば、電動モータ、電磁ソレノイドなど)を駆動する。また、駆動回路23は電動ファン6を駆動し、駆動回路24はポンプ15の電動モータ15aを駆動する。
【0021】
マイコン25は、通信回路21及び多重通信線BUSを介してエンジンECU等から、冷却水温度、圧縮空気温度、エンジンの高出力要求信号(例えば、エンジン回転数)、ラジエータ2の放熱効率を高める電動ファン6の動作状態信号(例えば、ファン回転数)、発電機(図示省略)の負荷信号(例えば、オルタネータ出力)などを取得する。冷却水温度、エンジンの高出力要求信号、電動ファン6の動作状態信号、発電機の負荷信号などが本発明の車両状態情報に相当し、通信回路21、マイコン25などが本発明の車両状態情報取得手段に相当する。
【0022】
また、マイコン25には、ワイパSW31、レインセンサ32及び上記水位センサ14が接続されている。ワイパSW31は、フロントワイパ4の動作状態信号(例えば、間欠動作、低速動作、高速動作及び一時動作のうちいずれの動作状態であるかを示す信号)を出力する。レインセンサ32は、降雨を検知したときレイン検知信号を出力する。ワイパSW31及びレインセンサ32が本発明の降雨検知手段に相当する。
【0023】
マイコン25は、CPU,ROM,RAM,フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ,A/D変換部,インターフェース(I/F)回路などを主要構成部としており、ROM等に記憶されている図3の弁制御プログラムを実行し、その実行に応じた制御信号を駆動回路22に出力して切替弁12を駆動する。また、マイコン25は、図4のポンプ制御プログラムを実行し、その実行に応じた制御信号を駆動回路24に出力してポンプ15を駆動する一方で、必要に応じて制御信号を駆動回路23に出力して電動ファン6を駆動する。
【0024】
なお、マイコン25は、貯水タンク13に雨水が貯まっていない等の場合には図3及び図4のプログラムを実行する代わりにファン制御プログラム(図示省略)を実行し、その実行に応じた制御信号を駆動回路23に出力して電動ファン6のみを個別に駆動するようになっている。マイコン25が本発明の切替制御手段、噴霧制御手段に相当する。
【0025】
次に、上記のように構成された実施例1の作動について説明する。イグニッションスイッチのオンにより、マイコン25は、図3の弁制御プログラム及び図4のポンプ制御プログラムの実行を開始する。
【0026】
最初に、図3の弁制御プログラムについて説明する。マイコン25は、ワイパSW31がオンであるか、又はレインセンサ32により降雨が検知された場合には(S1:YES)、切替弁12が排水位置に位置していることを条件として(S2:YES)、切替弁12を給水位置に切り替えるように駆動回路22を介してアクチュエータ12aを駆動する(S3)。なお、ワイパSW31がオフであり、しかも、レインセンサ32により降雨が検知されない場合には(S1:NO)、直ちにこの弁制御プログラムの実行を終了する。
【0027】
マイコン25は、水位センサ14からの水位信号に応じて貯水タンク13内の雨水が所定の水位に達したと判定すると(S4:YES)、切替弁12を排水位置に切り替えるように駆動回路22を介してアクチュエータ12aを駆動する(S5)。なお、貯水タンク13内の雨水が所定の水位に達するまでは、S1,S2,S4の処理を繰り返し実行し、この処理の間に降雨が検知されなくなれば(S1:NO)、この弁制御プログラムの実行を終了する。このとき、切替弁12は通常時の排水位置に戻される。
【0028】
次に、図4のポンプ制御プログラムについて説明する。マイコン25は、通信回路21及び多重通信線BUSを介してエンジンECU等から、冷却水温度、圧縮空気温度、エンジンの高出力要求信号、電動ファン6の動作状態信号、発電機の負荷信号などの車両状態情報を取得する(S11)。
【0029】
マイコン25は、冷却水温度が所定の温度よりも高く、かつ、圧縮空気温度が所定の温度よりも高い場合には、ラジエータ2とインタークーラ3の両者に雨水を噴霧する必要があると判定し(S12,S13:YES)、車両状態情報及び貯水タンク13の水位に応じて駆動回路24を介してポンプ15aが正転逆転を繰り返すように駆動する。このとき、必要に応じて駆動回路23を介して電動ファン6を駆動する(S14)。
【0030】
なお、貯水タンク13の水位を参照することとしたのは、その水位に応じてポンプ15の動作時間や正逆転のタイミング、あるいは正転と逆転の動作時間の比率などが異なってくると考えられるからである。この場合、水位センサ14の水位信号に加えて、ワイパSW31の動作状態信号又はレインセンサ32の降雨検知信号を利用し、降雨が続いていることを条件として(降雨の量を加味することもできる)、ポンプ15を積極的に駆動し、電動ファン6を極力駆動しないようにすることができる。
【0031】
給水ユニット10が設けられていない従来の車両では、冷却水温度を低下させること、エンジン出力を高くすること、発電機負荷を小さくすること等の各種要求が競合した場合、いずれの要求を優先するかについては車両状態との関係に応じてさまざまな考え方があり、冷却水温度の低減を優先するものもあれば、エンジンの高出力要求や発電機負荷の低減を優先するものもあった。
【0032】
この実施例1では、冷却水温度が所定の温度よりも高い場合には、電動ファン6よりも消費電力の小さいポンプ15aを優先して駆動し、冷却水温度が依然として所定の温度よりも高い場合に限り電動ファン6を駆動するようにしている。このため、エンジンの高出力要求がある場合や発電機負荷の低減要求がある場合であっても、それぞれの要求を適切なものとすることが可能となる。
【0033】
同様にして、冷却水温度は所定の温度よりも高いが、圧縮空気温度が所定の温度よりも低い場合には、ラジエータ2のみに雨水を噴霧する必要があると判定し(S12:YES、S13:NO)、車両状態情報及び貯水タンク13の水位に応じて駆動回路24を介してポンプ15を正転駆動し、必要に応じて駆動回路23を介して電動ファン6を駆動する(S15)。
【0034】
一方、冷却水温度は所定の温度よりも低いが、圧縮空気温度が所定の温度よりも高い場合には、インタークーラ3のみに雨水を噴霧する必要があると判定し(S12:NO、S16:YES)、車両状態情報及び貯水タンク13の水位に応じて駆動回路24を介してポンプ15を逆転駆動する(S17)。
【0035】
なお、冷却水温度が所定の温度よりも低く、かつ、圧縮空気温度が所定の温度よりも低い場合には、ラジエータ2及びインタークーラ3の両者に雨水を噴霧する必要はないと判定し(S12,S16:NO)、ポンプ15を停止状態とする(S18)。
【0036】
以上の説明からも明らかなように、上記実施例1では、雨水をラジエータ2等に噴霧し、雨水がラジエータ2等から気化熱を奪うことでラジエータ2等の冷却性能を向上させることができる。すなわち、雨水を積極的に利用しラジエータ2等の冷却性能の改善を図ることで、バッテリ容量の低下、発電容量の増加を抑制することができ、発電機負荷による燃料消費を軽減することができる。
【0037】
特に、この実施例1では、ポンプ15が電動ファン6の動作に優先して駆動されるため、電動ファン6の動作を最小限に制限し、その電気的負荷を軽減することで、発電機負荷による燃料消費を良好に軽減することができる。
【実施例2】
【0038】
上記実施例1では、熱交換器としてのラジエータ2及びインタークーラ3に対して、貯水タンク13、水位センサ14及びポンプ15を共用するように構成したが、これに限らず、例えば図5に示すように、ラジエータ2に対応して貯水タンク13、水位センサ14及びポンプ15を設けるとともに、インタークーラ3に対応して貯水タンク113、貯水タンク113の水位を検出してマイコン25に出力する水位センサ114、及び電動モータ115aを有するポンプ115を設けるように構成してもよい。その他の構成は上記実施例1とほぼ同じである。
【0039】
この実施例2において、雨水排水経路11には、雨水を貯水タンク113に導く分岐路111が形成されるとともに、切替弁12に加えて切替弁112が設けられている。切替弁112(切替手段)は、制御ユニット20によるアクチュエータ112aの駆動によって、貯水タンク13へ給水する第一給水切替位置(図中実線で示す位置)と、貯水タンク113へ給水する第二給水切替位置(図中破線で示す位置)とのいずれかに切り替えられる。また、ポンプ115は、電動モータ115aの正転駆動によりノズル115cを介して雨水をインタークーラ3に向けて噴霧するように構成されている。
【0040】
この実施例2によれば、ラジエータ2とインタークーラ3とで噴霧のための貯水量及び雨水の噴霧量をそれぞれ個別に設定することができる。これにより、車両状態情報及び貯水タンク13,113の水位に応じてラジエータ2とインタークーラ3をそれぞれ効率良く冷却することができる。
【0041】
なお、上記実施例2では、切替手段として二つの切替弁12,112を用いるように構成したが、切替弁の構成は適宜変更可能であり、一つの弁機構で切替弁12,112の両機能を備えるように構成することも可能である(ロータリー弁のように回転位置に応じて流路を分ける、スプール弁のようにスライド位置に応じて流路を分ける等)。
【0042】
(変形例)
上記実施例1等では、イグニッションスイッチのオンにより、マイコン25が図3の弁制御プログラムを実行し、切替弁12等を所定の切替位置に変更するように構成したが、これに限らず、例えばイグニッションスイッチがオンとされない車両の駐車中であっても、マイコン25が定期的にレインセンサ32の信号をサンプリングし、レインセンサ32の検知信号に応じて切替弁12等を所定の切替位置に切り替えるように構成することもできる。
【0043】
この変形例によれば、車両の駐車中に自動的に貯水タンク13等への給水が可能となるため、雨水を補充する等の定期的なメインテナンス負荷を軽減することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 車載熱交換器用補助装置
2 ラジエータ(熱交換器)
3 インタークーラ(熱交換器)
4 フロントワイパ
5 カウル部
5a 導水口(排水部)
5b 導水路(排水部)
6 電動ファン
10 給水ユニット
11 雨水排水経路
12,112 切替弁(切替手段)
13,113 貯水タンク
14,114 水位センサ(水位検知手段)
15,115 ポンプ(噴霧手段)
15a,115a 電動モータ
15b,15c,115c ノズル
20 制御ユニット
21 通信回路(車両状態情報取得手段)
22〜24 駆動回路
25 マイコン(マイクロコンピュータ、車両状態情報取得手段、切替制御手段、噴霧制御手段)
31 ワイパSW(降雨検知手段)
32 レインセンサ(降雨検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた雨水排水経路と、
前記雨水排水経路の途上に設けられ、雨水を車外へ排水する排水用切替位置と貯水タンクへ給水する給水用切替位置とのいずれかに切り替えられる切替手段と、
前記貯水タンクに設けられ、水位を検知する水位検知手段と、
降雨を検知する降雨検知手段と、
前記降雨検知手段により降雨が検知されたとき、前記切替手段を前記排水用切替位置から前記給水用切替位置に切り替える一方、前記水位検知手段により設定値以上の水位が検知されたとき、前記切替手段を前記給水用切替位置から前記排水用切替位置に切り替える切替制御手段と、
前記貯水タンクに貯められた雨水を熱交換器に向けて噴霧する噴霧手段と、
前記噴霧手段を駆動するために必要な車両状態情報を取得する車両状態情報取得手段と、
前記取得した車両状態情報に応じて前記噴霧手段を駆動する噴霧制御手段と、
を備えたことを特徴とする車載熱交換器用補助装置。
【請求項2】
前記熱交換器は、電動ファンの動作により放熱効率が高められるものであり、前記噴霧制御手段は、前記取得した車両状態情報に応じて前記噴霧手段を前記電動ファンの動作に優先して駆動する請求項1に記載の車載熱交換器用補助装置。
【請求項3】
前記雨水排水経路は、降雨時にフロントワイパにより掻き集められた雨水を車外へ排水する排水部を利用して形成されている請求項1又は2に記載の車載熱交換器用補助装置。
【請求項4】
前記熱交換器は複数設けられ、各熱交換器に対応して前記貯水タンク及び前記噴霧手段が設けられており、前記噴霧制御手段は、前記取得した車両状態情報に応じて前記各噴霧手段を個別に駆動する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車載熱交換器用補助装置。
【請求項5】
前記切替制御手段は、車両が駐車中であるとき、前記切替手段を前記排水用切替位置から前記給水用切替位置に切り替え可能とされている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車載熱交換器用補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−92735(P2012−92735A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240273(P2010−240273)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】