説明

車載用ディスク装置

【課題】 ディスクの挿入/排出に伴って動作するレバー体からのラットルノイズを確実に抑制できる「車載用ディスク装置」を提供すること。
【解決手段】 下部ベース5に対して昇降可能に配設された上部ベース6の上面にディスク判別機構9の検知レバー13を回転可能に支持し、上部ベース6の下面側にディスク搬送機構11のローラブラケット28を回動可能に支持すると共に、このローラブラケット28に検知レバー13の回転領域に対して出入可能な押圧突起28aを設ける。そして、ディスクの挿入を待機している待機状態で押圧突起28aを検知レバー13の受部13dに当接させることにより、ディスク搬送機構11が有するディスク圧着力を利用して検知レバー13を上部ベース6の上面から離れる方向へ押圧するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD(コンパクトディスク)やDVD(デジタルバーサタイルディスク)等のディスクに情報を記録および/または再生する車載用ディスク装置に係り、特に、ガイド部材との間にディスクを挟持した駆動ローラを回転させることにより該ディスクを自動搬送するスロットイン方式の車載用ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に車載用ディスク装置は、ディスクを挿入位置とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構や、ディスクをプレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構等を備えている。前者のディスク搬送機構は、シャーシの前面側(ディスク挿入口側)における上部位置に配設されたガイド部材と、このガイド部材の下面に近接する方向へ回動付勢されたローラブラケットと、このローラブラケットに支持された駆動ローラとで構成されており、駆動ローラはモータを駆動源として正逆両方向へ回転されるようになっている。また、後者のドライブ機構は、スピンドルモータを駆動源として回転駆動されるターンテーブルや、このターンテーブルに対して近接離反可能に配置されたクランパ等を有し、これらターンテーブルとクランパは光ピックアップと共にドライブユニットに搭載されている。このドライブユニットはシャーシに対してロックまたはアンロック状態に切り換えられるようになっており、ディスクのプレイ動作時にはドライブユニットをシャーシに弾性的に支持するアンロック状態にしておき、それ以外のディスクの搬送時(挿入/排出)やディスクの挿入を待機している待機状態では、ドライブユニットを拘束することでシャーシに対して固定的なロック状態となるようにしている。
【0003】
従来より、このような車載用ディスク装置において、ドライブユニットが近接離反可能に対向配置された上部ベースと下部ベースを具備し、この上部ベースの下面側にディスク搬送機構を配設すると共に、上部ベースの上面側にディスクの大きさを判別可能なディスク判別機構等を搭載したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このディスク判別機構は、上部ベースの上面に回転可能に支持された検知レバーと、上部ベースの上面にスライド可能に支持された位置決めロック部材とを有しており、位置決めロック部材は検知レバーの後端側にピンで連結されている。検知レバーはスプリングのばね力によって一方向へ付勢されており、検知レバーの先端側にはディスクの搬送経路内に突出する検知ピンが設けられている。また、上部ベースの上面には挿入されたディスクを所定位置にセンタリングする位置決めアームが搭載されており、位置決めロック部材はこの位置決めアームを選択的に拘束するようになっている。
【0004】
このように概略構成されたディスク判別機構にあっては、直径12cmの大径ディスクが挿入された場合、検知ピンが該ディスクの外周縁に当接して外側へ押し広げられ、それに伴って検知レバーがスプリングのばね力に抗して回転すると共に、位置決めロック部材が検知レバーの回転に連動してスライド移動する。その結果、位置決めロック部材によって拘束されていた位置決めアームの拘束が解除されるため、位置決めアームは大径ディスクの外周縁に当接して後方端部まで回動し、該大径ディスクをその直径に応じた所定のクランプ位置で停止させる。一方、直径8cmの小径ディスクが挿入された場合、該ディスクは検知ピンに当接することなく挿入されるため、検知レバーと位置決めロック部材および位置決めアームはいずれも移動せず、拘束位置で停止している位置決めアームは小径ディスクをその直径に応じた所定のクランプ位置で停止させる。
【特許文献1】特開2001−338454号公報(第10頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述した従来の車載用ディスク装置のように、上部ベースの上面にディスク判別機構の構成部材である検知レバーや位置決めロック部材を搭載したドライブユニットが具備されている場合、これら検知レバーと位置決めロック部材が上部ベースに対してスムーズに回転またはスライド動作するように、検知レバーや位置決めロック部材の下面と上部ベースの上面との間には若干(0.2〜0.3mm程度)のクリアランスが確保されている。しかしながら、ディスクの挿入を待機している待機状態においてドライブユニットはシャーシに対してロック状態となっているため、かかる待機状態で車載用ディスク装置に外部振動が加わると、その外部振動が検知レバーや位置決めロック部材に直接作用することにより、検知レバーと位置決めロック部材が上記クリアランスの範囲でガタ付いて上部ベースの上面に衝突し、ラットルノイズと呼ばれる異音を生じやすいという問題があった。
【0006】
なお、検知レバーを付勢するスプリングのばね力を強く設定すれば、スプリングの大きなばね力によって検知レバーを回転方向の一端部に圧接することができるため、待機状態で検知レバーや位置決めロック部材から発生するラットルノイズを抑制できるが、この場合、スプリングのばね力に抗して回転する検知レバーの動作負荷が大きくなってしまい、ディスクを大きな力で挿入しなければならないという別の問題が発生する。
【0007】
また、以上説明したような問題はディスクの大きさを判定するディスク判別機構に限らず、例えば、ドライブユニットが有する板状のベース部材にレバー体を回転可能に支持し、このレバー体の回転によってディスクの挿入を検出するディスク挿入検知機構等においても同様に発生する。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、ディスクの挿入/排出に伴って動作するレバー体からのラットルノイズを確実に抑制できる車載用ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、板状部材の板面上をその板面に沿って移動するレバー体の移動領域に対してディスク搬送機構のローラブラケットに設けた押圧部を出入可能となし、ディスクの挿入を待機している待機状態にあるときに押圧部をレバー体に対して板状部材の板面と交差する方向から当接させることにより、該レバー体と板状部材との間で生じるラットルノイズを抑制し、ディスクの搬送時は押圧部をレバー体の移動領域から退避させることにより、該レバー体の動作負荷が大きくならないようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の車載用ディスク装置は、板状部材の板面上をその板面に沿って移動するレバー体の移動領域に対してローラブラケットに設けた押圧部を出入可能とし、ディスクの挿入を待機している待機状態でこの押圧部をレバー体に対して板状部材の板面と交差する方向から当接させることにより、ディスク搬送機構のローラブラケットが有するディスク圧着力を利用してレバー体から生じるラットルノイズを確実に抑制することができると共に、ディスク搬送時はディスクの挿入に伴って押圧部がレバー体の移動領域から退避するため、レバー体の動作負荷が大きくなることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、ディスク挿入口を有するシャーシと、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構を搭載したドライブユニットと、このドライブユニットを前記シャーシに対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構とを備え、前記ディスク搬送機構が、前記シャーシの上部側に配設されたガイド部材と、このガイド部材に近接する方向へ付勢されたローラブラケットと、このローラブラケットに回転自在に支持された駆動ローラとを有し、ディスクの挿入を待機している待機状態で前記ローラブラケットを前記ガイド部材の下面に近接させることにより、該ガイド部材の下面と前記駆動ローラとの間でディスクを挟持可能とした車載用ディスク装置において、前記ドライブユニットまたは前記シャーシは前記ディスク搬送機構に対向する板状部材を有し、この板状部材にディスクの挿入/排出動作に伴って該板状部材の板面に沿って移動するレバー体を支持すると共に、前記ローラブラケットに前記レバー体に接離可能な押圧部を設け、この押圧部を前記待機状態で前記レバー体に対して前記板状部材の板面と交差する方向から当接させるように構成した。
【0012】
このように構成された車載用ディスク装置では、ディスクの挿入を待機している待機状態にあるときに、ローラブラケットの押圧部をレバー体に当接させることにより、該レバー体が板状部材の板面に対して離れる方向またはこの板面に圧接する方向に付勢されてガタのない状態に維持されるため、ディスク搬送機構のローラブラケットが有するディスク圧着力を効果的に利用してレバー体から生じるラットルノイズを確実に抑制することができると共に、ディスク搬送時はディスクの挿入に伴って押圧部がレバー体の移動領域から退避するため、レバー体の動作負荷が大きくなることを防止できる。
【0013】
上記の構成において、前記レバー体に前記押圧部と接離可能な受部を設け、この受部を前記板状部材の板面に対して傾斜させると共に、前記押圧部を前記板状部材の板面と直交する方向から前記受部に当接させるようにすれば、押圧部から受部に付与されるディスク圧着力が、レバー体に対して板状部材と接離する方向と板状部材の板面に沿う方向とに作用するため、該レバー体を板状部材の板面に沿ってその移動方向の末端位置へ圧接させることが可能となり、これにより、レバー体から生じるラットルノイズをより確実に抑制することができる。
【0014】
また、上記の構成において、前記レバー体はディスク搬送機構の上下いずれか一方側に対向する板状部材に支持され、ディスクの挿入/排出動作に伴って該板状部材の板面上を回転またはスライドする部材であれば何でも良いが、前記板状部材に前記ディスク挿入口から挿入されたディスクの大きさを判別可能なディスク判別機構を搭載し、このディスク判別機構が前記レバー体である検知レバーを有していることが好ましい。
【0015】
この場合において、前記板状部材の下面側に前記ガイド部材を設けると共に、前記板状部材の上面側に前記検知レバーを移動可能に支持し、この検知レバーに設けた検知ピンを前記板状部材に形成したスリットを挿通してディスクの搬送経路内に突出させると共に、前記押圧部を前記検知レバーの移動領域に対して出入可能とすることが好ましく、このような構成を採用すると、待機状態で板状部材の上面側に突出する押圧部によって検知レバーを板状部材から離れる方向へ確実に圧接することができると共に、ディスクの挿入に伴って駆動ローラを支持するローラブラケットがガイド部材の下面から離反する方向へ移動すると、それに伴って押圧部を検知レバーの回転領域から確実に退避させることができる。
【0016】
なお、前記板状部材は、ディスク搬送機構の上下いずれか一方側に対向するものであれば何でも良いが、ディスクを回転駆動するドライブ機構を搭載したドライブユニットの上部ベースまたは該上部ベースと対向する下部ベース、あるいはドライブユニットをロック状態またはアンロック状態で支持するトップシャーシやボトムシャーシであることが好ましい。
【実施例】
【0017】
実施例について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施例に係る車載用ディスク装置の分解斜視図、図2は該車載用ディスク装置の待機状態を示す平面図、図3は図2のA部の断面図、図4は該車載用ディスク装置のディスク挿入途中状態を示す斜視図、図5は該車載用ディスク装置のディスク挿入途中状態を示す平面図、図6は該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す斜視図、図7は該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す平面図、図8は該車載用ディスク装置の待機状態を示す側面図、図9は該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す側面図、図10は待機状態における検知レバーとディスク搬送機構の関係を示す要部斜視図、図11はディスク挿入途中状態における検知レバーとディスク搬送機構の関係を示す要部斜視図である。
【0018】
本実施例に係る車載用ディスク装置は直径12cmと直径8cmの大小2種類のディスクを共に使用可能なディスクプレーヤであり、図1に示すように、この車載用ディスク装置は本体装置を形成するボトムシャーシ1とトップシャーシ2を備えている(図1以外では図示省略)。これらボトムシャーシ1とトップシャーシ2は金属板を折り曲げ加工したものからなり、トップシャーシ2はボトムシャーシ1の上面にネジ止め固定されている。ボトムシャーシ1の前面にはディスクを挿入/排出するためのディスク挿入口1aが形成されており、ボトムシャーシ1の底面上には複数のダンパ部材3が載置・固定されている。また、ボトムシャーシ1とトップシャーシ2の内部にはドライブユニット4が配設されており、このドライブユニット4は、ディスク搬送経路を介して対向する下部ベース5および上部ベース6と、これら下部ベース5と上部ベース6の左右両側に配設された一対のスライド部材7とを備えている。下部ベース5と上部ベース6は上下方向(Z1−Z2方向)へ近接離反可能に連結されており、ディスクはディスク挿入口1aから下部ベース5と上部ベース6との間に矢印Y1方向へ挿入されるようになっている。下部ベース5の下面に垂設された図示せぬピンは各ダンパ部材3に連結されており、ドライブユニット4はこれらダンパ部材3等の弾性部材を介してボトムシャーシ1に弾性支持されている。ただし、ドライブユニット4はボトムシャーシ1に対してロック切換機構によりロックまたはアンロック状態に切り換えられるようになっており、後述するように、ディスクのプレイ動作時はダンパ部材3等を介して弾性的に支持されたアンロック状態となるが、ディスクの挿入を待機している待機状態やディスクの自動搬送時はボトムシャーシ1に固定的に支持されたロック状態となる。
【0019】
図示していないが、下部ベース5には、スピンドルモータを駆動源として回転駆動されるターンテーブルや、ディスクに対して情報の記録および/または再生を行う光ピックアップや、ボトムシャーシ1の前面に形成された突部1b(図1参照)に対して係脱可能なロック部材等が搭載されている。一方、上部ベース6の上面側には、ディスク挿入口1aから挿入されたディスクの大きさ(直径12cmの大径ディスクまたは直径8cmの小径ディスク)を判定可能なディスク判別機構8や、挿入されたディスクの大きさに応じて該ディスクを所定位置にセンタリングするディスク位置決め機構9や、センタリングされたディスクを前記ターンテーブル上に圧接するクランプ機構10等が搭載されており、上部ベース6の下面側にはディスクをディスク挿入口1aとプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構11が配設されている。また、ドライブユニット4の両側部に設けられたスライド部材7,7のうち、一方のスライド部材7は図示せぬモータを駆動源として前後方向(Y1−Y2方向)へスライド動作され、それに同期して他方のスライド部材7も一体的に前後進移動するようになっている。これらスライド部材7には複数のカム孔7aとロック突部7bが形成されており(図8,図9参照)、カム孔7aには上部ベース6の側面に設けられたガイドピン6eが係合し、ロック突部7bはボトムシャーシ1の側面に形成された爪部1c(図1参照)と係脱可能に対向している。そして、スライド部材7の前後進移動によって下部ベース5と上部ベース6の対向間隔が変更され、それに伴ってクランプ機構10とディスク搬送機構11およびロック切換機構が動作される。
【0020】
前記ディスク判別機構8は、支軸12によって上部ベース6の上面に回転可能に支持された検知レバー13と、検知レバー13の後端側に支軸14bを介して回動可能に連結された位置決めロック部材14とを備えており、この検知レバー13はスプリング15のばね力によって図2の時計回り方向へ付勢されている。検知レバー13の前端側には検知ピン13aが垂設されており、検知ピン13aは上部ベース6の手前側に設けられた円弧状のスリット6aを挿通して下方のディスク搬送経路内へ突出している。後述するように、ディスク挿入口1aから直径12cmの大径ディスクが挿入されたとき、検知ピン13aは大径ディスクの外縁部に当接して外側(X2方向)へ押されるが、直径8cmの小径ディスクが挿入された場合、小径ディスクは検知ピン13aに当接することなくプレイ位置へと自動搬送される。また、検知レバー13の前端側には外側(X2方向)へ延びる腕部13bが形成され、検知レバー13の中央部には内側(X1方向)へ延びる突片13cが形成されている。腕部13bは上部ベース6の上面に沿って水平に延びているが、図3に示すように、この腕部13bの先端は上部ベース6の上面に対して角度θ(θ<90°)で傾斜する受部13dとなっている。一方、位置決めロック部材14は検知レバー13の回転に伴って上部ベース6の上面を左右方向(X1−X2方向)へ往復移動するようになっており、この位置決めロック部材14には係止溝14aが形成されている。
【0021】
前記ディスク位置決め機構9は上部ベース6の上面の奥側に回転可能に支持された一対の位置決めアーム16,17を備えており、これら位置決めアーム16,17は同時に且つ逆方向へ回転するように互いに噛み合っている。位置決めアーム16,17には位置決めピン16a,17aがそれぞれ垂設されており、これら位置決めピン16a,17aは上部ベース6の上面奥側に設けられた円弧状のスリット6b,6cを挿通して上部ベース6の下方のディスク搬送経路内へ突出している。一方の位置決めピン16aは位置決めロック部材14の係止溝14aと係脱可能になっており、位置決めロック部材14のスライド動作に伴って係止溝14aによる位置決めピン16aの拘束が解除されると、両位置決めアーム16,17は自由に回転可能な状態となる。また、上部ベース6の上面の奥側には始動レバー18が回転可能に支持されており、この始動レバー18は搬送途中のディスクによって回転動作され、その回転をトリガ信号として図示せぬ動力切り換え機構が動作してスライド部材7を前後進させるようになっている。
【0022】
前記クランプ機構10は、ターンテーブル(図示せず)に対向するクランパ19と、このクランパ19を回転可能に支持するクランパ支持体20と、このクランパ支持体20上に積層・一体化されてクランパ19を下方(Z2方向)へ弾性付勢する支え板21と、クランパ支持体20を包囲する枠状のクランプ駆動部材22と、クランプ駆動部材22に連結されたL字状の駆動アーム23とを備えており、駆動アーム23は支軸24によって上部ベース6の上面に回転可能に支持されている。クランパ19とクランパ支持体20および支え板21は上部ベース6の中央部に形成された開口内に昇降可能に支持されており、クランパ支持体20のX1方向の端部には作動部20aが形成されている。クランプ駆動部材22は上部ベース6の上面に左右方向(X1−X2方向)へスライド可能に支持されており、そのX2方向の端部には検知レバー13の突片13cと係脱可能な拘束ピン22aが設けられている。駆動アーム23はスプリング25のばね力によって図2の時計回り方向へ付勢されており、この駆動アーム23の回転に伴ってクランプ駆動部材22がX1−X2方向へ移動するようになっている。なお、クランプ機構10の動作については後述するが、このクランプ機構10と前述したターンテーブル等によってディスクをプレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構が構成されている。
【0023】
前記ディスク搬送機構11は、上部ベース6の下面手前側に固定された合成樹脂製のガイド部材26と、上部ベース6の両側面に支軸27を中心として回動(揺動)可能に支持されたローラブラケット28と、このローラブラケット28に回転自在に支持されたゴム製の駆動ローラ29と、ローラブラケット28をガイド部材26に近接する方向へ付勢するスプリング30とを備えており、駆動ローラ29は前述したモータを駆動源として正逆両方向へ回転駆動されるようになっている。ローラブラケット28はスライド部材7の前後進移動に伴って回転動作され、図8に示すように、ディスクの挿入を待機している待機状態でローラブラケット28のY1側(駆動ローラ29を支持している側)はガイド部材26に最も近接した姿勢にあり、駆動ローラ29はスプリング30からの付勢力を受けてガイド部材26の下面に対向している。このローラブラケット28のX2方向の側端部には押圧突起(押圧部)28aが形成されており、図10と図11に示すように、上部ベース6の手前側には押圧突起28aを挿通可能な貫通孔6dが形成されている。この押圧突起28aはローラブラケット28の回転に伴って検知レバー13の回転領域内に出入可能となっており、前述した待機状態で押圧突起28aは上部ベース6の上方へ突出して受部13dの下面に当接している。このとき、ローラブラケット28には駆動ローラ29をガイド部材26の下面に圧接させる方向のディスク圧着力が作用しており、図3に示すように、押圧突起28aから受部13dに対して上方(Z1方向)の圧着力Pが作用する。よって、検知レバー13は上部ベース6から離れる方向へ押圧されてがたつかないように保持されると同時に、圧着力Pが受部13dの傾斜面で検知レバー13の回転方向の力に変換されるため、検知レバー13は図2の時計回り方向の末端位置へ押圧され、当該位置で検知レバー13の突片13cがクランプ駆動部材22の拘束ピン22aに圧接される。なお、ガイド部材26と駆動ローラ29との間にディスクを挿入すると、該ディスクの厚み相当分だけローラブラケット28が図8の反時計回り方向へ回転し、それに伴って押圧突起28aが貫通孔6d内へ下降して検知レバー13の回転領域から退避するため、検知レバー13は自由に回転できる状態となる。
【0024】
このように概略構成された車載用ディスク装置において、ディスク(大径ディスクまたは小径ディスク)が装置内に装填されていない待機状態にあるとき、下部ベース5の図示せぬロック部材とスライド部材7のロック突部7bがそれぞれボトムシャーシ1の前面から内方へ折曲げられた突部1bと上記爪部1cに係止しており、ドライブユニット4はボトムシャーシ1に対して固定的に支持されたロック状態となっている。図8に示すように、この待機状態で上部ベース6は下部ベース5から上方へ離れており、図示せぬターンテーブルとクランパ19との間にディスクの厚みよりも大きなディスク搬送経路が確保されている。また、ローラブラケット28はスプリング30のばね力によってガイド部材26に近接する方向へ付勢されており、図10に示すように、押圧突起28aが貫通孔6dを挿通して検知レバー13の受部13dの下面に当接しているため、検知レバー13は押圧突起28aからの圧着力PによってZ1方向と図2の時計回り方向の末端位置へと押圧されている。したがって、検知レバー13は上部ベース6の上面に平行な方向とこの上面に垂直な方向の両方向にガタのない拘束状態に維持されており、検知レバー13に支軸14を介して連結された位置決めロック部材14も同様にX方向とZ方向にガタのない拘束状態に維持されており、これら検知レバー13と位置決めロック部材14からラットルノイズが生じることはない。さらに、図2に示すように、クランプ駆動部材22は矢印X1方向へ移動してクランパ支持体20の作動部20aから離れており、クランパ19はクランパ支持体20に当接して下方への移動が規制されている。
【0025】
かかる待機状態において、ユーザがディスクをディスク挿入口1aから下部ベース5と上部ベース6との間に挿入すると、ディスクの挿入を検知して図示せぬモータが一方向へ回転し始め、このモータを駆動源として駆動ローラ29が順方向へ回転駆動する。ディスクをさらに下部ベース5と上部ベース6の内部に押し込むと、ディスクの挿入方向の先端部分がガイド部材26と駆動ローラ29との間に入り込んで挟持され、ディスクは駆動ローラ29の回転駆動力によってプレイ位置へと自動搬送される。その際、駆動ローラ29がディスクの厚みによってガイド部材26の下面から若干量離反し、ローラブラケット28がディスクの厚み相当分だけ図8の反時計回り方向へ回転するため、押圧突起28aが受部13dから離反して検知レバー13の回転領域外へ退避し、検知レバー13は自由に回転できる状態となる。
【0026】
ここで、挿入されたディスクが大径ディスクDの場合、図4と図5および図11に示すように、大径ディスクDがガイド部材26と駆動ローラ29との間に挟持されてY1方向へ自動搬送されるとき、該ディスクDの搬送方向前方の周縁部によって検知ピン13aが外側(X2方向)へ押されるため、検知レバー13が支軸12を中心として押圧突起28aの上方を反時計回り方向へ回転し、それに伴って位置決めロック部材14がX1方向へ移動する。したがって、大径ディスクDの搬送方向の前方周縁部が両位置決めピン16a,17aの位置に至ったときには、位置決めロック部材14の係止溝14aが位置決めピン16aから離れ、両位置決めアーム16,17は自由状態となっている。これにより、両位置決めピン16a,17aがY1方向へ搬送される大径ディスクDの周縁部に当接して奥側へ押され、それに伴って両位置決めアーム16,17が互いに反対方向へ回転し始め、両位置決めピン16a,17aがスリット6b,6cの奥側端部まで移動した時点で、大径ディスクDの中心孔がターンテーブルとほぼ一致する。この間、始動レバー18が大径ディスクDの周縁部に当接して時計回り方向へ回転し、それに伴って図示せぬ動力切り換え機構がモータから駆動ローラ29への動力伝達を停止し、その代わりにモータを駆動源としてスライド部材7をY2方向へ前進させる。
【0027】
そして、スライド部材7がY2方向へ移動すると、図9に示すように、上部ベース6のガイドピン6eがスライド部材7のカム孔7a内を移動し、それに伴って上部ベース6が下部ベース5に向けて下降させられる。また、スライド部材7のY2方向への移動により、スライド部材7のロック突部7bが爪部1cから離れると共に、下部ベース5のロック部材が突部1bから離れるため、ドライブユニット4はボトムシャーシ1に対してダンパ部材3等を介して弾性的に支持されたアンロック状態に切り換えられる。また、このように上部ベース6が下部ベース5に向けて下降すると、ローラブラケット28の下面手前側に設けられた図示せぬ突起が下部ベース5に当接して押圧されるため、ローラブラケット28がスプリング15のばね力に抗して反時計回り方向へ回動(揺動)し、駆動ローラ29がディスクDの下面から大きく離れる。さらに、上部ベース6が下部ベース5に向けて下降していくと、それに伴ってクランパ支持体20とクランパ19もターンテーブルの方向へ下降していき、上部ベース6の下降が完了した時点で、プレイ位置まで搬送されたディスクDの中心孔がターンテーブルに嵌まり込み、ディスクDがターンテーブルとクランパ19との間にチャッキングされる。また、図6と図7に示すように、駆動アーム23が反時計回り方向へ回転し、それに連動してクランプ駆動部材22がX2方向へ移動して作動部20aを押し下げるため、クランパ支持体20がターンテーブルの方向へ下降する。よって、クランパ支持体20がクランパ19の周縁部から離れ、支え板21から付勢力を受けているクランパ19がディスクDの上面に弾性的に加圧される。そして、この状態で図示せぬスピンドルモータが回転駆動されると、ターンテーブルとディスクDおよびクランパ19が一体的に回転し、図示せぬ光ピックアップによってディスクDに対する情報の記録および/または再生が行われる。
【0028】
なお、かかるプレイ動作時において、図7に示すように、ディスクDの周縁部は検知ピン13aから離れており、ローラブラケット28の押圧突起28aも検知レバー13の回転領域外へ退避しているため、検知レバー13はスプリング15のばね力のみによって時計回り方向の末端位置に付勢されている。しかしながら、プレイ動作時にドライブユニット4はボトムシャーシ1に対して弾性的に支持されたアンロック状態となっており、外部振動がダンパ部材3等の弾性部材によって吸収されるため、この場合も検知レバー13と位置決めロック部材14からのラットルノイズはほとんど問題とならない。
【0029】
一方、ディスク挿入口1aから挿入されたディスクが小径ディスクの場合、小径ディスクがガイド部材26と駆動ローラ29との間に挟持されてY1方向へ自動搬送されるとき、該ディスクDは検知ピン13aに当接することなくY1方向へ自動搬送され、検知レバー13は回転しない。したがって、検知レバー13に連結された位置決めロック部材14もスライド移動せず、両位置決めアーム16,17は係止溝14aによって拘束された位置で停止している。これにより、Y1方向へ搬送される小径ディスクの前方の周縁部が両位置決めピン16a,17aに当接してセンタリングされ、プレイ位置で小径ディスクの中心孔がターンテーブルとほぼ一致する。この場合も、小径ディスクの搬送途中で始動レバー18が回転し、以下、この始動レバー18の回転をトリガ信号として、前述した大径ディスクDの場合と同様のロック切換動作やクランプ動作が行われる。
【0030】
このように上記実施例では、上部ベース6の上面に回転可能に支持された検知レバー13の回転領域に対してローラブラケット28の押圧突起28aを出入可能となし、この押圧突起28aをディスクの挿入を待機している待機状態で検知レバー13の受部13dに当接させることにより、ディスク搬送機構11が本来有するディスク圧着力を利用して検知レバー13をその回転方向と直交するZ方向および回転方向の末端位置へ圧接するようにしたので、検知レバー13とそれに連結された位置決めロック部材14から生じるラットルノイズを確実に抑制できるのみならず、位置決めロック部材14の係止溝14aに係止された位置決めアーム16を含むディスク位置決め機構9や、検知レバー13の突片13cが圧接された拘束ピン22aを有するクランプ駆動部材22とそれに連結された駆動アーム23からのラットルノイズを抑制できる。そして、ガイド部材26と駆動ローラ29との間にディスクを挿入すると、ローラブラケット28の回動に伴って押圧突起28aが検知レバー13の回転領域から退避し、大径ディスクDの搬送時に検知レバー13はスプリング15のばね力に抗して回転することになるが、前述した待機状態でスプリング15のばね力はラットルノイズの抑制に関与している訳ではないため、ばね力が比較的小さなスプリング15を使用することができ、スプリング15によって検知レバー13の動作負荷が大きくなることを防止できる。
【0031】
また、検知レバー13に形成した受部13dを上部ベース6の上面に対して傾斜させたので、上部ベース6の上面に対して直交する方向(Z1方向)へ作用する押圧突起28aからのディスク圧着力が受部13dの傾斜面で回転方向の力に変換されて検知レバー13に伝達されることとなり、待機状態で検知ピン13aを回転方向の末端位置へ確実に圧接させることができる。
【0032】
なお、上記実施例では、押圧突起28aからの圧着力Pによって検知レバー13の突片13cをクランプ駆動部材22の拘束ピン22aに当接させることにより、待機状態で検知レバー13を回転方向の末端位置へ圧接させるようにしているが、拘束ピン22a以外の部材に検知レバー13を当接させて回転方向の末端位置を規制するようにしても良い。
【0033】
また、上記実施例では、ボトムシャーシ1とトップシャーシ2の内部に設けられたドライブユニット4の上部ベース6に、ラットルノイズ発生の要因となる検知レバー13やロック部材14を配置した例を示したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、例えば、トップシャーシ2自体にディスク挿入検知用あるいはディスク位置決め用のレバー類がスライドまたは回動自在に支持され、このレバー類の一部にローラブラケット28の押圧突起28aが圧接するような構成であっても良い。また、これらのレバー類が下部ベース5やボトムシャーシ1に設けられ、ディスクの挿入待機状態においてローラブラケット28のY2側端部(駆動ローラ29と逆側の端部)に設けた押圧突起によりこのレバー類の一部がZ方向に押圧されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例に係る車載用ディスク装置の分解斜視図である。
【図2】該車載用ディスク装置の待機状態を示す平面図である。
【図3】図2のA部の断面図である。
【図4】該車載用ディスク装置のディスク挿入途中状態を示す斜視図である。
【図5】該車載用ディスク装置のディスク挿入途中状態を示す平面図である。
【図6】該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す斜視図である。
【図7】該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す平面図である。
【図8】該車載用ディスク装置の待機状態を示す側面図である。
【図9】該車載用ディスク装置のディスク挿入完了状態を示す側面図である。
【図10】待機状態における検知レバーとディスク搬送機構の関係を示す要部斜視図である。
【図11】ディスク挿入途中状態における検知レバーとディスク搬送機構の関係を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 ボトムシャーシ
1a ディスク挿入口
3 ダンパ部材
4 ドライブユニット
5 下部ベース
6 上部ベース
6a スリット
7 スライド部材
8 ディスク判別機構
9 ディスク位置決め機構
10 クランプ機構
11 ディスク搬送機構
12 支軸
13 検知レバー
13a 検知ピン
13b 腕部
13c 突片
13d 受部
14 位置決めロック部材
15 スプリング
16,17 位置決めアーム
19 クランパ
22 クランパ支持体
21 支え板
22 クランプ駆動部材
22a 拘束ピン
23 駆動アーム
26 ガイド部材
27 支軸
28 ローラブラケット
28a 押圧突起
29 駆動ローラ
30 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口を有するシャーシと、前記ディスク挿入口から挿入されたディスクを該ディスク挿入口とプレイ位置との間で自動搬送するディスク搬送機構と、挿入されたディスクを前記プレイ位置でチャッキングして回転駆動するドライブ機構を搭載したドライブユニットと、このドライブユニットを前記シャーシに対してロックまたはアンロック状態に切り換えるロック切換機構とを備え、前記ディスク搬送機構が、前記シャーシの上部側に配設されたガイド部材と、このガイド部材に近接する方向へ付勢されたローラブラケットと、このローラブラケットに回転自在に支持された駆動ローラとを有し、ディスクの挿入を待機している待機状態で前記ローラブラケットを前記ガイド部材の下面に近接させることにより、該ガイド部材の下面と前記駆動ローラとの間でディスクを挟持可能とした車載用ディスク装置において、
前記ドライブユニットまたは前記シャーシは前記ディスク搬送機構に対向する板状部材を有し、この板状部材にディスクの挿入/排出動作に伴って該板状部材の板面に沿って移動するレバー体を支持すると共に、前記ローラブラケットに前記レバー体に接離可能な押圧部を設け、この押圧部を前記待機状態で前記レバー体に対して前記板状部材の板面と交差する方向から当接させるように構成したことを特徴とする車載用ディスク装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記レバー体に前記押圧部と接離可能な受部を設け、この受部を前記板状部材の板面に対して傾斜させると共に、前記押圧部を前記板状部材の板面と直交する方向から前記受部に当接させるようにしたことを特徴とする車載用ディスク装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記板状部材に前記ディスク挿入口から挿入されたディスクの大きさを判別可能なディスク判別機構を搭載し、このディスク判別機構が前記レバー体である検知レバーを有していることを特徴とする車載用ディスク装置。
【請求項4】
請求項3の記載において、前記板状部材の下面側に前記ガイド部材を設けると共に、前記板状部材の上面側に前記検知レバーを移動可能に支持し、この検知レバーに設けた検知ピンを前記板状部材に形成したスリットを挿通してディスクの搬送経路内に突出させると共に、前記押圧部を前記検知レバーの移動領域に対して出入可能としたことを特徴とする車載用ディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−92666(P2006−92666A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−277500(P2004−277500)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】