説明

車載用事務机ボックス

【課題】OA機器類を盗難から未然に防ぐと共に、他の物品の出し入れを容易とすることができることで、使い勝手の良い車載用事務机ボックスを提供する。
【解決手段】車載用事務机ボックス10は、正面開口部11を有するボックス本体12と、ボックス本体12内に設けられた物品収納部15と、ボックス本体12の上面に形成された机状部16と、ボックス本体16に設けられたシートベルト係合部18とを備えている。物品収納部15には、正面開口部11の下部に配置されたガード部材および扉板28と、物品収納部15の下側を遮蔽空間S1とすると共に、上側を他の物品の載置空間S2として区画する載置板26とを備えた遮蔽部24が設けられている。この載置板26を物品収納部15から抜き取り、机状部16の後部の隙間に嵌め込むことで、照明装置29による照光が得られるので明るい作業環境で、パソコンPの入力作業などができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の室内において、iPad(商標)やノートブック型等のパーソナルコンピュータ、ハンドヘルド端末装置、PDA(Personal Digital Assistant)などのOA機器類や各種書類を収納したり、事務作業を行う際に使用したりする車載用事務机ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車で移動することの多い営業マンや自営業者などは、必要に応じてノートブック型のパーソナルコンピュータなどのOA機器類を自動車に載せて移動している人が多いが、自動車の室内には、これらのOA機器類を収納するのに適した場所が少ないので、車内に持ち込んだOA機器類を、空いた座席上や床面上などに置いている場合が多い。
しかし、カーブ走行中の遠心力あるいは急発進や急ブレーキ時の慣性力によってOA機器類が勝手に移動したり、座席から落下したりすることがあるので、様々な不都合が生じている。
例えば、特許文献1には、内部が物品収納部となり、上面が机状部となるボックス本体と、ボックス本体から出し入れ可能な補助机状部と、ボックス本体に隣接して設けられた上面開口部を有する補助収納箱と、ボックス本体と補助収納箱との接合部に設けられたシートベルト係合部とを備えた事務机ボックスが記載されている。この事務机ボックスは、自動車の助手席シートに載置しシートベルトでシートベルト係合部に保持させて使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3406262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような事務机ボックスであれば、急停止したときでも、カーブを曲がったときでも、載置した状態を安定的に維持させることができる。
しかし、この特許文献1に記載の事務机ボックスについても、更なる改良が望まれている。それは、高価なOA機器類を物品収納部に収納した状態で車外へ出ているときに、悪意のある者に、車のドアを解錠されたり、窓を壊されたりして、物品収納部に収納したOA機器類を開口部から取り出し、持ち去られてしまうおそれがある。
開口部に蓋をして、外側から見えなくすればよいが、それでは、物品収納部に収納したOA機器類以外の物品の出し入れが不便である。
【0005】
そこで本発明は、OA機器類を盗難から未然に防ぐと共に、他の物品の出し入れを容易とすることができることで、使い勝手の良い車載用事務机ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物品出し入れ用の正面開口部を有する箱体状のボックス本体と、前記ボックス本体内に設けられた物品収納部と、前記ボックス本体の上面に形成された机状部と、前記ボックス本体に設けられたシートベルト係合部とを備えた車載用事務机ボックスにおいて、前記物品収納部には、前記正面開口部から物品を遮蔽するための遮蔽部が設けられ、前記遮蔽部は、前記正面開口部の下部に配置された前面板と、前記前面板の上端から前記物品収納部の奥行き方向に延び、前記物品収納部の下側を物品の遮蔽空間とすると共に、上側を他の物品の載置空間として区画する載置板とを備えていることを特徴とする。
【0007】
本発明の車載用事務机ボックスには、物品収納部には、正面開口部から物品を遮蔽するための遮蔽部が設けられている。この遮蔽部は、正面開口部の下部に配置された前面板と、前記前面板の上端から前記物品収納部の奥行き方向に延びる載置板とを備えていることで、物品収納部の下側を物品の遮蔽空間としているので、外部から遮蔽空間に物品が格納されていることが観察できない。従って、悪意のある者が車内を覗き込んでも、遮蔽空間に収納された物品の存在に気が付かないので、盗難を未然に防ぐことができる。この載置板は、物品収納部の下側を物品の遮蔽空間とするだけでなく、上側を物品の載置空間とに区画しているので、載置板の上に他の物品を置いておくことで、他の物品を開口部から容易に収納したり取り出したりすることができる。
【0008】
前記机状部の後部には、前記載置板を前記物品収納部から抜き取り、前記前面板とは反対側となる前記載置板の端部を嵌め込み、前記載置板を立設するための隙間が設けられ、前記前面板の裏面側には、前記机状部を照光する照明装置が設けられているのが望ましい。
物品としてのパソコンを収納空間から取り出し、机状部に載置して作業をするときに、載置板を前記物品収納部から抜き取り、前記前面板とは反対側となる前記載置板の端部を机状部の後部の隙間に嵌め込むことで、載置板を立設することができる。そして、前面板の裏面側に設けられた照明装置により机状部を照光することで、明るい作業環境でパソコンの入力をしたり、伝票を書いたりすることができる。
【0009】
前記前面板は、前記ボックス本体の正面開口部の下端に固定され、前記遮蔽空間に収納された物品の離脱を防止するガード部材と、前記載置板の前端に固定され、前記ガード部材と合わさることで前記遮蔽空間に収納された物品を遮蔽する扉板とにより形成されているのが望ましい。
開口部にガード板が設けられていることで、自動車走行中に発生する遠心力や慣性力による物品の離脱を防止することができる。
【0010】
前記ボックス本体内には、前記載置板の前後方向のスライドを案内するガイド部材が設けられていることにより、載置板をスライドさせて、容易に入れたり引き抜いたりすることができる。
【0011】
前記遮蔽部の側面と前記ボックス本体の側面とに、前記遮蔽部を前記ボックス本体内に収納した状態で互いに同軸上に位置する棒状部材を挿入する孔が形成されているのが望ましい。
遮蔽部の側面と前記ボックス本体の側面とに設けられた孔に棒状部材を挿入しておけば、載置板がボックス本体から引き出せないため、遮蔽空間に格納された物品を取り出して盗んでいくことを防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用事務机ボックスは、悪意のある者が車内を覗き込んでも、遮蔽空間に収納された物品の存在に気が付かないので、盗難を未然に防ぐことができる。また、載置板が、物品収納部の下側を物品の遮蔽空間とするだけでなく、上側を物品の載置空間とに区画しているので、載置板の上に他の物品を置いておくことで、他の物品を開口部から容易に収納したり取り出したりすることができる。よって、本発明の車載用事務机ボックスは、物品を盗難から未然に防ぐと共に、他の物品の出し入れを容易とすることができることで、使い勝手の良いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態である事務机ボックスを示す斜視図である。
【図2】図1に示す事務机ボックスの補助机状部を引き出した状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す事務机ボックスの平面図である。
【図4】図1に示す事務机ボックスの補助机状部を引き出し、遮蔽部を立設した状態を示す斜視図である。
【図5】図3に示す事務机ボックスのA−A線断面図である。
【図6】図1に示す事務机ボックスの右側面図である。
【図7】図1に示す事務机ボックスの使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1から図4に示すように、本実施の形態の係る事務机ボックス10には、正面開口部11を有する箱体状のボックス本体12に隣接して、上面開口部13を有する補助収納箱14が配置されている。ボックス本体12内には、物品を収納するための物品収納部15が設けられている。
ボックス本体12の上面には、書籍やノート、伝票などを広げたり、パソコンなどを載置するための机状部16が形成されている。この机上部16の後部には、ボックス本体12の背面部12aと、一対の側板12bに両端部が支持された支持板12cとにより、隙間16aが後端部に沿って設けられている。
ボックス本体10内の物品収納部15の上部には、平板状の補助机状部17が設けられている。この補助机状部17は、物品収納部15の内側面の上部に奥行き方向に沿って設けられたスライダ17aにより、ボックス本体12から水平方向に出し入れ可能である。
【0015】
ボックス本体12と補助収納箱14との接合部には、自動車内に装備されたシートベルトを引っ掛けるためのシートベルト係合部18が設けられている。このシートベルト係合部18は、ボックス本体12の側面と補助収納箱14の側面と間の上部に凹部をつくるための連結板19により形成されている。
机状部16および補助机状部17には、補助机状部17をボックス本体12内に収納した状態で互いに同軸上に位置する筆記具挿入孔20,21が形成されている。補助机状部17の前縁部分には、手先が挿入可能な把持孔22が形成されている。机状部16の表面には、車の移動に伴って物品が机状部16から滑落することを防止するための滑り止め用のシート材23を貼着しておくことができる。
【0016】
この事務机ボックス10には、物品収納部15に収納した物品を外部から遮蔽する遮蔽部24は設けられている。ここで遮蔽部24について図5および図6に基づいて詳細に説明する。
図5および図6に示すように、遮蔽部24は、正面開口部11の下部に配置された前面板25と、前面板25の上端から物品収納部15の奥行き方向に延び、物品収納部15の下側を物品の遮蔽空間S1とすると共に、上側を他の物品の載置空間S2として区画する載置板26とを備えている。
前面板25は、ボックス本体12の正面開口部11の下端に固定され、遮蔽空間S1に収納された物品の離脱を防止するガード部材27と、載置板26の前端に固定され、ガード部材27と合わさることで遮蔽空間S1に収納されたパソコンなどのOA機器類を遮蔽する扉板28とにより分割されて形成されている。
【0017】
また、前面板25の扉板28の裏面側には、机状部16を照光する照明装置29が設けられている。本実施の形態では、照明装置29を乾電池で点灯するLED照明装置としている。
載置板26は、物品収納部15を囲む一対の側板と奥側に位置する後板とに、載置板26が底面を摺動しながら移動する際に、載置板26の前後方向のスライドを案内するガイド部材として機能する支持部材30が設けられている。
【0018】
載置板26と扉板28との両端部には、側面視L字状に接続された載置板26と扉板28との接続強度を向上させるために、略三角形状に形成された補強板31が設けられている。この補強板31には、遮蔽部24がボックス本体12内に収納したときに、ボックス本体の側板12bの前部に設けられた孔32と同軸に位置する孔33が設けられている。この孔32,33に、鉛筆などの棒状部材(図示せず)を挿入することで、載置板26の移動を規制することができる。また、補強板31とは反対側となる載置板26の端部には、載置板26を机状部16の後部の隙間16aに差し込み立設したときに、側板12bの後部に縦列に設けられた4つの孔34のうちのいずれかの孔と同軸に位置させ、棒状部材を挿入して、載置板26の固定と高さ位置の調整とを行うための孔35が設けられている。
【0019】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係る事務机ボックス10の使用状態について、図面に基づいて説明する。
事務机ボックス10を使用する場合、図7に示すように、事務机ボックス10を自動車の助手席シート40に載置し、車内に装備されているシートベルト41をシートベルト係合部18に係合させるだけで装着が完了する。
【0020】
不使用時には、シートベルト41をシートベルト係合部18から離脱させれば、自動車から持ち出し可能であるが、事務机ボックス10を車内に残して、使用者が車外へ離れる場合には、図4および図5に示すように、OA機器類の一例であるパソコンPなどは、遮蔽空間S1に格納しておくことができる。また、書類などは、載置板26の上である載置空間S2にも、書類や他の物品の収納が可能であり、正面開口部11を通じて出し入れが可能である。更に、書類を、上面開口部13から補助収納箱14に収納することも可能である(図1参照)。
【0021】
パソコンPを遮蔽空間S1に格納しておくと、遮蔽部24によりパソコンPが車外から観察できない。従って、悪意のある者が車内を覗き込んでも、遮蔽空間S1に収納されたパソコンPなどの物品の存在に気が付かないので、盗難を未然に防ぐことができる。
また、図6に示すボックス本体12の側面に設けられた孔32から補強板31に設けられた孔33に棒状部材を挿通させておくことで、悪意ある者が窓ガラスを割って、パソコンPを取り出そうとしても、簡単には遮蔽部24を取り外すことができないので、盗難されるまでの時間を要することで盗難の抑止効果がある。
【0022】
図7に示す机状部16に、滑り止め用のシート材23を貼着しておけば、この上に載置した電卓42や携帯電話43など物品が、自動車走行中の振動や揺動などによって移動、落下するのを防止することができる。机状部16および補助机状部17に形成されている筆記具挿入孔22,23は鉛筆44などの筆記具立てとして利用できるため利便性に優れており、互いに同軸上に位置する状態で筆記具挿入孔22,23に鉛筆44や棒状体を挿入することにより、補助机状部17の移動が阻止されるので、走行中、不用意に補助机状部17が突出するのを防止することができる。
【0023】
ボックス本体12の正面開口部11の下方にはガード部材20が設けられているため、物品収納部15に収納されたパソコンなどのOA機器類や各種物品が、自動車走行中に発生する遠心力や慣性力によって離脱するのを防止することができる。
【0024】
OA機器類の使用や筆記作業は、ボックス本体12上面の机状部16あるいはボックス本体12から引き出した補助机状部17で行うことができる。このとき、物品収納部15から取り外した遮蔽部14の載置板26の端部を、照明装置29が机上部16側へ向くように、ボックス本体12の天板である机上部16の後部に設けられた隙間16aに嵌め込み、載置板26を机状部16に対して立設する。そして、載置板26の孔35と、側板12bの後部に縦列に設けられた4つの孔34のうちのいずれかの孔とに、棒状部材を挿入して、載置板26を固定すると共に、高さ位置の調整を行う。そうすることで、前面板25の扉板28の裏面側に設けられた照明装置29により机状部16を照光することで、明るい作業環境でパソコンPの入力をしたり、伝票を書いたりすることができる。また、載置板26の高さ位置を調整することで、照明装置29と机状部16との間の距離を調整することができるので、照明装置29の明るさ調整を行うことができる。
【0025】
扉板28の裏面に照明装置29から光を反射する反射部材を設けると、より一層明るい作業環境とすることができる。
照明装置29をLED照明装置とすることで、消費電力が少なく乾電池で点灯させることができるため、シガレットライターソケットから電源を取る必要がない。従って、ケーブルの配線により周囲が雑然としてしまうことを防止することができると共に、遮蔽部24の抜き取り操作を簡単なものとすることができる。
【0026】
このように、事務机ボックス10は、自動車内への着脱が極めて容易で、OA機器類や書類などを効率良く収納することが可能であり、OA機器類を使用するときや筆記作業を行うときは机状部16や補助机状部17を利用することができ、OA機器類を使用しないときには、隠すことができるので利便性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明の事務机ボックスは、自営業や運送業、営業、配送などの会社員の他、介護ヘルパー、レンタカー利用の出張中の会社員等、車内でのパソコン操作や見積書、請求書、納品書などの伝票、報告書、提案書の記入などが必要な場合に好適である。
【符号の説明】
【0028】
10 事務机ボックス
11 正面開口部
12 ボックス本体
12a 背面部
12b 側板
12c 支持板
13 上面開口部
14 補助収納箱
15 物品収納部
16 机状部
16a 隙間
17 補助机状部
17a スライダ
18 シートベルト係合部
19 連結板
20,21 筆記具挿入孔
22 把持孔
23 シート材
24 遮蔽部
25 前面板
26 載置板
27 ガード部材
28 扉板
29 照明装置
30 支持部材
31 補強板
32,33,34 孔
S1 遮蔽空間
S2 載置空間
40 助手席シート
41 シートベルト
42 電卓
43 携帯電話
44 鉛筆

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品出し入れ用の正面開口部を有する箱体状のボックス本体と、前記ボックス本体内に設けられた物品収納部と、前記ボックス本体の上面に形成された机状部と、前記ボックス本体に設けられたシートベルト係合部とを備えた車載用事務机ボックスにおいて、
前記物品収納部には、前記正面開口部から物品を遮蔽するための遮蔽部が設けられ、
前記遮蔽部は、前記正面開口部の下部に配置された前面板と、前記前面板の上端から前記物品収納部の奥行き方向に延び、前記物品収納部の下側を遮蔽空間とすると共に、上側を他の物品の載置空間として区画する載置板とを備えていることを特徴とする車載用事務机ボックス。
【請求項2】
前記机状部の後部には、前記載置板を前記物品収納部から抜き取り、前記前面板とは反対側となる前記載置板の端部を嵌め込み、前記載置板を立設するための隙間が設けられ、
前記前面板の裏面側には、前記机状部を照光する照明装置が設けられている請求項1記載の車載用事務机ボックス。
【請求項3】
前記前面板は、前記ボックス本体の正面開口部の下端に固定され、前記遮蔽空間に収納された物品の離脱を防止するガード部材と、前記載置板の前端に固定され、前記ガード部材と合わさることで前記遮蔽空間に収納された物品を遮蔽する扉板とにより形成されている請求項1または2記載の車載用事務机ボックス。
【請求項4】
前記ボックス本体内には、前記載置板の前後方向のスライドを案内するガイド部材が設けられている請求項1から3のいずれかの項に記載の車載用事務机ボックス。
【請求項5】
前記遮蔽部の側面と前記ボックス本体の側面とに、前記遮蔽部を前記ボックス本体内に収納した状態で互いに同軸上に位置する棒状部材を挿入する孔が形成されている請求項1から4のいずれかの項に記載車載用事務机ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−35687(P2012−35687A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176091(P2010−176091)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(599172748)
【Fターム(参考)】