説明

車載用信号伝送システム

【課題】差動信号による伝送システムの1本の伝送線が断線しても、残りの伝送線を用いて信号の送受信を行う。
【解決手段】差動信号を伝送する車載用信号伝送システム10おいて、レシーバ20内の回路として、伝送回路21、中継回路22、2本の選択回路23、1本の受信回路24、アース回路25を備え、中継回路22と選択回路23間に介在させる選択スイッチ32と、伝送回路21に介在させる断線検知用の電圧レベル検知器30と、アース回路25に介在させ電圧レベル検知器30で断線が検知された時に閉じる開閉スイッチ31と、2本の伝送回路と中継回路との間に介在させ差動信号の電位差を求めて中継回路に出力する出力アンプ34と、1本の選択回路23に介設した電圧2倍増幅器33を備え、断線が検知された時に選択スイッチを電圧2倍増幅器を備えた増幅回路27と接続させる構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用信号伝送システムに関し、詳しくは、2本の伝送線を介してドライバからレシーバに差動信号を伝送する車載用信号伝送システムにおいて、2本の伝送線のうち1本が断線した場合であっても、残った1本の伝送線を用いて信号を伝送するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載されているライトやパワーウィンドウなどの電装品からなる機器は電子制御ユニット(ECU)により制御されており、各ECU間を伝送線で接続して信号の送受信を行っている。これらECU間で高速に信号の送受信を行う場合、ノイズの影響を受けにくい差動信号による伝送システムが用いられる。
前記伝送システムは、対をなす2本の伝送線でドライバとレシーバを接続しており、各ドライバまたはレシーバは1本の伝送線で各ECUと接続している。一方のECUは1本の伝送線で伝送するシングルエンド信号をドライバに送信し、ドライバは該シングルエンド信号を受信すると、該信号を正負を反転させた逆位相の2つのパルス状の差動信号Sp、Snに変換し、2本の伝送線に送信する。レシーバは該差動信号Sp、Snを受信すると、該差動信号の電位差Sp−Snを求めてシングルエンド信号に戻し、レシーバに接続された他方のECUに送信する。
【0003】
このような差動信号による伝送システムにおいては、2本の伝送線のうち1本でも断線が起こると、信号の送受信を行うことができなくなる。このため、従来より種々の伝送システムの断線検出回路が提案されている。
例えば、特開2001−7741号公報(特許文献1)においては、伝送線の間にダイオードブリッジを接続し、ダイオードブリッジにより全波整流された電圧をターミネータ抵抗に印加して、該電圧とコンパレータにより基準電圧と比較している。ターミネータ抵抗の両端の電圧が基準値よりも小さい場合には、伝送線が断線したと判断している。
【0004】
しかし、特許文献1の断線検出回路を用いることで、伝送システムの伝送線の断線の検出を行うことはできても、伝送線の断線後は信号を送信することはできない問題がある。
信号が送信されないECUは、再び伝送線が接続されるまで信号の送受信を行うことができず、特に、エンジンやブレーキ等の駆動に関わるECUと接続した伝送線が走行中に断線した場合、エンジンやブレーキが動作できなくなる恐れがあり問題となる。
【0005】
【特許文献1】特開2001−7741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、差動信号による車載用信号伝送システムにおいて、1本の伝送線が断線しても、残りの伝送線を用いて信号の送受信を行うことを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、2本の伝送線を介してドライバからレシーバに差動信号を伝送する車載用信号伝送システムにおいて、
前記レシーバ内の回路として、前記2本の伝送線と夫々接続される2本の伝送回路と、該2本の伝送回路の端末に接続される1本の中継回路と、該中継回路に接続される2本の選択回路と、該2本の選択回路の端末に接続される1本の受信回路と、前記2本の各伝送回路に接続された2本のアース回路を備え、
前記1本の中継回路と前記2本の選択回路間あるいは前記2本の選択回路と前記1本の受信回路の接続部間に介在させる選択スイッチと、
前記2本の伝送回路に夫々介在させる断線検知用の電圧レベル検知器と、
前記2本のアース回路に夫々介在させ、前記電圧レベル検知器で断線が検知された時に閉じる開閉スイッチと、
前記2本の伝送回路と前記中継回路との間に介在させ、前記差動信号の電位差を求めて前記中継回路に出力する出力アンプと、
前記2本の選択回路のうちの1本の回路に介設した電圧2倍増幅器とを備え、
前記電圧レベル検知器で断線が検知された時に、前記選択スイッチを前記電圧2倍増幅器を備えた増幅回路と接続させる構成としていることを特徴とする車載用信号伝送システムを提供している。
【0008】
前記車載用信号伝送システムにおいて、2本の伝送線が断線していない正常時は、レシーバは2本の伝送線から差動信号Sp、Snを受信する。差動信号Sp、Snは各差動信号のH(ハイレベル)とL(ローレベル)が逆位相となった1対の信号であり、レシーバは、2つの差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snを求め、該電位差Sp−Snをシングルエンド信号として受信回路から出力する。
2つの差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snであるシングルエンド信号のHとLの電位差は、各差動信号Sp、SnのHとLの電位差の2倍となる。
【0009】
一方、電圧レベル検知器が2本の伝送線のうち1本の伝送線の断線を検知した場合、断線した伝送線と接続された一方の伝送回路の前記開閉スイッチを閉じてアース回路と接続し、該伝送回路を接地する。さらに、断線していない伝送線と接続された他方の伝送回路は、前記選択スイッチを切り替えて電圧2倍増幅器を備えた増幅回路と接続する。
一方の伝送回路は接地しているため差動信号の値はゼロとなり、差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snを求めると断線していない他方の伝送回路の差動信号と同じとなる。そこで、差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snを電圧2倍増幅器で2倍に増幅してシングルエンド信号とすることで、該シングルエンド信号のHとLの電位差は、伝送線が断線していない場合のシングルエンド信号のHとLの電位差と同じとすることができる。
電圧2倍増幅器は、詳細には、入力信号を2倍または−2倍に増幅している。よって、差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snが、必要とするシングルエンド信号と正負が逆転している場合は、−2倍に増幅させることで所要のシングルエンド信号とすることができる。
【0010】
このように、本発明では、2本の伝送線のうち一方の伝送線が断線した場合であっても、断線した伝送線を接地すると共に、断線していない他方の伝送回路の差動信号を増幅回路で増幅することで、断線していない他方の伝送線の差動信号を用いて信号の伝送を継続することができる。
特に、エンジンやブレーキ等の駆動に関わるECUと接続した伝送線が走行中に断線した場合であっても、本発明の信号伝送システムは信号の送受信を継続することができるので、エンジンやブレーキの動作の中断を防ぐことができる。
【0011】
前記2本の伝送回路に並列に接続すると共に前記電圧レベル検知器と接続した可変抵抗器を備え、該可変抵抗器は前記電圧レベル検知器で断線検知時に前記電圧レベル検知器の検出信号に応じて抵抗値を変化させるインピーダンス整合用としていることが好ましい。
可変抵抗器は少なくとも2つの抵抗値を切替可能に設定されており、一方の抵抗値は伝送線が断線していない場合に車載用信号伝送システムのインピーダンスを整合させることのできる値であり、他方の抵抗値は電圧レベル検知器が断線を検知し、一方の伝送回路が接地された状態でインピーダンスを整合させることのできる値である。
このように、伝送線が断線している場合と断線していない場合で可変抵抗器の抵抗値を切り替え、どちらの場合であっても車載用信号伝送システムのインピーダンスを整合させることで、車載用信号伝送システムで送受信される信号の反射を抑えることができる。
前記差動信号は映像信号である場合に本発明の車載用信号伝送システムは好適に用いられる。
【発明の効果】
【0012】
前述したように、本発明の車載用信号伝送システムによれば、2本の伝送線のうち一方の伝送線が断線した場合であっても、断線した伝送線を接地すると共に、断線していない他方の伝送回路の差動信号を増幅回路で増幅することで、断線していない他方の伝送線の差動信号を用いて信号の伝送を継続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示す。
本発明の車載用信号伝送システム10はドライバ11と、レシーバ20と、ドライバ11とレシーバ20を接続する2本の伝送線12A、12Bを備えており、ドライバ11からレシーバ20に映像信号の差動信号を伝送するものである。
【0014】
ドライバ11は、図示しないECUから送信されたシングルエンド信号Seを受信し差動信号Sp、Snに変換している。差動信号Sp、Snは図2(A)に示すように、各信号のH(ハイレベル)とL(ローレベル)が逆位相であるパルス状の1対の信号であり、ドライバ11は伝送線12A、12Bにそれぞれ差動信号Sp、Snを送信している。
レシーバ20は該差動信号Sp、Snを受信してシングルエンド信号Seに戻し、レシーバ20に接続された図示しないECUに送信している。
【0015】
レシーバ20は、レシーバ20内の回路として、2本の伝送線12A、12Bと夫々接続される2本の伝送回路21A、21Bと、該2本の伝送回路21の端末に接続される1本の中継回路22と、該中継回路22に接続される2本の選択回路23A、23Bと、該2本の選択回路23の端末に接続される1本の受信回路24と、前記2本の各伝送回路21に接続されたアース回路25A、25Bを備えている。
本実施形態では、伝送回路21、中継回路22、選択回路23、受信回路24、アース回路25は、信号線から構成している。
【0016】
また、レシーバ20は、電圧レベル検知器30A、30Bと、開閉スイッチ31A、31Bと、選択スイッチ32と、電圧2倍増幅器33と、出力アンプ34を備えている。
【0017】
前記電圧レベル検知器30A、30Bは断線検知用であり、2本の伝送回路21A、21Bに夫々介在している。電圧レベル検知器30は例えばコンパレータから構成しており、コンパレータに伝送回路21の差動信号Sn、Spの電圧と基準電圧を入力して比較し、基準電圧よりも伝送回路21の差動信号Sn、Spの電圧が低ければ、伝送回路21と接続された伝送線12が断線していると判断している。
また、電圧レベル検知器30A、30Bは信号線26A、26Bと接続し、断線を検知した場合の検知信号を信号線26に出力する。
【0018】
開閉スイッチ31A、31Bは、2本のアース回路25A、25Bに夫々介在すると共に、電圧レベル検知器30A、30Bと信号線26で接続している。
伝送線12が断線していない場合は開閉スイッチ31A、31Bは開かれており、電圧レベル検知器30A、30Bによって断線が検知されると、開閉スイッチ31A、31Bには電圧レベル検知器30A、30Bから信号線26を介して検知信号が入力され、開閉スイッチ31A、31Bが閉じられる。電圧レベル検知器30Aが伝送線12Aの断線を検知した場合は開閉スイッチ31Aが閉じられ、電圧レベル検知器30Bが伝送線12Bの断線を検知した場合は開閉スイッチ31Bが閉じられる。
【0019】
前記出力アンプ34は2本の伝送回路21A、21Bと中継回路22との間に介設しており、差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snを出力信号として中継回路22に出力している。
【0020】
選択スイッチ32は、1本の中継回路22と2本の選択回路23A、23B間に介在しており、選択スイッチ32の第1接点32aを中継回路22と接続すると共に、第2接点32bを選択回路23A、第3接点32cを選択回路23Bと接続している。また、電圧レベル検知器30A、30Bと信号線26A、26Bで接続している。
【0021】
伝送線12の断線が検知されていない場合は第1接点32aと第2接点32bを閉成すると共に第1接点32aと第3接点32cを開成し、中継回路22と選択回路23Aを接続している。
伝送線12の断線が検知された場合、選択スイッチ32には電圧レベル検知器30Aまたは30Bから信号線26を介して検知信号が入力され、選択スイッチ32は第1接点32aと第3接点32cを閉成すると共に第1接点32aと第2接点32bを開成し、中継回路22と選択回路23Bである増幅回路27を接続している。
【0022】
電圧2倍増幅器33は2本の選択回路23A、32Bのうち選択回路23Bに介設している。電圧2倍増幅器33はオペアンプ等から構成されている。
また、電圧2倍増幅器33を介設した選択回路23Bを増幅回路27としている。
【0023】
図2は本発明の車載用信号伝送システム10の原理の説明図である。
伝送線12が断線していない場合、図2(A)に示すように各伝送線12A、12Bに送信される差動信号Sp、SnはそれぞれHとLが逆位相のパルス状の信号であり、レシーバ20から出力されるシングルエンド信号Seは、図2(B)に示すように差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snである。シングルエンド信号SeのHとLの電位差は各伝送回路21が受信する差動信号Sp、SnのHとLの電位差の2倍となる。
【0024】
伝送線12が断線した場合、断線した伝送線12に接続した伝送回路21は開閉スイッチ31を閉じることで接地される。例えば、差動信号Snを送信している伝送線12Bが断線した場合、伝送線12Bに接続された伝送回路21Bは接地される。このとき、差動信号Snの電位はゼロとなるため、図3(A)に示すように差動信号Sp、Snの電位差Sp−Snは差動信号Spと同じとなる。そこで、出力アンプ34の出力信号を電圧2倍増幅器33により2倍に増幅して図3(B)のシングルエンド信号Seとすることで、HとLの電位差は、図2(B)に示す伝送線12が断線していない場合のシングルエンド信号Seと同じとなる。
【0025】
次に、本発明の車載用信号伝送システム10の動作について説明する。
伝送線12が断線していない場合、開閉スイッチ31は開いていると共に、選択スイッチ32は第1接点32aと第2接点32bを閉成している。
レシーバ20が各伝送線12A、12Bに送信される差動信号Sp、Snを受信すると、差動信号Sp、Snは各伝送線12A、12Bと接続された伝送回路21A、21Bを介して出力アンプ34に入力され、出力アンプ34により電位差Sp−Snが求められ、出力アンプ34の出力信号として中継回路22に出力される。出力アンプ34の出力信号である電位差Sp−Snはシングルエンド信号Seとして受信回路24に出力される。
【0026】
一方の伝送線12が断線した場合、例えば、差動信号Snを送信している伝送線12Bが断線した場合、電圧レベル検知器30Bは伝送線12Bの断線を検知して開閉スイッチ31Bと選択スイッチ32に検知信号を出力する。
開閉スイッチ31Bに検知信号が入力されると、開閉スイッチ31Bはスイッチを閉じ、伝送回路21Bとアース回路25Bを接続する。また、選択スイッチ32は第1接点32aと第3接点32cを閉成し、中継回路22と増幅回路27を接続する。
【0027】
レシーバ20が各伝送線12A、Bに送信される差動信号Sp、Snを受信すると、差動信号Sp、Snは各伝送線12A、12Bと接続された伝送回路21A、21Bを介して出力アンプ34に入力されるが、伝送回路21Bはアース回路25Bと接続されるので差動信号Snはゼロとなっている。出力アンプ34により電位差Sp−Snが求められ、差動信号Spと同じとなる出力信号が中継回路22に出力される。
該出力信号は、選択スイッチ32により電圧2倍増幅器33を備えた増幅回路27を経て、シングルエンド信号Seとして受信回路24に出力される。出力アンプ34の出力信号を電圧2倍増幅器33で2倍に増幅することで、増幅後の信号のHとLの電位差は、伝送線12が断線していない場合のシングルエンド信号SeのHとLの電位差と同じとなる。
【0028】
前記構成によれば、2本の伝送線12のうち一方の伝送線12が断線した場合であっても、断線した伝送線12に接続した伝送回路21をアース回路25と接続して接地すると共に、出力アンプ34の出力信号を増幅回路27で増幅しているので、断線していない他方の伝送線12を用いて信号の伝送を継続することができる。
【0029】
なお、選択スイッチ32と電圧2倍増幅器33を備えた増幅回路27に換えて、中継回路22と受信回路24の間に利得可変アンプを介在させてもよい。伝送線12が断線していない場合は出力アンプの出力信号を増幅せず、または1倍に増幅して出力し、シングルエンド信号Seとする。一方の伝送線12が断線した場合は、利得可変アンプと接続した電圧レベル検知器30から検知信号が入力され、出力アンプの出力信号を2倍に増幅する。このように、伝送線12が断線している場合としていない場合とで利得可変アンプの利得を切り替えることで、選択スイッチ32と増幅回路27が不要となり、構成を簡単にすることができると共に部品点数を削減することができる。
【0030】
図4は本発明の第1実施形態の変形例を示す。
選択スイッチ32は、2本の選択回路23と前記1本の受信回路24の接続部24a間に介在しており、選択スイッチ32の第1接点32aを選択回路23Aと接続すると共に、第2接点32bを電圧2倍増幅器33を備えた増幅回路27となる選択回路23Bと接続し、第3接点32cを受信回路24の接続部24aとしている。
伝送線12が断線していない場合は、選択スイッチ32の第1接点32aと第3接点32cを閉成すると共に第2接点32bと第3接点32cを開成し、出力アンプ34の出力信号を増幅回路27を介さずに選択回路23Aを介して受信回路24に出力している。
【0031】
伝送線12が断線した場合、選択スイッチ32には電圧レベル検知器30からの検知信号が入力され、第1接点32aと第3接点32cを開成すると共に第2接点32bと第3接点32cを閉成し、出力アンプ34の出力信号を選択回路23Bである増幅回路27を介して受信回路24に出力している。
【0032】
前記構成においても、2本の伝送線12のうち一方の伝送線12が断線した場合、断線した伝送線12に接続した伝送回路21をアース回路25と接続して接地すると共に、出力アンプ34の出力信号を増幅回路27で増幅しているので、断線していない他方の伝送線12を用いて信号の伝送を継続することができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
図5は本発明の第2実施形態を示す。
第1実施形態の構成に加え、可変抵抗器35を2本の伝送回路21に並列に接続すると共に、可変抵抗器35と前記電圧レベル検知器30を信号線26A、26Bを介して接続している。
可変抵抗器35は例えばFETから構成し、電圧レベル検知器30で断線を検知した場合に電圧レベル検知器30の検知信号に応じて可変抵抗の抵抗値を変化させるインピーダンス整合用としている。可変抵抗器35は少なくとも2つの抵抗値を設定可能であり、断線を検知した時と検知していない時で抵抗値を切り替えている。
【0034】
伝送線12が断線していない場合は、電圧レベル検知器30からの検知信号は可変抵抗器35には入力されず、可変抵抗器35は所定の抵抗値となる。
一方、伝送線12が断線すると、電圧レベル検知器30からの検知信号が可変抵抗器35に入力され、可変抵抗器35は抵抗値を切り替え、断線時にインピーダンスが整合する抵抗値となる。
【0035】
前記構成によれば、伝送線12が断線している場合と断線していない場合で可変抵抗器35の抵抗値を切り替え、どちらの場合であっても車載用信号伝送システム10のインピーダンスを整合させることで、車載用信号伝送システム10で送受信される信号の反射を抑えることができる。
なお、他の構成および作用効果は第1実施形態と同様のため、同一の符号を付して説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の車載用信号伝送システムの第1実施形態を示すブロック図である。
【図2】伝送線が断線していない場合の(A)は差動信号、(B)はシングルエンド信号を示す図である。
【図3】一方の伝送線が断線した場合の(A)は出力アンプの出力信号、(B)はシングルエンド信号を示す図である。
【図4】第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5】第2実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
10 車載用信号伝送システム
11 ドライバ
12(12A、12B) 伝送線
20 レシーバ
21(21A、21B) 伝送回路
22 中継回路
23(23A、23B) 選択回路
24 受信回路
25(25A、25B) アース回路
26(26A,26B) 信号線
30(30A、30B) 電圧レベル検知器
31(31A、31B) 開閉スイッチ
32 選択スイッチ
33 電圧2倍増幅器
34 出力アンプ
35 可変抵抗器
Se シングルエンド信号
Sp、Sn 差動信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の伝送線を介してドライバからレシーバに差動信号を伝送する車載用信号伝送システムにおいて、
前記レシーバ内の回路として、前記2本の伝送線と夫々接続される2本の伝送回路と、該2本の伝送回路の端末に接続される1本の中継回路と、該中継回路に接続される2本の選択回路と、該2本の選択回路の端末に接続される1本の受信回路と、前記2本の各伝送回路に接続された2本のアース回路を備え、
前記1本の中継回路と前記2本の選択回路間あるいは前記2本の選択回路と前記1本の受信回路の接続部間に介在させる選択スイッチと、
前記2本の伝送回路に夫々介在させる断線検知用の電圧レベル検知器と、
前記2本のアース回路に夫々介在させ、前記電圧レベル検知器で断線が検知された時に閉じる開閉スイッチと、
前記2本の伝送回路と前記中継回路との間に介在させ、前記差動信号の電位差を求めて前記中継回路に出力する出力アンプと、
前記2本の選択回路のうちの1本の回路に介設した電圧2倍増幅器とを備え、
前記電圧レベル検知器で断線が検知された時に、前記選択スイッチを前記電圧2倍増幅器を備えた増幅回路と接続させる構成としていることを特徴とする車載用信号伝送システム。
【請求項2】
前記2本の伝送回路に並列に接続すると共に前記電圧レベル検知器と接続した可変抵抗器を備え、該可変抵抗器は前記電圧レベル検知器で断線検知時に前記電圧レベル検知器の検出信号に応じて抵抗値を変化させるインピーダンス整合用としている請求項1に記載の車載用信号伝送システム。
【請求項3】
前記差動信号は映像信号である請求項1または請求項2に記載の車載用信号伝送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−228060(P2008−228060A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−65290(P2007−65290)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】